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JP3598760B2 - 投写型表示装置 - Google Patents

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JP3598760B2
JP3598760B2 JP25901897A JP25901897A JP3598760B2 JP 3598760 B2 JP3598760 B2 JP 3598760B2 JP 25901897 A JP25901897 A JP 25901897A JP 25901897 A JP25901897 A JP 25901897A JP 3598760 B2 JP3598760 B2 JP 3598760B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源ランプユニットから出射された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成し、この光学像を投写レンズユニットにより投写面上に拡大投写する光学ユニットと、この光学ユニットに電力を供給する電源ユニットとを備えた投写型表示装置に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、光源ランプユニットから出射された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成し、この光学像を投写レンズユニットにより投写面上に拡大投写する光学ユニットと、この光学ユニットに電力を供給する電源ユニットと、前記光学ユニットおよび前記電源ユニットを一体収納する外装ケースと、光学ユニットを制御するための複数の回路基板とを備えた投写型表示装置が知られている。
【0003】
投写型表示装置の光学ユニットは、上述した光源ランプユニットおよび投写レンズユニットの他、光束を3原色の光束に分離する色分離光学系と、分離された光束のそれぞれを画像情報に基づいて変調光束として出射する変調系と、各々の変調光束を合成して投写レンズユニットに出射する色合成光学系とを備えている。
【0004】
この光学ユニットの色分離光学系および変調系は、光源ランプユニットとともに所定の光路が確保されたライトガイド内に収納配置されている。このライトガイドは、上下に分割されたものであり、色分離光学系等の光学素子を上下から挟持するようになっている。
【0005】
また、光学ユニットの色合成光学系および投写レンズユニットは、垂直壁およびこの垂直壁の下端から水平方向に延びる底壁を備えたヘッド板に搭載されている。具体的には、投写レンズユニットの基端側が垂直壁に固定されるとともに、色合成光学系が底壁上に配置され、これらの投写レンズユニットおよび色合成光学系は、垂直壁を介して光軸を合わせた状態で一体化されている。
【0006】
このようなヘッド板は、その垂直壁の下端部を下ライトガイドにねじ止めすることによりライトガイドに固定され、ライトガイド内の変調系からヘッド板上の色合成光学系に変調光束が入射するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような投写型表示装置では、ヘッド板は、その垂直壁の下端部でライトガイドに結合されているので、この結合部分と投写レンズユニットの重心との距離が長く、投写レンズユニットの荷重によって垂直壁が撓んで、色合成光学系および投写レンズユニットの光軸がずれるおそれがあった。また、外乱、衝撃により投写レンズユニットが固定される部分に生じるモーメントは、ヘッド板の底壁および垂直壁の付根部に曲げ応力を生じさせるので、これにも対応しなければならなかった。このため、垂直壁は、多数のリブを設けたりすることで補強しなければならず、ヘッド板の構造が複雑化するという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、ヘッド板の構造を簡略化できる投写型表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光源ランプユニットから出射された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成し、この光学像を投写レンズユニットにより投写面上に拡大投写する光学ユニットと、この光学ユニットに電力を供給する電源ユニットと、前記光源ランプユニット、前記光学ユニットおよび前記電源ユニットを収納する外装ケースとを備えた投写型表示装置であって、前記光学ユニットは、前記光束を複数色の光束に分離する色分離光学系と、分離された前記光束のそれぞれを前記画像情報に基づいて変調して変調光束として出射する変調系と、各々の前記変調光束を合成して前記投写レンズユニットに出射する色合成光学系とを備え、前記投写レンズユニットおよび前記色合成光学系は、ヘッド板に搭載され、前記外装ケース内には、前記ヘッド板を支持する支持部が設けられ、前記ヘッド板は、前記投写レンズユニットの基端側が固定される垂直壁と、この垂直壁の下端部から水平方向に延びて前記色合成光学系を支持する底壁と、前記外装ケース内に設けられた前記支持部に支持される被支持部とを備え、前記被支持部は、前記垂直壁に設けられ、かつ、この垂直壁のうち前記投写レンズユニットの外形の上端の高さ位置から下端の高さ位置までの高さ範囲内に設けられていることを特徴とする。
【0011】
ここで、投写レンズユニットの外形の上端の高さ位置から下端の高さ位置までの高さ範囲内とは、投写レンズユニットの上端および下端の各高さ位置と同じ高さ位置を含む。
【0012】
本発明では、被支持部は、垂直壁における投写レンズユニットの外形の高さ範囲内の高さ位置に設けられているので、投写レンズユニットの重心に応じて生じる曲げモーメントにより、ヘッド板の垂直壁の付根部(下端部)に生じる曲げ応力を、外装ケースの支持部に効率よく分散・吸収させることができるから、曲げ応力の緩和を図ることができ、垂直壁の撓みを確実に防止できる。従って、垂直壁に複雑な補強構造を設けなくてもよくなるので、ヘッド板の構造を簡素化できるうえ、垂直壁を介して投写レンズユニットおよび色合成光学系を正確に位置決めできるから、光軸のずれを確実に防止できる。
【0013】
なお、投写レンズユニットの外形が垂直壁と略同程度以上の大きさの場合、被支持部は、垂直壁全体の高さを1としたときに、当該垂直壁の下端から4分の1以上の高さ位置に設けることが好ましく、より好ましくは、3分の1以上3分の2以下の高さ範囲内である。
【0014】
さらに、前記被支持部は、前記垂直壁のうち、前記投写レンズユニットの光軸と略同じ高さ位置に設けられていることが望ましい。
【0015】
このような位置に被支持部を設けると、投写レンズユニットの重心の高さと被支持部の高さとをほぼ同等、もしくは、被支持部を重心よりも高くできるので、投写レンズユニットの荷重をより効率よく分散できるから、垂直壁の構造の一層の簡素化を実現できる。
【0016】
以上において、前記被支持部は、前記底壁と平行に前記垂直壁から突出して前記支持部に支持固定される固定面からなり、前記垂直壁には、この固定面と直交する補強リブが立設されていることが望ましい。
【0017】
このように被支持部を垂直壁に突設した固定面により構成すれば、被支持部を垂直壁を補強するため補強リブに兼用できる。また、この固定面と直交する補強リブを設けることで、簡単な構造で垂直壁の剛性を一層高めることができる。
【0018】
さらに、前記ヘッド板は、マグネシウム成形品からなることが好ましく、これによると、比重を小さくできるので、装置の軽量化を実現できるうえ、優れた成形性を確保できる。さらに、マグネシウムは、薄肉成形が可能な利点を最大限活かして、軽量化を図りながら耐衝撃性の信頼性を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の一形態である投写型表示装置を説明する。
【0020】
1.装置の全体構成
図1(A)、(B)には、第1実施形態に係る投写型表示装置1の正面図、背面図が示され、図2(A)、(B)には、投写型表示装置1の上面図、底面図が示されている。
【0021】
前記投写型表示装置1は、略直方体形状を有し、内部に後述する光学ユニット10が収納される外装ケース2と、図1(A)から判るように、この外装ケース2の正面に突出して設けられる投写レンズユニット6とを含んで形成される。
【0022】
外装ケース2は、この投写レンズユニット6の略中央部分で上下に分割され、投写型表示装置1の上面部分を覆うアッパーケース3と、底面部分を覆うロアーケース4と、図1(B)に示す投写型表示装置1の背面部分を覆うリアケース5とから構成されている。
【0023】
2.外装ケースの構造
アッパーケース3は、長方形の上壁3aと、その後側を除く三方の辺からほぼ垂直に下方に延びている左右の側壁3b、3cと、前壁3dとから構成されている。
【0024】
アッパーケース3の上壁3aの前方側の左右の端には、図2(A)に示すように、多数の連通孔25R、25Lが形成され、これらの連通孔25R、25Lに対応する装置内部の部分には、内蔵スピーカ(図示略)が設けられている。また、上壁3aの略中央部分には、投写型表示装置1の画質、ピント等を調整するための操作スイッチ26が設けられている。
【0025】
尚、図1(A)から判るように、装置の前面には、操作スイッチ26と同様の機能を有するリモコンを受光する受光板351が設けられ、当該投写型表示装置1を遠隔操作することが可能となっている。
【0026】
ロアーケース4は、長方形の底壁4aと、その後側を除く三方の辺からほぼ垂直に起立している左右の側壁4b、4cおよび前壁4dから形成されている。
【0027】
底壁4aには、図2(B)に示すように、内部に収納される光源ランプユニット8(後述)を交換するためのランプ交換蓋27と、装置内部を冷却するための空気取り入れ口240が形成されたエアーフィルタカバー23が設けられている。
【0028】
尚、ランプ交換蓋27には、多数の吸気孔271が形成されていて、空気取り入れ口240からのみならず、この吸気孔271からも装置内部に冷却用空気が供給される。
【0029】
また、底壁4aには、図1および図2(B)に示すように、その後端の左右の角部に後端フット31R、31Lが設けられ、前端の投写レンズユニット6に対応する位置には、高さ調整用の前端フット31Cが設けられ、これらは底壁4aの下面側に突出している。
【0030】
尚、後端フット31Rには、回転により突出量を調整することのできる調整機構が設けられ、これにより、投写画面の水平方向の調整ができるとともに、前端フット31Cには、図1(A)および図2(A)に示されるフットボタン310によって投写画面の上下方向の調整ができる調整機構が設けられている。
【0031】
このようなロアーケース4の内部には、図3に示すように、電源ケーブルシールド板243が設けられ、この電源ケーブルシールド板243は、AC入力ラインを覆う配線挿通部244を備えている。
【0032】
電源ケーブルシールド板243は、AC入力ラインから発生するノイズを遮断するために設けられ、加えて、後述する電源ユニット7のアースのバスラインを兼ねている。
【0033】
また、前述した空気取り入れ口240は、スポンジ状のエアフィルタ241で覆われている。よって、空気取り入れ口240からの塵等の侵入を防ぐことができる。また、空気取り入れ口240の周囲部分には、発泡ウレタン製のクッション材242が配置され、空気取り入れ口240の周囲部分からの塵等の侵入も防ぐことができるようになっている。
【0034】
図2から判るように、アッパーケース3の前壁3dおよびロアーケース4の前壁4dは、中央部分が僅かに前方に凸状態に湾曲しており、この部分には環状リム32が周囲に形成された円形の開口33が形成され、この開口33から上述した投写レンズユニット6の前端側の部分が突出している。
【0035】
この投写レンズユニット6の先端部分は、底壁4aに沿って延出して設けられるガード部42によって支持される。このガード部42は、投写レンズユニット6の先端部分をフード状に覆う肉厚のリムである。このガード部42に手を添えることにより、投写レンズユニット6に負担を掛けることなく、装置前端側を持ち上げることができる。
【0036】
リアケース5は、アッパーケース3およびロアーケース4のインロー部分を外側から案内、保持する構造を基本としている。
【0037】
尚、図1(B)では図示を略したが、リアケース5は、その上端がアッパーケース3の内側端縁に沿って形成される3箇所のフック部分に係合されるとともに、下端がロアーケース4の内側からねじ固定されることによって保持されている。
【0038】
リアケース5の後壁5dには、図1(B)からわかるように、左側に外部電力供給用のACインレット51や各種の入出力端子群50が配置され、また、その右側には、張り出し部分501が形成されている。張り出し部分501には、装置内部の空気を排出する排気口160が設けられる。
【0039】
このように、リアケース5の後壁5dに信号ケーブル等のコードが接続されるACインレット51や入出力端子群50が配置されているので、利用者が通常、位置する装置側面部に信号ケーブル等が接続されることがなく、使い勝手がよい。
【0040】
3.装置の内部構造
図4には、投写型表示装置1の内部構造が示されている。上述した外装ケース2の内部には、画像情報を拡大投写する光学ユニット10と、この光学ユニット10の側方に配置され、当該光学ユニット10に電力を供給する電源ユニット7とが一体収納されている。
【0041】
また、光学ユニット10の光源ランプユニット8に隣接する部分には、装置内部の空気を排出する排気ファン16と排気口160とが設けられている。
【0042】
3−1.光学ユニットの構造
光学ユニット10は、光源ランプをランプハウジング内に収納した光源ランプユニット8と、この光源ランプユニット8から出射された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成する光学レンズユニット9と、光学レンズユニット9によって形成された光学像を合成するプリズムユニット910と、合成された光学像を投写面上に拡大投写する投写レンズユニット6とを含んで構成される。
【0043】
光源ランプユニット8および光学レンズユニット9は、図4から判るように、外装ケース2の内部に設けられて平面略L字状の光路が確保されたライトガイド100に収納される。プリズムユニット910は、ライトガイド100の切り欠き部分9001、9002(図6参照)に配置され、投写レンズユニット6はこのライトガイド100の側面から突出して設けられている。
【0044】
図4から判るように、光源ランプユニット8から投写レンズユニット6に至る光路は全体として略L字状になっている。従って、ライトガイド100の平面形状は、これに対応して、略L字形となっている。ライトガイド100は、外装ケース2の内部空間の後側半分以上を占有している。なお、光源ランプユニット8は、図3に示す光源ランプユニット収納部800の位置に交換可能な状態で収納される。
【0045】
3−2.電源ユニットの構造
一方、電源ユニット7は、図4(A)から判るように、投写レンズユニット6と外装ケース2に収納されたライトガイド100の占有部分以外の部分、すなわち電源ユニット収納部700に収納されている。そして、光源ランプユニット8の近傍を基端として外装ケース2の側壁2cに沿って前方に延びる本体部分71と、この本体部分71の前方端部で屈曲し、投写レンズユニット6に臨む延設部分72とを備えた平面L字形を有している。
【0046】
電源ユニット7の一方の端部となる延設部分72の端部側面には、吸気用開口75が形成されているとともに、他方の端部となる本体部分71の端部側面には、排気用開口77が形成されている。
【0047】
尚、外装ケース2に形成される空気取り入れ口240は、プリズムユニット910の下方に位置するので、吸気用開口75は空気取り入れ口240の近傍でありかつ投写レンズユニット6の近傍に配置されることとなる。
【0048】
また、この電源ユニット7内には、図4では図示を略したが、一次側アクティブフィルターと、パワーサプライと、バラストとが収納されている。
【0049】
そして、一次側アクティブフィルターは発信用FETを備え、パワーサプライは整流用ダイオードブリッジ、D/Dコンバータ用発振トランジスター、D/Dコンバータ用3端子レギュレーターを備え、バラストはチョッパー回路用ドライブFET、チョッパー回路用逆流防止用ダイオードを備え、これらの各素子が回路基板上に搭載されている。
【0050】
このような各素子は発熱するため、素子自体の温度上昇を防止するためにヒートシンクが固定されていて、前記吸気用開口75に設けられる吸気ファン17によってヒートシンクを強制的に冷却する構造となっている。
【0051】
このように、光学ユニット10が平面L字形状であることを逆に利用して、電源ユニット7も平面L字形状とすると、ライトガイド100、投写レンズユニット6ならびに外装ケース2によって区画された領域が無駄にならない。すなわち、光学ユニット10と電源ユニット7とを狭い領域内に効率よく配置することができるので、投写型表示装置1の小型化を図ることができる。
【0052】
尚、シールド構造に関して付記すると、図4では図示を略したが、電源ユニット7から光源ランプユニット8への入力線は、コネクタを介して光源ランプユニット8と接続されている。
【0053】
また、このような入力線等は、ライトガイド100を覆うシールド板によってシールドされ、ランプノイズが生じないようになっている。
【0054】
4.光学系
図4(B)を参照して、光学ユニット10に組み込まれている光学系について説明する。
【0055】
本実施形態の光学系は、光源ランプユニット8と、3つのライトバルブ925R、925G、925Bを照明する光の面内照度分布を均一化する照明光学系923と、この照明光学系923から出射される光束を、赤、緑、青の各色光束R、G、Bに分離する色分離光学系924と、各色光束を変調する変調系を構成する3つのライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された色光束を再合成する色合成光学系としてのプリズムユニット910と、合成された光束をスクリーン上に拡大投写する投写レンズユニット6とから構成される。
【0056】
4−1.照明光学系
照明光学系923は、微小レンズの集合体を備えかつこの微小レンズによって光源ランプユニット8から出射された光を複数の部分光束に分割するインテグレータレンズ921、922と、偏光方向がランダムな光の集合体である部分光束をそれぞれ同じ偏光方向の光に変換する偏光変換素子920と、同じ偏光方向の光に変換された部分光束のそれぞれをライトバルブ925R、925G、925Bの面に重畳させる重畳レンズ930とを含んで構成される。
【0057】
ここで、偏光変換素子920は、図5に示すように、偏光ビームスプリッタアレイ9201と、選択位相差板9202とを備え、偏光ビームスプリッタアレイ9201は、それぞれ断面が平行四辺形の柱状の複数の透光性板材9203が、貼り合わされた形状を有している。
【0058】
透光性板材9203の界面には、偏光分離膜9204と反射膜9205とが交互に形成されている。
【0059】
尚、この偏光ビームスプリッタアレイ9201は、偏光分離膜9204と反射膜9205が交互に配置されるように、これらの膜が形成された複数枚の板ガラスを貼り合わせて、所定の角度で斜めに切断することによって作製される。
【0060】
そして、インテグレータレンズ921、922によって分割された部分光束は、それぞれ偏光分離膜9204によってP偏光光とS偏光光とに分離され、P偏光光は、選択位相差板9202に選択的に形成されるλ/2位相差層9206によってS偏光光に変換されて出射される。
【0061】
一方、S偏光光は、偏光分離膜9204によって90°曲折され、さらに反射膜9205によってそのまま出射される。
【0062】
このようにしてS偏光光に揃えられた光束は、図4(B)に示されるように、ライトガイド100の角部に配置される反射ミラー931で平面90°に曲折されて色分離光学系924に送られる。
【0063】
このように、照明光学系923が偏光変換素子920を備えているので、P偏光およびS偏光が混在しているランダム偏光をそのまま利用する場合に比べて光の利用効率が増し、しかも後述するダイクロイックミラー941、942での色分離性が改善される。また、S偏光はP偏光に比べて反射率が良いので、光量損失等を抑制することができるという利点もある。
【0064】
4−2.色分離光学系および変調系
色分離光学系924は、図4(B)に示すように、赤緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943とから構成される。
【0065】
照明光学系923から出射された光束に含まれる青色光束Bは、赤緑反射ダイクロイックミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、青色光束の出射部からプリズムユニット910の側に出射される。
【0066】
赤および緑の光束R、Gは、ミラー941で反射され、緑反射ダイクロイックミラー942において、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束の出射部から色合成光学系の側に出射される。
【0067】
このミラー942を通過した赤色光束Rは、赤色光束の出射部から導光系927の側に出射される。
【0068】
色分離光学系924の赤色光束R、緑色光束Gの出射部の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置され、各出射部から出射した光束は、これらの集光レンズ951、952によって平行化される。
【0069】
このように平行化された青色および緑色の光束B、Gは、ライトバルブ925B、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。
【0070】
すなわち、これらのライトバルブ925B、925Gは、不図示の駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御され、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。
【0071】
このような駆動手段は公知の手段をそのまま使用することができる。
【0072】
一方、赤色光束Rは、導光系927を介して対応するライトバルブ925Rに導かれて、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。
【0073】
導光系927は、入射側レンズ974と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの間に配置した中間レンズ973と、ライトバルブ925Bの手前側に配置した集光レンズ953とで構成されている。
【0074】
光源ランプユニット8から各ライトバルブ925R、925G、925Bまでの光路の長さは、赤色光束Rの場合が最も長く、従って、光の拡散による損失は、赤色光の場合が最も多くなる。しかしながら、このような導光系927を配置することにより、赤色光の損失をある程度抑制することが可能となる。
【0075】
なお、本実施形態におけるライトバルブ925R、925G、925Bは、一対の偏光板と、その間に配置された液晶パネルとからなる液晶ライトバルブである。
【0076】
4−3.色合成光学系
次に、各ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束は、色合成光学系を構成するプリズムユニット910に入射され、ここで再合成される。
【0077】
そして、ここで再合成によって形成されたカラー映像は、投写レンズユニット6を介して、所定の位置にあるスクリーン上に拡大投写される。
【0078】
このように本形態では、光源ランプユニット8から出射された光束は、ライトガイド100内で反射ミラー931によって反射され、ライトガイド100のL字形の平面形状に沿う大回りのL字形の光路を進行して色分離光学系924およびプリズムユニット910に到達する。
【0079】
従って、各光学系部品が狭い領域内に配置されながらも、光路を最大限長く設定してある。それ故、F値の小さなレンズを用いながら、かつ、インテグレータレンズ921、922や偏光変換素子920の配置位置を十分に確保しながら、光源ランプユニット8から出射された光束を平行光束としてライトバルブ925R、925G、925Bに到達させることができる。
【0080】
また、インテグレータレンズ921、922の配置位置を十分広く確保できる分、その分割数を増やすことができる。
【0081】
したがって、インテグレータレンズ921、922を光学的に無理のない状態に配置することができ、結果的には小型化を図ることができる。加えて、インテグレータレンズ921、922を同じサイズにすることにより、より一層テレセントリックな照明光を得ることができるので、前記偏光変換素子920の偏光分離膜9204上に形成される各部分光束の集光像を小さくすることができ、また、それぞれの集光像の大きさのばらつきを抑えることができるので、照明光の利用効率を高めることができる。
【0082】
5.ライトガイドの構造
上記の光学系のうち、光源ランプユニット8と、色合成手段を構成するプリズムユニット910と、投写レンズユニット6以外の光学素子の全てが、図6に示す形状のライトガイド100内に収納配置されている。このライトガイド100は、上ライトガイド902と下ライトガイド901とから構成され、上下のライトガイド901、902の間に前記光学素子が上下から挟まれて保持されている。光源ランプユニット8は、下ライトガイド901に形成された光源ランプユニット収納部800に収納される。
【0083】
上ライトガイド902および下ライトガイド901は、後述するヘッド板903を介してプリズムユニット910および投写レンズユニット6と一体化され、固定ねじによりロアーケース4に固定される。このため、下ライトガイド901の下面および上ライトガイド902の上面には、プリズムユニット910とヘッド板903とを組み込むために、矩形の切り欠き9001、9002が形成されている。
【0084】
また、光源ランプユニット収納部800の近傍に位置する下ライトガイド901の仕切り壁9003には、光源ランプユニット8を冷却するために、開口部9004が形成されている。
【0085】
さらに、光学ユニット10の照明光学系923が収納される領域900の側面および底面部分にも、光源ランプユニット8を冷却するために、開口部907、908が形成されている。
【0086】
そして、上ライトガイド902の上部には、開口部9021が形成されるとともに、この開口部9021と上述した開口部9004とは、ダクト9028によって連絡されている。
【0087】
6.ヘッド板の構造
プリズムユニット910は、図7および図8に示すマグネシウムのダイキャスト板である薄手のヘッド板903の表面側(図7に向かって手前側)に固定ねじによって固定される。
【0088】
ヘッド板903は、装置の幅方向に向けて垂直な姿勢で延びる垂直壁91と、この垂直壁91の下端から水平に延びてプリズムユニット910を支持する底壁92とから基本的に構成されている。
【0089】
垂直壁91の中央部分には、プリズムユニット910からの出射光が通過するための矩形の開口91bが形成されている。この垂直壁91には投写レンズユニット6の基端側を固定するためのねじ孔91dが4か所に形成され、位置決め用のダボ91eが2か所に形成されている。
【0090】
底壁92のプリズムユニット910の取付位置に対応する部分には、底壁下面に連通する連通孔91gが3箇所形成され、この連通孔91g上にプリズムユニット910の取り付け部分91hが形成されている。
【0091】
この取り付け部分91hには、ねじ孔91cが形成され、このねじ孔91cを利用して、プリズムユニット910がヘッド板903に対してねじ固定される。
【0092】
垂直壁91のうち開口91bの両側の部分には、それぞれ、ヘッド板903をロアーケース4の内面側に設けられた一対の支持部としての支柱40(図3参照)に結合するための被支持部である固定面93が設けられている。これらの固定面93は、底壁92と平行に垂直壁91に突設され、ロアーケース4の支柱40の受け面41に支持固定される。また、固定面93には、それぞれ孔93bとねじ孔93cとが設けられており、支持部40の受け面41は、それぞれボス41bとねじ孔41cとが設けられている。そして、固定面93に設けられた孔93bにボス41bを係合させ、さらにねじ孔93cとねじ孔41cとにねじを挿入することにより、固定面93と支持部40とが固定される。なお、固定面93と支持部40とは必ずしも固定する必要はないが、このようにねじ固定することにより、外部からの衝撃等によって光学系の光軸がずれるといった問題を解消することが可能である。
【0093】
また、垂直壁91には、これらの固定面93と直交する面状の補強リブ93aが立設され、この補強リブ93aは固定面93と一体的に形成されている。
【0094】
固定面93は、図9に示すように、垂直壁91のうち、投写レンズユニット6の外形の上端の高さ位置から下端の高さ位置までの高さ範囲H内に設けられている。具体的には、固定面93は、垂直壁91のうち、投写レンズユニット6の光軸6Aと略同じ高さ位置に設けられている。換言すると、固定面93の高さ位置は、垂直壁91全体の高さを1としたときに、当該垂直壁91の下端から3分の1以上3分の2以下の高さ範囲内とされている。なお、固定面93の高さ位置は、より好ましくは、垂直壁91の下端から3分の2以上の位置である。
【0095】
7.実施形態の効果
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
【0096】
すなわち、ヘッド板903の固定面93は、垂直壁91における投写レンズユニット6の外形の高さ範囲H内の領域に設けられているので、投写レンズユニット6の重心高さと固定面93の高さとをほぼ同等、もしくは固定面93を高くできるから、投写レンズユニット6により垂直壁91の根元に生じる曲げ応力を効率よく緩和でき、垂直壁91の撓み、もしくは破壊を確実に防止できる。
【0097】
従って、垂直壁91に複雑な補強構造を設けなくても良くなるので、ヘッド板903の構造を簡素化できるうえ、撓みのない垂直壁91を介して投写レンズユニット6およびプリズムユニット910を正確に位置決めできるから、光軸のずれを確実に防止できる。
【0098】
また、垂直壁91のうち、投写レンズユニット6の光軸6Aと略同じ高さ位置に設けられた固定面93は、当該垂直壁91に突設されているため、垂直壁91を補強するため補強リブに兼用できる。また、垂直壁91には、この固定面93と直交する補強リブ93aが立設されているので、この補強リブ93aおよび固定面93により、垂直壁91の剛性を簡単な構造で一層高めることができる。そして、優れた剛性を有する垂直壁91を挟み、プリズムユニット910および投写レンズユニット6が互いに位置合わせした状態で固定されるので、衝撃力等が作用しても、相互の位置ずれ、つまり、光軸のずれが発生するおそれは極めて少ないという利点がある。
【0099】
さらに、ヘッド板903は、マグネシウム成形品からなるため、比重を小さくできるから、ヘッド板903の軽量化、すなわち、装置1の軽量化を実現できるうえ、優れた成形性を確保できる。また、マグネシウム成形品は、放熱性に優れていることから、このマグネシウム成形品からなるヘッド板903にプリズムユニット910を搭載してライトガイド901、902に支持させることで、発熱しやすいプリズムユニット910が高温になるのを防止できる。
【0100】
尚、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、次に示すような変形をも含むものである。
【0101】
すなわち、前記実施形態では、被支持部を、垂直壁91から底壁92と平行に突出した固定面93により構成したが、これに限定されず、例えば、被支持部を、垂直壁の幅方向端部から当該垂直壁と平行に延設して、ロアーケースに対して水平方向にねじ固定するようにしてもよく、或いは、被支持部を垂直壁の一部とし、垂直壁を直接ロアーケースにねじ固定するようにしてもよい。要するに、ロアーケースに結合される被支持部の高さ位置が、投写レンズユニットの外形の上端から下端までの高さ範囲内であれば、被支持部の形状等は任意である。
【0102】
【発明の効果】
前述のような本発明によれば、光源ランプユニット、色分離光学系および変調系が、所定の光路が確保されたライトガイド内に収納配置され、ヘッド板の垂直壁を介して投写レンズユニットおよび色合成光学系が一体化された投写型表示装置において、ヘッド板をライトガイドに結合するための被支持部を、垂直壁における投写レンズユニットの外形の上端から下端までの高さ範囲内の領域に設けることで、投写レンズユニットの重心高さと被支持部の高さとをほぼ同等、もしくは固定部を高くできるので、投写レンズユニットの荷重をライトガイドに効率よく分散できるから、垂直壁の撓みを確実に防止できる。従って、垂直壁に複雑な補強構造を設けなくても良くなるので、ヘッド板の構造を簡素化できるうえ、垂直壁を介して投写レンズユニットおよび色合成光学系を正確に位置決めできるから、光軸のずれを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る投写型表示装置を表す正面図および背面図である。
【図2】前述の実施形態における上面図および底面図である。
【図3】前述の実施形態における外装ケースのロアーケース部分の内部構造を表す概要斜視図である。
【図4】前述の実施形態における光学ユニットおよび電源ユニットの配置および光学ユニットの構造を表す水平断面図である。
【図5】前述の実施形態における照明光学系を構成する偏光変換素子の構造を表す水平断面図および概要斜視図である。
【図6】前述の実施形態における光学ユニットを収納するライトガイドの構造を表す概要斜視図である。
【図7】前述の実施形態における色合成光学系となるプリズムユニットを支持するヘッド板の構造を表す概要斜視図である。
【図8】前述の実施形態におけるヘッド板を示す斜視図である。
【図9】前述の実施形態におけるヘッド板の被支持部の高さ位置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 投写型表示装置
6 投写レンズユニット
7 電源ユニット
8 光源ランプユニット
10 光学ユニット
91 垂直壁
92 底壁
93 固定面(被支持部)
93a 補強リブ
100 ライトガイド
901 下ライトガイド
902 上ライトガイド
903 ヘッド板
910 色合成光学系(プリズムユニット)
923 照明光学系
924 色分離光学系
925R、925G、925B 変調系(ライトバルブ)
R 赤色光束
G 緑色光束
B 青色光束

Claims (4)

  1. 光源ランプユニットから出射された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成し、この光学像を投写レンズユニットにより投写面上に拡大投写する光学ユニットと、この光学ユニットに電力を供給する電源ユニットと、前記光源ランプユニット、前記光学ユニットおよび前記電源ユニットを収納する外装ケースとを備えた投写型表示装置であって、
    前記光学ユニットは、前記光束を複数色の光束に分離する色分離光学系と、分離された前記光束のそれぞれを前記画像情報に基づいて変調して変調光束として出射する変調系と、各々の前記変調光束を合成して前記投写レンズユニットに出射する色合成光学系とを備え、
    前記投写レンズユニットおよび前記色合成光学系は、ヘッド板に搭載され、
    前記外装ケース内には、前記ヘッド板を支持する支持部が設けられ、
    前記ヘッド板は、前記投写レンズユニットの基端側が固定される垂直壁と、この垂直壁の下端部から水平方向に延びて前記色合成光学系を支持する底壁と、前記外装ケース内に設けられた前記支持部に支持される被支持部とを備え
    前記被支持部は、前記垂直壁に設けられ、かつ、この垂直壁のうち前記投写レンズユニットの外形の上端の高さ位置から下端の高さ位置までの高さ範囲内に設けられていることを特徴とする投写型表示装置。
  2. 請求項に記載の投写型表示装置において、
    前記被支持部は、前記垂直壁のうち、前記投写レンズユニットの光軸と略同じ高さ位置に設けられていることを特徴とする投写型表示装置。
  3. 請求項または請求項に記載の投写型表示装置において、
    前記被支持部は、前記底壁と平行に前記垂直壁から突出して前記支持部に支持固定される固定面からなり、前記垂直壁には、この固定面と直交する補強リブが立設されていることを特徴とする投写型表示装置。
  4. 請求項1から請求項までのいずれかに記載の投写型表示装置において、
    前記ヘッド板は、マグネシウム成形品からなることを特徴とする投写型表示装置。
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