JP3589605B2 - 適応アレーアンテナ送受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、FDD(Frequency Division Duplex)方式のように送信と受信とで互いに異なる周波数を用いて通信を行う通信システムに用いる適応アレーアンテナ送受信装置に関し、特に、アレーアンテナのブランチ間の振幅及び位相差を送信機と受信機とで個別にかつ装置内で自動校正するための適応アレーアンテナ送受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などの爆発的な移動通信の普及に伴って、限られた周波数帯においてできる限り多くの加入者の通信チャネルを確保することが必要になってきている。
そのため、移動通信では多数の加入者に対して、必要に応じて特定のチャネルを割り当てる方法(マルチチャネルアクセス方式とよぶ)を採用することが現在の主流になっている。
【0003】
セルラーシステムやPHSなどに代表される現在の移動通信システムでは、マルチチャネルアクセス方式として、主に時分割多重化(Time Division Multiple Access:TDMA)方式が採用されている。その中でも、携帯電話のシステムの代表とされるGSM(Global System for Mobile Communications)やPDC(Personal Digital Cellular Telecommunication System)では、通話エリアを拡大するためにFDD方式を採用している。
【0004】
ところで、無線区間で周波数の利用効率を高めるためには、隣接セルからの干渉波の影響を低減することが必要である。干渉波を低減する技術としては、アダプティブアレーアンテナが知られている。この種の技術は、例えば文献「Monzingo et al., “Introduction to Adaptive Array”, Jone Willy & Sons New York, 1980」に開示されている。
【0005】
アダプティブアレーアンテナにおいては、アレー状に配列した複数のアンテナ素子によってアレーアンテナを構成する。そして、アレーアンテナの各ブランチ毎に、入力された信号に対して振幅と位相を重みづけしてアレーアンテナの放射パターンを制御する。すなわち、干渉波の方向にアレーアンテナの放射パターンのヌルを形成し、干渉波の影響を低減する。
【0006】
従来例では、アダプティブアレーアンテナとFDDシステムとを組み合わせた装置は図10に示すように構成される。
近年、アダプティブアレーで必要とされる振幅と位相の制御は、制御の容易さや柔軟性などを考慮して、ベースバンドでDSP(Digital Signal Processor)などの演算器を用いたディジタル信号処理で実現することが一般的な方法とされている。この事実は、例えば文献「T. Ohgane, et al., “A Implementation of a CMA Adaptive array for high speed GMSK transmission in mobile communications”, IEEE Trans. VT−42, No.3, pp.282−288, August 1993」に開示されている。
【0007】
したがって、ベースバンドの制御でアダプティブアレーアンテナを実現する場合には、アレーアンテナの各ブランチ毎に送信機及び受信機が必要になる。このようなアダプティブアレーアンテナで用いる送信機および受信機については、それらの振幅及び位相が各ブランチ間で等しいことが理想的である。しかし、実際には電力増幅器などの高周波回路やケーブルの個体差、設置場所の温度特性の変動などによって振幅や位相がブランチ間で異なることが多い。
【0008】
このような振幅や位相の誤差の影響により、アダプティブアレーアンテナの放射パターンには、理想的な放射パターンに対してヌル深度の低下やサイドローブの上昇が生じ、アダプティブアレーアンテナの本来持つ干渉波抑圧特性を劣化させる要因となっている。この事実は、例えば文献「J. Litva et al., “Digital Beamforming in Wireless Communications”, Artech House Publishers, 1996.」に開示されている。
【0009】
この現象の一例について、図8及び図9を参照して説明する。図8はアレーアンテナの構成及び指向パターンを示し、図9は振幅及び位相誤差とヌル深度の関係を示している。すなわち、図8に示す3素子円形配列のアレーアンテナの各素子に図8に示す振幅及び位相を理想条件として与えた場合を基準とし、各素子の振幅及び位相が基準となる理想条件からずれた場合の放射パターンのヌル深度が図9に表されている。
【0010】
理想的な条件においては、図8に示す180度方向にヌルを有する放射パターンが形成され、ヌル深度も非常に大きくなる。しかし、各素子の振幅及び位相が基準となる理想条件からずれた場合には、アレーアンテナの放射パターンが劣化し、振幅誤差及び位相誤差に応じて図9のようにヌル深度が低下する。
したがって、送信周波数と受信周波数とが異なるFDDシステムを採用する場合には、アダプティブアレーアンテナの送信の放射パターンと受信の放射パターンとを一致させるために、アレーアンテナの各ブランチ間の振幅と位相を校正する技術が必要になる。また、FDDシステムにアダプティブアレーアンテナを適用する場合には、送信と受信の周波数が異なるため、受信時に求められたアダプティブアレーアンテナの各素子の重み係数をそのまま送信時に適用することはできない。
【0011】
したがって、通常、アダプティブアレーアンテナの送信時の重み係数を決定するためには、受信時になんらかの到来方向推定技術を用いて所望信号及び干渉信号の方向を推定する必要があり、これらの方向の情報を用いて送信時の重み係数を決定し放射パターンを制御することになる。このため、FDDシステムにアダプティブアレーを適用するためには、受信時及び送信時にそれぞれ個別の校正を行う必要がある。
【0012】
従来より、各送信機及び受信機の振幅や位相を校正する場合には、装置に内蔵した発振器が出力する校正用の基準信号を用いる。この種の技術は、例えば文献「H. Steyscal et al., “Digital Beamforming for Raders”, Microwave Journal, vol.32, No.1, pp.121−136.」に開示されている。
このような従来例の校正回路を図11に示す。図11の校正回路を用いる場合の校正手順は次の通りである。
【0013】
(1)基準信号発生器からの基準信号を、分岐手段であるカップラを介して各ブランチの受信機に各ブランチに共通の信号として送る。各ブランチの受信機で得られる値と基準値とを用いて各受信機の校正値を求める。予め定めた特定のブランチの受信機が検出した値を前記基準値として用いる。
(2)送信機から出力した信号をスイッチと減衰器(アッテネータ)を介して受信機に送り、各ブランチ毎に得られた値と基準値とを用いて送受信全体の校正値をブランチ毎に求める。ここで用いる基準値は、前記(1)で受信機の校正値を求める際に基準としたブランチの受信機で得られた値である。
【0014】
(3)前記(2)で求めた送受信全体の校正値から前記(1)で求めた受信機の校正値を差し引き、各送信機の校正値を求める。
上記のように、図11の校正回路を用いることにより、装置内でアレーアンテナの各ブランチ間の振幅及び位相を校正できる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、FDDシステムの場合には送信機と受信機の周波数が異なるため、送信機の出力する信号を受信機で測定することができず、図11に示されるような校正回路を用いても、上記(2)の手順を実行できない。したがって、従来の校正回路を用いる場合には、受信機の校正だけしか行うことができず、送信機側の振幅誤差及び位相誤差を解消できないという問題が生じる。
【0016】
本発明は、送信周波数と受信周波数とが異なる適応アレーアンテナ送受信装置において、アレーアンテナに接続される送信機と受信機とを個別にかつ簡易に校正可能にすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の適応アレーアンテナ送受信装置は、2以上のN個のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、N個の送信機及び受信機と、前記各アンテナ素子に前記送信機及び受信機をそれぞれ接続する送受共用手段と、前記複数の受信機に各アンテナ素子からそれぞれ入力される信号に対して振幅及び位相の重み付けを行って複数の受信機の出力を合成することにより前記アレーアンテナの放射パターンを制御する指向性制御演算回路とを備えるとともに、前記受信機の受信周波数と前記送信機の送信周波数とが異なる適応アレーアンテナ送受信装置において、前記N個の送信機のそれぞれの出力から信号の一部分を分岐して取り出すN個の分岐手段と、前記N個の分岐手段がそれぞれ出力する信号に基づいて各ブランチの送信機間の振幅及び位相の校正値を求める第1の校正値演算手段と、前記受信機の受信周波数と同じ周波数の信号を出力する基準信号発生手段と、前記送受共用手段からの受信信号と、前記基準信号発生手段からの信号とのいずれか一方を選択的に前記受信機の入力に印加するN個の第1のスイッチと、前記N個の第1のスイッチの選択状態を制御するとともに、前記N個の受信機のそれぞれが前記基準信号発生手段からの信号を受信して得られる信号に基づいて、各ブランチの受信機間の振幅及び位相の校正値を求める第2の校正値演算手段とを設け、前記第1の校正値演算手段に、予め定めた基準ブランチ以外の(N−1)個のブランチのそれぞれに属する分岐手段からの信号のいずれか1つを選択する第2のスイッチと、前記基準ブランチに属する分岐手段からの信号について振幅成分と位相成分とを分離して出力する第1の振幅・位相分離回路と、前記第2のスイッチが選択した信号について振幅成分と位相成分とを分離して出力する第2の振幅・位相分離回路と、前記第1の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分との誤差を検出する振幅誤差抽出回路と、前記第1の振幅・位相分離回路が出力する位相成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する位相成分との誤差を検出する位相誤差抽出回路とを設けたことを特徴とする。
【0018】
請求項1においては、各ブランチの送信機の校正値を検出するために第1の校正値演算手段を設けてある。第1の校正値演算手段は、各ブランチに設けた分岐手段が各送信機の出力から分岐した信号を入力し、この信号から振幅及び位相の校正値を求める。
また、各ブランチの受信機の校正値を検出するために第2の校正値演算手段を設けてある。第2の校正値演算手段は、各ブランチの受信機のそれぞれが基準信号発生手段からの信号を受信して得られる信号に基づいて、受信機の振幅及び位相の校正値を求める。基準信号発生手段が出力する信号は、第1のスイッチを介して各ブランチの受信機に入力される。第1のスイッチは第2の校正値演算手段によって制御される。
【0019】
請求項1では、送信機の校正値を検出する場合に受信機を用いる必要がないので、FDDシステムのように送信周波数と受信周波数とが異なる場合であっても校正を行うことができる。また、受信機の校正値を検出する場合に送信機からの信号を用いる必要がないので、送信周波数と受信周波数とが異なる場合であっても校正を行うことができる。
【0020】
さらに、請求項1では、基準ブランチの分岐手段からの信号は第1の振幅・位相分離回路で振幅成分と位相成分とに分離される。また、基準ブランチ以外の各ブランチでは、分岐手段からの信号は第2のスイッチを介して第2の振幅・位相分離回路に入力され振幅成分と位相成分とに分離される。
【0021】
振幅誤差抽出回路は、第1の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分との誤差を検出する。位相誤差抽出回路は、第1の振幅・位相分離回路が出力する位相成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する位相成分との誤差を検出する。
【0022】
したがって、基準ブランチに対する相対値として各ブランチの送信機の振幅及び位相の校正値を求めることができる。
【0023】
請求項2の適応アレーアンテナ送受信装置は、2以上のN個のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、N個の送信機及び受信機と、前記各アンテナ素子に前記送信機及び受信機をそれぞれ接続する送受共用手段と、前記複数の受信機に各アンテナ素子からそれぞれ入力される信号に対して振幅及び位相の重み付けを行って複数の受信機の出力を合成することにより前記アレーアンテナの放射パターンを制御する指向性制御演算回路とを備えるとともに、前記受信機の受信周波数と前記送信機の送信周波数とが異なる適応アレーアンテナ送受信装置において、前記N個の送信機のそれぞれの出力から信号の一部分を分岐して取り出すN個の分岐手段と、前記N個の分岐手段がそれぞれ出力する信号に基づいて各ブランチの送信機間の振幅及び位相の校正値を求める第1の校正値演算手段と、前記受信機の受信周波数と前記送信機の送信周波数との差分に相当する周波数の信号を出力するローカル信号発生手段と、前記ローカル信号発生手段が出力する信号に基づいて、予め定めた基準ブランチに属する前記分岐手段からの分岐出力を周波数変換する周波数変換器と、前記送受共用手段からの受信信号と、前記周波数変換器が出力する信号とのいずれか一方を選択的に前記受信機の入力に印加するN個の第1のスイッチと、前記N個の第1のスイッチの選択状態を制御するとともに、前記N個の受信機のそれぞれが前記周波数変換器の出力からの信号を受信して得られる信号に基づいて、各ブランチの受信機間の振幅及び位相の校正値を求める第2の校正値演算手段とを設けたことを特徴とする。
【0024】
請求項2においては、各ブランチの送信機の校正値を検出するために第1の校正値演算手段を設けてある。第1の校正値演算手段は、各ブランチに設けた分岐手段が各送信機の出力から分岐した信号を入力し、この信号から振幅及び位相の校正値を求める。
【0025】
また、各ブランチの受信機の校正値を検出するために第2の校正値演算手段を設けてある。第2の校正値演算手段は、各ブランチの受信機のそれぞれが基準ブランチの送信機からの信号を受信して得られる信号に基づいて、受信機の振幅及び位相の校正値を求める。
受信機の校正値を検出する場合には、基準ブランチの送信機が出力する信号の一部分を分岐手段を介して取り出し、この信号を周波数変換器に通して受信周波数と同じ周波数に変換し、第1のスイッチを介して受信機の入力に印加する。
【0026】
周波数変換器が用いるローカル信号発生手段からの信号は、周波数が受信機の受信周波数と送信機の送信周波数との差分に等しいので、送信機からの信号を周波数変換器に入力すると、受信周波数と同じ周波数に変換された信号が周波数変換器の出力に得られる。
また、いずれのブランチについて受信機の校正値を検出する場合であっても同一の周波数変換器を共通に利用するので、この周波数変換器の特性はブランチ間の相対値として検出される校正値には影響を及ぼさない。
【0027】
請求項2では、送信機の校正値を検出する場合に受信機を用いる必要がないので、FDDシステムのように送信周波数と受信周波数とが異なる場合であっても校正を行うことができる。また、周波数変換器を設けてあるため、送信周波数と受信周波数とが異なる場合であっても、受信機の校正値を検出する際には送信機からの信号を利用して校正を行うことができる。
【0028】
請求項3は、請求項2の適応アレーアンテナ送受信装置において、前記第1の校正値演算手段に、前記基準ブランチ以外の(N−1)個のブランチのそれぞれに属する分岐手段からの信号のいずれか1つを選択する第2のスイッチと、前記基準ブランチに属する分岐手段からの信号について振幅成分と位相成分とを分離して出力する第1の振幅・位相分離回路と、前記第2のスイッチが選択した信号について振幅成分と位相成分とを分離して出力する第2の振幅・位相分離回路と、前記第1の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分との誤差を検出する振幅誤差抽出回路と、前記第1の振幅・位相分離回路が出力する位相成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する位相成分との誤差を検出する位相誤差抽出回路とを設けたことを特徴とする。
【0029】
請求項3においては、基準ブランチの分岐手段からの信号は第1の振幅・位相分離回路で振幅成分と位相成分とに分離される。また、基準ブランチ以外の各ブランチでは、分岐手段からの信号は第2のスイッチを介して第2の振幅・位相分離回路に入力され振幅成分と位相成分とに分離される。
振幅誤差抽出回路は、第1の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分との誤差を検出する。位相誤差抽出回路は、第1の振幅・位相分離回路が出力する位相成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する位相成分との誤差を検出する。
【0030】
したがって、基準ブランチに対する相対値として各ブランチの送信機の振幅及び位相の校正値を求めることができる。
請求項4は、請求項2の適応アレーアンテナ送受信装置において、前記第2の校正値演算手段は、前記基準ブランチの受信機が前記周波数変換器の出力からの信号を受信して得られる第1の振幅・位相値と、前記基準ブランチ以外の(N−1)個のブランチの各々に属する前記受信機が基準信号発生手段からの信号を受信して得られる第2の振幅・位相値との比率を各ブランチの受信機の校正値として求めることを特徴とする。
【0031】
請求項4においては、基準ブランチの第1の振幅・位相値と他のブランチの第2の振幅・位相値との比率を求めるので、基準ブランチとの相対値として各ブランチの受信機の校正値を求めることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明の適応アレーアンテナ送受信装置の1つの実施の形態について、図1〜図4を参照して説明する。この形態は、請求項1および請求項2に対応する。
【0033】
図1はこの形態の適応アレーアンテナ送受信装置の構成を示すブロック図である。図2は送信機校正演算部24の構成を示すブロック図である。図3はこの形態の送信機校正演算部24の動作を示すフローチャートである。図4はこの形態の受信機校正演算部25の動作を示すフローチャートである。
この形態では、請求項1のアンテナ素子,送信機,受信機,送受共用手段,指向性制御演算回路,分岐手段,第1の校正値演算手段,基準信号発生手段,第1のスイッチ及び第2の校正値演算手段は、それぞれアンテナ素子11,送信機13,受信機14,サーキュレータ12,指向性制御演算部26,カップラ15,送信機校正演算部24,信号発生部22,スイッチ16及び受信機校正演算部25に対応する。
【0034】
また、請求項1の第2のスイッチ,第1の振幅・位相分離回路,第2の振幅・位相分離回路,振幅誤差抽出回路及び位相誤差抽出回路は、それぞれスイッチ31,振幅・位相分離回路32,振幅・位相分離回路33,振幅誤差検出回路34及び位相誤差検出回路35に対応する。
図1において、アレーアンテナは並べて配置されたN(2以上の任意の整数)個のアンテナ素子11で構成されている。この形態では、各要素の符号に付加した括弧内の数値によってそれが配置されたアレーアンテナのブランチの区分を表してある。また、図1中の各矢印は信号の方向を表わしている。なお、以下の説明において、各要素のブランチを区別する必要がない場合には、各符号の括弧及び括弧内の数値の表記は省略する。
【0035】
図1の例では、アンテナ素子11毎にそれを含むブランチユニット10を構成してある。各ブランチユニット10は、アンテナ素子11,サーキュレータ12,送信機13,受信機14,カップラ15及びスイッチ16で構成されている。
【0036】
サーキュレータ12は、アンテナ素子11を送信と受信とで共用するために設けてある。カップラ15は、送信機13が出力する信号の一部分を分岐して取り出すために設けてある。送信機13が出力する信号の電力は非常に大きいが、カップラ15で分岐された信号のレベルは小さいので、送信機校正演算部24に印加される信号のレベルが送信機校正演算部24の入力許容レベルを超えるのを防止することができる。
【0037】
通信のために送信を行う場合、各送信機13から送出される信号は、カップラ15及びサーキュレータ12を通り、アンテナ素子11から無線信号として放射される。通信のために受信を行う場合には、アンテナ素子11で受信された信号がサーキュレータ12及びスイッチ16を通って、受信機14に入力される。
この例では、送信機13が出力する信号の周波数すなわち送信周波数はf1であり、受信機14の受信周波数はf2であり、送信周波数f1と受信周波数f2とは異なっている。
【0038】
図1の適応アレーアンテナ送受信装置には、N個のブランチユニット10の他に、信号発生部22,分配器23,送信機校正演算部24,受信機校正演算部25及び指向性制御演算部26が設けてある。
指向性制御演算部26は、アレーアンテナの指向パターンを適応制御するために、N個のブランチの信号を合成すると共に、合成の際の各ブランチの重み付けを制御する。
【0039】
送信機校正演算部24は、各ブランチユニット10の送信機13について振幅・位相誤差を個別に求めて校正を行う。また、受信機校正演算部25は各ブランチユニット10の受信機14の振幅・位相誤差を個別に求めて校正を行う。
信号発生部22は、各ブランチの受信機14の校正のために、受信機14の受信周波数と同じ周波数の基準信号を出力する。信号発生部22が出力する基準信号は、分配器23を介して各ブランチのスイッチ16に印加される。各ブランチのスイッチ16は、電気的に制御可能になっている。
【0040】
送信機校正演算部24は、各ブランチのカップラ15によってそれぞれ分岐された送信機13からの信号を入力して、振幅誤差及び位相誤差をブランチ毎に検出する。
送信機校正演算部24には、図2に示すようにスイッチ31,振幅・位相分離回路32,33,振幅誤差検出回路34,位相誤差検出回路35及び制御部36が備わっている。
【0041】
振幅・位相分離回路32の入力には、基準ブランチのカップラ15からの信号が印加される。この例では、1番目のブランチを基準ブランチに割り当ててあるので、そのブランチに属するカップラ15(1)からの信号が振幅・位相分離回路32の入力に印加される。
スイッチ31には、基準ブランチ以外の(N−1)個の各ブランチのカップラ15からの信号が印加される。スイッチ31は(N−1)個のブランチのいずれか1つの信号を選択する。スイッチ31の選択した信号が振幅・位相分離回路33の入力に印加される。スイッチ31の選択状態は、制御部36によって制御される。
【0042】
振幅・位相分離回路32及び33は、入力された信号の振幅成分と位相成分とを分離してそれぞれ取り出すための回路である。振幅・位相分離回路32,33については、例えば可変電力利得増幅器やAM変復調回路に用いられる受信レベル検出器を用いることで実現できる。
振幅・位相分離回路32が出力する振幅成分の信号と、振幅・位相分離回路33が出力する振幅成分の信号とがそれぞれ振幅誤差検出回路34の入力に印加される。また、振幅・位相分離回路32が出力する位相成分の信号と、振幅・位相分離回路33が出力する位相成分の信号とがそれぞれ位相誤差検出回路35の入力に印加される。
【0043】
振幅誤差検出回路34は、振幅・位相分離回路32からの振幅成分の信号と振幅・位相分離回路33からの振幅成分の信号との振幅誤差を検出する。また、位相誤差検出回路35は振幅・位相分離回路32からの位相成分の信号と振幅・位相分離回路33からの位相成分の信号との位相誤差を検出する。実際には、位相誤差検出回路35は2つの信号の位相差を検出するために混合器で構成されている。
【0044】
送信機校正演算部24の動作について、図3を参照して説明する。なお、図3においては、各処理ステップを順次に実行するように表してあるが、図2に示すように基準ブランチの信号を処理する回路と他のブランチの信号を処理する回路とを独立したハードウェアとして設ける場合には、実際には複数の処理ステップが同時に実行されることになる。図3においては、実際の処理タイミングとは無関係に送信機の校正処理に必要な機能が示されている。
【0045】
ステップS10では、カウンタiに初期値として2をセットする。カウンタiの値は校正対象のブランチの番号に対応している。なお、1番目のブランチは基準ブランチに割り当ててある。
ステップS11では、基準ブランチの送信機13(1)から信号を送出する。ここで送信機13(1)が送出する信号は、カップラ15(1)で分岐され、送信機校正演算部24の振幅・位相分離回路32の入力に印加される。
【0046】
ステップS12では、カウンタiの値に応じたi番目のブランチの送信機13(i)から信号を送出する。また、ステップS13では制御部36の制御によりカウンタiの値に応じたi番目のブランチからの信号をスイッチ31で選択する。したがって、i番目のブランチの送信機13(i)からの信号は、カップラ15(i)で分岐されて送信機校正演算部24に入力され、スイッチ31を通って振幅・位相分離回路33の入力に印加される。
【0047】
ステップS14では、振幅・位相分離回路32において、入力された基準ブランチからの信号が振幅成分と位相成分とに分離される。また、ステップS15では振幅・位相分離回路33において、入力されたi番目のブランチからの信号が振幅成分と位相成分とに分離される。
ステップS16では、振幅誤差検出回路34において、振幅・位相分離回路32から出力される基準ブランチの振幅成分の信号と、振幅・位相分離回路33から出力されるi番目のブランチの振幅成分の信号とに基づいて、それらの振幅誤差を検出する。
【0048】
ステップS17では、位相誤差検出回路35において、振幅・位相分離回路32から出力される基準ブランチの位相成分の信号と、振幅・位相分離回路33から出力されるi番目のブランチの位相成分の信号とに基づいて、それらの位相誤差を検出する。
振幅誤差及び位相誤差の検出が終了すると、ステップS18において校正のための送信機13(i)の信号出力は停止する。
【0049】
カウンタiの値がN未満であればステップS18からS19を通ってS20に進み、カウンタiを更新してS12に戻り、上記処理を繰り返す。したがって、2〜Nのそれぞれのブランチについて、振幅誤差及び位相誤差が検出される。全ての処理が終了すると、ステップS21で基準ブランチの送信機13(1)からの信号出力が停止する。
【0050】
振幅・位相分離回路32から出力される基準ブランチの振幅成分の値(振幅)をA(1)とし、振幅・位相分離回路33から出力されるi番目のブランチの振幅成分の値(振幅)をA(i)とすると、振幅誤差検出回路34から出力される各ブランチの振幅誤差Ad(i)は次式で表される。
Ad(i)=A(i)/A(1) ・・・・ (1)
また、振幅・位相分離回路32から出力される基準ブランチの位相成分の値P(1)及び振幅・位相分離回路33から出力されるi番目のブランチの位相成分の値P(i)は、それぞれ次式で表される。
【0051】
P(1)=cos(2π・f1・t+θ(1)) ・・・ (2)
P(i)=cos(2π・f1・t+θ(i)) ・・・ (3)
但し、
t:時刻
θ(1):基準ブランチの送信機13(1)で生じる位相
θ(i):i番目のブランチの送信機13(i)で生じる位相
位相誤差検出回路35は混合器であるので、位相誤差検出回路35が出力する各ブランチの位相誤差Pd(i)は次式で表される。
【0052】
実際には、位相誤差検出回路35には遮断周波数が(2f1)以下の低域通過フィルタが内蔵されている。このため、周波数が(2f1)の信号成分は遮断されて位相誤差検出回路35の出力に現れない。つまり、実際に位相誤差検出回路35が出力する各ブランチの位相誤差Pd(i)は次式で表される。
【0053】
Pd(i)=cos(θ(1)−θ(i)) ・・・(5)
このため、振幅誤差Ad(i)としては前記第(1)式に示すように各ブランチの送信機13における振幅と基準ブランチとの比率が検出され、位相誤差Pd(i)としては前記第(5)式に示すように各ブランチの送信機13における位相と基準ブランチの位相との位相差が検出される。
【0054】
このようにして求めた各ブランチの振幅誤差Ad(i)及び位相誤差Pd(i)を利用することにより、各ブランチの送信機13(i)の位相が基準ブランチの送信機13(1)の位相と整合するように校正することができる。
次に、受信機校正演算部25の動作について図4を参照しながら説明する。なお、図4においては各々のブランチについて順番に信号の測定を行う場合を示してあるが、図1の構成を用いる場合には複数のブランチについて同時に信号の測定を行うこともできる。図4は実際の処理のタイミングとは無関係に受信機14の校正に必要な機能を示している。
【0055】
ステップS30では、カウンタiに初期値として1をセットする。カウンタiの値は校正対象のブランチの番号に対応している。ステップS32〜S35の処理はカウンタiの値に応じて繰り返し実行される。
ステップS31では、信号発生部22から周波数がf2の信号を出力する。信号発生部22が出力する信号は、分配器23でN系統に分配され、各ブランチのスイッチ16に印加される。
【0056】
ステップS32では、i番目のブランチのスイッチ16(i)を制御して、分配器23の出力と受信機14(i)の入力とを接続する。
信号発生部22から分配器23,スイッチ16(i)を介して受信機14(i)に入力される信号の周波数f2は受信機14(i)の受信周波数と同一であるため、受信機14(i)はこの信号を受信することができる。そこで、ステップS33では受信機14(i)が出力する振幅・位相値B(i)を測定する。
【0057】
初回はカウンタiの値が1なので、ステップS33からS34を通ってS35に進み、カウンタiの値を更新してステップS32に戻る。2回目以降の処理では、カウンタiの値が1以外なので、ステップS33からS34を通ってS36に進む。ステップS36では、次式の計算により校正値Bd(i)を求める。
Bd(i)=B(i)/B(1) ・・・ (6)
ステップS32〜S37の処理を繰り返すことにより、2番目〜N番目の各ブランチについて、受信機14(i)の校正値Bd(i)が得られる。
【0058】
前記第(6)式におけるB(i)は次式で表される。
B(i)=Sref・R(i) ・・・ (7)
但し、
Sref:信号発生部22からの信号の振幅・位相
R(i):受信機14(i)の振幅・位相
したがって、前記第(6)式は次式のように変形される。
【0059】
つまり、各ブランチの受信機14(i)に生じる振幅・位相値と基準ブランチの受信機14(1)に生じる振幅・位相値との誤差が校正値Bd(i)としてブランチ毎に得られる。
【0060】
(第2の実施の形態)
本発明の適応アレーアンテナ送受信装置のもう1つの実施の形態について、図5〜図7を参照して説明する。この形態は請求項2〜請求項4に対応する。
図5はこの形態の適応アレーアンテナ送受信装置の構成を示すブロック図である。図6は周波数f1−f2の生成回路例(1)を示すブロック図である。図7は周波数f1−f2の生成回路例(2)を示すブロック図である。
【0061】
この形態は、第1の実施の形態の変形例である。図5において第1の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第1の実施の形態と同一の構成及び同一の動作については以下の説明を省略する。
この形態では、請求項2のアンテナ素子,送信機,受信機,送受共用手段,指向性制御演算回路,分岐手段,第1の校正値演算手段,ローカル信号発生手段,周波数変換器,第1のスイッチ及び第2の校正値演算手段は、それぞれアンテナ素子11,送信機13,受信機14,サーキュレータ12,指向性制御演算部26,カップラ15,送信機校正演算部24,信号発生器41,周波数変換器42,スイッチ16及び受信機校正演算部25に対応する。
【0062】
また、請求項3の第2のスイッチ,第1の振幅・位相分離回路,第2の振幅・位相分離回路,振幅誤差抽出回路及び位相誤差抽出回路は、それぞれスイッチ31,振幅・位相分離回路32,振幅・位相分離回路33,振幅誤差検出回路34及び位相誤差検出回路35に対応する。
この形態では、受信機14の校正のために信号発生部40を設けてある。信号発生部40には、信号発生器41,周波数変換器42及び分配器43が備わっている。信号発生器41は、送信機13の送信周波数f1と受信機14の受信周波数f2との差分に相当する周波数(|f1−f2|)の信号を出力する。
【0063】
周波数変換器42は、基準ブランチに割り当てた1番目のブランチのカップラ15(1)からの信号(周波数はf1)と信号発生器41からの信号とを混合する。したがって、周波数変換器42の出力にはf2の周波数成分が得られる。すなわち、送信機13(1)が出力する周波数がf1の信号は、周波数変換器42を通り周波数がf2の信号に変換される。周波数変換器42が出力する信号は、分配器43でN系統に分配され、各ブランチのスイッチ16に印加される。
【0064】
各ブランチユニット10並びに送信機校正演算部24及び受信機校正演算部25の構成及び動作は第1の実施の形態と同一である。
信号発生器41が出力する周波数が(|f1−f2|)の信号については、受信機のローカル信号と送信機のローカル信号とを用いて生成することができる。すなわち、信号発生器41は、例えば図6に示す回路、又は図7に示す回路で実現できる。
【0065】
図6は、ベースバンド帯の周波数と通信周波数帯の周波数とを直接変換するダイレクトコンバージョン方式の回路を示しており、図7は、中間周波数を設けてベースバンド帯と通信周波数帯との間の周波数変換を2段階の周波数変換で行うスーパーヘテロダイン方式の回路を示している。
図6の回路においては、送信部60が周波数変換に利用している発振器61の出力信号の周波数が送信周波数f1と同一であり、受信部70が周波数変換に利用している発振器71の出力信号の周波数が受信周波数f2と同一であるため、発振器61の出力信号と発振器71の出力信号とを周波数変換器80で混合することにより、両者の差分の周波数(f1−f2)が得られる。
【0066】
図7の回路においては、中間周波数がfIFの場合を想定している。従って、送信部60の発振器65が出力する信号の周波数は(f1−fIF)であり、受信部70の発振器75が出力する信号の周波数は(f2−fIF)である。図7に示すように、発振器65の出力信号と発振器75の出力信号とを周波数変換器80で混合することにより、両者の差分の周波数(f1−f2)が得られる。
【0067】
図6又は図7に示す回路によって図5の信号発生器41を構成する場合には、送信機13及び受信機14のそれぞれの周波数変換に利用しているローカル信号を用いて(f1−f2)の信号を生成するので、新たな発振器を設ける必要がなく回路構成が簡略化される。しかも、信号発生器41の内部で利用する周波数と実際の送信周波数及び受信周波数との間に偏差が生じないので、校正の精度が改善される。
【0068】
送信機13について求められる各ブランチの校正値(振幅誤差Ad(i),位相誤差Pd(i))については、第1の実施の形態と同様である。
一方、信号発生部40からの信号をスイッチ16を介して受信機14で受信して得られる各ブランチの振幅・位相値C(i)は次式で表される。
C(i)=S(f1,1)・Q・R(i) ・・・ (9)
但し、
S(f1,1):送信機13(1)からの周波数がf1の信号の振幅・位相
Q:周波数変換器42で生じる振幅・位相成分
R(i):受信機14(i)の振幅・位相
したがって、図5の受信機校正演算部25によって求められる各ブランチの校正値Cd(i)は次式で表される。
【0069】
なお、S(f1,1),Qの項は校正には不要であるが、各ブランチのループで共通となるため、この影響は除去される。つまり、各ブランチの受信機14(i)に生じる振幅・位相値と基準ブランチの受信機14(1)に生じる振幅・位相値との誤差が校正値Cd(i)としてブランチ毎に得られる。
【0070】
また、前記第(9)式及び第(10)式における温度特性による振幅・位相値の変動成分Qは、実際には信号発生器41における変動成分と、受信機14における変動成分と、校正に用いる周波数変換器42における変動成分とを含んでいる。したがって、時間の経過に伴う温度変化に対して周波数変換器42の特性が変化するが、周波数変換器42については校正処理でいずれのブランチの振幅・位相値を測定する際にも共通に利用しているので、単一の周波数変換器42の振幅・位相値の変動成分Qは求める校正値に影響を及ぼさない。
【0071】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、FDDのように送信周波数と受信周波数とが異なる場合であっても各ブランチ間の送信機及び受信機の振幅・位相値を個別に校正することが可能であり、例えば基地局の設置場所の違いによる環境変動や通信中の温度変化によって生じる各ブランチ間の振幅・位相誤差を補償することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の適応アレーアンテナ送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】送信機校正演算部24の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態の送信機校正演算部24の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態の受信機校正演算部25の動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態の適応アレーアンテナ送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図6】周波数f1−f2の生成回路例(1)を示すブロック図である。
【図7】周波数f1−f2の生成回路例(2)を示すブロック図である。
【図8】アレーアンテナの構成及び指向パターンを示すグラフである。
【図9】振幅及び位相誤差とヌル深度との関係を示すグラフである。
【図10】従来例のアダプティブアレーアンテナとFDDシステムとの組み合わせを示すブロック図である。
【図11】従来例の校正回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 ブランチユニット
11 アンテナ素子
12 サーキュレータ
13 送信機
14 受信機
15 カップラ
16 スイッチ
22 信号発生部
23 分配器
24 送信機校正演算部
25 受信機校正演算部
26 指向性制御演算部
31 スイッチ
32,33 振幅・位相分離回路
34 振幅誤差検出回路
35 位相誤差検出回路
36 制御部
40 信号発生部
41 信号発生器
42 周波数変換器
43 分配器
60 送信部
61,65 発振器
62,66 分配器
63,68 アップコンバータ
67 中間周波処理部
70 受信部
71,75 発振器
72,76 分配器
73,78 ダウンコンバータ
77 中間周波処理部
80 周波数変換器
Claims (4)
- 2以上のN個のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、N個の送信機及び受信機と、前記各アンテナ素子に前記送信機及び受信機をそれぞれ接続する送受共用手段と、前記複数の受信機に各アンテナ素子からそれぞれ入力される信号に対して振幅及び位相の重み付けを行って複数の受信機の出力を合成することにより前記アレーアンテナの放射パターンを制御する指向性制御演算回路とを備えるとともに、前記受信機の受信周波数と前記送信機の送信周波数とが異なる適応アレーアンテナ送受信装置において、
前記N個の送信機のそれぞれの出力から信号の一部分を分岐して取り出すN個の分岐手段と、
前記N個の分岐手段がそれぞれ出力する信号に基づいて各ブランチの送信機間の振幅及び位相の校正値を求める第1の校正値演算手段と、
前記受信機の受信周波数と同じ周波数の信号を出力する基準信号発生手段と、
前記送受共用手段からの受信信号と、前記基準信号発生手段からの信号とのいずれか一方を選択的に前記受信機の入力に印加するN個の第1のスイッチと、
前記N個の第1のスイッチの選択状態を制御するとともに、前記N個の受信機のそれぞれが前記基準信号発生手段からの信号を受信して得られる信号に基づいて、各ブランチの受信機間の振幅及び位相の校正値を求める第2の校正値演算手段とを設け、
前記第1の校正値演算手段に、
予め定めた基準ブランチ以外の(N−1)個のブランチのそれぞれに属する分岐手段からの信号のいずれか1つを選択する第2のスイッチと、
前記基準ブランチに属する分岐手段からの信号について振幅成分と位相成分とを分離して出力する第1の振幅・位相分離回路と、
前記第2のスイッチが選択した信号について振幅成分と位相成分とを分離して出力する第2の振幅・位相分離回路と、
前記第1の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分との誤差を検出する振幅誤差抽出回路と、
前記第1の振幅・位相分離回路が出力する位相成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する位相成分との誤差を検出する位相誤差抽出回路とを設けた
ことを特徴とする適応アレーアンテナ送受信装置。 - 2以上のN個のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、N個の送信機及び受信機と、前記各アンテナ素子に前記送信機及び受信機をそれぞれ接続する送受共用手段と、前記複数の受信機に各アンテナ素子からそれぞれ入力される信号に対して振幅及び位相の重み付けを行って複数の受信機の出力を合成することにより前記アレーアンテナの放射パターンを制御する指向性制御演算回路とを備えるとともに、前記受信機の受信周波数と前記送信機の送信周波数とが異なる適応アレーアンテナ送受信装置において、
前記N個の送信機のそれぞれの出力から信号の一部分を分岐して取り出すN個の分岐手段と、
前記N個の分岐手段がそれぞれ出力する信号に基づいて各ブランチの送信機間の振幅及び位相の校正値を求める第1の校正値演算手段と、
前記受信機の受信周波数と前記送信機の送信周波数との差分に相当する周波数の信号を出力するローカル信号発生手段と、
前記ローカル信号発生手段が出力する信号に基づいて、予め定めた基準ブランチに属する前記分岐手段からの分岐出力を周波数変換する周波数変換器と、
前記送受共用手段からの受信信号と、前記周波数変換器が出力する信号とのいずれか一方を選択的に前記受信機の入力に印加するN個の第1のスイッチと、
前記N個の第1のスイッチの選択状態を制御するとともに、前記N個の受信機のそれぞれが前記周波数変換器の出力からの信号を受信して得られる信号に基づいて、各ブランチの受信機間の振幅及び位相の校正値を求める第2の校正値演算手段と
を設けたことを特徴とする適応アレーアンテナ送受信装置。 - 請求項2の適応アレーアンテナ送受信装置において、
前記第1の校正値演算手段に、
前記基準ブランチ以外の(N−1)個のブランチのそれぞれに属する分岐手段からの信号のいずれか1つを選択する第2のスイッチと、
前記基準ブランチに属する分岐手段からの信号について振幅成分と位相成分とを分離して出力する第1の振幅・位相分離回路と、
前記第2のスイッチが選択した信号について振幅成分と位相成分とを分離して出力する第2の振幅・位相分離回路と、
前記第1の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する振幅成分との誤差を検出する振幅誤差抽出回路と、
前記第1の振幅・位相分離回路が出力する位相成分と第2の振幅・位相分離回路が出力する位相成分との誤差を検出する位相誤差抽出回路と
を設けたことを特徴とする適応アレーアンテナ送受信装置。 - 請求項2の適応アレーアンテナ送受信装置において、前記第2の校正値演算手段は、前記基準ブランチの受信機が前記周波数変換器の出力からの信号を受信して得られる第1の振幅・位相値と、前記基準ブランチ以外の(N−1)個のブランチの各々に属する前記受信機が基準信号発生手段からの信号を受信して得られる第2の振幅・位相値との比率を各ブランチの受信機の校正値として求めることを特徴とする適応アレーアンテナ送受信装置。
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