JP3583908B2 - 目標計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、波動を用いて目標の位置や大きさや向きを計測する目標計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、波動を用いて目標とする物体の位置や大きさや向きを計測するためには、物体を詳細に検出するために、高い方位分解能が必要となる。そして、高い方位分解能は、狭い開口角の指向性ビームを形成する送受波器を用いて、目標の方位付近に複数本の指向性ビームを与えることにより実現できる。
【0003】
ここで、例えば、アクティブソーナーにおける指向性ビームの開口角θ(deg)は、送信波長をλ(m)、受波面開口長をL(m)、受波アレイの形状により決まる定数をkとおくと、次式(Robert J. Urick:“水中音響の原理”、p.60、1978年12月)で求められる。
【0004】
【数1】
【0005】
したがって、狭い開口角を実現するためには、波長を小さくするすなわち送信周波数を高くするか、受信アレイの実開口長を大きくする必要がある。
【0006】
しかし、前者の場合は、高周波化に伴い水中の音波伝搬損失が増加するため限界がある。また、後者の場合は、受波アレイの物理的制約により限界がある。
【0007】
そこで、従来は、計測の対象となる目標を検出した後に、さらに目標に接近し、かつ目標を検出するまでに用いた送信周波数よりも高い周波数の波動を用いて、目標を詳細に検出することが行われている。
【0008】
また、目標を詳細に検出するために、送受波器を一定方向に移動させ、目標を側方に見るように送受波面を向けながら複数回の送受信を行うことで、結果的に移動した距離分だけ開口長を等価的に大きくするような開口合成の技術も用いられてきた。なお、このような開口合成の技術は、例えば特開平3−65681号公報などに記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した、目標を検出した後に、さらに目標に接近して、より周波数の高い波動を用いる技術は、目標が危険物であったり、計測時の環境的な条件から接近することが困難な場合には実施することができない。また、前述した開口合成の技術によっても、やはり、物理的制約の限界はある。さらに、開口合成の技術は、ある程度の距離を移動した後に複数回送受信で取り込んだ全データを合成する方式のため、短時間で計測を完了することができない。
【0010】
そこで、本発明は、短時間で、目標に接近することなく、目標の位置や大きさや向きを計測できる目標計測装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題達成のために、本発明は、目標とする物体に向けて波動を照射する手段と、目標からの反射信号を含む受信信号を生成する手段と、目標の方位を入力する手段と、前記目標からの反射信号中の比較的振幅の大きな複数の箇所に対応する実空間上の複数の点までの距離を計測する手段と、前記目標の方位と前記複数の点までの距離に基づいて、前記実空間上の複数の点が所定の方位を向いた所定の形状を持つ物体の複数の角に対応する点であると仮定して、当該所定の形状を持つ物体の長さ及び/又は太さを、目標の長さ及び/又は太さとして推定する推測手段とを有することを特徴とする目標計測装置を提供する。
【0012】
このような目標計測装置によれば、物体の鋭い形状箇所における反射の程度が大きいという自然法則に着目し、反射信号の比較的振幅の大きな複数の箇所に対応する実空間上の複数の点を、仮定した形状上の鋭い形状を持つ点すなわち角に当てはめることにより、目標の長さ、太さを推定するので、開口合成を行う場合のように大きく移動することなく短時間で、かつ、目標に接近することなく、目標の位置や大きさを計測することができる。
【0013】
ここで、前記形状はたとえば円柱であってよい。
【0014】
また、たとえば前記形状を円柱とした場合において、前記所定の方位として一意に方位を設定するのではなく、前記推測手段が、前記各回毎に、複数の方位のそれぞれについて、前記実空間上の各点が当該方位を向いた円柱の角に対応する点であると仮定して、当該円柱の長さ及び/又は直径を、目標の長さ及び/又は直径として推定するようにし、前記目標計測装置に、前記複数の方位のうち、前記各回毎に前記推測手段が推定した目標の長さ及び/又は直径の差が最小であった方位について、前記記推測手段が推定した目標の長さ及び/又は直径を最終的な目標の長さ及び/又は直径の計測結果として選択する選択手段を備えるようにしてもよい。このようにすることにより、前記所定の方位が全く未知の場合でも、目標の長さ、直径を計測することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る目標計測装置の一実施形態について説明する。
【0016】
まず、本実施形態に係る目標計測装置の行う目標計測動作の原理について説明する。
【0017】
いま、円柱形状の目標物体へ波動を照射した場合を考える。この場合、該円柱からの反射信号を含む受信信号に対し振幅検波を行った結果を時系列で表すと、図1に示すようになる。図示するように、この場合、反射信号を表す区間内に3箇所(円柱の向きによっては、1又は2箇所)の高い振幅値が現れる。
【0018】
ここで、この振幅のピークに相当する送信開始からの時間をt1、t2、t3(添字は、時間の経過に従い高い振幅値が現れる順番である。)とし、それぞれ媒質中の波動伝搬速度と乗じ、水中での音線曲がりを考慮して求められる送受波器からの距離をr1、r2、r3とする。また、送受波器の移動方向をx軸に取り、目標の位置を3次元直交座標空間で表した図2に示すように、点O(原点)は送受波器の位置、点Pは目標の中心位置、θh(−180°<θh≦180°)は目標の水平方位、θv(−90°<θv≦90°)は垂直方位、lは送受波器に対する円柱の向きを表す長さ方向ベクトル、φh(−90°<φh≦90°)は長さ方向ベクトルの水平方位、φv(−90°<φv≦90°)は垂直方位であるとする。
【0019】
そうすると、反射信号の成分中で高い振幅値の波動を返す円柱上の反射点は、図3(図2円柱付近の拡大図)で示す点Pの方向ベクトルmと長さ方向ベクトルlとから成る平面によって、円柱を切ったときにできる長方形の頂点Q、R,Tのいずれかである。なぜなら、形状の頂点、角において、反射は大きくなるからである。なお、点Sは送波の方向に対して円柱の側面に隠れることから、反射点の対象として除外される。ここで、送受波器から反射点Q、R,Tまでの距離をそれぞれs1、s2、s3とする。
【0020】
以上より、まず、送受波器(点O)に対する目標の中心(点P)座標を求める。
【0021】
目標中心の方向ベクトルm=(ut、vt、wt)は次式で求められる。
【0022】
【数2】
【0023】
また、円柱目標の長さ方向ベクトルl=(uf、vf、wf)は次式で求められる。
【0024】
【数3】
【0025】
そして、数2、数3より目標中心の方向ベクトルmと目標の長さ方向ベクトルlの内積は次式で求められる。
【0026】
【数4】
【0027】
すると、数4及びs1、s2、s3より、送受波器から目標中心までの距離s0は次式で求められる。
【0028】
【数5】
【0029】
ただしX =0、±1の場合は、この送受信による計測結果は用いないようにする。
【0030】
以上より、送受波器に対する目標の中心(点P)座標(x , y , z)は、次式で求められる。
【0031】
【数6】
【0032】
次に目標の長さL及び直径Dの概略寸法は、次式で求められる。
【0033】
【数7】
【0034】
【数8】
【0035】
以上より、(θh、θv)、(φh、φv)、(s1、s2、s3)が分かれば、目標中心の距離、位置、目標の長さL及び直径Dの概略寸法を求められることが分かる。
【0036】
ここで、目標の中心の方位(θh、θv)は、従来と同様の計測によってほぼおおまかに計測することができる。
【0037】
頂点Q、R,Tまでの距離s1、s2、s3は、各々、振幅のピークに相当する送信開始からの時間t1、t2、t3 に対応する距離r1、r2、r3のいずれかと1対1に対応する。
【0038】
s1は送受波器からの最短距離であるからs1 = r1が成立する。s2、s3とr2、r3との対応は、複数回の送受信を行いながら求める。
【0039】
すなわち、各送受信において、判定比(s2、s3とr2、r3との対応付けを判定する指標)を次式で計算する。
【0040】
【数9】
【0041】
ただしr3−r1 =0の場合は、coe =0とする。そして、次式を計算する。
【0042】
【数10】
【0043】
添字0は、複数回送受信のうち今回の送受信よりも1回前の送受信(1回前の送受信において数4でX=0、±1となった場合は、2回前の送受信とする)によるcoe及びXの計算結果を意味する。
【0044】
そして、seki <0の場合は、s2 = r2かつs3 = r3、seki >0の場合はs2 = r3かつs3 = r2として数5〜数8に代入し、目標中心の距離、位置、目標の長さ、直径を求める。
【0045】
なお、目標が円柱ではなく、反射信号の成分中で高い振幅値を示す箇所が4つ以上存在する、つまり高い振幅値を示す箇所までの距離がr1、r2、・・・、rn(nは自然数)存在する場合には、図4のようにrnを目標が円柱の場合に計測できるr3に当てはめ、r2、・・・、rn−1に対応する振幅値において最大のrk(2≦k≦n−1)を目標が円柱の場合に計測できるr2として当てはめ、円柱の場合と同様に、目標中心の距離、位置、目標の長さ、直径を求める。
【0046】
次に、円柱の向き(φh、φv)は、次のようにして求める。
【0047】
すなわち、前述した複数回の送受信において、水平方位φh= 5i−90(i = 1,2,・・・,36)、垂直方位φv= 5j−90(j = 1,2,・・・,36)の36×36=1296通りの組み合わせの各々について、目標中心の位置、距離、目標の長さ、直径を求め、各回の送受信の際に求めた、目標の長さ、直径の差が最も小さい、(φh、φv)の組み合わせを、正しい円柱の向き(φh、φv)であったと結果的に判定し、この円柱の向き(φh、φv)について求めた目標中心の位置、距離、目標の長さ、直径を最終的な計測結果として選択する。ただし、円柱の向き(φh、φv)が、他の方法により測定できる場合や、その他の事情により、ある向きに限定できる場合は、以上の処理は不要であり、これを直接用いればよい。
【0048】
以上、本実施形態に係る目標計測装置が行う目標計測動作の原理について説明した。
【0049】
以下、本実施形態に係る目標計測装置の具体的詳細について、船舶に搭載されるソーナーシステムに適用した場合を例にとり説明する。
【0050】
図5に、ソナーシステム全体の構成を示す。
【0051】
図中において、送信装置51は、送信すべき電気信号を生成し出力する。
【0052】
送受信装置52は、送受波面を予め設定された垂直方位へ向けた後、送信装置51が出力した電気信号を音波に変換して水中へ送波し、同時に水中からの到来音波を受波し電気信号へ変換して出力する。
【0053】
受信装置53は、送受信器52が出力した電気信号を電力増幅かつディジタル変換を行い、変換された信号列(ディジタル変換されたため、信号は時間軸方向に離散的な列を成す。)を出力する。
【0054】
ビーム形成装置54は、予め形成すべき指向性ビームの方位を読み込み、受信装置53が出力した信号列から読み込んだ方位の数だけ指向性ビームを形成する処理を行い、指向性ビーム本数分の信号列を出力する。(例えばセクタ角10°の範囲に、1°の分解能で予め指向性ビームを形成するならば、指向性ビーム本数分に対応する11個の信号列を出力する。)
検波装置55は、ビーム形成装置54が出力した各信号列の振幅検波を行う。このとき水中物体からの反射成分に相当する振幅値が、クラッタ信号などの他の信号(海面、海底及び海中の散乱体からの反射信号や、船舶の航走等による雑音から構成される。)の振幅値よりも大きくなるため、図6に示す適切な振幅閾値を設定するようにし、閾値を越える振幅値は1、越えない振幅値は0とする(以下、この1か0かにより決まる値を「判定値」と称す)。そして、検波装置55は、指向性ビーム本数分の各判定値信号列及び各振幅値信号列を出力する。
【0055】
処理装置56は、検波装置55が出力した各判定値信号列より、図7に示す縦軸に距離、横軸に方位を取る、処理装置56が備えた表示装置の画面上に、方位の小さい順に判定値信号列を左から右に並べて表示する。ここで縦軸の距離は、送信開始からの各受信時刻と水中での音波伝搬速度と乗じ、水中での音線の曲がりを考慮して求められる。
【0056】
画面上では、判定値1と0を異なる色で表示する。図7では判定値1の部分は輝点で表されており、この輝点は画面内に複数存在する。ここで画面を見るオペレータが概略寸法の計測の対象とする目標を決定し、決定した輝点の付近を、処理装置56が備えたトラックボール等のポインティングデバイスで指定する。
【0057】
これにより、目標の概略寸法の計測が開始され、複数回の送受信が行われる。
【0058】
一方、処理装置56は、指定された目標のおおよそ中心の水平方位を目標中心の水平方位θhとして算出し、出力する。水平方位θhは、たとえば、指定された目標の中央の点に対して求める。以上は目標の概略寸法の計測開始時の送受信における場合であり、以降の送受信については目標が決定済みであるためオペレータの指定操作は不要であり、処理装置56が、目標とされた輝点の画面上での移動を追尾し、各送受信毎の目標中心に対する目標中心の水平方位θhを計測し出力する。
【0059】
なお、目標の概略寸法の計測中、処理装置56は、図8の円内に示すように、高い解像度の拡大表示画面(縦軸に距離、横軸に方位を取る)に目標周辺を詳細に映し出す。この表示では、船舶から目標の反射信号の成分中で高い振幅値を示す箇所までの距離r1、r2、・・・、rn(nは自然数)に相当する部分に輝点(例えば目標が円柱であれば、現れる輝点は3つである。)が現れる。
【0060】
さて、目標計測装置57は、中心位置ベクトル計算装置571、判定比計算装置572、1296個の寸法計測装置573の群及び誤差判定装置574から成る。
以下、目標計測装置57の動作について詳細に説明する。
【0061】
中心位置ベクトル計算装置571は、送受波面の垂直方位θv及び処理装置56が出力した水平方位θhより、数2で求められる目標中心の方向ベクトルの各成分ut、vt、wtを出力する。
【0062】
判定比計算装置572は、検波装置55が出力した振幅値信号列及び表示装置56が出力した目標の反射信号の成分中で高い振幅値を示す箇所までの距離r1、r2、・・・、rn(nは自然数)を入力し、最大の振幅値となるrk(2≦k≦n−1)を求め、r2=rk、r3=rnとして数9で求められる判定比を出力する。
【0063】
寸法計測装置573は、予め水平方位φh= 5i−90(i = 1,2,・・・,36)、垂直方位φv= 5j−90(j = 1,2,・・・,36)の36×36=1296通りの組み合わせの各々に対応して設けられる。ただし、図5では、一つの組み合わせに対応する一つの寸法計測装置573のみを示している。
【0064】
各寸法計測装置573は、目標が、対応する(φ、φv)に従って数3で求められる長さ方向ベクトル(uf、vf、wf)を持つ円柱であると仮定して、数7、数8に従い目標の長さ及び直径の概略寸法を出力する。
【0065】
より詳細には、寸法計測装置5731は、内積計算部5731、反射位置判定部5732、中心位置計算部5733及び概略寸法計算部5734から成る。
【0066】
内積計算部5731は、中心位置ベクトル計算装置571の出力値ut、vt、wtを入力し、各寸法計測装置で予め設定されている円柱の長さ方向ベクトルの成分uf、vf、wfから、数4で求められるベクトルの内積を出力する。
【0067】
反射位置判定部5732は、判定比計算装置572の出力値と内積計算部5731の出力値を入力する。そして、1回目の送受信の場合は、そのまま判定比及びベクトルの内積を保持する。2回目以降の送受信の場合は、今回の送受信での入力値と保持してあった前回での判定比及びベクトルの内積より数10を計算し、船舶から円柱上での反射点までの距離s1、s2、s3と反射信号の成分中で高い振幅値を示す箇所までの距離r1、r2、r3との対応関係を判定し、s1、s2、s3を出力する。そして、その後に今回の送受信での判定比及びベクトルの内積を保持する。ただしX=0、±1の場合は概略寸法計測は不可能であるため、この場合は、今回の送受信は無かったものとして取り扱う。
【0068】
中心位置計算部5733は、中心位置ベクトル計算装置571の出力値ut、vt、wt及び反射位置判定部5732の出力値s1、s2、s3を入力し、数5より船舶から目標中心までの距離s0を計算し、数6より船舶に対する目標の中心座標(x , y , z)を求め、距離s0とともに出力する。
【0069】
概略寸法計算部5734は、中心位置ベクトル計算装置571の出力値ut、vt、wt、内積計算部5731の出力値X、反射位置判定部5732の出力値s1、s2、s3及び中心位置計算部5733の出力値s0を入力し、数7より求められる長さL及び数8より求められる直径Dの概略寸法を出力する。
【0070】
以上、各寸法計測装置573は、目標が、対応する(φ、φv)に従って数3で求められる長さ方向ベクトル(uf、vf、wf)を持つ円柱であると仮定して、目標の中心の座標、距離、目標の長さ及び直径の概略寸法を出力する。
【0071】
次に、誤差判定装置574は、各回の送受信において、各寸法計測装置573が出力した長さ及び直径の概略寸法値と、保持しておいた寸法計測装置573が出力した2回目の送受信(内積計算部5731の出力でX=0、±1の場合は、3回目となる。)の計測による長さ及び直径の概略寸法値との誤差を計算し、10(cm)以上の誤差が生じた寸法計測装置573では、以降の送受信での計算は行わないように制御する。
【0072】
そして、計算が継続されている寸法計測装置が10個程度になった時点で計算を終了し、平均誤差が最小である寸法計測装置を選択し、選択した寸法計測装置573に対応する円柱の長さ方向ベクトルの水平方位φh及び垂直方位φv、選択した寸法計測装置573が計算した目標の長さ及び直径の複数回送受信での平均値を出力する。また、選択した寸法計測装置573が計算した目標の中心の座標、距離を出力する。
【0073】
以上の動作が終了すると、目標計測装置57は、誤差判定装置574より出力された船舶の進行方向をx軸に取った場合の円柱の長さ方向ベクトルの水平方位及び垂直方位、また該方位に対応する船舶に対する目標の中心座標、長さ及び直径の概略寸法を出力する。この値は、再び処理装置56に入力され、処理装置56が備えた表示装置にディジタル電光表示等で表示される。
【0074】
以上、本実施形態に係る目標計測装置の実施形態について説明した。
【0075】
なお、以上の実施形態では、目標の形状として円柱を当てはめたが、目標の形状などについて、当該形状を限定できる事情などがあれば、適宜、適当な形状を当てはめて、目標の概略寸法を計測するようにしてもよい。
【0076】
本実施形態に係る目標計測装置は、目標物体の長さ及び直径の概略寸法、送受波器に対する目標の中心座標及び向きの計測を目標に接近することなく短時間で行うのに有効であり、高い周波数を用いる、受波アレイの開口長を大きくする及び複数回送受信による全受信データを合成する必要がないため、利用価値が高い。
【0077】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、短時間で、目標に接近することなく、目標の位置や大きさや向きを計測できる目標計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】時系列に表した受信信号の振幅値を示す図である。
【図2】3次元直交座標空間内における目標の中心位置を表す図である。
【図3】反射信号の成分中で高い振幅値の波動を返す円柱上の反射点を表す図である。
【図4】反射信号の成分中で高い振幅値が4つ以上ある場合のパラメータの対応を示す図である。
【図5】目標計測装置を適用したソナーシステムの構成を示す図である。
【図6】振幅閾値と判定値の対応関係を表す図である。
【図7】目標の位置を表示した画面を表す図である。
【図8】目標周辺の拡大表示画面を表す図である。
【符号の説明】
51:送信装置、52:送受波器、53:受信装置、54:ビーム形成装置
55:検波装置、56:処理装置、57:目標計測装置
571:中心位置ベクトル計算装置、572:判定比計算装置
573:寸法計測装置、574:誤差判定装置
5731:内積計算部、5732:反射位置判定部
5733:中心位置計算部、5734:概略寸法計算部
Claims (7)
- 目標に対して相対的に移動しながら、複数回、目標とする物体に向けて波動を照射する手段と、前記照射の各回毎に、目標からの反射信号を含む受信信号を生成する手段と、前記各回毎に、目標の方位を入力する手段と、前記各回毎に、前記目標からの反射信号中の比較的振幅の大きな点のうちの時間的に両端をなす2点を含む3点に対応する実空間上の3点までの距離を計測する手段と、前記各回毎に、前記目標の方位と前記実空間上の3点までの距離に基づいて、目標の長さ及び/又は直径を推定する推測手段と、選択手段とを有し、
前記推測手段は、前記各回毎に、複数の方位のそれぞれについて、前記実空間上の3点が当該方位を向いた円柱の角に対応する点であると仮定して、当該円柱の長さ及び/又は直径を、目標の長さ及び/又は直径として推定し、
前記選択手段は、前記複数の方位のうち、前記各回毎に前記推測手段が推定した目標の長さ及び/又は直径の差が最小であった方位について、前記記推測手段が推定した目標の長さ及び/又は直径を最終的な目標の長さ及び/又は直径の計測結果として選択することを特徴とする目標計測装置。 - 請求項1記載の目標計測装置であって、
前記推測手段は、前記各回毎に、複数の方位のそれぞれについて、前記実空間上の3点が当該方位を向いた円柱の角に対応する点であると仮定して、当該円柱の中心位置を、目標中心位置として推定し、
前記選択手段は、前記複数の方位のうち、前記各回毎に前記推測手段が推定した目標の長さ及び/又は直径の差が最小であった方位について、前記推測手段が推定した目標中心位置を最終的な目標中心位置の計測結果として選択することを特徴とする目標計測装置。 - 請求項1または2記載の目標計測装置であって、
前記目標の方位を入力する手段は、
前記各回毎に、異なる方位指向性をもつ受信信号である、複数の指向性受信ビームを形成し、形成した各指向性受信ビームに応じて、設定された目標を追尾し
、前記送受波器に対する目標の方位を算出する手段であることを特徴とする目標計測装置。 - 請求項1、2または3記載の目標計測装置であって、
前記波動は音波であり、前記目標は水中の物体であることを特徴とする目標計測装置。 - 目標の長さおよび直径を計測する方法であって、
目標とする物体に向けて波動を照射するステップと、目標からの反射信号を含む受信信号を生成するステップと、目標の方位を入力するステップと、前記目標からの反射信号中の比較的振幅の大きい点のうちの時間的に両端をなす2点を含む3点に対応する実空間上の3点までの距離を計測するステップと、前記目標の
方位と前記実空間上の3点までの距離に基づいて、前記実空間上の3点が所定の方位を向いた円柱の角に対応する点であると仮定して、当該円柱の長さ及び/又は直径を、目標の長さ及び/又は直径として推定するステップとを有することを特徴とする目標計測方法。 - 目標に対して相対的に移動しながら、複数回、目標とする物体に向けて波動を照射する手段と、前記照射の各回毎に、前記目標からの反射信号を含む受信信号を生成する手段と、前記各回毎に、前記目標の方位を入力する手段と、前記各回毎に、前記目標からの反射信号中の比較的振幅の大きな点のうちの時間的に両端をなす2点を含む3点に対応する実空間上の3点までの距離を計測する手段と、前記各回毎に、前記目標の方位と前記実空間上の3点までの距離に基づいて、前記目標の概略寸法を推定する推測手段と、選択手段と を有し、
前記推測手段は、前記各回毎に、複数の方位のそれぞれについて、前記実空間上の3点が当該方位を向いた前記目標の角に対応する点であると仮定して、所定形状を持つ前記目標の概略寸法を推定し、
前記選択手段は、前記複数の方位のうち、前記各回毎に前記推測手段が推定した前記目標の概略寸法の差が最小であった方位について、前記記推測手段が推定した前記目標の概略寸法を最終的な計測結果として選択することを特徴とする目標計測装置。 - 目標の長さおよび直径を計測する方法であって、
目標とする物体に向けて波動を照射するステップと、前記目標からの反射信号を含む受信信号を生成するステップと、前記目標の方位を入力するステップと、前記目標からの反射信号中の比較的振幅の大きい点のうちの時間的に両端をなす2点を含む3点に対応する実空間上の 3 点までの距離を計測するステップと、前記目標の方位と前記実空間上の3点までの距離に基づいて、前記実空間上の3点が所定の方位を向いた前記目標の角に対応する点であると仮定して、所定形状を持つ前記目標の概略寸法を推定するステップと、を有することを特徴とする目標計測方法。
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