JP3582197B2 - 縫製装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、刺繍を形成するための縫製模様データを処理して縫製を行う縫製装置の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば工業用ミシンの分野においては、マイクロコンピュータを利用して精度の高い刺繍データを短時間で作成する縫製データ処理装置が提供されている。その縫製データ処理装置は、例えば汎用のパーソナルコンピュータシステムに、イメージスキャナ、キーボード、マウス、ハードディスクドライブ、CRTディスプレイ等を接続して構成されており、任意の刺繍図柄の原画から、多色縫いの刺繍データを作成することができるようになっている。
【0003】
一般に、このような縫製模様データを処理する装置を備えている縫製装置では、液晶画面に表示された刺繍図柄の中から任意の刺繍模様が選択され、配置設定される。この時、選択された刺繍模様の刺繍データは内部ROMまたは外部記憶媒体から読み出され、配置設定の状態に応じて変更され、当該変更された刺繍データに基づき、刺繍が施される布の張られた刺繍枠が縫い針に対して相対的に移動し、縫製が行われるように構成されている。
【0004】
ところで、刺繍模様が縫製される場合としては、1つの刺繍模様のみが選択・縫製される場合と、複数の刺繍模様が選択・縫製される場合とがある。前者の場合には、模様の配置設定が一回で終了するので、刺繍模様の配置設定に対応して縫い針に対して刺繍枠が相対的に移動したとしても、刺繍枠の移動も一回で終了する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、複数の刺繍模様が選択・縫製される場合、刺繍模様の配置設定が行われる度毎に縫い針に対して刺繍枠が相対的に移動すると、移動にともなって、電力の浪費及び騒音が生じるといった問題点が生じていた。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、縫製模様の配置設定の間に縫い針と刺繍枠に張られた布との相対移動を休止させる縫製装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、縫い針と布とを相対的に移動させて縫製を行う縫製装置において、縫製模様の形状に対応する縫製模様データに基づき、縫製模様を表示する第1表示手段と、当該第1表示手段によって表示された縫製模様を選択するための縫製模様選択手段と、当該選択された縫製模様の全体を配置設定する第1配置設定手段と、前記選択された縫製模様を一部分毎に配置設定する第2配置設定手段と、前記第1配置設定手段による配置設定と、前記第2配置設定手段による配置設定とのいずれか一方を選択するための選択手段と、当該選択手段によって前記第1配置設定手段が選択された場合、前記第1配置設定手段による縫製模様の全体の配置設定に対応させて、前記縫い針と前記布とを相対的に移動させ、前記選択手段によって前記第2配置設定手段が選択された場合、前記第2配置設定手段による縫製模様の配置設定の間、前記縫い針と前記布との相対移動を休止させる移動手段と、を備えているように構成する。
【0008】
上記のように構成された縫い針と布とを相対的に移動させて縫製を行う縫製装置によれば、縫製模様の形状に対応する縫製模様データに基づき、第1表示手段によって縫製模様が表示され、当該第1表示手段によって表示された縫製模様が、縫製模様選択手段によって選択される。一方、第1配置設定手段によって当該選択された縫製模様の全体が配置設定され、第2配置設定手段によって前記選択された縫製模様が一部分毎に配置設定される。前記第1配置設定手段による配置設定と、前記第2配置設定手段による配置設定とのいずれか一方が選択手段によって選択される。そして、当該選択手段によって前記第1配置設定手段が選択された場合、前記第1配置設定手段による縫製模様の全体の配置設定に対応させて、移動手段によって前記縫い針と前記布とが相対的に移動し、前記選択手段によって前記第2配置設定手段が選択された場合、前記第2配置設定手段による縫製模様の配置設定の間、移動手段による前記縫い針と前記布との相対移動が休止される。ここで、縫製模様とは、ボタンホール模様、ポケット縫い付けパターン等を含む広い概念である。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の縫製装置において、前記選択手段によって前記第1配置設定手段が選択された場合、前記第1配置設定手段による縫製模様の全体の配置設定に対応させて前記縫製模様を表示し、前記選択手段によって前記第2配置設定手段が選択された場合、前記選択された縫製模様の一部分毎の配置設定に対応させて前記縫製模様を表示する第2表示手段を更に備えているように構成する。
【0010】
上記のように構成された縫製装置によれば、前記選択手段によって前記第1配置設定手段が選択された場合、第2表示手段によって前記第1配置設定手段による縫製模様の全体の配置設定に対応させて前記縫製模様が表示され、また前記選択手段によって前記第2配置設定手段が選択された場合、第2表示手段によって前記選択された縫製模様の一部分毎の配置設定に対応させて前記縫製模様を表示する。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の縫製装置において、前記選択手段によって前記第1配置設定手段が選択された場合に、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する前に、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する旨を報知する報知手段を更に備えているように構成する。
【0012】
上記のように構成された縫製装置によれば、前記選択手段によって前記第1配置設定手段が選択された場合、報知手段によって、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する前に、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する旨が報知される。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいづれか一項に記載の縫製装置において、前記選択手段によって前記第2配置設定手段が選択された場合、前記第2配置設定手段による縫製模様の配置設定の間、前記縫い針と前記布とを選択的に相対移動させるための手段を更に備えているように構成する。
【0014】
上記のように構成された縫製装置によれば、前記選択手段によって前記第2配置設定手段が選択された場合、前記第2配置設定手段による縫製模様の配置設定の間、前記縫い針と前記布とが選択的に相対移動する。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、縫い針と布とを相対的に移動させて縫製を行う縫製装置において、縫製模様の形状に対応する縫製模様データに基づき、縫製模様を表示する第1表示手段と、当該第1表示手段によって表示された縫製模様を選択するための縫製模様選択手段と、当該選択された縫製模様の全体を編集する第1編集手段と、前記選択された縫製模様を一部分毎に編集する第2編集手段と、前記第1編集手段による編集と、前記第2編集手段による編集とのいずれか一方を選択するための選択手段と、当該選択手段によって前記第1編集手段が選択された場合、前記第1編集手段による縫製模様の全体の編集に対応させて、前記縫い針と前記布とを相対的に移動させ、前記選択手段によって前記第2編集手段が選択された場合、前記第2編集手段による縫製模様の編集の間、前記縫い針と前記布との相対移動を休止させる移動手段と、を備えているように構成する。
【0016】
上記のように構成された縫い針と布とを相対的に移動させて縫製を行う縫製装置によれば、縫製模様の形状に対応する縫製模様データに基づき、第1表示手段によって縫製模様が表示され、当該第1表示手段によって表示された縫製模様が、縫製模様選択手段によって選択される。一方、第1編集手段によって当該選択された縫製模様の全体が編集され、第2編集手段によって前記選択された縫製模様が一部分毎に編集される。前記第1編集手段による編集と、前記第2編集手段による編集とのいずれか一方が選択手段によって選択される。そして、当該選択手段によって前記第1編集手段が選択された場合、前記第1編集手段による縫製模様の全体の編集に対応させて、移動手段によって前記縫い針と前記布とが相対的に移動し、前記選択手段によって前記第2編集手段が選択された場合、前記第2編集手段による縫製模様の編集の間、移動手段による前記縫い針と前記布との相対移動が休止される。ここで、縫製模様とは、ボタンホール模様、ポケット縫い付けパターン等を含む広い概念である。
【0017】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の縫製装置において、前記選択手段によって前記第1編集手段が選択された場合、前記第1編集手段による縫製模様の全体の編集に対応させて前記縫製模様を表示し、前記選択手段によって前記第2編集手段が選択された場合、前記選択された縫製模様の一部分毎の編集に対応させて前記縫製模様を表示する第2表示手段を更に備えているように構成する。
【0018】
上記のように構成された縫製装置によれば、前記選択手段によって前記第1編集手段が選択された場合、第2表示手段によって、前記第1編集手段による縫製模様の全体の編集に対応させて前記縫製模様が表示され、また前記選択手段によって前記第2編集手段が選択された場合、第2表示手段によって、前記選択された縫製模様の一部分毎の編集に対応させて前記縫製模様が表示される。
【0019】
また、請求項7記載の発明は、請求項5または6記載の縫製装置において、前記選択手段によって前記第1編集手段が選択された場合に、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する前に、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する旨を報知する報知手段を更に備えているように構成する。
【0020】
上記のように構成された縫製装置によれば、前記選択手段によって前記第1編集手段が選択された場合、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する前に、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する旨が報知される。
【0021】
また、請求項8記載の発明は、請求項5乃至7のいづれか一項に記載の縫製装置において、前記選択手段によって前記第2編集手段が選択された場合、前記第2編集手段による縫製模様の編集の間、前記縫い針と前記布とを選択的に相対移動させるための手段を更に備えているように構成する。
【0022】
上記のように構成された縫製装置によれば、前記選択手段によって前記第2編集手段が選択された場合、前記第2編集手段による縫製模様の編集の間、前記縫い針と前記布とが選択的に相対移動する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明は、本発明を家庭用刺繍ミシンに適用した場合について行なう。
【0024】
まず、刺繍を行なうためのシステム全体について説明する。実際の刺繍作業は、まず刺繍データ処理回路により刺繍データを作成し、次にその刺繍データに基づき刺繍ミシンが希望の図柄の刺繍を行うという手順で行なわれる。
【0025】
図1に、家庭用刺繍ミシンの外形を示す。刺繍ミシン20は、ミシンベッド上に配置され、加工布22を保持する刺繍枠21を水平移動機構12(図2)により装置固有のX−Y座標系で示される所定位置に移動させつつ、縫い針23による縫い動作を行なうことにより、加工布22上に所定の図柄の刺繍を施す。刺繍ミシン20は、外部記憶メモリを読み出すための装置であるフラッシュメモリ装置と、タッチパネル付き液晶画面25と、刺繍データ処理回路と、制御装置とを備えて構成されている。作業者が刺繍データを記憶した外部記憶メモリとしてのフラッシュメモリ10をフラッシュメモリ挿入口24に挿入すると、記憶された刺繍データが読みだされる。刺繍データは通常、上記X−Y座標系における針落ち点の位置を示す座標データを含んでいる。また、作業者は、タッチパネルを用いて刺繍データの編集を行い、編集された刺繍データが液晶画面に表示される。マイクロコンピュータ等から構成される制御装置は、刺繍データ処理回路によって編集された刺繍データに基づいて刺繍枠21の水平移動機構12等を制御し、加工布22上に刺繍を施す。
【0026】
ここでは、縫製用のデータに基づき、表示を行うミシンについて説明しているが、表示用のデータ及び刺繍用のデータ(針落ち位置を示すデータ)の2種類のデータが予めミシン内部のROMまたは外部ROMカードに記憶されているミシン、表示用のデータから刺繍位置データを作成するタイプのミシン、共通したデータから表示用データ及び刺繍用データを作成するミシンについても以下で説明する本発明の刺繍データ処理回路を適用できる。
【0027】
次に、刺繍データ処理回路の構成について、図2を参照して説明する。
刺繍データ処理回路は、刺繍データ処理における種々の処理を行なうためのCPU2、種々の処理プログラムやデータを記憶するROM3、及び、刺繍模様及び刺繍枠を構成する図形の画像データ等の種々のデータを記憶するRAM4を有している。後述する刺繍データ作成処理は、ROM3または外部の記録媒体に記憶されたプログラムをCPU2が実行することにより行なわれる。
【0028】
さらに、刺繍データ処理回路は、フラッシュメモリ装置5、インターフェイス6、及び入力部11を有している。フラッシュメモリ10は、フラッシュメモリ装置5内に挿入され、作成された刺繍データがフラッシュメモリ10内に記憶される。入力部11は、刺繍ミシン20に配設された液晶画面上のタッチパネルによって構成され、後述する模様の選択及び配置の指示などの入力に用いられる。タッチパネルから入力された指示情報は、インターフェイス6を介してCPU2及びRAM4に供給される。
【0029】
さらに、刺繍データ処理回路は、刺繍図柄の画像データや刺繍領域等を画面25に表示するための液晶画面(LCD)7、及び、液晶画面7を制御するための表示制御装置(LCDC)8、を備えている。また、表示制御装置8には、画像記憶装置(VRAM)9が接続され、モノクロのビットマップグラフィックス表示が可能なように構成されている。刺繍データ処理回路によって編集された刺繍データに基づいて刺繍枠21の水平移動機構12等が制御され、加工布22上に刺繍が施される。なお、水平移動機構12は、特開平4−364887号公報に開示されているように、パルスモータ、これによって作動するタイミングベルト及びタイミングベルト支持部材等で構成され、当該構成によって刺繍枠21が移動する。
【0030】
なお、上記の構成において、液晶画面7及び表示制御装置8が第1及び第2表示手段、報知手段に対応し、CPU2、ROM3、RAM4、インターフェイス6及びタッチパネル11が、縫製模様選択手段、第1並びに第2配置設定手段、第1並びに第2編集手段及び選択手段に対応し、制御装置及び水平移動機構12が移動手段に対応している。
【0031】
また、図3及び図4のフローチャートで、ステップS8及びS28で第1表示手段が機能し、ステップS10及びS30で縫製模様選択手段が機能し、ステップS12で第1配置設定手段及び第1編集手段が機能し、ステップS36で第2配置設定手段及び第2編集手段が機能し、ステップS3で選択手段が機能し、ステップS54で移動手段が機能し、ステップS42及びS52で第2表示手段が機能する。
【0032】
次に、図3乃至図9を参照して、本発明による縫製データ処理回路の動作を説明する。
図3は、刺繍データの作成処理を示すフローチャートである。なお、以下の処理では、図5乃至図9に示す画面表示を例にとって説明する。ここで、図5は液晶画面に表示された模様種類選択画面の一例であり、図6は液晶画面に表示された模様選択画面の一例であり、図7及び図8はレイアウト画面の一例であり、図9は選択された模様を示す画面の一例である。
【0033】
図3において、刺繍ミシン20の電源がオンされると(ステップS2)、配置編集刺繍モードが選択されたか否かが判断される(ステップS3)。ここで、配置編集刺繍モードとは、選択された刺繍模様の一部分毎に配置設定が行われるモードであり、当該モードが選択されない場合には、選択された刺繍模様の全体を一律の配置状態で配置する。具体的には後述する。
【0034】
配置編集刺繍モードが選択された場合(ステップS3,YES)には、図5に示す模様種類選択画面が液晶画面25に表示される(ステップS4)。次に、刺繍データ処理回路は、表示された模様種類選択画面の中から1つの模様種類が選択されるまで待機状態となる(ステップS6)。ここでは、図5の模様種類101が選択されたものとする。図5の模様種類101が選択されると(ステップS6,YES)、図6に示す模様選択画面が液晶画面25に表示される(ステップS8)。
【0035】
この時、「戻る」(戻るキー)が押されると(ステップS9,YES)、模様種類選択画面(図5)に再び戻り、上記ステップS4〜S9が繰り返される。
一方、模様選択画面(図6)が表示されている時に、表示された模様の中から刺繍模様を選択することができる(ステップS10)。ここでは、図6の刺繍模様102が選択されたものとする。刺繍模様102が選択されると(ステップS10,YES)、図4(a)に示すサブルーチン(模様配置処理A)が呼び出され(ステップS12)、図7に示すようなレイアウト画面が液晶画面25上に表示される。図7のレイアウト画面は、刺繍ミシンの縫製可能範囲103、選択刺繍模様の大きさに対応する枠110、イメージキー104、8個の矢印キー105、左右反転キー106、90度回転キー107、配置終了キー108、リセットキー109及び戻るキー111が表示されるものとする。
【0036】
ここで、矢印キー105は縫製可能範囲103内で矢印の方向に選択された刺繍模様(枠110)を移動させるためのキーである。(当該実施の形態では、矢印キーを1回押すことによって、選択された刺繍模様(枠110)を矢印方向に0.1mm移動させることができるように構成する。)また、イメージキー104は、配置後の刺繍模様の状態をイメージ表示させるためのキーであり、左右反転キー106は、選択された刺繍模様を左右反転させるためのキーであり、90度回転キー107は、選択された刺繍模様を90度回転させるためのキーであり、リセットキー109は、編集された刺繍模様を編集前の状態に戻すためのキーである。なお、配置終了キー108及び戻るキー111に関しては後述する。
【0037】
なお、図7に示されているキー配置は、単なる一例であって、例えば、選択された刺繍模様を回転させるための回転キー、刺繍模様の配列を変更するためのキー、刺繍模様の間隔を変更するためのキーを設け、縫製模様を編集することもできる。
【0038】
レイアウト画面が表示された後、CPU2は、移動キー(矢印キー105)が押されたか否かを判断する(ステップS40)。移動キーが押された場合(ステップS40,YES)には、移動キーによって設定された移動量に基づき、表示データが処理され(ステップS42)、これに伴い、図8に示すように液晶画面内の縫製可能領域内で枠110(選択された刺繍模様)が移動する。しかし、このように枠110が移動している間に、刺繍枠は移動しない。
【0039】
その後、移動キーが押されなかった場合(ステップS40,NO)または表示データ処理(ステップS42)の後、「配置終了」キーが押されたか否かが判断される(ステップS44)。配置終了キーが押されない場合(ステップS44,NO)の場合には上記ステップS40乃至S44が繰り返され、一方、配置終了キーが押された場合(ステップS44,YES)には上記模様配置処理を終了し、図3のメインルーチンに戻る。このように構成することによって、選択された刺繍模様の一部分毎に配置設定が行われる場合には、最終的に配置処理が終了するまで刺繍枠を移動させていないので、布が移動することに伴う消費電力及び騒音を低減できるとともに、無駄な刺繍枠の移動を低減して水平移動機構の短命化を防止できる。なお、縫い針と布との相対移動が休止している縫製模様の配置設定の間に、前記縫い針と前記布とを選択的に相対移動させるための手段を設け、作業者の要望に応じて縫い針を縫製模様の配置位置に移動させ、より正確に縫製位置を確認できるようにすることもできる。
【0040】
また、レイアウト画面表示において、戻るキー111が押されると(ステップS20,YES)、模様選択画面(図6)に再び戻り、上記ステップS8〜S12が繰り返され、複数の模様を選択することができる。
【0041】
上記ステップS4乃至S20は、縫製開始キー26(図1)が押されるまで行われる。レイアウト画面表示の時に、刺繍ミシン本体に設けられた縫製開始キー26が押されると(ステップS16,YES)選択された刺繍模様の編集状態に基づき刺繍データが作成され、制御部の制御の下で加工布22の張られた刺繍枠が縫い針に対して相対的に移動し、縫製が行われる(ステップS18)。
【0042】
次に、配置編集刺繍モードが選択されなかった場合について説明する。
配置編集刺繍モードが選択されない場合(ステップS3,NO)にも同様に、図5に示す模様種類選択画面が液晶画面25に表示される(ステップS24)。次に、刺繍データ処理回路は、表示された模様種類選択画面の中から1つの模様種類が選択されるまで待機状態となる(ステップS26)。ここでも、図5の模様種類101が選択されたものとする。図5の模様種類101が選択されると(ステップS26,YES)、図6に示す模様選択画面が液晶画面25に表示される(ステップS28)。
【0043】
この時、「戻る」(戻るキー)が押されると(ステップS29,YES)、模様種類選択画面(図5)に再び戻り、上記ステップS24〜S29が繰り返される。
【0044】
一方、模様選択画面(図6)が表示されている時に、表示された模様の中から刺繍模様を選択することができる(ステップS30)。ここでも、図6の刺繍模様102が選択されたものとする。刺繍模様102が選択されると(ステップS30,YES)、図9に示すように、選択された模様が液晶画面25上に表示される(ステップS31)。
【0045】
図9のように模様が選択された状態で「レイアウト」(レイアウトキー)が押されると(ステップS34,YES)、図4(b)に示すサブルーチン(模様配置処理B)が呼び出され(ステップS36)、配置編集刺繍モードの場合と同様であり、図7に示すようなレイアウト画面が液晶画面25上に表示される。当該実施の形態におけるレイアウト画面のキー配置は、前記の場合と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0046】
レイアウト画面が表示された後、CPU2は、移動キー(矢印キー105)が押されたか否かを判断する(ステップS50)。移動キーが押された場合(ステップS50,YES)には、移動キーによって設定された移動量に基づき、表示データが処理され(ステップS52)、これに伴い、図8に示すように液晶画面内の縫製可能領域内で枠110(選択された刺繍模様)が移動する。そして、加工布を縫い針に対して相対的に移動させる旨を報知し(ステップS53)、移動キーによって設定された移動量に基づき、刺繍データが処理され、制御装置が当該処理された刺繍データに基づき水平移動機構12を制御し、加工布22の張られた刺繍枠を縫い針に対して相対的に移動させる(ステップS54)。
【0047】
その後、移動キーが押されなかった場合(ステップS50,NO)または刺繍枠の移動処理(ステップS54)の後、「配置終了」キー108が押されたか否かが判断される(ステップS56)。配置終了キーが押されない場合(ステップS56,NO)の場合には上記ステップS50乃至S56が繰り返され、一方、配置終了キーが押された場合(ステップS56,YES)には上記模様配置処理を終了し、図3のメインルーチンに戻る。このように構成することによって、縫製模様の全体を一律の配置状態で配置する場合には、選択された刺繍模様の配置状態に対応させて刺繍枠を移動させているので、縫製開始キー26(図1)を押すことによって即座に縫製を開始することができる。
【0048】
一方、図9のように模様が選択された状態で戻るキー111が押されると(ステップS38,YES)、模様選択画面(図6)に再び戻り、上記ステップS28〜S38が繰り返され、複数の模様を選択することができる。
【0049】
上記ステップS24乃至S38は、縫製開始キー26(図1)が押されるまで行われる。刺繍ミシン本体に設けられた縫製開始キー26が押されると(ステップS33,YES)選択された刺繍模様の編集状態に基づき刺繍データが作成され、制御部の制御の下で刺繍枠が移動し、縫製が行われる(ステップS18)。
【0050】
なお、模様種類選択画面(図5)及び模様選択画面(図6)のそれぞれのデータは、2値のビットマップデータとして、刺繍ミシン20内のROM3またはフロッピーディスク、フラッシュメモリ等の外部の記録媒体に記録されている。これらのデータは、CPU2からの命令に従って必要に応じて読み出され、液晶画面25上に表示される。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の縫製装置によれば、選択された縫製模様の全体を配置設定する場合には、縫製模様の全体の配置設定に対応させて、縫い針と布とを相対的に移動させ、選択された縫製模様を一部分毎に配置設定する場合には、縫製模様の配置設定の間、縫い針と布との相対移動を休止させている。このため、縫製模様の全体を一律の配置状態で配置する場合には、選択された刺繍模様の配置状態に対応させて刺繍枠を移動させているので、即座に縫製を開始することができる。一方、選択された刺繍模様の一部分毎に配置設定が行われる場合には、最終的に配置処理が終了するまで刺繍枠を移動させていないので、布が移動することに伴う消費電力及び騒音を低減できるとともに、無駄な刺繍枠の移動を低減して水平移動機構の短命化を防止できる。
【0052】
また、請求項2記載の縫製装置によれば、選択された縫製模様の全体を配置設定する場合には、縫製模様の全体の配置設定に対応させて前記縫製模様を表示し、選択された縫製模様を一部分毎に配置設定する場合には、選択された縫製模様の一部分毎の配置設定に対応させて前記縫製模様を表示しているので、縫い針と布との相対移動の有無に拘らず、縫製模様の編集状態を視覚的に確認することができる。
【0053】
また、請求項3記載の縫製装置によれば、縫製模様の全体を一律の配置状態で配置する場合には、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する前に、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する旨を報知しているので、前記相対移動が行われることを視覚的に認識することができる。
【0054】
また、請求項4記載の縫製装置によれば、選択された縫製模様を一部分毎に配置設定され、縫い針と布との相対移動が休止している縫製模様の配置設定の間に、前記縫い針と前記布とを選択的に相対移動させるための手段を更に備えているので、作業者の要望に応じて縫い針を縫製模様の配置位置に移動させることができ、より正確に縫製位置を確認することができる。
【0055】
なお、請求項5乃至8記載の縫製装置によっても、それぞれ請求項1乃至4記載の縫製装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】家庭用刺繍ミシンの外観を示す斜視図である。
【図2】刺繍データ処理回路の内部構成を示すブロック図である。
【図3】刺繍データの作成処理を示すフローチャートである。
【図4】模様配置処理を示すフローチャートである。
【図5】液晶画面に表示された模様種類選択画面の一例である。
【図6】液晶画面に表示された模様選択画面の一例である。
【図7】液晶画面に表示されたレイアウト画面の一例である。
【図8】液晶画面に表示されたレイアウト画面の一例である。
【図9】液晶画面に表示された選択された模様を示す画面の一例である。
【符号の説明】
2…CPU
3…ROM
4…RAM
5…フラッシュメモリ装置
7…液晶ディスプレイ
10…フラッシュメモリ
20…家庭用ミシン
Claims (8)
- 縫い針と布とを相対的に移動させて縫製を行う縫製装置において、
縫製模様の形状に対応する縫製模様データに基づき、縫製模様を表示する第1表示手段と、
当該第1表示手段によって表示された縫製模様を選択するための縫製模様選択手段と、
当該選択された縫製模様の全体を配置設定する第1配置設定手段と、
前記選択された縫製模様を一部分毎に配置設定する第2配置設定手段と、
前記第1配置設定手段による配置設定と、前記第2配置設定手段による配置設定とのいずれか一方を選択するための選択手段と、
当該選択手段によって前記第1配置設定手段が選択された場合、前記第1配置設定手段による縫製模様の全体の配置設定に対応させて、前記縫い針と前記布とを相対的に移動させ、前記選択手段によって前記第2配置設定手段が選択された場合、前記第2配置設定手段による縫製模様の配置設定の間、前記縫い針と前記布との相対移動を休止させる移動手段と、
を備えていることを特徴とする縫製装置。 - 前記選択手段によって前記第1配置設定手段が選択された場合、前記第1配置設定手段による縫製模様の全体の配置設定に対応させて前記縫製模様を表示し、前記選択手段によって前記第2配置設定手段が選択された場合、前記選択された縫製模様の一部分毎の配置設定に対応させて前記縫製模様を表示する第2表示手段を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の縫製装置。
- 前記選択手段によって前記第1配置設定手段が選択された場合に、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する前に、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する旨を報知する報知手段を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の縫製装置。
- 前記選択手段によって前記第2配置設定手段が選択された場合、前記第2配置設定手段による縫製模様の配置設定の間、前記縫い針と前記布とを選択的に相対移動させるための手段を更に備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいづれか一項に記載の縫製装置。
- 縫い針と布とを相対的に移動させて縫製を行う縫製装置において、
縫製模様の形状に対応する縫製模様データに基づき、縫製模様を表示する第1表示手段と、
当該第1表示手段によって表示された縫製模様を選択するための縫製模様選択手段と、
当該選択された縫製模様の全体を編集する第1編集手段と、
前記選択された縫製模様を一部分毎に編集する第2編集手段と、
前記第1編集手段による編集と、前記第2編集手段による編集とのいずれか一方を選択するための選択手段と、
当該選択手段によって前記第1編集手段が選択された場合、前記第1編集手段による縫製模様の全体の編集に対応させて、前記縫い針と前記布とを相対的に移動させ、前記選択手段によって前記第2編集手段が選択された場合、前記第2編集手段による縫製模様の編集の間、前記縫い針と前記布との相対移動を休止させる移動手段と、
を備えていることを特徴とする縫製装置。 - 前記選択手段によって前記第1編集手段が選択された場合、前記第1編集手段による縫製模様の全体の編集に対応させて前記縫製模様を表示し、前記選択手段によって前記第2編集手段が選択された場合、前記選択された縫製模様の一部分毎の編集に対応させて前記縫製模様を表示する第2表示手段を更に備えていることを特徴とする請求項5に記載の縫製装置。
- 前記選択手段によって前記第1編集手段が選択された場合に、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する前に、前記縫い針と前記布とが相対的に移動する旨を報知する報知手段を更に備えていることを特徴とする請求項5または6に記載の縫製装置。
- 前記選択手段によって前記第2編集手段が選択された場合、前記第2編集手段による縫製模様の編集の間、前記縫い針と前記布とを選択的に相対移動させるための手段を更に備えていることを特徴とする請求項5乃至7のいづれか一項に記載の縫製装置。
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