JP3549630B2 - 複合繊維 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、天然繊維に酷似した良好な風合と良好な光沢、吸湿性を有し、かつ加工工程性、繊維強度等の繊維物性に優れた衣料用複合繊維に関するものであり、該複合繊維はその性能を利用してスポーツ衣料の用途の素材として好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成繊維、たとえばポリエステル、ポリアミドのフィラメントからなる織物、編物、不織布等の繊維構造物は、その構成フィラメントの単糸デニ−ルや断面形状が単調であるため、綿、麻等の天然繊維に比較して、風合、光沢が単調で冷たく、繊維構造物としての品位が低いものであった。
また、とくにポリエステル繊維は疎水性であるために、繊維自体が吸水性、吸湿性に劣る欠点をも有する。
近年、これらの欠点を改良するために種々の検討・提案がなされている。たとえば、ポリエステル等の疎水性ポリマ−と、水酸基(OH基)を有するポリマ−とを複合化することにより、疎水性繊維に親水性等の性能を付与させる試みがなされている。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド等の疎水性熱可塑性樹脂との複合繊維が特公昭56−5846号公報や特公昭55−1372号公報等に開示されている。
しかしながら、このような繊維では疎水性の改良はなされても、天然繊維の有する光沢、染色性等にははなはだ遠いものであった。
【0003】
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(エチレン−ビニルアルコ−ル系ポリマ−)とポリエステルとの複合繊維は、両者のポリマ−間の界面での接着性が小さいため剥離しやすい特徴を有するが、使用する目的によっては、トラブルの原因となる。とくに強撚加工や仮撚加工など繊維の長さ方向に対して直角に応力が加わる加工をする場合、所々に2成分間の剥離現象が発生し、該強撚加工糸や仮撚加工糸を用いて布帛を作成し、染色加工を施すと剥離部分が白化して見え、商品価値のないものとなることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリエステル繊維の疎水性を改良してソフトで嵩高感に優れ、かつ鮮やかな染色性、光沢を有する複合繊維を得ることを目的としたものである。
さらには、複合繊維を構成するポリマ−間の剥離現象をも防止することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるA成分と、下記式(1)で示される有機スルホン酸化合物を含有するポリブチレンテレフタレート系ポリマーからなりチタン化合物含有量がチタン金属換算で15〜85ppmであるB成分とよりなる複合繊維であって、下記式(2)および(3)を満足することを特徴とするスポーツ衣料用複合繊維である。
(ただし、Dは3価の芳香族基または3価の脂肪族基、X1およびX2はエステル形成性官能基または水素原子であって、同一であっても異なっていてもよく、Mは金属原子またはアルキルホスホニウム基を示す。)
30≦X≦75 (2)
1.8≦ln(X/Y)≦5 (3)
(ただし、XはA成分のビニルアルコール単位のモル%、YはB成分中の有機スルホン酸化合物の全酸成分に対するモル%を示す。)
【0006】
まず、A成分であるエチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体(以下、A成分ポリマ−と略称する)について説明する。
A成分ポリマ−はエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られるが、ケン化度としては95%以上の高ケン化度のものが好ましく、式(2)で示されるXであるビニルアルコ−ル成分(未ケン化酢酸ビニル成分やアセタ−ル化されたビニルアルコ−ル成分等を含む)が30〜75モル%のものが好適に用いられる。
ケン化度が低くなると、A成分ポリマ−の結晶性が低下し、繊維強度等の繊維物性が低下してくるのみならず、A成分ポリマ−が軟化しやすくなり加工工程でトラブルが発生してくるとともに得られた繊維構造物の風合が低下する。
【0007】
また、A成分ポリマ−中のビニルアルコ−ル成分の含有量が低くなる、すなわち、エチレン含有量が高くなれば、当然水酸基(OH)の減少のために親水性等の機能が低下し、後述するが、目的とする良好な親水性を有する天然繊維ライクの風合が得られない。逆に、ビニルアルコ−ル成分の含有量が高くなる、すなわち、エチレン含有量が低くなれば、溶融成形性が低下すると共に、複合繊維化の際、曵糸性が不良となり、紡糸または延伸時の糸切れ、断糸が多発することになる。
したがって、上記式(2)で示されるXであるビニルアルコ−ル成分は50〜70モル%であること好ましい。
【0008】
B成分として後述するような高融点を有するポリマ−を用いてA成分ポリマ−と複合化する場合、長時間安定に連続して紡糸するためには、A成分ポリマ−の溶融成形時の耐熱性を向上させることが好ましく、その手段として、ビニルアルコ−ル成分の含有量を適切な範囲に限定することとともに、A成分ポリマ−中の金属イオン含有量を所定量以下にすることも効果がある。A成分ポリマ−の熱分解機構としては大きく分けて、ポリマ−主鎖間で橋かけ反応が生じゲル化物発生して熱分解する場合と、かかる場合と混在して主鎖切断、側鎖脱離等の分解が進んで熱分解する場合とが考えられる。
【0009】
詳細については省略するが、A成分ポリマ−中の金属イオンを除去することにより、溶融紡糸時の熱安定性が飛躍的に向上するのである。とくに、Na+ 、K+ イオン等の周期表第I族のアルカリ金属イオンと、Ca2+、Mg2+イオン等の周期表第II族のアルカリ土類金属イオンなどをそれぞれ100ppm以下にすることにより、顕著な効果があることがわかった。とくに、長時間連続して高温条件で溶融紡糸を行う際、A成分ポリマ−中にゲル化物が発生してくると紡糸フィルタ−上にゲル化物が徐々に体積し、その結果、紡糸パック圧力が急上昇してノズル寿命が短くなってしまうとともに、紡糸時の単糸切れ、断糸が頻発してくることになる。ゲル化物の堆積がさらに進行してくるとポリマ−の配管が詰まりトラブル発生の原因となることがある。
【0010】
A成分ポリマ−中の周期表第I族のアルカリ金属、第II族のアルカリ土類金属を除去することにより、高温での溶融紡糸、とくに250℃以上での溶融紡糸時に連続して長時間運転しても大量のゲル化発生によるトラブルが起こりにくい。より好ましいアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの含有量はそれぞれ50ppm以下、とくに10ppm以下である。
【0011】
A成分ポリマ−の製造方法として、一例を紹介する。まず、メタノ−ル等の重合体溶媒中でエチレンと酢酸ビニルをラジカル重合触媒下でラジカル重合させ、ついで未反応モノマ−を反応系から追い出し、苛性ソ−ダによりケン化反応を起こさせ、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体とした後、水中でペレット化し水洗して乾燥させることにより製造される。工程上、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンがポリマ−中に含有されやすく、通常は数百ppm以上のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンが混入してくる。
【0012】
このアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの含有量をできるだけ低下させる方法として、ポリマ−の製造工程中、ケン化処理してにペレット化した後、湿潤状態のペレットを酢酸を含む純水溶液を大量に用いて該ペレットを洗浄し、さらに大過剰の純水のみでペレットを洗浄する方法が挙げられる。
【0013】
次に、B成分であるポリブチレンテレフタレ−ト系ポリマ−(以下、B成分ポリマ−と略称する)について説明する。
B成分ポリマ−とは、ブチレンテレフタレ−ト単位を主たる繰り返し単位とし、前記一般式(1)で示される有機スルホン酸基を式(3)で示されるYだけ含有させてなるポリブチレンテレフタレ−ト系ポリマ−である。かかるポリブチレンテレフタレ−ト系ポリマ−はテレフタル酸を主たる酸成分とし、1,4−ブタンジオ−ルを主たるジオ−ル成分とするものであるが、テレフタル酸成分の一部は他のジカル酸成分で置き換えられていても良く、ジオ−ル成分の一部も他のジオ−ル成分で置き換えられていても良い。
【0014】
テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分としては、たとえばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができる。
また、1,4−ブタンジオ−ル以外の他のジオ−ル成分としては、たとえばエチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルS、ビスフェノ−ルAおよびビスフェノ−ルBのエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
【0015】
B成分ポリマ−の含有成分である前記化合物(1)として、重合時の耐熱性の点から、Dが3価の芳香族基である化合物を用いることが好ましい。たとえば、1,3,5−ベンゼントリイル基、1,2,3−ベンゼントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基等のベンゼントリイル基、1,3,6−ナフタレントリイル基、1,3,7−ナフタレントリイル基,1,4,5−ナフタレントリイル基、1,4,6−ナフタレントリイル基等のナフタレントリイル基などを挙げることができる。
Mはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属原子、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子もしくはテトラ−n−ブチルホスホニウム基、ブチルトリフェニルホスホニウム基、エチルブチルホスホニウム基等のアルキルホスホニウム基である。
【0016】
X1 およびX2 はエステル形成性官能基または水素原子を示し、それらは同一であっても異なっていてもよい。ポリマ−の主鎖中に共重合される点でエステル形成性官能基であることが好ましい。エステル形成性官能基の具体例として下記のものを挙げることができる。
(ただし、Rは低級アルキル基またはフェニル基、aおよびdは1以上の整数、bは2以上の整数を示す。)
【0017】
化合物(1)の具体例としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、α−テトラブチルホスホニウムスルホコハク酸などが挙げられ、なかでもコストパ−フォ−マンスの点において5−ナトリウムスルホイソフタル酸が好ましい。
【0018】
化合物(1)の含有量は、B成分ポリマ−を構成する全酸成分に対して、式(3)を満足する量である。かかる式(3)を満足しない場合には鮮明な発色性が不十分であったり、A成分ポリマ−とB成分ポリマ−との接着性が不良となったり、鮮明な発色性は有していても繊維化工程性、とくに紡糸性、延伸性が不良となると共に繊維強度が低くなる。
【0019】
B成分ポリマーは、通常、チタン系化合物を触媒として重合されるが、このチタン系化合物の量がチタン金属に換算して15〜85ppmの範囲であることが必要である。
B成分ポリマーからなる繊維またはB成分を一成分とする複合繊維は、カチオン染料で染色されると鮮やかな発色性を示すが、B成分ポリマーの重合触媒であるチタン系化合物の含有量によってはかかる繊維の耐光性が極端に低下することになる。したがって、繊維の耐光性の低下を抑制する点で、このチタン系化合物の含有量はチタン金属に換算して15〜85ppmの範囲であることが必要である。チタン系化合物の含有量がチタン金属に換算して15ppm未満では、B成分ポリマーの重合に時間がかかりすぎ、B成分ポリマーが劣化する恐れがある。一方、該含有量が85ppmを越えると当然のことながら、繊維の耐光性が低下してくる。好ましくはチタン系化合物の含有量はチタン金属に換算して20〜70ppmmの範囲である。
【0020】
該チタン系化合物としてはテトラプロピルチタネ−ト、テトラn−ブチルチタネ−ト、蓚酸チタンカリ等が挙げられる。また該チタン系化合物はスズ化合物等の助触媒を併用してもよい。
なお、触媒として用いられるチタン系化合物の他に、通常、繊維の艶消剤として用いられる二酸化チタンが考えられるが、本発明の繊維は透明性と発色性が特徴の繊維であるので、本発明の繊維においてはこのような艶消剤の添加は好ましくなく、したがって、上述のチタン系化合物の含有量は二酸化チタン等の艶消剤のチタンは含まないものである。
【0021】
B成分ポリマ−の極限粘度は0.7〜1.2dl/gであることが好ましい。
【0022】
B成分ポリマ−中には、通常繊維の添加物として公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤等が含有されていても良い。
【0023】
本発明の複合繊維は、前記式(3)を満足することにより、A成分ポリマ−とB成分ポリマ−との接着面での剥離が生じにくい。この理由は推論の域をでないが、おそらくB成分ポリマ−に含有されている式(1)で示される有機スルホン酸基のスルホン酸極性基と、A成分ポリマ−中の水酸基が相互に作用を及ぼし合うことにより接着性が発現してくるものと推察される。
【0024】
本発明の複合繊維において、複合比はA:B=20:80〜80:20(重量比)であることが好ましく、とくにA:B=30:70〜70:30(重量比)であることが好ましく、複合形態や繊維形状に応じて両者の複合比を調製することができる。A成分ポリマ−の複合比が20重量%未満の場合、すなわち、B成分ポリマ−の複合比が80重量%を越える場合には、複合繊維中の水酸基の減少により該繊維の特徴の1つである親水性等の特性が失われてくるとともに、繊維強度が不十分となる。一方、A成分ポリマ−の複合比が80重量%を越える場合、すなわち、B成分ポリマ−の複合比が20重量%未満の場合には、親水性等は満足する繊維となるが、染色による発色性が不良となりやすい。
【0025】
また、該複合繊維の断面形状はA成分ポリマ−が繊維表面全体を覆う必要はなく、鮮やかな発色性を有するには、繊維表面の30%以上が屈折率の低いA成分ポリマ−であることが好ましく、とくに繊維表面の40%以上であることが好ましい。なかでも、A成分ポリマ−が鞘部、B成分ポリマ−が芯部である芯鞘型複合繊維であることが鮮やかな発色性、繊維強度の点において好ましい。
本発明においては繊維の断面形状も重要な要件の1つである。
B成分ポリマ−を一構成成分とすることにより鮮やかな発色性を有する繊維が得られるが、スポ−ツ衣料用途に該繊維を用いる場合、発色性のみならず光沢をも合わせ持つことが要求されている。通常、光沢を有する繊維は発色性が低下し、逆に発色性を優先させると光沢を付与することが難しいことが多い。
本発明では繊維断面形状を考慮することで鮮やかな発色性および光沢を有する繊維を得ることができる。光沢を繊維に付与するためには、光が反射する平坦な面が多い程良く、またマイルドな異形度を有する平坦な面を保持した断面形状が好ましい。このような断面形状として三角断面、偏平異形断面が挙げられる。
【0026】
本発明の複合繊維の太さはとくに限定されるものではなく、任意の太さにすることができる。発色性、光沢感、風合等を考慮すると、複合繊維の単繊維繊度は0.3〜1.0デニ−ル程度にすることが好ましい。また該複合繊維は長繊維のみならず短繊維としても本発明の効果は十分期待できる。
【0027】
本発明の複合繊維の特徴の1つに低温、たとえば80℃で十分染色が可能であることが挙げられる。
通常、ポリエチレンテレフタレ−トに代表されるポリエステルは染色温度が120〜125℃と高く、本発明のA成分ポリマ−と複合した場合、高温で染色することができなかった。しかし、該A成分ポリマ−の複合成分としてB成分ポリマ−を用いることにより80℃程度の低い温度での染色が可能となり、コストの点においても有効である。
【0028】
本発明の複合繊維は、通常の方法により複合紡糸を行うことでき、たとえば低速、中速で溶融紡糸した後に延伸する方法、高速による直接紡糸延伸法、紡糸後に延伸と仮撚を同時にまたは続いて行う方法等の任意の製造方法で製造することができる。
【0029】
【実施例】
本発明を実施例により詳述するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお、実施例における各物性は以下の方法により測定したものである。
各成分ポリマ−の固有粘度および極限粘度
A成分ポリマ−の固有粘度は85%含水フェノ−ルを用い、30℃で測定した。またB成分ポリマ−の極限粘度はフェノ−ル/テトラクロロエタンの等重量混合溶液を用い、30℃で測定した。それぞれウベロ−デ粘度計を用いて測定した。
複合繊維強度
JIS L 1O13に準拠して測定した。
複合繊維の各成分ポリマ−の接着性
24〜36フィラメントを500〜1000T/Mの撚をかけ、そのままの状態で糸条を切断し、切断面のフィラメントの剥離状態を観察した。切断箇所を10箇所について、下記の基準により評価した。
○:剥離程度が2割未満の場合
△:剥離程度が2〜5割の場合
×:剥離程度が5割を越える場合
複合繊維の染色による色の鮮明性および光沢性
一定の染色条件で染色した複合繊維からなる布帛を10人のパネラ−により官能評価を行った。その結果を、非常に優れるを2点、優れるを1点、劣るを0点とし総合点で3段階に分けた。
○: 合計点が15点以上
△: 合計点が8〜14点
×: 合計点が7点以下
【0030】
実施例1
重合溶媒としてメタノ−ルを用い、60℃下でエチレンと酢酸ビニルをラジカル重合させ、エチレン含有量が44モル%のランダム重合体を製造し、ついで苛性ソ−ダによりケン化処理を行い、ケン化度が99%のエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物とした後、湿潤状態の該ポリマ−を酢酸が少量添加された大過剰の純水で線上を繰り返した後、さらに大過剰の純水で洗浄を繰り返し、ポリマ−中のアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの含有量をそれぞれ約10ppm以下とし、その後脱水機によりポリマ−から水を分離した後、さらに100℃以下で真空乾燥を十分に行い、固有粘度〔η〕A が1.05のものを得た。このポリマ−をA成分ポリマ−とした。
【0031】
一方、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を全酸成分に対して、式(3)で示される量含有させたポリブチレンテレフタレ−トを、重合触媒としてテトライソプロピルチタネ−トを用い、チタン金属換算にして35ppm添加して常法により重合を行い、極限粘度〔η〕B が0.81のポリマ−ペレットを得た。このポリマ−をB成分ポリマ−とした。A成分ポリマ−とB成分ポリマ−とを別々の押出機で溶融押し出しし、A:B=50:50(重量比)で265℃で溶融複合紡糸を行った後、延伸して図1(イ)に示す断面形状の複合マルチフィラメント (75デニ−ル/24フィラメント)を得た。この複合マルチフィラメントの強度は3.4g/デニ−ルであった。ついで、該複合マルチフィラメントを用いて編物を作成し、得られた編物を通常の液流染色機を使用して下記に示す染色条件で染色を施した。その後、常法により乾燥仕上げセットを行った。染色された編物は良好な発色鮮明性と光沢を有しており、また耐光性も良好であった。さらにしっとりとした良好な風合を有するものであった。結果を表1に示す。
【0032】
【0033】
実施例2〜6
A成分ポリマ−とB成分ポリマ−との複合比および断面形状を表1に示すように代えた以外は実施例1と同様にして複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントを用いて編物を作成し、実施例1と同様の染色条件で染色を行った。編物評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、良好な発色鮮明性と光沢、耐光性および風合を有していた。
【0034】
実施例7〜8
B成分ポリマ−中に含有される5−ナトリウムスルホイソフタル酸の含有量を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして複合マルチフィラメントを得、ついでこれらの複合マルチフィラメントを用いて編物を作成して実施例1と同様の条件で染色を行った。編物評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、良好な発色鮮明性と光沢、耐光性および風合を有していた。
【0035】
実施例9
B成分ポリマ−の重合触媒量をチタン金属換算にして50ppmに代えた以外は実施例1と同様にして複合マルチフィラメントを得、ついでこの複合マルチフィラメントを用いて編物を作成して実施例1と同様の条件で染色を行った。編物評価結果を表1に示す。繊維化工程性は良好であり、良好な発色鮮明性と光沢、耐光性および風合を有していた。
【0036】
実施例10
B成分ポリマ−に含有される式(1)で示される化合物として、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラn−ブチルホスホニウム塩を用い、その含有量を2.5モル%とした以外は実施例1と同様にして複合マルチフィラメントを得、ついでこの複合マルチフィラメントを用いて編物を作成して実施例1と同様の条件で染色を行った。編物評価結果を表1に示す。繊維化工程性は良好であり、良好な発色鮮明性と光沢、耐光性および風合を有していた。
【0037】
実施例11〜12
A成分ポリマ−中に含有されるエチレン含有量を表1に示すように代えた以外は実施例1と同様にして複合マルチフィラメントを得、ついでこの複合マルチフィラメントを用いて編物を作成して実施例1と同様の条件で染色を行った。編物評価結果を表1に示す。繊維化工程性は良好であり、良好な発色鮮明性と光沢、耐光性および風合を有していた。
【0038】
比較例1
5−ナトリウムスルホイソフタル酸を2.5モル%含有したB成分ポリマ−のみからなる繊維を実施例1と同じ条件で紡糸し、得られたマルチフィラメントを用いて編物を作成した。この編物を実施例1と同様にして染色を施したところ、発色鮮明性は良好であったが、光沢および風合の点で劣っていた。また強度も1.9g/デニ−ルと低く、編物強度も低いことから実用性が低いものであった。
【0039】
比較例2〜3
B成分ポリマ−中に含有される5−ナトリウムスルホイソフタル酸の含有量を表1に示すように代えた以外は実施例1と同様にして複合マルチフィラメントを得た。ついでこれらの複合マルチフィラメントを用いて編物を作成し、実施例1と同じ条件で染色を施した。編物評価結果を表1に示す。
比較例2で得られた編物の風合、光沢は良好であったが、発色鮮明性は実施例で得られた、編物に比較して低いレベルのものであった。また、比較例3で得られた編物は延伸性が不良で毛羽・断糸が多発したのみならず、繊維強度も1.8g/デニ−ルと低く、実用性に欠けるものであった。
【0040】
比較例4〜5
A成分ポリマ−中に含有されるエチレン含有量を表1に示すように代えた以外は実施例1と同様にして複合マルチフィラメントを得た。これらの複合マルチフィラメントを用いて編物を作成し、実施例1と同じ条件で染色を施した。編物評価結果を表1に示す。
比較例4において、A成分ポリマ−の曵糸性が不良であるため紡糸性が非常に低下した。また長時間紡糸を行っているとA成分ポリマ−のゲル化物が紡糸フィルタ−に詰まってくると同時に、繊維中にも多量のゲル化物が混入し、紡糸性がさらに悪化した。さらに延伸性も悪く、染色物評価ができるような編物が得られなかった。
比較例5において、繊維化工程性は良好であったが、編物としては風合が今1つであり、満足できるものではなかった。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
本発明の衣料用複合繊維は、従来の合成繊維には見られなかった良好な親水性を有したソフトで嵩高感に優れた天然繊維に酷似した風合と、発色鮮明性と光沢感の良好な繊維であり、スポーツ衣料用に好適な繊維である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合繊維の複合形態の一例を示す図である。
【符号の説明】
A:A成分ポリマ−
B:B成分ポリマ−
Claims (1)
- エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるA成分と、下記式(1)で示される有機スルホン酸化合物を含有するポリブチレンテレフタレート系ポリマーからなりチタン化合物含有量がチタン金属換算で15〜85ppmであるB成分とよりなる複合繊維であって、下記式(2)および(3)を満足することを特徴とするスポーツ衣料用複合繊維。
(ただし、Dは3価の芳香族基または3価の脂肪族基、X1およびX2はエステル形成性官能基または水素原子であって、同一であっても異なっていてもよく、Mは金属原子またはアルキルホスホニウム基を示す。)
30≦X≦75 (2)
1.8≦ln(X/Y)≦5 (3)
(ただし、XはA成分のビニルアルコール単位のモル%、YはB成分中の有機スルホン酸化合物の全酸成分に対するモル%を示す。)
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