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JP3586348B2 - 信号対干渉電力比測定装置及び信号対干渉電力比測定方法並びにcdma通信方式下での送信電力制御方法 - Google Patents

信号対干渉電力比測定装置及び信号対干渉電力比測定方法並びにcdma通信方式下での送信電力制御方法 Download PDF

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JP3586348B2 JP05028897A JP5028897A JP3586348B2 JP 3586348 B2 JP3586348 B2 JP 3586348B2 JP 05028897 A JP05028897 A JP 05028897A JP 5028897 A JP5028897 A JP 5028897A JP 3586348 B2 JP3586348 B2 JP 3586348B2
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Description

【0001】
(目次)
発明の属する技術分野
従来の技術(図9,10)
発明が解決しようとする課題
課題を解決するための手段
発明の実施の形態(図1〜図8)
発明の効果
【0002】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば移動無線通信装置、特に多元接続方式を用いたCDMA(Code Division Multiple Access )を採用する移動無線通信装置の送信電力制御を行なう際に用いて好適な、信号対干渉電力比測定装置及び信号対干渉電力比測定方法並びにCDMA通信方式下での送信電力制御方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
近年、無線通信に使用される伝送方式としては、周波数利用効率の良い多元接続方式であるスペクトラム拡散を用いた符号分割多元接続方式(CDMA)が注目されているが、特にセルラーDS/CDMA(Direct Sequence/Code Division Multiple Access )移動通信において、所要の回線品質を維持し加入者容量を増大させるためには、遠近問題を解決する送信電力制御が重要な技術となる。
【0004】
そこで、図9は一般的なDS/CDMA通信方式を適用する無線通信システムであるが、この図9に示す無線通信システム100は、基地局101と複数の端末局(移動局)102−1〜102−n(nは2以上の自然数)とをそなえて構成されており、1つの基地局101と複数の端末局102−1〜102−nとの間において音声やデータ等の情報の送受信を行なうようになっている。
【0005】
具体的に、図9において基地局101から複数の端末局102−1〜102−nへの情報の送信を行なうに際しては、CDMA方式では符号によって多重を行なっているため、同時刻に同周波数ですべての端末局102−1〜102−n向けの信号を送信することができるようになっている。
また、この図9に示す無線通信システムにおいて、上述の送信電力制御を実現する方法の一つとして、基地局101において各端末局102−1〜102−nからの受信信号の信号対干渉電力比(SIR:Signal to Interference Ratio)値を測定し、この値を一定に保つように端末局102−1〜102−nの送信電力を制御する閉ループ送信電力制御がある。
【0006】
一般に信号対干渉電力比測定法としては、RAKE合成(遅延波合成)後の平均受信電力を受信電力(S)とし、その分散を干渉電力(I)として求める方法が知られている。なお、上述のRAKE合成は、遅延時間の異なる複数の受信波としての遅延波について、同期をとった後にそれぞれ逆拡散処理及び伝送路チャネルの推定処理が施されたものについて行なわれるようになっている。
【0007】
ここで、図10は上述の手法で信号対干渉電力比(SIR)を測定するSIR測定装置を示す図であるが、この図10に示すSIR測定装置80は、象限検出部80A,ベクトル平均計算部80B,2乗計算部80C,2乗平均計算部80D,減算部80E及びSIR計算部80Fをそなえて構成されている。
ここで、象限検出部80Aは、RAKE合成後の受信信号ベクトルの象限を検出するもので、同相成分と直交成分に対してそれぞれ絶対値を取るなどして1つの象限に縮退させるようになっている。
【0008】
ベクトル平均計算部80Bは象限検出部80Aからの出力のベクトル平均を計算するものであり、2乗計算部80Cはベクトル平均した値から受信電力(S)を求めるもので、後述するSIR計算部80Fに出力されている。
2乗平均計算部80Dは入力されてくるRAKE合成後の受信信号の2乗平均を計算するものであり、減算部80Eは2乗平均計算部80Dからの出力から2乗計算部80Cからの出力を減算するもので、これにより、受信信号の分散を求めることができるようになっている。そして、この出力を干渉電力(I)としている。
【0009】
SIR計算部80Fは2乗計算部80Cからの出力(S:受信電力)と減算部80Eからの出力(I:干渉電力)とに基づいてSIR(S/I比)を算出するものである。このように、図10に示す2乗計算部80では、受信電力及び干渉電力のいずれについてもベクトル平均計算部80Bにて演算されるRAKE合成後の受信信号ベクトルの平均値を用いてSIRを求めるようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなSIR測定手法では、速いフェージング環境や多局間干渉下及び雑音環境下においてSIR測定精度が低下する場合があり、このような環境下で測定されたSIRに基づいて送信電力制御を行なう場合には、結果的に送信電力制御そのものの精度にまで影響してしまうという課題がある。
【0011】
このSIR測定の精度を劣化させる原因としては、受信電力(S)と干渉電力(I)の両方に受信信号ベクトルの平均値を用いているためであり、この受信信号ベクトルは雑音や伝送路チャネルの推定精度によって大きく変化するため不安定である。そのため、精度を良くするには長い区間の平均値を求める必要がある。
【0012】
また、伝送路チャネルが不確定であるデータシンボル区間の値を用いることも精度劣化につながるため、伝送路チャネルを精度よく推定し、SIR測定精度を向上させるためには、パイロットシンボル区間の値のみを用いるなどの工夫が必要となってくる。
一般的に、パイロットシンボルは、複数のデータシンボルを挟んでスロットの先端及び終端に配置されており、伝送路チャネルを精度良く推定するためには、複数のパイロットシンボルを用いて推定することになる。
【0013】
したがって、この場合も複数のデータシンボルが挟まれた少なくとも2つのパイロットシンボル区間という長い区間(多くのスロット)にわたってSIRの測定を行なわなければならず、速いフェージング環境での応用に適していない。そのため、結果としてSIR測定だけでなく、送信電力制御の遅延についても増大させることになってしまい、このような送信電力制御の遅延によって、制御誤差を大きくするとともに受信特性も大きく劣化させてしまうのである。
【0014】
ところで、上述のDS/CDMA通信方式においては、拡散符号間の相互相関に起因する他ユーザからの干渉を低減する干渉キャンセラの適用も重要な技術とされている。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、干渉キャンセラにて生成される信号を用いることにより、速いフェージング環境や多局間干渉又は雑音環境に影響されることなく、より精度の高いSIRを測定することができるようにした、信号対干渉電力比測定装置及び信号対干渉電力比測定方法とともに、このような環境においても精度の高い送信電力制御を行なうことができるようにした、CDMA通信方式下での送信電力制御方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の信号対干渉電力比測定装置は、CDMA通信方式の基で受信された受信信号を処理する装置において、該受信信号に起因する入力信号に対し逆拡散処理を施してから、該入力信号についての情報シンボルの仮判定を行なった後に、再び拡散処理を施したものを干渉レプリカ信号として出力する干渉レプリカ信号生成部と、該干渉レプリカ信号生成部で生成された該干渉レプリカ信号を該受信信号から減算する減算器と、該減算器の出力から干渉電力情報を検出する干渉電力検出部と、該受信信号に起因する信号に対し逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出する信号電力検出部と、該干渉電力検出部で検出された干渉電力情報と該信号電力検出部で検出された信号電力情報とから信号対干渉電力比を演算する信号対干渉電力比演算部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
【0016】
また、請求項2記載の本発明の信号対干渉電力比測定装置は、請求項1記載の信号対干渉電力比測定装置において、該信号電力検出部が、該干渉レプリカ信号生成部の中間処理段階で得られる逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項3記載の本発明の信号対干渉電力比測定装置は、請求項1記載の信号対干渉電力比測定装置において、該信号電力検出部が、該減算器の出力に対し逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出するように構成されていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項4記載の本発明の信号対干渉電力比測定装置は、CDMA通信方式の基で受信された受信信号を処理する基地局において、該受信信号に起因する入力信号に対し逆拡散処理を施してから、該入力信号についての情報シンボルの仮判定を行なった後に、再び拡散処理を施したものを干渉レプリカ信号として出力すべく、複数縦列的に設けられた干渉レプリカ信号生成部と、各干渉レプリカ信号生成部の出力側に設けられて、該干渉レプリカ信号生成部で生成された該干渉レプリカ信号を、遅延処理を施された該受信信号から減算する複数の減算器と、最終段の該減算器の出力から干渉電力情報を検出する干渉電力検出部と、上記複数の干渉レプリカ信号生成部のうちの任意の干渉レプリカ信号生成部の中間処理段階で得られる逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出する信号電力検出部と、該干渉電力検出部で検出された干渉電力情報と該信号電力検出部で検出された信号電力情報とから信号対干渉電力比を演算する信号対干渉電力比演算部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
【0018】
さらに、請求項5記載の本発明の信号対干渉電力比測定装置は、CDMA通信方式の基で受信された受信信号を処理する基地局において、該受信信号に起因する入力信号に対し逆拡散処理を施してから、該入力信号についての情報シンボルの仮判定を行なった後に、再び拡散処理を施したものを干渉レプリカ信号として出力すべく、複数縦列的に設けられた干渉レプリカ信号生成部と、各干渉レプリカ信号生成部の出力側に設けられて、該干渉レプリカ信号生成部で生成された該干渉レプリカ信号を、遅延処理を施された該受信信号から減算する複数の減算器と、最終段の該減算器の出力を入力信号として受けることにより、この信号に対し逆拡散処理を施す受信部と、最終段の該減算器の出力から干渉電力情報を検出する干渉電力検出部と、該受信部において得られる逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出する信号電力検出部と、該干渉電力検出部で検出された干渉電力情報と該信号電力検出部で検出された信号電力情報とから信号対干渉電力比を演算する信号対干渉電力比演算部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
【0019】
また、請求項6記載の本発明の信号対干渉電力比測定方法は、CDMA通信方式の基で受信された受信信号を処理する装置において、拡散コード間の干渉を除去するための干渉キャンセラによって生成された干渉レプリカ信号を該受信信号から減算したものに基づいて、干渉電力情報を検出するとともに、該受信信号に起因する信号に対し逆拡散処理を施した信号に基づいて、信号電力情報を検出して、上記の干渉電力情報と信号電力情報とから信号対干渉電力比を演算することを特徴としている。
【0020】
さらに、請求項7記載の本発明のCDMA通信方式下での送信電力制御方法は、基地局と複数の移動局との間の通信をCDMA通信方式で行なうものにおいて、該基地局において、拡散コード間の干渉を除去するための干渉キャンセラによって生成された干渉レプリカ信号を該基地局で受信された受信信号から減算したものに基づいて、干渉電力情報を検出するとともに、該受信信号に起因する信号に対し逆拡散処理を施した信号に基づいて、信号電力情報を検出して、上記の干渉電力情報と信号電力情報とから信号対干渉電力比を演算したあと、この信号対干渉電力比が所定値となるように、各移動局の送信電力を制御することを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(a)第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態にかかる信号対干渉電力比測定装置が適用された無線通信システムの構成を示すブロック図であるが、この図1に示す無線通信システム110は、DS/CDMA通信方式を適用するものであり、ユーザ毎に移動局50をそなえるとともに、複数の移動局50を無線回線を介して収容しうる基地局60をそなえて構成されている。
【0022】
そして、この基地局60には、第1実施形態にかかる信号対干渉比測定装置を構成する干渉キャンセラ61及びSIR演算部62が設けられるとともに、復号器63,送信フレーム生成部64及び比較回路65が設けられている。
ここで、干渉キャンセラ61は移動局間の非同期による拡散コード間の干渉を除去するとともに、後述の干渉電力(I)及び受信電力(S)を測定する機能も有している。
【0023】
さらに、SIR演算部(信号対干渉電力比演算部)62は上述の干渉キャンセラ61にて演算された干渉電力と受信電力とから信号対干渉電力比(SIR)を演算するものであり、復号器63は干渉キャンセラ61で処理された信号を復号化するものである。なお、干渉キャンセラ61,SIR演算部62及び復号器63は移動局50からの信号を受信する受信部6Bとして構成されている。
【0024】
また、比較回路65はSIR演算部62において測定された各ユーザのSIR値を予め設定された目標のSIR値と比較するもので、その結果を送信電力ビット(TPCビット:Transmission Power Control bit)として出力するようになっている。
送信フレーム生成部64は比較回路65からのTPCビットを各ユーザに対する送信フレームのスロット内に挿入し、各ユーザ毎の送信フレームを生成するもので、その送信フレームは基地局60から移動局50(ユーザ個々)へ送信されるようになっている。なお、送信フレーム生成部64及び比較回路65は基地局60から移動局50に対して信号を送信する送信部6Aとして構成されている。
【0025】
また、移動局(端末局)50には、変調器51,送信増幅器52,復号器53及びRAKE復調部54が設けられている。ここで、変調器51は移動局50におけるデータに変調処理を施すものであり、送信増幅器(送信アンプ)52は変調器51からの出力を増幅し基地局60へ送信するもので、後述するRAKE復調部54によって調整されている。なお、この変調器51及び送信増幅器52は移動局50から基地局60に対して信号を送信する送信部5Aとして構成されている。
【0026】
RAKE復調部54は、基地局60からの出力される送信フレームを受信フレームとして受信し、この受信フレームに含まれるTPCビットについて解読するもので、解読されたTPCビットに基づき送信増幅器52における信号の増幅処理を調整するようになっている。
さらに、復号器53はRAKE復調部54からの信号を復号化するものである。なお、この復号器53及びRAKE復調部54は受信部5Bとして構成されている。
【0027】
このように、無線通信システム110では、干渉キャンセラ61の出力値〔干渉電力(I)と受信電力(S)〕に基づいて得られるSIR値を用いて送信電力制御を行なうことができるようになっている。
このような構成により、図1に示す無線通信システム110では、干渉キャンセラ61において測定された各ユーザのSIR値を比較回路65において目標のSIR値と比較したのち、その比較結果を送信電力ビット(TPCビット)として各ユーザに対する送信フレームのスロット内に挿入して、基地局60から移動局50へ送信する。
【0028】
そして、各ユーザ側に配置された移動局50では、RAKE復調部54において、基地局60からの送信フレームを受信フレームとして受信し、この受信フレームに含まれるTPCビットを解読し、解読結果を送信増幅器52に出力する。送信増幅器52では、RAKE復調部54からのTPCビットに基づいて出力が調整される。
【0029】
即ち、変調器51からの送信信号が所望の増幅率で増幅されて、基地局60へ送信される。これにより、基地局60側において全てのユーザの受信SIRを目標のSIR値になるように制御することができ、必要な回線品質が維持される。ところで、図2は第1実施形態にかかる信号対干渉電力比測定装置120を構成する干渉キャンセラ61及びSIR演算部62を示すブロック図であるが、この図2に示す干渉キャンセラ61には、干渉レプリカ生成ユニット1−1〜1−n,減算器2−1〜2−n,干渉電力測定部3,受信器4及び遅延回路5−1〜5−nが設けられている。
【0030】
また、各干渉レプリカ生成ユニット1−i,減算器2−i及び遅延回路5−i(i=1〜nの自然数)により、計nステージの演算ユニットが構成され、受信器4により最終ステージの演算ユニットが構成される。なお、図2中、干渉レプリカ生成ユニット1−3〜1−n,減算器2−3〜2−n遅延回路5−3〜5−nについては図示を省略している。
【0031】
ここで、干渉レプリカ生成ユニット(干渉レプリカ信号生成部)1−iは受信信号に起因する入力信号に対し逆拡散処理を施してから、その入力信号についての情報シンボルの仮判定を行なった後に、再び拡散処理を施したものを干渉レプリカ信号として出力するものであって、複数縦列的に設けられている。
即ち、隣接する干渉レプリカ生成ユニット1−i(第iステージの干渉レプリカ生成ユニット)が、相互に接続されて、マルチステージ型干渉キャンセラが構成されるのである。さらに、各干渉レプリカ生成ユニット1−i(1−nを除く)からは、シンボルレプリカ信号が後段の干渉レプリカ生成ユニット1−(i+1)へ出力される一方、干渉レプリカ生成ユニット1−nからのシンボルレプリカ信号は、受信器4へ出力されている。
【0032】
なお、干渉レプリカ生成ユニット1−iは、それぞれ基地局60内で収容しうるユーザ数(移動局50の台数)に対応した数のユニット(ICUユーザ)1−1−1〜1−1−n,...,1−n−1〜1−n−n(以下、1−1−i,...,1−n−iとする)を有しており、干渉レプリカ生成ユニット1−iから出力される干渉レプリカ信号としては各ユーザに対応したユニットからの干渉レプリカ信号の総和が出力されることになる。また、この干渉レプリカ生成ユニット1−iの詳細な構成については図3にて後述することにする。
【0033】
減算器2−iは干渉レプリカ生成ユニット1−iで生成された干渉レプリカ信号を元の受信信号から減算するもので、具体的には、干渉レプリカ生成ユニット1−iからの干渉レプリカ信号を後述する遅延回路5−iからの出力から減算するようになっており、干渉レプリカ生成ユニット1−iの出力側に設けられている。そして、この減算器2−iからの出力は残差信号(受信信号に起因する信号)として次段のステージに出力されるようになっている。
【0034】
干渉電力測定部(干渉電力検出部)3は、減算器2−iの出力から干渉電力(I)を検出するもので、第1実施形態では、第2ステージの減算器2−2から出力される残差信号から干渉電力(I)を検出するようになっている。そして、この干渉電力(I)はSIR演算部62へ出力されている。
受信器(受信部)4は、第nステージ(最終段)の干渉レプリカ生成ユニット1−nの出力側に設けられた減算器2−nの出力を入力信号として受けることにより、この信号に対し逆拡散処理を施すもので、RAKE合成後の信号を用いてビタビ復号を行なうようになっている。また、上述したように、この受信器4は干渉キャンセラ61の最終ステージとしてそなえられており、この受信器4もそれぞれ複数のユーザに対応した数の受信ユニット(Recユーザ)4−1〜4−nを有している。
【0035】
遅延回路(Delay )5−iは受信信号に起因する入力信号を所定時間遅延するもので、その出力は上述した減算器2−iへ接続されている。そして、減算器2−iでは上述したように、干渉レプリカ信号からこの遅延信号を減算しているのである。
つまり、減算器2−iからの残差信号は受信信号から全ユーザの信号成分を差し引いたもので、干渉成分信号に相当するものである。
【0036】
ここで、上述の図2に示すユーザ毎のユニット1−1−i,...,1−n−iの構成について、ユニット1−2−iに着目して以下詳述する。即ち、ユニット1−2−iは、例えば図3に示すように、逆拡散処理部10,加算器11,チャネル推定回路12,乗算器13,RAKE合成部14,硬判定部15,乗算器16,減算器17,再拡散処理部18,信号合成部19及び受信電力測定部20をそなえて構成されている。
【0037】
なお、上述した逆拡散処理部10,加算器11,チャネル推定回路12及び乗算器13における処理や、乗算器16,減算器17及び再拡散処理部18における処理は、複数の遅延波に対応するように設けられているもので(この図3においてはそれぞれ3つの遅延波に対応した3ユニット)、測定条件に応じて設置数を適宜変更することもできる。
【0038】
また、この図3に示す干渉レプリカ生成ユニット1−iは、特に第2ステージの干渉レプリカ生成ユニット1−2に設けられた複数のユーザ毎のユニット1−2−1〜1−2−nのうちの1つを示しているが、説明を簡略化するため、干渉レプリカ生成ユニット1−2として以下詳述する。
ここで、逆拡散処理部10は受信信号に起因する入力信号に対して逆拡散処理を施すもので、具体的には、減算器2−1を介して得られる第1ステージの干渉レプリカ生成ユニット1−1から出力される信号(残差信号)に対し逆拡散処理を施すようになっている。具体的にはシンボルレートに変換するようになっている。
【0039】
加算器11は逆拡散処理部10において逆拡散処理を施された信号と前段の干渉レプリカ生成ユニット1−1から出力される信号(シンボルレプリカ信号)とを加算するものである。
チャネル推定回路12は入力される信号のパイロットシンボルを用いて伝送路チャネルを推定するもので、スロット先端のパイロットシンボルのみを用いて行なうようになっている。そのため、第1,第2ステージのユニット1−1−i,1−2−iでは数シンボルの処理遅延で済み、SIRを測定するまでの処理遅延を極力小さくすることができる。
【0040】
さらに、第3ステージ以降でスロット終端のパイロットシンボルを用いてより正確に伝送路チャネル推定を行なうことにより、干渉キャンセラ61そのものの特性劣化を抑えることもできる。
乗算器13は加算器11からの出力にチャネル推定回路12からのチャネル推定値の複素共役を乗算するものである。
【0041】
RAKE合成部14は、上述の乗算器13からの遅延波出力について、最大比合成(合成後のSIRが最大となるような合成処理)を施している。硬判定部15は情報シンボルの仮判定を行なうもので、RAKE合成部14において最大比合成された信号に基づいて干渉レプリカ生成ユニット1−2のそれぞれの信号のおよその位置を判定するようになっている。
【0042】
受信電力測定部(信号電力検出部)20は受信信号に起因する信号に対し逆拡散処理を施した信号に基づいて受信電力(S)を検出するもので、複数の干渉レプリカ生成ユニット1−iのうちの任意の干渉レプリカ生成ユニット1−iの中間処理段階(第1実施形態においては第2ステージ)で得られる逆拡散処理を施した信号に基づいて受信電力(S)を検出するようになっている。そして、この受信電力(S)は、SIR演算部62へ出力されている。
【0043】
つまり、この受信電力測定部20において検出される受信電力(S)と、上述の干渉電力測定部3において検出される干渉電力(I)とは、別々に検出することができるので、SIR演算部62において、精度良くSIRを求めることができるのである。
なお、上述の受信電力(S)は、RAKE合成部14からの出力を2乗平均することにより検出するようになっており、そのため、SIR測定にデータシンボル区間を用いても大きな精度劣化を生じないようになっている。従って、速いフェージング環境においても良好なSIRの測定精度を維持することができるだけでなく、より少ない遅延でSIR測定を行なうことができ、結果的に送信電力制御特性を向上することができるのである。
【0044】
また、上述の図3に示す乗算器16は硬判定部15からの出力(仮判定値)にチャネル推定回路12からの出力(チャネル推定値)を乗算するもので、再び遅延波のパスに分解するようになっており、その出力は後述する減算器17へ接続されるとともに、再拡散前のパス毎に分解されたシンボルレプリカ信号(硬判定結果)としてユニット1−2−iに対応する後段のユニット1−3−iへ出力されるようになっている。減算器17は乗算器16の出力からユニット1−2−iに対応する前段のユニット1−1−iで生成されたシンボルレプリカ信号を減算するものである。
【0045】
再拡散処理部18は減算器17からの出力に再拡散処理を施すものであり、信号合成部19は再拡散処理部18からの出力の合成を行なうもので、この信号合成部19からの出力が干渉レプリカ信号として減算器2−2へ出力されている。これにより、減算器2−2では、各ユーザからの干渉レプリカ信号を遅延回路2−5からの出力から減算し、次段の第3ステージに出力している。
【0046】
従って、第1実施形態では、受信信号に起因する入力信号から生成される干渉レプリカ信号を各ステージにおいて受信信号から繰り返し差し引くことにより、受信信号から受信電力(S)と干渉電力(I)とを確実に分離することができる。また、測定されたSIR値が所定値となるように各ユーザの移動局50の送信電力を制御することができるので、必要な回線品質を維持することが可能となる。
【0047】
なお、他のステージのユニット1−1−i,1−3−i,...,1−n−iにおいては、上述のユニット1−2−iに比して、受信電力測定部20を設けない点が異なるが、これ以外の構成については基本的に同様である。また、第1ステージの干渉レプリカ生成ユニット1−1においては、シンボルレプリカ信号の入力がないため、加算器11及び減算器17は設けなくてもよく、設ける場合には“0”を加算及び減算するようになっている。
【0048】
さらに、第1実施形態においては、第2ステージのユニット1−2−iにおいて受信電力を測定しているが、この受信電力測定処理を第1ステージのユニット1−1−iにおいて行なうようにしてもよい。
上述の構成により、本発明の第1実施形態にかかるSIR装置120が適用された無線通信システム110では、図1,図2に示すように、移動局50からの信号を受信すると、この受信信号は、干渉キャンセラ61において、遅延回路5−1と第1ステージの干渉レプリカ生成ユニット1−1へ入力される。
【0049】
その後、第1ステージにおける干渉レプリカ生成ユニット1−1のユニット1−1−iにおいて、ユーザ毎の干渉レプリカ信号及びシンボルレプリカ信号が生成され、ユーザ毎に生成された全ての干渉レプリカ信号は、減算器2−1へ出力される。そして、減算器2−1において遅延回路5−1からの出力と減算処理が施され、減算器2−1からは残差信号として第2ステージの干渉レプリカ生成ユニット1−2の各ユニット1−2−iへ出力される。一方、各ユニット1−1−iからのシンボルレプリカ信号も、第2ステージの干渉レプリカ生成ユニット1−2の対応するユニット1−2−iへ出力される。
【0050】
また、第2ステージにおいては、前段の減算器2−1からの残差信号が入力されると、干渉レプリカ生成ユニット1−2の各ユニット1−2−iにおいて同様に干渉レプリカ信号とシンボルレプリカ信号とが生成されるとともに、受信電力測定部20において各ユーザ毎の受信電力(S)が検出される。
このときの干渉レプリカ生成ユニット1−2における処理について、以下、図3を用いて説明する。
【0051】
つまり、ユニット1−2−iでは、減算器2−1を介して得られる第1ステージの干渉レプリカ生成ユニット1−1からの信号(干渉レプリカ信号)を逆拡散処理部10において逆拡散処理を施し、加算器11においてこの逆拡散処理された信号とユニット1−2−iに対応するユニット1−1−iからのシンボルレプリカ信号とを加算し、チャネル推定回路12において伝送路チャネルを推定する。
【0052】
その後、乗算器13において加算器11からの出力にチャネル推定値の複素共役を乗算し、RAKE合成部14において最大比合成を行なったのち、受信電力測定部20においてこの最大比合成出力から受信電力(S)を2乗平均演算により測定し、測定された受信電力(S)をSIR演算部62へ出力する。
一方、このRAKE合成部14からの出力を、さらに硬判定部15において仮判定したのち、この仮判定した信号とチャネル推定回路12からのチャネル推定値を乗算器16にて乗算し、シンボルレプリカ信号として第3ステージの干渉レプリカ生成ユニット1−3へ出力する。
【0053】
さらに、減算器17においては、乗算器16からの出力について第1ステージからのシンボルレプリカ信号を減算し、再拡散処理部18にて再拡散処理を施したのちに、信号合成部19にて合成し、干渉レプリカ信号として減算器2−2へ出力する。
その後、減算器2−2では、減算器2−1からの干渉レプリカ信号について遅延された信号を遅延回路5−2を介して入力するとともに、全ユーザに対応するユニット1−2−1〜1−2−nからの干渉レプリカ信号を入力し、減算器2−1からの干渉レプリカ信号に対して、ユニット1−2−1〜1−2−nからの干渉レプリカ信号の総和を減算し、残差信号として第3ステージの干渉レプリカ生成ユニット1−3へ出力する。
【0054】
また、この減算器2−2から出力された残差信号に基づき、干渉電力測定部3において干渉電力(I)を検出し、この干渉電力(I)をSIR演算部62へ出力する。その後、SIR演算部62では、干渉電力測定部20からの受信電力(S)と干渉電力測定部3からの干渉電力(I)とから各ユーザのSI比情報を測定する。
【0055】
なお、比較回路65においては、上述のSIR演算部62にて測定されたSIR値を目標のSIR値と比較し、その比較結果を送信フレーム生成部64を介して送信することにより、各移動局50の送信電力制御を行なっている。
さらに、第3ステージ以降においても上述したものと同様に、受信信号に起因する入力信号から生成される干渉レプリカ信号を受信信号から繰り返し差し引く。そして、最終ステージとしての受信器4においては、最終段の干渉レプリカ生成ユニット1−nからの干渉レプリカ信号に逆拡散処理を施したのち、復号器63において移動局50からのユーザ毎の信号を復号化する。
【0056】
ここで、上述した第1実施形態のSIR装置120の機能における実証する具体例(シミュレーション)について以下に説明する。このシミュレーションでは、上記の測定されたSIRを、予め設定された目標のSIRになるように移動局50の送信電力をスロット周期±1dBステップで制御する、閉ループ制御を行なった場合のものである。なお、このシミュレーションでは、図4に示すような諸元に基づいて行なわれており、ここでは、ユーザ数を32としている。
【0057】
また、このシミュレーションにおける方式では、3ステージのマルチステージ型干渉キャンセラを用いており、2つの干渉レプリカ生成ユニット1−1,1−2が縦列的に接続され、干渉レプリカ生成ユニット1−2の後段には、第3ステージ(最終ステージ)に受信器4をそなえている。
そして、第2ステージの干渉レプリカ生成ユニット1−2におけるRAKE合成後の信号電力を1スロット平均したものを受信電力(S:信号電力情報)とし、残差信号を同じく1スロット平均したものを干渉電力(I:干渉電力情報)としてSIRを測定している。
【0058】
さらに、干渉レプリカ生成ユニット1−iにおけるチャネル推定は、それぞれスロット先端のパイロットシンボルを用いて行なうため、第2ステージまでは数シンボルの処理遅延しか生じないが、最終ステージの受信器4ではスロット終端のパイロットシンボルも用いた高精度なチャネル推定を行なうため、1スロット以上の遅延が生じる。
【0059】
つまり、第2ステージにおける干渉レプリカ生成ユニット1−2において受信電力(S)を測定した場合、送信電力制御にかかる遅延(TPC遅延)は1Tp(Tp:パイロット周期)となり、最終ステージの受信器4で受信電力(S)を測定した場合、TPC遅延は2Tpとなる。
図5は規格化フェージング周波数(fdTp)に応じたTPC誤差及びSIR制御誤差を示すものであるが、図2に示す3ステージの構成のSIR装置120を用いて、TPC遅延が1Tpとなる場合の特性(“○”,“●”)と、TPC遅延が2Tpの場合の特性(“□”,“■”)とを示すとともに、前述の図10に示すSIR測定手法を用いた場合の特性(“△”,“▲”)について示している。
【0060】
なお、このTPC誤差(図5の矢印A参照)とは理想的なTPCに対する受信電力の標準偏差を示すもので、SIR制御誤差(図5の矢印B参照)とは目標のSIRに対する受信SIRの標準偏差を示すものである。
また、前述の図10に示すSIR測定手法を用いた場合においては、第2ステージの干渉レプリカ生成ユニット1−2におけるRAKE合成後の受信信号の1スロット区間にわたる平均を受信電力(S)とし、分散を干渉電力(I)としてSIRを測定した。そして、それぞれの場合に対してfdTpが0.05の時に平均の誤り率が1×10−3になるように目標のSIRを設定して計算を行なった。
【0061】
その結果、図3に示す3ステージ構成のSIR測定120を用いて、TPCの遅延を1Tpとした場合(“○”,“●”)において、TPC誤差及びSIR制御誤差が優れていることがわかり、これにより、速いフェージング環境に適用できることがいえる。従って、このシミュレーションの結果から、遅延時間を短くすることにより送信電力の低減をはかることができるということが明らかに示された。
【0062】
このように、本発明の第1実施形態によれば、拡散コード間の干渉を除去するための干渉キャンセラ61によって生成された干渉レプリカ信号を、受信信号から減算したものに基づいて干渉電力(I)を検出するとともに、受信信号に起因する信号に対し逆拡散処理を施した信号に基づいて受信電力(S)を検出して、上記の干渉電力(I)と受信電力(S)とを別々に検出することができるので、SIRの測定精度を改善することができる利点がある。
【0063】
さらに、本発明によれば、干渉キャンセラ61の出力により得られた干渉電力(I)及び受信電力(S)からSIRを演算することにより、SIRの精度が向上するので、このSIRを用いて移動局50の送信電力を制御することができ、ノイズ環境下や多数のユーザが同時に通信を行なう場合の多局間干渉状態においても必要な回線品質を維持しながら送信電力制御特性の向上に寄与することができる利点もある。
【0064】
また、本発明によれば、干渉レプリカ信号生成部1−iの中間処理段階で得られる逆拡散処理を施した信号に基づいて受信電力(S)を検出することができるので、SIR測定にデータシンボル区間を用いても大きな精度劣化を生じることなく、速いフェージング環境においても、良好なSIRの測定精度を維持することができる。従って、より少ない遅延でSIR測定を行なうことができ、結果的に送信電力制御についても上述の速いフェージング環境に追従することができる。
【0065】
(b)第2実施形態の説明
図6は本発明の第2実施形態にかかる信号対干渉電力比測定装置の構成を示すブロック図であるが、この図6に示す信号対干渉電力比測定装置(SIR測定装置)130も、干渉キャンセラ61A及びSIR演算部62により構成されるものである。
【0066】
そして、この干渉キャンセラ61Aには、上述の第1実施形態とほぼ同様に、干渉レプリカ生成ユニット1−i,減算器2−i,干渉電力測定部3A,受信器4A及び遅延回路5−iが設けられている。具体的に、この第2実施形態における干渉レプリカ生成ユニット1−iについても基地局60にて収容しうるユーザ数に対応して、例えば図7に示すようなユニット1−1−i,...,1−n−iをそなえて構成されている。
【0067】
つまり、この図7に示すユニット1−1−i,...,1−n−iは、図3に示した干渉レプリカユニット1−2におけるRAKE合成部14と硬判定部15の間に受信電力測定部20を設置していない点が異なっている。なお、その他の各部についてはほぼ同様に機能するようになっている。
干渉電力測定部3Aは減算器2−iの出力から干渉電力情報(I)を検出するもので、この図6に示す干渉キャンセラ61Aにおいては、第nステージ(最終段)の減算器2−nの出力から干渉電力情報を検出するようになっている。
【0068】
受信器(受信部)4Aは第nステージ(最終段)の干渉レプリカ生成ユニット1−nの出力側に設けられた減算器2−nの出力(残差信号)を入力信号として受け取ることにより、この信号に対し逆拡散処理を施すもので、干渉キャンセラ61Aの最終ステージとしてそなえられている。そして、この受信器4Aの出力は復号器63に出力され、この復号器63において復号化されるようになっている。
【0069】
また、この受信器4Aもそれぞれユーザ数に対応した受信ユニット(Recユーザ)4A−1〜4A−nを有しており、この受信ユニット4A−1〜4A−nは、それぞれ、図8に示すように、逆拡散処理部10,加算器11,チャネル推定部12,乗算器13,RAKE合成部14及び受信電力測定部21が設けられている。なお、既述の符号と同一の符号は同一あるいはほぼ同一の部分を示しているため、その詳細な説明は省略する。
【0070】
ここで、受信電力測定部(信号電力検出部)21は受信部4Aにおいて得られる逆拡散処理を施した信号に基づいて受信電力(S)を検出するもので、RAKE合成部14の出力から検出するようになっている。つまり、第2実施形態では、受信電力測定部21を受信器4Aにそなえ、この受信電力測定部21によって検出された受信電力(S)をSIR演算部62へ出力しているのである。
【0071】
つまり、干渉キャンセラ61Aの各干渉レプリカ生成ユニット1−iでは、ステージ後段になるにつれ、残差信号から信号成分が分離されてゆくので(干渉電力Iが小さくなる)、より正確に受信信号成分を検出することができる(信号電力Sが大きくなる)。従って、第2実施形態における干渉キャンセラ61Aでは、非常に正確な干渉信号成分を得ることができるのである。
【0072】
これにより、第2実施形態では、干渉電力測定部3Aにおいて干渉電力(I)を測定するとともに、受信器4Aの受信電力測定部21からの受信電力(S)を測定し、これらの干渉電力及び受信電力からSI比が測定されるようになっている。
上述の構成により、本発明の第2実施形態にかかるSIR装置130では、図6に示すように、移動局50からの信号を受信すると、この受信信号は、干渉キャンセラ61Aにおいて、第iステージに設置された干渉レプリカ生成ユニット1−i,遅延回路5−i及び減算器2−iにより、干渉レプリカ信号及びシンボルレプリカ信号が生成される。
【0073】
そして、第nステージから出力される干渉レプリカ信号によって、最終ステージの干渉電力測定部3Aにおいて干渉電力(I)が検出されるとともに、この干渉レプリカ信号と上記のシンボルレプリカ信号とから受信器4Aにおいて受信電力(S)が検出される。なお、受信器4Aからのもう一方の出力は、復号器63へ出力され、ユーザ毎の信号が復号化される。
【0074】
その後、この干渉キャンセラ61Aにおいて検出された干渉電力(I)及び受信電力(S)は、SIR演算部62へ出力され、各ユーザのSI比が測定される。
このように、本発明の第2実施形態によれば、受信信号から全てのユーザの信号を検出し、生成された全ての干渉レプリカ信号を受信信号から差し引く処理を繰り返すことにより、受信信号から受信電力(S)と干渉電力(I)とを確実に分離することができるので、SIR測定精度を飛躍的に向上させることができ、ひいては、移動局50に対する送信電力制御の精度を飛躍的に向上させることができる。
【0075】
(c)その他
本実施形態においては、干渉キャンセラ61,61Aの段数及びユーザ数(n)を同数に統一したものについて詳述しているが、必ずしも統一させる必要はなく、設置する条件等に応じて変更することも勿論可能である。
また、本実施形態では、複数のユーザの信号を同時に処理する並列型の干渉キャンセラについて詳述しているが、強い受信レベルのユーザから順番に干渉除去処理を行なう直列型の干渉キャンセラや直列型と並列型とを組み合わせたタイプの干渉キャンセラにおいても本発明を適応させることができる。
【0076】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、拡散コード間の干渉を除去するための干渉キャンセラによって生成された干渉レプリカ信号を、受信信号から減算したものに基づいて干渉電力情報を検出するとともに、受信信号に起因する信号に対し逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出して、上記の干渉電力情報と信号電力情報とを別々に検出することができるので、SIRの測定精度を改善することができる利点がある(請求項1,4,6)。
【0077】
さらに、本発明によれば、干渉キャンセラの出力により得られた干渉電力情報及び信号電力情報からSIRを演算することにより、SIRの精度が向上するので、このSIRを用いて移動局の送信電力を制御することができ、ノイズ環境下や多数のユーザが同時に通信を行なう場合の多局間干渉状態においても必要な回線品質を維持しながら送信電力制御特性の向上に寄与することができる利点もある(請求項7)。
【0078】
また、本発明によれば、干渉レプリカ信号生成部の中間処理段階で得られる逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出することができるので、SIR測定にデータシンボル区間を用いても大きな精度劣化を生じることなく、速いフェージング環境においても、良好なSIRの測定精度を維持することができる。従って、より少ない遅延でSIR測定を行なうことができ、結果的に送信電力制御についても上述の速いフェージング環境に追従することができる(請求項2)。
【0079】
さらに、本発明によれば、受信信号から全てのユーザの信号を検出し、生成された全ての干渉レプリカ信号を受信信号から差し引く処理を繰り返すことにより、受信信号から信号電力情報と干渉電力情報とを確実に分離することができるので、SIR測定精度を飛躍的に向上させることができ、ひいては、移動局に対する送信電力制御の精度を飛躍的に向上させることができる(請求項3,5)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる信号対干渉電力比測定装置が適用された無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる信号対干渉電力比測定装置を構成する干渉キャンセラ及び信号対干渉電力比演算部を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる干渉レプリカ信号生成部の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるシミュレーションにおける諸元の具体例を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかるシミュレーションの一例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる信号対干渉電力比測定装置を構成する干渉キャンセラ及び信号対干渉電力比演算部を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる干渉レプリカ信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる受信部の内部構成を示すブロック図である。
【図9】一般的なDS/CDMA通信方式を適用する無線通信システムを示す図である。
【図10】RAKE合成後の信号を用いて信号対干渉電力比を測定するSIR測定装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1−1〜1−n 干渉レプリカ生成ユニット(干渉レプリカ信号生成部)
1−1−1〜1−1−n,...,1−n−1〜1−n−n ユニット(ICUユーザ)
2−1〜2−n,17 減算器
3,3A 干渉電力測定部(干渉電力検出部)
4,4A 受信器(受信部)
4−1〜4−n,4A−1〜4A−n 受信ユニット(Recユーザ)
5−1〜5−n 遅延回路
5A,6A 送信部
5B,6B 受信部
10 逆拡散処理部
11 加算器
12 チャネル推定回路
13,16 乗算器
14 RAKE合成部
15 硬判定部
18 再拡散処理部
19 信号合成部
20 受信電力測定部(信号電力検出部)
50,102−1〜102−n 移動局(端末局)
51 変調器
52 送信増幅器(送信アンプ)
53,63 復号器
54 RAKE復調部
60,101 基地局
61,61A 干渉キャンセラ
62 SIR演算部
64 送信フレーム生成部
65 比較回路
80,120,130 信号対干渉電力比測定装置(SIR測定装置)
80A 象限検出部
80B ベクトル平均計算部
80C 2乗計算部
80D 2乗平均計算部
80E 減算部
80F SIR計算部
100,110 無線通信システム

Claims (7)

  1. CDMA通信方式の基で受信された受信信号を処理する装置において、
    該受信信号に起因する入力信号に対し逆拡散処理を施してから、該入力信号についての情報シンボルの仮判定を行なった後に、再び拡散処理を施したものを干渉レプリカ信号として出力する干渉レプリカ信号生成部と、
    該干渉レプリカ信号生成部で生成された該干渉レプリカ信号を該受信信号から減算する減算器と、
    該減算器の出力から干渉電力情報を検出する干渉電力検出部と、
    該受信信号に起因する信号に対し逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出する信号電力検出部と、
    該干渉電力検出部で検出された干渉電力情報と該信号電力検出部で検出された信号電力情報とから信号対干渉電力比を演算する信号対干渉電力比演算部とをそなえて構成されたことを特徴とする、信号対干渉電力比測定装置。
  2. 該信号電力検出部が、該干渉レプリカ信号生成部の中間処理段階で得られる逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の信号対干渉電力比測定装置。
  3. 該信号電力検出部が、該減算器の出力に対し逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の信号対干渉電力比測定装置。
  4. CDMA通信方式の基で受信された受信信号を処理する基地局において、
    該受信信号に起因する入力信号に対し逆拡散処理を施してから、該入力信号についての情報シンボルの仮判定を行なった後に、再び拡散処理を施したものを干渉レプリカ信号として出力すべく、複数縦列的に設けられた干渉レプリカ信号生成部と、
    各干渉レプリカ信号生成部の出力側に設けられて、該干渉レプリカ信号生成部で生成された該干渉レプリカ信号を、遅延処理を施された該受信信号から減算する複数の減算器と、
    最終段の該減算器の出力から干渉電力情報を検出する干渉電力検出部と、
    上記複数の干渉レプリカ信号生成部のうちの任意の干渉レプリカ信号生成部の中間処理段階で得られる逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出する信号電力検出部と、
    該干渉電力検出部で検出された干渉電力情報と該信号電力検出部で検出された信号電力情報とから信号対干渉電力比を演算する信号対干渉電力比演算部とをそなえて構成されたことを特徴とする、信号対干渉電力比測定装置。
  5. CDMA通信方式の基で受信された受信信号を処理する基地局において、
    該受信信号に起因する入力信号に対し逆拡散処理を施してから、該入力信号についての情報シンボルの仮判定を行なった後に、再び拡散処理を施したものを干渉レプリカ信号として出力すべく、複数縦列的に設けられた干渉レプリカ信号生成部と、
    各干渉レプリカ信号生成部の出力側に設けられて、該干渉レプリカ信号生成部で生成された該干渉レプリカ信号を、遅延処理を施された該受信信号から減算する複数の減算器と、
    最終段の該減算器の出力を入力信号として受けることにより、この信号に対し逆拡散処理を施す受信部と、
    最終段の該減算器の出力から干渉電力情報を検出する干渉電力検出部と、
    該受信部において得られる逆拡散処理を施した信号に基づいて信号電力情報を検出する信号電力検出部と、
    該干渉電力検出部で検出された干渉電力情報と該信号電力検出部で検出された信号電力情報とから信号対干渉電力比を演算する信号対干渉電力比演算部とをそなえて構成されたことを特徴とする、信号対干渉電力比測定装置。
  6. CDMA通信方式の基で受信された受信信号を処理する装置において、
    拡散コード間の干渉を除去するための干渉キャンセラによって生成された干渉レプリカ信号を該受信信号から減算したものに基づいて、干渉電力情報を検出するとともに、
    該受信信号に起因する信号に対し逆拡散処理を施した信号に基づいて、信号電力情報を検出して、
    上記の干渉電力情報と信号電力情報とから信号対干渉電力比を演算することを特徴とする、信号対干渉電力比測定方法。
  7. 基地局と複数の移動局との間の通信をCDMA通信方式で行なうものにおいて、
    該基地局において、拡散コード間の干渉を除去するための干渉キャンセラによって生成された干渉レプリカ信号を該基地局で受信された受信信号から減算したものに基づいて、干渉電力情報を検出するとともに、
    該受信信号に起因する信号に対し逆拡散処理を施した信号に基づいて、信号電力情報を検出して、
    上記の干渉電力情報と信号電力情報とから信号対干渉電力比を演算したあと、
    この信号対干渉電力比が所定値となるように、各移動局の送信電力を制御することを特徴とする、CDMA通信方式下での送信電力制御方法。
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