JP3572438B2 - ディーゼルエンジンの排気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はディーゼルエンジンの排気浄化装置、特に排気通路に設けたNOx触媒に対して、排気中の未燃HCを還元剤として供給するようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
NOx触媒として代表的なものは金属−ゼオライト系触媒であるが、この金属−ゼオライト系触媒は、一般的にNOxの還元性能温度範囲が狭く、かつイオン交換に用いるCu、Pd、Ptなどの金属によってNOxの還元性能温度範囲が異なることから、NOx還元性能温度範囲を広げるため、高温活性型と低温活性型の2つの触媒を直列に配置して複合触媒とするものが提案されている(特開平1−310742号公報、特開平6−185342号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記2つの触媒のうちそれぞれのNOx還元性能が温度に対して突起的な特性(NOx還元効率がある狭い温度範囲でのみ最大値を示し、それ以下の温度でもそれ以上の温度でもNOx還元効率が低下する特性)を持つため、上記2つの触媒を直列に配置して構成した複合触媒のNOx還元性能も、やはり2つの突起を持った特性になる。
【0004】
NOx触媒はNOxの還元効率を高めるため還元剤としてのHCを必要とするが、一般的にディーゼルエンジンはNOxの排出量に対してHCの排出量が比較的少ないので、コモンレール式の燃料噴射装置を用いて、各気筒の膨張行程もしくは排気行程で小量の燃料を後噴射し、この小量の燃料を未燃HCとしてNOx触媒に導くようにするのが有効である(特開平6−117225号公報参照)。
【0005】
しかしながら、後噴射するタイミングが燃料の主噴射のタイミングや主噴射された燃料の終了するタイミングに近すぎたり、またはある程度間隔をとっていても主噴射量が増加するなど、後噴射するときの気筒内の温度が高いと、後噴射された燃料がほとんど燃焼してしまい、温度は上昇してもHC/NOx比を増加させることができない。つまり、上記の低温活性型や高温活性型の各触媒のNOx還元性能が最大になる温度条件(NOx還元性能の最大活性段階)や、高温活性型触媒のNOx還元性能が最大に達して下降する温度条件(NOx還元性能の下降段階)で、このような後噴射を実行したのでは、却ってNOxの還元効率が低下してしまう。
【0006】
また、NOx還元性能がまだ最大に達しておらず、温度上昇に伴いNOx還元性能が高くなっている温度条件(NOx還元性能の上昇段階)では、HC/NOx比だけを増加させるようなタイミングで後噴射を実行してもNOxの還元効率の増加は少ない。
【0007】
そこで本発明は、触媒の温度に対する少なくとも2つの活性段階(たとえばNOx還元性能の上昇段階と最大活性段階)を予め設定しておき、これら複数の活性段階のうちどの活性段階に現在の活性段階が該当するのかを判定し、この判定される現活性段階で触媒浄化効率が最大となるように後噴射の量とタイミングを制御することにより、触媒浄化性能を最大限に発揮させることを第1の目的とする。
【0008】
本発明ではまた、NOx還元性能の上昇段階の前段階に現在の活性段階が該当する場合に後噴射を停止することにより、燃費を最小限に抑えてNOx還元性能を効率よく発現させたり、NOx還元性能の下降段階に現在の活性段階が該当する場合に後噴射を停止することにより、NOx還元性能の低下と燃費の悪化を防止したりすることを第2の目的とする。
【0009】
本発明ではまた、複合触媒である場合にも触媒浄化性能を最大限に発揮させることを第3の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図13に示すように、各気筒に燃料を噴射供給する装置51を備え、燃料の主噴射後の膨張行程または排気行程で前記燃料供給装置51により後噴射を行い、この後噴射による未燃HCを、排気通路52に設けたNOx触媒53への還元剤として供給するようにしたディーゼルエンジンの排気浄化装置において、前記NOx触媒53の温度に対する少なくとも2つの活性段階(NOx還元性能の上昇段階と最大活性段階)を予め設定する手段54と、これら複数の活性段階のうちどの活性段階に現在の活性段階が該当するのかを判定する手段55と、この判定される現活性段階に応じて後噴射のタイミングと後噴射量または後噴射量比率とを設定する手段56とを設け、前記判定される現活性段階がNOx還元性能の上昇段階である場合に、前記後噴射された燃料の燃焼する割合が多くなる時期に前記後噴射のタイミングを設定するとともに後噴射量または後噴射量比率を 大きく設定する一方、前記判定される現活性段階がNOx還元性能の最大活性段階である場合に、前記後噴射された燃料の燃焼する割合が少なくなる時期に前記後噴射のタイミングを設定するとともに後噴射量または後噴射量比率を小さく設定するようにした。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において前記NOx触媒53をゼオライト系触媒の組み合わせ、貴金属系触媒の組み合わせまたはゼオライト系触媒と貴金属系触媒の組み合わせから構成する。
【0012】
第3の発明では、第1または第2の発明において前記後噴射のタイミングを、エンジンの負荷または回転数が増大するほど主噴射からの遅角間隔を大きくする側に補正する。
【0013】
第4の発明では、第1から第3までのいずれか一つの発明において現活性段階がNOx還元性能の上昇段階の前段階である場合に、後噴射を停止する。
【0014】
第5の発明では、第1から第4までのいずれか一つの発明において前記複数の活性段階に対応してエンジンの負荷と回転数により定まる基準領域を設定し、現在のエンジンの負荷と回転数からどの基準領域にあるのかをみて現活性段階を判定する。
【0015】
第6の発明では、第5の発明において前記複数の活性段階を前記触媒の温度により定まる実領域でも設定し、前記触媒の現在の温度からどの実領域にあるのかをみて現活性段階を判定し、この判定結果と前記基準領域に基づく判定結果が異なるときは、前記基準領域に基づく判定結果の隣の活性段階にあると判定する。
【0016】
第7の発明は、各気筒に燃料を噴射供給する装置を備え、燃料の主噴射後の膨張行程または排気行程で前記燃料供給装置により後噴射を行い、この後噴射による未燃HCを、排気通路に設けたNOx触媒への還元剤として供給するようにしたディーゼルエンジンの排気浄化装置において、前記NOx触媒の温度に対する少なくとも2つの活性段階を予め設定する手段と、これら複数の活性段階のうちどの活性段階に現在の活性段階が該当するのかを判定する手段とを設け、前記現活性段階がNOx還元性能の下降段階である場合に、後噴射を停止するようにした。
【0017】
第8の発明は、図14に示すように、各気筒に燃料を噴射供給する装置51を備え、燃料の主噴射後の膨張行程または排気行程で前記燃料供給装置により後噴射を行い、この後噴射による未燃HCを、排気通路52に設けたNOx触媒53への還元剤として供給するようにしたディーゼルエンジンの排気浄化装置において、前記NOx触媒53を、リーン雰囲気でのNOx活性温度範囲が異なる複数の触媒53a、53bを直列配置した複合触媒で構成する一方、触媒温度に対する少なくとも2つの活性段階(NOx還元性能の上昇段階と最大活性段階)を前記複数の各触媒毎に予め設定する手段61と、これら複数の活性段階のうちどの活性段階に現在の活性段階が該当するのかを前記複数の各触媒毎に判定する手段62と、前記複数の各触媒毎にこの判定される現活性段階に応じて前記後噴射のタイミングと後噴射量または後噴射量比率とを設定する手段63とを設け、前記複数の触媒の何れかについて前記判定される現活性段階がNOx還元性能の上昇段階である場合に、前記後噴射された燃料の燃焼する割合が多くなる時期に前記後噴射のタイミングを設定するとともに後噴射量または後噴射量比率を大きく設定する一方、前記複数の触媒の何れかについて前記判定される現活性段階がNOx還元性能の最大活性段階である場合に、前記後噴射された燃料の燃焼する割合が少なくなる時期に前記後噴射のタイミングを設定するとともに後噴射量または後噴射量比率を小さく設定するようにした。
【0018】
第9の発明では、第8の発明において前記複合触媒を、上流側より高温活性型触媒、低温活性型触媒の順に配置して構成する。
【0019】
第10の発明では、第8または第9の発明において現活性段階が前記低温活性型触媒のNOx還元性能の上昇段階の前段階である場合に、後噴射を停止する。
【0020】
第11の発明では、第8から第10までのいずれか一つの発明において現活性段階が前記高温活性型触媒のNOx還元性能の下降段階である場合に、後噴射を停止する。
【0021】
【発明の効果】
NOx還元性能が温度に対して突起的な特性を持つときは、NOx触媒の活性段階が温度に対して少なくとも2つに分かれることから、各活性段階により後噴射に対する要求が大きく異なる。この場合に、第1、第2または第8の各発明では、触媒の特性の異なる活性段階を判定しながら、各活性段階に応じて後噴射のタイミングと後噴射量または後噴射量比率を制御するので、NOx還元性能が温度に対して突起的な特性を有する触媒における浄化性能を最大限に発揮させることができる。
【0022】
すなわち、主噴射からの遅角間隔を小さくする側に後噴射のタイミングを設定することは、NOx還元性能の上昇段階での温度上昇とHC/NOx比の増加の両方を狙うものであり、これによりNOx還元性能の上昇段階での触媒浄化性能を最大限に発揮させることができる。
【0023】
また、主噴射からの遅角間隔を大きくする側に後噴射のタイミングを設定することは、NOx還元性能の最大活性段階でHC/NOx比の増加だけを主に狙うものであり、これによりNOx還元性能の最大活性段階での触媒浄化性能を最大限に発揮させることができる。
【0024】
主噴射からの遅角間隔が大きいと、後噴射された燃料が未燃HCとなって排出される割合が多くなるので、このときには後噴射量(後噴射量比率)が少なくてもHC/NOx比の増加効果が高く、これに対して主噴射からの遅角間隔が小さいときには、後噴射された燃料の燃焼する割合が多くなるため、温度は上昇するが未燃HCとなって排出される割合が少なくなる(HC/NOx比の増加が少ない)ことに対応し、主噴射からの遅角間隔を小さくして温度上昇とHC/NOx比の増加の両方を狙うときには、後噴射量(後噴射量比率)を大きく設定することで、要求のHC/NOx比が得られ、これに対して主噴射からの遅角間隔を大きくしてHC/NOx比の増加だけを主に狙うときには、後噴射量(後噴射量比率)を小さく設定することで、無駄な燃料消費を抑えることができる。
【0025】
さらに第8の発明によれば、NOx還元性能が温度に対して突起的な特性を有する触媒を複数配置した複合触媒の場合にも、複数の各触媒の浄化性能を最大限に発揮させることができる。
【0026】
エンジンの負荷や回転数が高くなると燃焼室内の温度が相対的に高くなり、後噴射された燃料の燃焼する割合が多くなるため、後噴射のタイミングを固定値として低負荷時や低回転時に設定していると、高負荷時や高回転時に供給HC量が不足して要求のHC/NOx比が得られなくなるのであるが、第3の発明によれば、エンジンの負荷または回転数が変化しても要求のHC/NOx比を得ることができる。
【0027】
第4、10の各発明によれば、燃費を最小限に抑えてNOx還元性能を効率よく発現させることができる。
【0028】
第5の発明によれば、新たなセンサを設けることなく、定常時において複数の活性段階のうちどの活性段階に現在の活性段階が該当するのかを精度良く判定できる。
【0029】
実領域に基づく判定結果と基準領域に基づく判定結果が異なるときとは過渡時であり、この場合に第6の発明では基準領域に基づく判定結果の隣の活性段階にあると判定することで、過渡運転状態においても活性段階の判定を誤らないようにして、NOxの浄化効率の低下と無駄な後噴射とを回避できる。
【0030】
NOx還元性能の下降段階や高温活性型触媒のNOx還元性能の下降段階で後噴射しても、ほとんどの燃料が燃焼し、これによって温度が上昇するだけでHC/NOx比が増加することがないので、第7、第11の各発明によれば、この段階で後噴射を行うことによるNOx還元性能の低下と燃費悪化を防止できる。
【0031】
第9の発明ではHC吸着効果が高く、かつ酸化活性が低い高温活性型触媒を上流側に配置することで、低排気温度(約200℃以下)で吸着したHCをNOx還元剤として利用できるため、燃料の節約効果が向上する。また低温活性型触媒のNOx還元性能が発現するときに未燃HCが高温活性型触媒で酸化されて消費されてしまうことがないため、低温活性型触媒のNOx還元性能が損なわれることがない。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1において、1はディーゼルエンジンの本体で、排気通路2にNOx触媒3を備える。NOx触媒3のケーシング内には、上流側より高温活性型触媒3aと低温活性型触媒3bとがこの順に直列配置されている。
【0033】
ここで、高温活性型触媒3aはCu−ゼオライト系触媒(またはPd−ゼオライト系触媒)から、低温活性型触媒3bはPt−ゼオライト系触媒から構成される。このような金属−ゼオライト系触媒は、イオン交換に用いる金属によってNOxの還元性能温度範囲が異なることから、高温活性型であるCu−ゼオライト系触媒(または中高温活性型であるPd−ゼオライト系)と低温活性型であるPt−ゼオライト系とを、NOx還元性能温度範囲を広げるため組み合わせたもの(複合触媒)である。各触媒3a、3bのNOx還元性能が温度に対して突起的な特性を持つため、複合触媒のNOx還元性能も、図3右側に示したようにやはり2つの突起を持った特性になる。なお、ゼオライトとしてはZSM−5、β、USY、モルデナイト型が知られており、これらを用いることが望ましい。金属−ゼオライト系触媒に限らず、金属(Pd、Ag、Pt等)を担持した活性アルミナも利用でき、たとえば高温活性型触媒にはPdまたはAgを担持した活性アルミナを、低温活性型触媒にはPtを担持した活性アルミナを利用してもよい。
【0034】
さて、NOx触媒3はNOxの還元効率を高めるため還元剤としてのHCを必要とするが(HC/NOx比を最低でも2以上とする必要がある)、一般的にディーゼルエンジンはNOxの排出量に対してHCの排出量が比較的少ないので、コモンレール式の燃料噴射装置を用いて、各気筒の膨張行程もしくは排気行程で小量の燃料を後噴射し、この小量の燃料を未燃HCとしてNOx触媒3に導くようにすることが有効である。
【0035】
しかしながら、後噴射のタイミングが燃料の主噴射のタイミングや主噴射された燃料の終了するタイミングに近すぎたり、またはある程度間隔をとっていても主噴射量が増加するなど、後噴射するときの気筒内温度が高いと、後噴射された燃料がほとんど燃焼してしまい、排気温度(触媒温度)は上昇してもHC/NOx比を増加させることができない。つまり、各触媒3a,3bの最大活性段階や高温活性型触媒3aのNOx還元性能の下降段階でこのような後噴射を実行したのでは、却ってNOxの還元効率が低下してしまう。
【0036】
また、各触媒3a,3bのNOx還元性能の上昇段階では、HC/NOx比だけを増加させるようなタイミングで後噴射を実行してもNOxの還元効率の増加は少ない。
【0037】
これに対処するため本発明の実施形態では、各触媒3a,3b毎にNOx還元性能の上昇段階、最大活性段階、NOx還元性能の下降段階といった3つの活性段階があり、複合触媒はこれらの組み合わせであることから、合計で6つの活性段階を予め設定しておき、現活性段階がこれらのうちいずれの活性段階にあるのかを判定し、複合触媒が所定の活性温度以下になる活性段階または所定の活性温度以上になる活性段階を判定したときは後噴射を停止するとともに、それ以外の活性段階であることを判定したとき、その判定された各活性段階毎に触媒浄化効率が最大となるように後噴射の量とタイミングを制御する。
【0038】
これをさらに説明すると、図3右側に示した複合触媒のNOx還元性能に対して、5つの基準温度a,b,c,d,e(ただしa<b<c<d<e)を定め、次の6つの基準領域I〜VIに区分けする(図3左側参照)。なお、図3右側では触媒3aを触媒Aで、触媒3bを触媒Bで略記している。
【0039】
領域 I:低温活性型触媒3bのNOx還元性能が発現する温度範囲(NOx還元性能の上昇段階の前段階)(約200℃まで)。
【0040】
領域 II:低温活性型触媒3bのNOx還元性能が上昇する温度範囲(NOx還元性能の上昇段階)(約200〜230℃まで)
領域III:低温活性型触媒3bのNOx還元性能のピーク温度範囲(最大活性段階)(約230〜280℃)
領域 IV:低温活性型触媒3bのNOx還元性能が下降し、代わって高温活性型触媒3aのNOx還元性能が上昇する温度範囲(NOx還元性能の上昇段階)(約280〜370℃まで)
領域 V:高温活性型触媒3aのNOx還元性能のピーク温度範囲(最大活性段階)(約370〜450℃)
領域 VI:高温活性型触媒3aのNOx還元性能が下降する温度範囲(NOx還元性能の下降段階)(約450℃以上)
そして、上記の各領域に対し次のように後噴射を停止したり実行したりする。
【0041】
(1)領域Iに対して後噴射を停止する。これは次の理由からである。領域IではもともとHC/NOx比が高く、後噴射しなくてもNOx還元性能が発現する。また、領域Iのようにエンジンの負荷、回転数が低い場合に後噴射を行っても、主噴射量に対する後噴射量の比率を大きくしなければ温度上昇効果が少ない。そこで、領域Iでは燃費を最小限に抑えてNOx還元性能を効率よく発現させるという観点から後噴射を停止する。
【0042】
(2)領域II〜Vに対しては次の通り後噴射を行う。領域IIでは低温活性型触媒3bの温度上昇とHC/NOx比の増加の両方を狙って、また領域IVでは高温活性型触媒3aの温度上昇とHC/NOxの増加の両方を狙って後噴射の開始時期を主噴射に近づけるとともに後噴射量を大きくする。これに対して、領域IIIとVではHC/NOx比の増加だけを主に狙って、後噴射の開始時期を主噴射から離すとともに後噴射量を小さくする。
【0043】
ここで、領域II、IVと領域III、Vとで後噴射時期の設定を変えた理由を説明する。後噴射するタイミングは圧縮上死点からのクランク角度間隔が大きいほど主噴射された燃料の燃焼の影響を受けにくく、したがって後噴射された燃料が未燃HCとなって排出される割合が多くなる。この逆に、後噴射するタイミングが圧縮上死点からのクランク角度間隔が小さくなるほど主噴射された燃料の燃焼の影響を受けやすく、したがって後噴射された燃料のうち燃焼する割合が多くなるため、排気温度は上昇するが未燃HCとなって排出される割合が少なくなる(HC/NOx比の増加が少ない)。
【0044】
そこで、低温活性型触媒3bのNOx還元性能が上昇する活性段階である領域IIでは低温活性型触媒3bの温度上昇とHC/NOxの増加の両方を狙って、また高温活性型触媒3aのNOx還元性能が上昇する活性段階である領域IVについても高温活性型触媒3aの温度上昇とHC/NOxの増加の両方を狙って主噴射からの遅角間隔を小さく設定し、これに対して低温活性型触媒3bのNOx還元性能のピークがくる活性段階である領域IIIと高温活性型触媒3aのNOx還元性能のピークがくる活性段階である領域VではHC/NOx比の増加だけを主に狙って主噴射からの遅角間隔を大きく設定するのである。このため実施形態では主噴射からの遅角間隔を大きくしたマップと小さくしたマップの2つを用意している。
【0045】
また、後噴射時期を定めるこれら2つのマップでは、エンジンの負荷、回転数が増大するほど、主噴射からの遅角間隔を増大するように設定している(図5、図6参照)。これは、負荷や回転数が高くなると燃焼室内の温度が相対的に増加するため、後噴射のタイミングを遅らせる必要があるからである。
【0046】
この結果、後噴射の開始時期は、図5、図6において矢印で示したように、領域毎に大きく切換わり、同じ領域内では負荷Loadや回転数が増大するほど遅角していくことになる。なお、図5は図4においてX軸に沿う特性、図6は図4においてY軸に沿う特性である。
【0047】
次に、領域II、IVと領域III、Vとで後噴射量の設定を変えた理由を説明する。上述したように主噴射からの遅角間隔が大きいと、後噴射された燃料が未燃HCとなって排出される割合が多くなるので、このときには後噴射量が少なくてもHC/NOx比の増加効果が高い。これに対して主噴射からの遅角間隔が小さいときには、後噴射された燃料の燃焼する割合が多くなるため、温度は上昇するが未燃HCとなって排出される割合が少なくなる(HC/NOx比の増加が少ない)。
【0048】
そこで、主噴射からの遅角間隔を小さくして温度上昇とHC/NOx比の増加の両方を狙うときには、後噴射量を大きく設定し、これに対して主噴射からの遅角間隔を大きくしてHC/NOx比の増加だけを主に狙うときには、後噴射量を小さく設定するのである。このため実施形態では、図7に示したように、後噴射量比率K aftを領域毎に切換えるテーブルを用意している。なお、主噴射量Q mainにこの後噴射量比率K aftを乗じることで、後噴射量Q aftを求めることができる。
【0049】
(3)領域VIに対しては後噴射を停止する。これは次の理由からである。領域VIでの負荷と回転数では燃焼室内の温度が高く、後噴射時期を遅角して排気行程の最後の方で後噴射を実行してもほとんどの燃料が燃焼し、これによって温度が上昇するだけでHC/NOx比が増加することがない。つまり、この温度上昇によりNOx還元性能が却って下降することになるので、燃費悪化を防止するためにも後噴射を停止するのである。
【0050】
さて、排気温度(触媒温度)はエンジンの状態(負荷、回転数)から定まるので、上記の領域判定には、エンジントルクと回転数をパラメータとする図4に示したマップを用いることができる。つまり、領域を区分けする境界値を、エンジンの暖機後の定常条件でマッチングしておけばよいわけである。
【0051】
しかしながら、触媒の実際の活性段階は、過渡運転状態になると、定常状態と異なり刻々と変化するので、エンジンの負荷と回転数だけで領域判定を行ったのでは、領域判定を誤り、NOxの浄化効率が向上しないばかりか却って悪化する事態が生じることがある。このときには無駄な後噴射を行うことになり、燃費ばかりが悪化する。
【0052】
そこで、触媒の温度を検出するセンサを設けておき、エンジンの負荷と回転数だけでなく、触媒温度に基づいても領域判定を行う。
【0053】
これで後噴射の制御についての概説を終了する。
【0054】
次に、後噴射に用いるコモンレール式の燃料噴射装置を図2により概説すると(詳細は特開昭9−112251号公報参照)、この燃料噴射装置10は、主に燃料タンク11、燃料供給通路12、サプライポンプ14、コモンレール(蓄圧室)16、気筒毎に設けられる燃料噴射弁17からなり、サプライポンプ14により加圧された燃料は燃料供給通路15を介してコモンレール16にいったん蓄えられたあと、コモンレール16の高圧燃料が気筒数分の燃料噴射弁17に分配される。
【0055】
燃料噴射弁17は、針弁18、ノズル室19、ノズル室19への燃料供給通路20、リテーナ21、油圧ピストン22、針弁18を閉弁方向(図で下方)に付勢するリターンスプリング23、油圧ピストン22への燃料供給通路24、この通路24に介装される三方弁(電磁弁)25などからなり、バルブボディ内の通路20と24が連通して油圧ピストン22上部とノズル室19にともに高圧燃料が導かれる三方弁25のOFF時(ポートAとBが連通、ポートBとCが遮断)には、油圧ピストン22の受圧面積が針弁18の受圧面積より大きいことから、針弁18が着座状態にあるが、三方弁25がON状態(ポートAとBが遮断、ポートBとCが連通)になると、油圧ピストン22上部の燃料が戻し通路28を介して燃料タンク11に戻され、油圧ピストン22に作用する燃料圧力が低下する。これによって針弁18が上昇して噴射弁先端の噴孔より燃料が噴射される。三方弁25をふたたびOFF状態に戻せば、油圧ピストン22に蓄圧室16の高圧燃料が導びかれて燃料噴射が終了する。つまり、三方弁25のON時間により燃料噴射量が調整され、蓄圧室16の圧力が同じであれば、ON時間が長くなるほど燃料噴射量が多くなる。26は逆止弁、27はオリフィスである。
【0056】
この燃料噴射装置10にはさらに、コモンレール圧力を制御するため、サプライポンプ14から吐出された燃料を戻す通路13に圧力制御弁31を備える。この圧力制御弁31はコントロールユニット41からのデューティ信号に応じて通路13の流路面積を変えるためのもので、コモンレール16への燃料吐出量を調整することによりコモンレール圧力を制御する。コモンレール16の燃料圧力によっても燃料噴射量は変化し、三方弁25のON時間が同じであれば、コモンレール16の燃料圧力が高くなるほど燃料噴射量が多くなる。
【0057】
コモンレール圧力PCR1を検出するセンサ32、NOx触媒3の温度T1を検出するセンサ37からの信号が、アクセル開度センサ33(アクセルペダルの踏み込み量に比例した出力Lを発生)33、クランク角センサ34(エンジン回転数とクランク角度を検出)、クランク角センサ35(気筒判別を行う)、水温センサ36とともに入力される電子制御ユニット41では、エンジン回転数とアクセル開度に応じて主噴射の目標燃料噴射量とコモンレール16の目標圧力を演算し、圧力センサ32により検出されるコモンレール圧力がこの目標圧力と一致するように圧力制御弁31を介してコモンレール16の燃料圧力をフィードバック制御する。また、演算した主噴射の目標燃料噴射量に対応して三方弁25のON時間を制御するほか、主噴射とは別に各気筒の膨張行程もしくは排気行程で前述した後噴射を行って未燃HCをNOx触媒3に供給する。
【0058】
電子制御ユニット41で行われるこの制御を図8〜図10、図12のフローチャートに基づいて説明すると、図8は燃料噴射制御のメインルーチン、図9、図10、図12はメインルーチンの一部の詳細を示すサブルーチンである。
【0059】
まずメインルーチンを示す図8において、ステップ100ではコモンレール圧力PCR1、エンジン回転数Ne、気筒判別信号Cyl、エンジン負荷LおよびNOx触媒3の温度T1を読み込み、ステップ200、300、400においてコモンレール圧力制御、エンジンの出力制御のための主噴射制御、NOx触媒3に対して還元剤としてのHCを供給するための後噴射制御をそれぞれ実行する。
【0060】
図9のサブルーチンはコモンレール圧力制御を行うためのものである。
【0061】
ステップ201、202では、エンジン回転数Neとエンジン負荷Lから所定のマップを検索してコモンレール16の目標基準圧力PCR0とこのコモンレール基準圧力PCR0を得るための圧力制御弁31用基準デューティ比Duty0とを求める。これらのマップはエンジン回転数Neとエンジン負荷Lをパラメータとして電子制御ユニット41のROMに予め記憶しているものである。後述するマップやテーブルについてもすべて電子制御ユニット41のROMに予め記憶しているものであり、この点についての説明は省略する。
【0062】
ステップ203では、目標基準圧力PCR0と実際のコモンレール圧力PCR1との差の絶対値を求め、これを目標基準圧力PCR0に対して予め設定された許容圧力差ΔPCR0と比較する。|PCR0−PCR1|が許容範囲内であればステップ206に進んで基準デューティ比Duty0を開弁デューティ比Dutyとすることによって同じデューティ比を維持し、ステップ207においてこのデューティ比Dutyからデューティ信号を作って圧力制御弁31を駆動する。
【0063】
一方、|PCR0−PCR1|が許容範囲内にない場合は、ステップ203よりステップ204に進み、PCR0−PCR1(=ΔP)に対応して予め設定されているROMのテーブルを検索してデューティ比の補正係数K Dutyを求める。たとえば、ΔPがマイナス(PCR0よりもPCR1が大きい)の場合はK Dutyが1よりも小さい値に、この逆にΔPがプラスの(PCR0よりもPCR1が小さい)場合はK Dutyが1よりも大きい値になる。具体的には圧力制御弁31の特性に合わせてデューティ比補正係数K Dutyのテーブルデータを設定する。
【0064】
ステップ205では基準デューティ比Duty0をこの補正係数K Dutyにより補正した値を開弁デューティ比Dutyとした後、ステップ207の操作を実行する。
【0065】
図10のサブルーチンは主噴射制御を行うためのものである。
【0066】
ステップ301ではエンジン回転数Neとエンジン負荷Lから所定のマップを検索して主噴射量Q mainを求め、この主噴射量Q mainとコモンレール圧力PCR1とからステップ302において所定のマップを検索して主噴射期間M periodを求める。
【0067】
ここで、主噴射期間M periodはmsecの単位で設定され、図11に示したように主噴射量Q mainが同じならコモンレール圧力PCR1が高いほど主噴射期間M periodが短くなり、コモンレール圧力PCR1が同じなら主噴射量Q mainが多いほど主噴射期間M periodが長くなる。
【0068】
ステップ303ではエンジン回転数Neとエンジン負荷Lから所定のマップを検索して主噴射開始時期M startを求める。ステップ304では主噴射量Q mainが供給されるように噴射開始時期M startよりM periodの期間、主噴射すべき気筒の燃料噴射弁17を、2つのクランク角センサ34、35の信号に基づいて開弁駆動する。
【0069】
図12のサブルーチンは後噴射制御を実行するためのものである。
【0070】
まずステップ401では、そのときのエンジントルク(あるいはエンジン負荷L)とエンジン回転数から定まる運転点が図4に示したいずれの基準領域I〜VIにあるかを判定する。この判定の結果、領域を表すI〜VIのローマ数字がRAMに記憶される。この領域判定結果により定まる領域を基準領域とする。なお、図4において領域の境界を定める値は、エンジンの暖機完了後に定常状態でエンジンを安定して運転させたときにマッチングにより求めたものである。
【0071】
ステップ402では、RAMに記憶されている基準領域(を示すローマ数字)とIを比較する。基準領域がIであるときは、ステップ418進み、後噴射を停止する。この後噴射の停止によって、領域Iでは燃費を最小限に抑えてNOx還元性能を効率よく発現させることができる。
【0072】
基準領域がIでないときはステップ403に進み、触媒温度T1と図3に示した基準温度a,b,c,d,eとの比較からいずれの領域I〜VIにあるかを判定する。この判定結果、領域を表すI〜VIのローマ数字がRAMに記憶される。この領域判定結果により定まる領域を、上記の基準領域と区別するため実領域とする。
【0073】
ステップ404〜411は図4に示したIIからVIまでの各領域を判定する部分で、次のように判定して、ステップ412以降、ステップ414以降、ステップ418のいずれかに進む。つまり、〈1〉基準領域=IIかつ実領域≦IIのときはステップ404,405よりステップ414以降に進む。
【0074】
〈2〉基準領域=IIかつ実領域>IIのときはステップ404,405よりステップ412以降に進む。
【0075】
〈3〉基準領域=IIIかつ実領域=IIIのときはステップ406,407よりステップ412以降に進む。
【0076】
〈4〉基準領域=IIIかつ実領域≠IIIのときはステップ406,407よりステップ414以降に進む。
【0077】
〈5〉基準領域=IVかつ実領域=IVのときはステップ408,409よりステップ414以降に進む。
【0078】
〈6〉基準領域=IVかつ実領域≠IVのときはステップ408,409よりステップ412以降に進む。
【0079】
〈7〉基準領域=Vかつ実領域≧Vのときはステップ410,411よりステップ412以降に進む。
【0080】
〈8〉基準領域=Vかつ実領域<Vのときはステップ410,411よりステップ414以降に進む。
【0081】
〈9〉基準領域≠Vのときはステップ410よりステップ418に進む。
【0082】
ここで、上記の〈1〉、〈3〉、〈5〉、〈7〉は基準領域と実領域が一致する場合(定常時)であり、〈1〉、〈5〉の場合は、ステップ414に進み、負荷と回転数から、主噴射からの遅角間隔を小さくした後噴射開始時期マップ(図示しない)を検索して後噴射開始時期A startを求める。この後噴射開始時期A startは、図5、図6において領域II、IVに示したように、膨張行程に位置している。
【0083】
ステップ415では、負荷から後噴射量比率テーブルを検索して後噴射量比率K aftを求め、これを図10で求めた主噴射量Q mainに乗じることで後噴射量Q aft(=K aft×Q main)を算出する。後噴射量比率テーブルでは、図7において領域II、IVに示したように、領域III、Vの場合よりK aftの値が大きくなっている。
【0084】
同様にして、〈3〉、〈7〉の場合は、ステップ412に進み、負荷と回転数から、主噴射からの遅角間隔を大きくした後噴射開始時期マップ(図示しない)を検索して後噴射開始時期A startを求める。この後噴射開始時期A startは、図5、図6において領域III、Vに示すように今度は排気行程に位置している。
【0085】
ステップ413では、負荷から図7に示す後噴射量比率をテーブルを検索して後噴射量比率K aftを小さな値で求め(図7において領域III、V参照)、これを図10で求めた主噴射量Q mainに乗じて後噴射量Q aftを算出する。
【0086】
このようにして算出した後噴射量Q aftとコモンレール圧力PCR1からステップ416で所定のマップ(図11参照)を検索して後噴射期間A periodを求め、ステップ417では図10のステップ303,304と同様にして後噴射を実行する(後噴射量Qaftが供給されるように、後噴射開始時期A startより後噴射期間A periodのあいだ、後噴射すべき気筒の燃料噴射弁を、2つのクランク角センサ34、35の信号に基づいて開弁駆動する)。
【0087】
これに対して上記の〈2〉、〈4〉、〈6〉、〈8〉は基準領域と実領域が一致しない場合(過渡時)で、このときは基準領域の隣の領域に対する後噴射の制御を行う。つまり、〈2〉のときは領域IIの隣の領域であるIIIの領域と、〈4〉のときは領域IIIの隣の領域であるIIまたはIVの領域と、〈6〉のときは領域IVの隣の領域であるIIIまたはVの領域と、〈8〉のときは領域Vの隣の領域であるIVの領域と同じ後噴射の制御とするわけである。
【0088】
さらに述べると、たとえばアクセルペダルを急激に踏み込んだとき、エンジントルクと回転数は応答良く上昇するのに対して、触媒温度T1のほうは遅れて立ち上がるため、エンジントルクと回転数から判定した基準領域はVであるのに、実領域は隣の領域IVにあることがある。この場合には、マップから判定される基準領域に対する後噴射の制御を選択するのではなく、触媒温度から推定される実領域に対する後噴射の制御を選択させることで、過渡運転状態においても領域判定を誤らないようにして、NOxの浄化効率の低下と無駄な後噴射とを回避することができる。
【0089】
上記の〈9〉の場合には、無駄な後噴射を行わないので、NOxの浄化性能の悪化と燃費悪化を防止できる。
【0090】
このように、本実施形態では、複合触媒を構成する低温活性と高温活性の各触媒について活性段階がNOx還元性能の上昇段階、最大活性段階、NOx還元性能の下降段階の3つあることから、複合触媒としては、
<1>低温活性触媒のNOx還元性能の上昇段階の前段階、
<2>低温活性触媒のNOx還元性能の上昇段階、
<3>低温活性触媒の最大活性段階、
<4>高温活性触媒のNOx還元性能の上昇段階(低温活性触媒のNOx還元性能の下降段階でもある)、
<5>高温活性触媒の最大活性段階、
<6>高温活性触媒のNOx還元性能の下降段階
の6つに区分けしておき、現在の活性段階がこのうちのいずれの活性段階にあるのかを判定し、上記<2> 〜 <6>までの各活性段階では触媒浄化効率が最大となるように後噴射の量とタイミングを制御し、また上記<1> と <6>の各活性段階(複合触媒が所定の活性温度以下になる活性段階と所定の活性温度以上になる活性段階)では後噴射を停止するようにしたので、燃費の悪化を最小にしつつNOx触媒の浄化性能を最大限に発揮させることができる。
【0091】
また、上記6つの活性段階に対応してエンジンの負荷と回転数により定まる基準領域I〜VIを設定し、現在のエンジンの負荷と回転数からどの基準領域にあるのかをみて現活性段階を判定するほか、上記6つの活性段階を複合触媒の温度により定まる実領域でも設定し、複合触媒の現在の温度からどの実領域にあるかのをみて現活性段階を判定し、この判定結果と基準領域に基づく判定結果が異なるときは、基準領域に基づく判定結果の隣の活性段階にあると判定するようにしたので、新たなセンサを設けることなく、上記6つの活性段階のうちどの活性段階に現在の活性段階が該当するのかを精度良く判定できるとともに、過渡運転状態においても活性段階の判定を誤らないようにして、NOxの浄化効率の低下と無駄な後噴射とを回避できる。
【0092】
図3左側に示したように、本実施形態によればII〜Vの各領域で破線で示したようにHC/NOx比を一定に保ちつつ前述した後噴射の量とタイミングの制御を行うことで、後噴射を実行しない場合と比べてNOx転換率であるηNOx(%)が大きく向上することになっている(一点鎖線参照)。なお、図3左側において、後噴射(アフターインジェクション)付きをw/A.Iで、後噴射なしをw/oA.Iで略記している。
【0093】
実施形態では、リーン雰囲気でのNOx活性温度範囲が異なる2つの触媒を直列配置した複合触媒で説明したが、2つに限定されるものでなく、3以上の触媒を直列配置した複合触媒に対しても本発明を適用可能であり、さらに1つだけの触媒であっても、NOx還元性能が温度に対して突起的な特性を有する触媒であるときは本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の制御システム図。
【図2】コモンレール式燃料噴射装置のシステム図。
【図3】複合触媒のNOx還元性能および本実施形態の効果を示す特性図。
【図4】エンジントルクと回転数に対する領域図。
【図5】図4のX軸に沿った後噴射時期の特性図。
【図6】図4のY軸に沿った後噴射時期の特性図。
【図7】後噴射量比率K aftのテーブル特性図。
【図8】燃料噴射のメインルーチンを説明するためのフローチャート。
【図9】コモンレール圧力の制御ルーチンを説明するためのフローチャート。
【図10】主噴射制御ルーチンを説明するためのフローチャート。
【図11】主噴射と後噴射の燃料噴射期間の特性図。
【図12】後噴射制御ルーチンを説明するためのフローチャート。
【図13】第1の発明のクレーム対応図。
【図14】第8の発明のクレーム対応図。
【符号の説明】
1 エンジン本体
3 NOx触媒
3a 高温活性型触媒
3b 低温活性型触媒
10 コモンレール式燃料噴射装置
17 燃料噴射弁
37 温度センサ
41 電子制御ユニット
Claims (11)
- 各気筒に燃料を噴射供給する装置を備え、燃料の主噴射後の膨張行程または排気行程で前記燃料供給装置により後噴射を行い、この後噴射による未燃HCを、排気通路に設けたNOx触媒への還元剤として供給するようにしたディーゼルエンジンの排気浄化装置において、
前記NOx触媒の温度に対する少なくとも2つの活性段階を予め設定する手段と、
これら複数の活性段階のうちどの活性段階に現在の活性段階が該当するのかを判定する手段と、
この判定される現活性段階に応じて前記後噴射のタイミングと後噴射量または後噴射量比率とを設定する手段と、
を設け、
前記判定される現活性段階がNOx還元性能の上昇段階である場合に、前記後噴射された燃料の燃焼する割合が多くなる時期に前記後噴射のタイミングを設定するとともに後噴射量または後噴射量比率を大きく設定する一方、
前記判定される現活性段階がNOx還元性能の最大活性段階である場合に、前記後噴射された燃料の燃焼する割合が少なくなる時期に前記後噴射のタイミングを設定するとともに後噴射量または後噴射量比率を小さく設定すること
を特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 前記NOx触媒をゼオライト系触媒の組み合わせ、貴金属系触媒の組み合わせまたはゼオライト系触媒と貴金属系触媒の組み合わせから構成することを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
- 前記後噴射のタイミングを、エンジンの負荷または回転数が増大するほど主噴射からの遅角間隔を大きくする側に補正することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
- 現活性段階がNOx還元性能の上昇段階の前段階である場合に、後噴射を停止することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
- 前記複数の活性段階に対応してエンジンの負荷と回転数により定まる基準領域を設定し、現在のエンジンの負荷と回転数からどの基準領域にあるのかをみて現活性段階を判定することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
- 前記複数の活性段階を前記触媒の温度により定まる実領域でも設定し、前記触媒の現在の温度からどの実領域にあるのかをみて現活性段階を判定し、この判定結果と前記基準領域に基づく判定結果が異なるときは、前記基準領域に基づく判定結果の隣の活性段階にあると判定することを特徴とする請求項5に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
- 各気筒に燃料を噴射供給する装置を備え、燃料の主噴射後の膨張行程または排気行程で前記燃料供給装置により後噴射を行い、この後噴射による未燃HCを、排気通路に設けたNOx触媒への還元剤として供給するようにしたディーゼルエンジンの排気浄化装置において、
前記NOx触媒の温度に対する少なくとも2つの活性段階を予め設定する手段と、
これら複数の活性段階のうちどの活性段階に現在の活性段階が該当するのかを判定する手段と、を設け、
前記現活性段階がNOx還元性能の下降段階である場合に、後噴射を停止するようにしたこと
を特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 各気筒に燃料を噴射供給する装置を備え、燃料の主噴射後の膨張行程または排気行程で前記燃料供給装置により後噴射を行い、この後噴射による未燃HCを、排気通路に設けたNOx触媒への還元剤として供給するようにしたディーゼルエンジンの排気浄化装置において、
前記NOx触媒を、リーン雰囲気でのNOx活性温度範囲が異なる複数の触媒を直列配置した複合触媒で構成する一方、
触媒温度に対する少なくとも2つの活性段階を前記複数の各触媒毎に予め設定する手段と、
これら複数の活性段階のうちどの活性段階に現在の活性段階が該当するのかを前記複数の各触媒毎に判定する手段と、
この判定される現活性段階に応じて前記後噴射のタイミングと後噴射量または後噴射量比率とを設定する手段とを設け、
前記複数の触媒の何れかについて前記判定される現活性段階がNOx還元性能の上昇段階である場合に、前記後噴射された燃料の燃焼する割合が多くなる時期に前記後噴射のタイミングを設定するとともに後噴射量または後噴射量比率を大きく設定する一方、
前記複数の触媒の何れかについて前記判定される現活性段階がNOx還元性能の最大活性段階である場合に、前記後噴射された燃料の燃焼する割合が少なくなる時期に前記後噴射のタイミングを設定するとともに後噴射量または後噴射量比率を小さく設定すること
を特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 前記複合触媒を、上流側より高温活性型触媒、低温活性型触媒の順に配置して構成することを特徴とする請求項8に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
- 現活性段階が前記低温活性型触媒のNOx還元性能の上昇段階の前段階である場合に、後噴射を停止することを特徴とする請求項8または9に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
- 現活性段階が前記高温活性型触媒のNOx還元性能の下降段階である場合に、後噴射を停止することを特徴とする請求項8から10までのいずれか一つに記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
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