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JP3562442B2 - デュアルモード・バンドパスフィルタ - Google Patents

デュアルモード・バンドパスフィルタ Download PDF

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JP3562442B2 JP2000151756A JP2000151756A JP3562442B2 JP 3562442 B2 JP3562442 B2 JP 3562442B2 JP 2000151756 A JP2000151756 A JP 2000151756A JP 2000151756 A JP2000151756 A JP 2000151756A JP 3562442 B2 JP3562442 B2 JP 3562442B2
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  • Electromagnetism (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばマイクロ波〜ミリ波帯の通信機において帯域フィルタとして用いられるデュアルモード・バンドパスフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高周波領域で用いられるバンドパスフィルタとして、デュアルモード・バンドパスフィルタが種々提案されている(MINIATURE DUAL MODE MICROSTRIP FILTERS, J.A. Curtis and S.J. Fiedziuszko, 1991 IEEE MTT−S Digestなど)。
【0003】
図13及び図14は、従来のデュアルモード・バンドパスフィルタを説明するための各模式的平面図である。
図13に示すバンドパスフィルタ200では、誘電体基板(図示せず)上に円形の導電膜201が形成されている。この導電膜201に、互いに90°の角度をなすように、入出力結合回路202及び入出力結合回路203が結合されている。そして、上記入出力結合回路203が配置されている部分に対して中心角45°の角度をなす位置に、先端開放スタブ204が形成されている。これによって共振周波数が異なる2つの共振モードが結合され、バンドパスフィルタ200は、デュアルモード・バンドパスフィルタとして動作するように構成されている。 また、図14に示すデュアルモード・バンドパスフィルタ210では、誘電体基板上に正方形の導電膜211が形成されている。この導電膜211に、互いに90°の角度をなすように、入出力結合回路212,213が結合されている。また、入出力結合回路213に対して135°の位置のコーナー部が欠落されている。欠落部分211aを設けることにより、2つの共振モードの共振周波数が異ならされており、該2つのモードの共振が結合されて、バンドパスフィルタ210は、デュアルモード・バンドパスフィルタとして動作する。
【0004】
他方、円形の導電膜に代えて、円環状の導電膜を用いたデュアルモードフィルタも提案されている(特開平9−139612号公報、特開平9−162610号公報など)。すなわち、円環状のリング伝送路を用い、図13に示したデュアルモード・バンドパスフィルタと同様に、中心角90°の角度をなすように入出力結合回路を配置し、かつリング状伝送路の一部に先端開放スタブを設けてなるデュアルモードフィルタが開示されている。
【0005】
また、特開平6−112701号公報にも、同様のリング状伝送路を用いたデュアルモードフィルタが開示されている。図15に示すように、このデュアルモードフィルタ221では、誘電体基板上に円環状の導電膜222が形成されているリング共振器が構成されている。ここでは、円環状の導電膜222に対して、互いに90°をなすように4個の端子223〜226が構成されている。4個の端子のうち、互いに90°の角度をなす位置に配置された2個の端子223,224が入出力結合回路227,228に結合されており、残りの2個の端子225,226が帰還回路230を介して接続されている。
【0006】
上記構成により、1つのストリップ線路からなるリング共振器において、互いに結合しない直交モード共振を生じさせ、上記帰還回路230により結合度を制御することが可能である旨が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図13及び図14に示した従来のデュアルモード・バンドパスフィルタでは、1つの導電膜パターンを形成することにより2段のバンドパスフィルタを構成することができ、従ってバンドパスフィルタの小型化を図り得る。
【0008】
しかしながら、円形や正方形の導電膜パターンにおいて、上記特定の角度を隔てて入出力結合回路を結合する構成を有するため、結合度を大きくすることができず、広い通過帯域を得ることができないという欠点があった。
【0009】
また、図13に示されているバンドパスフィルタでは、導電膜201が円形であり、図14に示すバンドパスフィルタでは、導電膜211が正方形と形状が限定されている。従って、設計の自由度が低いという問題もあった。
【0010】
また、特開平9−139612号公報や特開平9−162610号公報に記載のようなリング状共振器を用いたデュアルモードバンドパスフィルタにおいても、同様に結合度を大きくすることが困難であり、かつリング状共振器の形状が限定されるという問題があった。
【0011】
他方、前述した特開平6−112701号公報に記載のデュアルモードフィルタ221では、帰還回路230を用いることにより、結合度の調整が行われ、広帯域化が図られるとされている。しかしながら、この先行技術に記載のデュアルモードフィルタでは、帰還回路230が必要であり、回路構成が煩雑化するという問題があった。加えて、やはり、リング状共振器の形状が円環状と限定され、設計の自由度が低いという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、小型化を図り得るだけでなく、結合度を大きくすることができ、さらに結合度の調整が容易であり、広い通過帯域を容易に実現することができ、さらに設計の自由度に優れたデュアルモード・バンドパスフィルタを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明の広い局面によれば、第1,第2の主面を有する誘電体基板と、前記誘電体基板の第1の主面または誘電体基板のある高さ位置において部分的に形成された金属膜と、前記金属膜と誘電体基板層を介して対向するように、誘電体基板の第2の主面または誘電体基板内に形成された少なくとも1つのグラウンド電極と、前記金属膜に異なる部分で結合された一対の入出力結合回路とを備え、前記金属膜において生じる、共振周波数の異なる2つの共振モードが結合するように、前記金属膜とグラウンド電極とが対向されている部分において、金属膜をグラウンド電極に投影した部分の外周に沿って前記グラウンド電極に貫通孔または切欠が形成されていることを特徴とする、デュアルモード・バンドパスフィルタが提供される。
【0016】
本発明では、2つの共振モードが結合するように、金属膜とグラウンド電極とが対向されている部分において、グラウンド電極に貫通孔または切欠が形成されている。すなわち、一対の入出力結合回路の金属膜への結合転換を結ぶ下層線と略平行な方向並びに該下層線に直交する方向の2つの方向に伝搬する共振モードが生じるが、一方の共振モードが上記貫通孔または切欠により影響を受けて、その共振周波数が変動する。すなわち、上記貫通孔または切欠が、一方の共振モードを他方の共振モードと結合させるように、一方の共振モードの共振電界または共振電流に影響を与えるように形成されている。従って、上記貫通孔または切欠により、2つの共振モードが結合されて、デュアルモード・バンドパスフィルタとして動作する。
【0017】
発明の特定の局面では、前記誘電体基板の第1の主面に金属膜が形成されており、第2の主面にグラウンド電極が形成されている。
発明に係るデュアルモード・バンドパスフィルタのさらに他の特定の局面では、前記金属膜が、長手方向と短手方向とを有する形状である。
【0018】
発明のさらに別の特定の局面では、前記金属膜の平面形状が、長方形、菱形、正多角形、円形または楕円形である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0020】
図1は、本発明とは異なるが、本発明の参考例に係るデュアルモード・バンドパスフィルタを説明するための斜視図であり、図2はその要部を模式的に示す平面図である。
デュアルモード・バンドパスフィルタ1は、矩形板状の誘電体基板2を有する。誘電体基板2の上面には、共振器を構成するためにCuからなる金属膜3が形成されている。金属膜3は、誘電体基板2上において部分的に形成されている。金属膜3は、本参考例では長方形の形状を有する。すなわち、金属膜3は、長手方向と短手方向とを有する形状である。
【0021】
参考例では、金属膜3は、長辺の長さが1.6mm、短辺の長さが1.4mmとされている。
もっとも、金属膜3の寸法は、これに限定されず、所望とする中心周波数と帯域幅に応じて適宜変更し得る。
【0022】
誘電体基板2の上面においては、金属膜3に、短辺3a,3bと所定のギャップを隔てて入出力結合回路5,6が結合されている。入出力結合回路5,6は、金属膜3に結合される部分である入出力容量形成用パターン5a,6aと、入出力容量形成用パターン5a,6aに接続されたマイクロストリップライン5b,6bとを有する。
【0023】
なお、入出力結合回路5,6の金属膜3への結合点については異なる部分である限り図示の位置に限定されない。
誘電体基板2の下面には、全面にグラウンド電極4が形成されている。
【0024】
参考例のバンドパスフィルタ1では、誘電体基板2が一様に構成されておらず、比誘電率が異なる誘電体基板層部分を有する。すなわち、金属膜3とグラウンド電極4とが誘電体基板2を対向している領域のうち、相対的に比誘電率が大きな部分2a,2bが形成されている。この比誘電率が大きな部分2a,2bは、本参考例では、比誘電率εr=17とされており、残りの誘電体基板部分の比誘電率がεr=7とされている。比誘電率の高い部分2a,2bは、長方形の金属膜3の長辺3c,3dの中央付近において、該長辺3c,3dに沿うように形成されている。また、比誘電率の高い部分2a,2bは、その平面形状が長方形であり、かつ誘電体基板2の厚み方向において、誘電体基板2の上面から下面に至るように形成されている。
【0025】
比誘電率の高い部分2a,2bと、残りの部分とを有するように誘電体基板2を構成する方法については特に限定されず、誘電体基板2を得た後に、誘電体基板部分2a,2bが設けられる部分に貫通孔を形成し、該貫通孔に比誘電率の高い誘電体材料を充填することにより形成することができる。あるいは、矩形の誘電体基板を得た後に、比誘電率の相対的に高い部分2a,2bに相当する部分に基板の構成材料と反応する元素を塗布し、熱拡散させることにより比誘電率の高い部分2a,2bを形成してもよい。
【0026】
参考例では、誘電体基板2は、Mg、Si、Alなどの酸化物からなり、比誘電率の相対的に高い部分2a,2bは、Mg、Si、Alなどの酸化物に加えてCaあるいはTiの酸化物が付加されている。
【0027】
また、上記比誘電率の相対的に高い部分2a,2bの平面形状は長方形であるが、その短辺は200μm、長辺が600μmの寸法を有するように構成されている。
【0028】
参考例のデュアルモード・バンドパスフィルタ1では、入出力結合回路5,6の一方とグラウンド電極4との間に入力電圧を印加することにより、入出力結合回路5,6の他方とグラウンド電極4との間で出力が取り出される。この場合、金属膜3が長方形の形状を有し、上記比誘電率の相対的に高い部分2a,2bが形成されているので、2つのモードの共振が結合され、デュアルモード・バンドパスフィルタとして動作する。これは、上記相対的に比誘電率の高い部分2a,2bが、金属膜3において生じる2つの共振を結合するように構成されているためである。これを、図3〜図7を参照して説明する。
【0029】
図3は、比較のために用意した共振器51を示す斜視図である。共振器51では、比誘電率の相対的に高い部分2a,2bが設けられていないことを除いては、上記参考例のデュアルモード・バンドパスフィルタ1と同様に構成されている。この共振器51の周波数特性を図4に示す。
【0030】
図4の実線A及び破線Bは、共振器51の反射特性及び通過特性をそれぞれ示す。
図4から明らかなように、矢印C,矢印Dで示す2つの共振が現れているものの、2つの共振が離れか周波数位置に現れており、結合されていない。共振器51では、金属膜3に結合されている入出力結合回路5,6の結合点を結ぶ方向と平行な方向、すなわち金属膜3の長辺方向に沿う共振と、該長辺と直交する方向すなわち短辺方向に沿う共振とが生じる。図4の矢印Cで示す共振は、上記長辺方向に沿う共振であり、矢印Dで示す共振は短辺方向に沿う共振である。
【0031】
図4から明らかなように、2つの共振は異なる周波数位置に現れており、結合していない。すなわち、バンドパスフィルタとして動作しない。
本願発明者らは、上記共振器51における共振電界を電磁界シュミレーター(ヒューレットパッカード社製、品番:HFSS)を用いて測定したところ、図5及び図6に示す結果が得られた。
【0032】
すなわち、共振Cでは、図5の破線Eで示す部分、すなわち長辺3c,3dの両側において短辺3a,3bに沿う部分が共振電界が強くなることが確かめられた。
【0033】
他方、短辺方向に沿う共振の場合には、図6に破線Fで示すように、金属膜3の長辺3c,3d近傍において共振電界が強くなることが確かめられた。
本願発明者らは、上記共振電界分布を考慮した結果、一方の共振に際しての共振電界を調整し、それによって共振C,共振Dの共振周波数を近づければ、バンドパスフィルタを構成し得ることを見い出した。
【0034】
上記参考例のデュアルモード・バンドパスフィルタ1では、上記のような知見のもとに、長辺3c,3dの略中央付近において、上記比誘電率の相対的に高い部分2a,2bを形成することにより、短辺方向に沿う共振、すなわち図4に示した共振Dの共振周波数を低下させ、2つの共振が結合されている。言い換えれば、2つの共振が結合するように、比誘電率の相対的に高い部分2a,2bが形成されている。
【0035】
図7に、本参考例のデュアルモード・バンドパスフィルタ1の周波数特性を示す。図7の実線Gが反射特性を、破線Hが通過特性を示す。また、比較のために、前述した共振器51の周波数特性も実線A及び破線Bで併せて示す。
【0036】
図7から明らかなように、本参考例のデュアルモード・バンドパスフィルタ1では、2つの共振が結合し、バンドパスフィルタとして動作し得ることがわかる。
【0037】
参考例のデュアルモード・バンドパスフィルタ1では、上記比誘電率が相対的に高い部分2a,2bの残りの部分との比誘電率差、比誘電率が相対的に高い部分2a,2bの平面形状及び該平面形状の面積を調整することにより、短辺方向に伝搬する共振の共振周波数を容易に調整することかでき、それによって2つの共振を確実に結合することができるとともに、所望とする帯域幅のバンドパスフィルタ特性を容易に得ることができる。
【0038】
なお、上記参考例では、長辺側中央に比誘電率が相対的に高い部分2a,2bを設けたが、短辺側に比誘電率が残りの誘電体基板部分と異なる部分を設けてもよい。その場合には、長辺に沿って伝搬する共振の共振周波数が影響を受けることになるため、短辺側に比誘電率が異なる部分として、残りの部分に比べて比誘電率が相対的に低い部分を設ければよい。
【0039】
図8は、金属膜3の短辺3a,3b側に、比誘電率が相対的に低い部分が設けられた参考例の変形例を示す模式的平面図である。
変形例のデュアルモード・バンドパスフィルタ11では、金属膜3の下方において、誘電体基板2に空洞2c,2dが設けられている。空洞2c,2dは、金属膜3とグラウンド電極とが対向されている領域において、金属膜3の短辺3a,3bに沿うように短辺略中央に設けられている。空洞2c,2dは、その平面形状が略長方形の形状とされており、該長方形の短辺が200μm、長辺が600μmの寸法を有する。また、空洞2c,2dは、誘電体基板2を上面から下面に貫くように形成されている。もっとも、空洞2c,2dは、必ずしも貫通する必要はない。
【0040】
空洞2c,2dにおける比誘電率は空気の比誘電率となるため、εr=1である。
本変形例のデュアルモード・バンドパスフィルタ11の周波数特性を図9に示す。図9において実線Iが反射特性を、破線Jが通過特性を示す。比較のために、前述した共振器51の周波数特性を併せて実線A及び破線Bで示す。
【0041】
図9から明らかなように、本変形例によれば、金属膜3の短辺側において上記空洞2c,2dが誘電体基板2に設けられているので、長辺方向に伝搬する共振の共振電界が影響を受け、共振Cの共振周波数が高められて、2つの共振が結合し、バンドパスフィルタとして動作することがわかる。
【0042】
図10及び図11は、本発明の実施例に係るバンドパスフィルタの要部を示す模式的平面図及び底面図である。実施例のバンドパスフィルタ21では、誘電体基板22として、厚み300μmであり、比誘電率εr=7のMg、Si、Alの酸化物からなるものが用いられている。誘電体基板22の上面には、金属膜3及び入出力結合回路5,6が参考例と同様に構成されている。また、図11に示すように、誘電体基板2の下面にはグラウンド電極4が形成されている。本実施例の特徴は、グラウンド電極4において、貫通孔4a,4bが形成されていることにある。
【0043】
すなわち、貫通孔4a,4bは、金属膜3とグラウンド電極4とが対向している領域において、2つの共振を結合するように設けられている。本実施例では、貫通孔4a,4bは、金属膜3を下方に投影した場合の短辺3a,3bが位置している部分に沿うように、平面形状が長方形の貫通孔4a,4bが形成されている。
【0044】
従って、デュアルモード・バンドパスフィルタ21では、金属膜3の長辺方向に伝搬する共振の共振電界が強く現れる部分が貫通孔4a,4bにより影響を受け、図8に示した参考例の変形例と同様に、金属膜3の長辺方向に伝搬する共振Cの共振周波数が高められる。そして、貫通孔4a,4bが、上記共振Cと共振Dとが結合するように、その大きさが定められている。本実施例では、貫通孔4a,4bの一方が、長辺0.8mm、短辺0.4mmとされている。
【0045】
本実施例のデュアルモード・バンドパスフィルタ21の周波数特性を図12に実線K及び破線Lで示す。実線Kが反射特性を、破線Lが通過特性を示す。比較のために、共振器51の周波数特性を図12に併せて示す。図12から明らかなように、実施例においても、貫通孔4a,4bの形成により2つの共振が結合されることがわかる。
【0046】
なお、参考例及び参考例の変形例では誘電体基板に、共振電界を制御するために比誘電率が残りの部分と異なる部分を設け、実施例では、グラウンド電極に貫通孔を設けたが、これらの方法を併用してもよい。すなわち、参考例と実施例とを組み合わせてもよい。
【0047】
また、実施例では、金属膜3は長方形の形状を有していたが、金属膜3の形状については特に限定されず、任意の形状とすることができる。もっとも、異なる共振周波数の2つの共振モードを発生させるには、長手方向と短手方向とを有する金属膜を用いることが望ましい。
【0048】
また、金属膜の具体的な平面形状としては、長方形、菱形、正多角形、円形または楕円形など様々な形状とすることができる。
また、実施例では、誘電体基板2の上面に金属膜3が形成されていたが、金属膜3は、誘電体基板のある高さ位置に形成されていもよい。同様に、グラウンド電極についても、金属膜3と誘電体基板層を介して対向され得る限り、誘電体基板2の下面に形成される必要は必ずしもなく、誘電体基板内に形成されていてもよい。
【0049】
さらに、誘電体基板2の中間高さ位置に金属膜を形成し、誘電体基板の上面及び下面にグラウンド電極を形成することにより、トリプレート構造を有するデュアルモード・バンドパスフィルタを構成してもよい。
【0050】
【発明の効果】
【0054】
本発明に係るデュアルモード・バンドパスフィルタでは、誘電体基板に共振器を構成するための金属膜が形成されており、該金属膜に入出力結合回路が結合されて共振周波数の異なる2つの共振モードが生じるように構成されている。そして、該2つの共振モードが結合するように、金属膜とグラウンド電極とが対向されている部分において、金属膜をグラウンド電極に投影した部分の外周に沿ってグラウンド電極に切欠が形成されている。従って、第1の発明と同様に、2つの共振モードが結合されて、デュアルモード・バンドパスフィルタとしての特性が得られる。

【0055】
振器を構成する金属膜の形状や入出力結合回路の結合点の位置の制約がなく、従って、デュアルモード・バンドパスフィルタの設計の自由度を大幅に高め得る。
【0056】
しかも、上記グラウンド電極に設けられる貫通孔または切欠の形状、入出力結合回路の結合点の位置あるいは金属膜の寸法を変更することにより、帯域幅を大幅に調整することができる。
【0057】
よって、発明によれば、所望とする帯域幅のデュアルモード・バンドパスフィルタを容易に提供することができる。
発明において、誘電体基板の第1の主面に金属膜が形成されており、第2の主面にグラウンド電極が形成されている場合には、誘電体基板の両面に導電膜を形成することにより、本発明に係るデュアルモード・バンドパスフィルタを容易に構成することができる。
【0058】
上記金属膜が、長手方向と短手方向とを有する形状の場合には、共振周波数が異なる2つの共振モードを容易に発生させることができる。
もっとも、金属膜の平面形状は特に限定されないため、発明では、様々な形状の金属膜を用いたデュアルモード・バンドパスフィルタを提供することができ、例えば、長方形、菱形、正多角形、円形または楕円形等の任意の形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例のデュアルモード・バンドパスフィルタの斜視図。
【図2】参考例のデュアルモード・バンドパスフィルタの要部を示す模式的平面図。
【図3】比較のために用意した共振器を説明するための斜視図。
【図4】図3に示した共振器の周波数特性を示す図。
【図5】図3に示した共振器において、金属膜の長辺方向に沿う共振の際に共振電界が強く現れる部分を説明するための模式的平面図。
【図6】図3に示した共振器において、金属膜の短辺方向に沿う共振の際に共振電界が強く現れる部分を説明するための模式的平面図。
【図7】参考例及び比較のために用意した共振器の周波数特性を示す図。
【図8】参考例の変形例に係るデュアルモード・バンドパスフィルタを説明するための模式的平面図。
【図9】図8に示した変形例及び図3に示した共振器の周波数特性を示す図。
【図10】施例に係るデュアルモード・バンドパスフィルタの要部を示す模式的平面図。
【図11】施例のデュアルモード・バンドパスフィルタの底面図。
【図12】施例のデュアルモード・バンドパスフィルタ及び比較のために用意し共振器の周波数特性を示す図。
【図13】従来のデュアルモード・バンドパスフィルタの一例を示す模式的平面図。
【図14】従来のデュアルモード・バンドパスフィルタの他の例を示す模式的平面図。
【図15】従来のデュアルモード・バンドパスフィルタのさらに他の例を示す模式的平面図。
【符号の説明】
1…デュアルモード・バンドパスフィルタ
2…誘電体基板
2a,2b…比誘電率が相対的に高い部分
2c,2d…空洞
3…共振器を構成する金属膜
3a,3b…短辺
3c,3d…長辺
4…グラウンド電極
4a,4b…貫通孔
5,6…入出力結合回路
11…デュアルモード・バンドパスフィルタ
21…デュアルモード・バンドパスフィルタ
22…誘電体基板

Claims (4)

  1. 第1,第2の主面を有する誘電体基板と、
    前記誘電体基板の第1の主面または誘電体基板のある高さ位置において部分的に形成された金属膜と、
    前記金属膜と誘電体基板層を介して対向するように、誘電体基板の第2の主面または誘電体基板内に形成された少なくとも1つのグラウンド電極と、
    前記金属膜に異なる部分で結合された一対の入出力結合回路とを備え、
    前記金属膜において生じる、共振周波数の異なる2つの共振モードが結合するように、前記金属膜とグラウンド電極とが対向されている部分において、金属膜をグラウンド電極に投影した部分の外周に沿って前記グラウンド電極に貫通孔または切欠が形成されていることを特徴とする、デュアルモード・バンドパスフィルタ。
  2. 前記誘電体基板の第1の主面に金属膜が形成されており、第2の主面にグラウンド電極が形成されている、請求項1に記載のデュアルモード・バンドパスフィルタ。
  3. 前記金属膜が、長手方向と短手方向とを有する形状である、請求項1または2に記載のデュアルモード・バンドパスフィルタ。
  4. 前記金属膜の平面形状が、長方形、菱形、正多角形、円形または楕円形である、請求項1〜3のいずれかに記載のデュアルモード・バンドパスフィルタ。
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