JP3595692B2 - 自動車用シートバック - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用シートバック、特に自車が追突された時の乗員の頸椎を保護する自動車のシートバック構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のかかる自動車のシートバックとしては、国際特許98/09838号公報に示すように、シートバックフレーム(9)と、該シートバックフレーム(9)に支持されたサポート(24)によって前後に回転自在なるように支持されてなる支持手段(5)と、該支持手段(5)のホルダー(23)の上端部にステイ(27)を介して上下動自在に支持されてなるヘッドレスト(4)と、前記支持手段(5)のホルダー(23)の下端部からいかり肩のように垂下されてなるフレーム(17)に支持されてなると共に乗員の背中の圧力を受け得る受圧部材(10)と、前記シートバックフレーム(9)及び前記受圧部材(10)夫々に回転自在に軸支されてなる作動リンク(12)と、前記受圧部材(10)の前側に配されてなるパッドとより少なくとも構成されてなる。
【0003】
前記支持手段(5)のホルダー(23)は、前記シートバックフレーム(9)とは別物のブラケットに支持されている図示されていないダンパーにより、後ろ側方向の移動時に緩衝すると共にその位置を決めることになる。
【0004】
このため、例えば自車が追突された時、シートバック(3)には、前側に向けての衝撃的な荷重が作用し、乗員による反動荷重が後ろ側に向けて作用する。即ち、シートバックフレーム(9)間に架設されたバックエレメント(20)及び受圧部材(10)に該荷重が作用する。その際、受圧部材(10)は後ろ側に移動することにより、支持手段(5)のホルダー(23)は、シートバックフレーム(9)のサポート(24)を回動支点として回動し、ホルダー(23)の上端部に支持されたヘッドレスト(4)は、乗員の頭部に接近する方向に作動する。
【0005】
従って、自車が追突された時に、乗員の反動荷重でシートバック(3)が後ろ側に撓んでも、ヘッドレスト(4)が瞬時にして乗員の頭部に接近作動するので、乗員の頭部は、ヘッドレスト(4)に確実に受け止められ、乗員の頸部の保護が図られる。このとき、前記受圧部材(10)が後ろ側に押されてフレーム(17)の肩部が、サポート(24)にぶつかることでホルダー(23)の回転が停止されるため、フレーム(17)の肩部がストッパ機能を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、前記ホルダー(23)の下端部と前記フレーム(17)の肩部とが溶接により支持されているので、該溶接部が干渉するおそれがある。また、繰り返しホルダー(23)の後ろ向きの荷重を受けているとブラケットが撓むおそれがあり、ホルダー(23)の停止位置が変化するおそれがある。また、ブラケットがシートバックフレーム(9)と別物であるため、原価高騰のおそれがあり、廉価にできない。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、ヘッドレストの支持手段のストッパ機能を有する手段の停止位置が、安定的に決まり、原価低減が図れる自動車用シートバックを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、シートバックフレームと、該シートバックフレームの上端部に前後に回転自在なるように支持されてなる支持手段と、該支持手段の上端部に支持されてなるヘッドレストと、前記支持手段の下端部に支持されてなると共に乗員の背中の圧力を受け得る受圧部材と、前記シートバックフレーム及び前記受圧部材夫々に回転自在に軸支されてなる作動リンクと、前記受圧部材の前側に配されてなるパッドとより少なくとも構成されてなる。前記シートバックフレームの上端部の前側には、前記支持手段の後面を保持可能なるダンパーが配設されてなる。前記支持手段には、前記受圧部材の移動に伴い作動リンクにより後ろ側且つ上側に移動した支持手段がシートバックフレームにぶつかることで前記支持手段の移動を阻止するストッパ手段が配されてなる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動車用シートバックであって、前記ダンパーが配設される部位のシートバックフレームは、パイプ状のフレームを前後平坦状に形成されてなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の自動車用シートバックであって、前記ダンパーが配設される部位のシートバックフレームは、パイプ状のフレームを前後平坦状に形成されてなると共に上下両端部にフランジ部を形成してなる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3何れかに記載の自動車用シートバックであって、前記ダンパーは、高硬度にて形成されてなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。尚、FRを前側、RRを後ろ側、UPは上側、LWRは下側として説明する。
【0013】
図1乃至図7は、この発明の一実施形態を示すもので、符号1は自動車のシートバック、符号3はヘッドレストである。
【0014】
該シートバック1は、シートバックフレーム2と、該シートバックフレーム2の前後に配されてなるポリウレタンフォームなどより形成されてなる図示しないパッドと、該パッドを覆う布製などの表皮とより少なくとも形成される。
【0015】
前記シートバックフレーム2は、逆U字状に形成されてなり且つ一方が長く他方が短く(図示しないエアバッグ装置の取付代確保のため)形成されてなるアッパフレーム2aと、該アッパフレーム2aの左右端部より垂下された位置に配設されてなる略左右対称形状のサイドフレーム2b、2b’と、該サイドフレーム2b、2b’の下端部間に架設されてなるアンダーフレーム2cとよりなる。
【0016】
前記サイドフレーム2b、2b’それぞれには、鉄板によりプレート状に形成されてなるブラケット5、5’が支持されている。該ブラケット5、5’それぞれには、作動リンク6、6’の一端部6a,6a’が、ボルト20、ブッシュ21により、前後FR,RR方向に回転自在なるように、それぞれ支持されている。該作動リンク6、6’それぞれの他端部6b,6b’間には、後述する受圧部材4の端部4a,4a’が、リベット22、ブッシュ21により回転自在に支持されている。
【0017】
前記サイドフレーム2b、2b’のスプリングフック23、23’と前記作動リンク6、6’それぞれとの間には、付勢手段としてのコイル状のスプリング18、18が配されてなり、前記作動リンク6の他端部6b,6b’側を前側FRに、常時付勢してなる。
【0018】
該受圧部材4は、鉄板等の剛体により左右に延在されて長方形に形成され、後述する支持手段としてのアーマチュアパイプ7の保持部8、8との間に位置する上辺には、後ろ側へ立ち上がる斜面部9が形成されてなる。
【0019】
該受圧部材4の中央部には、前記アーマチュアパイプ7の折り返し部10が前後に偏平状に形成されてガス溶接により支持されてなる。
【0020】
前記アッパフレーム2aの下側には、該アッパフレーム2aの肩部2aa,2aa’間に架設されたセカンドフレーム28が溶接により支持されている。該セカンドフレーム28の中央部には、ホルダーブラケット12が配されて、その両端部12a,12aが溶接により支持されてなる。該ホルダーブラケット12の中央部より左右に離間した位置に前側に迫り出して横断面でU字状に形成されてなる支持部12b,12bの内側には、合成樹脂製のアーマチュアホルダー11、11が配される。該アーマチュアホルダー11、11は、前記アーマチュアパイプ7の保持部8、8それぞれの上端部に支持されるので、前記ホルダーブラケット12の支持部12b,12bで、アーマチュアホルダー11、11を介して前記アーマチュアパイプ7の保持部8、8が、保持されることになる。
【0021】
前記アーマチュアパイプ7は、正面視で左右に並列されてなる垂直状の保持部8、8と、該保持部8、8の下端に形成されてなる折り返し部10とより略U字状に形成されてなる。
【0022】
前記保持部8、8は、正面視で、少なくともAF05%タイルマネキン(SAE)のショルダーポイントより中央側に配されてなる。AF05%タイルマネキン(SAE)のショルダーポイントより中央側に配されている、ということは、大人の体格のほとんどの乗員30のショルダーポイントより内側に保持部8、8が配されているということになるので、該乗員30が自車の追突により前記シートバックフレーム2の前側から荷重が加わっても、該乗員30のショルダーが干渉しないことになる。
【0023】
また、前記保持部8、8は、図1に示す側面視で、前記受圧部材4が保持部材8、8より前側に配されるように、前後に「く」の字状に形成されてなる。該折曲部8aは、前記ヘッドレスト3のステイ13の下端部に干渉しない近接した位置に形成され、内面は半径20ミリの曲面である。
【0024】
また、前記したように、該保持部8、8内には、合成樹脂製のアーマチュアホルダー11、11を介して前記ヘッドレスト3のステイ13、13が上下摺動自在に支持されてなる。前記保持部8、8の上端部には、該ステイ13、13の上下位置を制御可能なる合成樹脂製のヘッドレストホルダー14、14が保持されてなる。図示しない符号14aは、該ヘッドレストホルダー14、14の係合部であり、符号15は、ヘッドレスト3のフレームである。
【0025】
符号16は、前記サイドフレーム2b,2b’にフック17、17’を介して支持されてなるS字状のバネで、前記受圧部材4の下方の位置に配されてなる。
【0026】
前記保持部8の後面には、開口部19が形成されていて、該開口部19にねじ回しなどの工具を押し入れると、前記ヘッドレストホルダー14、14の開口部19が係合した図示しない係合部が押されて開口部19から離脱し、保持部8、8から抜くことが可能となる構造である。つまり、ヘッドレストホルダー14、14のロックオフが可能としている。
【0027】
前記保持部8の後ろ側RRに位置するアッパフレーム2aの部位には、パイプ状のアッパフレーム2aを前後に潰して平面状の固定部35を形成し、該固定部35の貫通孔35aに、ダンパーとしてのラバー状の第1ストッパ24が配設されてなる。該第1ストッパ24は、厚さが6ミリの頭部24aと、頸部24dを介して貫通孔35aに係止される係止部24bと、該係止部24bより突出されて貫通孔35aを係止部24bが係入され易いように引っ張れる握持部24cとよりなる。該第1ストッパ24の硬度は、高硬度で、例えば、JIS A又はCのスプリング硬さHs80のレベルであるので、厚さ6ミリの頭部24aが保持部8によって1ミリほど撓む関係にある。
【0028】
前記アッパフレーム2aの固定部35の上下端部は、後ろ側RRに向けてフランジ部35b、35bがそれぞれ形成されてなる。
【0029】
前記保持部8には、針金状の第2ストッパ34が配され、保持部8が後述するようにホルダーブラケット12を中心に回転したとき、セカンドフレーム28或いはホルダーブラケット12に、図4に★印で示したようにぶつかることで、保持部8のその以上の回転を阻止している。
【0030】
符号25は、図示しないバックボードの引っ掛け用フレームである。
【0031】
次に、この実施形態に係る作動を説明する。
【0032】
図1に示すように、乗員30がシート26のシートクッション27に着座し、前記シートバック1に背中30aを凭れかけた通常の状態では、乗員30の頭部30bとヘッドレスト3とは若干の隙間Aがあり、乗員30の背中30aと受圧部材4とも若干の隙間Bが形成されている。尤も、該乗員30の背中30aと受圧部材4との間には、図示しないパッドや表皮が介在されているが、乗員30からの荷重が受圧部材4に加わらない状態にある。
【0033】
この状態で、自車が追突されて、着座した乗員30が二次衝突により後ろ側RRに押されてパッド等が後ろ側RRに移動すると、該乗員30の背中30aによりパッド等を介して受圧部材4が後ろ側RRに押される。乗員30による後ろ側RR方向への荷重によりパッド等が後ろ側RRに移動しても、乗員30のショルダーポイントが少なくともAF05%タイルマネキンによるショルダーポイントであるから、パッド等がアーマチャパイプ7の保持部8に食い込むことはない。このため、保持部8の回転に伴う上昇は妨げられず、十分ヘッドレスト3の作動量を確保することができる。
【0034】
また、前記受圧部材4は、鉄板等剛体より構成されてなるので、乗員30による後ろ側RR方向への荷重が確実に保持部8に伝達される。即ち、ヘッドレスト3の移動が、受圧部材4に荷重が加わると直ぐに移動するので、タイミングロスがない。また、受圧部材4の移動量が大きくなる。
【0035】
該受圧部材4を支持している作動リンク6が、ボルト20を中心に回転付勢され、作動リンク6の他端部6bが、図1に示す位置から図7に示す位置に移動されることで、該作動リンク6の他端部6bは、ボルト20を中心に上側UP及び後ろ側RR方向に回転される。
【0036】
こうして、作動リンク6の他端部6bが上側UP且つ後ろ側RRに回転すれば、アーマチュアパイプ7の下端部、つまり折り返し部10が上側UP且つ後ろ側RRに移動する。該移動に伴い、アーマチュアパイプ7の上端部、つまり保持部8、8の上端部8b、8bと共にヘッドレストホルダー14、14は、上側UP且つ前側FRに移動する。該移動により、前記ヘッドレスト3のスティ13も上側UP且つ前側FRに移動される。
【0037】
従って、保持部8、8、スティ13、13が、ホルダーブラケット12を中心に、共に移動する。該ステイ13、13に支持されたヘッドレスト3は、図7に示すように、乗員30の頭部30b(太い二点鎖線)に当接することになる。尚、図7では、ヘッドレスト3が乗員30の頭部30bに食い込んでいるように図示されているが、ヘッドレスト3は中央が凹んでおり、乗員30の頭部30bも周知のように横断面で略円柱状をなすので、食い込んでいる訳ではない。また、図5のヘッドレスト3に二点鎖線で示す符号3が示されているが、この二点鎖線で示すヘッドレスト3は、移動しない場合のヘッドレスト3の位置を示したもので、こうした場合、乗員30の頭部30bは、細い二点鎖線で示すように移動することを示すものである。
【0038】
こうして、乗員30の上半身が後ろ側RRに移動することで、残される挙動をする乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されることになる。この時、前記受圧部材4の上辺に、後ろ側RRへ立ち上がる斜面部9が形成されてなるので、パッドの後面に受圧部材4の傾斜面9が沿ってスムースに移動できる。換言すると、パッドに受圧部材4が食い込み難いことになる。
【0039】
この状態で、前記保持部8は、前記受圧部材4に対して前後に「く」の字状に形成されてなるので、受圧部材4が後ろ側RRに移動した時に、図7に示すように、受圧部材4及び折り返し部10が後ろ側RRに出っ張らない。
【0040】
また、前記シートバックフレーム2のアッパフレーム2aの前側FRには、前記保持部8の後面を保持可能なる第1ストッパ24が配設されてなるので、通常状態では、ヘッドレスト3の保持部8が第1ストッパ24により通常位置に停止し、該停止位置が安定的に決まる。かかる第1ストッパ24は、シートバックフレーム2のアッパフレーム2a自体で支持されてなるので、ブラケットなどの部品が不要である分、原価低減が図れる。
【0041】
また、前記保持部8には、前記受圧部材4の移動に伴い作動リンク6により後ろ側RR且つ上側UPに移動した保持部8がシートバックフレーム2に支持されたセカンドフレーム28或いはホルダーブラケット12にぶつかることで前記保持部8の移動を阻止するストッパ手段としての第2ストッパ34が配されてなるので、受圧部材4が移動する追突時では、シートバックフレーム2に支持されたセカンドフレーム28に第2ストッパ34がぶつかることで、ヘッドレスト3の保持部8の停止位置が安定的に決まる。該第2ストッパ34の位置は容易に変更ができるので、設計開発時におけるチューニングが容易であり、セッティング自由度がある。
【0042】
前記第1ストッパ24を支持したアッパフレーム2aの固定部35の後ろ側RRが突出しないので、その分表皮を被せた場合における形が良く、後席乗員に圧迫感を与えないことになる。
【0043】
前記アッパフレーム2aの固定部35の上下端部は、後ろ側RRに向けてフランジ部35b、35bがそれぞれ形成されることで、シートバックフレーム2の強度が著しく向上する。
【0044】
通常時における保持部8の停止位置が、17%程度しか撓まない高硬度にて形成されてなる前記第1ストッパ24によって停止されてなるので、該通常状態での該停止位置が安定的に決まる。
【0045】
前記保持部8の後ろ側の開口部19に、ねじ回しなどの工具を押し入れると、前記ヘッドレストホルダー14、14の開口部19が係合した図示しない係合部が押されて開口部19から離脱し、保持部8、8から抜くことが可能となる。つまり、ヘッドレストホルダー14、14のロックオフが可能としている。
【0046】
また、前記ヘッドレストホルダー14、14に、前記ヘッドレスト3のステイ13、13が上下移動自在に支持されてなるので、乗員30の頭部30bの位置に適宜ヘッドレスト3を合致させることができる。
【0047】
また、前記作動リンク6と前記シートバックフレーム2のサイドフレーム2bとの間に、前記受圧部材4を前側FRに付勢してなるスプリング18が支持されてなるので、乗員30の背中30aによる後ろ側RRへの押す力が加えられない状態では、スプリング18により受圧部材4は前側FRにある。即ち、該受圧部材4を下端に支持したアーマチュアパイプ7の保持部8、8の上端に支持されたヘッドレスト3は、シーソの原理で後ろ側RRの位置に収まるので、乗員30の居住性を損なうことがない。
【0048】
前記アーマチュアパイプ7は、保持部8、8と折り返し部10とによりU字状をなす実施形態に限らず、例えば、折り返し部10が存在せずに、保持部8、8の下端部がそのまま受圧部材4に溶接により支持されるものであっても良い。
【0049】
前記作動説明で、乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されるとしたが、ヘッドレスト3の移動と、シートバック1の移動とは、相対的なものであり、乗員30の背中30aによってシートバック1が後ろ側RRに移動しても、乗員30の頭部30bに対してヘッドレスト3が移動せず、その位置に保持されることで、乗員30の頭部30bが保護されるものと説明されるものも含むものである。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、前記シートバックフレームの上端部の前側には、前記支持手段の後面を保持可能なるダンパーが配設されてなるので、通常状態では、ヘッドレストの支持手段がダンパーにより通常位置に停止し、該停止位置が安定的に決まる。かかるダンパーは、シートバックフレーム自体で支持されてなるので、ブラケットなどの部品が不要である分、原価低減が図れる。
【0051】
また、前記支持手段には、前記受圧部材の移動に伴い作動リンクにより後ろ側且つ上側に移動した支持手段がシートバックフレームにぶつかることで前記支持手段の移動を阻止するストッパ手段が配されてなるので、受圧部材が移動する追突時では、シートバックフレームにストッパ手段がぶつかることで、ヘッドレストの支持手段の停止位置が安定的に決まる。該ストッパ手段の位置は容易に変更ができるので、設計開発時におけるチューニングが容易であり、セッティング自由度がある。
【0052】
請求項2に記載の発明によれば、前記シートバックフレームの後ろ側が突出しないので、その分表皮を被せた場合における形が良く、後席乗員に圧迫感を与えないことになる。
【0053】
請求項3に記載の発明によれば、前記フランジ部が形成されることで、シートバックフレームの強度が著しく向上する。
【0054】
請求項4に記載の発明によれば、通常時における支持手段の停止位置が、高硬度にて形成されてなる前記ダンパーによって停止されてなるので、該通常状態での該停止位置が安定的に決まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るシートバックを示す断面図。
【図2】図1の分解斜視図。
【図3】図1の要部を示す斜視図。
【図4】図1のアーマチュアパイプの保持部と第1ストッパとの関係を示す断面図。
【図5】図4の斜視図。
【図6】図4の上面図。
【図7】図1の作動実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
1 シートバック
2 シートバックフレーム
2a シートバックフレームのアッパフレーム
2b シートバックフレームのサイドフレーム
3 ヘッドレスト
4 受圧部材
6 作動リンク
6a 作動リンクの一端部
6b 作動リンクの他端部
7 支持手段としてのアーマチュアパイプ
8 アーマチュアパイプの保持部
14 ヘッドレストホルダー
24 ダンパーとしての第1ストッパ
30 乗員
30a 乗員の背中
30b 乗員の頭部
34 ストッパ手段としての第2ストッパ
35 固定部
FR 前側
RR 後ろ側
UP 上側
LWR 下側
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用シートバック、特に自車が追突された時の乗員の頸椎を保護する自動車のシートバック構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のかかる自動車のシートバックとしては、国際特許98/09838号公報に示すように、シートバックフレーム(9)と、該シートバックフレーム(9)に支持されたサポート(24)によって前後に回転自在なるように支持されてなる支持手段(5)と、該支持手段(5)のホルダー(23)の上端部にステイ(27)を介して上下動自在に支持されてなるヘッドレスト(4)と、前記支持手段(5)のホルダー(23)の下端部からいかり肩のように垂下されてなるフレーム(17)に支持されてなると共に乗員の背中の圧力を受け得る受圧部材(10)と、前記シートバックフレーム(9)及び前記受圧部材(10)夫々に回転自在に軸支されてなる作動リンク(12)と、前記受圧部材(10)の前側に配されてなるパッドとより少なくとも構成されてなる。
【0003】
前記支持手段(5)のホルダー(23)は、前記シートバックフレーム(9)とは別物のブラケットに支持されている図示されていないダンパーにより、後ろ側方向の移動時に緩衝すると共にその位置を決めることになる。
【0004】
このため、例えば自車が追突された時、シートバック(3)には、前側に向けての衝撃的な荷重が作用し、乗員による反動荷重が後ろ側に向けて作用する。即ち、シートバックフレーム(9)間に架設されたバックエレメント(20)及び受圧部材(10)に該荷重が作用する。その際、受圧部材(10)は後ろ側に移動することにより、支持手段(5)のホルダー(23)は、シートバックフレーム(9)のサポート(24)を回動支点として回動し、ホルダー(23)の上端部に支持されたヘッドレスト(4)は、乗員の頭部に接近する方向に作動する。
【0005】
従って、自車が追突された時に、乗員の反動荷重でシートバック(3)が後ろ側に撓んでも、ヘッドレスト(4)が瞬時にして乗員の頭部に接近作動するので、乗員の頭部は、ヘッドレスト(4)に確実に受け止められ、乗員の頸部の保護が図られる。このとき、前記受圧部材(10)が後ろ側に押されてフレーム(17)の肩部が、サポート(24)にぶつかることでホルダー(23)の回転が停止されるため、フレーム(17)の肩部がストッパ機能を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、前記ホルダー(23)の下端部と前記フレーム(17)の肩部とが溶接により支持されているので、該溶接部が干渉するおそれがある。また、繰り返しホルダー(23)の後ろ向きの荷重を受けているとブラケットが撓むおそれがあり、ホルダー(23)の停止位置が変化するおそれがある。また、ブラケットがシートバックフレーム(9)と別物であるため、原価高騰のおそれがあり、廉価にできない。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、ヘッドレストの支持手段のストッパ機能を有する手段の停止位置が、安定的に決まり、原価低減が図れる自動車用シートバックを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、シートバックフレームと、該シートバックフレームの上端部に前後に回転自在なるように支持されてなる支持手段と、該支持手段の上端部に支持されてなるヘッドレストと、前記支持手段の下端部に支持されてなると共に乗員の背中の圧力を受け得る受圧部材と、前記シートバックフレーム及び前記受圧部材夫々に回転自在に軸支されてなる作動リンクと、前記受圧部材の前側に配されてなるパッドとより少なくとも構成されてなる。前記シートバックフレームの上端部の前側には、前記支持手段の後面を保持可能なるダンパーが配設されてなる。前記支持手段には、前記受圧部材の移動に伴い作動リンクにより後ろ側且つ上側に移動した支持手段がシートバックフレームにぶつかることで前記支持手段の移動を阻止するストッパ手段が配されてなる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動車用シートバックであって、前記ダンパーが配設される部位のシートバックフレームは、パイプ状のフレームを前後平坦状に形成されてなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の自動車用シートバックであって、前記ダンパーが配設される部位のシートバックフレームは、パイプ状のフレームを前後平坦状に形成されてなると共に上下両端部にフランジ部を形成してなる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3何れかに記載の自動車用シートバックであって、前記ダンパーは、高硬度にて形成されてなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。尚、FRを前側、RRを後ろ側、UPは上側、LWRは下側として説明する。
【0013】
図1乃至図7は、この発明の一実施形態を示すもので、符号1は自動車のシートバック、符号3はヘッドレストである。
【0014】
該シートバック1は、シートバックフレーム2と、該シートバックフレーム2の前後に配されてなるポリウレタンフォームなどより形成されてなる図示しないパッドと、該パッドを覆う布製などの表皮とより少なくとも形成される。
【0015】
前記シートバックフレーム2は、逆U字状に形成されてなり且つ一方が長く他方が短く(図示しないエアバッグ装置の取付代確保のため)形成されてなるアッパフレーム2aと、該アッパフレーム2aの左右端部より垂下された位置に配設されてなる略左右対称形状のサイドフレーム2b、2b’と、該サイドフレーム2b、2b’の下端部間に架設されてなるアンダーフレーム2cとよりなる。
【0016】
前記サイドフレーム2b、2b’それぞれには、鉄板によりプレート状に形成されてなるブラケット5、5’が支持されている。該ブラケット5、5’それぞれには、作動リンク6、6’の一端部6a,6a’が、ボルト20、ブッシュ21により、前後FR,RR方向に回転自在なるように、それぞれ支持されている。該作動リンク6、6’それぞれの他端部6b,6b’間には、後述する受圧部材4の端部4a,4a’が、リベット22、ブッシュ21により回転自在に支持されている。
【0017】
前記サイドフレーム2b、2b’のスプリングフック23、23’と前記作動リンク6、6’それぞれとの間には、付勢手段としてのコイル状のスプリング18、18が配されてなり、前記作動リンク6の他端部6b,6b’側を前側FRに、常時付勢してなる。
【0018】
該受圧部材4は、鉄板等の剛体により左右に延在されて長方形に形成され、後述する支持手段としてのアーマチュアパイプ7の保持部8、8との間に位置する上辺には、後ろ側へ立ち上がる斜面部9が形成されてなる。
【0019】
該受圧部材4の中央部には、前記アーマチュアパイプ7の折り返し部10が前後に偏平状に形成されてガス溶接により支持されてなる。
【0020】
前記アッパフレーム2aの下側には、該アッパフレーム2aの肩部2aa,2aa’間に架設されたセカンドフレーム28が溶接により支持されている。該セカンドフレーム28の中央部には、ホルダーブラケット12が配されて、その両端部12a,12aが溶接により支持されてなる。該ホルダーブラケット12の中央部より左右に離間した位置に前側に迫り出して横断面でU字状に形成されてなる支持部12b,12bの内側には、合成樹脂製のアーマチュアホルダー11、11が配される。該アーマチュアホルダー11、11は、前記アーマチュアパイプ7の保持部8、8それぞれの上端部に支持されるので、前記ホルダーブラケット12の支持部12b,12bで、アーマチュアホルダー11、11を介して前記アーマチュアパイプ7の保持部8、8が、保持されることになる。
【0021】
前記アーマチュアパイプ7は、正面視で左右に並列されてなる垂直状の保持部8、8と、該保持部8、8の下端に形成されてなる折り返し部10とより略U字状に形成されてなる。
【0022】
前記保持部8、8は、正面視で、少なくともAF05%タイルマネキン(SAE)のショルダーポイントより中央側に配されてなる。AF05%タイルマネキン(SAE)のショルダーポイントより中央側に配されている、ということは、大人の体格のほとんどの乗員30のショルダーポイントより内側に保持部8、8が配されているということになるので、該乗員30が自車の追突により前記シートバックフレーム2の前側から荷重が加わっても、該乗員30のショルダーが干渉しないことになる。
【0023】
また、前記保持部8、8は、図1に示す側面視で、前記受圧部材4が保持部材8、8より前側に配されるように、前後に「く」の字状に形成されてなる。該折曲部8aは、前記ヘッドレスト3のステイ13の下端部に干渉しない近接した位置に形成され、内面は半径20ミリの曲面である。
【0024】
また、前記したように、該保持部8、8内には、合成樹脂製のアーマチュアホルダー11、11を介して前記ヘッドレスト3のステイ13、13が上下摺動自在に支持されてなる。前記保持部8、8の上端部には、該ステイ13、13の上下位置を制御可能なる合成樹脂製のヘッドレストホルダー14、14が保持されてなる。図示しない符号14aは、該ヘッドレストホルダー14、14の係合部であり、符号15は、ヘッドレスト3のフレームである。
【0025】
符号16は、前記サイドフレーム2b,2b’にフック17、17’を介して支持されてなるS字状のバネで、前記受圧部材4の下方の位置に配されてなる。
【0026】
前記保持部8の後面には、開口部19が形成されていて、該開口部19にねじ回しなどの工具を押し入れると、前記ヘッドレストホルダー14、14の開口部19が係合した図示しない係合部が押されて開口部19から離脱し、保持部8、8から抜くことが可能となる構造である。つまり、ヘッドレストホルダー14、14のロックオフが可能としている。
【0027】
前記保持部8の後ろ側RRに位置するアッパフレーム2aの部位には、パイプ状のアッパフレーム2aを前後に潰して平面状の固定部35を形成し、該固定部35の貫通孔35aに、ダンパーとしてのラバー状の第1ストッパ24が配設されてなる。該第1ストッパ24は、厚さが6ミリの頭部24aと、頸部24dを介して貫通孔35aに係止される係止部24bと、該係止部24bより突出されて貫通孔35aを係止部24bが係入され易いように引っ張れる握持部24cとよりなる。該第1ストッパ24の硬度は、高硬度で、例えば、JIS A又はCのスプリング硬さHs80のレベルであるので、厚さ6ミリの頭部24aが保持部8によって1ミリほど撓む関係にある。
【0028】
前記アッパフレーム2aの固定部35の上下端部は、後ろ側RRに向けてフランジ部35b、35bがそれぞれ形成されてなる。
【0029】
前記保持部8には、針金状の第2ストッパ34が配され、保持部8が後述するようにホルダーブラケット12を中心に回転したとき、セカンドフレーム28或いはホルダーブラケット12に、図4に★印で示したようにぶつかることで、保持部8のその以上の回転を阻止している。
【0030】
符号25は、図示しないバックボードの引っ掛け用フレームである。
【0031】
次に、この実施形態に係る作動を説明する。
【0032】
図1に示すように、乗員30がシート26のシートクッション27に着座し、前記シートバック1に背中30aを凭れかけた通常の状態では、乗員30の頭部30bとヘッドレスト3とは若干の隙間Aがあり、乗員30の背中30aと受圧部材4とも若干の隙間Bが形成されている。尤も、該乗員30の背中30aと受圧部材4との間には、図示しないパッドや表皮が介在されているが、乗員30からの荷重が受圧部材4に加わらない状態にある。
【0033】
この状態で、自車が追突されて、着座した乗員30が二次衝突により後ろ側RRに押されてパッド等が後ろ側RRに移動すると、該乗員30の背中30aによりパッド等を介して受圧部材4が後ろ側RRに押される。乗員30による後ろ側RR方向への荷重によりパッド等が後ろ側RRに移動しても、乗員30のショルダーポイントが少なくともAF05%タイルマネキンによるショルダーポイントであるから、パッド等がアーマチャパイプ7の保持部8に食い込むことはない。このため、保持部8の回転に伴う上昇は妨げられず、十分ヘッドレスト3の作動量を確保することができる。
【0034】
また、前記受圧部材4は、鉄板等剛体より構成されてなるので、乗員30による後ろ側RR方向への荷重が確実に保持部8に伝達される。即ち、ヘッドレスト3の移動が、受圧部材4に荷重が加わると直ぐに移動するので、タイミングロスがない。また、受圧部材4の移動量が大きくなる。
【0035】
該受圧部材4を支持している作動リンク6が、ボルト20を中心に回転付勢され、作動リンク6の他端部6bが、図1に示す位置から図7に示す位置に移動されることで、該作動リンク6の他端部6bは、ボルト20を中心に上側UP及び後ろ側RR方向に回転される。
【0036】
こうして、作動リンク6の他端部6bが上側UP且つ後ろ側RRに回転すれば、アーマチュアパイプ7の下端部、つまり折り返し部10が上側UP且つ後ろ側RRに移動する。該移動に伴い、アーマチュアパイプ7の上端部、つまり保持部8、8の上端部8b、8bと共にヘッドレストホルダー14、14は、上側UP且つ前側FRに移動する。該移動により、前記ヘッドレスト3のスティ13も上側UP且つ前側FRに移動される。
【0037】
従って、保持部8、8、スティ13、13が、ホルダーブラケット12を中心に、共に移動する。該ステイ13、13に支持されたヘッドレスト3は、図7に示すように、乗員30の頭部30b(太い二点鎖線)に当接することになる。尚、図7では、ヘッドレスト3が乗員30の頭部30bに食い込んでいるように図示されているが、ヘッドレスト3は中央が凹んでおり、乗員30の頭部30bも周知のように横断面で略円柱状をなすので、食い込んでいる訳ではない。また、図5のヘッドレスト3に二点鎖線で示す符号3が示されているが、この二点鎖線で示すヘッドレスト3は、移動しない場合のヘッドレスト3の位置を示したもので、こうした場合、乗員30の頭部30bは、細い二点鎖線で示すように移動することを示すものである。
【0038】
こうして、乗員30の上半身が後ろ側RRに移動することで、残される挙動をする乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されることになる。この時、前記受圧部材4の上辺に、後ろ側RRへ立ち上がる斜面部9が形成されてなるので、パッドの後面に受圧部材4の傾斜面9が沿ってスムースに移動できる。換言すると、パッドに受圧部材4が食い込み難いことになる。
【0039】
この状態で、前記保持部8は、前記受圧部材4に対して前後に「く」の字状に形成されてなるので、受圧部材4が後ろ側RRに移動した時に、図7に示すように、受圧部材4及び折り返し部10が後ろ側RRに出っ張らない。
【0040】
また、前記シートバックフレーム2のアッパフレーム2aの前側FRには、前記保持部8の後面を保持可能なる第1ストッパ24が配設されてなるので、通常状態では、ヘッドレスト3の保持部8が第1ストッパ24により通常位置に停止し、該停止位置が安定的に決まる。かかる第1ストッパ24は、シートバックフレーム2のアッパフレーム2a自体で支持されてなるので、ブラケットなどの部品が不要である分、原価低減が図れる。
【0041】
また、前記保持部8には、前記受圧部材4の移動に伴い作動リンク6により後ろ側RR且つ上側UPに移動した保持部8がシートバックフレーム2に支持されたセカンドフレーム28或いはホルダーブラケット12にぶつかることで前記保持部8の移動を阻止するストッパ手段としての第2ストッパ34が配されてなるので、受圧部材4が移動する追突時では、シートバックフレーム2に支持されたセカンドフレーム28に第2ストッパ34がぶつかることで、ヘッドレスト3の保持部8の停止位置が安定的に決まる。該第2ストッパ34の位置は容易に変更ができるので、設計開発時におけるチューニングが容易であり、セッティング自由度がある。
【0042】
前記第1ストッパ24を支持したアッパフレーム2aの固定部35の後ろ側RRが突出しないので、その分表皮を被せた場合における形が良く、後席乗員に圧迫感を与えないことになる。
【0043】
前記アッパフレーム2aの固定部35の上下端部は、後ろ側RRに向けてフランジ部35b、35bがそれぞれ形成されることで、シートバックフレーム2の強度が著しく向上する。
【0044】
通常時における保持部8の停止位置が、17%程度しか撓まない高硬度にて形成されてなる前記第1ストッパ24によって停止されてなるので、該通常状態での該停止位置が安定的に決まる。
【0045】
前記保持部8の後ろ側の開口部19に、ねじ回しなどの工具を押し入れると、前記ヘッドレストホルダー14、14の開口部19が係合した図示しない係合部が押されて開口部19から離脱し、保持部8、8から抜くことが可能となる。つまり、ヘッドレストホルダー14、14のロックオフが可能としている。
【0046】
また、前記ヘッドレストホルダー14、14に、前記ヘッドレスト3のステイ13、13が上下移動自在に支持されてなるので、乗員30の頭部30bの位置に適宜ヘッドレスト3を合致させることができる。
【0047】
また、前記作動リンク6と前記シートバックフレーム2のサイドフレーム2bとの間に、前記受圧部材4を前側FRに付勢してなるスプリング18が支持されてなるので、乗員30の背中30aによる後ろ側RRへの押す力が加えられない状態では、スプリング18により受圧部材4は前側FRにある。即ち、該受圧部材4を下端に支持したアーマチュアパイプ7の保持部8、8の上端に支持されたヘッドレスト3は、シーソの原理で後ろ側RRの位置に収まるので、乗員30の居住性を損なうことがない。
【0048】
前記アーマチュアパイプ7は、保持部8、8と折り返し部10とによりU字状をなす実施形態に限らず、例えば、折り返し部10が存在せずに、保持部8、8の下端部がそのまま受圧部材4に溶接により支持されるものであっても良い。
【0049】
前記作動説明で、乗員30の頭部30bが、ヘッドレスト3の移動により、確実に保持されるとしたが、ヘッドレスト3の移動と、シートバック1の移動とは、相対的なものであり、乗員30の背中30aによってシートバック1が後ろ側RRに移動しても、乗員30の頭部30bに対してヘッドレスト3が移動せず、その位置に保持されることで、乗員30の頭部30bが保護されるものと説明されるものも含むものである。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、前記シートバックフレームの上端部の前側には、前記支持手段の後面を保持可能なるダンパーが配設されてなるので、通常状態では、ヘッドレストの支持手段がダンパーにより通常位置に停止し、該停止位置が安定的に決まる。かかるダンパーは、シートバックフレーム自体で支持されてなるので、ブラケットなどの部品が不要である分、原価低減が図れる。
【0051】
また、前記支持手段には、前記受圧部材の移動に伴い作動リンクにより後ろ側且つ上側に移動した支持手段がシートバックフレームにぶつかることで前記支持手段の移動を阻止するストッパ手段が配されてなるので、受圧部材が移動する追突時では、シートバックフレームにストッパ手段がぶつかることで、ヘッドレストの支持手段の停止位置が安定的に決まる。該ストッパ手段の位置は容易に変更ができるので、設計開発時におけるチューニングが容易であり、セッティング自由度がある。
【0052】
請求項2に記載の発明によれば、前記シートバックフレームの後ろ側が突出しないので、その分表皮を被せた場合における形が良く、後席乗員に圧迫感を与えないことになる。
【0053】
請求項3に記載の発明によれば、前記フランジ部が形成されることで、シートバックフレームの強度が著しく向上する。
【0054】
請求項4に記載の発明によれば、通常時における支持手段の停止位置が、高硬度にて形成されてなる前記ダンパーによって停止されてなるので、該通常状態での該停止位置が安定的に決まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るシートバックを示す断面図。
【図2】図1の分解斜視図。
【図3】図1の要部を示す斜視図。
【図4】図1のアーマチュアパイプの保持部と第1ストッパとの関係を示す断面図。
【図5】図4の斜視図。
【図6】図4の上面図。
【図7】図1の作動実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
1 シートバック
2 シートバックフレーム
2a シートバックフレームのアッパフレーム
2b シートバックフレームのサイドフレーム
3 ヘッドレスト
4 受圧部材
6 作動リンク
6a 作動リンクの一端部
6b 作動リンクの他端部
7 支持手段としてのアーマチュアパイプ
8 アーマチュアパイプの保持部
14 ヘッドレストホルダー
24 ダンパーとしての第1ストッパ
30 乗員
30a 乗員の背中
30b 乗員の頭部
34 ストッパ手段としての第2ストッパ
35 固定部
FR 前側
RR 後ろ側
UP 上側
LWR 下側
Claims (4)
- シートバックフレームと、該シートバックフレームの上端部に前後に回転自在なるように支持されてなる支持手段と、該支持手段の上端部に支持されてなるヘッドレストと、前記支持手段の下端部に支持されてなると共に乗員の背中の圧力を受け得る受圧部材と、前記シートバックフレーム及び前記受圧部材夫々に回転自在に軸支されてなる作動リンクと、前記受圧部材の前側に配されてなるパッドとより少なくとも構成されてなる自動車用シートバックにおいて、
前記シートバックフレームの上端部の前側には、前記支持手段の後面を保持可能なるダンパーが配設されてなり、
前記支持手段には、前記受圧部材の移動に伴い作動リンクにより後ろ側且つ上側に移動した支持手段がシートバックフレームにぶつかることで前記支持手段の移動を阻止するストッパ手段が配されてなることを特徴とする自動車用シートバック。 - 請求項1に記載の自動車用シートバックであって、
前記ダンパーが配設される部位のシートバックフレームは、パイプ状のフレームを前後平坦状に形成されてなることを特徴とする自動車用シートバック。 - 請求項1に記載の自動車用シートバックであって、
前記ダンパーが配設される部位のシートバックフレームは、パイプ状のフレームを前後平坦状に形成されてなると共に上下両端部にフランジ部を形成してなることを特徴とする自動車用シートバック。 - 請求項1乃至請求項3何れかに記載の自動車用シートバックであって、
前記ダンパーは、高硬度にて形成されてなることを特徴とする自動車用シートバック。
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