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JP3592214B2 - 長尺物の水圧転写方法及び水圧転写装置 - Google Patents

長尺物の水圧転写方法及び水圧転写装置 Download PDF

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JP3592214B2
JP3592214B2 JP2000242478A JP2000242478A JP3592214B2 JP 3592214 B2 JP3592214 B2 JP 3592214B2 JP 2000242478 A JP2000242478 A JP 2000242478A JP 2000242478 A JP2000242478 A JP 2000242478A JP 3592214 B2 JP3592214 B2 JP 3592214B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、長尺物(被転写物)の表面に印刷塗面を形成する水圧転写方法及びその実施装置に関するものである。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】
非平面形状の種々の成型品に対しての印刷手段として、水溶性フィルム或いは水膨潤性フィルムに所定の印刷を施し、印刷面を上にして前記フィルムを水面上に浮かし、成型品(被転写物)を上方から押し込んで水中に沈下させ、水圧によって印刷面を成型品表面に転写する所謂水圧転写法は公知である(特開昭54−33115号公報)。また水圧転写法に使用するフィルムのベース材、印刷用インキ等の種類も種々提案されている(特開平10−35196号公報、特許第2602184号公報)。
【0003】
ところで前記した従前の水圧転写方法は、家電製品の部品や車両内装部品等に採用されているもので、アルミサッシ、建築用型枠材等の長尺物(数メートル単位のもの)には採用されていない。これは、例えば木目模様のような整列模様の場合に、水面上の転写フィルムの僅かなずれや歪みが直ちに模様のずれとなって現れるのに、フィルムを長尺状態で水面上に安定させることが困難であること、建築用長尺物の場合には、正面の他に側面部分も露出するので正面側面共に適正な模様転写が必要であるが、転写フィルムの長尺物表面への巻き込みが左右均一ではないので歪みやすいこと等の技術的障害があって実現できなかった。
【0004】
そこで本発明は、長尺物に対しても正確な水圧転写が可能な水圧転写方法及びその実施装置を提案したものである。
【0005】
【課題を解決する手段】
本発明に係る長尺物の水圧転写方法は、長尺水槽に水圧転写用フィルムを浮かべ、長尺状被転写物を膨潤状態の前記フィルムに押し付けて沈下させる際に、転写物の両側位置でフィルムと接触するワイヤ部材でフィルムを分離し、被転写物の沈下に対応してワイヤを被転写物方向に寄せて被転写物の外側部分にフィルムを巻き込ませてなることを特徴とするものである。
【0006】
また本発明に係る長尺物の水圧転写装置は、水圧転写用フィルムの水面供給機構を付設した長尺水槽と、吊り下げた被転写物を前記水槽に沈下できるように上下動可能とした搬送坦体とを備えると共に、吊り下げた被転写物の両側方に位置して架設したワイヤー、及び前記ワイヤーを水槽水面上に位置させて被転写物側へ移動させる駆動部を有するワイヤー機構を備えてなることを特徴とするものである。
【0007】
従って水面上のフィルムに対して、長尺物を押し付けて水面下に沈下させる際に、ワイヤーに当接する部分がフィルム端となり、ワイヤーの移動でフィルムが長尺物側に寄ることになり、長尺物の左右形態(長尺物の最下位置でフィルムに最初に当接する部分を中心にして)に対応してワイヤーの寄せ具合(寄せ速度)を調整すると、左右非対称であっても印刷模様が適性に転写される。
【0008】
更に本発明装置は、ワイヤー機構を搬送坦体に付設し、フィルムの水面供給機構を、長尺水槽の両外側に設けたレールと、前記レールに乗って水槽上面を走行する走行体と、走行体に組み込んで走行しながら水圧転写用フィルムを水面上に敷くフィルム供給部とで構成したことを特徴とするものである。
【0009】
従って走行体で水槽の水面上方を走行しながら転写用フィルムを水面上に供給するので、フィルムは適性位置で水面上に浮いた状態で敷かれることになり、フィルムは浮いた状態で動くことがないので、フィルムが左右にずれずに正確な転写が実現できることになる。
【0010】
【実施の形態】
次に本発明の実施の形態について説明する。実施形態は、前記の転写機構を組み込んだ転写装置全体について説明する。
【0011】
実施形態に示した長尺物の水圧転写装置は、被転写物(部材)Aを装着する搬送坦体機構部1と、順次長尺方向左右(以下、長尺方向の両側方を左右、端面側を前後と表現する)に平行に並設された被転写物の組み込みを行う部材セット部2、及び水圧転写を実施する転写機構部3、及び転写後の加熱乾燥を行う定着機構部4、及び部材の取り外しを行う部材リセット機構部5と、前記の並設された各機構部間に順次搬送坦体機構部1を搬送する搬送機構部6とで構成される。
【0012】
搬送坦体機構部1は、長方体枠形状にして底面を閉塞した搬送坦体11と、搬送坦体11の前後端面に持上げ取手部12を突設し、下面に被転写物Aの吊り下げ機構13及びワイヤー機構14を付設してなる。吊り下げ機構13は、長尺の被転写物Aに対応した適宜な冶具で構成され、実施装置は、三本の部材Aを吊り下げ可能としている(勿論一本でも、その他複数本でも良い。)。
【0013】
ワイヤー機構14は、搬送坦体11の前後端に吊り下げ杆141で支持横杆142を横架し、横杆142の下方にガイド杆143を横架し、前記各吊り下げ機構13の両側即ち六個の移動体145をガイド杆143に左右移動自在に装着し、対応する前後端の移動体145の下端間にワイヤー146を懸架する。従って前記ワイヤー146は、三本の部材Aを平行に吊り下げた状態で、各部材の両側に平行に懸架され、ワイヤー146の上下位置が、吊り下げ状態で各部材Aの最下位置と一致させる。
【0014】
またに移動体145には、ガイド杆143に添って左右移動可能とした適宜な駆動部147を備える。図示した例は手動ハンドルによる駆動部である。更に前記ワイヤー機構14全体は、吊り下げ杆141で搬送坦体11に吊り下げられているが、側方部分に、後述する転写機構部3の長尺水槽31の縁部に当接して、ワイヤー146が水面B位置で停止するストッパー144を設けてなる。
【0015】
部材セット部2は、並設した各機構部の開始端に存在し、搬送坦体11を載置する台部を備えてなる。
【0016】
転写機構部3は、部材セット部2の次に位置し、長尺水槽31と、長尺水槽31の両外側に設けたレール32と、レール32を走行する走行体33とで構成される。
【0017】
水槽31は、部材Aの大きさに対応して細長く形成され、水温調整機構311を水槽31の底面に設け、上流側端に給水部312を配置し、下流側にオーバーフロー部313を配置し、更にオーバーフロー部313には、ドレン314と、排気ブロワー315を付設してなる。更に手動や或いは水槽の上縁内側に下流に向けて噴射する空気噴射機構を備える。走行体33は、レール32上を走行するもので、水圧転写用フィルムCを下方に落とし込みながら供給するフィルム供給部331と、接着剤噴射部332を付設してなる。
【0018】
定着機構部4は、転写機構部3の次に配置したもので、搬送坦体11で蓋ができる加熱乾燥槽41と、加熱乾燥槽41内に熱水を供給する供給機構42と、加熱乾燥槽41内の雰囲気を吸引する吸引ブロワー43を備えてなる。
【0019】
部材リセット部5は、定着機構部4の次に配置したもので、搬送坦体11を載置する台部51及び搬送坦体11に吊り下げられた部材Aからの滴を受ける受け皿52を備えてなる。
【0020】
搬送機構部6は、搬送坦体11を各機構部に順次搬送するもので、並設された各機構部を横断する搬送レール61と、搬送レール61を走行する搬送キャリア62と、搬送キャリア62から垂設された上下レール杆63と、レール杆63に添って上下動をなす保持体64を備え、特に保持体64には、搬送坦体11の取手部12を持ち上げるV状受け部65を備えた横腕部66を付設してなる。
【0021】
次に装置全体の動作全体について説明すると、搬送坦体11は2個用意し、部材セット部2と部材リセット部5の各台部上に載置しておく。そして部材セット部2で部材(被転写物)Aを搬送坦体11に取り付けて吊り下げ状態とする(部材セット工程)。そして部材Aをセットした搬送坦体11を順次搬送して各工程を実施するもので、搬送坦体11の搬送は、単相坦体11の取手部12を、V状受け部65で支持し、保持体64の上下移動及び搬送キャリア62の左右横移動で、搬送坦体11の搬送並びに所定箇所への載置を行う。
【0022】
部材Aをセットした搬送坦体11は、次の転写機構部3に搬送して、部材Aを水槽31内に沈下させて、水槽水面Bの表面に浮かせた転写フィルムCの印刷を部材Aに転写し(転写工程)、次に搬送坦体11を上昇させて部材Aを引き上げ、次の定着機構部4の加熱乾燥槽41の上部開口部分に載置する。搬送坦体11を加熱乾燥槽41に載置すると、搬送坦体11が蓋体となり、加熱乾燥槽41が密閉され、部材Aは当該密閉空間内に位置することになる。そこで加熱乾燥槽41内に熱水(90℃程度)を噴射し、更に加熱乾燥槽41内の雰囲気を排出して転写印刷の硬化定着を行う(定着工程)。
【0023】
前記の定着工程は、相応の作業時間を必要とするので、その間に部材リセット部5に載置されている搬送坦体11を部材セット部2に搬送して部材Aのセットを行う。定着工程を終了すると、第二の搬送坦体11が部材セット部2に搬送されて空いた部材リセット部5に、定着機構部4から搬送坦体11を移動させて、転写を終了した部材Aを吊り下げ機構13から取り外す。
【0024】
装置全体の工程は前記のとおりであるが、本発明で重要である転写工程について次に詳細に説明する。転写工程では、最初に水面を清浄な状態で安定させるが、水温調整機構311によって、最適温度(使用する転写フィルムCや、部材の種類のよって調整する)に調整しておく。この安定水面に対して走行体33が下流側に移動し、転写フィルムCをB上に落とし込みながら上流に移動することで、フィルムCを水面上に浮かす。水面B上に浮いたフィルムCは、水膨潤して水槽水面一杯に拡がると、再度走行体33を下流側に移動させ、上流方向に走行しながら接着剤噴射部332から適宜な接着剤或いは活性剤を噴霧し、フィルムC上に接着層の膜を作る。
【0025】
次に搬送坦体11を下降させて部材Aへの転写を行うもので、部材AがフィルムCと接触すると同時にワイヤー146もフィルムCと接触してフィルムCを仕切るようにする。そしてゆっくりと搬送坦体11を下降させて、部材Aを水面下に沈下させるが、ワイヤー146は、ストッパー144によって水面上に位置したままとなる。
【0026】
部材Aが沈下すると、部材は沈下方向に対して左右対称でないので、フイルムの部材への巻き付けがスムーズに行われるように駆動部147の動作(ハンドル操作)によって移動体145を動作させ、これに伴ってワイヤー146が移動し、フィルムCを部材側によることで、フィルムCが部材Aに正確に巻き付くことになる。部材Aの左右に位置するワイヤー146の移動速度は、両者必ずしも同一ではなく、部材Aの形状に応じて異ならせる。
【0027】
部材Aへのフィルム転写が終了すると、給水並びに空気噴射によって水面に残存した膨潤フィルムや転写されない残存印刷層を取り除き、清浄化した状態で搬送坦体11を上昇させて、部材の引き上げを行う。勿論部材引き上げ後も、次の転写工程のために、水面の清浄化を実施する。
【0028】
本発明は、特に長尺物に対する水圧転写を実施するために、部材沈下に対応してフィルムを部材側に寄せるという手段を採用して、長尺部材への模様転写を正確に行うようにしたもので、フィルムの幅寄せを行うワイヤー機構の具体的な構造は、当該作用を実現するものであれば任意であり、前記実施形態と異なる構造を採用しても良い。また装置全体の構成も前記実施形態に限定されるものではない。勿論部材Aの形状並びに模様転写面も三周面方向に限定されるものではなく、四周面方向全てに対しても実施できるものである。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明は、長尺水槽に水圧転写用フィルムを浮かべ、長尺状被転写物を膨潤状態の前記フィルムに押し付けて沈下させる際に、転写物の両側位置でフィルムと接触するワイヤ部材でフィルムを分離し、被転写物の沈下に対応してワイヤを被転写物方向に寄せて被転写物の外側部分にフィルムを巻き込ませてなる転写方法並びにその実施装置で、長尺で、且つ水面押し込み形状が非対称の部材であっても、正確な模様転写が実現できたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の装置全体図(正面図)。
【図2】同搬送坦体機構部の説明図。
【図3】同転写機構部の側面図。
【図4】同転写機構部の転写作用説明図で、(イ)は部材沈下直前(ロ)は沈下後の状態を示す。
【図5】同転写工程の搬送坦体機構部と転写機構部の一部斜視図。
【符号の説明】
1 搬送坦体機構部
11 搬送坦体
12 取手部
13 吊り下げ機構
14 ワイヤー機構
141 吊り下げ杆
142 横杆
143 ガイド杆
144 ストッパー
145 移動体
146 ワイヤー
147 駆動部
2 部材セット部
3 転写機構部
31 長尺水槽
311 水温調整機構
312 給水部
313 オーバーフロー部
314 ドレン
315 排気ブロワー
32 レール
33 走行体
331 フィルム供給部
332 接着剤噴射部
4 定着機構部
41 加熱乾燥槽
42 熱水供給機構
43 吸引ブロワー
5 部材リセット部
51 台部
52 受け皿
6 搬送機構部
61 搬送レール
62 搬送キャリア
63 上下レール杆
64 保持体
65 V状受け部
66 横腕部

Claims (4)

  1. 長尺水槽に水圧転写用フィルムを浮かべ、長尺状被転写物を膨潤状態の前記フィルムに押し付けて沈下させる際に、転写物の両側位置でフィルムと接触するワイヤ部材でフィルムを分離し、被転写物の沈下に対応してワイヤを被転写物方向に寄せて被転写物の外側部分にフィルムを巻き込ませてなることを特徴とする長尺物の水圧転写方法。
  2. 水圧転写用フィルムの水面供給機構を付設した長尺水槽と、吊り下げた被転写物を前記水槽に沈下できるように上下動可能とした搬送坦体とを備えると共に、吊り下げた被転写物の両側方に位置して架設したワイヤー、及び前記ワイヤーを水槽水面上に位置させて被転写物側へ移動させる駆動部を有するワイヤー機構を備えてなることを特徴とする長尺物の水圧転写装置。
  3. ワイヤー機構を搬送坦体に付設し、フィルムの水面供給機構を、長尺水槽の両外側に設けたレールと、前記レールに乗って水槽上面を走行する走行体と、走行体に組み込んで走行しながら水圧転写用フィルムを水面上に敷くフィルム供給部とで構成した請求項2記載の長尺物の水圧転写装置。
  4. 長方体枠形状にして底面を閉塞した搬送坦体、及び前記搬送坦体に被転写物の吊り下げ機構並びに請求項2記載のワイヤー機構を付設してなる搬送坦体機構部と、水圧転写用フィルムの水面供給機構を付設した長尺水槽を有する転写機構部と、前記転写機構部に隣接して搬送坦体の載置台を備えた部材セット機構部と、部材セット機構部の反対側に隣接して、前記搬送坦体が閉塞蓋となる加熱乾燥槽、及び加熱乾燥槽に付設した熱水供給機構並びに吸引ブロワーを備えた定着機構部と、前記定着機構部に隣接して搬送坦体の載置台を備えた部材リセット機構部と、並設した前記各機構部の上部に搬送坦体を順次運搬セットする搬送機構部とで構成したことを特徴とする長尺物の水圧転写装置。
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