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JP3575177B2 - インクジェット方式の画像形成装置 - Google Patents

インクジェット方式の画像形成装置 Download PDF

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JP3575177B2
JP3575177B2 JP22695596A JP22695596A JP3575177B2 JP 3575177 B2 JP3575177 B2 JP 3575177B2 JP 22695596 A JP22695596 A JP 22695596A JP 22695596 A JP22695596 A JP 22695596A JP 3575177 B2 JP3575177 B2 JP 3575177B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型プリンタ等の画像形成装置に係り、特に用紙等の記録媒体にインクを飛翔させることで画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記インクジェット方式の画像形成装置は、例えば、用紙等の記録媒体を一定の方向に搬送する搬送部材と、記録媒体の搬送経路に対向すると共に記録媒体の搬送方向と垂直な方向に移動可能に配設され、記録媒体の搬送経路に向かってノズルからインクを飛翔させる記録ヘッドと、ヘッドを搭載するキャリッジとを有するものが広く普及している。
また、記録ヘッドのキャリッジとしては、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク及びブラックインクを飛翔させることができるフルカラー用のものが一般的である。それぞれの記録ヘッドは、キャリッジに固定して配設され、画像情報に応じてインクを吐出するノズル部と、キャリッジに着脱可能に配設され、ノズルにインクを供給するインクタンクと、で構成されているものが一般的である。
【0003】
そして、インクジェット方式の画像形成装置は、搬送部材で記録媒体を搬送し、且つ、記録媒体搬送方向に直交して往復動作するキャリッジに搭載する記録ヘッドから、画像情報に応じてインクを飛翔させることで、記録媒体上に所定の画像を形成する。
このように、インクジェット方式の画像形成装置は、インクを使用し、更にインクをノズルから飛翔させることで画像を形成するよう構成されることから、画像品質を維持する上で下記の問題があった。
(1) 非画像形成時において、ノズルに収容されているインクが乾燥し易い。乾燥が発生するとインクの粘度が変化して(例えば、増粘する)、その結果インクの飛翔の仕方が変化してしまい、所望の画像を形成することができなくなってしまった。
(2) インクの乾燥が更に進行すると、ノズル内に増粘したインクが詰ってしまったり、ノズル内に異物や空気が混入してしまったりすることにより、インクが飛翔しなくなってしまった。
(3) 画像形成開始直後において、ノズル面が乾燥したり、インクの表面が固化しているため、インクの飛翔が安定せず、所望する画像が形成出来ない場合があった。
(4) ノズルからインクタンクを分離して交換するに際し、交換後にノズル内にインクを再充填する必要があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、従来よりインクジェット方式の画像形成装置では、非画像形成時に記録ヘッドのノズルにメンテナンス部材であるキャップ部材を被覆して、インクの乾燥を防止すると共に、ポンプ部材によってノズル内からインク等の異物等を吸引し、更に、ノズルの先端に付着したインクはワイパー部材で除去することにより、これらの問題を解決していた。
ここで、インク吸引ポンプはノズルからのインク等異物を吸引する場合と、キャップ内に残留するインクを吸引する場合があり、それぞれに適した条件で吸引を実行しないとノズルからの吸引ができなかったり、無駄にインクを吸引しすぎてしまうことがあり、さらにキャップからのインク回収効率を良くしないと回復時間を要することになった。
【0005】
また、記録ヘッド毎にダミージェット量が異なり、特にカラーヘッドの場合は吸引後にダミージェットを実行するため、カラーヘッド用のキャップ部材に対しては効果的にキャップ内のインクを回収する必要があった。
そこで、この発明は要求される条件に適した吸引による記録ヘッドの確実なメンテナンス作業の達成、特に記録ヘッド毎に異なるダミージェット量に対応できる装置の提供を図るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る画像形成装置は、画像情報に応じてインクを飛翔する複数のノズルと、該ノズルをそれぞれ被覆する複数のキャップ部材と、該複数のキャップ部材のそれぞれに接続されたインク吸引路を介してキャップ部材内のインクを吸引するインク吸引ポンプとを有するインクジェット方式の画像形成装置において、前記キャップ部材とインク吸引ポンプとは共通の駆動源により、それぞれ所定のタイミングで駆動されると共に、前記インク吸引ポンプは、インク吸引路を介してキャップ部材に連通する2つのインク吸引口を有する中空のシリンダと、前記シリンダの中空の内部空間内を往復移動可能に配設されたピストンとにより構成され、該ピストンの両側には2つのポンプ室が形成されていると共に、該ピストンの1サイクルの往復移動により、前記2つのポンプ室のそれぞれに異なる圧力波形を発生させる位置で、前記2つのインク吸引口が各ポンプ室と連通され、この2つのインク吸引口のそれぞれに異なる圧力波形を発生させることを特徴とし、1つのポンプにより吸引条件に応じた吸引を実行させている。インク吸引ポンプが形成する圧力波形は、一方がキャップ内のインクおよびノズルからのインクを吸引できる急激な圧力波形、他方がキャップ内の残留インクを吸引する、ピストンの移動に伴って徐々に負圧となるゆるやかな圧力波形であって、異なる目的に合わせて使用することができると共に、負荷が分かれ高負荷となることがなく、駆動系の小型化が図れる。
【0007】
また、異なる圧力波形を形成するインク吸引ポンプは、内部空間及びインク吸引路を介してキャップ部材に連通する2つのインク吸引口を有するシリンダと、シリンダの内部空間内を移動可能に配設されたピストンとを有し、2つのインク吸引口は、2つのポンプ室のそれぞれに異なる圧力波形を発生させる位置でシリンダの内部空間と連通する簡単な機構で構成され、インク吸引口の配設位置を規定することにより異なる吸引波形を形成できる。さらに、シリンダは、2つのインク吸引口の間にインク排出口を設けると共に、ピストンの両側に形成される各ポンプ室とインク排出口とを連通させるインク排出路を設け、吸引インクの効率良い排出が達成できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明のインクジェット記録装置の実施の形態を詳細に説明する。
図8は本実施の形態に係るインクジェット方式の画像形成装置を示し、図1はメンテナンス部分の説明図、図9はメンテナンスステーションの斜視図である。インクジェット記録装置は、記録媒体Pを矢印の方向に搬送する記録媒体搬送部材1と、記録媒体Pの搬送経路に対向し、且つ記録媒体Pの搬送方向と直交する方向(主走査方向)に延設された1組のガイド部材2と、ガイド部材2により支持された記録ヘッドキャリッジ3と、ガイド部材2の下部であって記録媒体搬送経路に干渉しない位置に配設されたメンテナンスステーション4と、これらを一体に保持するハウジング5等を有する。また、記録ヘッドキャリッジ3にはフレキシブル基板に形成された信号線を通じて画像情報が送られるようになっている。また、記録ヘッドキャリッジ3は非印字領域であるメンテナンスステーション4に対向する位置がホームポジションとして設定されており、印字領域と非印字領域とを矢印X−Y方向に移動し、キャリッジ3のホームポジション位置での存在をホームポジションセンサ7で検出するようになっている。
【0009】
記録ヘッドキャリッジ3は、1組のガイド部材2上を移動可能に配設されたヘッドキャリッジフレーム3aと、フレーム3aの下面(上記記録媒体搬送経路に対向する側面)よりも下に突出するように配設された2つのノズル部、第1のノズル部3b,第2のノズル部3cと、フレーム3aに対して着脱可能に配設され、各ノズル部3b,3cにインクを供給する2つのインクタンク、第1のインクタンク3d,第2のインクタンク3eとからなる。
また、第1のタンク3dに対応する第1のノズル部3bには画像情報に応じてインクを飛翔させる第1のノズル3fが形成されると共に、第1のノズル部3bに接続された第1のインクタンク3dは黒色インクが供給される。
他方、第2のタンク3eに対応する第2のノズル部3cには画像情報に応じてインクを飛翔させる3つのノズル3g,3h,3iが形成されると共に、第2のノズル部3cに接続されたインクタンク3eは各ノズル3g,3h,3iに対してそれぞれイエローインク、マゼンタインク、シアンインクをそれぞれ供給する構成となっている。
【0010】
メンテナンスステーション4は、ステーション本体4aと、ステーション本体4aから排出されるインクを吸収保持する排インク吸収体4bとから成る。
ステーション本体4aは、ユニットハウジング8と、ユニットハウジング8に取り付けられた各種の部材、例えばキャップ部材9、各部材の駆動機構等により構成されている。ステーション本体4aは2つのキャップ部材9a,9bを有し、それらはキャップキャリッジ10上に保持されている。
各キャップ部材9は、スポンジで形成されたインク保持体91a,91bを収容したゴム製のキャップ93a,93bで形成されている。キャップ93a,93bにはキャップ内部と外部とを貫通する大気開放口95a,95bが穿孔されている。
第1のキャップ部材9aには大気開放口95aを開閉する封止部材50が配設される。
【0011】
キャップキャリッジ10は、図10に示すように2つのキャップ部材9a,9bを支持する支持底部10aと、その一辺両端に配設された一対のアーム部10bと、支持底板10aの下に配設されたガイド部10cと、支持底板10aの下部であってガイド部10cに隣接して配設された支点部10dを有する。アーム部10bがユニットハウジング8のガイド溝81に係合し、ガイド部10cがユニットハウジング8の係合部83に係合される。
キャップキャリッジ10の支点部10dには、カムフオロワ11aを取り付けたL字アーム11を接続する。そして、カム12aを回動させるとカムフオロワ11aを押圧しスプリング11bの付勢力に抗してL字アーム11が支点から回動する。L字アーム11の回動によりキャップキャリッジ10はユニットハウジング8のガイド溝81および係合部83に案内されて、姿勢を一定に保ったまま上下に移動する。以後、カム12aが形成された部材をカム駆動伝達部材12と称する。
このようにユニットハウジング8内を上下移動可能に構成されるキャップキャリッジ10は、さらに記録ヘッドキャリッジ3の移動方向と同じ方向にユニットハウジング8内を水平方向に移動可能に配設されている。
【0012】
次に、キャップキャリッジ10と記録ヘッドキャリッジ3の移動機構を説明する(図11,図12参照)。
記録ヘッドキャリッジ3は2つのノズル部3b,3cに隣接した位置に2つの凸部、印字領域側の第1の凸部34aと、非印字領域側の第2の凸部34bを配設する。そして、キャップキャリッジ10にはヘッド側の2つの凸部34a,34bの移動経路に対応する位置に係合ピン14が配設されている。さらに、ステーション本体4aには係合ピン14の近傍に上下方向に移動可能な固定ピン15が配設されている。なお、固定ピン15は、ユニットハウジング8との間に挿入されたバネ16により上方に付勢されると共に、カム駆動伝達部材12のギアの溝部(図示せず)と係合してその高さを設定される構成となっている。
【0013】
次に、記録ヘッド3に対するキャップ部材9の位置関係を説明する。
印字位置
キャップキャリッジ10が最も下がった状態で、キャップキャリッジ10のキャップ部材9、および係合ピン14は記録ヘッド3に干渉せず、記録ヘッド3は自由に印字領域、非印字領域を移動可能である。
キャッピング準備位置
カム駆動伝達部材12を回動させて、キャップキャリッジ10を上昇させる。記録ヘッド3とキャップ部材9は接触していないが、係合ピン14が記録ヘッドキャリッジ3の第1の凸部34aに係合する高さ(位置)となる。そして、係合ピン14が第1の凸部34aに係合した状態でキャリッジ10は記録ヘッド3の移動に追従する。
キャッピング位置
キャップキャリッジ10をさらに上昇させ、キャップ部材9a,9bをノズル部3b,3cに圧接させる。この状態でノズル部3b,3cはキャップ部材9a,9bによりキャッピングされる。
また、キャップ部材9a,9bをノズル部3b,3cに圧接させる際に、固定ピン15を上昇させて非印字領域側の第2の凸部34bと係合させることにより、2つの凸部34a,34bの間に係合ピン14及び固定ピン15を挿入させて、記録ヘッドキャリッジ3の引出防止ができる構成となっている。
また、第1のキャップ部材9aに配設する封止部材50は、キャップキャリッジ10上に配設され、キャップキャリッジ10が記録ヘッドキャリッジ3に押されて非印字領域方向に移動することにより大気開放口95aを封止するように構成されている(図13参照)。
【0014】
次に、図14において、ノズル部のノズル面をクリーニングするワイパー部材60を説明する。
ワイパー部材60はゴムブレード65を有する。そして、ステーション本体4aとの間に設けられたバネ63によりワイパ部材60は上方(記録ヘッド3方向)へ付勢されている。通常は、カム駆動伝達部材12によりバネ63の付勢力に抗して下方に押し下げられ、ブレード65は記録ヘッド3のノズル部から離れている。
そして、記録ヘッドキャリッジ3の移動にあわせて、カム駆動伝達部材12が回動し、バネ63の付勢力により、ワイパー部材60をそのブレード65先端がノズル部3b,3cの移動経路位置に干渉する位置に移動させる。記録ヘッドキャリッジ3の非印字領域と印字領域との移動により、各ノズル3b,3cの先端にブレード65が当接して、ノズル面に付着するインクを払拭させることができる。
【0015】
次にポンプ部材20の構成、および排インクの吸引機構を説明する(図1〜5参照)。
ポンプ部材20は、上部に2つのインク吸引口21a,21bが形成されるシリンダ29と、シリンダ29の内部に嵌挿されるピストン20Pよりなる。
シリンダ29に形成されるインク吸引口は、第1のキャップ部材9aに接続される第1のインク吸引口21aと、第2のキャップ部材9bに接続される第2のインク吸引口21bとする。シリンダ29の中央下部にはインク排出口23が形成されている。
第1のインク吸引口21aはシリンダ中央部近くに配設し、第2のインク吸引口21bはシリンダ端部付近に配設する。すなわち、シリンダ29の端部から第1のインク吸引口21aの距離Lは長く、第2のインク吸引口21bの距離Lは短く構成されている。
シリンダ29内に配設されるピストン20Pはシリンダ29の内周面に当接する大きさに形成される。ピストン20Pはその中心部分に貫通孔26が形成されたピストンヘッド22と、貫通孔26よりも小径に形成されたピストンロッド24から成る。貫通孔26の径をd、ピストンロッド24の径をd、ピストンロッド24に嵌装されるテーパリング241の径をdとしたとき、d<d≒dの関係となっている。
【0016】
ピストンヘッド22は、その周面の両端部分に一対のゴム製のピストンパッキン25A,25Bが配設され、シリンダ29内に第1のポンプ室100Aと、第2のポンプ室100Bを形成する。ピストンヘッド22の側面には貫通孔26とシリンダ空間に連通するインク流出口27を形成する。
ピストンロッド24は、ピストンヘッド22の貫通孔26を塞ぐ大きさに形成された一対の貫通孔閉塞板28A,28Bを有している。この2つの貫通孔閉塞板28A、28Bの間隔Lはピストンヘッド22の貫通孔26の長さLより若干長い間隔で配設されている。また、各貫通孔閉塞板28A,28Bの貫通孔に対向する側面にはそれぞれシリコンゴム製のシール部材が配設されている。
また、ピストンロッド24は駆動伝達アーム19を介してカム駆動伝達部材12のカムに連結されている。
【0017】
ポンプ部材20のインク吸引口21(第1のインク吸引口21a、第2のインク吸引口21b)と各キャップ部材9a,9bとはインク吸引路であるホース55で接続されている。このように1つのポンプ部材20により各キャップ部材9a,9b内のインクが吸引されるようになっている。また、ポンプ部材20の排出口23に排インク吸収体4bを連絡させて排出インクを吸収させるように構成されている。
【0018】
このように構成されるポンプ部材20は、ピストンロッド24がカム駆動伝達部材12の回動に追従して矢印V方向に引っ張られることで、インク吸引口21aからインクを第1のポンプ室100Aに吸引する。この時、ピストンの第2ポンプ室100Bに収容されていた排インクは、貫通孔26及びインク流出口27を介してインク排出口23から排出される。
また、ポンプ部材20は、ピストンロッド24が矢印W方向に押し戻されることで、第2のインク吸引口21bからインクを第2のポンプ室100Bに吸引し、且つ、ピストン20Pの第1のポンプ室100Aに収容されていた排インクを貫通孔26及びインク流出口27を介してインク排出口23から排出する。
【0019】
ここで、ポンプ部材20は、第1のインク吸引口21aが、シリンダ29の中央寄りに形成され、ピストンヘッド22がある程度移動した時に、シリンダ29内とキャップ部材9を介して記録ヘッド3とが連通するように構成されているので、第1のポンプ室100Aが形成する吸引圧力は、図6に実線(a)で示すように、非常に高い圧力が瞬時に作用する急激的な吸引波形を示す。
他方、第2のインク吸引口21bは、シリンダ29の端部寄りに配設されて常時シリンダ29内とキャップ部材が連通しているので、第2のポンプ室100Bが形成する吸引圧力は、図6に破線(b)で示すように、ポンプ部材が停止するまでピストンヘッド22の移動にあわせて徐々に減圧される緩慢な吸引波形を示す。
【0020】
次に、排インク処理構造を図7により説明する。
ポンプ排出口23より排出された排インクは、パイプ部41を通って排インク排出口43へ排出される。排出口43近傍にはジョイント用吸収体44が配設されており、排出されたインクは一度この吸収体44に吸収された後、排インク吸収体44b、インク吸収体4bに移行する。ジョイント用吸収体44と排出口23はホルダー45内に設けられたリブ47により強制的に間隙を形成することによりジョイント用吸収体44の目詰まり、排出不良を防止している。
【0021】
このように、カム駆動伝達部材12には、キャップキャリッジ10を上下移動させるためのキャッピング用カム12a、固定ピン15を上下移動させるためのギアの溝部、ポンプ部材20を駆動するためのポンピング用カム、ワイパー部材60を上下移動させるためのワイピング用カム等を備えている。また、カム駆動伝達部材12には回転位相センサ用の検出板(図示せず)を備えている。
カム駆動伝達部材12は、モータの回転をギア列により伝達して各部材用のカムを回転する構成となっている。
【0022】
すなわち、これら各カム及び溝は、図15に示すように、カム駆動伝達部材12の検出板で検出する所定の回転位相に対して各部材を移動(駆動)させるように形成されている。カムの回転角度と各部材の移動を説明すると、カムの回転位相350〜10°には全ての部材(9a,9b,14,15,60)が退避位置にある。カムの回転位相30〜50°にはキャップキャリッジ10をハーフポジションまで上昇させるキャップ位置決めモードが割り付けられ、カムの回転位相70〜120°にはキャリッジを停止させてキャップ部材等9a,9b,14及び固定ピン15を上昇させるキャリッジ停止モードが割り付けられ、カムの回転位相120〜200°にはキャップ部材等9a,9b,14及び固定ピン15を上昇させた状態でポンプ部材20を駆動させるバキューム(吸引)モードが割り付けられ、カムの回転位相280〜350°にはキャップ部材等9a,9b,14及び固定ピン15を退避させた状態でポンプ部材20を駆動させる、キャップ内バキュームモードが割り当てられ、更に、カムの回転位相320〜330°にはワイパー部材60を上昇させるワイピングモードが割り当てられている。
【0023】
次に1つのポンプ部材によるインクの吸引、排出作用を詳述する。
▲1▼ 第1のポンプ室100Aのインク吸引工程、及び第2のポンプ室100Bのインク排出工程
ロッド24が図示矢印V方向に移動を始めると、第1のポンプ室100Aの貫通孔閉塞板28Aがピストンヘッド22とロッド24に押し潰され第1のポンプ室100Aが密閉状態になる。ロッド24の移動にともないピストンパッキン25Aも移動を開始し、第1のポンプ室100Aを大気圧から徐々に減圧してゆく。所定の圧力に達したときにノズルにつながっている第1の吸引口21aを連通させ、第1のノズル部3bのノズル3f面に所定の吸引圧をかけノズル3f内の増粘したインク、異物、空気を急激的に吸引する。
このとき、同時にポンプ室100Bでは、貫通孔閉塞板28Bが押し潰された状態から自由状態に戻り、僅かに生じる隙間を利用してポンプ室100B内に吸引されたインクを排出口23側に移動させ、さらに、排インク吸収体4bへ順次移行させていく。
【0024】
▲2▼ ポンプ室100Aの排出工程及びポンプ室100Bの吸引工程
ロッド24が矢印W方向に移動を始めると、貫通孔閉塞板28Aがピストンヘッド22とロッド24に押し潰された状態から自由状態に戻り、僅かに生じるすき間を利用して第1のポンプ室100A内に吸引されたインクを排出口23側に移動させ、さらに、排インク吸収体4bへ順次移行させていく。
このとき、同時に第2のポンプ室100Bでは、ピストンパッキン25Bがロッド24に押し潰されポンプ室Bを密閉状態とする。ロッド24の移動に伴いピストンパッキン25Bも移動を開始する。しかし、ポンプ室100Bは第2のノズル部9bにつながっている吸引口21bをシリンダ29の短部近くに形成してポンプ室内とキャップ部材9bが連通しているので、ピストン20Pの移動に伴い徐々に減圧されていくとともにインクの吸引を行う。
【0025】
ここで、インクの吸引仕様を説明する。
▲1▼ノズル吸引時の吸引仕様(第1のポンプ室を使用)
第1のポンプ室100Aに封止部材50で大気開放口95aを封止したキャップ部材9aを連結。ポンプ室100Aを密閉状態にしてピストン20Pを移動させ、ポンプ室を大気圧から徐々に減圧していき所定の圧力に達したときにノズルにつながっている吸引口21aを連通させる。
急激的な吸引波形が形成される。
このとき、第1のポンプ室Aに連結されたノズル部3bまたは3c面には急激な吸引圧がかけられ、ノズル内の増粘したインク、異物、空気が吸引される。
この吸引仕様は所定の圧力に達した状態で吸引を行うため、無用なインク吸引をせずに効率よく回復動作を行うことができる。
▲2▼キャップ内空吸引時の仕様(第1、および第2のポンプ室を使用)
第2のポンプ室100Bに大気開放口95bを開放した状態の第2のキャップ部材9bを連結,ポンプ室100Bとキャップ部材につながっている第2の吸引口とを連通させた状態で、ピストン20Pを移動させ、徐々に減圧させていく。
ピストンの移動に従った緩慢な吸引波形が形成される。
この時、キャップ内に残留したインクは、ピストンの移動とともに、ポンプ室に移動していく。
キャップ部材内に残留しているインクを回収するには比較的低い圧力で徐々に吸引してゆく波形の方が効率良く吸収されることが実験により確認されている。
【0026】
以上のように、ポンプ部材20は1個のポンプにより上記2つの吸引仕様に対応できる。
以上の構成よりなる本実施の形態によるインクジェット記録装置の、記録ヘッド3の移動と封止部材50の関係を含めたインク吸引作用を説明する。
A 第1の記録ヘッド部3bからの吸引………図16(a〜e)参照
キャップキャリッジ10は印字位置にあり、記録ヘッド3は非印字領域方向Yに移動している。キャップキャリッジ10が上昇する。このとき、キャリッジ10の係合ピン14は第1の凸部34aと第2の凸部34の中間にあるようにする。
記録ヘッド3の移動に合わせて、キャップキャリッジ10の係合ピン14が記録ヘッド3の凸部34aに干渉する位置まで上昇させる。…(a、b)
記録ヘッド3の第1の凸部34aとキャップキャリッジ10の係合ピン14とを係合させた状態で、キャップキャリッジ10は記録ヘッド3に引かれて矢印Y方向に移動する。…(c、d キャップとヘッドの位置決め)
さらにキャップキャリッジ10が上昇し記録ヘッド3とキャップ部材9が接触する。…この位置はキャップ保管時と同様
ノズル部3b(黒BK用)を第1のキャップ部材9aで,ノズル部3c(カラ−TC用)を第2のキャップ部材9bで被覆する。この状態でさらに記録ヘッド3を非印字領域方向Yに移動させる。記録ヘッド3の移動に伴ってノズル部に連結する(被覆する)キャップキャリッジ10も矢印方向Yに移動し、第1のキャップ部材9aの大気開放口95aは封止部材50で封止される。
この状態でポンプ部材20を作動させると、第1の吸引口21aに連結する黒BK用ノズル部3bからは増粘したインク等の異物を吸引することができる。このときのポンプの吸引波形は急激的な波形であって、ノズル吸引時の吸引仕様が使用される。…(e)
第1のポンプ室Aに吸引されたインクはポンプ部材20の復帰時、排出される。
【0027】
第2の吸引口21bに連結するカラー用ノズル部3c側においては、ノズル部3bからの吸引時、第2のポンプ室100Bから吸引インクが排出される。その後、ピストン20Pの移動に合わせた大気開放口95bが開口した状態での吸引が行われる。この時のポンプの吸引波形は緩慢な波形であって、キャップ内吸引時の吸引仕様による比較的低い圧力で徐々にキャップ内のインクをポンプ室に吸引する。
【0028】
B 第2の記録ヘッド部3cからの吸引………図16(f〜i)
キャップキャリッジ10は印字位置にあり、記録ヘッド3は非印字領域方向Yに移動している。キャップキャリッジ10が上昇する。このとき、キャリッジ10の係合ピン14は第2の凸部34の外側にあるようにする。
記録ヘッド3の移動に合わせて、キャップキャリッジ10の係合ピン14が記録ヘッド3の第2の凸部34bに干渉する位置まで上昇する。…(f)
記録ヘッド3の第2の凸部34bとキャップキャリッジ10の係合ピン14とを係合させた状態で、キャップキャリッジ10は記録ヘッド3に引かれて矢印Y方向に移動する。…(g キャップとヘッドの位置決め)
さらにキャップキャリッジ10が上昇し記録ヘッド3とキャップ部材9が接触する。ノズル部3c(カラーTC用)を第1のキャップ部材9aで被覆する。この状態でさらに記録ヘッド3を非印字領域方向Yに移動させる。記録ヘッド3の移動に伴ってノズル部に連結する(被覆する)キャップキャリッジ10も矢印方向Yに移動し、第1のキャップ部材9aの大気開放口95aは封止部材50で封止される。…h
この状態でポンプ部材20を作動させると、第1の吸引口21aに連結するノズル部3c(カラーTC用)からは増粘したインク等の異物を吸引することができる。このときのポンプの吸引波形は急激的な波形であって、ノズル吸引時の吸引仕様が使用される。…(i)
このとき、第2のポンプ室100Bに連結されるキャップ部材9bはピストン20Pが復帰時、緩慢な吸引波形によるキャップ内残留インクの吸引が実行される。
【0029】
C キャップ部材からの吸引…(a)
各キャップ部材9a,9bにノズル部3b,3cが対向されるように記録ヘッドキャリッジ3の位置決めをする。この状態でポンプ部材20を動作させることで、ノズル部3b(黒BK用)、ノズル部3c(カラーTC用)の各ノズル3f,3g,3h,3iから飛翔させたインクを各キャップ部材9a,9bで受け、キャップ部材内のインクをポンプ部材20にて吸引する。
さらに、ポンプ20の作動とワイピング(ブレードの上下運動)をみると、記録ヘッドがホームポジションにあるとき、ブレード65は退避状態からヘッドに当接位置へと上昇し、ヘッドが印字側に移動するとき、ノズル表面を拭き取る。そして、ブレード65が退避位置にあるとき、記録ヘッド3はホームポジションに移動するのであるが、ブレード65が退避位置から当接位置に移動すると同時にポンプ部材20が作動し、キャップ内の残留インクを回収し、ブレード65の退避、当接可能状態への動作と共に、キャップ内の空吸引を同時に行うようにすることによりメンテナンス動作時間の短縮が可能となる。
【0030】
ここで、吸引ポンプの作動とインクの吸引のタイミングを図17のタイミングチャートにより説明する。
第1のポンプ室100Aに連絡する第1の吸引口21aに連結する第1のキャップ9aは大気開放口を閉塞した状態で記録ヘッド部3b,3cを被覆したとき、急激的に負圧となり、記録ヘッドからの吸引を実行し、インクの流入と共に急激に大気となる。また、記録ヘッド部に連結しないとき、第1のキャップ部9aからのキャップ内吸引を実行する。
そして、この間第2のポンプ室100B内の吸引されたインクは排出口から排出される。
第2のポンプ室100Bに連絡する第2の吸引口21bに連結する第2のキャップ9bは、大気開放口を開放した状態で記録ヘッド部3cを被覆する。ピストン移動と共に徐々に負圧となり、キャップ部9bからのキャップ内吸引が実行される。ポンプ作動が停止すると大気に戻る。この間第1のポンプ室100A内の吸引されたインクは排出口から排出される。
【0031】
このように、本実施形態のインクジェット方式の画像形成装置は、1つのモータ(パルスモータ)で、キャップ部材9a,9b,ワイパー部材60、キャリッジ位置固定部材15及びキャップの大気開放口封止部材50を、記録ヘッドキャリッジ3の移動経路に対して進退させて位置決めすると共に、吸引タイミングにポンプ部材20を作動させるようにしているので、各部材毎に個別に駆動手段を設ける必要がなく、装置の小型化が達成されると共に、確実な記録ヘッドのメンテナンスが実行でき、インクの吐出不良による画像形成不良を解消することができる。また、ピストンの移動方向により各ポンプ室に異なる圧力波形が形成出来、2種類の吸引仕様が1つのポンプで形成することができる。このように、ピストン動作方向によりピストン負荷が分かれるので、高負荷になることがない。
カラーインクジェット方式の画像形成装置においては記録ヘッド毎にダミージェット量が異なるが、最適な吸引波形で対応させることにより短時間でキャップ内のインクの回収が達成される。
【0032】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のインクジェット方式の画像形成装置では、1つのポンプ部材により異なった2つの吸引波形を発生させることが出来るので、負荷が分かれ、高負荷になることがなく、無駄なインクの吸引が防止でき、駆動系の小型化が図れる。また、最適な吸引波形によるインクの吸引により短時間にインクの回収が実行できる。
さらに、この装置は2つのインク吸引口の位置を規定する簡単な機構で構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置のメンテナンス部の概要説明図。
【図2】本発明に係るポンプ部材の分解説明図。
【図3】シリンダの平面図。
【図4】ポンプ部材の作動説明図。
【図5】ポンプ部材の作動説明図。
【図6】吸引波形を示すグラフ。
【図7】インク吸収部材の断面図。
【図8】インクジェット記録装置の全体斜視図。
【図9】メンテナンスステーションの斜視図。
【図10】記録ヘッドとメンテナンス部材の動作説明図。
【図11】記録ヘッドとメンテナンス部材の動作説明図。
【図12】記録ヘッドとメンテナンス部材の動作説明側面図。
【図13】封止部材の動作説明図。
【図14】クリーニングブレードの構成説明図。
【図15】カムの回転角と各部材の作動タイミングチャート。
【図16】メンテナンス作動の説明図。
【図17】メンテナンス部材とポンプ部材のタイミングチャート。
【符号の説明】
1 記録媒体搬送部材、 3 記録ヘッドキャリッジ、 3f,3g,3h,3i ノズル、 4b インク吸収体、 8 ハウジング、 9a,9b キャップ部材、 10 キャップキャリッジ、 12 カム駆動伝達部材、 14 係合部材、 15 キャリッジ位置固定部材、 20 ポンプ部材、 21 インク吸引口、 22 ピストンヘッド、 23 インク排出口、 24 ピストンロッド、 25 ピストンパッキン、 26 貫通孔、 27 インク流出口、 28 貫通孔閉塞板、 29 シリンダ、 34 係合凸部、 50 封止部材、 60 ワイパー部材、 95 大気開放口、 100 ポンプ室。

Claims (4)

  1. 画像情報に応じてインクを飛翔する複数のノズルと、該ノズルをそれぞれ被覆する複数のキャップ部材と、該複数のキャップ部材それぞれ接続されたインク吸引路を介してキャップ部材内のインクを吸引するインク吸引ポンプとを有するインクジェット方式の画像形成装置において、
    前記キャップ部材とインク吸引ポンプとは共通の駆動源により、それぞれ所定のタイミングで駆動されると共に、
    前記インク吸引ポンプは、インク吸引路を介してキャップ部材に連通する2つのインク吸引口を有する中空のシリンダと、前記シリンダの中空の内部空間内を往復移動可能に配設されたピストンとにより構成され、該ピストンの両側には2つのポンプ室が形成されていると共に、該ピストンの1サイクルの往復移動により、前記2つのポンプ室のそれぞれに異なる圧力波形を発生させる位置で、前記2つのインク吸引口が各ポンプ室と連通され、この2つのインク吸引口のそれぞれに異なる圧力波形を発生させることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記インク吸引ポンプが形成する圧力波形は、急激な負圧を形成する圧力波形と、徐々に負圧を形成する圧力波形であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット方式の画像形成装置。
  3. 前記インク吸引ポンプが形成する急激な負圧波形は、前記ノズルからのインク、およびキャップ内に残留するインクを吸引するために用い、徐々に負圧を形成する圧力波形はキャップ内の残留インクを吸引するために用いることを特徴とする請求項1記載のインクジェット方式の画像形成装置。
  4. 前記シリンダには、2つのインク吸引口の間にインク排出口を設けると共に、前記ピストンの両側に形成される各ポンプ室と前記インク排出口とを連通させるインク排出路を設けたことを特徴とする請求項1記載のインクジェット方式の画像形成装置。
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