JP3573855B2 - プラスチックケーブルの油浸端末の構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルなどのプラスチックケーブルの終端部に用いられる油浸端末の構造に関し、特にその絶縁信頼性を向上させたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルなどのプラスチックケーブルの終端部に用いられる油浸端末として、図1に示すようなものが知られている。図中符号10は油浸端末であり、符号12はプラスチックケーブルである。このプラスチックケーブル12の終端部の周囲に、シリコーン油などの絶縁油を含浸したプラスチックラミネート紙16が多数回巻回されて油浸絶縁体16Aが形成されている。この油浸絶縁体16Aの外周にはアルミニウムなどからなる筒状のコンデンサコーン18が取り付けられ、さらにこのコンデンサコーン18の外周には、金具付がい管22が設けられ、コンデンサコーン18と金具付がい管22との間にはシリコーン油20が充填されている。
これらの上方には、油浸絶縁体16Aへ絶縁油を補充する油量補償器24と、導体引出棒26とが設けられている。
【0003】
上記のように構成された油浸端末10において、前記油浸絶縁体16Aを形成するプラスチックラミネート紙16は、図3に示すように、ポリオレフィン製のプラスチックフィルム32にクラフト紙31を貼り合わせた構成となっている。また、このクラフト紙には、巻やすさや伸縮性への配慮から複数の直線状のスリット(図示略)が設けられている。
【0004】
このようなプラスチックラミネート紙の製造は、押出機のT型ダイスから溶融プラスチックフィルムを押し出すと同時に溶融状態でこのフィルムにクラフト紙を沿わせ、ロールにより圧着後、冷却して巻き取る方法によって行われている。このため、プラスチックラミネート紙のプラスチックフィルムとクラフト紙との接着は、クラフト紙の表面の微細な凹凸に溶融プラスチックが埋め込まれるアンカー効果によってなされている。
【0005】
このプラスチックフィルムとクラフト紙との接着強度が十分でない場合には、クラフト紙がプラスチックフィルムから剥離することがある。この場合、このクラフト紙が採用された油浸端末が高温となったときに、油浸端末内のプラスチックケーブルが熱膨張することによって、剥離したクラフト紙に引張張力がかかり、このクラフト紙が上記スリットから裂けるなどの損傷を受ける場合がある。このような場合には、このクラフト紙が用いられている油浸端末の絶縁性能が低下する。
【0006】
これを避けるためには、プラスチックラミネート紙のプラスチックフィルムとクラフト紙との界面に接着剤を介在させて接着強度を高めることが考えられるが、接着剤は一般に極性基を有する物質であるため、誘電特性、特に誘電正接の悪化の原因となり、使用できない。
このため、接着剤を使用することなくプラスチックフィルムとクラフト紙との接着強度を高めるような方策が必要となってくる。
【0007】
この方策としてアンカー効果を高めて接着強度を高めることが考えられ、このためには気密度の低いクラフト紙を用いることが考えられる。気密度の低いクラフト紙は表面の凹凸が大きくなるため、貼り合わせの際の樹脂の埋め込み度合が大きくなってアンカー効果が増大し、接着強度が増加する。
【0008】
しかしながら、気密度の低いクラフト紙は、一般に密度も低い。密度の低いクラフト紙は、通常、引張強さが低い。このため、このようなクラフト紙を用いたプラスチックラミネート紙が採用されたプラスチックケーブルの油浸端末が、接続時の鉛工作業による熱や、通電による発熱などにより、高温、特に80℃以上の温度に曝された場合に、油浸端末内のプラスチックケーブルの熱膨張によって上記プラスチックラミネート紙が引張力を受け、裂けるなどの損傷を受けることがあった。これによって上記油浸端末の絶縁性能が低下する場合があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
よって、この発明における課題は、高温においても良好な絶縁性能を維持することができるプラスチックケーブルの油浸端末の構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラスチックケーブルの油浸端末の構造は、プラスチックラミネート紙を構成するクラフト紙を2層以上の紙からなる多重紙とし、これらの層のうち前記プラスチックフィルムに接した側の層の気密度を20ガーレ秒以下とし、表面に露出した側の層の密度を0.7g/cm3以上としたことを特徴とする。
また、プラスチックフィルムとしてポリプロピレンホモポリマーからなるフィルムを用いることが絶縁性能の点から好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図2は、この発明の油浸端末の構造の油浸絶縁体に用いられるプラスチックラミネート紙の一例を示すもので、図中符号1は、2つの層1a、1bからなる二重クラフト紙であり、符号2はプラスチックフィルムである。このプラスチックフィルム2の片面に二重クラフト紙1が一体に貼り合わされてプラスチックラミネート紙3が形成されている。
二重クラフト紙1の第1の層1aの気密度は、20ガーレ秒以下とされている。20ガーレ秒を越える気密度ではプラスチックフィルムとの接着性が劣り、このクラフト紙の剥離が起きやすくなる。
また、第2の層1bの密度は0.7g/cm3以上とされ、0.7g/cm3未満の密度では、油浸絶縁体としたときの引張強さが低下し、損傷を受けやすくなる。
【0012】
また、この二重クラフト紙1の厚みは特に限定されないが、通常20〜100μmの範囲とされ、第1の層1aの厚みは少なくとも5μm以上とされ、好ましくは5〜30μmの範囲とされる。一方、第2の層1bの厚みは少なくとも15μm以上とされ、好ましくは15〜70μmの範囲とされる。第1の層1aの厚みが5μm未満ではプラスチックフィルムとの十分な接着強度が得られず、第2の層1bの厚みが15μm未満では引張強さが不足する。
【0013】
さらに、二重クラフト紙1の全厚みに対する第1の層1aと第2の層1bとの厚みの割合は、第1の層1aの割合が小さい方が有利となる。これは、接着性に関与する領域は、表面の比較的薄い部分であり、この部分の表面の凹凸が大きければ、接着強度が十分に得られるためであり、しかも第2の層1bが厚い方が引張強さが向上するからである。
また、上記二重クラフト紙1としては、誘電特性が良好な脱イオン水洗低損失紙が望ましく、水浸液導電率(JIS−C−2111による)が15μS/cm以下である低導電性のものが好ましい。
このような二重クラフト紙1は、長網あるいは丸網式抄紙機などによって抄紙する際に、紙繊維のフイブリル化の度合いが異なるパルプを二段に重ねて抄紙する方法などによって製造される。
【0014】
そして、二重クラフト紙1の第1の層1aがプラスチックフィルム2に接し、第2の層1bが表面に露出するように組み合わせられてプラスチックフィルム2と貼り合わせられている。
【0015】
上記プラスチックフィルム2は、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリエチレンなどの無極性ポリオレフィンやテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素樹脂からなる厚さ20〜150μmのものである。これらのプラスチックのなかでも、ポリプロピレンホモポリマー、好ましくはメルトインデックスが5〜50g/10分の比較的溶融粘度の低いポリプロピレンホモポリマーからなるフィルムが二重クラフト紙1との接着性が高くなり、しかも得られるラミネート紙の絶縁特性も良好となって好ましい。
【0016】
また、プラスチックフィルム2と二重クラフト紙1との貼り合わせは押出機のT型ダイスから溶融フィルムを押し出し、フィルムが溶融状態にあるときに二重クラフト紙1をフィルム2に沿わせ、加圧ロールで圧着するいわゆる押出ラミネート方式によって製造される。
このようなプラスチックラミネート紙の全厚みは100〜300μmの範囲とされるが、用途によってはこの範囲外であってもよい。
【0017】
このような構成のプラスチックラミネート紙3にあっては、プラスチックフィルム2にラミネートされる二重クラフト紙1のプラスチックフィルム2側の第1の層が低気密度であるため、多孔性で表面の凹凸が大きくなり、プラスチックフィルムとの貼り合わせ時において、溶融したプラスチックの紙への侵入が良くなって接着強度が向上する。
また、二重クラフト紙1の表面側の第2の層が高密度であるため、このプラスチックラミネート紙3の引張強さと伸び率は高いものとなる。
【0018】
また、クラフト紙を3層以上の多重クラフト紙としてもよく、この場合も、プラスチックフィルムに接する層の気密度が20ガーレ秒以下であり、表面側の層の密度が0.7g/cm3以上であればよい。この場合、中間の層は、その密度が0.7g/cm3以上の高密度のものが引張強さと伸び率の点で好ましい。
【0019】
このようなプラスチックラミネート紙を用いて油浸絶縁体を形成した図1に示す構造の油浸端末においては、プラスチックラミネート紙を構成するクラフト紙とプラスチックフィルムとの接着強度が高いので、これらの剥離が発生しにくい。またこのクラフト紙の引張強さと伸び率が高いので、高温下で端末内のプラスチックケーブルが熱膨張した場合でもプラスチックラミネート紙が引張張力に耐え、損傷を受けることない。従って、この油浸端末は、より高い温度において絶縁性能を維持することができる。
【0020】
以下、具体例を示し、作用効果を明確にする。
(試験例)
メルトインデックス15.0g/10分、密度0.90g/cm3のポリプロピレンを温度280℃で溶融押出してポリプロピレンフィルムとし、これが溶融状態にあるうちに厚み70μmのクラフト紙を沿わせ、ロール圧着して全厚みが130μmのポリプロピレンラミネート紙を製造した。
クラフト紙としては、厚み70μmの通常の一重紙、および第1の層の厚みが20μmで、第2の層の厚みが50μmの2枚の紙を貼り合わせた二重紙を用いた。
この二重クラフト紙は、脱イオン水洗によりJIS−C−2111による水浸液導電率を5μS/cmとしたものを用い、第1の層をポリプロピレンフィルム面側に、第2の層を表面側に向けた。
【0021】
このポリプロピレンラミネート紙を、100℃の絶縁油(JIS−C−2320−1993 6種のシリコーン油)に24時間浸漬したのち、ポリプロピレンフィルムと二重クラフト紙との界面の接着強度(180度剥離試験)を測定した。
また、このポリプロピレンラミネート紙の引張強さ(JIS−C−2111)を測定した。
これらの結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1の結果から、クラフト紙を2種の紙からなる二重紙とし、かつ第1の層の気密度を20ガーレ秒以下とし、第2の層の密度を0.7g/cm3以上とした試験番号3、4、および5のものは、引張強さ、接着強度ともに良好であることがわかる。
【0024】
上記の実験結果を考慮し、試験番号4のプラスチックラミネート紙を用いて図1に示す構造のプラスチックケーブルの油浸端末を製作し、従来品と共に、100℃の下においたところ、従来品の絶縁性能が極端に低下したのに対して、この例のものは良好な絶縁性能を維持した。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプラスチックケーブルの油浸端末の構造においては、油浸絶縁体を構成するプラスチックラミネート紙の引張強さが高い。また、このプラスチックラミネート紙はプラスチックフィルムとクラフト紙との接着強度が高いものである。このため、より高い温度において絶縁性能を維持することができる。また、より長期間の使用に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のプラスチックケーブルの油浸端末の構造の一例を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す油浸端末に用いられるプラスチックラミネート紙の一例を示す概略断面図である。
【図3】従来の油浸端末に用いられるプラスチックラミネート紙の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…二重クラフト紙、1a…第1の層、1b…第2の層、
2…プラスチックフィルム、3・・・プラスチックラミネート紙、10・・・油浸端末、12・・・プラスチックケーブル、16A・・・油浸絶縁体
Claims (1)
- プラスチックケーブルの終端部の外周に、絶縁油を含浸したプラスチックラミネート紙が巻回されて形成された油浸絶縁体が設けられ、
前記プラスチックラミネート紙は、プラスチックフィルムと、このプラスチックフィルムの片面に貼り合わされたクラフト紙から構成され、
このクラフト紙が、2層以上の紙からなる多重紙であって、これらの層のうち、前記プラスチックフィルムに接した側の層の気密度が20ガーレ秒以下であり、表面に露出した側の層の密度が0.7g/cm3以上であることを特徴とするプラスチックケーブルの油浸端末の構造。
Priority Applications (1)
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JP33079695A JP3573855B2 (ja) | 1995-12-19 | 1995-12-19 | プラスチックケーブルの油浸端末の構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH09172725A JPH09172725A (ja) | 1997-06-30 |
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Family
ID=18236651
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP33079695A Expired - Fee Related JP3573855B2 (ja) | 1995-12-19 | 1995-12-19 | プラスチックケーブルの油浸端末の構造 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3573855B2 (ja) |
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1995
- 1995-12-19 JP JP33079695A patent/JP3573855B2/ja not_active Expired - Fee Related
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