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JP3559559B2 - 向上した治療特性を有する組織プラスミノーゲン活性化因子グリコシル化変異体 - Google Patents

向上した治療特性を有する組織プラスミノーゲン活性化因子グリコシル化変異体 Download PDF

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Description

発明の背景
I.発明の分野
本発明は、十分にそのフィブリン結合親和性を保持しながら、野生型ヒトt−PAと比較して増強した循環半減期を有する組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)変異体に関する。ある種の変異体は、in vivoフィブリン溶解力の向上をさらに示している。本発明はまた、これらの変異体を調製するための方法と手段、およびこれらを含んだ医薬組成物に関するものである。
II.背景と関連技術の説明
組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)は、ドメインを多く持つセリンプロテアーゼであり、その生理学的役割はプラスミノーゲンをプラスミンに変換し、それによりフィブリン溶解過程を開始または促進することである。
初めてt−PAに臨床的関心が持ち上がった理由は、フィブリンの非存在下に比べて、フィブリンの存在下でその活性が相対的に高かったからであった。野生型のt−PAはフィブリン非存在下では酵素活性が弱いが、フィブリンが存在するとプラスミノーゲンを活性化する能力が著しく高められる。刺激がなければ、プラスミノーゲン活性化に対するメラノーマや組み換えヒトt−PA(ActivaseR t−PA)の触媒効率(触媒速度定数(Kcat)/ミカエリス定数(Km))は、約1nM-1sec-1であり、一方、フィブリンやフィブリン分解物の存在下では、この効率(偽速度定数)は数百倍に増加する。t−PAのこの並外れた生化学的特性は、全身的なプラスミノーゲン活性化を誘導する非フィブリン特異的血栓溶解促進物質(ストレプトキナーゼやウロキナーゼなど)とは異なった血栓溶解産物へと臨床的に変容すると考えられる[ソーベル,B.E.ら,Circulation 69,983−990(1984)]。組み換えt−PAは、急性心筋梗塞および肺塞栓の処置の際に血栓溶解剤として治療的に用いられ、どちらの状況も通常、フィブリン含有血栓による血管の閉塞から生じている。
t−PAは、その著しいフィブリン特異性に加えて、さらに幾つかの際立った特徴を示している。
(a) t−PAは、分子の一本鎖型がかなりの酵素活性を持っているという点で、ほとんどのセリンプロテアーゼと異なっている。数種の小さな基質に対して、およびフィブリン非存在下におけるプラスミノーゲンに対して、二本鎖t−PAは一本鎖よりも大きな活性を持っている。しかし、フィブリンの存在下ではt−PAの2つの型は活性が等しい[リーケンら、J.Biol.Chem.257,2920−5(1982);リーネンら、Thromb.Haemost.64,61−8(1990);ベネットら、J.Biol.Chem.266,5191−5201(1991)]。ほとんどの他のセリンプロテアーゼはチモーゲンとして存在しており、完全な酵素活性を持つようにするための二本鎖型へのタンパク分解を必要とする。
(b) in vivoおよびin vitroにおけるt−PAの働きは、セルピン、すなわちPA I−1によって阻害される[ボーガム,D.E.ら,J.Clin.Invest.84,586−591(1989);ウィマン,B.ら,J.Biol.Chem.259,3644−3647(1984)]。
(c) t−PAは、μMの範囲のKd値でin vitroでフィブリンと結合する。
(d) t−PAは、肝臓において一種もしくは数種のレセプターを介した急速なin vivoクリアランスを受ける[ニルソン,S.ら,Thromb.Res.39、511−521(1985);ブゲルスキー,P.J.ら,Thron.Res.53,287−303(1989);モートン,P.A.ら,J.Biol.Chem.264,7228−7235(1989)]。
実質的に純粋な形態のt−PAは、最初は天然の供給源から生産され、コレンら、1988年6月21日出版の米国特許番号4,752,603によってin vivoにおける活性試験がなされた(リーケンら、J.Biol.Chem.,256:7035[1981]も参照)。ペニカら(Nature,301:214[1983])は、t−PAのDNA配列を決定し、このDNA配列からアミノ酸配列を推測した(1988年8月23日発行の米国特許番号4,766,075参照)。
ヒトの野生型t−PAは、117、184、218、および448番目のアミノ酸位置がN結合型グリコシル化部位である可能性がある。CHO細胞における発現により産生された組み換えヒトt−PA(ActivaseR t−PA)は、117番目の位置の高マンノース型のオリゴ糖、およびAsn−184とAsn−448の位置の複合オリゴ糖からなる炭水化物を約7重量%含むことが報告されている[ベーハー,G.A.ら,“組み換えDNA技術によって産生されたヒト組織プラスミノーゲン活性因子の特性研究”定量的生物学に関するコールドスプリングハーバーシンポジウム 1986;Li:551−562]。218番目の位置は、天然のt−PAでグリコシル化されているという発見はなされなかった。117番目と448番目の位置は常にグリコシル化されているように思われるが、一方184番目の位置はその分子の約50%においてグリコシル化されていると考えられる。184番目の位置でグリコシル化されているt−PA分子はI型t−PAと呼ばれ、184番目の位置でグリコシル化されていない分子はII型t−PAと呼ばれている。CHO細胞由来ヒトt−PAは炭水化物構造の最も包括的な分析がスペルマンら,J.Biol.Chem.264(24)14100−14111(1989)によって行われ、彼らは少なくとも17個の異なったAsn結合型炭水化物構造がそのタンパク質に検出できることを示した。これらは、117番目の位置における高マンノース構造から、184番目と448番目の位置における2本、3本、4本の触角様N−アセチルラクトサミン型にまで及んだ。I型およびII型のt−PAは、同じ細胞株から単離すると、Asn−117およびAsn−448の位置に同一の態様でN−グリコシル化されると報告されている。さらなる詳細に関しては、パレク,ラーB.ら,Biochemistry 28,7644−7662(1989)も参照されたい。
t−PAの配列分析によって、その分子が5つのドメインを持っていることが同定された。各ドメインは、トリプシン、キモトリプシン、プラスミノーゲン、プロトロンビン、フィブロネクチン、および上皮成長因子(EGF)のような他のタンパク質における相同な構造および機能領域に関連して定義されてきた。これらのドメインはt−PAのアミノ酸配列のN末から始まって、1番目のアミノ酸から約44番目のアミノ酸までがフィンガー(F)ドメイン、約45番目のアミノ酸から約91番目のアミノ酸までが成長因子(G)ドメイン(EGFとの相同性に基づいている)、約92番目のアミノ酸から約173番目のアミノ酸までがクリングル−1(K1)ドメイン、約180番目のアミノ酸から約261番目のアミノ酸までがクリングル−2(K2)ドメイン、そして約264番目のアミノ酸から527番目のカルボキシル末端までがセリンプロテアーゼ(S)ドメインと名付けられている。これらのドメインは、本来、互いに隣り合った位置にあり、短い“リンカー”領域によって結合している。3つの付加的な残基(Gly−Ala−Arg)が時々アミノ末端に発見されることがあるが、これらのリンカー領域のために、成熟ポリペプチドの全アミノ酸数は527になっている。この追加的なトリペプチドは、一般的に、不完全な前駆体プロセシングの結果であると考えられており、それが機能性を付与することは知られていない。天然のt−PAは、275番目の位置と276番目の位置の間(セリンプロテアーゼドメイン中に位置する)で切断され、2本鎖型の分子を生じる。
各ドメインは、t−PA分子の全体にわたる生物学的に意義ある特性に対して異なった方法で寄与している。ドメインを欠失させる研究によって、フィンガー、成長因子もしくはクリングル−2ドメインが欠失すると、結果としてt−PA変異体のフィブリンに対する結合親和性が低下することが示されている[ファンゾネヴェルト,A.J.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83,4670−4677(1986);ヴェーヘイエン,J.H.ら,EMBO J.,3525−30(1986)]が、しかし、置換変異体から得られたより最近の結果は、クリングル−2ドメインは初期に予測されていたほどフィブリンとの結合に関与していないということを示している[ベネット,W.F.ら,J.Biol.Chem.266 5191−5201(1991)]。ドメインを欠失させる研究は、フィンガーおよび成長因子ドメインが肝臓で除去されることを示した[コレンら,Blood 71,216−219(1988);カリアンら,J.Biol.Chem.263,3971−3978(1988);フーら,Thromb.es.50,33−41(1988);レフィノら,Fibrinolysis ,30(1988);ラーセンら,Blood 73 1842−1850(1989);ブラウンら,J.Biol.Chem.263,1599−1602(1988)]。クリングル−2ドメインはリジンへの結合に関与している。セリンプロテアーゼドメインはt−PAの酵素活性に関与しており、その部位の変異がフィブリン結合性とフィブリン特異性(恐らく、フィブリンと直接的に相互作用する)の両方に影響を与えることが示されている特定の領域、およびフィブリン特異性のみが変化を受ける(恐らく、フィブリンと間接的に相互作用する)他の領域を含んでいる(ベネットら,1991,前掲)。部位特異的変化から生じる変異体を用いた研究は、クリアランスにおいてt−PAのグリコシル化が関与していることを示している[ローら,Bio/Technology ,953−958(1987);ローら,Bio/Technology ,734(1988)]。
野生型ヒトt−PAの血漿からのクリアランスが相対的に速いことは、一方では血栓溶解後に緊急介入を必要としている患者にとっては利点であるが、血中t−PAの治療的レベルを維持するため連続的な静脈投与を必要とする。急性肺塞栓の成人患者の血栓溶解治療のためのActivaseR(アクチバーゼ)t−PAの推奨されている全投与量は100mgであり、それは2時間をかけた連続的な静脈注入として投与される。より長い血漿半減期(クリアランスがより遅い)をもったt−PA誘導体はボーラス注入として投与でき、野生型t−PAの連続注入で得られるよりも高い血漿濃度を得ることができ、そしてそのために治療的有効量を減少させる結果になるだろう。よりゆっくりと除去されるt−PA変異体は、深在静脈血栓症のような状態の処置、梗塞患者の次に続く再灌流の処置、肺塞栓の処置もしくは末梢動脈血栓症(末梢血管疾患)の処置において特に有利となるだろう。
ボーラスの形で投与できるt−PA変異体の必要性の高まりは、早期の梗塞に関係する冠状動脈の開通を促進し、心筋の救助を改善するという目的をもった野生型ヒトt−PA(特に、1本鎖)のボーラス投与に対する最近の関心が背景となっている[ヴェルストレイトら,Lancet 14,1566−1569(1989);ニュウハウス,JACC 14,1566−1569(1989);カーンら,Am.J.Cardiol.65,1051−1056(1990);パービス,J.A.ら,Am.J.Cardiology 68,1570−1574(1991)]。最近の臨床的研究の結果は、野生型ヒトt−PAのボーラス静脈投与が血栓溶解治療の開始を速めるのみならず、比較的高いt−PA濃度が素早く達成されるために血栓溶解が亢進することを示している[ニュウハウス,K.L.,前掲,トポル,E.J.,J.Am.Coll.Cardiol.15,922−924(1990)]。
クリアランスの減少したt−PA変異体は、分子から個々のアミノ酸、ドメインの一部、もしくは完全なドメインを欠失させることによって調製されてきた。次に挙げている出版物は、成長因子および/またはフィンガードメインの一部もしくは全部を欠失させることによって、また任意に他の変異を加えて、野生型t−PAのクリアランス速度を減少させようとした試みを描いている:ブラウンら,1988,前掲;ヨハネセンら,Thromb.Haemostas.6 3,54−59(1990);コレンら,1988,前掲;カリアンら,1988,前掲;ソベルら,Circulation 81,1362−73(1990);カンビアーら,J.Cardiovasc.Pharmacol.,11:468(1988);Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.,30:91(1990);トリルら,Ribrinolysis ,131−140(1990);米国特許番号4,935,237(1990年6月19日発行);EP−A 241,208(1987年10月14日公開);EP−A 240,334(1987年10月7日公開)。2個のクリングル−2ドメインをもち、報告によれば血漿クリアランスの減少したt−PA変異体が、コレンら,Thromb.Haemost.65,174−180(1991)によって開示された。
様々なアミノ酸置換t−PA変異体は、クリアランス速度を減少させる能力および/またはt−PAの半減期を増加させる能力によって評価されてきた。63番目から72番目(特に、67番目と68番目の位置において)および42番目から49番目までのアミノ酸領域の置換によって、野生型ヒトt−PAの血漿半減期が増加することが報告されている[1989年12月28日公開のWO,89/12681およびアヘーンら,J.Biol.Chem.265,5540(1990)]。天然の成熟したt−PAの275番目のアルギニンをグルタミン酸に置換すると、クリアランス速度が野生型ヒトt−PAの約2倍遅くなることが記載されている[ホックキスら,Thromb.Haemost.,58:491(1987)]。
クリアランス速度を減少させるためのまたは/およびt−PAの半減期を延ばすための他の取り組みは、t−PA分子を第二の分子と複合体化することであった。例えば、t−PA−ポリエチレングリコール−共役体は、EP−A 304,311(1989年2月22日公開)で報告されたように、t−PAのクリアランス速度を減少させることが報告されている。t−PAに対するモノクローナル抗体は、t−PAの活性を減少させることなくin vivoでのt−PAの機能的半減期を増加させることが報告されている(1989年12月2日公開のEP−A 339,505参照)。
t−PAのクリアランスにおける炭水化物の関与もまた研究されている。野生型ヒトt−PAとは異なる炭水化物プロフィルをもったt−PA変異体が作成され、試験されてきた。
この取り組みの例として、60、64、65、66、67、78、79、80、81、82、103、105、107および250番目の位置の1つまたはそれ以上が、これらの残基のいくつかの位置、もしくはその近くにグリコシル化部位をもつ分子を作り出すために適当なアミノ酸で置換された(1989年11月30日公開のWO,89/11531参照)。例えば、これらのt−PA変異体のうち、T103N過剰−グリコシル化t−PA変異体は、クリアランスが天然のt−PAより約5倍遅かった。
他の研究は、野生型t−PAのグリコシル化部位を非グリコシル化部位に変換することに焦点をあてた。クリングル−2およびプロテアーゼドメインからなるt−PAの非グリコシル化変異体は、野生型t−PAよりも血漿クリアランスが遅いことが記載されている[マーチンら,Fibrinolysis (Suppl.3):9(Abstract 26)(1990)]。ホックキスら[Thromb.Haemost.,60:255(1988)]は、t−PA分子から選択的にオリゴ糖残基を除去し、これらの残基を除去することによって、t−PAのクリアランス速度が減少することを示した。これらの研究およびローら[(1987),前掲;(1988),前掲]はまた117番目の位置のグリコシル化を防ぐため、t−PA変異体N117Q(その変異体では、野生型ヒトt−PAの117番目のアスパラギンがグルタミンに置換している)を生み出した。この変異体は、この位置の高マンノースオリゴ糖を酵素的に除去して得られる変異体を類似しており、野生型ヒトt−PAよりも約2倍遅いクリアランス速度を示した。1987年9月23日公開のEP−A 238,304および1987年7月1日公開のEP−A 227,462も参照されたい。
さらなるヒトt−PAグリコシル化変異体のクリアランス速度が減少したことが、次の出版物に記載され、報告された:アヘーンら,前掲(Q42N,H44E,N117Q t−PA);コレンら,(1998),前掲[del(C6−I86)N117Q t−PA,およびdel(C6−I86)N117Q,N184Q t−PA];ヘイジウッドら,Prot.Enqineer.,611(1989)(N117Q,N184Q t−PA)。
我々は、103−105番目のアミノ酸の位置での余分のグリコシル化の付加によって野生型ヒトt−PAの循環半減期が延長することはまたフィブリン結合親和性および/または血漿凝血溶解活性における喪失を伴うことを見いだした。例えば、野生型ヒトt−PAの103番目のアミノ酸の位置でスレオニンをアスパラギンに置換するとクリアランス速度が約5倍減少したが、しかしt−PAのフィブリン結合親和性および活性が著しく減少したという点でt−PA機能における喪失がもたらされた。その結果、このグリコシル化変異体の血漿濃度がそのより低いクリアランス速度のためにActivaseR t−PAの等しい用量に対して約4−5倍大きいにもかかわらず、その活性が減少しているせいで効率もしくはin vivoのフィブリン溶解力は殆ど向上されない。
本発明は、他の状況のなかにあって、初期の機能が野生型t−PAの薬物動態特性を向上すること(血漿クリアランスを減らし、循環半減期を延ばす)である変更から生じるt−PAのフィブリン結合性の喪失が、より遅いクリアランス速度の達成や循環半減期の延長を損なうことなしに、追加的な変更によって回復することを示す、特定の研究の成功に基づいている。さらに、本発明は、そのようなt−PA変異体のin vivo凝血溶解(フィブリン溶解)力が、t−PAのグリコシル化パターンの変化がt−PAのプロテアーゼドメインにおける追加的な特定の変更を伴う場合は特に、野生型ヒトt−PAのそれより著しく向上することを示す実験的証拠に基づいている。その結果が野生型t−PAに関して改良されたフィブリン溶解力をもった分子であり、その分子はまた、野生型t−PAよりも早く血漿凝血を溶解することができ、その上、向上したフィブリン特異性をもつだろう。
発明の概要
我々は、驚くべきことに、野生型ヒトt−PAの103から105番目のアミノ酸の位置に余分のグリコシル化部位をもつ、ゆっくりとクリアランスを受けるt−PA変異体について観察されるフィブリン結合性の喪失は、117番目のアミノ酸の位置の機能的炭水化物を除去することによって回復できることを見いだした。これらの変更が組み合わされた場合には、t−PA変異体のフィブリン結合親和性を損なわずに循環半減期を延ばすことが可能になる。野生型t−PAのin vivoフィブリン溶解力(単位用量あたりの凝血溶解)はまた、フィブリン特異性を向上する追加的な変更が分子に導入される場合は特に改良され得る。
それゆえ、本発明は、103−105番目のいかなる位置でもグリコシル化され、野生型ヒトt−PAのアミノ酸配列の117番目の位置の機能的な炭水化物構造を欠いており、そしてa)野生型ヒトt−PAのフィブリン結合親和性を実質的に保持しながら延長した循環半減期を示すか、もしくはb)野生型ヒトt−PAと比べてin vivoフィブリン溶解力が向上しているt−PA変異体に関する。
好ましい具体例において、そのようなt−PA変異体は野生型ヒトt−PAと比べて少なくとも同様のフィブリン結合性を示す。
他の好ましい具体例において、そのようなt−PA変異体は野生型ヒトt−PAと比べてin vivoフィブリン溶解力が増加している。
天然t−PA分子の117番目のアミノ酸残基の炭水化物を別にすれば、本発明のt−PA変異体は、野生型ヒトt−PAでグリコシル化されている位置で機能的な炭水化物構造を保持することが好ましい。
余分のグリコシル化部位は野生型ヒトt−PAの103もしくは105番目の位置であることが好ましい。
ひとつの好ましい具体例において、余分のグリコシル化はN結合型であり、得られる変異体は、Asn−X−SerもしくはAsn−X−Thrトリペプチド配列の部分として103−105番目のいかなるアミノ酸の位置にもアスパラギンを含んでおり、そのトリペプチド配列においてはXはグリコシル化を防ぐプロリンを除けばどのアミノ酸でもよい。
他の好ましい具体例において、N結合型の余分のグリコシル化部位は野生型ヒトt−PAの103もしくは105番目のアミノ酸の位置である。
さらに好ましい具体例において、117番目のアミノ酸位置の機能的な炭水化物構造の除去は、グリコシル化シグナルであるAsn−X−Ser/Thr(Xは上記のように定義される)の根底にあるDNAの部位特異的変異によって行われる。得られるt−PA変異体では、野生型t−PAアミノ酸の117番目の位置のアスパラギンを、他のアミノ酸、これはグルタミンであるのが好ましいが、に置き換える。
さらになお好ましい具体例において、本発明の変異体は野生型ヒトt−PAに比べてフィブリン特異性が向上している。
例えば、フィブリン特異性は、野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の296−302番目および274−277番目のアミノ酸領域内に追加的な変更を導入することによって向上させることができる。その変更は、296−299番目の位置のアミノ酸の各々の、アラニンへの置換であるか、もしくは野生型t−PAの274−277番目の位置に存在するアミノ酸(フェニルアラニン、アルギニン、イソロイシン、リジン)の、それぞれロイシン、ヒスチジン、セリンおよびスレオニンへの置換であることが好ましい。
他の具体例において、本発明は、上述した変異体をコードしているDNA配列、形質転換した宿主細胞においてそのようなDNA配列を発現できる複製可能な発現ベクター、形質転換宿主細胞およびt−PA変異体をコードしているDNAを発現するための宿主細胞の培養からなる過程に関する。
さらに他の具体例において、本発明は、製薬的に許容し得る担体の混合物中のt−PA変異体の治療的有効量を含有する、血管の状態や疾患を処置するための組成物に関する。
さらに他の具体例において、本発明は、哺乳類へt−PA変異体の有効量を投与することを特徴とする、哺乳類における血管の疾患もしくは状態を処置するための方法を提供する。
さらなる局面において、本発明は、117番目のアミノ酸の位置の機能的な炭水化物構造を追加的に除去することにより、野生型ヒトt−PA配列の103−105番目のいかなる位置での余分のグリコシル化の付加によってもたらされるフィブリン結合親和性の喪失を実質的に回復するための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
図1および2は、得られるt−PA変異体のフィブリン結合性に対する本発明の変異の効果を表している。野生型ヒトt−PAの103番目の位置のアミノ酸での余分のグリコシル化のためのフィブリン結合性の喪失は、野生型ヒトt−PA分子の117番目の位置の炭水化物構造を除去することによって回復することができた。
図3、4、5は、ウサギの動−静脈シャント血栓溶解モデルにおいて行った、in vivo凝血溶解アッセイの結果を表している。
発明の詳細な説明
I.定義
“t−PA"、“ヒトt−PA"、および“ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子”という用語は、典型的には5つのドメイン(フィンガー、成長因子、クリングル−1、クリングル−2、およびプロテアーゼドメイン)をもっているが、それにもかかわらず、もしそれがまだ血栓溶解剤として機能するならばさらに少ないドメインをもっているかもしれないし、またそのドメインのいくつかが反復しているかもしれない構造を有しているフィブリン溶解活性をもつヒトの外因性(組織型)プラスミノーゲン活性化因子を指している。最小単位として、t−PAは、プラスミノーゲンをプラスミンに変換できるプロテアーゼドメイン、および少なくとも部分的にはフィブリン結合性を担っていると考えられているN末端領域からなる。このように、これらの用語は、そのポリペプチドのアミノ酸配列の一部としてのこれらの機能ドメインからなるポリペプチドをも含んでいる。生物学的に活性なt−PAの形態は、その分子の2つの機能ドメイン、およびそうでなければt−PA供給源固有のt−PAのいかなる他の部分をも含んでいる形態で、組み換え細胞培養系によって生産することができる。各個体のt−PAアミノ酸配列における1つもしくはそれ以上のアミノ酸の違いによって示されるように、天然のアレル変異が存在し、その変異は個体の間で生じうることが理解できるであろう。
“野生型t−PA"“天然のt−PA"“野生型ヒトt−PA"および“天然のヒトt−PA"という用語は、天然の配列のヒトt−PA、すなわち、1988年8月23日発行の米国特許番号4,766,075中に報告されているcDNA配列によってコードされているものを指している。t−PA分子中のアミノ酸の部位の数字または位置は、米国特許番号4,766,075に従って番号を付けている。t−PAはどのような天然の供給源からとられたものでもよい。さらに、t−PAは、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)またはヒト胎児腎臓293細胞などの、いかなる組み換え発現系から得てもよい。
“フィブリン結合性”および“フィブリン結合親和性”という用語は、リーケンら,J.Biol.Chem.257,2920−2925(1982)に記載されている方法もしくは実施例2に開示しているその変法のような標準的なフィブリン結合アッセイにおいて、t−PA分子がフィブリン凝血に結合する能力を指している。
“(t−PAの)生物学的活性”、“生物学的に活性のある”、“活性”および“活性のある”という用語は、血漿の凝血の存在下もしくはフィブリン存在下でのS−2251アッセイ、S−2288アッセイ、血漿凝血溶解アッセイ、または他の適当なアッセイで測定されるような、t−PA分子がプラスミノーゲンをプラスミンに変換する能力を指している。そのアッセイは、フィブリン、フィブリノーゲン、血漿および/または血漿の凝血などの、活性を調節する可能性のある因子の存在下もしくは非存在下で行ってもよい。
“フィブリン溶解活性”、“血栓溶解活性”および“凝血溶解活性”という表現は相互交換して用いられ、カールソン,R.H.ら,Anal.Biochem.168,428−435(1988)による精製凝血溶解アッセイおよびベネット,W.F.ら,1991,前掲により表されたその変法のような当業者に既知のいかなるin vitro凝血溶解アッセイを用いても、また凝血が精製フィブリン由来であろうが血漿由来であろうが、t−PA分子がその凝血を溶解できる能力を指している。
“特異的なフィブリン溶解活性”、“特異的な血栓溶解活性”および“特異的な凝血溶解活性”という表現は単位定常状態血漿レベルによる凝血溶解を指しており、その単位定常状態血漿レベルは上記の当業者に既知のいかなるin vitro凝血溶解アッセイによっても決定できる。
“in vivoフィブリン溶解力”、“in vivo血栓溶解力”および“in vivo凝血溶解力”という表現は相互交換して用いられ、t−PAの単位投与量あたりの凝血溶解を指している。“in vivoフィブリン溶解力”は、ハムスター肺塞栓モデル(コレン,D.ら,1991,前掲)、および“ウサギ頸静脈血栓症モデル[コレン,D.ら,J.Clin.Invest.71,368(1983)]などの、凝血溶解アッセイの許容できるいかなる動物モデルにおいても測定される。後者のモデルの特に好ましい方法を、以下の実施例にて説明している。
(野生型ヒトt−PAと比べて)“実質的にフィブリン結合性(親和性)を保持している”という表現および本明細書中で用いているその文法的変型は、変異t−PA分子のフィブリン結合親和性(見かけのKd値)が、同様のアッセイで測定される野生型ヒトt−PAに対するフィブリン結合親和性(Kd値)の約2倍以内であることを意味している。“実質的に向上したフィブリン結合性”という表現は、追加の変異や変異の組を含有することによってもたらされるt−PA変異体におけるフィブリン結合親和性(見かけのKd値)の約4倍以上の増加を指している。野生型t−PAと比較して“向上したin vivoフィブリン溶解力”という用語は、野生型t−PAの場合の約3分の1もしくはそれよりも少ない投与量のt−PA変異体を投与することにより、匹敵するin vivo凝血溶解が達成されることを指している。
“クリアランス速度”および“クリアランス”という用語は、t−PA分子が血流から除去される速度を指している。クリアランス(速度)は天然のt−PAに関して測定され、そしてそのクリアランス(速度)の減少によってそのt−PA変異体が天然のt−PAより遅く除去されることが示され、クリアランス(速度)の増加によってt−PA変異体が天然のt−PAより速く除去されることが示される。
“フィブリン特異性”という表現は、野生型ヒトrt−PAに比べて、S−2251アッセイでフィブリノーゲン依存性比活性に対するフィブリン依存性比活性の比が高い変異体の活性を指しており、比は少なくとも1.5であることが好ましい。
“血漿凝血特異性”という表現は、野生型ヒトrt−PAに比べてS−2251アッセイで血漿依存性比活性に対する凝血依存性比活性の比が高い変異体の活性を指しており、比は少なくとも1.5であることが好ましい。
“チモーゲン”、“チモーゲンの”および“チモーゲン活性”という用語は、1990年4月22日公開のWO 90/02798中の定義に従って本明細書では用いられている。この定義によれば、酵素活性全体の欠如は必要条件ではない。
“野生型ヒトt−PAの117番目のアミノ酸位置で機能的な炭水化物構造を欠いた”という表現は、117番目のアミノ酸残基で炭水化物が完全に除去されていることを意味しており、そこではグリコシル化シグナルが、以下に記載している部位特異的突然変異誘発によって破壊されているか、もしくは例えばAsn117に結合する無傷のN−アセチルグルコサミン残基を遊離させることのできるエンドグリコシダーゼの処理などによる実質的な除去によって破壊されている。
“アミノ酸”および“アミノ酸群”という用語は、天然に存在するすべてのL−α−アミノ酸を指している。この定義は、ノルロイシン、オルニチン、およびヘモシステインを含んでいることを意味する。アミノ酸は、一文字、三文字のいずれかによって確定される:
Figure 0003559559
これらのアミノ酸は、化学的組成とその側鎖の特性に従って分類することができる。それらは、2つのグループ、すなわち電荷のあるものと電荷のないものに大きく分類される。これらのグループはそれぞれ、さらに正確にアミノ酸を分類するサブグループに分けられる:
I.電荷のあるアミノ酸
産生残基:アスパラギン酸、グルタミン酸
塩基性残基:リジン、アルギニン、ヒスチジン
II.電荷のないアミノ酸
親水性残基:セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン
脂肪性残基:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン
非極性残基:システイン、メチオニン、プロリン
芳香性残基:フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン
“変更”、“アミノ酸配列の変更”、“変異体”および“アミノ酸配列の変異体”という用語は、天然のt−PAと比べてアミノ酸配列にいくつかの違いがあるt−PA分子を指している。通常、その変異体は、その構造内に保持している天然t−PAのドメインと少なくとも80%の相同性を有しており、そのようなドメインと少なくとも約90%の相同性を有するものが好ましい。本発明の範囲内に包含されるt−PAのグリコシル化変異体はまた、t−PAのグリコシル化パターンに特定の変化を生じさせるものに加え、置換、欠失、および/または挿入も含むことができる。
置換t−PA変異体とは、天然のt−PA配列において少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、同じ位置のその場所に異なったアミノ酸が挿入されているものである。その置換が単一であれば、そこでは分子内のただ1つのアミノ酸だけが置換されており、またその置換が多数であれば、2つもしくはそれ以上のアミノ酸が同一の分子内で置換されている。
t−PA分子の活性の実質的な変化は、電荷および/または構造が天然アミノ酸と有意に異なった側鎖をもったアミノ酸に置換することによって得ることができる。この型の置換は、その置換領域内でポリペプチド骨格の構造および/または分子の電荷や疎水性に影響を与えることが期待できるだろう。
t−PA分子活性の中位の変化は、天然の分子と電荷および/または構造が類似している側鎖をもつアミノ酸に置換することによって期待できるだろう。この型の置換は保存的置換と呼ばれるが、その置換領域内でポリペプチド骨格の構造または分子の電荷や疎水性を実質的に変化させることは期待できないだろう。
挿入t−PA変異体とは、天然t−PA分子の特定の位置のアミノ酸にすぐ隣接して1つもしくはそれ以上のアミノ酸が挿入されているものである。アミノ酸にすぐ隣接するとは、そのアミノ酸のα−カルボキシルもしくはα−アミノ官能基のどちらかに結合していることを意味している。その挿入は1つもしくはそれ以上のアミノ酸でよい。通常、その挿入は1つもしくは2つの保存的アミノ酸から構成される。挿入部位に隣接するアミノ酸と電荷および/または構造が類似するアミノ酸は、保存的であると定義される。また、本発明は、挿入部位に隣接するアミノ酸と実質的に異なる電荷もしくは構造をもったアミノ酸の挿入も包含する。
欠失変異体とは、天然t−PA分子中の1つもしくはそれ以上のアミノ酸が除去されているものである。通常、欠失変異体は、t−PA分子の特定の領域で1つもしくは2つのアミノ酸が欠失している。
本明細書を通じてt−PAのアミノ酸配列変異体を表すために用いている表記法を以下に説明する。t−PAのポリペプチド鎖中の特定のアミノ酸の位置は番号によって同定される。その番号は、1988年8月23日発行の米国特許番号4,766,075で示されているように、成熟した野生型のヒトt−PAポリペプチドのアミノ酸配列中のアミノ酸の位置を指している。本明細書では、実際の残基番号はその分子内の欠失や挿入のためにそのように番号付けされないが、t−PA変異体の同様に位置決定される残基は、これらの番号によって示されている。これは、例えば部位特異的欠失または挿入変異体に関して起こる。そのアミノ酸は一文字記号を用いて同定する。置換したアミノ酸は、そのアミノ酸のポリペプチド鎖中の位置を示す番号の左側に野生型アミノ酸を示し、そしてその番号の右側に置換されたアミノ酸を示すことによって命名される。
例えば、野生型ヒトt−PA分子の103番号のアミノ酸の位置でアミノ酸のスレオニン(T)をアスパラギン(N)に置換すると、T103Nt−PAという名前のt−PA変異体が生じる。同様に、野生型ヒトt−PA分子の117番目のアミノ酸の位置のアスパラギン(N)をグルタミン(Q)で追加的に置換することによって得られるt−PA変異体は、T103N,N117Qt−PAと命名される。
欠失変異体は、包括的な欠失の両端のアミノ酸残基及び位置を示し、そして示されたアミノ酸の左側にギリシャ文字のデルタ“Δ”を付けることによって確定する。例えば、296−299のアミノ酸の欠失を含んだt−PA変異体は、ΔK296−H297−R298−R299 t−PAと示される(ここにK、HおよびRはそれぞれアミノ酸のリジン、ヒスチジンおよびアルギニンである)。ただ1つのアミノ酸、例えばK296の欠失は、ΔK296と示される。挿入t−PA変異体は、挿入するアミノ酸の回りに角型括弧“[]”を用いることにより命名され、その挿入の位置は挿入の両側のアミノ酸の位置を示すことによって表す。例えば、94番目の位置のグルタミン酸と95番目の位置のアスパラギン酸の間にアミノ酸のアラニン(A)を挿入すると、E94[A]D95と示される。読みやすくするために、単一の分子内に存在する多数の変異を分けるのにコンマ“,"を用い、複数のt−PA変異体分子を同時に列挙する場合に、個々のt−PA変異体分子を分けるためにセミコロン“;"を用いている。
“DNA配列のコード”、“DNAのコード”および“核酸のコード”という用語は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの配列または順序を指している。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序は、ポリペプチド鎖に沿うアミノ酸の順序を決定する。DNA配列は、このようにアミノ酸配列をコードしている。
“複製可能な発現ベクター”および“発現ベクター”という用語は、通常は二本鎖で、その中に外来のDNA断片が挿入されていてもよいDNA断片を指している。外来DNAは異種DNAとして定義され、それは宿主細胞中に天然には見いだされないDNAである。このようなベクターは、適当な宿主細胞に外来または異種のDNAを輸送するために用いられる。いったん宿主細胞中に導入されると、ベクターは宿主の染色体DNAとは独立して複製でき、ベクターおよびその挿入された(外来)DNAのいくつかのコピーが生成され得る。さらに、ベクターは外来DNAをポリペプチド鎖に翻訳することを可能にする必須要素を含んでいる。外来DNAにコードされる多くのポリペプチド分子は、このように素早く合成することができる。
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係のある位置で配置されれば、“作動可能に結合されている”。例えば、プレ配列や分泌リーダーのためのDNAは、もしそのポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されるならば、ポリペプチドをコードするDNAと作動可能に結合されている;プロモーターやエンハンサーは、もしその配列の転写に影響を与えるなら、コードしている配列と作動可能に結合している;またはリボゾーム結合部位は、もし翻訳を促進するように位置しているなら、コードしている配列と作動可能に結合している。一般に、“作動可能に結合”とは、結合されるDNA配列が隣接していることを意味し、分泌リーダーの場合は、隣接しており解読相内にあることを意味している。しかし、エンハンサーは隣接している必要はない。結合は都合のよい制限部位での連結(ライゲーション)によって行われる。もしそのような部位が存在しなければ、合成オリゴヌクレオチドのアダプターかリンカーを通常のプラスティクスに従って用いる。
本発明に関連して、“細胞”、“細胞株”および“細胞培養”という表現は、相互交換して用いられており、そのような呼び名はすべて、後世代の細胞を含んでいる。
“形質転換した(宿主)細胞”、“形質転換体”および“形質転換した”という用語は、DNAを細胞に導入することを指している。その細胞は“宿主細胞”と呼ばれる。細胞に導入するDNAは通常、挿入されるDNA断片を含んだベクターの形をしている。細胞に導入するDNA配列は、宿主細胞と同じ種由来であっても宿主細胞とは異なった種由来であってもよく、またはある外来DNAとある同種のDNAを含むハイブリッドDNA配列であってももよい。形質転換体および形質転換した細胞という言葉は、転換の数にかかわらず、最初に形質転換を受けた細胞およびそれから誘導される培養細胞を含んでいる。あらゆる後世代の細胞は、必然的もしくは偶然の変異のためにDNAの内容において正確には同一でない可能性があることもまた理解できる。最初に形質転換した細胞においてスクリーニングされるものと同じ機能や生物学的性質をもっている変異した後世代の細胞も含まれる。
“プラスミド”は、英字の表示を後続する小文字のpによって名付けられる。本発明において用いた出発プラスミドは市販されているか、制限のない基礎にもとづいて公的にも利用可能であり、あるいは開示されている手順を用いてそのように利用可能なプラスミドから組み立てることができる。さらに、他の同様なプラスミドも当業界にて既知であり、通常の熟練者にとっては明らかであろう。
II.一般的方法
A.変異体の選択
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的にはN−結合型かもしくはO−結合型である。N−結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物鎖の結合を指している。Xがプロリン以外のアミノ酸であるアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニンのトリペプチド配列は、炭水化物鎖がアスパラギン側鎖に酵素的に結合するための認識配列である。O−結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンにN−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースといった糖の1つが結合することを指すが、5−ヒドロキシプロリンや5−ヒドロキシリジンもO−結合型グリコシル化に関与する場合がある。
哺乳類によって産生されるタンパク質のグリコシル化パターンは、血漿タンパク質:構造、機能および遺伝的調節(The Plasma Proteins:Structure,Function and Genetic Control)プトナム,F.W.,編,第2版,4巻,アカデミックプレス,ニューヨーク,1984,特に271−315ページに詳細に記載されている。本章では、配糖体として結合したオリゴ糖と同様に、複合、高マンノース、およびハイブリッド構造と呼ばれている少なくとも3つのグループへの細分を含めて、アスパラギン結合型オリゴ糖が議論されている。
酵母によって産生されるタンパク質のグリコシル化パターンは、タナーおよびレーレ,Biochim.Biophys.Acta,906(1),915−944(1987)に詳細に記載されている。
哺乳類細胞および酵母から産生されるタンパク質の典型的なN−結合型グリコシル化パターンが、1989年11月30日公開のWO 89/11531の図1で比較されている。
Bowesメラノーマ細胞から精製した天然t−PA(メラノーマt−PA、mt−PA)の炭水化物構造に関する予備的な研究は、Asn184およびAsn448の位置の複合型オリゴ糖とともに、Asn117の位置に高マンノースオリゴ糖が存在していることを示した[ポールら,Eur.J.Biochem.170,69−75(1987)]。I型t−PAは、3つのN−結合型位置がすべて炭水化物で置換されており、それに対してII型t−PAは184番目の位置に結合した炭水化物をもっておらず、したがってこの位置は天然のt−PA分子の約50%においてグリコシル化されているだけである。1つの詳細な報告[パレクら,Biochemistry 28,7644−7662(1989)]は、これらの割り当てを確証しており、さらにオリゴ糖の30%が硫酸化されていることを見いだした。
トランスフェクションしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から精製される組み換え野生型t−PA(rt−PAもしくはActivaseR t−PA)のオリゴ糖も決定されており[スペルマンら,J.Biol.Chem.264,14100−14111(1989)]、同様のグリコシル化パターンをもつことが見いだされた:Asn117の位置に高マンノースオリゴ糖、Asn184およびAsn448の位置に複合オリゴ糖が存在し、Asn184の部位はその分子の50%においてグリコシル化されているだけであった。
本発明の変異体は、野生型ヒトt−PAの103、104および105番目のいずれかのアミノ酸の位置において、N−結合型もしくはO−結合型を介してグリコシル化される可能性のあるアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでいなければならない。
N−結合型のグリコシル化を企図するなら、変異体中のグリコシル化部位は、式:アスパラギン−X−セリンまたはアスパラギン−X−スレオニン(ここに、アクセプターとしてのアスパラギンおよびXは、グリコシル化を阻害することが知られているプロリンを除く20種の遺伝的にコードされたアミノ酸のどれでもよい)で示されるトリペプチド配列である。糖タンパク質およびプロテオグリカンの生化学,W.J.レナルツ編,プレナムプレス,1980,35ページ中のストラック,D.K.およびレナルツ,W.J.;マーシャル,R.D.Biochem.Soc.Symp.40,17(1974);およびホルモンのタンパク質およびペプチド,リー,C.I.編,アカデミックプレス,ニューヨーク,1973,1−15ページを参照されたい。本発明におけるアミノ酸配列変異体は、(表面のループをより大きく、そしてより露出するようにするために103番目の位置の後にアスパラギン−X−セリン/スレオニンを加えるなどして)グリコシル化をもたらす目的で適切な部位(複数の場合もある)に適当なアミノ酸(複数の場合もある)を挿入することによって、またはグリコシル化をもたらす目的で適当なアミノ酸で適当な部位のアミノ酸(複数の場合もある)を置換することによって改変されている。
O−結合型のグリコシル化を採用するなら、O−グリコシド結合は、動物細胞において、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースと数種のヒドロキシアミノ酸のうちの1つとの間で生じ、最も一般的にはセリンかスレオニンであるが、分子内の適当な領域に位置している5−ヒドロキシプロリンもしくは5−ヒドロキシリジン残基の場合もある。
ひとつの好ましい具体例において、N−結合型のグリコシル化部位を野生型ヒトt−PAの103−105番目のアミノ酸の位置に加える。O−結合型グリコシル化では、これらの領域中の1つまたはそれ以上のアミノ酸を、セリン、スレオニンまたは5−ヒドロキシリジン残基に置換するか、またはそれを付加する。
そのようなt−PA変異体は、WO 89/11531,前掲に開示されている。
本発明のt−PA変異体は、さらに、117番目のアミノ酸残基で機能的な炭水化物構造を欠いているという点で特徴的である。好ましい具体例では、天然のt−PA分子ではグリコシル化されている他のすべてのアミノ酸位置で機能的な炭水化物構造が保持されている。そのような117番目の位置での機能的な炭水化物構造の選択的除去は、野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の117−119番目の位置にあるAsn−Ser−Serグリコシル化シグナル内の、少なくとも1つの残基をアミノ酸置換することによって行うことが好ましい。特に好ましい変異体は、117番目のアミノ酸の位置にあるアスパラギン(N)が、他のアミノ酸と置換しており、好ましい置換分はグルタミン(Q)である(例として、EP 238,304,前掲およびWO 89/04368を参照されたい)。
本発明の好ましい変異体は、天然のヒトt−PAの107番目の位置のアラニンをセリンに置換すると共に、103番目の位置のスレオニンもしくは105番目の位置のセリンがアスパラギンに置換しており、117番目の位置のアスパラギン(N)が他のアミノ酸、好ましい置換分のグルタミン(Q)に置換している。
本発明中のプラスミノーゲン活性化因子は、天然t−PAのグリコシル化パターンにおける前述の変更に加えて、その分子のある種の特性を向上するために、天然のt−PA配列の他の領域中の残基を置換、欠失もしくは挿入することも随意に含むことができる。そのような変更は当業界にて周知である。プラスミノーゲン活性化因子およびその第二世代の誘導体の一般的概観は、ハリス,Protein Engineering,:449−458(1987)およびリーネン,H.R.およびコレン,D.,Thromb.Haemost.66(1)88−110(1991)に見いだすことができる。t−PA変異体の他の概観としては、パネコークら,Fibrinolysis,:123−132(1988),Annual Reports in Medicinal Chemistry,23巻,12章(1988)中のロスら,およびヒギンスとベネット,1990前掲がある。
例えば、クリアランス速度および/または半減期をさらに向上するための方法は、本発明のt−PA変異体からフィンガーおよび/または成長因子ドメインの一部もしくは全部を除去することである。およびもしくはさらに、本発明のt−PA変異体は、275番目および276番目のアミノ酸の位置でまたはその周辺でタンパク分解切断に抵抗性を示すものがあり、および/またはt−PAのクリングル2ドメインの推定リジン結合部位内にアミノ酸変更を有している。
より遅い血漿クリアランスに加え、野生型t−PAよりもフィブリン特異性が良好なt−PA変異体を提供することが特に望ましいと考えられた。そのようなt−PA変異体は、変更を行っていないt−PAよりもフィブリン凝血部位でより優先的に働くだろうし、それゆえ循環プラスミノーゲンの活性化に付随する副作用が減少され、例えば出血性の合併症の重症度を低減し、頻度を減少させることが期待できる。
本発明のt−PA変異体のフィブリン特異性は、当業者に既知の追加的な変更によって向上することができる。
フィブリン特異性を向上させるために、本発明のt−PA変異体は、例えばセリンプロテアーゼドメインの295−302番目のアミノ酸位置で、好ましくは296−299番目のアミノ酸の位置でさらに変異を加えることができる。好ましい変異体においては、野生型t−PAの296−299番目の位置のリジン(K)、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)、アルギニン(R)の各アミノ酸をアラニンに置換する。さらに好ましい変異体においては、298および299番目の位置のアルギニンを両方ともグルタミン酸に置換する。他の好ましい変異体においては、野生型t−PAの296、297および301番目のアミノ酸の位置のリジン(K)、ヒスチジン(H)、およびプロリン(P)をさらにグルタミン(Q)、アスパラギン(N)およびセリン(S)にそれぞれ置換する。さらに好ましい具体例においては、本発明のt−PA変異体のフィブリン特異性は、野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の274、275、276および277番目のアミノ酸の位置のフェニルアラニン(F)、アルギニン(R)、イソロイシン(I)およびリジン(K)を、ロイシン(L)、ヒスチジン(H)、セリン(S)およびスレオニン(T)のアミノ酸にそれぞれ置換することによって向上させる。後者の変更は、結果としてプラスミン切断部位を喪失させるので、その変異体は実質上一本鎖型である。
さらに、本発明の分子は、チモーゲン特性を含む追加的な望ましい特性を与えるために、ある種の位置で置換を行ってもよいし、または欠失を含んでもよい。ヒトt−PA中のこれらの位置は、例えば416−418番目の位置のリジン、ヒスチジン、グルタミン酸をそれぞれアラニンに置換すること、および426、427、429および430番目の位置のグルタミン酸、アルギニン、リジンおよびグルタミン酸をそれぞれアラニンに置換することを包含しており、これらは、例えば1990年3月22日公開のWO 90/02798に記載されている。
適当な多重の変異体の例は次の通りである:T103N,N117Z t−PA;S105N,A107S,N117Z t−PA;T103N,N117Z,KHRR(296−299)AAAA t−PA;S105N,A107S,N117Z,KHRR(296−299)AAAA t−PA;T103N,N117Z,R298E,R299E t−PA;S105N,A107S,S117Z,R298E,R299E t−PA;T103N,N117Z,K296Q,H297N,P301S t−PA;S105N,A107S,N117Z,K296Q,H297N,P301S t−PA;T103N,N117Z,FRIK(274−277)LHST t−PA;S105,A107S,N117Z,FRIK(274−277)LHST t−PA。ここでは、Zはアスパラギン(N)を除く20種の天然に存在するアミノ酸のどれでもよいことを示している。特に好ましいものは、117番目の位置のアスパラギン(N)がグルタミン(Q)に置換しているt−PA変異体である。
B.変異体の構築
天然のt−PA分子への余分のグリコシル化の付加および117番目のアミノ酸残基での機能的な炭水化物構造の除去は、当業者に知られているいずれの方法によっても成し遂げることができる。
タンパク質へのグリコシドの化学的および酵素的な結合は、例えばCRC Crit.Rev.Biochem.pp.259−306(1981)中にてアルフィンおよびリストンによって記載されているように、さまざまな活性基を用いて行うことができる。化学的な結合技術の利点は、その技術が比較的単純であり、天然のO−およびN−結合型グリコシル化に求められる複雑な酵素的機構を必要としないということである。用いる結合方法によって、糖は、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)グルタミン酸およびアスパラギン酸におけるような遊離のカルボキシル基、(c)システインにおけるような遊離のスルフヒドリル基、(d)セリン、スレオニンまたはヒドロキシプロリンにおけるような遊離の水酸基、(e)フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンのような芳香族残基、または(f)グルタミンのアミド基に結合できる。これらの方法は、WO 87/05330(1987年9月11日公開)中に記載されている。
天然ヒトt−PAの117番目のアミノ酸炭水化物構造は、例えばエンドグリコシダーゼH(Endo−H)のようなエンドグリコシダーゼを用いることによって実質的に除去することができる。Endo−Hは、高マンノースおよびハイブリッドオリゴ糖の(部分的な)除去が可能なだけである。したがって、Endo−Hは、適当な条件下、184および448番目のアミノ酸残基の位置の複合構造に機能的な影響を与えずに、天然ヒトt−PAの117番目のアミノ酸残基(Asn)の高マンノース炭水化物構造を(実質的に)除去することができる。この処理は、それ自体知られている技術によって、例えばタレンティノら,J.Biol.Chem.249、811(1974),トリンブルら,Anal.Biochem.141,515(1984)およびリトルら,Biochem.23,6191(1984)の方法によって行われる。
本発明のt−PA変異体は、野生型t−PAをコードするDNA配列を突然変異し、適当な宿主細胞において変異DNA配列を発現することによって構築するのが好ましい。
所望の配列変異を得るために天然の分子内の適当なアミノ酸(群)を変化または挿入するという変更は、例えば部位特異的突然変異誘発や、以下に説明するような、関連タンパク質をコードするDNA中に適当な配列を結合するなど当業者に既知の方法によって行われる。
例えば、サンブルークら[Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス,ニューヨーク(1989)]で記載されているような部位特異的突然変異誘発を行うためには、当業者に知られているいかなる手法を用いてもよいが、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発が本発明のt−PA変異体を調製するための好ましい方法である。当業界で周知のこの方法[アデルマンら,DNA,:183(1983)],サンブルークら,前掲]は、置換変異体を作成するのに特に適しており、それはまた欠失および挿入変異体を簡便に調製するために用いてもよい。
オリゴヌクレオチドは、クレアら(Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA,75:5765[1987])に記載されているような当業界にて周知の手法を用いて容易に合成される。
1つ以上のアミノ酸が置換している変異体は、数種の方法のうちの1つによって作成することができる。アミノ酸同士がポリペプチド鎖中の近くに位置しているならば、目的のアミノ酸置換のすべてをコードする1つのオリゴヌクレオチドを用いて同時に変異を起こすのがよい。しかし、アミノ酸同士が互いに少し離れて位置している(例えば10アミノ酸以上離れている)ならば、目的の変異のすべてをコードする1本のオリゴヌクレオチドを作成することはより困難である。その代わり、2つの二者択一的方法のうち1つを採用してもよい。第一の方法では、置換されるべき各アミノ酸に対して別個のオリゴヌクレオチドを作成するというものである。それらのオリゴヌクレオチドを同時に1本鎖の鋳型DNAにアニーリングすると、その鋳型から合成される第二のDNA鎖は、目的のアミノ酸置換のすべてをコードするだろう。他の方法は、目的の変異体を作成するために2つもしくはそれ以上の突然変異誘発を行う。
例えば本発明に従って新しいグリコシル化部位を導入するなどの、野生型t−PAもしくは変異分子をコードするDNA配列に変異を作成するための当業者に既知の他の方法は、出発t−PA分子をコードするDNA配列を制限酵素消化によって適当な位置で切断し、適当に切断したDNAを回収し、グリコシル化のための目的のアミノ酸配列および平滑末端をもったポリリンカーのようなフランキング領域(もしくは、ポリリンカーの代わりに、t−PAをコードしているDNAを切断するにも用いられる制限酵素で合成オリゴヌクレオチドを切断し、それによって付着末端を作り出す)をコードしているオリゴヌクレオチドを合成し、そして残りのt−PAをコードしている構造遺伝子中にその合成DNAを結合することからなっている。
例えば1987年7月28日発行の米国特許番号4,683,195およびCurrent Protocols in Molecular Biology,オースベルら,編.Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience,第2巻,第15章,1991中に記載されているPCR突然変異誘発もまた、本発明のt−PA変異体を作成するのに適している。
本発明のt−PA変異体をコードするcDNAは、さらなるクローニングや発現のために複製可能なベクターに挿入する。
適したベクターは、標準的な組み換えDNAの手順を用いて調製される。単離したプラスミドおよびDNA断片は切断し、必要に合わせて調整し、目的のベクターを作り出すために特定の順序で一緒に連結する。
連結の後、挿入された外来遺伝子をもつベクターを、適した宿主細胞中に形質転換する。形質転換した細胞は、一般的にはテトラサイクリン(tet)やアンピシリン(amp)などの抗生物質上での生育によって選択するが、これはベクター上にtetおよび/またはamp耐性遺伝子が存在することでこの抗生物質に対する耐性が付与されることによっている。連結混合物を真核生物の宿主細胞に形質転換したなら、形質転換細胞はDHFR/MTXシステムによって選択することができる。形質転換細胞は培養中で生育し、次いでプラスミドDNA(プラスミドとは、関心のある外来遺伝子とつながれているベクターを指している)を単離する。次に、プラスミドDNAは制限マッピングおよび/またはDNA配列決定によって分析する。DNAの配列決定は一般的にメシングら,Nucleic Acid Res.,9:309(1981)の方法またはマキサムら,Method of Enzymology,65:499(1980)の方法のどちらかによって行う。
原核生物は、本発明の最初のクローニング工程に用いる宿主細胞として好ましい。それらは、大量のDNAを迅速に生産するために、また部位特異的突然変異誘発に用いる1本鎖DNAの鋳型を生産するために、また多くの変異体を同時に選択するために、そして生成した変異体のDNA配列決定をするために、特に有用である。適した原核宿主細胞には、E.coli K12株 294(ATCC番号31,446)、E.coli株 W3110(ATCC番号27,325)、E.coli X1776(ATCC番号31,537)およびE.coli Bがある;しかし、HB101、JM101、NM522、NM538、NM539などの多くの他のE.coliの株および原核細胞の多くの他の種と属もまた用いてもよい。当然ながら、これらは制限的なものではなく、例示を意図するものである。
宿主細胞と適合する種由来のレプリコンおよび制御配列を含むプラスミドベクターをその宿主とともに用いる。ベクターは通常、複製起点、形質転換細胞にて表現型の選択を可能にするマーカー遺伝子、1つまたはそれ以上のプロモーター、および外来DNAの挿入のための幾つかの制限酵素部位を含むポリリンカー領域をもっている。E.coliの形質転換に用いられるプラスミドは一般的には、pBR322、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119およびブルースクリプト(Bluescript)M13などであり、それらはすべて、サンブルークら,前掲の1.12−1.20セクションに記載されている。しかし、多くの他の適したベクターもまた利用可能である。これらのベクターは、アンピシリンおよび/またはテトラサイクリン耐性をコードする遺伝子を含んでおり、この耐性のために、これらのベクターで形質転換された細胞がこれらの抗生物質存在下でも生育できるようになる。
原核細胞のベクターで最も一般的に用いられるプロモーターは、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーターシステム(チャンら,Nature,37 5:615[1978];イタクラら、Science,198:1056[1977];ゴーデルら,Nature,281:544[1979])およびトリプトファン(trp)プロモーターシステム(ゴーデルら,Nucl.Acids Res.,:4057[1980];EPO Appl.Publ.No.36,776)、およびアルカリホスファターゼシステムなどである。これらが最も一般に使用されているが、他の微生物プロモーターも利用されており、それらのヌクレオチド配列に関する詳細は公開されており、当業者がそれらをプラスミドベクターに機能的に連結するのを可能にしている(シーベンリストら,Cell,20:269[1980]参照)。
本発明のt−PA変異体の発現のために、真核細胞微生物(酵母)などの真核細胞宿主および多細胞生物(哺乳類細胞培養)を使用する。
Saccharomyes cerevisiaeまたは一般的なパン酵母は下等な真核細胞宿主の微生物のなかでは最も一般に使用される。しかし、Schizosaccharomyces pombe[ビーチおよびナース,Nature,290:140(1981);1985年4月2日公開のEP 139,383];K.lactis[MW98−8C,CBS683,CBS4574;ルーベンコートら,J.Bacteriol.,737(1983)]、K.farqilis(ATCC 12,424)、K.bulqaricus(ATCC 16,045)、K.wickeramii(ATCC24,178)などのKluyveromyces宿主(米国4,943,529;フリアーら,前掲);K.waltii(ATCC56,500)、K.drosophilarum(ATCC36,906;ファンデンベルク羅,前掲)、K.thermotolerans、およびK.marxianus:yarrowia[EP 402,226];Pichia pastoris[EP 183,070;スリークリスナら,J.Basic Microbiol.,28:265−278(1988)];Candida;Trichoderma reesia[EP 244,234];Neurospora crassa[ケースら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:5259−5263(1979)];Schwanninomyces occidentalis[1990年10月31日公開のEP 394,538]などのSchwanniomyces;Neurospora、Penicillium、Tolypocladium[1991年1月10日公開のWO 91/00357]などの糸状菌類、およびA.nidulans[バランスら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,112:284−289(1983);ティルバーンら,Gene,26:205−221(1983);イェルトンら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:1470−1474(1984)]などのAsperqillus宿主およびA.niger[ケリーおよびハイネス,EMBO J.,:475−479(1985)]などの多くの他の属、種および株が本発明に一般に利用可能であり有用である。
酵母ベクターに適するプロモーター活性のある配列は、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(ヒッツェマンら,J.Biol.Chem.,255:2073[1980])もしくはエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸脱炭酸酵素、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼおよびグルコキナーゼなどの他の解糖系酵素(ヘスら,J.Adv.Enzyme.Req.,:149[1968];ホーランドら,Biochemistry,17:4900[1978])に対するプロモーターを含んでいる。適した発現プラスミドを構築するには、これらの遺伝子と関係する終結配列もまた、mRNAのポリアデニル化と終結をもたらすように発現する目的の、発現ベクター内の配列の3'側に連結する。生育条件によって転写が制御されるという追加的な利点をもつ他のプロモーターは、アルコール脱水素酵素2、イソチトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、および前述のグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、およびマルトースとガラクトースの利用に関係する酵素に対するプロモーター領域である。酵母と適合するプロモーター、複製起点および終結配列を含むあらゆるプラスミドベクターが適している。
多細胞生物由来の細胞培養は、本発明を実施するための宿主として利用することができる。無脊椎動物および脊椎動物の細胞培養の両方が許容されるが、脊椎動物の細胞培養、特に哺乳類の培養が好ましい。適した細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CVI系列(COS−7,ATCC CRL 1651);ヒト胎児腎臓系列293S(グラハムら,J.Gen.Viorol.,36:59[1977]);幼ハムスター腎臓細胞(BHK,ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(ウーラブおよびチャシン,Proc.Natl,Acad.Sci.USA,77:4216[1980]);マウスセルトリ細胞(TM4,マザー,Biol.Reprod.,23:243[1980]);サル腎臓細胞(CVI−76,ATCC CCL 70);アフリカミドリサル腎臓細胞(VERO−76,ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA,ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK,ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A,ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Heq G2,HB 8065);マウス乳癌細胞(MMT 060562,ATCC CCL 51);ラット肝癌細胞(HTC,MI.54,ボーマンら,J.Cell Biol.,85:1[1980]);およびTRI細胞(マザーら,Annals N.Y.Acad.Sci.,383:44[1982])などである。これらの細胞のための発現ベクターは通常、複製起点、発現される遺伝子の前に位置するプロモーター、リボゾーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写終結部位を(もし必要であるなら)含んでいる。
哺乳類の発現ベクターで用いられるプロモーターは、しばしばウイルス由来である。これらのウイルスプロモーターは一般的にはポリオーマウイルス、アデノウイルス2および最も頻繁にはシミアンウイルス(Simian Virus)40(SU40)である。SV40ウイルスは、初期プロモーターおよび後期プロモーターと呼ばれる2つのプロモーターを含んでいる。これらのプロモーターは両方とも、ウイルスの複製起点も含んでいる1つのDNA断片としてウイルスから容易に得られるので、特に有用である(フィアースら,Nature,273:113[1978])。より小さいかもしくはより大きいSV40のDNA断片もまた、ウイルスの複製起点中に位置するHind III部位からBgl I部位までをまたぐ約250−bp配列を含んでいるならば、使用することができる。
または、外来遺伝子と自然に関連するプロモーター(同種のプロモーター)は、もしそれが形質転換のために選択した宿主細胞系列と適合するなら、使用してもよい。
複製起点は、SV40や他のウイルス(例えば、ポリオーマ、アデノ、VSV、BPV)のような外来の供給源から得て、クローニングベクター内に挿入してもよい。または、複製起点は、宿主細胞の染色体複製機構によって供給されてもよい。もし外来遺伝子を含んでいるベクターが宿主細胞の染色体に組み込まれるなら、後者の方法で十分となる場合が多い。
形質転換した細胞培養から満足のいく量のヒトt−PAが産生される。しかし、二次的なDNAコード化配列を使用すると、生産レベルを上昇させることができる。二次的なコード化配列は、一般にジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)酵素を含んでいる。野生型のDHFRは普通、化学的なメトトレキセート(MTX)によって阻害される。細胞におけるDHFR発現レベルは、培養している宿主細胞に添加するMTXの量によって変動する。二次的な配列として特に有用なものにしているDHFRのさらなる特徴は、形質転換した細胞を同定するための選択マーカーとしてDHFRが利用できることである。
DHFRの2つの型、つまり野生型DHFRおよびMTX耐性DHFRは、二次的な配列として利用可能である。特定の宿主細胞で用いられるDHFRの型は、宿主細胞がDHFR欠損であるかどうか(宿主細胞が、内因性に非常に低いレベルのDHFRを産生するか、もしくは機能的なDHFRを全く産生しないかということ)に依存している。ウーラブおよびチャシン(Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77:4216[1980])によって記載されているCHO細胞株のようなDHFR欠損細胞株を、野生型DHFRをコードする配列で形質転換する。形質転換の後では、これらのDHFR欠損細胞系列は機能的なDHFRを発現し、栄養源であるヒポキサンチン、グリシンおよびチミジンを欠く培養培地中で生育することができる。形質転換していない細胞は、この培地では生存できないだろう。
MTX耐性の型のDHFRは、MTX感受性の通常量の機能的DHFRを内生的に産生するこれらの宿主細胞中で、形質転換した宿主細胞を選択するための手段として使用することができる。CHO−K1細胞株(ATCC番号CL 61)はこれらの特徴を備えており、したがってこの目的にとって有用な細胞株である。細胞培養の培地にMTXを添加すると、MTX耐性DHFRをコードしているDNAによって形質転換された細胞だけが生育することができるだろう。形質転換していない細胞は、この培地では生存できない。
本発明の変異体を作るために用いられる哺乳類の宿主細胞は、種々の培地で培養することができる。Ham's F10(Sigma)、最少必須培地([MEM],Sigma)、RPMI−1640(Sigma)、ダルベッコ改変イーグル培地([DMEM],Sigma)などの市販されている培地は、宿主細胞を培養するのに適している。さらに、ハムおよびウェルス(Meth.Enz.,58:44[1979])、バーンズおよびサトウ(Anal.Biochem.,102:255[1980])、米国特許番号4,767,704;4,657,866;4,927,762;又は4,560,655;WO 90/03430;WO 87/00195;米国特許Re.30,985;に記載されている培地はどれでも、宿主細胞の培養培地として使用することができる。これらの培地のどれでも、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の成長因子(インスリン、トランスフェリンまたは上皮成長因子など)、塩類(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオシド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質(ゲンタマイシンなど)、微量元素(通常、最終濃度がマイクロモル濃度の範囲で存在する無機化合物と定義される)、およびグルコースまたは等価のエネルギー源を添加してもよい。他のいかなる必要な添加物も、当業者に既知であるような適当な濃度で含有させればよい。
細胞から普通に分泌される多く真核生物タンパク質は、アミノ酸配列の一部として内因性のシグナル配列を含んでいる。この配列は、小胞体およびゴルジ体を経由してタンパク質を細胞から輸送することを目的としている。シグナル配列は、一般にタンパク質のアミノ末端に位置しており、長さは約13から約36アミノ酸にわたっている。実際の配列はタンパク質によって異なっているけれども、既知の真核生物のシグナル配列のすべては、シグナル配列の中心付近に少なくとも1つの正の電荷をもつ残基と10−15アミノ酸の高い疎水性領域(通常はアミノ酸のロイシン、イソロイシン、アラニン、バリンおよびフェニルアラニンに富んでいる)を含んでいる。シグナル配列は、小胞体中にタンパク質が転位するあいだに小胞体に位置するシグナルペプチダーゼによって分解されるので、普通はタンパク質の分泌型には存在しない。シグナル配列がなお結合しているタンパク質は、「プレタンパク質」またはタンパク質の未成熟型としばしば呼ばれる。
しかし、分泌タンパク質のすべてが、切断されるアミノ末端シグナル配列を有しているという訳ではない。オボアルブミンなどのいくつかのタンパク質のシグナル配列はタンパク質の中央領域に位置している。この配列は、転位のあいだに切断されないのが普通である。
細胞質中に通常見いだされるタンパク質は、シグナル配列をタンパク質へ結合することにより分泌が可能になる。これは、タンパク質をコードしているDNAの5'末にシグナル配列をコードしているDNAを連結し、それから適当な宿主においてこの融合タンパク質を発現させることによって、容易に成し遂げられる。シグナル配列をコードするDNAは、シグナル配列をもっているタンパク質をコードするいかなる遺伝子からも制限断片として得ることができる。このように、原核生物、酵母および真核生物のシグナル配列は、本発明を実施するために利用する宿主細胞の型に応じて、本発明にて用いることができる。遺伝子のシグナル配列の部分をコードするDNAは、適当な制限エンドヌクレアーゼを用いて切断し、次いで分泌されるべきタンパク質すなわちt−PAをコードするDNAに結合する。
機能的なシグナル配列の選択に当たっては、シグナル配列の切断およびタンパク質の分泌が起こるように、そのシグナル配列が宿主細胞のシグナルペプチダーゼによって認識されることが必要である。例えば、ヒト成長ホルモン、プロインスリンおよびプロアルブミンなどのいくつかの真核生物遺伝子のシグナル配列部分をコードするDNAおよびアミノ酸配列が知られており(ストライヤー,Biochemistry,W.H.Freeman and Company,ニューヨーク[1988],p.769参照)、それらは適当な真核生物の宿主細胞にてシグナル配列として使用できる。酵母のシグナル配列は、例えば酸ホスファターゼ(アリマら,Nuc.Acids Res.,11:1657[1983]),アルファ−ファクター、アルカリホスファターゼおよびインベルターゼのように、酵母宿主細胞からの直接的な分泌に用いることができる。他の遺伝子と同様に、例えばLamBまたはOmpF(ワンら,Gene 68:193[1988])、MalE、PhoA、またはβ−ラクタマーゼをコードする遺伝子由来の原核生物シグナル配列は、原核細胞由来のタンパク質をから培養培地中に分泌させるために使用できる。
関心のあるタンパク質にシグナル配列を与え、それが分泌できるようにするための他の技術は、シグナル配列をコードするDNAを化学的に合成することである。この方法においては、選択されたシグナル配列をコードするオリゴヌクレオチドの両方の鎖を化学的に合成し、それから2本鎖を形成するために互いにアニーリングする。次いで、2本鎖のオリゴヌクレオチドを、タンパク質をコードするDNAの5'末端に連結する。
次にシグナル配列が結合されたタンパク質をコードするDNAを含む構築物を、適当な発現ベクターに連結すればよい。この発現ベクターを適当な宿主細胞に形質転換し、関心のあるタンパク質を発現させ、分泌させる。
哺乳類の宿主細胞および堅固な細胞膜の障壁をもっていない他の宿主細胞は、もともとグラハムおよびファンデル編(Virology,52:546[1978])によって記載され、サンブルークら,前掲の16.32−16.37節に記載されているように改変されたリン酸カルシウム法を用いて通常は形質転換する。しかし、ポリブレン法(カワイおよびニシザワ,Mol.Cell.Biol.,:1172[1984])、プロトプラスト融合(シャフナー,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:2163[1980])、エレクトロポレーション法(ノイマンら,EMBO J.,:841[1982])および核内への直接マイクロインジェクション法(カペチ,Cell,22:479[1980])などのDNAを細胞内に導入する他の方法も使用してもよい。
酵母宿主細胞は、ヒネン(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,75:1929[1978])によって記載されている、ポリエチレングリコール法を用いて一般的には形質転換する。
原核生物の宿主細胞または堅固な細胞壁をもった他の宿主細胞は、サンブルークら,前掲の1.82節に記載されている塩化カルシウム法を用いて形質転換するのが好ましい。または、これらの細胞の形質転換にはエレクトロポレーション法を用いてもよい。
t−PA変異体は、分泌シグナルなしで直接発現したときに宿主細胞の溶解液から回収してもよいが、分泌タンパク質として培養培地から回収するのが好ましい。その変異体をヒト起源の細胞以外の組み換え細胞で発現させた場合には、その変異体はヒト起源のタンパク質を完全に含まない。しかし、タンパク質に関して実質的に均質な調製物を得るには、組み換え細胞タンパク質から変異体を精製する必要がある。最初の段階として、培養培地または細胞溶解液を遠心分離して粒状の細胞破壊物の破片を除去する。
それから、変異体は、例えば免疫アフィニティもしくはイオン交換カラムでの分取;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカもしくはDEAEのような陽イオン交換体上でのクロマトグラフィー;硫酸アンモニウム沈殿;またはゲル電気泳動によって、混入している可溶性タンパク質から精製する。フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)などのt−PA活性を妨害しないプロテアーゼインヒビターもまた、精製のあいだにタンパク質の分解を阻害するために用いてもよく、抗生物質もまた外来の混入物の生育を抑えるために添加してもよい。当業者であれば、天然t−PAに適する精製方法は、組み換え細胞培養での発現の際にt−PAもしくはその変異体の性質が変化することを考慮した変更が必要な場合のあることは認識されよう。
好ましい具体例では、t−PA変異体を分泌させ、集めた細胞培養液を透析濾過し、そしてリジンアフィニティークロマトグラフィーによってt−PA変異体を精製する。または、細胞培養の上清は、PBSで前もって平衡化してある抗t−PAヤギポリクローナルA6抗体を結合したガラスビーズカラムに通してもよく、続いて緩衝液でそのカラムを平衡化し、そしてt−PA変異体を溶出する。
本発明の化合物は、製薬的に有用な組成物を調製するための既知の方法にしたがって製剤化することができ、それによってt−PA産物は製薬的に許容し得る担体と混合する。適した担体とその製剤化法は、オスロらによって編集されたRemington's Pharmaceutical Science,第16版,1980,Mack Publishing Co.中に記載されている。これらの組成物は、患者への効果的投与に適する製薬的に許容し得る組成物を調製するための適量の担体とともに、例えば約0.5mg/mlから約5mg/mlのオーダーに及ぶt−PAの有効量を一般的に含む。t−PA変異体は、心血管疾患や病気に侵されている患者に非経口的にまたは効果的な形態で確実に血中に運んでくれるような他の方法によって投与することができる。
本発明を実施するために用いられるt−PA変異体の臨床的投与にとって特に適した組成物は、無菌の水溶液や凍結乾燥したタンパク質のような無菌の水和性粉末を含んでいる。通常、適当量の製薬的に許容し得る塩もまた、製剤を等張にするために、その製剤に使用される。リン酸と組み合わされているアルギニン塩基などの緩衝液もまた、普通5.5から7.5の間の適切なpHを維持するのに適当な濃度で一般的に含ませる。さらにもしくはまたは、グリセリンのような化合物を貯蔵寿命の維持を助けるために製剤中に含めてもよい。
本発明の医薬組成物の投与量および望ましい薬物濃度は、特定の変異体と目的とする特定の用途に応じて変化してもよい。適当な投与量の決定は、特に野生型組み換えヒトt−PAの投与に関する広範な経験という観点で、医師の技術の範囲内にゆだねられる。本発明のt−PA変異体では血漿半減期が延長しているため、特にボーラス投与に適している。投与の好ましい様式によれば、本発明のt−PA変異体は、実質的にt−PAクリアランス機構を飽和する最初静脈内ボーラス投与量で投与し、続いて、任意にさらなるボーラスおよび/または連続静脈内投与を行う。野生型t−PAに匹敵する生物学的活性をもつ変異体の投与量の合計は、約100mgであることが好ましい。さらに活性の高い変異体であれば、より低濃度でも同様の効果を示す。フィブリン特異性が向上した変異体は、出血性合併症の危険を有意に増加させることがなく、高投与量で投与することができる。
一般的な規則として、投与量と投与速度は、他の心血管血栓溶解剤の臨床研究で現在使用されている場合と等しいかもしくはより高く、例えば、心筋梗塞、肺塞栓などに苦しむヒトの患者では、1.5から12時間にわたる静脈内もしくは動脈内投与量は約1−2mg/kg体重である。
例えば、深在静脈血栓症や末梢血管疾患の処置では、約0.05から約0.2mg/kgのオーダーでの“ボーラス”投与を行い、次いで極力一定の血中レベルを保つために投与する約0.1から約0.2mg/kgのオーダーの以後の投与を行うことが一般的には好ましく、その血中レベルは約3μm/mlのオーダーであることが好ましい。
適当な投与剤型の一例として、50mgのt−PA、アルギニン、リン酸およびポリソルベート80を含むバイアルを50mlの注射用滅菌水で再構成し、適当量の0.9%塩化ナトリウム注射液を混和する。
本発明のt−PA変異体はまた、フィブリン沈着や癒着の形成および再形成を予防するのに有効である。この用途のひとつの具体例は1989年1月4日公開のEPO 297,860に記載されている。一般にこの型の処置は、フィブリンもしくは癒着形成の可能性のある部位へある組成物を局所投与することからなり、その組成物は、約3日から2週間の期間をかけてその部位で持続的に放出するような難溶性形態のt−PA変異体の治療的有効量を含んでいる。一般的に、t−PA変異体は、手術、感染、外傷もしくは炎症後のフィブリン沈着や癒着の形成を予防するに十分な用量で投与する。通常、この用量は、ゲルの0.02mg/gからゲルの25mg/gであり、好ましいのはゲルの0.20mg/gからゲルの約2.5mg/gであり、最も好ましいのは、ゲルの0.25mg/gからゲルの約1.0mg/gである。癒着の形成および/またはフィブリン沈着を予防するために用いる個々のt−PA変異体は、癒着形成の可能性のある部位に酵素を位置決めするための半固形で粘液性の製薬的に活性のない担体中で一般的に製剤化される。その担体は、修飾された飽和および不飽和脂肪酸グリセリドの混合物からなる長鎖炭化水素もしくは植物油および木臘を含んでいる。例示すれば、ワセリンや半合成グリセリドのような半固形ビヒクル、グリセリンのような多水酸性溶媒、長鎖炭化水素、生体侵食性のポリマーもしくはリポソームが挙げられる。
次の実施例は、本発明を実施するために現在考えられる最良の方法を単に例示するに過ぎず、本発明を制限するものであると解釈すべきではない。
実施例1
t−PA変異体の組み換え的生産
I.ベクターの構築と突然変異
本発明の新しいt−PA変異体は、t−PA発現ベクターであるpRK7−t−PAで構築した(例えば、1990年3月22日公開のWO 90/02798および1992年2月20日公開のWO 92/02612参照)。変異型もしくは野生型t−PAを含んでいるこのベクターを、ヒト胎児腎臓細胞(293c)でのトランスフェクションおよび発現に用いた。
t−PAcDNAの部位特異的突然変異誘発は、アマルシャムコーポレーションから購入したキット(カタログ番号 RPN1253)を用いてテイラーら,Nucl.Acids.Res.,13:8756(1985)の方法で行った。目的の変異体を作成するために、目的のアミノ酸配列置換をコードする配列のオリゴヌクレオチドを合成し、それをプライマーとして用いた。これらのオリゴヌクレオチドを標準的な方法[ヴィエラら,Meth.Enz.,143:3(1987)]で調製しておいた一本鎖pRK7−t−PAとアニーリングした。
t−PA変異体のいくつかはクンケル(Kunkel)突然変異誘発[クンケル,T.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82,488−492(1985)およびクンケル,T.A.ら,Meth.Enz.,14 3:3(1987)]を用いて作成した。
デオキシリボアデノシン(dATP)、デオキシリボグアノシン(dGTP)およびデオキシリボチミジン(dTTP)の3つのデオキシリボヌクレオチドの混合物を、キットの製造元がキット中に提供しているdCTP(aS)と呼ばれる修飾チオ−デオキシリボシトシンと一緒にし、それを、オリゴヌクレオチドをアニーリングしている一本鎖pRK7−t−PAに加える。
DNAポリメラーゼをこの混合物に添加すると変異した塩基以外はpRK7−t−PAと同一のDNA鎖が生じる。さらに、この新しいDNA鎖は、dCTPの代わりに、制限エンドヌクレアーゼ消化からそのDNA鎖を守る働きのあるdCTP(aS)を含有している。2本鎖のヘテロ二重分子の鋳型鎖に適当な制限酵素でニック(切れ目)を入れた後、その鋳型鎖を突然変異誘発性のオリゴマーを含んだ領域を越えてExo IIIヌクレアーゼで消化した。それから、一部分だけ1本鎖である分子を残しておくためにその反応を止めた。それから、4種類すべてのデオキシリボヌクレオチド3リン酸、ATPおよびDNAリガーゼの存在下にDNAポリメラーゼを用いて完全な2本鎖DNAホモ二重分子を形成した。
pRK7−t−PA分子を作成するためにプライマーとして用いたオリゴヌクレオチドを次の表1に示す:
Figure 0003559559
S105N,A107St−PA変異体およびKHRR(296−299)AAAAt−PA変異体は1つ以上のアミノ酸置換を含んでいるので多重変異体であるが、それらはただ1つのオリゴヌクレオチドを用いてそれぞれ作成された。これが可能なのは、置換アミノ酸がポリペプチド鎖中で互いに非常に近い場所に位置しているからである。
さらなる多重変異体を調製するために、上記の手順のなかで細かい変更を行った。下記の変異体のための鋳型DNAは、野生型t−PA(pRK7−t−PA)ではなかった。その代わりに、使用した鋳型は、少なくとも単一の変異を含むDNA、すなわち上記の表1中で変異体の構築で調製したDNAであった。鋳型として使用したDNA、および作成したそれぞれの二重座変異体に追加的な変異を生じさせるために使用したオリゴヌクレオチドを以下の表2に列挙する。各オリゴヌクレオチドのDNA配列は上記の表1に記載している。星印は、本発明を例示する変異体を示している。
Figure 0003559559
次の多重(“三重座”)変異体は、鋳型として鋳型の段に示す多重変異体を用いて、基本的に前出の手順に従って作成した。各オリゴヌクレオチドの配列は上記の表1に記載している。星印は、本発明を例示する変異体を示している。
Figure 0003559559
II.細菌の形質転換およびDNAの調製
上述のプロトコールを用いて作成したt−PA変異体構築物を、コンピテント細胞の調製と形質転換のための標準的なCaCl2法(1.76−1.84節 サンブルークら,前掲)を用いてE.coli宿主株MM294tonAに形質転換した。E.coli株MM294tonA(T1ファージ耐性)は、tonA遺伝子へのTn10トランスポゾンの挿入と、その後の正確性を欠いた切除によって調製した。次に、トランスポゾン挿入突然変異[クレックナーら,J.mol.Biol.,116:125−159(1977)]を用いて、E.coli宿主MM294(ATCC 31,446)にこの遺伝子を挿入した。
DNAは、マニアティスら,前掲の標準的なミニプレップの手順を用いて細菌の形質転換体の個々のコロニーから抽出した。さらに、プラスミドはセファクリルCL6Bスピンカラムを通して精製し、それから塩基配列決定によって、および制限エンドヌクレアーゼ消化とアガロース電気泳動によって分析した。
または、塩基配列は1本鎖レベルで決定し、2本鎖のプラスミドは、製造元の説明書に従ってキアーゲンプラスミドキット(Qiagen plasmid kit)により細菌の形質転換体から精製した。
III.ヒト胎児腎臓293細胞の形質転換
ヒト胎児腎臓293細胞は、6穴−ウェルプレートで70%全面成長するまで増殖した。t−PA変異体をコードしているプラスミド2.5μgを150μlの1mM Tris−HCl、0.1mM EDTA、0.227M CaCl2に溶解した。150μlの50mM HEPES緩衝液(pH7.35)、280mM NaCl、1.5mM NaPO4をこれに加え(ボルテックスをしながら滴加)、25℃で10分かけて、沈殿を形成させた。それから、懸濁した沈殿を6穴−ウェルプレートの個々のウェル内の細胞に加え、インキュベーター内に一晩入れておいた。それから、培地を吸引除去し、20%のグリセリンを含有したPBS(リン酸緩衝食塩水)1mlを加えた。次いで、3mlの無血清培地を加え、細胞を5日間インキュベートした。それから培地を収集し、アッセイを行った。
例えば、293細胞において本発明のt−PA変異体を大量に生産して精製するためのトランスフェクションは、WO 90/02798,前掲に記載されているように行うことができる。
IV.チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における発現および精製
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において本発明のt−PA変異体をトランスフェクションおよび発現するために、応用範囲の広い親ベクターであるpSVI6B5(形質転換されたE.coli株 ATCC番号68,151)を用いた。pSVI6B5の構築は、1992年2月11日発行の米国特許番号5,087,572に記載されている。
グラハムおよびファンデルエプ,前掲の一般的な手順を用いて、目的のt−PA変異体をコードしているcDNA配列がポリリンカー部位に挿入されているpSVI6B5に基づく発現ベクターおよびdhfr選択ベクターPFD11[シモンセンおよびレビンソン,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80,2495−2499(1983)]を、非選択培地で生育させておいた(ウーラブおよびチャシン、前掲に記載されているような)CHO−dhfrに同時トランスフェクションした。トランスフェクションの後、a)グリシン、ヒポキサンチンおよびチミジンを欠いているか、またはb)これらの成分を欠いていると同時に10から300nMの範囲の濃度のメトトレキサートを添加してあるかどちらかの選択培地に細胞をさらした。好ましくは(メトトレキサートでの)選択が最も厳密なプレートから、各トランスフェクションについて約50個のコロニーが単離された。組み換えt−PA変異体の発現を分析するために、クローンを6穴プレートに広げて撒いた。全面成長ウェルを無血清生産培地(インスリンとトランスフェリンを1:1で含んでいるDMEM/F12からを変更したもの)に5−6日間さらし、ポリクローナルに基づくELISAアッセイを用いて、細胞培養液中のt−PAを定量した。各トランスフェクションに対して最も生産性の高いクローンを生産比率増加のために拡大した。細胞を懸濁状態で生育するように適応させ、t−PA変異体を無血清培地を用いて撹拌培養で生産した。収穫した細胞培養液を透析濾過し、t−PA変異体をリジンアフィニテークロマトグラフィーを用いて精製した。
実施例2
t−PA変異体の特性決定
1.t−PAの定量
天然−配列t−PAに標準化したELISAによって、タンパク質濃度をルーチン的に測定した(EPO 特許公開93,619参照)。リームリー,Nature,227:680(1970)の緩衝系を用い、ドデシル硫酸ナトリウム存在下でのポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE−SDS)によってタンパク質の純度および均一性を分析した。一般に、10から20%のグラジエントゲルを使用し、モリセイ,Anal.Biochem.,117:307(1981)のクーマシーブルーもしくは銀染色技術のどちらかで、タンパク質を視覚化した。上記のようにして調製したt−PA変異体は、この方法で純粋であり均一であることが分かった。
2.クリアランスおよび結合研究のためのt−PA変異体の標識
ハンターおよびグリーンウッドに記載されている方法[Nature 194,495−496(1962)]の変法を用いて、チロシル−プロリル−アルギニルクロロメチルケトン(YPRck)のクロラミン−T触媒放射ヨード化により、活性部位標識剤を調製した。一般的な反応では、50μlの1M Tris−HCl pH7.5を、キャップ付き反応容器中の40μlのNa125I(4mCi;1.8nmol)に加えた。この容器に8.3μlのYPRck(12mM HCl中に1.8nmol含有)を加えた。12.5μlのクロラミン−T(0.1M NaPi,pH7.5中に1mg/ml含有)を加えてヨード化反応を開始した。25μlのメタ重亜硫酸ナトリウム(0.1M NaPi,pH7.5中に1mg/ml含有)で24℃で60秒処理した後、ヨード化反応を消失させた。それから、反応物に2mlのPBSを加えて希釈し、希釈した標識試薬20μlを一時的にトランスフェクションした293細胞の培養上清1mlに加えた。この混合物を1時間インキュベートし、PD−10カラム(ファルマシア)でのゲル濾過によってタンパク質結合型125Iから遊離の125Iを分離した。タンパク質結合型125Iを10%トリクロロ酢酸との沈殿により測定した。これらの標識条件は、ヨウ素:YPRck:t−PAのモル比が1:1:1であることに対して最適化した。125I標識t−PA変異体の比放射活性は約1μCi125I/μgt−PAであった。
3.クリアランス速度の評価
マウスにおける血漿クリアランス
ヒト胎児腎臓293細胞由来タンパク質を放射標識し、それをマウスに注射し、そしてマウスの血中の放射能を経時的に測定することにより、t−PA変異体のクリアランス速度を評価した。各実験は4匹のマウスを用いた。マウスは2つのグループに分け、グループ内の2匹のマウスは事前に定めた時点で採血した。2つのグループから得たデータをあわせ、グラフ上に時間対血中cpmをプロットした。各マウスの血漿消失曲線下面積(ACU)を1から40分までの連続した台形を用いて計算した。
以下の表4では、Nはクリアランス速度を決定するために行った実験の数を示している。
平均±標準偏差はml/分/kg(体重)で表現されるクリアランス速度を表しており、これは上記の血漿消失曲線下面積によって計算した。
%C.V.はパーセントで示した変動率の値である。
Norm.は、野生型(293細胞由来)t−PAのクリアランスと比較したt−PA変異体のクリアランスの比を表す正規化因子である。
星印は、本発明を例示する変異体を示している。
Figure 0003559559
ウサギにおける血漿クリアランス
本明細書の5節に記載している血栓溶解の動静脈シャント(AVS)モデルの実験プロトコールを用いて、ウサギにおけるt−PAおよびt−PA変異体の薬動学的分析を行った。流量スイッチのついた20Gテフロンカテーテル(Viggo)を、各2.5から3.5kg体重の麻酔をかけた雄のニュージーランド白ウサギの内側耳動脈に差し込んだ。注入キャップ付き22Gカテーテルを反対の耳の辺縁静脈に差し込んだ。カテーテルはヘパリンを含んだ生理食塩水を流し、固定した。
ActivaseRt−PAまたはt−PA変異体はボーラスとして与えるか、もしくは静脈カテーテルを通して注入した。静脈内注入は15%のローディングボーラスで開始し、次に残り85%の投与量を120分間かけて注入した。様々な投与量のActivaseRt−PAもしくはt−PA変異体をAVSプロトコールで試験した:60μg/kg、180μg/kgおよび540μg/kg。変異体T103N,KHRR(296−299)AAAAは、4種類の投与量で試験した:20μg/kg、60μg/kg、180μg/kgおよび540μg/kg。血液サンプルは、注入プロトコールの間、30分、60分および90分の時点で採集した。サンプルは、ボーラス注入による投与後2、10、20、30、45、60、90および120分の時点で採集した。血液サンプルから抗凝血性血漿を調製し、血漿中のt−PAまたはt−PA変異体濃度をポリクローナルELISAによって測定した。5匹の動物のクリアランス速度の値を多数の投与量の各々で評価した。
本発明のt−PA変異体の血漿クリアランスをActivaseRt−PAおよび既知のt−PA変異体と比較して次の表5に示す。星印は、本発明を例示する変異体を示している。
Figure 0003559559
4.フィブリン結合性
CHO細胞から精製したt−PA変異体をI125−YPRckで放射標識し、次の手順を用いて可溶性プラスミンにより2本鎖型に変換した。0.5%ウシ血清アルブミンと0.01%Tween80が入ったリン酸緩衝溶液中のI125−YPRck標識t−PA(または変異体)のうち0.15μCiを含んでいる一部の溶液(1.5ml)を、ヒトプラスミン(リン酸緩衝溶液5μl中、0.09カゼイン単位)と緩やかに震盪しながら25℃で2時間インキュベートした。残りのプラスミンは、リン酸緩衝溶液15μl中に含まれる0.9TIユニットを加えることにより、アプロチニンで阻害した。
フィブリン結合性は、リーケンら,J.Biol.Chem.,257:2920−2925(1982)に記載されている方法の変法を用いて評価した。0.12μg/mlから8μg/mlにわたるリジン−セファロース処置ヒトフィブリノーゲンの希釈液をリン酸緩衝溶液で調製した。一部のフィブリノーゲン(50μl)およびI125−YPRck標識t−PAまたは変異体(100μl)を1.2mlのポリエチレンチューブ中で合わせ、手短かに混和した。ヒトトロンビン(1単位/mlの溶液から50μl)を添加するとフィブリン凝血が形成され、60秒間以内で肉眼で見えた。室温で60分間放置した後、その凝血を4℃で5分間、13000rpmで遠心分離した。上清の一部(50μl)を放射活性を計数するための個々のチューブに移した。総放射活性を計数するために、(凝血と残りの液を含んでいる)もとのポリエチレンチューブもまた計数した。総放射活性(50μlの部分溶液および凝血を含んでいるチューブの合計)と上清50μl中の量の4倍と計算される非結合型の放射活性の差が、結合型t−PAの量であった。
CHO由来の精製した、プラスミン処置のほどこされた材料で行ったフィブリン結合アッセイの結果を図1および図2に示す。2本鎖t−PA(およびt−PA変異体)に対する数字で表記してあるフィブリン結合性のデータは次の表6中に示す。星印は、本発明を例示する変異体を示している。
Figure 0003559559
上記のデータおよび図1から明らかなように、野生型ヒトt−PA分子の103番目の位置に(余分な)グリコシル化部位を付加するT103N変異は、フィブリン結合性を有意に喪失させる。T103Nt−PAが、野生型ヒトt−PAと比べて約3から5倍減少したクリアランスを示したにせよ、その治療的価値は、フィブリン結合性の喪失のために有意に向上したとは言えない。
前述のデータで立証され、図2に示されているように、T103Nt−PAのフィブリン結合性は、野生型ヒトt−PA分子の117番目の位置のグリコシル化を除去する第二の変異を加えることによって、実質上向上する。さらに、T103N,N117Qt−PA変異体は、野生型ヒトt−PA(またはActivaseRt−PA)と比べて低いクリアランスを保持している。
野生型ヒトt−PA分子の296−299番目の位置にさらに変異を加えると、これはフィブリン特異性に著しい向上をもたらすことが知られているが[KHRR(296−299)AAAA]、フィブリン結合性の有意な喪失を全く伴わない有意なクリアランス速度の減少とフィブリン特異性の増加のために、野生型ヒトt−PAと比べて優れた三重変異体が生じる。
5.In vivo凝血溶解アッセイ(ウサギ動静脈シャント血栓溶解モデル)
新鮮な70%ウサギ全血(0.15M NaClで希釈されている)もしくはEDTAで収集したウサギの血小板に富む血漿(0.8×106血小板/ml)のどちらかの0.2mlを0.5mlシリンジの注射筒に入れることにより、ex−vivoで凝血(血餅)を形成させた。ヒトトロンビンおよびCaCl2を血小板に富む血漿に加えた(最終濃度はそれぞれ0.2μg/mlおよび15mM)。シリンジに移す前に全血および血小板に富む血漿の一部にI125−ヒトフィブリノーゲンを加えた。凝血を形成するための軸として働くための、ある長さの綿糸をシリンジの注射筒に通した。凝血を37℃で1時間インキュベートした後、プランジャーを取り外し、シリンジ(1本は全血で、もう1本は血小板に富む血漿)をシリコンゴムの管につないだ。2.5kgから3.0kgのニュージーランド白ウサギの頸動脈および頸静脈に事前に埋め込んでおいたカテーテルにこの管をつないだ。血液は、凝血を越えて動脈循環から流れてきて、静脈側から戻っていった。シャントを通過する流速は約20ml/分であった。ActivaseRt−PAを注入に90分以上かけて静脈カテーテルから投与した(そのうち15%がローディング投与量)。T103N,N117Q,KHRR(296−299)AAAAを静脈内ボーラスとして投与した。ヘパリン(300U/kg)も10分前と45分後にこの経路でボーラス投与した。血栓溶解を、実験の時間経過の120分過まで外部ガンマ線検出器で測定した。ActivaseRt−PAの標準曲線に関して、変異体の用量作用曲線の片対数プロットから相対強度を測定した。実験日の最後に、凝血回路を取り外し、カテーテルに生理的食塩水を流し、ヘパリン(500単位/カテーテル)を入れて閉じた。5日間もの間に一日あたり1回に10匹の動物を使用した。結果は、図3−6に示す。
in vivoのデータは、全血の凝血および血小板に富む凝血の両方の凝血溶解が三重変異体T103N,N117Q,KHRR(296−299)AAAAt−PAによって、ActivaseRt−PAに比べて有意に速く生じていることを示している(図3および4)。さらに、このデータはT103N,N117Q,KHRR(296−299)AAAAt−PAのin vivoの有効性が全血凝血および血小板に富む凝血においてActivaseRt−PAよりもそれぞれ6.0倍および9.5倍高いことを示している(図5および6)。これらの数字で表記されたデータは、図5および6に記載する実験時点に対応する平行な線状曲線に基づいて決定した。
* * *
材料の寄託
ベクターpSVIB5で形質転換したE.coli294細胞は、1989年10月25日にアメリカンタイプカルチャーコレクション、12301 パークレーン,ドライブ,ロックビル,MD,米国(ATCC)に寄託され、ATCC受託番号68,151と指定された。特許手続きを目的とする微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約の条項、およびその条約(ブタペスト条約)下の規定に基づいて寄託を行った。これは、寄託日から30年間生存可能な培養の維持を保証している。その微生物はブタペスト条約の条文の下で、およびジェネンテク,インコーポレイテッドとATCCの間の協定の条件下で、ATCCにより入手可能となるだろうし、その協定は、直接関係のある米国特許の発行を受けた国民にとっても、またはいかなる米国もしくは外国の特許出願を行う国民にとっても開かれた状態にあり、どちらが先に来ようとも、その後世代の培養が永久かつ無制限に入手可能であることを保証しており、米国特許委員および35 USC §122に従い特許に対して資格を与えられている登録商標および特許に準じた委員規則(886 OG 638の具体的な参照と37 CFR §1.14を含んでいる)によって決定された国民にとってその後世代の培養が入手可能であることを保証している。
本出願の指定代理人は、もしその寄託した培養が適切な条件下で培養しているときに死ぬかもしくは失われるかもしくは破壊された場合には、通知により速やかに同一の培養の生存可能な試料と交換するということに同意した。寄託した株の入手可能性は、特許法に従っているいかなる政府当局にも与えられている権利に違反して本発明を行うための許可として構成されるべきではない。
上記の明細書は、当業者が本発明を実施することが十分可能であるように考慮されている。本明細書中の材料の寄託の項は、本明細書に含まれている記載が本発明の最適な方法を含めて、本発明のいかなる局面の実行も可能にするためには不十分であるということの許可を構成している訳ではなく、また本発明が表している特定の例示に対する請求の範囲を限定するように構成されている訳でもない。
前出の記載は、特に好ましい具体例を示しているが、本発明はそれほど限定的ではないことが理解されるだろう。技術的に通常に熟練した人にとっては、本発明の全体的な概念から逸脱することなしに、示された具体例に様々な変更を加えるということもあるだろう。そのような変更はすべて本発明の範囲内で意図されたものである。
配列表
(1) 一般的情報
(i) 特許出願人:ジェネンテク,インコーポレイテッド
(ii) 発明の名称:向上した治療特性を有する組織プラスミノーゲン活性化因子グリコシル化変異体
(iii) 配列の数:4
(iv) 連絡先:
(A) 名宛人:ジェネンテク,インコーポレイテッド
(B) 通り:ポイント・サン・ブルーノ・ブールバード460番
(C) 市:サウス・サン・フランシスコ
(D) 州:カリフォルニア
(E) 国:アメリカ合衆国
(F) ZIP:94080
(v) コンピューター解読書式
(A) 媒体型:5.25インチ,360Kbフロッピーディスク
(B) コンピューター:IBM PC適合
(C) オペレーティング・システム:PC−DOS/MS−DOS
(D) ソフトウエア:Patin(ジェネンテク)
(vi) 本出願のデータ:
(A) 出願番号:
(B) 出願日:
(C) 分類:
(vi) 優先権主張出願のデータ:
(A) 出願番号:
(B) 出願日:
(viii) 弁理士/代理人情報
(A) 氏名:ドレジャー,ジンジャー・アール
(B) 登録番号:33,055
(C) 参照/整理番号:757
(ix) 電話連絡先情報:
(A) 電話番号:415/266−3216
(B) ファックス番号:415/952−9881
(C) テレックス:910/371−7168
(2) 配列番号1の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:24塩基
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:1本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号1:
Figure 0003559559
(2) 配列番号2の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:30塩基
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:1本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号2:
Figure 0003559559
(2) 配列番号3の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:24塩基
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:1本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号3:
Figure 0003559559
(2) 配列番号4の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:36塩基
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:1本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号4:
Figure 0003559559

Claims (35)

  1. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の103番目又は105番目のいずれかのアミノ酸がグリコシル化されており、117番目の位置で機能的な炭水化物構造を欠いているヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)変異体であって、野生型ヒトt−PAと比べて、a)延長した循環半減期および実質的に保持されているフィブリン結合性、またはb)向上したin vivoフィブリン溶解力を示す該変異体。
  2. 野生型ヒトt−PAと比べて循環半減期が延長しかつフィブリン結合性が実質的に保持されている請求項1に記載の変異体。
  3. 野生型ヒトt−PAの103番目又は105番目のいずれかのアミノ酸がグリコシル化されており、117番目の位置で機能的な炭水化物構造を有するヒトt−PA変異体と比べて向上したフィブリン結合性を有する請求項2に記載の変異体。
  4. 野生型ヒトt−PAに比べてin vivoフィブリン溶解力が向上している請求項1に記載の変異体。
  5. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の103番目の位置でグリコシル化されている請求項1に記載の変異体。
  6. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の105番目の位置でグリコシル化されている請求項1に記載の変異体。
  7. 前記グリコシル化がN−結合型である請求項1に記載の変異体。
  8. 前記グリコシル化がO−結合型である請求項1に記載の変異体。
  9. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の103番目の位置に、Asn−X−SerまたはAsn−X−Thr(ここに、Xはプロリン以外のどのアミノ酸でもよい)のトリペプチド配列の一部としてアスパラギンを有する請求項7に記載の変異体。
  10. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の103番目の位置にアスパラギン、104番目の位置にトリプトファンおよび105番目の位置にセリンを有する請求項9に記載の変異体。
  11. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の105番目の位置に、Asn−X−SerまたはAsn−X−Thr(ここに、Xはプロリン以外のどのアミノ酸でもよい)のトリペプチド配列の一部としてアスパラギンを有する請求項7に記載の変異体。
  12. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の105番目の位置にアスパラギン、106番目の位置にスレオニンおよび107番目の位置にセリンを有する請求項11に記載の変異体。
  13. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の117番目の位置にアスパラギン以外のアミノ酸を有する請求項1に記載の変異体。
  14. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の117番目の位置にグルタミンに置換している請求項13に記載の変異体。
  15. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の103番目の位置が、Asn−X−SerまたはAsn−X−Thr(ここに、Xはプロリン以外のどのアミノ酸でもよい)のトリペプチド配列の一部としてアスパラギンにさらに置換している請求項13に記載の変異体。
  16. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の105番目の位置に、Asn−X−SerまたはAsn−X−Thr(ここに、Xはプロリン以外のどのアミノ酸でもよい)のトリペプチド配列の一部としてアスパラギンにさらに置換している請求項13に記載の変異体。
  17. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の107番目の位置がさらにセリンに置換している請求項16に記載の変異体。
  18. 野生型ヒトt−PAに比べてフィブリン特異性が向上している請求項1に記載の変異体。
  19. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の296から302番目または274から277番目のアミノ酸領域内で、299番目の位置のアルギニンをアスパラギン酸に置換する以外の変更によってフィブリン特異性を向上させる請求項18に記載変異体。
  20. 該変更が野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の296から300番目の領域内である請求項19に記載の変異体。
  21. 該変更が野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の296、297、298および299番目の位置の一カ所またはそれ以上の箇所である請求項20に記載の変異体。
  22. 該変更が野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の296、297、298および299番目の位置のリジン、ヒスチジン、アルギニン、アルギニンの各アミノ酸からアラニンへの置換である請求項21に記載の変異体。
  23. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の103番目の位置にAsn−X−SerまたはAsn−X−Thrのトリペプチド配列の一部としてアスパラギンを有し、117番目の位置にアスパラギン以外のアミノ酸を有する請求項19に記載の変異体。
  24. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の103番目の位置にアスパラギン、104番目の位置にトリプトファン、105番目の位置にセリンおよび117番目の位置にグルタミンを有する請求項23に記載の変異体。
  25. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の105番目の位置にAsn−X−SerおよびAsn−X−Thrのトリペプチド配列の一部としてアスパラギンを有し、117番目の位置にアスパラギン以外のアミノ酸を有する請求項19に記載の変異体。
  26. 野生型ヒトt−PAアミノ酸配列の105番目の位置にアスパラギン、106番目の位置にスレオニン、107番目の位置にセリンおよび117番目の位置にグルタミンを有する請求項25に記載の変異体。
  27. 次の変異を含むヒトt−PA変異体からなる群により選択される請求項1に記載の変異体:T103N,N117Z;S105N,A107S,N117Z;T103N,N117Z,K296A,H297A,R298A,R299A;S105N,A107S,N117Z,K296A,H297A,R298A,R299A;T103N,N117Z,R298E,R299E;S105N,A107S,N117Z,R298E,R299E;T103N,N117Z,K296Q,H297N,P301S;S105N,A107S,N117Z,R296Q,H297N,P301S;T103N,N117Z,F274L,R275H,I276S,K277T;S105,A107S,N117Z,F274L,R275H,276S,K277T。(ここに、Zはアスパラギン(N)以外のどのアミノ酸でもよい)。
  28. 請求項1に記載の変異体をコードするDNA。
  29. 請求項28に記載のDNA配列を含み、適当な宿主細胞にてそれを発現できる複製可能な発現ベクター。
  30. 請求項29に記載のベクターによって形質転換されている宿主細胞。
  31. 請求項30に記載の宿主細胞を培養することを特徴とする、t−PA変異体をコードするDNAを発現するための方法。
  32. 宿主細胞の培養から変異体を回収する工程をさらに含む請求項31に記載の方法。
  33. 製薬的に許容し得る担体と混合した治療的有効量の請求項1に記載の変異体を含有する血管の病気や疾患のための組成物。
  34. 製薬的に許容し得る担体と混合した治療的有効量の請求項1に記載の変異体を含有するフィブリン沈着または癒着形成や再形成を予防するための組成物。
  35. 117番目の位置のアミノ酸における機能的な炭水化物構造を除去することを特徴とする、103番目又は105番目のアミノ酸のグリコシル化の結果として減少した野生型ヒトt−PAのフィブリン結合親和性を実施的に回復させる方法。
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