JP3570318B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、希薄燃焼可能な内燃機関より排出される排気ガスから窒素酸化物(NOx)を浄化することができる排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
希薄燃焼可能な内燃機関より排出される排気ガスからNOxを浄化する排気浄化装置として、吸蔵還元型NOx触媒がある。吸蔵還元型NOx触媒は、流入排気ガスの空燃比がリーン(即ち、酸素過剰雰囲気下)のときにNOxを吸収し、流入排気ガスの酸素濃度が低下したときに吸収したNOxを放出しN2に還元する触媒である。
【0003】
この吸蔵還元型NOx触媒(以下、単に触媒あるいはNOx触媒ということもある)を希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に配置すると、リーン空燃比の排気ガスが流れたときには排気ガス中のNOxが触媒に吸収され、ストイキ(理論空燃比)あるいはリッチ空燃比の排気ガスが流れたときに触媒に吸収されていたNOxがNO2として放出され、さらに排気ガス中のHCやCOなどの還元成分によってN2に還元され、即ちNOxが浄化される。
【0004】
ところで、一般に、内燃機関の燃料には硫黄分が含まれており、内燃機関で燃料を燃焼すると、燃料中の硫黄分が燃焼してSO2やSO3などの硫黄酸化物(SOx)が発生する。前記吸蔵還元型NOx触媒は、NOxの吸収作用を行うのと同じメカニズムで排気ガス中のSOxの吸収を行うので、内燃機関の排気通路にこのNOx触媒を配置すると、このNOx触媒にはNOxのみならずSOxも吸収される。
【0005】
ところが、前記NOx触媒に吸収されたSOxは時間経過とともに安定な硫酸塩を形成するため、前記NOx触媒からNOxの放出・還元を行うのと同じ条件下では、分解、放出されにくく触媒内に蓄積され易い傾向がある。NOx触媒内のSOx蓄積量が増大すると、触媒のNOx吸収容量が減少して排気ガス中のNOxの除去を十分に行うことができなくなりNOx浄化率が低下する。これが所謂SOx被毒である。
【0006】
そこで、吸蔵還元型NOx触媒のNOx浄化能を長期に亘って高く維持するために、NOx触媒よりも上流に、排気ガス中のSOxを主に吸収するSOx吸収材を配置し、NOx触媒にSOxが流れ込まないようにしてSOx被毒の防止を図った排気浄化装置が開発されている。
【0007】
前記SOx吸収材は、流入ガスの空燃比がリーンのときにSOxを吸収し、流入ガスの空燃比が理論空燃比またはリッチのときに吸収したSOxをSO2として放出するものであるが、このSOx吸収材のSOx吸収容量にも限りがあるため、SOx吸収材がSOxで飽和する前にSOx吸収材からSOxを放出させる処理、即ち再生処理を実行する必要がある。
【0008】
SOx吸収材の再生処理技術については、例えば特許番号第2605580号の特許公報に開示されている。この公報によれば、SOx吸収材に吸収されたSOxを放出させるには、流入排気ガスの空燃比を理論空燃比またはリッチにする必要があり、また、SOx吸収材の温度が高い方がSOxが放出され易いとされている。
【0009】
さらに、この公報に開示された再生処理技術では、SOx吸収材からSOxを放出させたときに、放出されたSOxが下流に配置されているNOx触媒に吸収されるのを防止するために、SOx吸収材とNOx触媒とを接続する排気管から分岐してNOx触媒を迂回するバイパス通路を設けるとともに、排気ガスをNOx触媒とバイパス通路のいずれに流すか選択的に切り替える排気切替弁を設け、SOx吸収材からSOxを放出させる再生処理実行中は排気切替弁により排気ガスをバイパス通路に流れるようにしてNOx触媒には流れないようにし、再生処理を実行していない時には排気切替弁により排気ガスをNOx触媒に流れるようにしてバイパス通路には流れないようにしている。このようにすると、再生処理実行中においては、SOx吸収材から放出されたSOxがNOx触媒に流れ込まなくなるので、NOx触媒がSOx被毒するのを阻止することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この技術をさらに発展させて、理論空燃比またはリッチ空燃比の排気ガスをバイパス通路に流したときにも排気エミッションが悪化しないように、バイパス通路に三元触媒を配置して排気ガスを浄化する排気浄化システムが考えられる。
【0011】
ところで、排気ガスの空燃比は内燃機関で燃焼される混合気の空燃比制御により制御することができるが、この方法で排気ガスの空燃比を制御して前記排気浄化システムに対応する場合には、空燃比を理論空燃比またはリッチ空燃比に制御するストイキ制御モードで内燃機関を運転しているときにはSOx吸収材からSOxが放出されるので排気ガスをバイパス通路に流して、バイパス通路に設けた三元触媒で排気浄化を行い、空燃比をリーン空燃比に制御するリーン制御モードで内燃機関を運転しているときには排気ガスをNOx触媒に流し、NOx触媒で排気浄化を行う。
【0012】
しかしながら、従来の希薄燃焼可能な内燃機関においては、リーン制御モードの空燃比とストイキ制御モードの空燃比でオーバラップする部分があったため、リーン制御モードで運転していても、そのときの空燃比が理論空燃比に近い場合には、SOx吸収材からSOxが脱離し、そのSOxが吸蔵還元型NOx触媒に流入する結果、吸蔵還元型NOx触媒がSOx被毒する虞れがある。
【0013】
本発明はこのような従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、リーン制御モードの空燃比とストイキ制御モードの空燃比とでオーバラップがないようにすることにより、吸蔵還元型NOx触媒のSOx被毒防止を図ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、(イ)希薄燃焼可能な内燃機関の空燃比を制御し理論空燃比あるいはリッチ空燃比に制御するストイキ制御モードとリーン空燃比に制御するリーン制御モードを備える空燃比制御手段と、(ロ)前記内燃機関の排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにSOxを吸収し流入する排気ガスの酸素濃度が低いときに吸収したSOxを放出するSOx吸収材と、(ハ)前記SOx吸収材よりも下流の排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにNOxを吸収し流入する排気ガスの酸素濃度が低いときに吸収したNOxを放出しN2に還元する吸蔵還元型NOx触媒と、(ニ)前記SOx吸収材と前記吸蔵還元型NOx触媒の間の排気通路から分岐して前記吸蔵還元型NOx触媒を迂回して排気ガスを流すバイパス通路と、(ホ)前記空燃比制御手段がリーン制御モードで空燃比制御を実行しているときには排気ガスを吸蔵還元型NOx触媒に導き、ストイキ制御モードで空燃比制御を実行しているときには排気ガスを前記バイパス通路に導くように排気経路を切り替える排気経路切替手段と、(ヘ)前記バイパス通路に導かれた排気ガスが流通する部位に設けられた三元触媒と、を備え、前記空燃比制御手段のリーン制御モードにおける最小空燃比は、ストイキ制御モードにおける最大空燃比よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0015】
尚、排気ガスの空燃比とは、機関吸気通路及びSOx吸収材よりも上流での排気通路内に供給された空気及び燃料(炭化水素)の比をいう。
【0016】
空燃比制御手段がリーン制御モードで空燃比制御を実行しているときには、排気ガスはSOx吸収材を通り、吸蔵還元型NOx触媒に流れる。排気ガス中のSOxはSOx吸収材に吸収されるので、吸蔵還元型NOx触媒にはSOxが除去された排気ガスが流れ、排気ガス中のNOxは吸蔵還元型NOx触媒において吸放出・還元浄化される。
【0017】
ここで、空燃比制御手段のリーン制御モードにおける最小空燃比が、ストイキ制御モードにおける最大空燃比よりも大きく設定されており、リーン制御モードの空燃比とストイキ制御モードの空燃比とがオーバラップしていないので、リーン制御モードで空燃比制御を実行しているときにSOx吸収材からSOxが脱離することがなく、吸蔵還元型NOx触媒がSOx被毒することはない。
【0018】
空燃比制御手段がストイキ制御モードで空燃比制御を実行しているときには、排気ガスはSOx吸収材を通り、バイパス通路を通って、三元触媒に流れるため、吸蔵還元型NOx触媒には流れない。そして、SOx吸収材に排気ガスが流れたときに、SOx吸収材に吸収されていたSOxが放出され、SOx吸収材から出たSOx濃度の高い排気ガスはバイパス通路に流れるので、SOx吸収材から放出されたSOxが吸蔵還元型NOx触媒に吸収されることがない。即ち、吸蔵還元型NOx触媒のSOx被毒を防止することができる。そして、理論空燃比またはリッチ空燃比の排気ガスは三元触媒によって浄化される。
【0019】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、希薄燃焼可能な内燃機関としては、燃料を筒内に直接噴射するタイプのリーンバーンエンジンや、燃料を吸気弁上流の吸気ポートに噴射するタイプのリーンバーンエンジンを例示することができる。
【0020】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、吸蔵還元型NOx触媒は、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Ptのような貴金属とが担持されてなるもの例示することができる。
【0021】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、SOx吸収材は、吸蔵還元型NOx触媒や三元触媒や選択還元型NOx触媒で構成することができる。
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、三元触媒の設置位置である「前記バイパス通路に導かれた排気ガスが流通する部位」とは、バイパス通路を含むことは勿論であるが、吸蔵還元型NOx触媒の下流の排気通路とバイパス通路の下流が合流する場合にはその合流点よりも下流の排気通路を含むことを意味する。
【0022】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、前記排気経路切替手段は、バイパス通路の分岐部に設けた単一の切替弁で構成することもできるし、あるいは、分岐部よりも吸蔵還元型NOx触媒に近い位置にある排気通路に第1の開閉弁を設けバイパス通路に第2の開閉弁を設けて一方の開閉弁が開くと他方の開閉弁が閉じるように制御して構成することもできる。
【0023】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置においては、ストイキ制御モードにおける最大空燃比を14.5とし、リーン制御モードにおける最小空燃比を16とすることができ、あるいは、ストイキ制御モードにおける最大空燃比を14.5とし、リーン制御モードにおける最小空燃比を20とすることができる。このように最小空燃比および最大空燃比を設定した場合には、リーン制御モードにおける最小空燃比の値が理論空燃比から大きく離れているので、リーン制御モードで空燃比制御を実行しているときにSOx吸収材からSOxが脱離するのを、より確実に防止することができる。
【0024】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置においては、SOx吸収材の温度に応じてリーン制御モードにおける最小空燃比の値を変更する最小空燃比変更手段を備えることができる。その場合、最小空燃比変更手段は、SOx吸収材の温度が高いほどリーン制御モードにおける最小空燃比の値を大きくするのが好ましい。SOx吸収材からのSOxの脱離は、SOx吸収材の温度に関わりがあり、排気ガスの空燃比が同じであってもSOx吸収材の温度が高い方がSOx吸収材からSOxが脱離し易い傾向があるからである。尚、排気ガスの温度をSOx吸収材の温度の代用として使用することができる。
【0025】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、前記三元触媒は、吸蔵還元型NOx触媒の機能を併有することができる。この三元触媒が設けられたバイパス通路には主に理論空燃比の排気ガスが流れるので、該三元触媒が吸蔵還元型NOx触媒の機能を有していても、SOx被毒することはない。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の実施の形態を図1から図6の図面に基いて説明する。
【0027】
図1は、本発明を希薄燃焼可能な筒内直接噴射式の車両用リーンバーンガソリンエンジンに適用した場合の概略構成を示す図である。この図において、符号1は直列4気筒の機関本体、符号2はピストン、符号3は燃焼室、符号4は点火栓、符号5は吸気弁、符号6は吸気ポート、符号7は排気弁、符号8は排気ポート、符号11は燃料噴射弁を夫々示す。このエンジンでは、燃料噴射弁7から燃料が燃焼室3内に直接噴射される。
【0028】
各気筒は2つの吸気ポート6を備え、そのうちの一方の吸気ポート6は燃焼室3に対して吸気通路を直線的に延ばして形成されたストレートポートで構成され、他方の吸気ポート6はシリンダ内に導入される吸気にスワール流を生じせしめるべく形成されたヘリカルポートで構成されている。
【0029】
各吸気ポート6は対応する枝管9を介してサージタンク10に連結されている。ストレートポートの吸気ポート6に連通する枝管9には、その枝管9内を流通する吸気の流量を調節するスワールコントロールバルブが17が設けられている。このスワールコントロールバルブには、ステップモータ等からなり印加電流の大きさに応じてスワールコントロールバルブ17を開閉駆動するSCVアクチュエータ17aと、スワールコントロールバルブ17の開度に対応した電気信号を出力するSCVポジションセンサ17bが取り付けられている。
【0030】
サージタンク10は吸気ダクト12およびエアフロメータ13を介してエアクリーナ14に連結されている。エアフロメータ13は吸入空気量に対応した電気信号を出力する。
【0031】
吸気ダクト12の途中には、該吸気ダクト12内の吸気流量を調整するスロットル弁15が配置されている。このスロットル弁15は、ステップモータ等からなり印加電流の大きさに応じてスロットル弁15を開閉駆動するアクチュエータ15aと、スロットル弁15の開度に対応した電気信号を出力するスロットルポジションセンサ15bを備えている。
【0032】
また、各気筒は排気ポート8を2つずつ備えており、図2に示すように、第1気筒1Aと第4気筒1Dの排気ポート8は第1排気マニホールド16Aを介して第1スタートコンバータのケーシング50Aに連結され、第2気筒1Bと第3気筒1Cの排気ポート8は第2排気マニホールド16Bを介して第2スタートコンバータのケーシング50Bに連結されている。ケーシング50A,50BにはそれぞれSOx吸収能を有する三元触媒51が内蔵されている。つまり、この三元触媒51は、通常の三元触媒にSOx吸収剤(例えば、バリウムBa、カリウムK、ランタンLaなど)を坦持して構成されている。この実施の形態において三元触媒51はSOx吸収材を構成する。
【0033】
ケーシング50A,50Bはそれぞれ排気管52A,52Bを介して排気管53に連結されており、排気管53において各気筒から排出された排気ガスが合流する。排気管53は排気管54を介して吸蔵還元型NOx触媒55を内蔵したケーシング56に連結され、ケーシング56は排気管57を介して排気管58に連結され、排気管58は図示しないマフラーに接続されている。以下、この吸蔵還元型NOx触媒55をNOx触媒55と略す。
【0034】
また、排気管53と排気管58は、NOx触媒55を迂回するバイパス通路59によっても連結されている。バイパス通路59は、排気管53に連結されたバイパス管59Aと、排気管58に連結されたバイパス管59Bと、バイパス管59A,Bの間に挟装されたケーシング60とから構成されており、ケーシング60内には三元触媒61が収容されている。
【0035】
NOx触媒55の上流に位置する排気管54には、アクチュエータ62によって弁体が開閉駆動される排気切替弁63が設けられ、三元触媒61の上流に位置するバイパス管59Aには、アクチュエータ64によって弁体が開閉駆動される排気切替弁65が設けられている。この実施の形態において、排気切替弁63,65は排気経路切替手段を構成する。
【0036】
排気管53には、三元触媒51を通過した排気ガスの温度に対応した電気信号を出力する排気温センサ66と、この排気ガスの酸素濃度に対応した電気信号を出力する酸素濃度センサ(O2センサ)67が取り付けられている。
【0037】
また、機関本体1には、その内部に形成された冷却水通路を流れる冷却水の温度に対応した電気信号を出力する水温センサ18が取り付けられている。
【0038】
このエンジンの運転を制御するエンジンコントロール用の電子制御ユニット(ECU)30はデジタルコンピュータからなり、双方向バス31によって相互に接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(セントラルプロセッサユニット)34、入力ポート35、出力ポート36を具備する。
【0039】
前記したエアフローメータ13、スロットルポジションセンサ15b、SCVポジションセンサ17b、水温センサ18、排気温センサ66、酸素濃度センサ67は、それぞれに対応したA/D変換器38を介してECU30の入力ポート35と電気的に接続され、各センサの出力信号がECU30に入力される。
【0040】
さらに、ECU30の入力ポート35には、アクセルペダル19の踏み込み量に対応した電気信号を出力するアクセルポジションセンサ19aの出力信号がA/D変換器38を介して入力されるとともに、回転数センサ41から機関回転数を表す出力パルスが入力される。
【0041】
ECU30の出力ポート36は、対応する駆動回路39を介して、点火栓4、燃料噴射弁11、アクチュエータ15a、SCVアクチュエータ17a、排気切替弁63,65のアクチュエータ62,64に電気的に接続されており、ECU30は、前記各種センサの出力信号値をパラメータとして、点火栓4、燃料噴射弁11、アクチュエータ15a、SCVアクチュエータ17a、排気切替弁63,65のアクチュエータ62,64を制御する。
【0042】
このエンジンにおいては、ECU30は、例えば、アクセルポジションセンサ19a、エアフロメータ13、回転数センサ41等の出力信号値をパラメータとして内燃機関の運転状態を判別し、その運転状態に応じてエンジンにおける燃焼を制御する。
【0043】
図4は、このエンジンの運転状態(機関負荷とエンジン回転数)と燃焼状態との関係を示す図であり、この図を参照してエンジンにおける燃焼について説明する。
【0044】
ECU30は、エンジンの運転状態が低負荷運転領域(図4においてA領域)にあると判定した場合には、エンジンにおける燃焼が成層燃焼となるように制御する。この成層燃焼を実現すべく、ECU30は、SCVアクチュエータ17aへ制御信号を送信してスワールコントロールバルブ17の開度を小さくするとともに、アクチュエータ15aへ制御信号を送信してスロットル弁15を実質的に全開状態とし、さらに各気筒の圧縮行程時に燃料噴射弁11に駆動電流を印加して圧縮行程噴射を行う。
【0045】
この場合、各気筒の燃焼室3には、吸気行程時に主としてヘリカルポートの吸気ポート6から新気が導入され、強い旋回流(スワール流)が発生する。続く圧縮行程では、燃料噴射弁11から噴射された燃料がスワール流に従って燃焼室3内を旋回し、所定の時期に点火栓4近傍へ移動する。このとき、燃焼室3内は、点火栓4の近傍に可燃混合気層が形成され、その周囲の領域に空気層が形成された、いわゆる成層状態になり、全体として極めて希薄な混合気となる。そして、ECU30は、前記所定の時期に点火栓4を点火する。この結果、燃焼室3内の混合気(可燃混合気層と空気層とを含む)は、点火栓4近傍の可燃混合気層を着火源として燃焼する。
【0046】
尚、成層燃焼運転時における燃料噴射量は、アクセル開度とエンジン回転数とをパラメータとして決定される。すなわち、ECU30は、アクセルポジションセンサ19aの出力信号値(アクセル開度)とエンジン回転数と燃料噴射量との関係を示す成層燃焼時燃料噴射制御マップを用いて燃料噴射量(燃料噴射時間)を決定する。
【0047】
ここで、成層燃焼運転時における空燃比は25〜50に設定されており、これに対応して成層燃焼時噴射制御マップの燃料噴射量(燃料噴射時間)が設定されている。
【0048】
また、ECU30は、エンジンの運転状態が中負荷運転領域(図4においてC領域)にあると判定した場合は、エンジンにおける燃焼が均質リーン燃焼となるように制御する。この均質リーン燃焼を実現すべく、ECU30は、SCVアクチュエータ17aへ制御信号を送信してスワールコントロールバルブ17の開度を小さくし、さらに各気筒の吸気行程時に燃料噴射弁11に駆動電流を印加して吸気行程噴射を行う。この場合、各気筒の燃焼室3内の略全域にわたって、新気と燃料とが均質に混じり合ったリーン混合気が形成され、均質リーン燃焼が実現される。
【0049】
尚、均質リーン燃焼運転時における燃料噴射量および吸入空気量は、アクセル開度とエンジン回転数とをパラメータとして決定される。すなわち、ECU30は、アクセルポジションセンサ19aの出力信号値(アクセル開度)とエンジン回転数と燃料噴射量との関係を示す均質リーン燃焼時燃料噴射制御マップを用いて燃料噴射量(燃料噴射時間)を決定し、アクセルポジションセンサ19aの出力信号値(アクセル開度)とエンジン回転数とスロットル開度(吸入空気量)との関係を示す均質リーン燃焼時スロットル制御マップを用いてスロットル開度(吸入空気量)を決定する。
【0050】
ここで、均質リーン燃焼運転時の空燃比は16〜23に設定されており、これに対応して均質リーン燃焼時燃料噴射制御マップの燃料噴射量(燃料噴射時間)と、均質リーン燃焼時スロットル制御マップのスロットル開度(吸入空気量)が設定されている。
【0051】
また、ECU30は、エンジンの運転状態が高負荷運転領域(図4においてD領域)にあると判定した場合には、エンジンにおける燃焼が理論空燃比近傍の混合気による均質燃焼(以下、これを均質ストイキ燃焼と称す)となるように制御する。この均質ストイキ燃焼を実現すべく、ECU30は、SCVアクチュエータ17aへ制御信号を送信してスワールコントロールバルブ17を全開状態とし、スロットル弁15がアクセルペダル19の踏み込み量(アクセルポジションセンサ19aの出力信号値)に対応した開度となるようアクチュエータ15aへ制御信号を送信し、さらに各気筒の吸気行程時に燃料噴射弁11に駆動電流を印加して吸気行程噴射を行う。この場合、各気筒の燃焼室3内の略全域にわたって、新気と燃料とが均質に混じり合った理論空燃比近傍の混合気が形成され、均質ストイキ燃焼が実現される。
【0052】
尚、均質ストイキ燃焼運転時における燃料噴射量は、アクセル開度とエンジン回転数とをパラメータとして決定される。すなわち、ECU30は、アクセルポジションセンサ19aの出力信号値(アクセル開度)とエンジン回転数と燃料噴射量との関係を示す均質ストイキ燃焼時燃料噴射制御マップを用いて燃料噴射量(燃料噴射時間)を決定する。
【0053】
ここで、均質ストイキ燃焼運転時における空燃比は12〜14.5に設定されており、これに対応して均質ストイキ燃焼時噴射制御マップの燃料噴射量(燃料噴射時間)が設定されている。
【0054】
また、ECU30は、エンジンの運転状態が低負荷運転領域と中負荷運転領域の間の領域(図4においてB領域)にあると判定した場合には、エンジンにおける燃焼が弱成層燃焼となるように制御する。この弱成層燃焼を実現すべく、ECU30は、SCVアクチュエータ17aへ制御信号を送信してスワールコントロールバルブ17を所定開度で開き、各気筒の圧縮行程時と吸気行程時との二回に分けて燃料噴射弁11に駆動電流を印加する。この場合、各気筒の燃焼室3内には、点火栓4の近傍に可燃混合気層が形成されるとともに、その周囲の領域にリーン混合気層が形成され、いわゆる弱成層燃焼が実現される。この弱成層燃焼により、成層燃焼制御から均質燃焼制御へ移行する際、あるいは均質燃焼制御から成層燃焼制御へ移行する際の、エンジンのトルク変動が防止される。
【0055】
以上がエンジン運転状態に対応した燃焼制御であるが、これら燃焼制御と空燃比(A/F)の値の関係をまとめると次のようになっている。
(A)成層燃焼制御 A/F=25〜50
(B)弱成層燃焼制御 A/F=20〜30
(C)均質リーン燃焼制御 A/F=16〜23
(D)均質ストイキ燃焼制御 A/F=12〜14.5
ここで、空燃比に着目して区分すると、(A)成層燃焼制御と(B)弱成層燃焼制御と(C)均質リーン燃焼制御はいずれも空燃比をリーン空燃比に制御していることから、これらをまとめてリーン制御モードとし、(D)均質ストイキ燃焼制御は空燃比を理論空燃比に制御していることからストイキ制御モードとして、二つに大別することができる。
【0056】
この実施の形態では、リーン制御モードにおける最小空燃比(16)は、ストイキ制御モードにおける最大空燃比(14.5)よりも大きく設定されており、その間の空燃比(14.5を越えて16未満)は、いずれの制御モードにおいても使用されない。換言すれば、リーン制御モードにおける空燃比とストイキ制御モードにおける空燃比は互いにオーバラップせず、明確に区分けされている。
【0057】
尚、この実施の形態では、燃料噴射弁11及びスロットル弁15とECU30によるエンジンの運転状態に応じた前述の空燃比制御が空燃比制御手段を構成する。
【0058】
ところで、エンジンは通常、低中負荷運転される頻度が最も高く、したがって運転期間中の大部分においてリーン制御モードで空燃比が制御され、リーン混合気が燃焼せしめられることになる。
【0059】
図5は燃焼室3から排出される排気ガス中の代表的な成分の濃度を概略的に示している。この図からわかるように、燃焼室3から排出される排気ガス中の未燃HC,COの濃度は燃焼室3内の混合気の空燃比がリッチになるほど増大し、燃焼室3から排出される排気ガス中の酸素O2の濃度は燃焼室3内の混合気の空燃比がリーンになるほど増大する。
【0060】
ケーシング56内に収容されているNOx触媒55は、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Ptのような貴金属とが担持されてなる。機関吸気通路およびNOx触媒55より上流の排気通路内に供給された空気および燃料(炭化水素)の比をNOx触媒55への流入排気ガスの空燃比と称する(以下、排気空燃比と略称することもある)と、このNOx触媒55は、排気空燃比がリーンのときにはNOxを吸収し、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOxの吸放出作用を行う。
【0061】
なお、NOx触媒55より上流の排気通路内に燃料(炭化水素)あるいは空気が供給されない場合には、排気空燃比は燃焼室3内に供給される混合気の空燃比に一致し、したがってこの場合には、NOx触媒55は燃焼室3内の混合気の空燃比がリーンのときにはNOxを吸収し、燃焼室3内の混合気中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出することになる。
【0062】
上述のNOx触媒55を機関排気通路内に配置すればこのNOx触媒55は実際にNOxの吸放出作用を行う。この吸放出作用は図6に示すようなメカニズムで行われているものと考えられる。以下、このメカニズムについて担体上に白金PtおよびバリウムBaを担持させた場合を例にとって説明するが、他の貴金属,アルカリ金属,アルカリ土類,希土類を用いても同様なメカニズムとなる。
【0063】
まず、流入排気ガスの空燃比がかなりリーンになると流入排気ガス中の酸素濃度が大巾に増大し、図6(A)に示されるように酸素O2 がO2 −又はO2−の形で白金Ptの表面に付着する。一方、流入排気ガスに含まれるNOは、白金Ptの表面上でO2 −又はO2−と反応し、NO2 となる(2NO+O2 →2NO2 )。
【0064】
次いで、生成されたNO2の一部は、白金Pt上で酸化されつつNOx触媒55内に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら、図6(A)に示されるように硝酸イオンNO3 −の形でNOx触媒55内に拡散する。このようにしてNOxがNOx触媒55内に吸収される。
【0065】
流入排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金Ptの表面でNO2が生成され、NOx触媒55のNOx 吸収能力が飽和しない限り、NO2がNOx触媒55内に吸収されて硝酸イオンNO3 −が生成される。
【0066】
これに対して、流入排気ガス中の酸素濃度が低下してNO2の生成量が低下すると反応が逆方向(NO3 −→NO2)に進み、NOx触媒55内の硝酸イオンNO3 −がNO2またはNOの形でNOx触媒55から放出される。即ち、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると、NOx触媒55からNOxが放出されることになる。図5に示されるように、流入排気ガスのリーンの度合いが低くなれば流入排気ガス中の酸素濃度が低下し、したがって流入排気ガスのリーンの度合いを低くすればNOx触媒55からNOxが放出されることとなる。
【0067】
一方、このとき、燃焼室3内の混合気が理論空燃比またはリッチ空燃比にされて排気空燃比が理論空燃比またはリッチになると、図5に示されるように機関からは多量の未燃HC,COが排出され、これら未燃HC,COは、白金Pt上の酸素O2 −又はO2−と反応して酸化せしめられる。
【0068】
また、排気空燃比が理論空燃比またはリッチになると流入排気ガス中の酸素濃度が極度に低下するためにNOx触媒55からNO2またはNOが放出され、このNO2またはNOは、図6(B)に示されるように未燃HC、COと反応して還元せしめられてN2となる。
【0069】
即ち、流入排気ガス中のHC,COは、まず白金Pt上の酸素O2 −又はO2−とただちに反応して酸化せしめられ、次いで白金Pt上の酸素O2 −又はO2−が消費されてもまだHC,COが残っていれば、このHC,COによってNOx触媒から放出されたNOxおよびエンジンから排出されたNOxがN2に還元せしめられる。
【0070】
このようにして白金Ptの表面上にNO2またはNOが存在しなくなると、NOx触媒55から次から次へとNO2またはNOが放出され、さらにN2に還元せしめられる。したがって、排気空燃比を理論空燃比またはリッチ空燃比にすると短時間の内にNOx触媒55からNOxが放出されることになる。
【0071】
このように、排気空燃比がリーンになるとNOxがNOx触媒55に吸収され、排気空燃比を理論空燃比あるいはリッチにするとNOxがNOx触媒55から短時間のうちに放出され、N2に還元される。したがって、大気中へのNOxの排出を阻止することができる。
【0072】
ところで、この実施の形態では前述したように、高負荷運転時にはストイキ制御モードで空燃比が制御されるため燃焼室3内の混合気の空燃比は理論空燃比あるいはそれより若干リッチになり、低中負荷運転時にはリーン制御モードで空燃比が制御されるため燃焼室3内の混合気の空燃比はリーンになるので、低中負荷運転時に排気ガス中のNOxがNOx触媒55に吸収され、高負荷運転時にNOx触媒55からNOxが放出され還元されることになる。しかしながら、高負荷運転の頻度が少なく、低中負荷運転の頻度が多くその運転時間が長ければ、NOxの放出・還元が間に合わなくなり、NOx触媒55のNOxの吸収能力が飽和してNOxを吸収できなくなってしまう。
【0073】
そこで、この実施の形態では、リーン混合気の燃焼が行われている場合、即ちリーン制御モードで空燃比を制御しているときには、比較的に短い周期でスパイク的(短時間)にストイキまたはリッチ混合気の燃焼が行われるように混合気の空燃比を制御し、短周期的にNOxの放出・還元を行っている。このようにNOxの吸放出のために、排気空燃比(この実施の形態では混合気の空燃比)が比較的に短い周期で「リーン」と「スパイク的なストイキまたはリッチ(以下、これをリッチスパイクと称す)」を交互に繰り返されるように制御することを、以下の説明ではリーン・リッチスパイク制御と称す。尚、この出願においては、リーン・リッチスパイク制御はリーン空燃比制御に含まれるものとする。
【0074】
一方、燃料には硫黄(S)が含まれており、燃料中の硫黄が燃焼するとSO2やSO3などの硫黄酸化物(SOx)が発生し、NOx触媒55は排気ガス中のこれらSOxも吸収する。NOx触媒55のSOx吸収メカニズムはNOx吸収メカニズムと同じであると考えられる。即ち、NOxの吸収メカニズムを説明したときと同様に担体上に白金PtおよびバリウムBaを坦持させた場合を例にとって説明すると、前述したように、排気空燃比がリーンのときには、酸素O2がO2 −又はO2−の形でNOx触媒55の白金Ptの表面に付着しており、流入排気ガス中のSOx(例えばSO2)は白金Ptの表面上で酸化されてSO3となる。
【0075】
その後、生成されたSO3は、白金Ptの表面で更に酸化されながらNOx触媒55内に吸収されて酸化バリウムBaOと結合し、硫酸イオンSO4 2−の形でNOx触媒55内に拡散し硫酸塩BaSO4を生成する。この硫酸塩BaSO4は安定していて分解しずらく、流入排気ガスの空燃比をリッチにしても分解されずにNOx触媒55内に残ってしまう。したがって、時間経過に伴いNOx触媒55内のBaSO4の生成量が増大するとNOx触媒55の吸収に関与できるBaOの量が減少してNOxの吸収能力が低下してしまう。これが即ちSOx被毒である。
【0076】
そこで、この実施の形態ではNOx触媒55にSOxが流入しないように、NOx触媒55の上流に設けたスタートコンバータとしての三元触媒51にSOx吸収剤を坦持してSOx吸収能を付与しているのである。三元触媒51に坦持されたSOx吸収剤は、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにSOxを吸収し、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比またはリッチになって酸素濃度が低下すると吸収したSOxを放出する。
【0077】
このようにSOx吸収能を有する三元触媒51をNOx触媒55の上流に配置すると、三元触媒51に流入する排気ガスの空燃比がリーンになると排気ガス中のSOxが三元触媒51に吸収され、したがって、下流のNOx触媒55にはSOxが流れ込まなくなり、NOx触媒55では排気ガス中のNOxのみが吸収されることになる。
【0078】
一方、三元触媒51に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比またはリッチになって酸素濃度が低下すると、三元触媒51に吸収されているSOxが三元触媒51から放出され、排気ガス中の未燃HC、COによってSO2に還元せしめられる。
【0079】
尚、この実施の形態のエンジンでは、リーン制御モードで空燃比を制御しエンジンを運転しているときに排気ガスの空燃比がリーンになるので、排気ガス中のSOxが三元触媒51に吸収される。また、ストイキ制御モードで空燃比を制御しエンジンを理論空燃比またはリッチ空燃比で運転しているときに排気ガスの空燃比が理論空燃比またはリッチなるので、これらの運転状態のときに三元触媒51に吸収されているSOxが放出される。
【0080】
ところで、三元触媒51からSOxが放出されているときには、三元触媒51から流出した排気ガスには多量のSOxが含まれることとなるため、この排気ガスがNOx触媒55に流入すると排気ガス中のSOxがNOx触媒55に吸収され、NOx触媒55がSOx被毒してしまい、三元触媒51にSOx吸収能を付与した意味がなくなってしまう。そこで、この実施の形態では、三元触媒51から放出されたSOxがNOx触媒55に吸収されるのを阻止するために、ストイキ制御モードで空燃比を制御しエンジンを運転しているときには、三元触媒51から流出した排気ガスをバイパス通路59に導くようにしている。さらに、バイパス通路59を流れる排気ガスを浄化するために、バイパス通路59に三元触媒61を設けている。
【0081】
次に、このエンジンの運転状態に場合分けして排気経路と排気浄化の作用を説明する。
まず、エンジンの運転状態が低中負荷運転領域にありリーン制御モードで空燃比制御を実行しているときには、図1に示すように、ECU30は、アクチュエータ62,64に制御信号を送信して、排気切替弁63を全開状態に保持するとともに排気切替弁65を全閉状態に保持する。これにより、排気ガスはNOx触媒55に流れ、バイパス通路59の三元触媒61には流れなくなる。
【0082】
このとき、エンジンから排出されるリーン空燃比の排気ガス中のSOxはスタートコンバータとしての三元触媒51に吸収され、SOxを除去された排気ガスがNOx触媒55に流れるようになるので、NOx触媒55のSOx被毒を防止することができる。
【0083】
特に、この実施の形態においては、リーン制御モードにおける最大空燃比が16に設定されており、三元触媒51からSOxが放出され易い理論空燃比(14.5)からは十分に離れた値を採用しているので、リーン制御モードで空燃比制御を実行しているときに三元触媒51からSOxが放出される虞れは殆どなく、NOx触媒55のSOx被毒を確実に防止することができる。
【0084】
そして、前述したように、リーン制御モードのときには、実際にはリーン・リッチスパイク制御が行われるので、NOx触媒55においてNOxの吸放出・還元が行われ、排気ガスは浄化される。
【0085】
尚、間欠的にリッチスパイクの排気ガスが三元触媒51に流れるが、このリッチスパイクは非常に短時間であるので三元触媒51に吸収されているSOxが放出されることはない。
【0086】
一方、エンジンの運転状態が高負荷運転状態にありストイキ制御モードで空燃比制御を実行しているときには、ECU30は、アクチュエータ62,64に制御信号を送信して、排気切替弁63を全閉状態に保持するとともに排気切替弁65を全開状態に保持する。これにより、排気ガスはバイパス通路59の三元触媒61に流れ、NOx触媒55には流れなくなる。
【0087】
このとき、エンジンから排出されるストイキまたはリッチ空燃比の排気ガスは、スタートコンバータとしての三元触媒51とバイパス通路59の三元触媒61によって浄化される。また、三元触媒51の触媒温度がSOx脱離可能な温度(以下、この温度をSOx脱離温度という)に達していれば、三元触媒51に吸収されているSOxが放出されるが、このSOx濃度の高い排気ガスはNOx触媒55には流入せずバイパス通路59に流れるので、NOx触媒55のSOx被毒を防止することができる。
【0088】
〔他の実施の形態〕
前述した実施の形態では、ストイキ制御モードにおける最大空燃比を14.5とし、リーン制御モードにおける最小空燃比を16としたが、最大空燃比および最小空燃比の値はこれに限るものではない。例えば、ストイキ制御モードにおける最大空燃比を14.5とし、リーン制御モードにおける最小空燃比を20としてもよい。このように、ストイキ制御モードにおける最大空燃比の値とリーン制御モードにおける最小空燃比の値との差が大きい方が、NOx触媒55のSOx被毒を確実に防止することができる。
【0089】
また、三元触媒51からのSOxの脱離は、三元触媒51の温度に関わりがあり、排気ガスの空燃比が同じであっても三元触媒51の温度が高い方が三元触媒51からSOxが脱離し易い傾向がある。そのため、三元触媒51の温度に応じてリーン制御モードにおける最小空燃比の値を変更する最小空燃比変更手段を備えるのが好ましい。例えば、ECU30は、三元触媒51の温度が300゜C以下であると判定したときには、リーン制御モードにおける最小空燃比の値として16を採用し、三元触媒51の温度が300゜Cを越えていると判定したときには、リーン制御モードにおける最小空燃比の値として18を採用するなどである。
【0090】
尚、この場合、三元触媒51に温度センサを設けて触媒温度を直接検出することも可能であるが、排気温センサ66で検出される排気ガス温度を三元触媒51の温度として代用することも可能である。
【0091】
上述した実施の形態では、スタートコンバータとしての三元触媒51にSOx吸収剤を坦持することにより三元触媒51をSOx吸収材として機能させたが、スタートコンバータとしての三元触媒とは別に、吸蔵還元型NOx触媒の上流にSOx吸収材を配置してもよく、その場合にはスタートコンバータがなくても本発明は成立する。
【0092】
また、上述した実施の形態では、SOx吸収材としての三元触媒51からのSOx放出を、エンジンの運転状態に基づくストイキ制御モードによる空燃比制御に任せているが、SOx吸収材に吸収されたSOx量を例えば燃料消費量に基づいて演算し、SOx量が所定量になったときに強制的にストイキの排気ガスを流してSOx吸収材の再生処理を実行するようにすることも可能である。
【0093】
また、上述した実施の形態では、バイパス通路59に三元触媒61を配置したが、三元触媒61をバイパス通路59に配置せず、排気管58に配置しても構わない。要するに、三元触媒61は、バイパス通路59に流れた排気ガスが流通する部位に配置されていればよい。排気管58に三元触媒61を配置した場合にも、前述の実施の形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0094】
さらに、三元触媒61に吸蔵還元型NOx触媒の機能を併有させるようにしてもよい。バイパス通路59には主にストイキの排気ガスが流れるので、三元触媒61が吸蔵還元型NOx触媒の機能を有していても、SOx被毒することはない。
【0095】
【発明の効果】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、(イ)希薄燃焼可能な内燃機関の空燃比を制御するストイキ制御モードとリーン制御モードを備える空燃比制御手段と、(ロ)前記内燃機関の排気通路に設けられたSOx吸収材と、(ハ)前記SOx吸収材よりも下流の排気通路に設けられた吸蔵還元型NOx触媒と、(ニ)前記SOx吸収材と前記吸蔵還元型NOx触媒の間の排気通路から分岐して前記吸蔵還元型NOx触媒を迂回して排気ガスを流すバイパス通路と、(ホ)前記空燃比制御手段がリーン制御モードで空燃比制御を実行しているときには排気ガスを吸蔵還元型NOx触媒に導き、ストイキ制御モードで空燃比制御を実行しているときには排気ガスを前記バイパス通路に導くように排気経路を切り替える排気経路切替手段と、(ヘ)前記バイパス通路に導かれた排気ガスが流通する部位に設けられた三元触媒と、を備え、前記空燃比制御手段のリーン制御モードにおける最小空燃比が、ストイキ制御モードにおける最大空燃比よりも大きく設定されていることにより、吸蔵還元型NOx触媒のSOx被毒を確実に防止することができるという優れた効果が奏される。
【0096】
ストイキ制御モードにおける最大空燃比を14.5としリーン制御モードにおける最小空燃比を16とした場合、あるいは、ストイキ制御モードにおける最大空燃比を14.5としリーン制御モードにおける最小空燃比を20とした場合には、リーン制御モードにおける最小空燃比の値が理論空燃比から大きく離れているので、リーン制御モードで空燃比制御を実行しているときにSOx吸収材からSOxが脱離するのをより確実に防止することができる。
【0097】
SOx吸収材の温度に応じてリーン制御モードにおける最小空燃比の値を変更する最小空燃比変更手段を備えた場合には、吸蔵還元型NOx触媒のSOx被毒防止の確実性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の一実施の形態の概略構成図である。
【図2】前記実施の形態における排気通路の一部を拡大して示した図である。
【図3】前記実施の形態におけるECUの構成を示す図である。
【図4】前記実施の形態における内燃機関の機関回転数と機関負荷と燃焼状態との関係を示す図である。
【図5】機関から排出される排気ガス中の未燃HC,COおよび酸素の濃度を概略的に示す線図である。
【図6】吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸放出作用を説明するための図である。
【符号の説明】
1 機関本体(内燃機関)
3 燃焼室
4 点火栓
11 燃料噴射弁(空燃比制御手段)
13 エアフロメータ
15 スロットル弁(空燃比制御手段)
16A,16B,52A,52B,53,54,57,58 排気管(排気通路)
19 アクセルペダル
30 ECU
51 三元触媒(SOx吸収材)
55 吸蔵還元型NOx触媒
59 バイパス通路
61 三元触媒
63,65 排気切替弁(排気経路切替手段)
66 排気温センサ
Claims (6)
- (イ)希薄燃焼可能な内燃機関の空燃比を制御し理論空燃比あるいはリッチ空燃比に制御するストイキ制御モードとリーン空燃比に制御するリーン制御モードを備える空燃比制御手段と、
(ロ)前記内燃機関の排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにSOxを吸収し流入する排気ガスの酸素濃度が低いときに吸収したSOxを放出するSOx吸収材と、
(ハ)前記SOx吸収材よりも下流の排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにNOxを吸収し流入する排気ガスの酸素濃度が低いときに吸収したNOxを放出しN2に還元する吸蔵還元型NOx触媒と、
(ニ)前記SOx吸収材と前記吸蔵還元型NOx触媒の間の排気通路から分岐して前記吸蔵還元型NOx触媒を迂回して排気ガスを流すバイパス通路と、
(ホ)前記空燃比制御手段がリーン制御モードで空燃比制御を実行しているときには排気ガスを吸蔵還元型NOx触媒に導き、ストイキ制御モードで空燃比制御を実行しているときには排気ガスを前記バイパス通路に導くように排気経路を切り替える排気経路切替手段と、
(ヘ)前記バイパス通路に導かれた排気ガスが流通する部位に設けられた三元触媒と、
を備え、前記空燃比制御手段のリーン制御モードにおける最小空燃比は、ストイキ制御モードにおける最大空燃比よりも大きく設定されていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記ストイキ制御モードにおける最大空燃比は14.5であり、リーン制御モードにおける最小空燃比は16であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記ストイキ制御モードにおける最大空燃比は14.5であり、リーン制御モードにおける最小空燃比は20であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記SOx吸収材の温度に応じて前記リーン制御モードにおける最小空燃比の値を変更する最小空燃比変更手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記最小空燃比変更手段は、前記SOx吸収材の温度が高いほどリーン制御モードにおける最小空燃比の値を大きくすることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記三元触媒は、吸蔵還元型NOx触媒の機能を併有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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