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JP3551735B2 - 光学活性アゼチジン−2−カルボン酸の製造方法 - Google Patents

光学活性アゼチジン−2−カルボン酸の製造方法 Download PDF

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JP3551735B2 JP33540297A JP33540297A JP3551735B2 JP 3551735 B2 JP3551735 B2 JP 3551735B2 JP 33540297 A JP33540297 A JP 33540297A JP 33540297 A JP33540297 A JP 33540297A JP 3551735 B2 JP3551735 B2 JP 3551735B2
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英樹 牛尾
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学活性アゼチジン−2−カルボン酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学活性アゼチジン−2−カルボン酸は医薬品の原料として重要な化合物である。
従来かかる光学活性アゼチジン−2−カルボン酸の製造方法としては、例えば光学活性N−トシル−アゼチジン−2−カルボン酸をバーチ還元でトシル基を脱離する方法(特開昭49−14457号公報)が知られているが、この方法では金属Naが必須であるため発火等、安全性の問題があり、また反応終了後生成する無機塩をイオン交換樹脂等により除去し、精製する工程が必要であるため工業的に有利な方法とは言い難かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者らは、より工業的に有利な光学活性アゼチジン−2−カルボン酸の製造方法を鋭意検討した結果、特定の置換基を持つ光学活性N置換アゼチジン−2−カルボン酸がアミンの存在下で光学活性アゼチジン−2−カルボン酸に導かれ得ることを見出し、本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、一般式(1)
Figure 0003551735
(式中、Nsは2−ニトロベンゼンスルホニル基または4−ニトロベンゼンスルホニル基を示し、*は不斉炭素原子を示す)
で示される光学活性N置換アゼチジン−2−カルボン酸とチオフェノールとアミンの存在下で反応させることを特徴とする光学活性アゼチジン−2−カルボン酸の製造方法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
一般式(1)で示される光学活性N置換アゼチジン−2−カルボン酸としては、(S)−N−2−ニトロベンゼンスルホニルアゼチジン−2−カルボン酸、(S)−N−4−ニトロベンゼンスルホニルアゼチジン−2−カルボン酸、(S)−N−2,4−ジニトロベンゼンスルホニルアゼチジン−2−カルボン酸、(R)−N−2−ニトロベンゼンスルホニルアゼチジン−2−カルボン酸、(R)−N−4−ニトロベンゼンスルホニルアゼチジン−2−カルボン酸、(R)−N−2,4−ジニトロベンゼンスルホニルアゼチジン−2−カルボン酸が挙げられる。
【0006】
かかる光学活性N置換アゼチジン−2−カルボン酸は、例えば一般式(2)
Figure 0003551735
(式中、Ns、*は前記と同じ意味を表わし、Rは低級アルキル基を、Xはハロゲン原子をそれぞれ表わす)
で示される光学活性N置換α−アミノ−γ−ハロゲノ酪酸エステルを塩基の存在下に閉環させたのち、加水分解することにより製造することができる。ここで、一般式(2)において低級アルキル基としては炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基が、ハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素原子等が挙げられる。また塩基としては例えば水素化ナトリウム、水素化リチウム等の水素化アルカリ金属、ソジウムメチラート、ソジウムエチラート等のアルカリ金属のアルコラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属等が挙げられる。
【0007】
上記光学活性N置換アゼチジンカルボン酸とチオフェノールとを、アミンの存在下で反応させることにより、目的とする光学活性アゼチジン−2−カルボン酸を製造することができる。
【0008】
本発明において使用するアミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミンまたは芳香族アミン等が挙げられるが、中でも脂肪族アミンが好ましい。脂肪族アミンとしては第1級アミン、第2級アミンおよび第3級アミンいずれでもよくまた第2級および第3級アミンにおいては各アルキル基が互いに同じであっても異なっていてもよい。これら脂肪族アミンの中でもそのアルキル基が全て炭素数1〜6の直鎖または分岐状の低級アルキル基である低級アルキルアミンが、反応終了後、過剰のアミンを除去する際、除去しやすいという観点から好ましい。
【0009】
かかる低級アルキルアミンとしては、第1級アミンとしてメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、sec−ペンチルアミン等が例示でき、第2級アミンとしてはジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン等が例示でき、また第3級アミンとしてはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、メチルジエチルアミン等が例示できる。
【0010】
上記低級アルキルアミンの中でも、室温付近以上の沸点を有する低級アルキルアミンが取り扱いの観点からより好ましく、また本発明において溶媒を使用する場合は、使用する溶媒の沸点付近より低い沸点を有する低級アルキルアミンが使用した溶媒から過剰のアミンを分離しやすいという観点からより好ましい。例えば本発明において後述するような溶媒を使用する場合、低級アルキルアミンの中でもn−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン等が特に好ましい。
【0011】
本発明において、上記アミンを単独で使用しても2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合はその使用順序等には特に制限はない。またアミンの使用量は光学活性N置換アゼチジン−2−カルボン酸に対して通常1〜50モル倍程度の範囲であり、2種以上を併用する場合はその合計量が該範囲内であればよい。
【0012】
本発明において、チオフェノール使用量は光学活性N置換アゼチジン−2−カルボン酸の使用量以上であればよく、その上限値は経済効率の観点から光学活性N置換アゼチジン−2−カルボン酸に対して10モル倍程度であればよい。反応効率の観点から、チオフェノール使用量は光学活性N置換アゼチジン−2−カルボン酸より過剰量であることが好ましく、より好ましくは1.1〜2モル倍程度の範囲である
【0013】
反応は上述したアミン中で行なってもよいが、通常は溶媒中で行われ、かかる溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、tert−ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が例示できる。これらの溶媒はそれぞれ単独もしくは2種以上が用いられ、その使用量は反応速度および経済効率の観点から、光学活性N置換アゼチジン−2−カルボン酸に対して通常2〜50重量倍程度の範囲である。
【0014】
反応温度は通常0℃以上であればよく、その上限値は特に制限はないが100℃程度であればよく、好ましくは25℃〜60℃の範囲である。反応終点は通常行われる分析方法等により適宜決定すればよい。
【0015】
かくして光学活性アゼチジン−2−カルボン酸を得ることができるが、得られた光学活性アゼチジン−2−カルボン酸は分離回収してもよいし、得られた光学活性アゼチジン−2−カルボン酸から他の化合物を製造する場合は、反応液をそのまま別工程に用いてもよい。また分離回収した光学活性アゼチジン−2−カルボン酸をさらにカラムクロマトグラフィー法や再結晶法等の通常行われる方法により精製してもよい。
【0016】
分離回収の方法としては例えば、反応中析出してきた沈殿物を濾過し再結晶する方法や、反応終了後溶媒を留去した残さに酢酸エチルなどの疎水性の有機溶媒と水を加えて分液し、水層から再結晶する方法等が例示できる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の方法により、工業的に有利な方法で光学活性アゼチジン−2−カルボン酸を得ることができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0019】
実施例1
窒素気流下に、(S)−N−2−ニトロベンゼンスルホニル−アゼチジン−2−カルボン酸1.0g(3.5mmol)をジメトキシエタン5mlに溶解し、30℃にてn−プロピルアミン4ml(49mmol)を加えた後、チオフェノール0.38g(3.5mmol)を徐々に滴下し室温で12時間撹拌した。
次いで、反応液中沈殿物を濾過し、酢酸エチル20mlで洗浄し淡黄色結晶1.23gを得た。この結晶0.5gをエタノール8.5mlで再結晶することで(S)−アゼチジン−2−カルボン酸0.23g(白色結晶、収率70%)を得た。
【0020】
実施例2
窒素気流下に、(S)−N−2−ニトロベンゼンスルホニル−アゼチジン−2−カルボン酸1.0g(3.5mmol)をジメチルホルムアミド10mlに溶解し、30℃にてトリエチルアミン15ml(108mmol)を加えた後、チオフェノール1.65g(15mmol)を徐々に滴下し室温で2日間撹拌した。次いで、反応液をエバポレーターにより濃縮し得られた残さ2.9gに、酢酸エチル40ml、水40mlを加え分液し、得られた水層を約1.5mlになるまで濃縮した後、エタノール8.5ml加え再結晶することで、(S)−アゼチジン−2−カルボン酸0.19g(白色結晶、収率53%、光学純度99%ee以上)を得た。
【0021】
実施例3
窒素気流下に、(S)−N−2−ニトロベンゼンスルホニル−アゼチジン−2−カルボン酸1.0g(3.5mmol)、n−プロピルアミン20ml、トリエチルアミン1.77g(17.5mmol)を加えた液に、30℃にてチオフェノール0.46g(4.2mmol)を徐々に滴下し室温で3時間撹拌した。
次いで、反応液をエバポレーターにより濃縮し得られた残さ1.85gに、酢酸エチル40ml、水40mlを加え分液し、得られた水層を約1.5mlになるまで濃縮した後、エタノール9.5ml加え再結晶することで、(S)−アゼチジン−2−カルボン酸0.15g(白色結晶、収率43%、光学純度99%ee以上)を得た。

Claims (5)

  1. 一般式(1)
    Figure 0003551735
    (式中、Nsは2−ニトロベンゼンスルホニル基または4−ニトロベンゼンスルホニル基を示し、*は不斉炭素原子を示す)
    で示される光学活性N置換アゼチジン−2−カルボン酸とチオフェノールとを、アミンの存在下で反応させることを特徴とする光学活性アゼチジン−2−カルボン酸の製造方法。
  2. アミンが脂肪族アミンである請求項1記載の製造方法。
  3. 脂肪族アミンが低級アルキルアミンである請求項2記載の製造方法。
  4. 低級アルキルアミンがn−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミンの少なくとも1種である請求項3記載の製造方法。
  5. チオフェノールの使用量が光学活性N置換アゼチジン−2−カルボン酸の1.1〜2モル倍であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
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