JP3563918B2 - 鋼の連続鋳造用ノズル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼の連続鋳造用ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼の連続鋳造用ノズルとしては、従来よりアルミナ−黒鉛質材料が多く使用されている。即ち、連続鋳造用ノズルとしては、取鍋とタンディッシュとの間で使用されるロングノズルやエアーシールパイプ、タンディッシュとモールドとの間で使用される浸漬ノズル等があり、これらのノズルは、その便用条件から「溶鋼やスラグに対する耐食性及び耐スポーリング性」に対する要求が大変厳しいものになっている。そして、このような要求に対してアルミナ−黒鉛質材料が多用されているのが実状である。
【0003】
ところで、アルミナー黒鉛質材料からなるノズルを用いた場合、特に、溶鋼中にAlを多く含むアルミキルド鋼の鋳造に用いると、Alが酸化して生成したアルミナ(Al2O3)がノズル内壁に付着し、ノズル閉塞が生じ易いという問題がある。
【0004】
最近、生産性向上の点から鋳造の多連鋳化が進められているが、アルミナ付着によるノズル閉塞が生じると、溶鋼の流量制御が不可能となり、鋳造の継続が困難となる。
また、鋳造途中に閉塞物が溶鋼の流れによって剥離する場合があり、この場合には、閉塞物がモールド内に混入し、鋳片中に取り込まれ、鋳片の欠陥を生ずる要因の一つともなっている。
【0005】
溶鋼中のAlと浸漬ノズルを構成する耐火物との間には、一般的に次の式(1)〜式(3)に示すような反応が生じ、アルミナが生成していると考えられる。
【化1】
SiO2(s)+C(s)=SiO(g)+CO(g) (1)
【化2】
3SiO(g)+2Al=Al2O3(s)+3Si (2)
【化3】
3CO(g)+2Al=Al2O3(s)+3C (3)
なお、上記式中、(s)は固相を表し、(g)は気相を表す。
【0006】
まず、耐火物中に含まれているSiO2(s)とC(g)の間で、上記式(1)で示される反応が生じ、SiO(g)とCO(g)が生成する。 次に、溶鋼中のAlとこれらのSiO(g)やCO(g)との間で、上記式(2)及び式(3)で示される反応が生じ、Al2O3(s)が生成してノズル内孔表面に付着する。そして、このようにして生成したアルミナを起点として、これに溶鋼中のアルミナが付着し堆積してノズル閉塞が進行していくと考えられる。一方、溶鋼中には、既に鋼中介在物としてのAl2O3が多量に存在しており、これらAl2O3がノズル内孔部等に直接付着、堆積してノズル閉塞が進行していることも考えられる。
【0007】
このようなノスル閉塞を防止する手段として、従来より様々な方法が検討され提案されてきている。例えば、ノズル閉塞を防止する効果的な方法としては、一般的にガス吹きが行われている。このガス吹き法は、浸潰ノズル等の内孔部を多孔質化し、気孔を通してArガス等を流す方法であって、該ガスの流れによってアルミナの付着を防止する手法である。この方法は、ノズル閉塞防止には効果的であり、多くの製鉄所でこの手段が採用されている。
【0008】
しかし、ノズル閉塞が防止できる程度にガスを流すと、ガスの微細な気泡がモールド内に侵入して鋳片中に取り込まれ、欠陥を生成するという欠点がある。また、モールド内での湯面変動が大きくなり、介在物を巻き込み易くなるため、同様に鋳片中に欠陥が生成し易くなるという欠点もある。
【0009】
上記ガス吹き法以外の方法としては、特公平2−23494号公報に開示されているように、CaO含有ジルコニアクリンカーを使用することによる閉塞防止対策が知られている。これは、ジルコニアクリンカー中に合まれるCaOと溶鋼中に析出したAl2O3粒子とを反応させてCaO−Al2O3系の低融点化合物を生成させ、溶鋼の流れによってその低融点化合物を取り除き、アルミナ付着を防止しようとするものである。
【0010】
この方法は、アルミナ付着防止には効果があると考えられている。そして、このようなCaOを含有するジルコニアクリンカーを用いた材料を内管部に配設した浸漬ノズルは、実際に多くの連続鋳造機で使用されているのが実状である。しかし、CaOを合有するジルコニアクリンカーは熱膨張率が大きく、しかも、このジルコニアクリンカーを使用した材料は、ノズルの内孔側に配設されるため、鋳造初期にノズルの外側に大きな熱応力が発生し、耐スポーリング性に劣るという欠点がある。
【0011】
一方、特開平3一243258号公報、特開平5一154628号公報、特開平8−57601号公報及び特開平8−57613号公報には、ノズルの内孔部や溶鋼との接触部にカーボンを含有しない、或いは含有していても1重量%未満である酸化物系材料を用いることについて記載されており、これによりノズル閉塞を防止することが開示されている。即ち、これらの公報には、アルミナやマグネシア等の酸化物を浸積ノズルの内孔部や溶鋼との接触部位に配したものであって、アルミナ付着の防止やカーボンピックアッブの防止に効果があることが記載されている。
【0012】
しかし、これらの公報に記載の発明では、いずれもカーボン源を殆ど含まない材料であり、従って、熱膨張率は必然的に大きくなり、耐スポーリング性に劣るという欠点がある。また、低鋳造回数では効果があるが、鋳造回数が伸びてくると付着が大きくなるという欠点がある。
【0013】
上記の「耐スポーリング性に劣るという欠点」を解決する手段としては、前掲の特開平8−57601号公報及び特開平3−243258号公報には、ノズルの内孔部や溶鋼との接触部位をノズル本体と別成形とすることについて記載されており、そして、ノズル本体を完成させた後、酸化物系材料を流し込みや圧入により施工したり、あるいはスリーブを挿入する方法が記載されている。しかし、この方法では、連続鋳造用ノズルの製造工程が大変複雑となり、また、工程数も増え、製造コストが大変高くなるという欠点がある。
【0014】
また、特開昭51−54836号公報においても、カーボンを合有しない材料を内孔部に適用した浸漬ノズルが開示されているが、これは、SiO2を90%以上合むものであり、鋳造時の溶損が大きいという欠点がある。更に、特開昭63−203258号公報には、カーボン(C)量が20重量%以下からなる材料について開示されているが、この方法では、使用する原料の粒度構成や内孔部の配設厚さ等について考慮されておらず、耐熱街撃性の点で満足すべきものではない。なお、酸化物系以外の材料のノズルへの適用については、特開昭56−139260号公報に記載されており、窒化物として窒化硼素を5〜80%含有する材料が開示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなノズル閉塞防上対策として採用されている従来技術では、いずれも前記した間題点や欠点が内在する。
【0016】
本発明は、従来技術の前記問題点、欠点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、ノズル閉塞を防止する手段として従来から採用されている前記した、ガス吹きにより防止する方法;溶鋼中のアルミナと耐火物中の成分(CaO成分)とを反応させ、低融点化合物を生成させて付着を防止する方法;ノズルの内孔部に炭素源を含まない耐火材料を配置する方法、などにおける問題点、欠点を解消し、ノズル閉塞に防止効果がある連続鋳造用ノズルを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の鋼の連続鋳造用ノズルは、ノズルの内孔部及び/または溶鋼と接する部位の少なくとも一部を構成する耐火物が、カーボン含有量5重量%以下で、気孔率が15%以下の緻密質層であり、且つ緻密質層とノズル本体部の間の少なくとも一部に、カーボン含有量5重量%以下で、気孔率が15%を超え、35%以下である多孔質層を配設することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を含めて本発明を詳細に説明する。
本発明の鋼の連続鋳造用ノズル(以下、単に「ノズル」と記載する)においては、ノズルの内孔部及び/または溶鋼と接する部位の少なくとも一部の耐火物として、カーボン含有量5重量%以下の緻密質層を用いることにより、鋼の連続鋳造の際に、ノズル内孔部へのアルミナ付着が少なく、また、溶鋼による溶損を抑制することができるものである。
【0019】
本発明のノズルにおいて、ノズルの内孔部及び/または溶鋼と接する部位の少なくとも一部の耐火物として配設される緻密質層は、そのカーボン含有量が5重量%以下であることに本発明の第1の特徴がある。これは、カーボン含有量が5重量%を超えるとアルミナ付着防止効果が著しく低下するためである。特に、緻密質層においては、カーボン含有量が高いと緻密化が阻害される問題が生じるため、緻密質層を構成する耐火材料中のカーボン含有量はl重量%以下が好ましく、更に、不可避不純物としてのカーボン以外が実質上不在であることが最適である。
【0020】
なお、本明細書に記載の「緻密質層」は、気孔率が15%以下、好適には10%以下の耐火物をいう。これが本発明ノズルの第2の特徴である。ここで、気孔率が15%を超えると、アルミナ付着防止効果が低下し、また、内孔部自体の溶損が大きくなったり、地金の侵入が顕著となる傾向にあるために好ましくない。
【0021】
ここで、従来、アルミナ付着防止のためにノズル内孔部に用いられている耐火物は、鋳造中における熱スポーリングによる割れを防止するため、比較的気孔率の高い組織(例えば15〜20%程度)となっている。このため、このような耐火物を用いると割れの点では有利となるが、鋳造時に、溶損が大きい、地金の侵入が大きい等の問題があり、アルミナ付着に関しても、低鋳造回数では効果があるが、鋳造回数が伸びてくると付着が大きくなるという欠点がある。
【0022】
溶鋼と直接接する側の層を緻密質にすればする程、耐火物表面の平滑性が高くなり、鋼中に存在する介在物の付着防止という点で有利になる。また、溶鋼と直接接する側の層を緻密化することにより気孔率が低減し、上記式(1)〜(3)で示される耐火物内部からのガスの拡散が抑制され、アルミナ生成量を低減することができる。更に、緻密化することにより溶鋼による溶損や地金の浸透が少なくなくなり、ノズル内面の平滑性を保持し易くなることも介在物付着が抑制される要因となる。
【0023】
本発明のノズルにおいて、緻密質層を構成する耐火材料は、平均粒径が10μm以下の材料からなることが好ましい。一般に、粒径の小さい耐火材料は焼結性が高く、従って、このような耐火材料をノズルの内孔部や溶鋼と接する部位等に用いると、ノズル製造時の焼成段階における加熱や、鋳造時の溶鋼からの加熱により緻密化し、低気孔率で、表面平滑度の高い緻密質層を提供することができる。この緻密質層を用いることによりアルミナ付着を著しく低減できるのは、このような表面平滑度の向上による点が大きい。緻密質層を構成する耐火材料の平均粒径は上述のように10μm以下であるが、好ましくは5μm以下の平均粒径のものである。これは、粒子径が小さいほど焼結性が高くなり、緻密な組織が得られ易くなるためである。なお、緻密質層を構成する耐火材料の平均粒径が10μmより大きくなると、緻密化が阻害され、低気孔率の組織が得られ難くなるために好ましくない。
【0024】
また、緻密質層を構成する耐火材料は、特に限定されるものではないが、酸化物を好適に用いることができる。酸化物としては高融点の材料であるアルミナ、シリカ、ジルコニア、ムライト、スピネル、マグネシア、チタニア等が好適である。また、これらの酸化物を組み合わせて使用することも可能である。また、少量であれば低融点化合物を添加することも可能であり、組織の制御に有効である。
【0025】
更に、ノズル製造時の焼成段階における加熱;鋳造前のノズル予熱時における加熱;及び鋳造時の溶鋼による加熱等によりこれらの酸化物あるいはこれらの酸化物を含む化合物に変化する材料を用いることも可能である。例えば、水酸化物、炭酸塩、アルコキシド等のような材料も好適に使用できる。
【0026】
また、本発明ノズルにおいて、緻密質層の厚みは1.5mm以下が好適である。これは、緻密質層を構成する耐火材料の粒子径が小さく、高い焼結性を有しているためであり、そのため1.5mmを超える厚さがあると鋳造時の溶鋼からの加熱による緻密化の影響が大きくなり、緻密質層中に亀裂が発生したり、剥離が生ずる可能性が高くなるためである。また、緻密化すると、耐火材料自体の熱膨張の影響が大きくなり、熱スポーリングの問題が生じるためである。緻密質層の厚みの下限は、使用する耐火材料の平均粒径や焼結性等に応じて設定することができるが、溶損等による緻密質層の消失を防止するため、0.1mm以上とすることが望ましい。
【0027】
なお、本発明のノズルにおいて、緻密質層は、酸化物からなる耐火材料を使用する溶射により形成することができる。溶射を用いることにより、耐火材料の厚みが均一で、且つ緻密な層を配設することができる。また、表面平滑度も高くなるため、アルミナ付着抑制に対して効果的である。
【0028】
また、本発明のノズルが浸漬ノズルの場合、吐出孔の周囲に集中してアルミナ付着が生じる場合があり、そのような場合は、溶射による緻密質層の形成が有効である。溶射膜の厚みは、緻密質層の厚さに準じ、1.5mm以下が好適である。溶射膜の厚みが1.5mmを超えると鋳造時の熱的ショックにより、亀裂が生じたり、剥離が発生する危険性があるために好ましくない。
【0029】
ところで、ノズルの内孔部は、高温の溶鋼と接するため、特に、鋳造初期においてはノズルに大きな熱応力が発生する。そのため、耐熱スポール性の面からのみ考えると内孔部は気孔率が高い多孔質層から構成されている方が有利である。しかし、溶鋼と直接接する部位の耐火物が全て多孔質層であると、溶損が大きくなったり、地金が浸透する等の問題が生じ、その結果、アルミナ付着量も多くなる。
【0030】
そこで、本発明のノズルの他の実施態様においては、ノズルの溶鋼と直接接する側に緻密質層を配設し、その内側にカーボン含有量5重量%以下の多孔質層を配設する構成とすることができる。即ち、上記緻密質層とノズル本体を構成する耐火物の間に多孔質層を配設した2層構造とした構成とすることもできる。このような構成とすることにより耐熱スポール性にも優れたノズルが得られるが、これは緻密質層の内側に配設した多孔質層が応力の緩和機構として機能しているからである。更に、多孔質層を配設することにより熱伝導率が低下して溶鋼からの抜熱量が減少する。そのためノズル内孔部への地金の付着が少なくなり、従って、鋼中のアルミナ介在物も付着し難くなるものと推定される。
【0031】
なお、本明細書に記載する「多孔質層」は、15%を超える気孔率を有するものを言う。これは、応力緩和効果を高めるためであり、気孔率が15%以下であると熱応力によりノズル自体に亀裂が発生し、破壊に到る危険性が高くなるためである。一方、気孔率が35%を超えると多孔質層組織の強度が著しく低下するため鋳造中における内孔部材料の剥維の問題が生じる。そのため多孔質層の気孔率は15%を超え、35%以下の範囲内が好ましい。
【0032】
また、多孔質層を構成する耐火材料の粒度は、特に限定されるものではないが、使用時の過焼結防止のため平均粒径が10μmを超えるものであることが望ましい。
【0033】
更に、多孔質層を構成する耐火材料は、特に限定されるものではないが、酸化物を好適に用いることができる。酸化物としては高融点の材料であるアルミナ、シリカ、ジルコニア、ムライト、スピネル、マグネシア、チタニア等が好適である。また、これらの酸化物を組み合わせて使用することも可能である。また、少量であれば低融点化合物を添加することも可能であり、組織の制御に有効である。
【0034】
なお、多孔質層を構成する耐火材料中のカーボン含有量は、5重量%以下であることが望ましい。これは、カーボン含有量が5重量%を超えるとアルミナ付着防止効果が著しく低下するためである。しかし、一般に、カーボンを含有すると耐熱スポール性が向上するため、多孔質層については5重量%以下の範囲でカーボンを含有させることができる。
【0035】
カーボン源としては、鱗状黒鉛、カーボンブラック、ピッチ等、あるいはノズル製造時に使用されるバインダーが炭化して得られたカーボン等を用いることができる。
【0036】
更に、ノズル製造時の焼成段階における加熱;鋳造前のノズル予熱時における加熱;及び鋳造時の溶鋼による加熱等によりこれらの酸化物あるいはこれらの酸化物を含む化合物に変化する材料を用いることも可能である。例えば、水酸化物、炭酸塩、アルコキシド等のような材料も好適に使用できる。なお、本発明では緻密質層を構成する耐火材料と多孔質層を構成する耐火材料の組み合せについては特に限定されるものではない。
【0037】
多孔質層の厚みについては耐熱スポール性の効果や低熱伝導性の効果を得るため、lmm〜12mmの範囲が好適である。多孔質層の厚みが12mmを超えるとノズル自体の強度が低下し、折損等の原因となるために好ましくない。
【0038】
次に、図1及び2に本発明のノズルの配材パターンを示す。この中で、(1)は、カーボン含有量5重量%以下の緻密質層であり、(2)は、カーボン含有量5重量%以下の多孔質層であり、(3)は、ノズル本体部を構成するアルミナ−黒鉛質耐火物(浸漬ノズル等に用いられている通常の材料)であり、(4)は、ジルコニア−黒鉛質耐火物よりなるパウダーライン部用耐火物である。ここで、アルミナ−黒鉛質耐火物は、通常Al2O320〜80重量%及びカーボン15〜35重量%程度の組成(シリカを含有することもできる)を有するものであり、ジルコニア−黒鉛質耐火物は、ジルコニア70〜90重量%及びカーボン10〜30重量%の組成を有するものである。なお、本発明のノズルの配材パターンは図1及び2に記載されているものに限定されるものではないことを理解されたい。
【0039】
なお、図1に示すノズルにおいては、多孔質層(2)が配設されていない部分にも、緻密質層(1)が配設されているが、多孔質層(2)が不在の場合でも、緻密質層(1)のアルミナ付着防止効果が損なわれるものではない。しかし、この場合には、耐熱スポール性を確保するため、緻密質層(1)の内側に用いるノズル本体部のアルミナ−黒鉛質耐火物の気孔率を15%を超え、30%以下とすることが望ましい。
【0040】
また、本発明ノズルにおいて、緻密質層(1)は、ノズルの内孔部あるいは溶鋼と接する部位全体に配置しなくてもその効果が損なわれるものではない。通常、アルミナ付着はノズル内孔部の下端側(メニスカスより下側)で顕著であり、例えば、図2に示す配材パターンのように、アルミナ付着が大きい箇所に限定して緻密質層(1)を配設することも効果的である。
【0041】
なお、図2に示す配材パターンにおいては、ノズル内孔部の上部を多孔質層(2)としたが、多孔質層(2)は、そのカーボン含有量が5重量%以下であるため、多孔質層が溶鋼と直接接っしても、ノズル内孔部の上部であれば、アルミナ付着を十分に防止することができる。なお、この場合、溶鋼による溶損を防止するため、多孔質層の気孔率は15%を超え、25%以下とすることが望ましい。
【0042】
本発明のノズルの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば次のような方法を挙げることができる。まず、カーボン、酸化物などの配合物にバインダーを添加し、ウェットパン等のミキサーを用いて混練を行い、緻密質層及び多孔質層を形成するための成形用混練物を得る。また、ノズル本体部位を構成する従来材質のアルミナ−黒鉛質耐火物についても同様な方法で混練を行い、成形用混練物を得る。
【0043】
次に、これらの混練物を成型用枠の中に充填するが、この時に、層厚みを調節するために成型用ジグを用いて行う。そして、充填後にジグを除去し、その後、CIP成形、機械プレス等により成形を行う。得られた成形体は乾燥し、続いて非酸化性雰囲気中で焼成を行う。焼成後、必要であれば加工を行い、最終形状とする。
【0044】
溶射により緻密質膜を形成する場合は、焼成、加工後に必要な部位に溶射を行う。
【0045】
本発明ノズルの製造方法については、内孔部及びそれ以外の部分について、同時成形による一体成形も可能である。しかし、緻密質層に関しては、微粉をスラリー状化して塗布する方法、コロイド溶液を塗布する方法、更には焼成後酸化物に変化する溶液を塗布する方法等により形成することもできる。
【0046】
また、事前に緻密化した焼成体をノズルの内孔部に装入することにより緻密質層を配設することも可能である。
【0047】
【実施例】
次に、本発明の実施例及び比較例を挙げ、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではないことを理解されたい。
実施例1
図1に示す配材パターンにて、表1に記載する配合の緻密質層(1)及び多孔質層(2)を使用し、また、アルミナ−黒鉛質耐火物(3)としてアルミナ50重量%シリカ20重量%及び黒鉛30重量%の組成のものを、ジルコニア−黒鉛質耐火物(4)としてジルコニア85重量%及び黒鉛15重量%の組成のものを使用して本発明品1〜5及び比較品1〜2の浸漬ノズルを作製した。
また、比較品3として気孔率15.5%の層は、平均原料径32.0μmのアルミナを使用して作製した。
更に、比較品4は、図1の配材パターンにおいて、緻密質層(1)及び多孔質層(2)が不在、即ち、アルミナ−黒鉛質耐火物(3)とジルコニア−黒鉛質耐火物(4)のみからなるものである。
得られたノズルの特性を以下の表1に記載する。
【0048】
【表1】
【0049】
このようにして製作した各浸漬ノズルを用いて、実炉での鋳造テストを実施した。この鋳造テストにおいて、連続鋳造機として2ストランド型を使用し、No.1ストランドに本発明品を、No.2ストランドに比較品を取り付け、5ch(鋳造時間約250分)までの鋳造テストを合計5回行った。テスト後の浸漬ノズルを回収し、アルミナの付着状況を調査した。アルミナの付着厚みは、使用後の浸漬ノズルを縦方向に半分に切断した後、浸漬ノズル内管直胴部の三ケ所で片側の付着厚みを測定し、平均して求めた。表2に鋳造条件及びアルミナ付着厚みの測定結果を示す。なお、鋳造した鋼種は各テストとも同一であり、その成分は平均的にC:0.50重量%、Si:0.13重量%、Mn:0.60重量%、P:0.02重量%、S:0.02重量%、Al:0.03重量%であった。
【0050】
【表2】
【0051】
表2に記載する実炉での鋳造テストの結果から、本発明品1〜5では、5ch鋳造後においてもアルミナ付着は軽微であることが確認できた。これに対して、比較品1〜2ではアルミナ付着は軽微であったが、使用後のノズル内孔部の緻密質層(1)に多数の亀裂が発生したり、地金が侵入していた。また、比較品3〜4では、アルミナ付着が極めて大きいことが認められた。
【0052】
実施例2
浸漬ノズルの内孔部に溶射を行い、図2に示す配材パターンの浸漬ノズルを製作した。
以下の表3には、本実施例で製作した浸漬ノズルの緻密質層(1)と多孔質層(2)の材質の組合せを示す。
【0053】
【表3】
【0054】
このようにして製作した各浸漬ノズルを用いて、実炉での鋳造テストを実施した。この鋳造テストにおいて、連続鋳造機として2ストランド型を使用し、No.1ストランドに比較品の浸漬ノズル、No.2ストランドに本発明品の浸漬ノズルを取り付け、5chまでの鋳造テストを合計3回行った。テスト後の浸漬ノズルを回収し、アルミナの付着状況を調査した。使用後の浸漬ノズルを縦方向に半分に切断した後、吐出孔上部50mmの位置で付着厚みを測定した。なお、この位置は溶射膜が配置されている部分に含まれる。表4に鋳造条件及びアルミナ付着厚みの測定結果を示す。なお、鋳造した鋼種は各テストとも同一であり、その成分は平均的にC:0.34重量%、Si:0.15重量%、Mn:0.50重量%、P:0.03重量%、S:0.02重量%、Al:0.05重量%であった。
【0055】
【表4】
【0056】
表4(実炉での鋳造テストの結果)から、本発明品6〜8では、5ch鋳造後においてもアルミナ付着は非常に軽微であることが確認でき、溶射により形成された緻密質層の効果が大きいことが判る。これに対して、比較品3ではアルミナ付着量が非常に多いという結果となった。
【0057】
【発明の効果】
本発明のノズルにおいて、緻密質層は、カーボン含有量5重量%以下で、且つ気孔率15%以下のものであり、緻密で、表面平滑度が高く、アルミナ付着が非常に少なく。また、緻密質層自体の溶損が非常に少ないという特徴がある。そのため、ノズルの溶損に起因する鋳片中への非金属介在物の混入を減少させることが可能であり、欠陥の少ない高品質の鋼を得ることができる。また、ノズル内孔部の緻密質層が、緻密な酸化物層であるため、高酸素鋼の鋳造にも好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のノズルの配材パターンの1実施態様を示す図である。
【図2】本発明のノズルの配材パターンの他の実施態様を示す図である。
【符号の説明】
1 緻密質層
2 多孔質層
3 アルミナ−黒鉛質耐火物
4 ジルコニア−黒鉛質耐火物
Claims (4)
- 鋼の連続鋳造用ノズルにおいて、ノズルの内孔部及び/または溶鋼と接する部位の少なくとも一部を構成する耐火物が、カーボン含有量5重量%以下で、気孔率が15%以下の緻密質層であり、且つ緻密質層とノズル本体部の間の少なくとも一部に、カーボン含有量5重量%以下で、気孔率が15%を超え、35%以下である多孔質層を配設することを特徴とする鋼の連続鋳造用ノズル。
- 緻密質層を構成する耐火材料が、平均粒径10μm以下のものである、請求項1記載の鋼の連続鋳造用ノズル。
- 緻密質層の厚みが、0.1〜1.5mmである、請求項1または2記載の鋼の連続鋳造用ノズル。
- 緻密質層が溶射により形成される、請求項1ないし3のいずれか1項記載の鋼の連続鋳造用ノズル。
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