JP3569639B2 - 乗員検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイドエアバッグの展開を的確に制御すべく自動車のシートに着座した乗員の体格や姿勢を検知する乗員検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の側面衝突時にシートバックの側部からドアの内面に沿って展開して乗員の側面を保護するサイドエアバッグ装置は、例えば特開平6−64491号公報により公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、助手席に着座した子供が眠り込んで身体がドア側に傾くと、座高の低い子供の頭部がシートバックの側部に収納したサイドエアバッグ装置の前方を覆ってしまうため、サイドエアバッグを効果的に展開させることができなくなる問題がある。そこで、カメラ等の撮像手段で助手席に着座した乗員の体格および姿勢を検知し、子供がドア側に凭れた寝姿にあるときにサイドエアバッグ装置の作動を禁止することが考えられる。
【0004】
しかしながら、撮像手段による乗員検知は高価なカメラを必要とするためにコストが嵩むだけでなく、シートバックのリクライニング角や車室内の明るさに左右されて正確な検知を行うことが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、シートに着座した乗員の体格や姿勢に応じてサイドエアバッグの展開を的確に制御することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、自動車のシートのシートバックの中央部に埋設された複数の第1アンテナ電極と、シートのシートバックの側部に埋設された少なくとも1個の第2アンテナ電極と、第1、第2アンテナ電極の周囲に電界を発生させる電界発生手段と、電界発生手段から第1、第2アンテナ電極に流れる電流に基づいて該第1、第2アンテナ電極への人体の接近を検出する人体接近検出手段と、第1アンテナ電極に対応する人体接近検出手段の出力の組み合わせパターンを予め記憶したパターンと比較することによりシートに着座した乗員の座高が基準値以下であるか否かを判別する第1判定手段と、第2アンテナ電極に対応する人体接近検出手段の出力に基づいてシートに着座した乗員の身体が側方に傾斜しているか否かを判定する第2判定手段と、第1判定手段がシートに着座した乗員の座高が基準値以下であることを判定し、且つ第2判定手段が前記乗員の身体が側方に傾斜していることを判定したとき、シートバックの側部に設けられたサイドエアバッグ装置の展開を禁止する信号を出力する信号出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、シートに乗員が着座すると、空気に比べて誘電率が高い人体がシートバックに埋設した第1、第2アンテナ電極に接近するため、電界発生手段から各々のアンテナ電極に流れる電流が増加する。アンテナ電極に流れる電流が増加すると、その電流に基づいて人体接近検出手段が各々のアンテナ電極への人体の接近を検出する。
【0008】
第1判定手段は複数の第1アンテナ電極に対応する人体接近検出手段の出力の組み合わせパターンと予め記憶したパターンとを比較し、シートに着座している乗員の座高が基準値以下であるか否かを判定する。第2判定手段は複数の第2アンテナ電極に対応する人体接近検出手段の出力に基づいてシートに着座している乗員の身体が側方に傾斜しているか否かを判定する。信号出力手段は乗員の座高が基準値以下であり、且つ乗員の身体が側方に傾斜しているときに、小柄な乗員が寝姿で着座していると判定してサイドエアバッグ装置の展開を禁止する信号を出力する。
【0009】
誘電体である人体の第1、第2アンテナ電極への接近に基づいてシートに着座した乗員の座高を判定するとともに前記乗員の身体の傾斜を判定するので、座高の低い小柄な乗員が寝姿で着座した状態を確実に検知してサイドエアバッグの展開を禁止することができる。
【0010】
また請求項2に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、各々の第1アンテナ電極は横長の帯状に形成されており、それらが上下方向に複数段に配置されることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、乗員の頭部、頸部および肩部の位置を検知して乗員の座高を確実に判定することができる。
【0012】
また請求項3に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、第1判定手段がシートに着座した乗員の座高が基準値以下であることを判定し、且つ第2判定手段が前記乗員の身体が側方に傾斜していることを判定したとき、信号出力手段は警告指令信号を出力することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、座高が低いためにサイドエアバッグ装置が有効に機能しない可能性がある小柄な乗員がシートに着座した場合に警告を発することができる。
【0014】
また請求項4に記載された発明は、自動車のシートのシートクッションに埋設された重量検出手段と、シートのシートバックの側部に埋設された少なくとも1個のアンテナ電極と、アンテナ電極の周囲に電界を発生させる電界発生手段と、電界発生手段からアンテナ電極に流れる電流に基づいて該アンテナ電極への人体の接近を検出する人体接近検出手段と、重量検出手段の出力に基づいてシートに着座した乗員の体重が基準値以下であるか否かを判別する第1判定手段と、人体接近検出手段の出力に基づいてシートに着座した乗員の身体が側方に傾斜しているか否かを判定する第2判定手段と、第1判定手段がシートに着座した乗員の体重が基準値以下であることを判定し、且つ第2判定手段が前記乗員の身体が側方に傾斜していることを判定したとき、シートバックの側部に設けられたサイドエアバッグ装置の展開を禁止する信号を出力する信号出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、シートに乗員が着座すると、シートクッションに埋設された重量検出手段が乗員の体重を検出し、第1判定手段は前記検出された体重が所定値以下であるか否かを判定する。またシートに乗員が着座すると、空気に比べて誘電率が高い人体がシートバックの側部に埋設したアンテナ電極に接近するため、電界発生手段から各々のアンテナ電極に流れる電流が増加する。アンテナ電極に流れる電流が増加すると、その電流に基づいて人体接近検出手段がアンテナ電極への人体の接近を検出する。第2判定手段は人体接近検出手段の出力に基づいてシートの乗員の身体が側方に傾斜しているか否かを判定する。
【0016】
第1判定手段が乗員の座高が基準値以下であると判定し、第2判定手段が人体接近検出手段の出力に基づいてシートの乗員の身体が側方に傾斜していると判定すると、信号出力手段は小柄な乗員が寝姿で着座していると判定してサイドエアバッグ装置の展開を禁止する信号を出力する。
【0017】
乗員の体重に基づいて体格を判定し、誘電体である人体のアンテナ電極への接近に基づいて乗員の身体の傾斜を判定するので、座高の低い小柄な乗員が寝姿で着座した状態を確実に検知してサイドエアバッグの展開を禁止することができる。
【0018】
また請求項5に記載された発明は、請求項4の構成に加えて、第1判定手段がシートに着座した乗員の体重が基準値以下であることを判定し、且つ第2判定手段が前記乗員の身体が側方に傾斜していることを判定したとき、信号出力手段は警告指令信号を出力することを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、座高が低いためにサイドエアバッグ装置が有効に機能しない可能性がある小柄な乗員がシートに着座した場合に警告を発することができる。
【0020】
また請求項6に記載された発明は、自動車のシートのシートバックの側部に埋設されたアンテナ電極と、アンテナ電極の周囲に電界を発生させる電界発生手段と、電界発生手段からアンテナ電極に流れる電流に基づいて該アンテナ電極への人体の接近を検出する人体接近検出手段と、人体接近検出手段の検出結果に基づいてサイドエアバッグ装置の展開を制御する信号を出力する信号出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、シートに着座した乗員の身体が側方に傾斜していると、空気に比べて誘電率が高い人体がシートバックの側部に埋設したアンテナ電極に接近するため、電界発生手段からアンテナ電極に流れる電流が増加する。アンテナ電極に流れる電流が増加すると、その電流に基づいて人体接近検出手段が乗員の身体が側方に傾斜していることを検出し、その検出結果に基づいて信号出力手段がサイドエアバッグ装置の展開を制御する信号を出力する。
【0022】
誘電体である人体のアンテナ電極への接近に基づいてシートに着座した乗員の身体の傾斜を判定するので、その乗員の姿勢に応じてサイドエアバッグの展開を的確に制御することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0024】
図1〜図7は本発明の第1実施例を示すもので、図1はサイドエアバッグ装置を備えた助手席シートの平面図、図2は制御系のブロック図、図3は助手席シートの斜視図、図4は電界出力部の回路図、図5は人体の距離とセンサ出力との関係を示すグラフ、図6は乗員の体格検知手法の説明図、図7は助手席シートに座った子供の寝姿を示す図である。
【0025】
図1に示すように、車両の側面衝突時に助手席シート4のシートバック27のドア1側の側部に収納した側面衝突用のサイドエアバッグ装置2は、助手席シート4に着座した乗員とドア1の内面との間にサイドエアバッグ3を展開させる。サイドエアバッグ装置2は助手席シート4に着座した乗員が座高の小さい子供であり、且つその子供がドア1側に凭れている場合(図7参照)に作動しないようになっている。そのために、助手席シート4に着座した子供がドア1側に凭れている状態を検知する乗員検知ユニット5(図3参照)が助手席シート4設けられる。
【0026】
図2に示すように、乗員検知ユニット5は乗員検知ブロック11と、故障診断ブロック12と、記録ブロック13と、通信ブロック14と、警告灯制御ブロック15とから構成される。乗員検知ブロック11は、後から詳述するセンサ部16、電界出力部17および乗員検知判定部18から構成されており、乗員検知判定部18には、故障等の異常状態を検出する前記故障診断ブロック12と、乗員検知を行うための基準となる各種閾値等を記憶する前記記録ブロック13とが接続される。乗員検知判定部18は、助手席シート4に着座した乗員の座高に基づいて該乗員が大人であるか子供であるかを判定する第1判定手段18aと、助手席シート4に着座した乗員がドア1側に凭れているか否かを判定する第2判定手段18bと、第1判定手段18aおよび第2判定手段18bの出力に基づいてサイドエアバッグ展開禁止指令信号および警報指令信号を出力する信号出力手段18cとから構成される。
【0027】
乗員検知ユニット5の前記通信ブロック14に接続されるサイドエアバッグ装置制御ユニット19は、衝突加速度検知部20と、インフレータ駆動回路部21と、サイドエアバッグ装置制御ブロック22と、通信ブロック23とから構成される。衝突加速度検知部20が車両の衝突により発生する加速度を検出すると、サイドエアバッグ装置制御ブロック22からの指令によりインフレータ駆動回路部21がインフレータを点火してサイドエアバッグ装置2を作動させる。このとき、乗員検知判定部18が助手席シート4に子供が着座しており、且つその子供がドア1側に凭れて寝ていると判定すると、サイドエアバッグ展開禁止指令信号が通信ブロック14,23を経てサイドエアバッグ装置制御ブロック22に出力され、サイドエアバッグ装置制御ブロック22はインフレータ駆動回路部21によるサイドエアバッグ装置2の作動を禁止する。
【0028】
乗員検知ユニット5の前記警告灯制御ブロック15は、インストルメントパネルに設けられたメータユニット24の助手席乗員警告灯25に接続される。乗員検知判定部18が助手席シート4に子供が着座してドア1側に凭れて寝ていると判定すると(図7参照)、警告指令信号を出力して助手席乗員警告灯25を点灯させ、その子供を後席に移動させるべく警告が行われる。
【0029】
図3に示すように、助手席シート4はシートクッション26、シートバック27およびヘッドレスト28から構成されており、着座した乗員の背中が当たるシートバック27の中央部前面を覆う表皮の内側に、前記センサ部16を構成する6枚の第1アンテナ電極29a〜29fが埋設されるとともに、シートバック27のドア1側の側部前面を覆う表皮の内側に、前記センサ部16を構成する1枚の第2アンテナ電極29gが埋設される。導電性の布片よりなる第1アンテナ電極29a〜29fは横長の帯状に形成されており、上下方向に6段に整列して配置される。同じく導電性の布片よりなる第2アンテナ電極29gも帯状に形成されており、その長手方向を上下にして配置される。第1アンテナ電極29a〜29fは前記第1判定手段18aに接続され、第2アンテナ電極29gは前記第2判定手段18bに接続される。
【0030】
図4は電界出力部17の構造を示すもので、一端が接地部31に接地された高周波発振回路よりなる電界発生手段32の他端に、該電界発生手段32の出力電流Iを電圧に変換する電流モニター抵抗33の一端と、増幅器34とが接続される。電流モニター抵抗33の他端は増幅器34に接続されるともに、6枚の第1アンテナ電極29a〜29fおよび1枚の第2アンテナ電極29gに所定時間毎に順番に接続される。
【0031】
助手席シート4に乗員が着座しておらず、従って電流モニター抵抗33の他端接続された第1、第2アンテナ電極29a〜29g(例えば、アンテナ電極29a)に誘電体である人体35が接近していないとき、アンテナ電極29aから放出される電界により発生する出力電流Iの値は、アンテナ電極29aと接地部31との距離および空気の誘電率(ε≒1)に応じた極めて小さなものとなる。その結果、電流モニター抵抗33の両端に発生する電圧、即ち増幅器34の出力も小さくなる。一方、空気に比べて大きな誘電率(ε≒80)を持つ人体35が助手席シート4に着座すると、図5に示すように、アンテナ電極29aおよび人体35の距離と、アンテナ電極29aに対向する人体35の面積とに応じた大きな出力電流Iが電流モニター抵抗33に流れ、電流モニター抵抗33の両端に発生する電圧、即ち増幅器34の出力も大きくなる。
【0032】
従って、6枚の第1アンテナ電極29a〜29fに対応する増幅器34の出力パターンを解析することにより、助手席シート4に着座した乗員の体格を検知することができる。
【0033】
尚、電流モニター抵抗33および増幅器34は併せて本発明の人体接近検出手段を構成する。
【0034】
次に、乗員検知判定部18において行われる乗員の体格検知の一例を図6に基づいて説明する。
【0035】
図6には、助手席シート4に座高が高い乗員が着座した場合(a)、座高が中間の乗員が着座した場合(b)、座高が低い乗員が着座した場合(c)のそれぞれに対応して、センサ出力のパターンが示される。(a)の場合には、乗員の座高が高いために頸部が上から2番目のアンテナ電極29bに対向するとともに、肩部が上から5番目および6番目のアンテナ電極29e,29fに対向している。(b)の場合には、乗員の座高が中間であるために頭部が上から1〜3番目のアンテナ電極29a〜29cに対向するとともに、頸部が上から4番目のアンテナ電極29dに対向している。(c)の場合には、乗員の座高が低いために頭部が上から4〜6番目のアンテナ電極29d〜29fに対向している。尚、図6におけるセンサ出力は電流モニター抵抗33を流れる電流値(nA)を示しているが、その値は増幅器34の出力と比例関係にあるものである。
【0036】
肩部は横幅が広く且つシートバック27に当接するため、その肩部に対応するセンサ出力は第1閾値(例えば、400nA)以上になる(図6(a)参照)。頸部は横幅が最も狭く且つシートバック27から離れているため、その頸部に対応するセンサ出力は殆ど0になる(図6(a),(b)参照)。頭部は横幅がやや広く且つシートバック27に当接するため、その頭部に対応するセンサ出力は第1閾値未満で第2閾値(例えば、150nA)以上になる(図6(b),(c)参照)。
【0037】
(a)のように第1閾値以上のセンサ出力が存在するときは肩部が検出された場合であり、その乗員は座高が高い乗員であると判定される。また(b)のように第1閾値未満で第2閾値以上のセンサ出力が2つ存在するときは頭部および肩部の一部が検出された場合であり、その乗員は座高が中間の乗員であると判定される。また(c)のように第1閾値未満で第2閾値以上のセンサ出力が1つ存在するときは頭部が検出された場合であり、その乗員は座高が低い乗員(標準で6歳未満の体格の子供)であると判定される。
【0038】
このように、シートバック27に埋設したアンテナ電極29d〜29fに対する人体35の接近に基づいて第1判定手段18aが乗員の体格を判定するので、温度変化によるシート表皮の硬度変化、乗員の着座姿勢の変化、シートバック27のリクライニング角の変化等の影響を受けることなく正確な判定が可能となる。
【0039】
一方、助手席シート4に着座した乗員の身体がシートバック27の側部に埋設した第2アンテナ電極29gに接近すると、前述した原理により電流モニター抵抗33を流れる電流値が増加する。その結果、第2判定手段18bは、助手席シート4に着座した乗員がドア1側に凭れた姿勢にあると判定する。
【0040】
而して、第1判定手段18aにより乗員が子供であると判定され、且つ第2判定手段18bにより乗員がドア1側に凭れた姿勢にあると判定されると、信号出力手段18bcがサイドエアバッグ展開禁止指令信号を出力してサイドエアバッグ装置2の作動を禁止するとともに、警告指令信号を出力して助手席乗員警告灯25を点灯させて子供を後席に移動させるべく警告を行う。これにより、子供が助手席シート4でドア1側に凭れた姿勢で寝てしまった場合にサイドエアバッグ装置2の作動を禁止し、展開したエアバッグ3が子供と干渉するのを確実に回避することができる。
【0041】
尚、第1判定手段18aにより助手席シート4に乗員が着座していないと判定されたときにも、サイドエアバッグ装置2の作動が禁止される。これにより、車両の衝突時に助手席シート4用のサイドエアバッグ装置2が無駄に作動することがなくなり、無駄に作動したサイドエアバッグ装置2を交換するためのユーザーの経済的負担が軽減される。
【0042】
次に、図8および図9に基づいて本発明の第2実施例を説明する。尚、第2実施例において、上述した第1実施例の構成要素に対応する構成要素には同一の符号が付してある。
【0043】
第1実施例では助手席シート4に着座した乗員が大人であるか子供であるかを、第1アンテナ電極29a〜29fを用いて乗員の座高を検出することにより判定しているが、第2実施例では助手席シート4のシートクッション26に埋設した重量検出手段36を用いて乗員の体重を検出することにより判定している。
【0044】
而して、重量検出手段36が検出した乗員の体重が6歳未満の子供の標準体重以下であれば、第1判定手段18aは乗員が子供であると判定する。そして第1実施例と同様に第2判定手段18bにより乗員がドア1側に凭れた姿勢にあると判定されると、信号出力手段18cがサイドエアバッグ展開禁止指令信号を出力してサイドエアバッグ装置2の作動を禁止し、併せて警告指令信号を出力して助手席乗員警告灯25を点灯させて子供を後席に移動させるべく警告を行う。
【0045】
本実施例によっても、子供が助手席シート4でドア1側に凭れた姿勢で寝てしまった場合にサイドエアバッグ装置2の作動が禁止されるので、展開したエアバッグ3が子供と干渉するのを確実に回避することができる。
【0046】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0047】
例えば、実施例では電界発生手段32および第1、第2アンテナ電極29a〜29g間に設けた電流モニター抵抗33の両端の電圧に比例する出力電流をセンサ出力としているが、その出力電流に代えて出力電力をセンサ出力としても良く、また前記出力電流あるいは出力電力が所定値になるように制御したときの制御量をセンサ出力としても良い。更に電界発生手段32およびアンテナ電極29a〜29g間を流れる電流あるいは電力を検出する代りに、隣接するアンテナ電極間を流れる電流あるいは電力を検出することも可能である。
【0048】
また実施例では助手席シート4について説明したが、本発明は後席シートに対しても適用することが可能であり、対象とする乗員も子供に限らず小柄な大人を対象とすることができる。
【0049】
ところで、第1実施例では乗員の体格をシートバック27の中央部に埋設した第1アンテナ電極29a〜29fによって検出しているが、子供がドア1側に凭れた姿勢で寝てしまうと、子供の背中がシートバック27から浮き上がって第1アンテナ電極29a〜29fによる体格の検出ができなくなる場合がある。このような場合でも、シートバック27の側部に埋設した第2アンテナ電極29gが乗員を検知しているときにサイドエアバッグ装置2の作動を禁止すれば、展開したエアバッグ3が子供と干渉するのを確実に回避することができる。
【0050】
また乗員が着膨れしている場合に、厚い衣服によってシートバック27の中央部に埋設した第1アンテナ電極29a〜29fと人体との距離が増加し、第1アンテナ電極29a〜29fによる体格の検出ができなくなる場合がある。このような場合でも、シートバック27の側部に埋設した第2アンテナ電極29gが比較的に衣服が薄い上腕部を検出するので、助手席シート4に乗員が着座していることを知ることができる。従って、サイドエアバッグ装置2の無駄な作動を禁止してユーザーの経済的負担を軽減すべく、助手席シート4に乗員が着座している場合だけにサイドエアバッグ装置2の作動を許可する制御を的確に行うことが可能になる。
【0051】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、誘電体である人体の第1、第2アンテナ電極への接近に基づいてシートに着座した乗員の座高を判定するとともに前記乗員の身体の傾斜を判定するので、座高の低い小柄な乗員が寝姿で着座した状態を確実に検知してサイドエアバッグの展開を禁止することができる。
【0052】
また請求項2に記載された発明によれば、乗員の頭部、頸部および肩部の位置を検知して乗員の座高を確実に判定することができる。
【0053】
また請求項3に記載された発明によれば、座高が低いためにサイドエアバッグ装置が有効に機能しない可能性がある小柄な乗員がシートに着座した場合に警告を発することができる。
【0054】
また請求項4に記載された発明によれば、乗員の体重に基づいて体格を判定し、誘電体である人体のアンテナ電極への接近に基づいて乗員の身体の傾斜を判定するので、座高の低い小柄な乗員が寝姿で着座した状態を確実に検知してサイドエアバッグの展開を禁止することができる。
【0055】
また請求項5に記載された発明によれば、座高が低いためにサイドエアバッグ装置が有効に機能しない可能性がある小柄な乗員がシートに着座した場合に警告を発することができる。
【0056】
また請求項6に記載された発明によれば、誘電体である人体のアンテナ電極への接近に基づいてシートに着座した乗員の身体の傾斜を判定するので、その乗員の姿勢に応じてサイドエアバッグの展開を的確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】サイドエアバッグ装置を備えた助手席シートの平面図
【図2】制御系のブロック図
【図3】助手席シートの斜視図
【図4】電界出力部の回路図
【図5】人体の距離とセンサ出力との関係を示すグラフ
【図6】乗員の体格検知手法の説明図
【図7】助手席シートに座った子供の寝姿を示す図
【図8】本発明の第2実施例に係る制御系のブロック図
【図9】助手席シートの斜視図
【符号の説明】
2 サイドエアバッグ装置
4 助手席シート(シート)
18a 第1判定手段
18b 第2判定手段
18c 信号出力手段
26 シートクッション
27 シートバック
29a〜29f 第1アンテナ電極
29g 第2アンテナ電極(アンテナ電極)
32 電界発生手段
33 電流モニター抵抗(人体接近検出手段)
34 増幅器(人体接近検出手段)
36 重量検出手段
Claims (6)
- 自動車のシート(4)のシートバック(27)の中央部に埋設された複数の第1アンテナ電極(29a〜29f)と、
シート(4)のシートバック(27)の側部に埋設された少なくとも1個の第2アンテナ電極(29g)と、
第1、第2アンテナ電極(29a〜29g)の周囲に電界を発生させる電界発生手段(32)と、
電界発生手段(32)から第1、第2アンテナ電極(29a〜29g)に流れる電流に基づいて該第1、第2アンテナ電極(29a〜29g)への人体の接近を検出する人体接近検出手段(33,34)と、
第1アンテナ電極(29a〜29f)に対応する人体接近検出手段(33,34)の出力の組み合わせパターンを予め記憶したパターンと比較することによりシート(4)に着座した乗員の座高が基準値以下であるか否かを判別する第1判定手段(18a)と、
第2アンテナ電極(29g)に対応する人体接近検出手段(33,34)の出力に基づいてシート(4)に着座した乗員の身体が側方に傾斜しているか否かを判定する第2判定手段(18b)と、
第1判定手段(18a)がシート(4)に着座した乗員の座高が基準値以下であることを判定し、且つ第2判定手段(18b)が前記乗員の身体が側方に傾斜していることを判定したとき、シートバック(27)の側部に設けられたサイドエアバッグ装置(2)の展開を禁止する信号を出力する信号出力手段(18c)と、
を備えたことを特徴とする乗員検知装置。 - 各々の第1アンテナ電極(29a〜29f)は横長の帯状に形成されており、それらが上下方向に複数段に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の乗員検知装置。
- 第1判定手段(18a)がシート(4)に着座した乗員の座高が基準値以下であることを判定し、且つ第2判定手段(18b)が前記乗員の身体が側方に傾斜していることを判定したとき、信号出力手段(18c)は警告指令信号を出力することを特徴とする、請求項1に記載の乗員検知装置。
- 自動車のシート(4)のシートクッション(26)に埋設された重量検出手段(36)と、
シート(4)のシートバック(27)の側部に埋設された少なくとも1個のアンテナ電極(29g)と、
アンテナ電極(29g)の周囲に電界を発生させる電界発生手段(32)と、
電界発生手段(32)からアンテナ電極(29g)に流れる電流に基づいて該アンテナ電極(29g)への人体の接近を検出する人体接近検出手段(33,34)と、
重量検出手段(36)の出力に基づいてシート(4)に着座した乗員の体重が基準値以下であるか否かを判別する第1判定手段(18a)と、
人体接近検出手段(33,34)の出力に基づいてシート(4)に着座した乗員の身体が側方に傾斜しているか否かを判定する第2判定手段(18b)と、
第1判定手段(18a)がシート(4)に着座した乗員の体重が基準値以下であることを判定し、且つ第2判定手段(18b)が前記乗員の身体が側方に傾斜していることを判定したとき、シートバック(27)の側部に設けられたサイドエアバッグ装置(2)の展開を禁止する信号を出力する信号出力手段(18c)と、
を備えたことを特徴とする乗員検知装置。 - 第1判定手段(18a)がシート(4)に着座した乗員の体重が基準値以下であることを判定し、且つ第2判定手段(18b)が前記乗員の身体が側方に傾斜していることを判定したとき、信号出力手段(18c)は警告指令信号を出力することを特徴とする、請求項4に記載の乗員検知装置。
- 自動車のシート(4)のシートバック(27)の側部に埋設されたアンテナ電極(29g)と、
アンテナ電極(29g)の周囲に電界を発生させる電界発生手段(32)と、
電界発生手段(32)からアンテナ電極(29g)に流れる電流に基づいて該アンテナ電極(29g)への人体の接近を検出する人体接近検出手段(33,34)と、
人体接近検出手段(33,34)の検出結果に基づいてサイドエアバッグ装置(2)の展開を制御する信号を出力する信号出力手段(18c)と、
を備えたことを特徴とする乗員検知装置。
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