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JP3590239B2 - 直噴ガソリンエンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

直噴ガソリンエンジンの燃料噴射制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は直噴ガソリンエンジンの燃料噴射制御装置に関し、詳しくは、燃料を圧縮行程又は吸気行程のみで噴射させるモードと、1サイクル中に吸気行程噴射と圧縮行程噴射とに分けて噴射させるモードとが切り換えられる直噴ガソリンエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えた直噴ガソリンエンジンにおいて、圧縮行程のみの噴射により成層燃焼を行わせる成層燃焼モードと、吸気行程のみの噴射により均質燃焼を行わせる均質燃焼モードと、1サイクル中に吸気行程噴射と圧縮行程噴射との2回噴射を行う2回噴射モードとが切り換える構成が知られている(特開平5−071383号公報等参照)。
【0003】
そして、前記2回噴射モードにおいては、目標の平均空燃比に基づいて分割比が予め設定されており、1サイクル中に噴射すべき燃料量と前記分割比とから一方の噴射時期における燃料噴射量を求め、他方の噴射時期においては要求量の残りを噴射させる構成となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記2回噴射モードは、均質燃焼モードと成層燃焼モードとの切り換え時にトルク段差が生じることを回避すべく実行されるが、上記のように、2回噴射モード中に目標平均空燃比の変化に応じてそれぞれの噴射時期における燃料噴射量が変化する構成であると、前記トルク段差の解消を図れる適切な分割比の適合が困難であり、適合工数を要するという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、2回噴射モードにおいて適切な噴射量の適合が容易に行え、2回噴射モード時の燃焼安定性を向上させ得る直噴ガソリンエンジンの燃料噴射制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明は、筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える一方、圧縮行程のみの噴射により成層燃焼を行わせる成層燃焼モードと、吸気行程のみの噴射により均質燃焼を行わせる均質燃焼モードと、1サイクル中に吸気行程噴射と圧縮行程噴射との2回噴射を行う2回噴射モードとが切り換えられる構成の直噴ガソリンエンジンの燃料噴射制御装置であって、前記2回噴射モードにおいて、吸気行程噴射と圧縮行程噴射とのいずれか一方における燃料噴射量を一定量とする一方、他方における燃料噴射量を可変に設定して、1サイクル中に噴射される燃料量を制御すると共に、前記一定量を、前記2回噴射モードへの移行初回における運転条件に応じて可変に設定する構成とした。
【0007】
かかる構成によると、2回噴射モードにおいて、例えば圧縮行程における噴射量はたとえ1サイクル中における要求燃料噴射量が変化しても一定に保持し、要求燃料噴射量の変化に対しては吸気行程中における燃料噴射量を変化させて対応する。同様に、吸気行程における噴射量を一定に保持させる場合には、圧縮行程における燃料噴射量を変化させて、1サイクル中における燃料噴射量を変化させる。
また、2回噴射モードへ移行した初回における運転条件によって、2回噴射モード中に一定に保持させる燃料量が決定され、2回噴射モードへの移行初回における運転条件が異なれば、2回噴射モード中に一定に保持される燃料量として異なる値が設定される。
【0010】
請求項記載の発明では、前記運転条件を、基準目標当量比における1サイクル中の基本燃料噴射量とする構成とした。
かかる構成によると、基準目標当量比に相当する1サイクルでの基本燃料噴射量を、そのときの目標当量比に応じて補正して最終的な燃料噴射量を決定し、この最終的な燃料噴射量を、2回噴射モードにおいて吸気行程噴射と圧縮行程噴射とに分けて噴射させるときに、2回噴射モードへの移行初回における前記基本燃料噴射量に基づいて例えば圧縮行程での燃料噴射量を決定し、その後の圧縮行程での噴射量は前記初回時に決定された燃料噴射量に保持させる。2回噴射モードへの移行初回における基本燃料噴射量に基づいて、2回噴射モード中に一定に保持させる燃料噴射量を決定するときには、例えば前記基本燃料噴射量の所定割合として演算又はテーブルから決定させることができる。
【0011】
請求項記載の発明では、前記運転条件を、目標当量比とする構成とした。
かかる構成によると、2回噴射モードへ移行した初回における目標当量比に基づいて、2回噴射モード中に一定に保持させる燃料噴射量を決定し、吸気行程と圧縮行程とのいずれか一方においては、この初回時に目標当量比に応じて決定した燃料噴射量を保持させる。前記目標当量比に応じた噴射量の決定は、予め目標当量比毎に2回噴射モード中に一定に保持させる燃料噴射量をテーブルに記憶させておき、該テーブルを参照して決定するか、目標当量比から演算で求めるようにすれば良い。
【0014】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、吸気行程噴射と圧縮行程噴射とを行わせる2回噴射モードにおいて、吸気行程噴射と圧縮行程噴射とのいずれか一方における燃料噴射量を一定量とすることで、2回噴射モードにおける噴射量制御の適合が容易になり、2回噴射モード時における燃焼安定性を高めることができると共に、2回噴射モードへの移行初回における運転条件から一定量に保持させる燃料量を可変に決定することから、適合を容易化しつつ、一定に保持させる燃料量を運転条件に応じて適切に設定させることができるという効果がある。
【0016】
請求項記載の発明によると、2回噴射モード時に一定に保持させる燃料噴射量を、2回噴射モードへの移行初回における基本燃料噴射量に応じて設定させることで、前記基本燃料噴射量による要求の違いに対応して、一定量に保持させる燃料量を適切に設定させることができるという効果がある。
請求項記載の発明によると、2回噴射モード時に一定に保持させる燃料噴射量を、2回噴射モードへの移行初回における目標当量比に応じて設定させることで、前記目標当量比による要求の違いに対応して、一定量に保持させる燃料量を適切に設定させることができるという効果がある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態におけるエンジンのシステム構成図であり、この図1に示すエンジン1は、各気筒毎に筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁2を備えると共に、各気筒毎に点火プラグ3を備えた直噴ガソリンエンジンである。
【0019】
前記燃料噴射弁2は、マイクロコンピュータを内蔵したコントロールユニット3からの噴射パルス信号に応じて各気筒毎に制御されるようになっている。また、各点火プラグ4にはそれぞれにイグニッションコイル5が備えられ、前記コントロールユニット3からの点火信号に応じてパワトラユニット6が各イグニッションコイル5の1次側への通電をオン・オフして各気筒毎に点火時期が制御されるようになっている。
【0020】
前記コントロールユニット3には、燃料噴射量,燃料噴射時期,点火時期制御のために各種センサから検出信号が入力される。
前記各種センサとしては、吸入空気流量を検出するエアフローメータ7,スロットル弁8の開度を検出するスロットルセンサ9,クランク角を検出するクランク角センサ10,冷却水温度を検出する水温センサ11,排気中の酸素濃度に基づいて燃焼混合気の平均空燃比を検出する酸素センサ12などが設けられている。
【0021】
一方、前記コントロールユニット3は、例えば目標の出力トルク及びエンジン回転速度に応じて目標当量比と燃焼モードとを予め設定した目標当量比マップを複数備え、該複数の目標当量比マップを水温,始動後時間,車速,加速度などの条件に応じて切り換えて参照し、目標当量比及び燃焼モードの要求を判別する。
前記燃焼モードとしては、吸気行程においてのみ燃料を噴射させることで均質燃焼を行わせる均質燃焼モード、圧縮行程においてのみ燃料を噴射させることで点火プラグ4近傍に濃い混合気を形成させて成層燃焼を行わせる成層燃焼モード、均質燃焼モード,成層燃焼モードの切り換え時に1サイクル中に吸気行程噴射と圧縮行程噴射とを行わせる2回噴射モードが設定されている。
【0022】
コントロールユニット3は、前記目標当量比マップを参照して目標当量比及び燃焼モードを決定すると、吸入空気流量,エンジン回転速度に基づいて基準目標当量比(例えばλ=1)相当の基本燃料噴射量TPを演算し、この基本燃料噴射量TPをそのときの目標当量比等に応じて補正して最終的な燃料噴射量TIを演算すると共に、前記燃焼モードと運転条件とから噴射タイミングを決定し、前記噴射タイミングになったときに前記燃料噴射量TI相当のパルス幅の噴射パルス信号を燃料噴射弁2に出力する。尚、2回噴射モードにおいては、前記燃料噴射量TIを吸気行程噴射と圧縮行程噴射との2回に分けて噴射することになる。
【0023】
また、コントロールユニット3は、予め設定されている点火時期マップを参照して点火時期を決定すると共に、バッテリ電圧等に応じて通電時間(通電角)を決定し、該点火時期,通電時間(通電角)に基づいて点火信号をパワトラユニット6に出力し、各点火プラグ4の点火時期を制御する。
ここで、前記2回噴射モードにおける吸気行程噴射,圧縮行程噴射での燃料噴射量は、図2のフローチャートに示すようにして設定される。
【0024】
図2のフローチャートにおいて、まず、ステップ1(図中にはS1と記してある。以下同様)では、前記基本燃料噴射量TP,燃料噴射量TI,目標当量比などを読み込む。
次のステップ2では、2回噴射モードの実行が許可されているか否かを判別し、2回噴射モードの許可状態であるときには、ステップ3へ進んで、2回噴射モードへの移行初回であるか否かを判別する。
【0025】
そして、移行初回であるときには、ステップ4へ進み、圧縮行程噴射用の燃料噴射量TISの設定を行う。
このステップ4で設定される圧縮行程噴射用の燃料噴射量TISは、図3に示すように、2回噴射モードへの移行初回時における基本燃料噴射量TPに基づき、前記基本燃料噴射量TPが大きいときほど大きな値に設定させる。又は、図4に示すように、2回噴射モードへの移行初回時における目標当量比に基づき、前記目標当量比が大きいときほど(目標空燃比がリッチであるときほど)大きな値に設定させる。
【0028】
ステップ4で圧縮行程噴射用の燃料噴射量TISの設定を行うと、ステップ5では、噴射パルス幅と実際の噴射量との相関において直線性が保てる最低噴射量(最小噴射パルス幅)TIMINと、前記ステップ4で設定された燃料噴射量TISとを比較する。
【0029】
そして、前記燃料噴射量TISが最小噴射量TIMINよりも小さいときには、ステップ6へ進んで、前記燃料噴射量TISに前記最小噴射量TIMINをセットし、前記最小噴射量TIMINを下回る燃料噴射量TISが設定されることを回避する。
ステップ4で設定した燃料噴射量TISが前記最小噴射量TIMIN以上であれば、ステップ6をジャンプしてステップ7へ進む。
【0030】
また、ステップ3で初回でないと判別されたときにも、ステップ4〜6をジャンプしてステップ7へ進む。即ち、ステップ4〜6における圧縮行程噴射用の燃料噴射量TISの設定は、2回噴射モードへの移行初回においてのみ行われることになる。
ステップ7では、1サイクル中における要求燃料噴射量である前記燃料噴射量TIから前記圧縮行程噴射用の燃料噴射量TISを減算し、その結果を、吸気行程噴射用の燃料噴射量TIH(TIP=TI−TIS)とする。
【0031】
ステップ8では、前記吸気行程噴射用の燃料噴射量TIHと前記最小噴射量TIMINとを比較する。
そして、前記燃料噴射量TIHが最小噴射量TIMINを下回るときには、ステップ9へ進み、前記燃料噴射量射TIHに最小噴射量TIMINをセットすることで、前記最小噴射量TIMINを下回る燃料噴射量TIHが設定されることを回避すると共に、(TI−TIS)よりも燃料噴射量TIHが大きく修正されたことに対応して、TIS=TI−TIHとして圧縮行程噴射用の燃料噴射量TISを更新する。
【0032】
上記構成によると、圧縮行程噴射用の燃料噴射量TISは、ステップ9での更新時を除き、基本的に、2回噴射モードへの移行初回に設定された値を2回噴射モード中において保持することになり、1サイクル中における燃料噴射量TIの変化分は、吸気行程で噴射される燃料量TIHの増減で対応することになる(図5参照)。
【0033】
従って、2回噴射モード中に圧縮行程噴射及び吸気行程噴射の燃料噴射量を双方共に変化させる場合に比べて、燃焼安定性を確保し得る燃料噴射量の適合が容易となる。
尚、上記では、2回噴射モード中に、圧縮行程での燃料噴射量を一定とし、吸気行程での燃料噴射量を変化させる構成としたが、逆に、吸気行程での燃料噴射量を一定とし、圧縮行程での燃料噴射量を変化させて燃料噴射量を制御する構成としても良い(図6参照)。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態におけるエンジンのシステム構成図。
【図2】2回噴射モード時の噴射量設定を行うルーチンを示すフローチャート。
【図3】基本燃料噴射量に基づく圧縮行程用噴射量TISの設定の様子を示す線図。
【図4】目標当量比に基づく圧縮行程用噴射量TISの設定の様子を示す線図。
【図5】2回噴射モード時に圧縮行程での噴射量を一定に制御する実施の形態を示す線図。
【図6】2回噴射モード時に吸気行程での噴射量を一定に制御する実施の形態を示す線図。
【符号の説明】
1 エンジン
2 燃料噴射弁
3 コントロールユニット
4 点火プラグ
7 エアフローメータ
8 スロットル弁
9 スロットルセンサ
10 クランク角センサ
11 水温センサ
12 酸素センサ

Claims (3)

  1. 筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える一方、圧縮行程のみの噴射により成層燃焼を行わせる成層燃焼モードと、吸気行程のみの噴射により均質燃焼を行わせる均質燃焼モードと、1サイクル中に吸気行程噴射と圧縮行程噴射との2回噴射を行う2回噴射モードとが切り換えられる構成の直噴ガソリンエンジンの制御装置であって、
    前記2回噴射モードにおいて、吸気行程噴射と圧縮行程噴射とのいずれか一方における燃料噴射量を一定量とする一方、他方における燃料噴射量を可変に設定して、1サイクル中に噴射される燃料量を制御すると共に、
    前記一定量を、前記2回噴射モードへの移行初回における運転条件に応じて可変に設定することを特徴とする直噴ガソリンエンジンの燃料噴射制御装置。
  2. 前記運転条件が、基準目標当量比における1サイクル中の基本燃料噴射量であることを特徴とする請求項記載の直噴ガソリンエンジンの燃料噴射制御装置。
  3. 前記運転条件が、目標当量比であることを特徴とする請求項記載の直噴ガソリンエンジンの燃料噴射制御装置。
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