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JP3553342B2 - 湿式排煙脱硫装置 - Google Patents

湿式排煙脱硫装置 Download PDF

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JP3553342B2
JP3553342B2 JP30265497A JP30265497A JP3553342B2 JP 3553342 B2 JP3553342 B2 JP 3553342B2 JP 30265497 A JP30265497 A JP 30265497A JP 30265497 A JP30265497 A JP 30265497A JP 3553342 B2 JP3553342 B2 JP 3553342B2
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岳男 篠田
徹 高品
雅和 鬼塚
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿式排煙脱硫装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、湿式排煙脱硫装置としては、吸収塔のタンク内に酸素含有ガス(一般的には空気)を吹き込み、そこで亜硫酸ガスを吸収したスラリ溶液(石灰石等のカルシウム化合物から成るもの)と接触させ、亜硫酸ガスを酸化するようにし、酸化塔を不要としたもの(いわゆるタンク酸化方式)が主流となっている。
この場合、上記タンク内において空気とスラリ溶液(以下スラリともいう)とを効率良く接触させることが必要である。このために、従来幾つかの方法・装置が知られている。
【0003】
図3は、特開昭61―74630号の酸素供給装置を示す。この装置では、スラリ酸化タンク201に、酸素供給手段202によって空気を吹き込む。吹き込んだ空気を攪拌機203によって攪拌し、空気の利用効率の向上を図っていた。
しかし、図3の従来の装置では、酸化タンク201の攪拌を行うために過大な動力を必要とし、また、注入した酸素の利用効率が低い等の難点があった。
【0004】
さらに、図4に、特公平6―91939号を実施した装置を示す。この装置でも、攪拌機302の近傍に、酸素供給手段303によって空気を吹き込むこととしている。しかし、同様に酸化タンク301の攪拌を行うために過大な動力を必要とし、また、注入した酸素の利用効率が低い等の難点があった。
【0005】
発明者も、従来の酸化設備で固定式酸化装置を採用して来た(特開平9―10546号)。しかし、酸素の利用効率が低いことから(通常20%程度)、酸化空気量を多くしたり、スパージャノズル数を多くしなければならず、設備費、及びメンテナンス性に問題があった。
また、発明者が従来採用した特開平9―10546号等の装置では、スパージャ自体を回転させることにより、気泡の微細化や液を攪拌すること同時に行っていた。しかし、空気を噛むために、攪拌性能にロスを生じ、動力を過大なものとすることとなっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような現状に鑑み、スラリ酸化タンクの攪拌を行うために過大な動力を必要とせず、注入した酸素の利用効率が高くなるようにした湿式排煙脱硫装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、亜硫酸ガスをスラリ溶液に吸収させ、該スラリ溶液に酸素含有ガスを吹き込んで、上記スラリ溶液内の亜硫酸を酸化するようにした湿式排煙脱硫装置において、上記スラリ溶液の一部をスラリ酸化タンクの底部又は底部近くに返送するための返送配管を該スラリ酸化タンクに設け、該返送配管の吐出部に上記酸素含有ガスを吹き込み、該返送配管から返送したスラリ溶液によって酸素含有ガスを微細化するようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載された発明は、請求項1の湿式排煙脱硫装置において、スラリ酸化タンクに貯まるスラリ溶液の一部を取り出し、上記返送配管によって返送するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2の湿式排煙脱硫装置において、ヘッダパイプから噴射されるスラリ溶液を、上記返送配管によって返送するようにしたことを特徴とする。
請求項4に記載された発明は、請求項1から3のいずれかの湿式排煙脱硫装置において、ミストエリミネータから返送されるスラリ溶液を、上記返送配管によって返送するようにしたことを特徴とする。
請求項5に記載された発明は、請求項1から4のいずれかの湿式排煙脱硫装置において、スラリ溶液の一部をスラリ酸化タンクの底部付近から取出し、圧送ポンプを介してヘッダパイプへと圧送する配管からスラリ吐出配管を分岐させ、該配管の吐出部に酸素含有ガスを吹込み、該吐出配管から吐出したスラリ溶液によって酸素含有ガスを微細化するようにしたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態(その1)
図1に本発明にかかる湿式排煙脱硫装置の一実施の形態を示す。
この湿式排煙脱硫装置は、吸収剤スラリ溶液(以下スラリ溶液を単にスラリともいう)が供給されるスラリ酸化タンク1と、このスラリ酸化タンク1の上方に向かって延設された吸収塔2と、ミストエリミネータ3を設けた排煙導出部4を有する。さらに、吸収塔2はヘッダパイプ5を有し、該ヘッダパイプ5には、循環ポンプ6より送り込まれた吸収剤スラリの流出するノズル7が設けられている。
この湿式排煙脱硫装置では、吸収剤スラリをノズル7から流出して流れ落ちた吸収剤スラリと排煙導入部8からの排煙Aとを気液接触させ、排煙中の亜硫酸ガスを吸収剤スラリが吸収した後、この吸収剤スラリがスラリ酸化タンク1内に滴下する。スラリ酸化タンク1内には、吸収剤である少量の石灰石と生成する石膏とが懸濁又は溶解している。石膏成分を含む吸収剤スラリは、図示しない抜き出しポンプにより抜き出され、同じく図示しない固液分離装置によって、固体成分である石膏とろ液に分離される。このようにして、吸収亜硫酸ガスを全量酸化して副生品として石膏を得るようにしている。ろ液は、図示しないろ液タンクに送られ、石灰石を加えた後、吸収剤スラリとして再びスラリ酸化タンク1に戻される。
【0010】
吸収塔2及びスラリ酸化タンク1における反応を以下に示す。
(吸収塔2)
SO+HO → H+HSO
(スラリ酸化タンク1)
+HSO +1/2 O→ 2H+SO 2−
2H+SO 2− +CaCO+HO→CaSO・2HO+CO
【0011】
本発明では、亜硫酸ガスを酸化するための酸素供給手段に画期的な改良を行った。すなわち、吸収剤スラリの一部をスラリ酸化タンク1の底部又は底部近くに返送するための返送配管9を該スラリ酸化タンク1に設け、返送配管9の吐出部10に酸素含有ガスを吹き込むこととしている。酸素含有ガスとしては、一般的には空気である。
【0012】
本実施の形態では、まず、スラリ酸化タンク1に貯まる吸収剤スラリの一部をスラリ酸化タンク1の上部取出口11より弁12を介して取り出し、上記返送配管9によってスラリ酸化タンク1内に返送することができる構成としている。
また、ヘッダパイプ5から噴射される吸収剤スラリを、液溜め13で捕集し、弁14を介して返送配管9によってスラリ酸化タンク1内に返送することもできる。
さらに、ミストエリミネータ3から返送される吸収剤スラリを、弁15を介して上記返送配管9によってスラリ酸化タンク1内に返送することもできる。近年、排ガスを高速で送り込んで処理する傾向があり、ミストエリミネータ4に飛散した吸収剤スラリを有効に活用できる。
【0013】
弁12、14、15は、装置の稼働状態に応じてそれぞれの開放状態が制御される。上記のようにして吸収剤スラリを返送するので、十分な水頭を稼ぐことができ、ポンプ自体の揚程を低くすることができ、返送ポンプ16の負荷は大きく低減される。特に、弁12を閉成し、弁14、15のみを開放する場合には、返送ポンプ16をほとんど稼働しなくても吸収剤スラリを返送することができる。以上のようにして、吸収剤スラリを返送配管9から吸収剤スラリを返送すると、酸素供給手段の酸素供給口17から吹き込まれる空気が吸収剤スラリ自体の流れによって微細化される。これによって気泡の分散・混合が効率的に行われ、亜硫酸ガスの酸化にあたって、酸素の利用効率も従来20%程度であったことに比べると大幅に向上する。
【0014】
発明の実施の形態(その2)
図2に本発明にかかる湿式排煙脱硫装置の別の実施の形態を示す。
図2において、図1と同一部分には、同一符号を付した。同一符号を付した要素は、図1と同様の作用・機能を果たす。
この実施の形態では、スラリ取出配管18により弁21、循環ポンプ6を介し弁23を有する中継配管19へと吸収剤スラリを圧送し、この吸収剤スラリをヘッダパイプ5に設けたノズル7から排ガスAへと噴射する。ここで、中継配管19には返送配管20が弁22を介して分岐しており、該配管18及び20が図1の実施の形態の配管11’及び9に相当する働きをする。すなわち、配管18から吸収剤スラリを取り出し、循環ポンプ6を介しヘッダパイプ5に送る吸収剤スラリの一部又は全量を弁22、23の開閉により、返送配管20からスラリ酸化タンク1へと返送する。返送配管20の吐出部24付近には、酸素供給手段25の酸素供給口17’が設けられており、ここから吹き込まれる空気が吸収剤スラリ自体の流れにより微細化される。その作用は、前記酸素供給口17と吐出10の関係と同様である。
【0015】
他の実施の形態
上記図1の実施の形態は、いわゆる液柱式の気液接触装置を採用しているが、これに限らず、充填材を充填した充填部を設け、流れ落ちてくる吸収剤スラリをホールドして気液接触面積を増大させるようにした装置にも本発明を適用することができる。
また、脱硫装置は、一つのスラリ酸化タンクの排煙導入側と導出側とに、並流式の吸収塔と向流式の吸収塔とをそれぞれに設け、気液接触装置を具備したタイプとすることもできる。
その他種々のタイプの湿式脱硫装置に適用することができ、図1のタイプに限定されるものではない。
【0016】
また、上記図1の実施の形態では、スラリ酸化タンク1に貯まる吸収剤スラリの一部、ヘッダパイプ5から噴射される吸収剤スラリ、及びミストエリミネータ3から返送される吸収剤スラリを活用している。しかし、本発明の目的に沿う吸収剤スラリであれば、装置の他の場所から返送することもできる。
また、上記実施の形態では、上記3つの種類の吸収剤スラリを利用することができるようにしている。これは、返送するスラリの選択の幅を広げ、稼働状況に応じ装置を有効に機能させるためである。しかし、条件によって、これらの3つのうちいずれか一つのみの吸収剤スラリを返送するようにしても良い。もし、ヘッダパイプ5から噴射される吸収剤スラリ、又はミストエリミネータ3から返送される吸収剤スラリのみを用いる場合には、返送ポンプ16を省略することもできる。
さらに、図1について上記説明した実施の形態(その1)の装置に併せて図2について上記説明した実施の形態(その2)の装置を併設することもできる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したところから明かなように、本発明によれば、スラリ吸収剤を返送してスラリ酸化タンクの攪拌を行うために過大な動力を必要しない。すなわち、酸化タンク自体から液を抜き、返送するため、この水流を作るためのポンプの揚程を低くすることができ、動力は小さくて済む。
スラリを返送するための設備も、シンプルな構造であり、従来過大であった酸化空気供給装置のための設備費を低減することができる。また、メンテナンスも容易である。
空気を攪拌によらぬ水流自体により微細化し、従来よりも酸素の利用率を向上させることができる。
加えて、従来のように攪拌機により液を流動させるためには、攪拌機械の設置位置に制限がある。しかし、本装置では、そういった制限がないため、気泡の分散・混合を行うのに最適な配置を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる湿式排煙脱硫装置の一実施の形態を説明する概念図である。
【図2】本発明にかかる湿式排煙脱硫装置の別の実施の形態を説明する概念図である。
【図3】湿式排煙脱硫装置に従来用いられている供給酸素の攪拌方法の一例を説明する概念図である。
【図4】湿式排煙脱硫装置に従来用いられている供給酸素の攪拌方法の他の例を説明する概念図である。
【符号の説明】
1、201、301 スラリ酸化タンク
2 吸収塔
3 ミストエリミネータ
4 排煙導出部
5 ヘッダパイプ
6 循環ポンプ
7 ノズル
8 排煙導入部
9、20 返送配管
10、24 吐出部
11 上部取出口
12、14、15、21、22、23 弁
13 液溜め
16 返送ポンプ
17、17’ 酸素供給口
25、202、303 酸素供給手段
203、302 攪拌機

Claims (5)

  1. 亜硫酸ガスをスラリ溶液に吸収させ、該スラリ溶液に酸素含有ガスを吹き込んで、上記スラリ溶液内の亜硫酸を酸化するようにした湿式排煙脱硫装置において、上記スラリ溶液の一部をスラリ酸化タンクの底部又は底部近くに返送するための返送配管を該スラリ酸化タンクに設け、該返送配管の吐出部に上記酸素含有ガスを吹き込み、該返送配管から返送したスラリ溶液によって酸素含有ガスを微細化するようにしたことを特徴とする湿式排煙脱硫装置。
  2. スラリ酸化タンクに貯まるスラリ溶液の一部を取り出し、上記返送配管によって返送するようにしたことを特徴とする請求項1の湿式排煙脱硫装置。
  3. ヘッダパイプから噴射されるスラリ溶液を、上記返送配管によって返送するようにしたことを特徴とする請求項1又は2の湿式排煙脱硫装置。
  4. ミストエリミネータから返送されるスラリ溶液を、上記返送配管によって返送するようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれかの湿式排煙脱硫装置。
  5. スラリ溶液の一部をスラリ酸化タンクの底部付近から取出し、圧送ポンプを介してヘッダパイプへと圧送する配管からスラリ吐出配管を分岐させ、該配管の吐出部に酸素含有ガスを吹込み、該吐出配管から吐出したスラリ溶液によって酸素含有ガスを微細化するようにしたことを特徴とする請求項1から4のいずれかの湿式排煙脱硫装置。
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