JP3564357B2 - 光ディスク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相変化媒体や光磁気(MO)媒体などを用いた書き換え型光ディスク、もしくは色素系媒体などを用いた追記型(ライトワンス型)光ディスクの物理フォーマットに関し、特に、画像データや音声データなどの大容量のデータを扱うのに適した物理フォーマットに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータに用いる大容量の記憶媒体として、DVD(デジタルビデオディスク)、MOディスク、またはCD(コンパクトディスク)などが製品化されている。また、コンピュータの普及により、ユーザーが記憶媒体に記憶されたデータを編集することが多くなり、データの変更や追記が行える記憶媒体の必要性が高まっている。
【0003】
ユーザーがデータの変更を何度も行うことが可能な書き換え型の記憶媒体としては、相変化媒体を用いたDVD−RAM(随時読み出し書き込み可能メモリ)、MO媒体を用いたMOディスク、CD−RW(ReWritable)がある。また、ユーザーが一度だけデータを書き込むことが可能な追記型(ライトワンス型)の記憶媒体としては、色素系媒体を用いたCD−Rがある。これらの記憶媒体には、あらかじめ、これらの記憶媒体上でのデータが書き込まれた位置を認識するためのアドレスが記憶されている。
【0004】
上記のDVD−RAMやMOディスク上には、ユーザーデータが記憶される部分とは別に、アドレスを示すためのID部(Identification部)が設けられている。
また、上記のCD−RWやCD−Rにおけるアドレス管理には、FM変調(周波数変調)によるウオブル・アドレス方式が用いられている。ここで、ウオブルとは蛇行を意味し、ディスク上のトラックが、ディスクの半径方向に蛇行している構造のことを示している。すなわち、CD−RWやCD−Rでは、アドレスを、トラックのウオブル(蛇行)の周波数を変化させることによって記憶させている。従って、CD−RWやCD−Rでは、トラックに沿って、ユーザーデータとアドレスとが重畳されて記憶される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの従来技術には、次のような問題がある。すなわち、上記のDVD−RAMやMOディスクには、ユーザーデータが記憶される領域とは別に、ID部を設ける必要があるため、ディスク面の領域使用効率が悪くなるという問題がある。
【0006】
また、ユーザーデータが記憶される領域と、ID部とでは、ディスク面の構造が異なるので、このようなディスクを製造するには、製造プロセスが複雑になり、ディスクの製造が難しくなるという問題がある。特に、DVD−RAMでは、ID部が千鳥状に配置されているので、さらに製造プロセスが複雑になる。
【0007】
また、上記のCD−RWやCD−Rでは、アドレスがウオブルの周波数に対応しているので、ディスクの読み取り装置がアドレスを読み取るためには、異なる周波数の信号(ウオブル)を読み取る必要があり、読み取り装置の構成が複雑になるという問題がある。
【0008】
また、アドレス値に応じて、トラックのウオブルの周波数を変化させるので、アドレスを表現するのに必要なトラックの長さが、アドレス値ごとに異なってしまい、データの書き込み制御が複雑になるという問題がある。
【0009】
また、上記のアドレスをウオブルの周波数に対応させる方式は、ウオブルをFM変調させることによりアドレスを記憶させる方式なので、必要とされるC/N(Carrier to Noise;搬送波対雑音)比が大きく、読み書きにおける信頼性を確保することが難しいという問題がある。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、ディスク面の領域使用効率が良く、ディスクの製造が容易で、ディスクの読み取り装置の構成が簡単で、かつディスクへのデータの書き込み制御も簡単で、さらに必要とされるC/N比も小さい、読み書きにおける信頼性が高い光ディスクを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ユーザーデータを記録するためのトラックを有する、相変化媒体や光磁気媒体などの書き換え型光ディスク、または色素系媒体などの追記型光ディスクにおいて、前記トラックには、前記光ディスクの半径方向に蛇行しているウオブル部と、蛇行していない非ウオブル部とが設けられ、前記ウオブル部と非ウオブル部との組み合わせを用いて、前記ユーザーデータ以外のデータである副情報が前記トラックに記憶され、前記副情報を構成する各ビットの論理値は、前記ウオブル部と非ウオブル部とを一組として表現され、ビットが論理値”0”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相と、ビットが論理値”1”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相とが異なることを特徴とする光ディスクである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記ウオブル部または非ウオブル部のいずれか一方の長さが、ビットが論理値”0”をとる場合と、ビットが論理値”1”をとる場合とで異なることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記副情報は、前記トラックにおけるアドレスであることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、ビットが論理値”0”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相と、ビットが論理値”1”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相との位相差が180度近傍であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクである。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記ウオブル部から非ウオブル部へ遷移する点、および非ウオブル部からウオブル部へ遷移する点における、ウオブル部の蛇行の位相が、所定の位相とされていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクである。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記ウオブル部および非ウオブル部の長さは、ウオブル部における蛇行の1周期の整数倍とされていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の光ディスクである。
【0017】
請求項7に記載の発明は、前記トラックは、光ディスクの半径方向に複数のゾーンに分割されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の光ディスクである。
【0018】
請求項8に記載の発明は、前記副情報は、前記ゾーンのゾーンアドレスであることを特徴とする請求項7に記載の光ディスクである。
【0019】
請求項9に記載の発明は、前記ゾーン内における、隣接するトラックのウオブル部の蛇行の位相が相互に一致していることを特徴とする請求項7または8に記載の光ディスクである。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施形態である光ディスクP1の構成を示す図である。この光ディスクP1の表面には、トラックが設けられ、このトラックに沿って、あらかじめ副情報が記録されている。この副情報が記録されたトラック上に、ユーザーデータが重畳して記録される。
【0021】
ここで、副情報とは、ユーザーデータ以外の情報であり、この代表的な例がアドレスである。また、これ以外にも、ディスクに関わる各種パラメータ情報なども副情報に含まれる。
【0022】
図に示した光ディスクP1は、例えば、相変化媒体を用いたDVD−RAM、CD−RW、MO媒体を用いたMOディスクなどの書き換え型光ディスク、あるいは色素系媒体を用いたCD−Rなどのライトワンス型光ディスクである。
【0023】
光ディスクP1の表面には、図に示すように、ウオブル・トラックWT1が設けられていて、このウオブル・トラックWT1に沿ってユーザーデータが記録される。ここで、ウオブルとは蛇行を意味し、トラックが、この光ディスクP1の半径方向に蛇行して形成されている構造のことを示している。ただし、このウオブル・トラックWT1は、図に示すように、ウオブルされているウオブル部AWTと、ウオブルされていない非ウオブル部NWTとを有する。これらのウオブル部AWTと、非ウオブル部NWTとの組み合わせによって、トラックに、前記副情報が記録されている。
【0024】
図2は、光ディスクP1上のウオブル・トラックWT1の詳細な構成を示すための拡大図である。光ディスクP1の表面には、蛇行するトラック溝Tが設けられていて、このトラック溝Tの底をグルーブGと呼び、隣り合うトラック溝Tに挟まれた部分をランドLと呼ぶ。そして、トラック溝Tのうねり(蛇行)をウオブルと呼ぶ。
【0025】
この光ディスクP1に、ランド&グルーブ記録方式を用いてユーザーデータを記録する場合には、ランドLとグルーブGの両方に記録マークPが形成される。なお、記録されたデータを読み取るには、光ディスクP1の底面から光Hが入射される。
【0026】
トラック溝Tのウオブル(蛇行)は、光ディスクP1に記録されるユーザーデータの副情報を表すために用いられる。この副情報とは、例えば、トラック溝Tに沿って記録されたユーザーデータの位置、すなわちアドレスを示す情報である。従って、光ディスクP1においては、ユーザーデータと副情報とが、トラック溝Tに沿って、重畳して記録される。
【0027】
図3は、前記副情報をトラック溝Tのウオブルに記録させる、すなわち副情報データに基づいて、光ディスクP1上にウオブル・トラックWT1を形成する手順を示す図である。まず、副情報データ1が、変換テーブル2によって変換副情報データ3に変換される。さらに、この変換副情報データ3は、MAM変調され、MAM変調された波形データに基づいて、トラック溝Tにウオブルが形成される。ここで、MAM変調とは、本発明の光ディスクに適用できるように改良された、改良型AM変調を意味する。
【0028】
図4に、前記変換テーブル2の一例を示す。前述したように、変換テーブル2は、副情報データ1を入力し、変換副情報データ3を出力する。副情報データ1および変換副情報データ3は、どちらも、”0”および”1”から成るデジタルデータである。
【0029】
図4に示す変換テーブルによれば、2ビットの任意の副情報データが、4ビットの変換副情報データに変換される。変換された変換副情報データは、いかなる場合も”0”と”1”とを同数含む。すなわち、4ビットの変換副情報データのうち、2ビットは”0”であり、残りの2ビットは”1”である。
【0030】
図5に、本発明における変調方式の一例を示す。この変調方式は、前記MAM変調に後述するPM変調を加味したものである。この変調方式によって、変換副情報データに含まれる”0”は、図5(a)に示す波形に変換され、変換副情報データに含まれる”1”は、図5(b)に示す波形に変換される。
【0031】
変換副情報データ”0”に対応する図5(a)に示す波形は、10周期の蛇行を有するウオブル期間A0と、蛇行していない非ウオブル期間B0とで構成される。この非ウオブル期間B0の長さは、前記ウオブル期間A0における2周期分の蛇行の長さに設定されている。なお、ウオブル期間A0における蛇行の周期Tdは、常に一定である。
【0032】
変換副情報データ”1”に対応する図5(b)に示す波形は、14周期の蛇行を有するウオブル期間A1と、蛇行していない非ウオブル期間B1とで構成される。この非ウオブル期間B1の長さは、前記ウオブル期間A1における2周期分の蛇行の長さに設定されている。なお、ウオブル期間A1における蛇行の周期は、常に一定であって、かつ、前記変換副情報データ”0”に対応する波形が含むウオブル期間A0における蛇行の周期Tdと等しい。従って、変換副情報データ”1”に対応する波形が含む非ウオブル期間B1の長さは、前記変換副情報データ”0”に対応する波形が含む非ウオブル期間B0の長さと等しい。
【0033】
従って、上記A0、B0、A1、B1の長さを、共通の蛇行の周期Tdを単位として表せば、
(A0,B0)=(10,2)
(A1,B1)=(14,2)
となる。
【0034】
さらに、変換副情報データ”0”に対応する図5(a)に示す波形が含むウオブル期間A0の蛇行の位相と、変換副情報データ”1”に対応する図5(b)に示す波形が含むウオブル期間A1の蛇行の位相とは、180度異なっている。すなわち、本発明における変調方式は、前記MAM変調に、上記の位相による変調(PM変調)が加味されている。
【0035】
図6は、MAM変調のみによるウオブルから得られる波形と、PM変調のみによるウオブルから得られる波形と、本発明における変調方式、すなわちMAM変調にPM変調が加味された変調方式によるウオブルから得られる波形とを比較したものである。図6(a)は、MAM変調(改良型AM変調)のみによるウオブルから得られる波形、図6(b)は、PM変調のみによるウオブルから得られる波形、図6(c)は、本発明における変調方式によるウオブルから得られる波形である。
【0036】
図7は、PM変調のみによるウオブルから得られる波形における、変換副情報データが”0”から”1”に遷移する点を拡大したものである。この遷移点における波形は、理想的には、図7(A)に示すようなウオブル信号波形となるはずであるが、実際には、光ディスクに起因するノイズ、例えば、光ディスクの製造過程で発生するウオブルの歪みによるノイズや、光ディスク表面のざらつき(微少な凹凸)によって発生するノイズ(いわゆるディスクノイズ)、および、光ディスクを読み書きするドライブ装置が発生するノイズがあるので、図7(B)に示すような歪んだ信号波形となる。従って、PM変調のみでは、光ディスクの読み書きにおいて、エラーが発生する可能性がある。
【0037】
これに対し、本発明における変調方式、すなわちMAM変調にPM変調が加味された変調方式では、図6(c)に示すように、位相が変化している2つのウオブル部の間に、非ウオブル部が挟まれているので、遷移点における信号波形が歪む可能性が小さい。
【0038】
また、本発明における変調方式によるウオブルから変換副情報データを特定する際には、図8の概念図に示すように、ウオブル・トラックからの振幅情報4、すなわちウオブル期間または非ウオブル期間の長さ情報と、ウオブル・トラックからの位相情報5、すなわちウオブル期間における位相情報との両方を復調回路6で合成し、これらの両方の情報に基づいて変換副情報データを特定することができる。
【0039】
本発明における変調方式、すなわちMAM変調にPM変調が加味された変調方式によって、光ディスクP1のトラック溝Tにウオブル部AWTと非ウオブル部NWTとが形成され、ウオブル・トラックWT1が形成される。
【0040】
なお、上記の各設定、例えばウオブル期間A0やA1の長さは、10周期や14周期に限られず、任意に設定できる。また、変換副情報データ”0”におけるウオブル期間A0と、変換副情報データ”1”におけるウオブル期間A1との位相差は、180度に限られず、任意に設定できる。
【0041】
本発明における変調方式の一部であるMAM変調方式は、AM変調(振幅変調)のディジタル変調型であるOOK(On Off Keying)を利用し、これを本発明の光ディスクの物理フォーマットに適用できるように改良した改良AM変調方式である。この変調方式による変調信号は、DCフリーであり、極めて実用性が高い。
【0042】
さらに、このMAM変調方式においては、”0”と”1”とをウオブル(蛇行)の有無によって表現している。すなわち、”0”と”1”とは、ウオブルが連続する区間の長さによって区別されるので、従来のFM変調方式のように、ウオブルの周波数を変える必要はない。
【0043】
さらに、従来のFM変調方式では、ウオブルの周波数を検出するために、大きなC/N(Carrier to Noise;搬送波対雑音)比が要求されていたが、MAM変調方式によれば、単にウオブルの有無を検出すればよいので、従来のような大きなC/N比が要求されることはない。
【0044】
また、MAM変調方式では、本実施形態のように、”0”に含まれる非ウオブル期間B0の長さと、”1”に含まれる非ウオブル期間B1の長さとを等しくすることが可能である。すなわち、本実施形態では、
B0=B1=ウオブルの2周期分の長さ
となっている。従って、変換副情報データの値が”0”であるか”1”であるかによって、非ウオブル期間を変化させる必要がなく、ウオブル期間のみを変化させればよいので、光ディスクをより簡単に実現することができる。
【0045】
また、非ウオブル期間B0、B1の長さの設定は、ウオブルを読み取るために、ウオブルに同期を取るPLL回路への影響を考慮すれば、ウオブルの1周期もしくは2周期分の長さ程度とすることが妥当である。ただし、この設定値は、本発明を適用するシステムに応じて決定すれば良いので、本発明は、この設定値に限定されるものではない。
【0046】
本発明は、前記変換テーブルおよびMAM変調を含むので、全ての変換副情報データは、トラック上で同じ長さになる。すなわち、本実施形態では、変換副情報データを構成するビット”0”とビット”1”との、おのおののビットを示す波形の長さは異なっており、従ってトラック上での長さも異なる。しかし、変換副情報データは、必ず4ビットが組になっていて、しかもビット”0”とビット”1”とを同数含むので、4ビット分のトラック上での長さは、いかなる値の変換副情報データであっても等しい。従って、変換副情報データのトラック上での長さを揃えることができ、データの書き込み制御が簡単になる。
【0047】
なお、本実施形態では、変換副情報データ内のビット”0”に含まれる非ウオブル期間B0の長さと、変換副情報データ内のビット”1”に含まれる非ウオブル期間B1の長さとが等しいものとしたが、これらの非ウオブル期間の長さを異なるものとし、非ウオブル期間の長さの違いをビットの識別に利用しても、4ビット分の変換副情報データの長さが変動しないことに変わりはない。
【0048】
すなわち、前述した変換テーブルは、2ビットの副情報データを、4ビットの変換副情報データに変換し、しかも、どのような副情報データを変換しても、変換後の変換副情報データにおいては、ビット”0”とビット”1”との発生頻度が1:1となる。
【0049】
図9に、副情報データから変換副情報データへの変換の例を示す。図9に示すように、ある副情報データが8ビットで構成されていたとすると、この副情報データを変換テーブルを用いて変換した変換副情報データは16ビットとなり、しかも、このうち8ビットが”0”となり、残りの8ビットが”1”となる。
【0050】
具体的には、図9に示す<例1>では、8ビットの副情報データ(01111111)が、図4に示した変換テーブルによって、16ビットの変換副情報データ(1100101010101010)に変換される。すなわち、副情報データの先頭の2ビット(01)は、図4に示した変換テーブルによって、4ビットの変換副情報データ(1100)に変換され、これに続く2ビットづつの副情報データ(11)は、4ビットづつの変換副情報データ(1010)に変換される。
【0051】
この変換副情報データのビット列全体の長さを、ウオブルの周期Tdを単位として表すと、
となる。
【0052】
また、図9に示す<例2>では、8ビットの副情報データ(10000000)が、図4に示した変換テーブルによって、16ビットの変換副情報データ(0011010101010101)に変換される。すなわち、副情報データの先頭の2ビット(10)は、4ビットの変換副情報データ(0011)に変換され、これに続く2ビットづつの副情報データ(00)は、4ビットづつの変換副情報データ(0101)に変換される。
【0053】
この変換副情報データのビット列全体の長さを、ウオブルの周期Tdを単位として表すと、
となり、<例1>と同じ長さになる。
【0054】
すなわち、1つの副情報を表現するためのトラック上での長さは、常に一定であり、本発明の光ディスクの実用化を極めて容易にしている。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態を図10を参照して説明する。図10に示した光ディスクP2においては、この光ディスクP2の表面に設けられたウオブル・トラックWT2が複数のゾーン21、22、…、2nに分割されている。また、この光ディスクP2には、ZCAV(Zoned Constant Angular Velocity)またはZCLV(Zoned Constant Linear Velocity)フォーマットが採用されている。
【0056】
この光ディスクP2においては、副情報として、各ゾーン21、22、…、2nのゾーンアドレスが、各ゾーンに属するウオブル・トラックに記録されている。すなわち、同一ゾーン内の全てのウオブル・トラックには、同一のゾーンアドレスが記録されているので、同一ゾーン内の隣接するトラックにも、同一のゾーンアドレスが記録されている。従って、隣接するウオブル・トラックWT2のウオブルの位相は略一致する。
【0057】
このような構成にすることにより、トラックにウオブル(蛇行)があっても、常に一定のトラックピッチが確保できるので、ウオブル方式と、ランド&グルーブ記録方式とを併用できる。また、ウオブルの検出においても、隣接するトラックからのクロストークなしに検出することが可能となる。
【0058】
なお、上記各実施形態のように、A0、B0、A1、B1の全てを、ウオブルの周期Tdの整数倍に設定すれば、ディスク作成が極めて容易になり、また、ウオブルを読み取る装置におけるPLL制御系を、安定に動作させることができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、副情報を構成する各ビットの論理値が、ウオブル部と非ウオブル部とを一組として表現され、かつ、ビットが論理値”0”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相と、ビットが論理値”1”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相とが異なるので、位相が異なるウオブル部間に非ウオブル部が挟まれ、ウオブル部の位相差を確実に検出することができる。従って、信頼性の高い副情報の検出が可能となる。
【0060】
また、ビットが論理値”0”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相と、ビットが論理値”1”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相とを異なるものとし、かつ、ウオブル部または非ウオブル部のいずれか一方の長さが、ビットが論理値”0”をとる場合と、ビットが論理値”1”をとる場合とで異なるものとすれば、振幅情報すなわちウオブル部または非ウオブル部の長さと、位相情報すなわちウオブル部における蛇行の位相との2つの情報から副情報を特定できるので、極めて信頼性の高い副情報の検出が可能となる。
【0061】
また、光ディスクのトラックに、副情報として、トラックにおけるアドレスを記録すれば、ディスクフォーマット内にアドレス情報を示すためのエリアを特別に設ける必要がないので、極めて高効率なディスクフォーマットを提供できる。
【0062】
また、ビットが論理値”0”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相と、ビットが論理値”1”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相との位相差を180度近傍とすれば、ウオブル部および非ウオブル部を形成するトラック溝の構成を簡単なものとすることができ、ディスク製作を容易にすることができるので、ディスク製作の容易性と、副情報の検出における信頼性の向上とを両立させることができる。
【0063】
また、ウオブル部から非ウオブル部へ遷移する点、および非ウオブル部からウオブル部へ遷移する点における、ウオブル部の蛇行の位相を所定の位相とすれば、ウオブル部および非ウオブル部を形成するトラック溝の構成を簡単なものとすることができ、ディスク製作を容易にすることができる。
【0064】
また、ウオブル部および非ウオブル部の長さを、ウオブル部における蛇行の1周期の整数倍とすれば、ウオブル部および非ウオブル部を形成するトラック溝の構成を極めて簡単なものとすることができ、ディスク製作を極めて容易にすることができる。また、ウオブル信号をもとにPLL制御系を構成する際に、このPLL制御系を安定に保つことが可能となる。
【0065】
また、光ディスクのトラックを、光ディスクの半径方向に複数のゾーンに分割すれば、本発明を、ZCAVないしZCLVフォーマットにも適用することが可能となる。
【0066】
また、光ディスクのトラックに、副情報として、ゾーンのゾーンアドレスを記録すれば、本発明を、各ゾーンごとのゾーンアドレスをディスク上のユーザーデータに重畳させる方式にも適用することが可能となる。
【0067】
また、ゾーン内における、隣接するトラックのウオブル部の蛇行の位相を相互に一致させれば、各ゾーン内におけるトラックピッチを常に一定とすることができるので、隣接トラックからのクロストークなしにウオブルを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である光ディスクP1の構成を示す概念図である。
【図2】光ディスクP1の表面に形成されたウオブル・トラックWT1の構造を示す拡大図である。
【図3】副情報をウオブル・トラックに記録させる手順を示す図である。
【図4】副情報データの変換テーブルの一例を示す図である。
【図5】本発明における変調方式によって変調された、変換副情報データのビットを表す波形を示す図である。
【図6】MAM変調と、PM変調と、本発明における変調方式とによるウオブルから得られる波形を比較した図である。
【図7】PM変調によるウオブルから得られる波形における、変換副情報データが”0”から”1”に遷移する点を拡大した図である。
【図8】ウオブル・トラックからの振幅情報と、ウオブル・トラックからの位相情報との両方から変換副情報データを特定する動作を説明するための概念図である。
【図9】副情報データから変換副情報データへの変換の例を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態である光ディスクP2の構成を示す概念図である。
【符号の説明】
P1、P2 光ディスク WT1、WT2 ウオブル・トラック
AWT ウオブル部 NWT 非ウオブル部
T トラック溝 L ランド
G グルーブ P 記録マーク
H 光 1 副情報データ
2 変換テーブル 3 変換副情報データ
4 ウオブル・トラックからの振幅情報
5 ウオブル・トラックからの位相情報
6 復調回路 21、22、…、2n ゾーン
Claims (8)
- ユーザーデータを記録するためのトラックを有する、相変化媒体や光磁気媒体などの書き換え型光ディスク、または色素系媒体などの追記型光ディスクにおいて、
前記トラックには、前記光ディスクの半径方向に蛇行しているウオブル部と、蛇行していない非ウオブル部とが設けられ、
前記ウオブル部と非ウオブル部との組み合わせを用いて、前記ユーザーデータ以外のデータである副情報が前記トラックに記憶され、
前記副情報を構成する各ビットの論理値は、前記ウオブル部と非ウオブル部とを一組として表現され、
ビットが論理値”0”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相と、ビットが論理値”1”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相とが異なり、
前記ウオブル部および非ウオブル部の長さは、ウオブル部における蛇行の1周期の整数倍とされていて、
前記ウオブル部の長さは、ビットが論理値”0”をとる場合には、ウオブル部における蛇行の10周期分であり、ビットが論理値”1”をとる場合には、ウオブル部における蛇行の14周期分である
ことを特徴とする光ディスク。 - 前記ウオブル部または非ウオブル部のいずれか一方の長さが、ビットが論理値”0”をとる場合と、ビットが論理値”1”をとる場合とで異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。 - 前記副情報は、前記トラックにおけるアドレスである
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。 - ビットが論理値”0”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相と、ビットが論理値”1”をとる場合のウオブル部における蛇行の位相との位相差が180度近傍である
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。 - 前記ウオブル部から非ウオブル部へ遷移する点、および非ウオブル部からウオブル部へ遷移する点における、ウオブル部の蛇行の位相が、所定の位相とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。 - 前記トラックは、光ディスクの半径方向に複数のゾーンに分割されている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の光ディスク。 - 前記副情報は、前記ゾーンのゾーンアドレスである
ことを特徴とする請求項6に記載の光ディスク。 - 前記ゾーン内における、隣接するトラックのウオブル部の蛇行の位相が相互に一致している
ことを特徴とする請求項6または7に記載の光ディスク。
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