JP3555033B2 - 負圧又は真空中において材料蒸気によつて基板を被覆する装置 - Google Patents
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Description
したがって本発明の分野は、基板、例えばフィルム、板又は成形部分の被覆である。その際、このような基板を被覆する種々の方法が存在する。一方において中性の粒子を熱的に蒸発させ、これら粒子を、それから被覆すべき材料上に堆積させる可能性が存在する。別の可能性として散布が存在する。最後に、方法として、被覆すべき表面上へのイオン化した粒子の付着が存在し、その際、そのために、陽極と陰極との間に電界を発生し、この電界内においてプラズマ内において粒子のイオン化を行なう。真空中において薄い層を形成する際に、材料蒸気のイオン化が改善された層特性を引起こすことは、その際、一般に周知である。とくに層の固着と目の詰んだことは、それによってはっきりと改善される。その上反応分離の可能性が存在する。材料蒸気のイオン化は、電気放電によって達成され、その際、コロナ放電とアーク放電との間に区別が存在する。この後者の方法を本発明は前提としている。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4200429号明細書によれば、熱的に発生された材料蒸気を陽極によって規定された真空アークによってイオン化する被覆装置は公知である。その際、基本思想は、次の点にある。すなわち蒸発装置は、材料蒸気を発生するるつぼを陽極として接続することによって、材料蒸気の発生のため及び陽極として使われる。公知の装置は、アークを維持するためにプロセスガスを必要としないという利点を有するが、公知の被覆装置は、2−3の欠点を有する。かくして例えば、熱蒸発器の電気回路が、アークの電気回路に連結されており、かつそれにより互いに妨害作用を受けることがあるということは、不利である。このようにして例えば電流流通るつぼ内に、るつぼ(陽極)と陰極との間の電流流通が、イオン化、したがって陽極活性化をもはや行なわず、又はわずかしか行なわない程度に大幅に困難にされるほど大きな磁界が発生される。それによりアークは、きわめて不安定に燃焼する。別の欠点は、るつぼを介するプラズマ抵抗とるつぼのオーム性抵抗の並列回路にある。すなわちプラズマ抵抗が、るつぼ抵抗と同じ程度にあると、実効的なオーム性のるつぼ抵抗が減少する。したがってイオン化と蒸発速度は、互いに密に連結されており、このことは、イオン化と蒸発速度に関する被覆の最適化を大幅に制限する。最後に別の欠点は、るつぼが、同時に陽極として機能するので、るつぼ範囲におけるイオン化の空間的な固定にある。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4217450号明細書によれば、フード状イオン化空間内の材料蒸気源及び電気的に切離して給電される電子ビーム銃を有し、そのビームがフードにおける側方開口を通って侵入し、かつその際、るつぼ内にある材料が蒸発する、イオンプレーティング方法及び所属のイオンプレーティング装置が公知である。
ドイツ民主共和国特許第145283号明細書に、真空中におけるイオン処理によって金属加工片において耐磨耗性のかつ耐腐食性の層を形成する方法が記載されている。装置は、材料蒸発器を有し、かつこれに対して垂直配置してイオン化源を有する。さらに反応ガスのための供給源が設けられている。蒸発器及びイオン化源のための電流源は、互いに電気的に切離されている。装置は、耐磨耗性の硬質材料層を有する反応イオン蒸着のために使われる。
スイス国特許第683776号明細書/ヨーロッパ特許出願公開第0545863号明細書に、パッキングフィルム帯の連続的なイオン蒸着を行なう装置が開示されている。その際、装置は、これに所属の電子銃を有する材料蒸発器、及び中空陰極低電圧電子ビーム銃を使用するイオン化装置からなり、この中空陰極低電圧電子ビーム銃のビームは、蒸気ビームに対して垂直に案内されている。ここでも電流供給は、電気的に切離された源から行なわれる。
米国特許第4336277号明細書は、イオン化する電子ビームを形成する陽極と熱い白熱陰極からなるイオン化装置、及びコロナ放電を提供する材料蒸気源からなる装置を開示している。その際、蒸発器及びイオン化装置のために切離された電源による電気的な分離が存在する。装置は、反応イオン蒸着において利用される。
米国特許第4692230号明細書に、層積層体の散布のための装置が開示されている。ここでも同様にマグネトロンスパッタリング陰極の形の材料蒸気源と白熱陰極及び陽極からなるイオン化装置との電気的な分離が考慮されている。
米国特許第3482133号明細書に、イオン又は電子を発生する源が開示されており、その際、イオン又は電子銃によってセラミック材料が蒸発するようにする。電荷担体源は、薄い金属板の形の陰極、及びその前にある金属網の形の陽極を有する。
本発明の課題は、改良された陽極−陰極構造により負圧又は真空中において材料蒸気で基板を被覆する装置を提供することにある。技術的な解決策として、本発明によれば、冷陽極が、陽極材料の軟化点より下の温度を持ち電流を通すだけの消耗しない不活性陽極であり、この温度においてアーク放電の動作中に陽極材料の溶融又は蒸発が起こらず、陰極が冷陰極であり、陰極が冷却され、陰極が消耗する陰極であり、アーク放電を生ずるための電子放出が、陰極の表面において、顕微鏡的に小さな極端に熱い陰極点で行われる、陰極の消耗を均一化することにより陰極の安定性を高めるための追加的な装置が設けられている。
十分な電気的なデカップリングによるイオン化装置からの材料蒸気源の回路技術的な分離によって、どのような相互妨害作用も存在しない。その上蒸発速度とイオン加速度は、互いにデカップリングされており、したがって広い範囲にわたって互いに無関係に変更可能及び最適化可能であり、その際、両方のパラメータ、“イオン加速度”及び“蒸発速度”は互いに切離されているので、パラメータは、必要に応じて個別に設定することができる。“冷”陽極とは、電流を通すだけの自己消耗しない不活性電極のことである。その際、“冷”陽極は、陽極材料の軟化点より低い温度を有し、この温度においてアーク放電の動作中に、溶融及び/又は蒸発プロセスは生じない。それ故に“冷”陽極は、この定義に関して、従来の意味において熱くとも全くかまわない。結局、陽極の冷却温度は、それぞれの陽極材料に依存する。重要なことは、陽極において溶融及び蒸発プロセスが行なわれないということである。ただし“冷”陽極の温度は、なるべく陽極の導電度を維持するために、陽極表面の凝縮プロセスができるだけ良好に抑圧される程度に高い。この凝縮プロセスは、とくに発生された材料蒸気が追加的に供給される反応ガス又は反応ガス混合気と化学的に反応する反応プロセスにおいて、役割を演じる。“冷”陰極とは、陰極点を形成するために自己消耗する電極のことである。電子放出は、“熱”陰極とは相違して、顕微鏡的に小さな極端に熱い点において行なわれる。
1つの変形は、陽極及び/又は陰極が、その所望の冷却状態を達成するために冷却可能又は加熱可能であることを提案する。冷却又は加熱によって冷陽極及び/又は陰極の温度に作用する及ぼすことができることによって、前記の判定基準にしたがって最適な動作温度を設定することができる。とくに前記の判定基準に関して不活性の判定基準を満たすならば、冷却又は加熱されない不活性陽極を使用してもよいことは明らかである。
別の変形は、陽極が、導電する溶融しにくいかつ高温に耐える材料からなることを提案する。ここでは金属又は合金が問題になる(例えばタングステン又はモリブデン)。しかし陽極材料として、グラファイト又は混合セラミックも考えることができ、その際、最後に述べた混合セラミックにおいて、セラミック材料内に導電性の材料、とくに金属が含まれている。その他の材料も考えることができ、かつ前記の材料に限定されないことは明らかである。
本発明による被覆装置の別の変形は、陽極の範囲に追加的な磁界が加えられていることを提案する。追加的な磁界の印加は、陽極の堆積の均一化、したがって陽極活性化の抑圧のためにも使われる。すなわち磁界は、例えば抵抗加熱の際の大きな電流又は電流密度によって蒸発プロセスが条件付けられているときに生じる。追加的に重畳される磁界によって、さもなければ陽極の近くの電流の集中を引起こす陽極の近くのこれら磁界が補償されるようにする。したがって磁界の重畳の目的は、均一な分散にある。
別の有利な変形は、陽極及び陰極のための電源がパルス状であることを提案する。陽極と陰極の間の電流供給を短い期間にわたって周期的に投入及び遮断することによって、それにより陽極における溶融プロセスが阻止でき、又は少なくとも遅らせることができるので、それにより陽極の寿命が、相応して延長される。アーク放電は、遮断段階において崩壊するが、投入及び遮断段階の周波数と期間は、それでもなお材料蒸気による均一な基板の被覆が可能であるように選択される。
別の提案は、陰極焼失を均一化することによって陰極安定性を増加する追加的な装置が設けられていることを提案する。陰極材料が蒸発材料と同じではない場合、陰極の安定性を高めることが必要である。追加装置は、磁界(永久磁石又は電磁石)、陰極表面の部分のカバー(その上わずかな焼失を引起こす)及び/又は陰極表面の適当な配置であることができるので、これは、直接的に材料蒸気にさらされているわけではない。
別の変形は、アーク放電を点弧する追加的な点弧装置が設けられていることを提案する。その際、点弧は、いわゆる滑り放電を介して行なうことができ、陰極と補助陽極との間の小さな熱蒸発器を介して、又はバイメタル接点を介して行なうことができる。電源装置は、100ボルトより低い無負荷電圧を有し、その際、分離した点弧パルスは、数100ボルトを有する。数100ボルトの無負荷電圧を有する電源装置を使用することも、明らかに考えることができる。
別の変形は、イオンを加速する追加的な装置が設けられていること提案する。その際、DC又はパルス状の(ユニポーラ又はバイポーラ)電源は、陽極と基板の間又は陽極とるつぼの間又は基板と補助電極の間に加えることができる。このようなバイアス電圧により、基板の被覆は改善される。
なるべく本発明による被覆装置の別の変形において、材料蒸気源と被覆すべき基板との間にイオン化装置が配置されている。利点は、次の点にある。すなわちそれにより対称な状態が設定でき、これら状態において基板面がプラズマに対向しており、一方材料蒸気源が、プラズマの他方の側に配置されており、かつプラズマに均一に蒸発した部分を送出することができる。
別の有利な変形は、イオン化装置の位置及び/又は被覆すべき基板の位置及び/又は材料蒸気源の位置の間の距離が可変であることを提案する。材料蒸気源から電極を空間的に分離することによって、基板に対する距離に関するイオン化の位置を変化する可能性、すなわち最適化のための別のパラメータが得られる。3つの要素、すなわちイオン化装置、材料源及び基板のうち2つの任意の要素対は、その相互の位置的な対応について変更することができる。3つすべての要素を位置可変に配置することも、明らかに考えることができる。
本発明による被覆装置の別の変形は、次のことを提案する。すなわち材料蒸気源として、抵抗、誘導又は電子ビーム加熱されるるつぼによる熱蒸発による、スパッタリング技術による、陽極又は陰極アーク蒸発による材料蒸気発生器、又は適当なガス又はガス混合気を有する材料蒸気供給部が設けられている。前記のような材料蒸気発生器において、それ自体周知の技術が問題になるが、適当な反応ガス成分のための供給部を設けることによって、材料蒸気源として、蒸気発生器の代わりに、CVD(化学的蒸発堆積)方法を適用することもできる。それにより材料蒸気は、ガス又はガス混合気としてガス発生器又はガス容器から本発明による被覆装置に送られる。
本発明による被覆装置の別の有利な変形は、適当な供給部を介してイオン化領域に、反応ガス又は反応ガス混合気が供給可能であることを提案する。それにより反応分離のための可能性が与えられており、すなわち本発明による被覆装置は、適当な反応ガス供給によって反応ガス又は反応ガス混合気をイオン化領域に送ることによって、反応分離のために適用することもできる。とくに反応ガス又は反応ガス混合気は、アーク放電の範囲に供給される。その変形は、陽極が、反応ガス又は反応ガス混合気のための供給部として構成されていることを提案する。そのため反応ガス又は反応ガス混合気のための供給部として、陽極は、開口を有する管の形に構成することができる。したがって本発明のとくに有利な変形は、陽極を反応ガスのための供給部として例えば管の形に構成することにある。管に沿って定義された開口を通って反応ガスは、直接アークの放電部に案内され、ここにおいて意図して活性化することができる。例えば蒸気発生器内においてアルミニウムが蒸発され、かつ陽極管を介して酸素が供給される場合、高い分離率でアルミニウム酸化物層を形成することができる。
負圧又は真空中において材料蒸気によって基板を被覆する本発明による装置の実施例を、基本思想を説明するために純粋に概略的な様式で本発明による被覆装置を示す図面によって説明する。
被覆装置は、少なくとも1つの材料蒸気源1を有し、この材料蒸気源において本実施例では、熱蒸発器が問題になっており、この熱蒸発器は、相応する電源装置2に接続されている。熱蒸発器の代わりに、ガス発生器又はガス容器からガス又はガス混合気として材料蒸気を供給することも考えることができる。
材料蒸気源1に対向して、被覆すべき基板3が存在し、この基板は、図において純粋に概略的に示されている。
材料蒸気源1と基板3の間に、冷陽極4'及び冷陰極4"を有するイオン化装置4があり、これら陽極及び陰極は、相応する電源装置5に接続されている。陽極4'は、いわゆる広げられた陽極の形の適当な幾何学構造を有するので、陽極に電流の集中は生じない。
被覆装置は、次のように動作する:
電源装置2による材料蒸気源1の活性化により、概略的に示された材料蒸気6が発生される。材料蒸気源1のこの活性化の後に、電源装置5を介して陽極4'と陰極4"の間に電圧が加えられ、この電圧は、例えば60Vであることができる。陰極4"の表面にいわゆる陰極点が生じ、これら陰極点は、図に概略的に示されており、かつこれら陰極点は、陽極4'と陰極4"の間にアーク放電を構成する。陰極4"から陽極4'への経路上において、放出された電子は、非弾性衝突を介してプラズマ7を形成しながら材料蒸気6をイオン化する。その際、イオン化の程度は、アーク電流を介して変更することができる。材料蒸気源1とイオン化装置4との電気的及び空間的な分離によって、どのような相互妨害作用も生じない。その上蒸発速度とイオン化度は、互いにデカップリングされており、したがって大きな範囲にわたって互いに無関係に変更及び最適化可能である。材料蒸気源1からの電極の空間的な分離によって、基板3に対する距離に関してイオン化の位置を変更する可能性とともに、最適化のための別のパラメータが生じる。
適当な反応ガス供給により適当な反応ガス又は反応ガス混合気をイオン化領域に案内することによって反応分離を行なう可能性は、図面には示されていない。例えば陽極4'は、管の形に構成することができ、かつ反応ガスのための供給部として使うことができる。管に沿った定義された開口を通って直接アークの放電内に、反応ガスを案内することができ、ここにおいて意図的に活性化することができる。例えば材料蒸気源1内においてアルミニウムが蒸発され、かつ陽極管を介して酸素が供給される場合、高い分離度で基板3上にアルミニウム酸化物層を形成することができる。
図示しない実施例において、複数の源を互いに並べて配置することができ、このようにして帯蒸着装置内における帯の被覆を可能なようにする。
Claims (13)
- 材料蒸気源(1)、及び冷陽極(4')と陰極(4")との間にプラズマ(7)を発生しかつ材料蒸気(6)によって援助されるアーク放電内において材料蒸気(6)をイオン化するため冷陽極(4')と陰極(4")とからなるイオン化装置(4)を持ち、材料蒸気源(1)と冷陽極(4')及び陰極(4")を持つイオン化装置(4)とが、互いに電気的に切離されているものにおいて、
冷陽極(4')が、陽極材料の軟化点より下の温度を持ち電流を通すだけの消耗しない不活性陽極(4')であり、この温度においてアーク放電の動作中に陽極材料の溶融又は蒸発が起こらず、
陰極(4")が冷陰極(4")であり、
陰極(4")が冷却され、
陰極(4")が消耗する陰極(4")であり、
アーク放電を生ずるための電子放出が、陰極(4")の表面において、顕微鏡的に小さな極端に熱い陰極点で行われ、
陰極の消耗を均一化することにより陰極の安定性を高めるための追加的な装置が設けられている
ことを特徴とする、負圧又は真空中において材料蒸気によって基板を被覆する装置。 - 陽極(4')が、その所望の冷たい状態を得るため冷却可能又は加熱可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 陽極(4')が、導電する溶融し難くかつ高温に耐える材料からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
- 陽極(4')の範囲に追加的な磁界が加えられていることを特徴とする、請求項1ないし3の1つに記載の装置。
- 陽極(4')及び陰極(4")のための給電がパルス状であることを特徴とする、請求項1ないし4の1つに記載の装置。
- アーク放電を点弧する追加的な点弧装置が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし5の1つに記載の装置。
- イオンを加速する追加的な点弧装置が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし6の1つに記載の装置。
- 材料蒸気源(1)と被覆すべき基板(3)との間にイオン化装置(4)が配置されていることを特徴とする、請求項1ないし7の1つに記載の装置。
- イオン化装置(4)の場所及び/又は被覆すべき基板(3)の場所及び/又は材料蒸気源(1)の場所の間の間隔が可変であることを特徴とする、請求項1ないし8の1つに記載の装置。
- 材料蒸気源(1)として、抵抗、誘導又は電子ビームで加熱されるるつぼによる熱蒸発によるか又はスパツタリング技術、陽極又は陰極アーク蒸発によるか又は材料蒸気発生器、又は適当なガス又はガス混合気による材料蒸気供給部が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし9の1つに記載の装置。
- 適当な供給部を介してイオン化領域に、反応ガス又は反応ガス混合気が供給可能であることを特徴とする、請求項1ないし10の1つに記載の装置。
- 陽極(4')が、反応ガス又は反応ガス混合気のための供給部として構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
- 反応ガス又は反応ガス混合気のための供給部として、陽極(4')が、開口を有する管の形に構成されていることを特徴とする、請求項11又は12に記載の装置。
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