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JP3599824B2 - 金属管製造装置及び成形ロール - Google Patents

金属管製造装置及び成形ロール Download PDF

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JP3599824B2 JP9602495A JP9602495A JP3599824B2 JP 3599824 B2 JP3599824 B2 JP 3599824B2 JP 9602495 A JP9602495 A JP 9602495A JP 9602495 A JP9602495 A JP 9602495A JP 3599824 B2 JP3599824 B2 JP 3599824B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、金属帯から溶接管を製造する装置及びその装置で使用される成形ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の溶接管製造装置で使用されているロール成形スタンドでは、図1に示すようにロール軸1,1が平行に配置されている。このような成形スタンドを用いて溶接管の成形を行う場合、各成形スタンドにおける金属帯の成形の度合いに応じた形状のロールを所定のロール間距離でそれぞれのスタンドに装着する。径が異なる溶接管を製造する場合は、径の差が数%以内で非常に小さい場合を除いて溶接管の径ごとに専用のロールを使用する。
このような成形スタンドでは、通過する素材の断面形状を予測して成形ロール2,2の形状(カリバー)を事前に決定する必要がある。また、ロール形状が適正でない場合、ロール軸1,1をカリバーの設計値に対して拡縮することで通過する素材の断面形状を微調整し、或いはロール形状そのものを変更している。しかし、ロール軸1,1の拡縮によって調整される範囲は非常に狭い範囲に限られ、試行錯誤によるロール形状の変更には多大な手間と時間を要する。更に、溶接管の径ごとに専用のロールを使用する必要があるため、各種の径をもつ溶接管の製造には適していない。
そこで、径が広範囲に変わる溶接管に対応するように、ロール軸の角度やロール間隔を調整可能にした装置が一部で使用されている。この装置では、図2に示すように成形ロール2を円弧状の台座4に固定し、台座4の外歯5に噛み合うウオームギヤ6で台座4を介して成形ロール2の傾斜角を変更する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
成形ロール2の傾斜角度を調節可能にした成形スタンドは、小径管から大径管までを一つの造管ラインで製造することを可能にする。しかし、設備構成が複雑になり、スタンドが大型化し、設備費用が高くなることが避けられない。そのため、この成形スタンドは、使用形態に制約を受け、汎用化されていない。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、成形ロールの軸間距離及び傾斜角度を調節可能にすることにより、通過する素材の断面形状を予測して成形ロールの形状(カリバー)を事前に決定することなく、製造しようとする溶接管の関係に応じた成形空間を簡単な設備構成で形成でき、径,肉厚,材質等の相違により適正な成形条件が異なる溶接管を一台の造管装置で製造することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属管製造装置は、その目的を達成するため、一対の成形ロールと、各成形ロールのロール軸が嵌挿され枢着された一対の第1チョックと、前記ロール軸の先端が枢着された一対の第2チョックと、前記第1チョックが螺合され、互いに逆方向のネジ山が左右に刻設された第1チョック移動用ネジ棒と、前記第2チョックが螺合され、互いに逆方向のネジ山が左右に刻設された第2チョック移動用ネジ棒と、前記第1チョック移動用ネジ棒及び前記第2チョック移動用ネジ棒の両端を回転可能に支持する昇降可能なロールスタンドハウジングとを備え、前記第1チョック移動用ネジ棒及び前記第2チョック移動用ネジ棒の回転により前記ロール軸の傾斜角度及び前記成形ロールの間隔が調整されることを特徴とする。
第1チョック移動用ネジ棒及び第2チョック移動用ネジ棒は、間に設けた連動歯車によって連動して回転することが好ましい。また、成形ロールとしては、ロール軸方向に関して曲率が部分的に異なる曲面をもつものが使用される。
【0005】
本発明に従った製造装置の成形スタンドは、たとえば図3に示すように、一対の成形ロール10,20のロール軸11,21を上側チョック30,40(第1チョック)に嵌挿し、軸先端部を下側チョック50,60(第2チョック)に枢支ピン51,61で枢支している。成形ロール10,20としては、図4に示すようにロール軸方向に関して部分的に曲率半径R ,R が異なる曲面でロール周面が形成されたロールが使用される。
上側チョック30は、図3にハッチングして示すように、上広がり及び下広がりになった傾動空間部31が形成されており、傾動空間部31の最も狭くなっている箇所で枢支ピン32により成形ロール10のロール軸11を枢支している。上側チョック30に対して、図5に示すように、後述する上側チョック移動用ネジ棒70(第1チョック移動用ネジ棒)及び下側チョック移動用ネジ棒80(第2チョック移動用ネジ棒)が螺合されている。他方の上側チョック40も、同様な傾動空間部をもっており、枢支ピン42で成形ロール20のロール軸21を枢支している。
【0006】
上側チョック30,40は、上側チョック移動用ネジ棒70に螺合されている。上側チョック移動用ネジ棒70は、左右両側に同じピッチで反対方向のネジ山71,72が刻設されており、ネジ山71,72にそれぞれ上側チョック30,40の雌ネジ(図示せず)がねじ込まれる。上側チョック移動用ネジ棒70は、ロールスタンドハウジング90に両端が軸受けを介して回転可能に支持されている。一方の軸受け部にはセンタリング機構73が設けられており、センタリング機構73によって上側チョック30,40が成形中の金属帯Sに対してセンタリングされる。
成形ロール10のロール軸11は、先端部近傍に長孔12が形成されており、長孔12に挿通されている枢支ピン51で下側チョック50に連結される。成形ロール20のロール軸21も、同様に枢支ピン61で下側チョック60に連結される。
【0007】
下側チョック50,60は、下側チョック移動用ネジ棒80に螺合されている。下側チョック移動用ネジ棒80も、左右両側に同じピッチで反対方向のネジ山81,82が刻設されており、ネジ山81,82にそれぞれ下側チョック50,60の雌ネジ(図示せず)がねじ込まれる。下側チョック移動用ネジ棒80は、ロールスタンドハウジング90に両端が軸受けを介して回転可能に支持されている。一方の軸受け部にはセンタリング機構83が設けられており、センタリング機構83によって下側チョック移動用ネジ棒80が成形中の金属帯Sに対してセンタリングされる。
下側チョック移動用ネジ棒80は、連動歯車91を介して上側チョック移動用ネジ棒70と連動して回転する。これにより、上側チョック移動用ネジ棒70で上側チョック30,40が互いに同じピッチ送りで近接離間するとき、下側チョック50,60も、下側チョック移動用ネジ棒80により同様に同じピッチ送りで、それぞれ相対する上側チョック30,40との相対的な位置関係を保ちながら近接離間する。また、クラッチその他の手段により連動歯車91による上側チョック移動用ネジ棒70と下側チョック移動用ネジ棒80の連動を断って、上側チョック移動用ネジ棒70又は下側チョック移動用ネジ棒80を単独で回転させることにより、上側チョック30,40又は下側チョック50,60を互いに同じピッチ送りで近接離間させて、互いに相対する下側チョック50,60又は上側チョック30,40との相対位置関係を変化させることにより、ロール軸11,12の傾斜角度が変化する。その結果、図3の(a)又は(b)に示すように、実現しようとする金属帯の成形の度合い、或いは製造しようとする溶接管の径に応じて成形ロール10,20の軸間距離及び傾斜角度が調節される。
【0008】
実現しようとする金属帯Sの成形の度合いが最小の場合、図3(a)に示すようにロール軸11,12が傾斜移動空間部31,41の内壁に沿って最も大きな角度で外側に傾斜した姿勢をとる。実現しようとする成形の度合いが最大の場合、図3(b)に示すようにロール軸11,21が傾動空間部31,41の内壁に沿って最も大きな角度で内側に傾斜した姿勢をとる。成形ロール10,20の距離は、製造しようとする溶接管の径、すなわち金属帯Sの幅に応じて調整する。このとき、実現しようとする金属帯の成形の度合い、或いは製造しようとする溶接管の径に応じて、金属帯Sと成形スタンドとの高さ方向の位置関係が異なってくる。そこで、通板ライン高さを調節するため、成形ロール10,20の作用面高さを一定に保持する機構が必要になる。本発明においては、ロールスタンドハウジング90を、成形ロール10,20の作用面高さに応じて上下動させている。すなわち、ロールスタンドハウジング90を、ベース92を貫通するガイドポスト92,93で支持し、ガイドポスト92,93の高さを調節することにより、成形ロール10,20の作用面高さを一定に保持する。また、ロールスタンドハウジング90とベース92のと間に、図3(b)に示すように適宜スペーサ95,96を挟み、上昇位置にあるロールスタンドハウジング90を安定化させる。
【0009】
【作用】
本発明の製造装置においては、前述したように成形ロール10,20の傾斜角度及び作用面高さを変更することによって、金属帯Sのエッジ部を所定形状に保持した状態で中央部の曲げ半径を任意に変更できる。そのため、実現しようとする金属帯Sの成形度合い及び製造しようとする溶接管の径に応じた金属帯Sの断面形状が同じ形状の成形ロール10,20及び成形スタンドで調節される。
【0010】
【実施例】
板厚0.5〜0.6mmのフェライト系及びオーステナイト系ステンレス鋼板を使用し、表1に示すように直径38.1〜54.0mmの溶接管を製造した。溶接管の製造方法としてはロールレス造管法を採用し、曲げ装置を通過して幅方向にある程度の曲がりが付与された金属帯Sをシームガイドロールの手前で、図3で説明した製造装置を使用することにより目的とする溶接管の曲率に近付けるように更に幅方向に曲げ加工を行った後、幅方向両端部を突合せ溶接した。
本実施例では、半径R =25mm,角度α=55度の上側カリバー及び半径R =60mm,角度β=45度の下側カリバーをもち、最小径部の直径dが70mmである成形ロール10,20(図4参照)を備えた2台のロールスタンドを使用した。そして、これら成形ロール10,20を、ロール軸11,21が垂直線に対し外側に30度から内側に30度までに任意の角度で変更できるように図3の製造装置に組み込み、ロールスタンドハウジング90の高さを30mmの範囲で調節可能にした。
【0011】
ロール軸11,21の角度は、入側から1段目のスタンドで外側に20度,2段目のスタンドで内側に10度の傾斜となるように設定した。そして、それぞれの成形ロール10,20の位置と素材Sの位置が適正に維持されるように、ロールスタンドハウジング90の高さ及び左右のロール軸11,21間距離を調節した。
また、従来例として、製造しようとする溶接管の設計曲率半径をR とするとき、半径が1.2R 及び2.0R のカリバーをもつサイドロールを、ロール軸が垂直になるように固定されたサイドロールスタンドを2台使用した。なお、サイドロールとしては、基本的には溶接管の直径に合わせた形状であるため、溶接管の直径に応じて5種類使用した。
【0012】
【表1】
Figure 0003599824
【0013】
以上の条件で製造された溶接管について、断面形状を調査した結果を図6に示す。図6に示すように、従来法で製造された溶接管は、t/Dが1%を超えて大きくなるに従って真円度が著しく低下しており、1.2%を超えるt/Dでは成形自体が困難になった。これは、従来法が製造しようとする溶接管のt/Dに拘らず、t/D<1%の成形を対象とした形状の成形ロールを使用したため、t/D>1%の溶接管成形に対しては適正な成形条件が得られなかったことに由来する。
これに対し、本発明に従った造管法では、1.2%を超えるt/Dであっても溶接管の製造が可能であり、しかもt/Dが1%以下の場合と同程度に良好な真円度を持つ溶接管が製造された。このことから、寸法が異なる溶接管の製造にあたっても、成形ロール10,20の位置及びロール軸11,21の傾斜角度を調節することにより、適正な成形条件が容易に得られることが判る。
また、本発明に従って製造された溶接管では、成形及び溶接後にサイジングロールの位置で、一旦溶接部と管底との距離が管の幅よりも小さくなるように扁平化することにより、溶接部近傍の残留応力を軽減することができた。その結果、管の長手方向中央部だけでなく、管端を含む管全長にわたり良好な真円度をもつ溶接管が製造された。
【0014】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の製造装置は、実現しようとする金属帯の成形度合い及び製造しようとする溶接管の径に応じて成形ロールのロール軸間距離,高さ及びロール軸の傾斜角度を調節可能にしている。そのため、一組の成形ロール及び成形スタンドで実現可能な金属帯の成形度合い及び成形可能な溶接管径の範囲が大幅に広がり、従来のような試行錯誤によるロール形状の決定作業や溶接管の径に応じたロール交換の作業が省略でき、高い生産性で種々の径をもつ溶接管が製造される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロール軸が垂直に固定された従来の成形スタンド
【図2】ロール軸の傾斜角度を可変にした従来の成形スタンド
【図3】本発明に従った成形スタンドを示し、成形ロールを外側に最大傾斜角度で傾けた状態(a)及び内側に最大傾斜角度で傾けた状態(b)
【図4】曲率が部分的に異なる周面をもつ成形ロールのプロフィール
【図5】成形ロールのロール軸を枢着した上側及び下側チョックに螺合したチョック移動用ネジ棒
【図6】ロール軸間距離及びロール軸の傾斜角度を調節して径が異なる溶接管を製造したとき、本発明の製造装置では真円度が向上することを従来法と対比して示したグラフ
【符号の説明】
10,20:成形ロール 11,21:ロール軸 12:長孔
30,40:上側チョック(第1チョック) 31:傾動空間部 32,42:枢支ピン
50,60:下側チョック(第2チョック) 51,61:枢支ピン
70:上側チョック移動用ネジ棒 71,72:ネジ山 73:センタリング機構
80:上側チョック移動用ネジ棒 81,82:ネジ山 83:センタリング機構
90:ロールスタンドハウジング 91:連動歯車 92:ベース 93,94:ガイドポスト 95,96:スペーサ
S:成形中の金属帯

Claims (3)

  1. 一対の成形ロールと、各成形ロールのロール軸が嵌挿され枢着された一対の第1チョックと、前記ロール軸の先端が枢着された一対の第2チョックと、前記第1チョックが螺合され、互いに逆方向のネジ山が左右に刻設された第1チョック移動用ネジ棒と、前記第2チョックが螺合され、互いに逆方向のネジ山が左右に刻設された第2チョック移動用ネジ棒と、前記第1チョック移動用ネジ棒及び前記第2チョック移動用ネジ棒の両端を回転可能に支持する昇降可能なロールスタンドハウジングとを備え、前記第1チョック移動用ネジ棒及び前記第2チョック移動用ネジ棒の回転により前記ロール軸の傾斜角度及び前記成形ロールの間隔が調整される金属管の製造装置。
  2. 請求項1記載の前記第1チョック移動用ネジ棒及び前記第2チョック移動用ネジ棒との間に連動歯車が設けられている金属管の製造装置。
  3. 請求項1記載の製造装置に組み込まれ、ロール軸方向に関して曲率が部分的に異なる曲面をもつ成形ロール。
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