JP3591868B2 - 人工補綴物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な人工補綴物に関する。また、本発明は、主として縫合針、注射針等による穿刺を行なった際の血液漏出が少なく、また、組織侵入性に優れること等による生体内長期安定性を持つ人工血管などに使用し得る人工補綴物に関する。
【0002】
さらに詳しくは、上記特性により、過酷な条件下においての開存が要求されるブラッドアクセス用グラフトのように縫合後の穿刺を必要とする全ての人工血管に使用可能な人工補綴物に関する。また、生体内長期安定性に加え、縫合後のシール性が要求される人工心膜等、生体内の種々の組織の補綴物としても使用可能な人工補綴物に関する。
【0003】
【従来の技術】
現在一般に使用されている人工血管、特に内径6mm以下の中・小口径の人工血管のほとんどは、弾性に乏しく固いため、柔軟性(コンプライアンス)が生体血管と大きく異なり、生体血管との吻合部に内膜肥厚を生じやすいことが報告されている(Trans.Am.Soc.Artif.Int.Organs 35:556,1989 )。そこで本発明者らは先に、外部補強を施し、耐つぶれ、耐キンク性を持ちながらも弾性に富む人工血管を提供した(特開平5−337143号)。
【0004】
また、腎機能不全症の治療で長期間に渡り人工透析を行なう場合、採血・返血のために、患者の自家動・静脈吻合による内シャントの形成を行なっているが、種々の要因でこれら自家血管による内シャントが使用不能となった場合は、人工血管による内シャント形成術を行なうのが一般的である。
【0005】
しかしながら、これらの人工血管は、注射針で頻回穿刺することを想定しておらず、数年後には強度劣化をきたし、瘤形成や破裂を起こしてしまう問題があった。
【0006】
弾性のある人工補綴物としてはポリウレタンを用いたものがあり、穿刺後も比較的良好に塞がるが、生体内劣化のため、長期の移植に用い得ない。一方、シリコーンゴム等のエラストマーを単独で用いても、耐穿刺性の目的は達しうるが、穿刺による亀裂が拡がりやすく、また、人工補綴材として必要な強度を得ることが難しい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は新規な人工補綴物を提供することを目的とするものである。
【0008】
本発明はまた、生体組織に類似した弾性を保持し、穿刺後すみやかに穴を塞ぐ機能を有しながらも、生体組織を誘導するための多孔質部分を有する人工補綴物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、生体親和性に優れた人工補綴物に関して鋭意検討した結果、弾性のあるポリエステル系樹脂製多孔体を人工補綴物の支持体とし、少なくとも該人工補綴物の一部に、前記支持体と弾性樹脂多孔質層による複合構造部分、あるいは、前記支持体と弾性樹脂多孔質層および弾性樹脂無孔質層による複合構造部分を有することで、上記目的が達成されることを知り、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、(1) 弾性を有するポリエステル系樹脂からなる多孔体を支持体とし、少なくとも該支持体の一部に、弾性樹脂多孔質層を付与したシール性を有する複合構造部分を有することを特徴とする人工補綴物により達成される。
【0012】
また、本発明は、(2) 前記支持体の多孔度が、10〜90%である、上記(1)に記載の人工補綴物によって達成される。
また、本発明は、(3) 前記支持体が、潜在捲縮性を付与した接合型の弾性複合繊維を織り、編み、組み処理のいずれか、またはこれら二つ以上を併用した多孔体構造を持ってなる上記(1)または(2)に記載の人工補綴物によって達成される。
本発明は、(4) 前記複合構造部分の支持体および弾性樹脂多孔質層が、伸長弾性回復率が90%以下であるための伸長率が2%以上である、上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の人工補綴物によって達成される。
本発明は、(5) 前記複合構造部分の支持体と弾性樹脂多孔質層との間にさらに弾性樹脂無孔質層を含む、上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の人工補綴物によって達成される。
本発明は、(6) 前記複合構造部分が、穿刺後すみやかに穴を塞ぐ機能を有する、上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の人工補綴物によって達成される。
【0013】
【作用】
以下、本発明に用いられる人工補綴物の支持体および複合構造部を実施態様に基づき順次詳細に説明する。
【0014】
まずはじめに、本発明に係る人工補綴物の支持体たる弾性を有するポリエステル系樹脂製多孔体は、構造体として弾性を備えていれば良く、その一部に非弾性材料を含んでいても良い。
【0015】
上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体およびポリエステル−ポリエステル共重合体などを用いることができる。
【0016】
上記ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体としては、ハードセグメントがポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートとからなる共重合体、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)などの芳香族ポリエステル、ソフトセグメントがポリエチレングリコールなどの脂肪族ポリエーテルよりなるものがあり、具体的には、例えば、ペルプレン−P−タイプ[Pelprene−P−type] (東洋紡績株式会社製)、アーニテル(Arnitel) E,P(アクゾ(Akzo) 社製)などが挙げられる。
【0017】
また上記ポリエステル−ポリエステル共重合体としては、ハードセグメントがポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートとからなる共重合体、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)などの芳香族ポリエステル、ソフトセグメントがエチレンセバケートなどの脂肪族ポリエステルからなるものがあり、具体的には、例えば、ペルプレン−S−タイプ[Pelprene−S−type] (東洋紡績株式会社製)などが挙げられる。
【0018】
次に、ポリエステル系樹脂製多孔体としては、上記ポリエステル系樹脂の繊維を用いて、例えば、織り、編み、組み処理、より詳しくは、例えば、たて編、よこ編、三軸編、袋織りおよび組紐などが例示できるが、特にこれらに何ら限定されるものではなく、これらのいずれかまたはこれらの2つ以上を併用する構造とすることにより、該繊維間の隙間が孔に相当するポリエステル系樹脂製多孔体を作製することができる。さらに、ポリエステル系樹脂製多孔体としては、上記ポリエステル系樹脂により所望の形状に一体成形した成形体を熱処理後延伸し、さらに熱処理することで、多孔性の成形体を形成する延伸法、または該成形体を成形する際に一緒に充填剤等を含有して成形し、成形後に該充填剤のみを溶解しうる溶剤等を用いて抽出分離することにより多孔性の成形体を形成する溶剤抽出法などにより多孔化し、孔径および多孔度を任意に付与してなるポリエステル系樹脂製多孔体を作製することができるものである。
【0019】
なお、上記ポリエステル系樹脂製多孔体が、ポリエステル系樹脂の繊維を用いて構成されたものである場合には、モノフィラメント繊維で構成されたものに限定されるものでなく、性質の異なる2種類以上のポリエステル系樹脂を同時に紡糸した複合繊維により形成加工されたものでも良い。こうした複合繊維としては、紡糸の際の各成分の複合のしかたにより、種々の形態に加工できるものであり、例えば、接合型:2成分が張り合わされた状態で接合したもの、芯鞘型:1成分を芯として他成分がこれを取り囲んだもの、多芯鞘型:1成分を多数の芯層として形成し、他成分がこれらの芯成分の全部あるいは大多数を取り囲んだもの、多層接合型:2成分が交互に接合された形式で多層を形成したもの、軸方向複合型:2成分が繊維軸方向で交互に積層配置された状態で接合したものなどを用いることができる。こうした複合状態のうち、弾性および弾性回復性の保持並びに捲縮発現の観点から、上記接合型が特に優れている。さらに、2種類以上のモノフィラメント、複合繊維、またはモノフィラメントと複合繊維とで構成したものであっても良い。これらの繊維は、弾性回復性の改良を目的に繊維化を行ったものが好ましく、必要に応じて繊維を形成後に潜在捲縮性を付与させたものが人工補綴物の支持体の構造の安定化のためにより好ましいものである。
【0020】
また、上記ポリエステル系樹脂製多孔体が、ポリエステル系樹脂の繊維を用いて構成されたものである場合には、該繊維は、嵩高処理が行われていることが望ましい。該崇高処理としては、例えば、加撚し、熱固定して解撚する方法、連続して加撚−熱固定−解撚する仮撚り法、糸を一定容積内へ押込み熱処理を行いながら取り出す押込み法、加熱した繊維をこする擦過法、高温高圧のエアーで糸を衝突体に打ち当てて巻縮を付与する空気噴射法および一対の加熱ギアの間に糸を通過させ歯型を糸に付与する賦形法などの従来公知の方法を用いることができる。
【0021】
さらに、上記ポリエステル系樹脂の繊維の太さは、通常20〜150デニール、好ましくは20〜75デニール、より好ましくは20〜50デニールである。該ポリエステル系樹脂の繊維の太さが150デニールを越える場合には、該繊維による壁厚が厚くなりすぎて柔軟性を損なうため好ましくない。該ポリエステル系樹脂の繊維の太さが20デニール未満の場合には、強度的に不十分となり好ましくない。
【0022】
さらに、本発明の係る人工補綴物を人工血管に用いる場合に、ポリエステル系樹脂製多孔体として上記ポリエステル系樹脂の繊維を用いた場合、該多孔体の表面(内面側および/または外面側)に微細な捲縮形状が無数に形成され、生体血管に近似した伸縮性を有することが望ましい。こうした微細な捲縮形状は、たとえば、該繊維を織り、編みまたは組み処理に先立ちエアージェット交絡にて付与することができるものである。該微細な捲縮形状が形成されてなる人工補綴物の支持体の伸縮性は、150mmHgの内圧を負荷したときの径方向の伸び率が通常2〜15%、好ましくは5〜15%、より好ましくは8〜15%であり、軸方向の伸び率が通常2〜20%、好ましくは5〜20%、より好ましくは8〜15%であるという条件を満たすものである。本発明の人工補綴物の支持体が、上記に示すような伸び率を有するものである場合には、生体に移植された際、生体血管などの拍動に対する追従性が良好となるので、優れた抗血栓性などを発揮することができるため好ましいものである。
【0023】
またポリエステル系樹脂製多孔体(支持体)の形状については、生体内の種々の組織の使用部位や種類に応じて任意に設定することができ、たとえば、チューブ状、フィルム状、メッシュ状およびスポンジ状などの形状に形成することができる。たとえば、人工補綴物を人工血管として用いる場合、該多孔体の形状は、使用される部位、種類に応じて内径が2〜40mm程度の幅広い範囲のチューブ状(管状)体として任意に作製することができる。特に人工血管に用いる場合には、ポリエステル系樹脂製多孔体としたことで生体親和性に優れ、その開存性が極めて良好なものであるために、管内径6mm程度の中口径のものであっても十分に対応できるものとすることができる。また、縫合後のシール性が要求される心膜、気管、胸壁等の生体組織の一部が欠損した場合に、該欠損した種々の組織部位の補綴物として用いる場合には、該欠損した組織の使用部位や種類に応じて、チューブ状、フィルム状、メッシュ状、ヤーン状およびスポンジ状、あるいはこれらの組み合わせによる多孔体として任意に作製することができる。
【0024】
また、ポリエステル系樹脂製多孔体の厚さについても、生体内の種々の組織の使用部位や種類に応じて任意に設定することができるが、通常100〜1500μm、好ましくは150〜700μm、より好ましくは150〜500μmの範囲である。該多孔体の厚さが、100μm未満の場合には、支持強度が十分でなく、生体内に埋入後、生体拍動流による内圧または運動性のある部位における外圧に対し、縫合後のシール性が十分でないなど好ましくない。他方、該多孔体の厚さが、1500μmを越える場合には、対象となる補綴物たる血管の管厚や生体膜などの膜厚に比して、厚くなりすぎるため縫合が困難になるなど好ましくないものである。
【0025】
上記ポリエステル系樹脂製多孔体の孔の大きさについては、生体内の種々の組織の使用部位や種類に応じて任意に設定することができるが、通常5〜500μm、好ましくは20〜200μm、より好ましくは50〜100μmである(なお、ここでの孔径には、上記繊維間の間隔(隙間)を孔とした場合も含む)。また、同様に多孔度は、通常10〜90%、好ましくは40〜80%、より好ましくは50〜80%である。ここで多孔度とは、前記多孔体のもつ孔だけの全体積V1 と孔を含めた多孔体の全体積V2 との比の百分率[(V1 /V2 )×100]で示されるものをいう(以下、同様)。該ポリエステル系樹脂製多孔体の孔の大きさが、5μm未満の場合には、生体組織側から繊維芽細胞や内皮細胞が該孔内部に侵入しにくいため、器質化が遅れ、素早く内皮細胞などが育成することができにくくなり、生体適合性の改善が十分でなく、組織治療が十分に高められないなど好ましくない。また該ポリエステル系樹脂製多孔体の孔の大きさが、500μmを越える場合には、支持体としての強度が弱くなりすぎたり、血液の流れが乱されて、抗血栓性が低下する傾向が生ずるなど好ましくない。また、ポリエステル系樹脂製多孔体の多孔度が、10%未満の場合には、生体組織側から繊維芽細胞や内皮細胞が該孔内部に侵入するための手掛かりが少ないため、内皮細胞などの増殖が遅れることとなり、生体適合性の改善が十分でなく、組織治療が十分に高められないなど好ましくない。また、ポリエステル系樹脂製多孔体の多孔度が、90%を越える場合には、支持体としての強度が弱くなりすぎたり、血液の流れが乱されて、抗血栓性が低下する傾向が生ずるなど好ましくない。
【0026】
さらに、上記人工補綴物の支持体が構造体として備えている弾性は、具体的には伸長弾性回復率が90%以下となるための伸長率が通常2%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上である。ここで、人工補綴物の支持体の「伸長弾性回復率」とは、
{(一定荷重での伸び−除重後の伸び)/一定荷重での伸び}×100
と、また、「伸長率」とは、
{(荷重後の全長の長さ−もとの全長の長さ)/もとの全長の長さ}×100
と、定義されるものである。該伸長弾性回復率が90%以下となるための伸長率が、2%未満の場合には、十分な弾性が備わっていないために、生体内に移植した場合には、縫合後の生体拍動流による内圧または運動性のある部位における外圧に追従した伸縮運動ができないため好ましくない。
【0027】
次に本発明に用いられる弾性樹脂多孔質層および弾性樹脂無孔質層の弾性は、いずれも伸長弾性回復率が90%以下となるための伸長率が通常2%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上である。該伸長弾性回復率が90%以下となるための伸長率が、2%未満の場合には、十分な弾性が備わっていないために、生体内に移植した場合には、上記支持体の弾性による伸縮に追従できず、支持体との層間で剥離やクラックなどが生じやすいほか、耐穿刺性の目的を達し得ず、穿刺による亀裂が拡がりやすくなるなどの問題を解決できない。
【0028】
上記弾性条件を満足できる本発明に係る弾性多孔質樹脂層および弾性樹脂無孔質層に使用し得る樹脂としては、たとえば、ポリエステル系エラストマー、オレフィン系エラストマーおよびシリコーンゴムなどが挙げられる。
【0029】
次に、本発明に用いられる弾性樹脂多孔質層は、生体に埋入後、生体組織側から繊維芽細胞や内皮細胞が該弾性樹脂多孔質層の孔内部に侵入し、安定に器質化し、素早く内皮細胞などが育成することで生体適合性を良くして、組織治療を高めるためには多孔面が組織に接触することが望ましいが、生分解性物質により、一定期間孔を塞いでもかまわない。これは、コラーゲンなどの該生分解性物質の生体組織や細胞に対する親和性が大きいことに着目し、これを血管や心膜などの欠損部位に用いると、該生分解性物質に対して生体から血管、組織芽細胞、内皮細胞などが進入、接着し易くなると共に、経時的に分解され、空孔内部にも組織芽細胞などが侵入し、強く結合して成育することができるものである。なお、ここで言う生分解性物質は、生体埋入後、徐々に分解されるものを指し、ポリ乳酸などの合成物、コラーゲン、アルブミン、フィブリンなどのタンパク質、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などのムコ多糖類などの生体由来材料に代表される。もちろん、これらに限るものではない。なお、該生体由来材料は、一般に変質、変性しやすく、変性すれば目的とする生理的機能を失うことが多いので取扱いに十分注意する必要があり、また、化学的、生理学的に汚染せずに調製することが望ましい。また、各種の溶菌性酵素や抗生物質を添加固定しても良い。これは、使用部位、例えば、気管や食道のように、片面が常に外界に接している場合には、細菌による汚染が問題になるため、生体に移植後、組織の創傷が治癒し、人工補綴物の表面に上皮細胞が生着して、組織が再生するまで、細菌の生着増殖を防ぐ必要があり、この点を考慮したものである。
【0030】
また、上記弾性樹脂多孔質層の作製方法としては、たとえば、所望の形状に形成加工された上記支持体上または該支持体上に形成された弾性樹脂無孔質層上に、適当な溶剤に上述の弾性樹脂および充填剤等(たとえば、無機塩に代表される水溶性物質、またアルコールにて可溶な脂肪酸など、該弾性樹脂を侵さない溶媒にて可溶な物質および上記生分解性物質など)を溶解し、これを塗布し乾燥させて弾性樹脂層を成形し、成形後に該充填剤のみを溶解しうる溶剤等を用いて抽出分離するかあるいはそのまま使用し、生体埋入後、該充填剤(生分解性物質などの場合には、上述したと同様にその取扱いや上記溶剤の選択などに十分留意する必要がある。)を徐々に分解することにより多孔質の成形体を形成する溶剤等抽出法などにより多孔化し、後述する孔径および多孔度を任意に付与してなる弾性樹脂多孔質層を作製することができるものである。
【0031】
また、上記弾性樹脂多孔質層の層厚としては、生体内の種々の組織の使用部位や種類に応じて任意に設定することができ、たとえば、筒状形状およびシート形状などの支持体あるいは弾性樹脂無孔質層の表面に、通常20〜2000μm、好ましくは50〜1000μm、より好ましくは100〜500μmの範囲で形成されるものである。該多孔質層の層厚が、20μm未満の場合には、人工補綴物を人工血管として用いる場合には、生体内に埋入後、注射針等による穿刺での漏血防止作用が十分に得られず、また縫合後のシール性が要求される人工心膜等、生体内の種々の組織の人工補綴物として用いる場合には、漏血防止作用が十分出ないほかに、生体組織との馴染みが不十分となり、縫合糸による固定のみでは運動性のある部位において、特にシール性が十分でないなど好ましくない。他方、該多孔質層の層厚が、2000μmを越える場合には、補綴対象物となる血管の管厚や生体膜などの膜厚に比して、厚くなりすぎるため縫合が困難になるなど好ましくないものである。
【0032】
さらに、上記弾性樹脂多孔質層の孔の大きさについても、生体内の種々の組織の使用部位や種類に応じて任意に設定することができるが、通常5〜500μm、好ましくは20〜200μm、より好ましくは50〜100μmである。また、同様に弾性樹脂多孔質層の多孔度は、通常10〜90%、好ましくは40〜80%、より好ましくは50〜80%である。該弾性樹脂多孔質層の孔の大きさが5μm未満の場合には、生体組織側から繊維芽細胞や内皮細胞が該孔内部に侵入しにくいため、素早く内皮細胞などが育成することができにくくなり、生体適合性の改善が十分でなく、組織治療が十分に高められないなど好ましくない。また該弾性樹脂多孔質層の孔の大きさが500μmを越える場合には、生体内に埋入後、注射針等による穿刺で、該孔部分に注射針がきた場合、弾性樹脂無孔質層がないと、穿刺後の漏血防止作用が十分に得られないことにより好ましくない。また、弾性樹脂多孔質層の多孔度が10%未満の場合には、生体組織側から繊維芽細胞や内皮細胞が該孔内部に侵入するための手掛かりが少ないため、内皮細胞などの増殖が遅れることとなり、生体適合性の改善が十分でなく、組織治療が十分に高められないなど好ましくない。また、弾性樹脂多孔質層の多孔度が90%を越える場合には、穿刺後の漏血防止効果が十分に得られなかったり、物性強度が著しく低下するなど好ましくない。
【0033】
なお、上記弾性樹脂多孔質層は、少なくとも上記支持体の一部に、該弾性多孔質樹脂層を付与した複合構造部分を有するように形成されておれば良く、たとえば、本発明に係る人工補綴物を人工透析用内シャント形成のための人工血管として用いるような場合には、これらの人工血管のうち注射針で頻回穿刺する部位に上記弾性樹脂多孔質層を形成することにより、本発明の目的とする穿刺後すみやかに穴を塞ぐ機能を十分に付与することができる。
【0034】
また、上記弾性樹脂多孔質層は、上記複合構造部分において、弾性樹脂多孔質層の一部が、上述の支持体の内部に存在しても良い。すなわち、支持体たるポリエステル系樹脂製多孔体上に該弾性樹脂多孔質層を形成する段階で、該弾性樹脂を塗布した際に、該弾性樹脂の一部が該多孔体の空孔内部に進入し、そのまま弾性樹脂多孔質層が形成されたような状態を、ここでは「支持体の内部に存在する」としている。このような状態で支持体と弾性樹脂多孔質層が接合される場合には、両者の密着度が良好となり、生体内での支持体と弾性樹脂多孔質層との弾性性能の相違による若干の伸縮度の差異によっては、何ら支持体と弾性樹脂多孔質層との層間で隔離や剥離などが生じないため、生体内長期安定性を持つ人工血管などに使用し得る人工補綴物を提供することができるなどの利点がある。
【0035】
一方、上記弾性樹脂無孔質層は、上記支持体と弾性樹脂多孔質層との間に挟まれた位置に形成されることで、所望の複合構造部分を構成するものであり、該弾性樹脂無孔質層を有する本発明に係る人工補綴物を人工透析用内シャント形成のための人工血管として用いるような場合には、これらの人工血管に注射針で頻回穿刺しても、該弾性樹脂無孔質層を形成することにより、穿刺後すみやかに穴を塞ぐ機能をより良く発揮でき、より素早く漏血を防止することがきるものである。ここで、「無孔質層」とは、上記の「多孔質層(有孔質層)」に対応するものであり、層内に連続した(連通した)孔を有し得ない構造と定義することができる。すなわち、本来、樹脂よりなる層であるため、極めて微視的(例えば、分子レベル)に見れば、微細な孔は存在するものであるが、ここでは、あくまで上記「多孔質層」で言うような5μm以上の大きさの孔を有しない構造であることを意味する。
【0036】
したがって、上記のような使用目的で本発明の人工補綴物を用いる場合には、上記弾性樹脂無孔層は、少なくとも上記支持体の一部に、該弾性無孔質樹脂層を付与した複合構造部分を有するように形成されておれば良く、たとえば、上記場合には、人工透析用内シャント形成用人工血管として用いるような場合には、これらの人工血管のうち注射針で頻回穿刺する部位に上記弾性樹脂無孔質層を形成することにより、本発明の目的とする穿刺後すみやかに穴を塞ぐ機能を十分に付与することができるものである。
【0037】
上記弾性樹脂無孔質層の作製方法としては、たとえば、所望の形状に形成加工された上記支持体上に、適当な溶剤に上述の弾性樹脂を溶解し、これを塗布し乾燥させて弾性樹脂層を成形して無孔質の成形体を形成する方法などにより弾性樹脂無孔質層を作製することができるものである。
【0038】
また、上記弾性樹脂無孔質層の層厚としては、より素早い漏血防止を目的とすることから、通常5〜1000μm、好ましくは50〜500μm、より好ましくは50〜300μmの範囲で形成されるものである。該無孔質層の層厚が、5μm未満の場合には、人工補綴物を人工血管として用いる場合には、生体内に埋入後、注射針等による穿刺での漏血防止作用が十分に得られず、また縫合後のシール性が要求される人工心膜等、生体内の種々の組織の人工補綴物として用いる場合、生体組織との馴染みが不十分となり、縫合糸による固定のみでは運動性のある部位において、特にシール性が十分でないなど好ましくない。他方、該無孔質層の層厚が、1000μmを越える場合には、層厚増加に伴うだけの漏血防止効果が得られず、補綴対象物となる血管の管厚や生体膜などの膜厚に比して、厚くなりすぎるため縫合が困難になるなど好ましくないものである。
【0039】
さらに、上記弾性樹脂無孔層は、該複合構造部分において、弾性樹脂多孔層の内部および支持体の内部に存在しても良い。すなわち、支持体たるポリエステル系樹脂製多孔体上に該弾性樹脂無孔質層を形成する段階で、無孔質層用の弾性樹脂を塗布した際に、該弾性樹脂の一部が該多孔体の空孔内部に進入し、そのまま弾性樹脂多孔質層が形成されたような状態および該弾性樹脂無孔質層上に該弾性樹脂無孔質層を形成する段階で、多孔質層用の弾性樹脂を塗布した際に、無孔質層用の弾性樹脂の一部が再び溶剤により一部溶解し、多孔質層用の弾性樹脂と混ざって弾性樹脂多孔質層が形成され、両層間の境界が明確でなくなるような状態を、ここでは「弾性樹脂多孔層の内部および支持体の内部に存在する」としている。このような状態で支持体と弾性樹脂無孔質層および弾性樹脂無孔質層と弾性樹脂多孔質層がそれぞれ接合されている場合には、それぞれの層間の密着度が良好となり、生体内での支持体と弾性樹脂無孔質層および弾性樹脂無孔質層と弾性樹脂多孔質層との各々の弾性性能の相違による若干の伸縮度の差異によっては、何ら支持体および各層間で隔離や剥離などが生じないため、生体内長期安定性を持つ人工血管などに使用し得る人工補綴物を提供することができるなどの利点がある。
【0040】
次に、強度補強、その他の目的で、本発明に係る人工補綴物の全面、あるいは一部に補強材を複合させても良い。ただし、補強材による複合構造部分においても、補強後に上記人工補綴物が、先述した範囲の弾性を保っていなければならないことから、補強材も上記人工補綴物とほぼ同様な弾性性能を有している必要がある。そのため、具体的には、補強材による複合構造部分における該補強材自身の伸長弾性回復率が90%以下となるための伸長率が通常2%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上である必要がある。
【0041】
なお、上記補強材およびその製造方法としては、例えば、本発明者らが先に、耐つぶれ、耐キンク性を持ちながらも弾性に富む人工血管とするために提供した外部補強材、具体的には、弾性を有する人工血管本体に好ましくは螺旋状に取り付けられる弾性を有する補強部であって、該補強部の好適な材質がオレフィン系エラストマーであるとする外部補強材(特開平5−337143号)などを用いることができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。
【0043】
比較例1
ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる接合型の弾性複合繊維(複合重量比50:50、30デニール/18フィラメントの複合繊維)を使用し、30ゲージダブルラッセル機により逆ハーフ編みして弾性を有するポリエステル系樹脂製多孔体たる管状の布はくを作製した。これを裏返した後、精練処理し、内径4mmの管状体を得た。ウェル61本/インチ、コース96本/インチ、カバーファクター860であった。また、管状体が構造体として備えている弾性は、伸長弾性回復率が90%以下となるための伸長率が5%であった。
【0044】
得られた管状体にプレクロッティング操作を施し、家兎の頚動脈と頚静脈との間に、コネクターにより接続し、血液循環を3時間の間、継続して行った。
【0045】
その結果、脈動流に応じて拡張、収縮を繰り返す柔軟性は示したものの、該管状体を17G注射針で穿刺すると、抜針後、激しく出血し、穿刺跡を圧迫して10分後にようやく止血できた。
【0046】
実施例1
比較例1と同様にして作製した弾性を有するポリエステル系樹脂製多孔体たる管状体の外面に一液性シリコーンゴム(サイラスティック、ダウ コーニング アジア株式会社製)原液と塩化ナトリウム(試薬特級、ナカライテスク株式会社製)とを混合したものを塗布し、風乾して層厚100μmのシリコーンゴム層を形成した。さらに、水中にて塩化ナトリウムを十分に抽出し、シリコーンゴム層を多孔化し、該管状体の外面全体に弾性樹脂多孔質層を付与した複合構造部分を形成した。弾性樹脂多孔質層の弾性は、伸長弾性回復率が90%以下となるための伸長率が12%であった。また、形成された弾性樹脂多孔質層は、上記複合構造部分において、該弾性樹脂多孔質層の一部が、上記管状体の内部に存在する状態で形成されていた。
【0047】
これにより、内面にはポリエステル系樹脂製多孔体を構成するポリエステル繊維による多孔面、外面にはシリコーンゴムによる多孔面が存在する管状体が得られた。
【0048】
得られた管状体にプレクロッティング操作を施し、家兎の頚動脈と頚静脈との間に、コネクターにより接続し、血液循環を3時間の間、継続して行った。
【0049】
その結果、脈動流に応じて拡張収縮する柔軟性を示すと共に生体内での長期安定性を向上させることができた。また、17G注射針による穿刺を行った後、抜針途中で多少出血が見られるものの、圧迫操作などを行わなくとも直ちに止血した。
【0050】
実施例2
比較例1、実施例1と同様にして作製した弾性を有するポリエステル系樹脂製多孔質管状体の外面に実施例1で用いた一液性シリコーンゴム原液を塗布した。これを生乾きの状態になるまで風乾し、実施例1で調整したものと同様なシリコーンゴムと塩化ナトリウムの混合液をさらに外側に塗布した。これを完全に硬化するまで風乾し、層厚150μmのシリコーンゴム層を形成させた。さらに水中にて塩化ナトリウムを抽出することで層の一部を多孔化させた。
【0051】
これにより該管状体の外面に弾性樹脂無孔質層および弾性樹脂多孔質層を付与した複合構造部分を形成させた。上記複合構造部分において該弾性樹脂無孔質層の一部が上記管状体の内部に存在する状態で形成されていた。
【0052】
実施例3
実施例2で得られた人工補綴物について、エチレンオキサイドガスにて滅菌した後、犬気管へ輪状置換した。その結果、吻合は容易に行え、また空気の漏れは観察されなかった。置換後の4週間後に摘出したところ、本発明の人工補綴物の周囲には漿膜および粘膜上皮が形成されており、結合性も良好であった。
【0053】
実施例4
本発明による人工補綴物、および対照として透析用グラフトとして用いられているゴアテックス[Gore−Tex](ゴア[Gore]社製)を用いて、動物実験による効果確認を行った。内径6mm、長さ20cmの実施例1で得られた人工補綴物および同サイズのゴアテックスを犬大腿動静脈にループ状に移植した。移植3週間後に17ゲージの注射針にて1日20回、5日を1クールとして4クールの穿刺を行った。その後、摘出し観察を行ったところ、ゴアテックスは外膜周囲に血腫が形成されており、一部化膿巣が存在し、組織修復が遅延していたのに対し、本発明による人工補綴物は器質化が良好に行われており、安定した組織修復が達成されることが判明した。
【0054】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明により、生体組織に類似した弾性を保持し、主として縫合針、注射針等による穿刺を行なった後、すみやかに穴を塞ぐ機能を有する人工補綴物を実現できる。
【0055】
また、本発明による人工補綴物は、多孔質部分を持つことで組織侵入を促し、生体内での長期安定性を向上させることができる。
【0056】
さらに、本発明による人工補綴物は、支持体と多孔質部分との間に無孔質部分を持つことで、穿刺後すみやかに穴を塞ぐ機能をより高めることができ、より血液の漏出を少なくすることができる。
【0057】
さらにまた、本発明による人工補綴物は、支持体に弾性を有するポリエステル系樹脂製の繊維を織り、編み、組み処理のいずれか、またはこれら二つ以上を併用した多孔体構造を用いることで生体内長期安定性に優れるため、過酷な条件下においての開存が要求されるブラッドアクセス用グラフトのように縫合後の穿刺を必要とする全ての人工血管などに好適に使用し得る人工補綴物が得られる。
【0058】
また、本発明による人工補綴物は、多孔質部分、さらには無孔質部分を持つことで、生体内長期安定性に加え、縫合後のシール性を付与することができるため、人工血管以外にも、人工心膜、人工気管、人工胸壁等の生体内の種々の組織の人工補綴物として使用することができる。
【0059】
さらに、本発明による人工補綴物は、補強材を持つことで、耐つぶれ、耐キンク性を持ちながらも弾性に富む人工血管などに好適に用いることのできる人工補綴物とすることができる。
Claims (6)
- 弾性を有するポリエステル系樹脂からなる多孔体を支持体とし、
少なくとも該支持体の一部に、弾性樹脂多孔質層を付与したシール性を有する複合構造部分を有することを特徴とする人工補綴物。 - 人工補綴物を構成する前記支持体及び弾性樹脂多孔質層の多孔度が、共に10〜90%である、請求項1に記載の人工補綴物。
- 前記支持体が、潜在捲縮性を付与した接合型の弾性複合繊維を織り、編み、組み処理のいずれか、またはこれら二つ以上を併用した多孔体構造を持ってなる請求項1または2に記載の人工補綴物。
- 前記複合構造部分の支持体および弾性樹脂多孔質層が、伸長弾性回復率が90%以下であるための伸長率が2%以上である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人工補綴物。
- 前記複合構造部分の支持体と弾性樹脂多孔質層との間にさらに弾性樹脂無孔質層を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の人工補綴物。
- 前記複合構造部分が、穿刺後すみやかに穴を塞ぐ機能を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の人工補綴物。
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