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JP3549015B2 - 光重合性組成物 - Google Patents

光重合性組成物 Download PDF

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JP3549015B2
JP3549015B2 JP03483499A JP3483499A JP3549015B2 JP 3549015 B2 JP3549015 B2 JP 3549015B2 JP 03483499 A JP03483499 A JP 03483499A JP 3483499 A JP3483499 A JP 3483499A JP 3549015 B2 JP3549015 B2 JP 3549015B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光重合性組成物および光重合性樹脂積層体に関し、更に詳しくはプリント配線板作成に適したアルカリ現像可能な光重合性組成物および光重合性樹脂積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線作成用のレジストとして支持層と光重合性層から成る、いわゆるドライフィルムレジスト(以下DFRと略称)が用いられている。DFRは、一般に支持フィルム上に光重合性組成物を積層し、多くの場合、さらに該組成物上に保護用のフィルムを積層することにより調製される。ここで用いられる光重合層としては、現在、現像液として弱アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型が一般的である。
【0003】
DFRを用いてプリント配線板を作成するには、まず保護フィルムを剥離した後、銅張積層板等の永久回路作成用基板上にラミネーター等を用いDFRを積層し、配線パターンマスクフィルム等を通し露光を行う。次に必要に応じて支持フィルムを剥離し、現像液により未露光部分の光重合性組成物を溶解、もしくは分散除去し、基板上に硬化レジスト画像を形成させる。
【0004】
このようにして形成されたレジスト画像をマスクとして基板の金属表面をエッチング、またはめっきによる処理を行い、次いでレジスト画像を現像液よりも強いアルカリ水溶液を用いて剥離して、プリント配線板等を形成する。特に最近は工程の簡便さから貫通孔(スルーホール)を硬化膜で覆い、その後エッチングするいわゆるテンティング法が多用されている。エッチングは塩化第二銅、塩化第二鉄、銅アンモニア錯体溶液などが用いられる。
【0005】
最近では、プリント配線板の高密度化に伴いファインパターン化が進むにつれて高解像度、高密着性のDFRが要求されており、特にBGA等パッケージ用途のDFRでは高解像度が要求されている。また、BGA等のファインパターン用ではめっき工法による導体形成が主流であり、DFRの耐めっき性が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、ファインパターン用途ではDFRに高解像性を付与したとしても、耐めっき性を維持させることは非常に困難であった。特に、ファインパターンにおいてはレジストラインがファインになる程、めっき工程時、めっきの成長とともにレジストラインが押されめっきもぐりを生じる事がしばしばあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の線状重合体と特定の光重合可能な不飽和化合物を用いることにより、高解像性で耐めっき性の良好な特性を得られる事を見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願の第一発明は、
(a)(i)非酸性であり、かつ分子中に重合性不飽和基およびフェニル基を有する化合物、
(ii)分子中に重合性不飽和基を有するカルボン酸または酸無水物、及び
(iii)炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、及び炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種類以上の化合物、
を共重合してなり、かつ重量平均分子量が3万以上6万以下の線状重合体、20〜90重量%、
(b)下記式(I)で表される光重合性不飽和化合物、3〜30重量%、
【0008】
【化4】
Figure 0003549015
【0009】
(式中、R1はHまたはCH3であり、n1は3〜16の整数である。)
(c)少なくとも二つの末端エチレン基を持つ光重合性不飽和化合物、5〜
40重量%、
(d)光重合開始剤、0.01〜30重量%、
を含有し、かつ、組成物全体の重量に対して、(b)の光重合性不飽和化合物と(c)の光重合性不飽和化合物との合計量の比率が7〜60重量%であることを特徴とする光重合性組成物である。
【0010】
本願の第二発明は、上記第一発明において、(c)の光重合性不飽和化合物として、下記式(II)または(III)で表される化合物のいずれか1種または双方が含有されていることを特徴とする光重合性組成物である。
【0011】
【化5】
Figure 0003549015
【0012】
(式中、R、RはHまたはCHでありこれらは同一であっても相違してもよい。n2、n3、n4は3〜20の整数である。)
【0013】
【化6】
Figure 0003549015
【0014】
(式中、R、RはHまたはCHであり、これらは同一であっても相違してもよい。また、A、Bは−CH(CH)CH−または−CHCH−であり、これらは相異なる。n5+n6は2〜16、n7+n8は2〜16の整数でありn5、n6、n7、n8は正の整数である。)
本願の第三発明は、支持体上に上記第一発明または第二発明の光重合性組成物からなる層を設けた光重合樹脂積層体である。
【0015】
また、上記第一〜第三発明において、光重合開始剤(d)として、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンまたは4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体の組み合わせを用いる事は好ましい態様である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明の光重合性組成物には、(b)成分として前記一般式(I)の光重合性不飽和化合物が含まれることが必須である。一般式(I)の化合物は、ポリプロピレングリコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル化反応により得ることができる。また、一般式(I)の化合物においてnが3未満であると耐めっき性に対する効果が充分ではなく、16を越えると充分な感度がでなくなる。
【0017】
一般式(I)の化合物は本発明の光重合性組成物に3〜30重量%含まれる事が必要があり、5〜15重量%含まれることがより好ましい。この量が3重量%より少ないと耐めっき性に対する効果が充分ではなく、また、この量が30重量%を越えると充分な感度がでなくなる。
本発明の光重合性組成物には、(c)成分として少なくとも二つの末端エチレン基を持つ光重合性化合物を含む事が必須である。このような少なくとも二つの末端エチレン基を持つ光重合性化合物のうち、特に好ましい化合物としては、前記一般式(II)、(III)の化合物が挙げられる。
【0018】
一般式(II)で表される化合物において、n2、n3、n4が3よりも小さいと当該化合物の沸点が低下して、レジストの臭気が強くなり、使用が著しく困難になる。また、n2、n3、n4が20を越えると実用的感度が得られない。
また、一般式(III)で表される化合物において、A及びBがプロピレングリコール鎖のような疎水性基を持つ化合物のみであるとベースポリマーとの相溶性が悪化したり、現像時のスカム発生の原因となる。また、現像時間も遅くなる。A及びBがエチレングリコール鎖のような親水性基を持つ化合物のみであると現像時の膨潤性が増加し解像性が悪化する。現像性と解像性を両立させるにはエチレングリコール鎖とプロピレングリコール鎖の双方を分子中に有する事が有効である。また、n5+n6及びn7+n8が16を越えると二重結合濃度が減少し充分な感度がでなくなる。n5+n6及びn7+n8は4〜12が好ましい。
一般式(II)、(III)以外の(c)成分の光重合性化合物の例として、1、6ーヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1、4ーシクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2ージ(pーヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、2、2ービス(4ーメタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、及びウレタン基を含有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの光重合性化合物は一種類でも二種類以上を併用することもでき、一般式(II)、(III)の化合物とも併用できる。
【0019】
これらの使用量は5〜40重量%が好ましく一般式(I)の化合物との合計は7〜60重量%である事が必要である。7重量%未満では感度の点で充分ではなく、60重量%を越えると保存時の光重合性層のはみ出しが著しくなるため好ましくない。
本発明の光重合性組成物に用いられる(a)成分の線状重合体に含まれるカルボキシル基の量は、酸当量で100〜600である必要があり、好ましくは300〜400である。線状重合体中のカルボキシル基は、DFRにアルカリ水溶液に対する現像性や剥離性を与えるために必要である。酸当量が100未満では、塗工溶媒または他の組成物、例えば、光重合性不飽和化合物(モノマー)との相溶性が低下し、600を越えると現像性や剥離性が低下する。また、本発明の線状重合体の分子量は3〜6万である必要がある。線状重合体の分子量が6万を超えると解像性が低下し、3万未満では保存時の光重合性層のはみ出しが顕著になり好ましくない。
【0020】
ここで酸当量とはその中に1当量のカルボキシル基を有するポリマーの重量を言う。なお、酸当量の測定は電位差滴定法により行われる。また分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
(a)成分として用いられる線状重合体の共重合成分(i)は、非酸性で分子中に重合性不飽和基を有し、フェニル基を有する化合物を必須成分とする。このような化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、及びスチレン誘導体が挙げられ、本発明においては特にスチレンが好ましい。
【0021】
(a)成分として用いられる線状重合体の共重合成分(ii)は、分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸または酸無水物である。このような化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。
(a)成分として用いられる線状重合体の共重合成分(iii)は、アルキル基1〜6個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシルアルキル基が2〜6個の炭素原子を有するヒドロキシル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種類以上の化合物である。このような化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0022】
本発明の光重合性組成物に用いられる(d)成分の光重合開始剤としては、各種の活性光線、例えば紫外線などにより活性化され重合を開始させることができる公知の開始剤が挙げられる。
このような光重合開始剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1、2−ベンズアントラキノン、2、3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2、3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1、4−ナフトキノン、9、10−フェナントラキノン、2−メチル1、4−ナフトキノン、2、3−ジメチルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノンなどのキノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、2−(ο−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、例えばエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、2−クロルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、イソプロピルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、また、2−(ο−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾリル二量体とミヒラーズケトンとの組み合わせ、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−ο−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(ο−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類等がある。これらの開始剤の好ましい例としては、ジエチルチオキサントン、クロルチオキサントン等のチオキサントン類、ジメチルアミノ安息香酸エチル等のジアルキルアミノ安息香酸エステル類、ベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−(ο−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾリル二量体、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0023】
特にさらに高い解像性を付与させるためには、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンまたは4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾリル二量体の組み合わせが有効である。
本発明の光重合性組成物に含有される光重合開始剤の量は、0.01重量〜30重量%であり、好ましくは、0.05重量〜10重量%である。光重合開始剤が30重量%を超えると光重合性組成物の活性光吸収率が高くなり、光重合積層体として用いた場合、光重合層の底の部分の重合による硬化が不十分になる。また、光重合開始剤の量が0.01重量%未満では充分な感度がでなくなる。
【0024】
また、本発明の光重合性組成物の熱安定性、保存安定性を向上させるために、光重合性組成物にラジカル重合禁止剤を含有させることは好ましいことである。このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2、2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2、2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
【0025】
本発明の光重合性組成物は、染料、顔料等の着色物質を含有させることもできる。このような着色物質としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS,パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ベイシックブルー20、ダイヤモンドグリーン等が挙げられる。
【0026】
また、光照射により発色する発色系染料を本発明の光重合性組成物に含有させることもできる。発色系染料としては、ロイコ染料またはフルオラン染料と、ハロゲン化合物の組み合わせがある。ロイコ染料としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。
【0027】
一方、ハロゲン化合物としては臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、4臭化炭素、トリス(2、3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1、1、1−トリクロロ−2、2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、トリアジン化合物、等が挙げられる。
【0028】
トリアジン化合物としては、2、4、6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが挙げられる。また、このような発色系染料の中でもトリブロモメチルフェニルスルフォンとロイコ染料との組み合わせや、トリアジン化合物とロイコ染料との組み合わせが有用である。また本発明の光重合性組成物に必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有させることもできる。
【0029】
DFR用の光重合性樹脂積層体とする場合には、上記光重合性樹脂組成物を支持層上に塗工する。支持層としては、活性光を透過する透明なものが望ましい。活性光を透過する支持層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム、等が挙げられる。これらのフィルムは必要に応じ延伸されたものも使用可能である。厚みは薄い方が画像形成性、経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から10〜30μmのものが一般的である。
【0030】
支持体層と積層した光重合性層の反対側の表面に、必要に応じて保護層を積層する。支持層よりも保護層の方が光重合性層との密着力が充分小さく容易に剥離できることがこの保護層としての重要な特性である。このような保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。 光重合性層の厚みは用途において異なるが、プリント配線板作製用には5〜100μm、好ましくは、5〜90μmであり、光重合層が薄いほど解像力は向上する。また、光重合層が厚いほど膜強度が向上する。この光重合性樹脂積層体を用いたプリント配線板の作成工程は公知の技術により行われるが、以下に簡単に述べる。
【0031】
保護層がある場合は、まず保護層を剥離した後、光重合性層をプリント配線板用基板の金属表面に加熱圧着し積層する。この時の加熱温度は一般的に40〜160℃である。次に必要ならば支持層を剥離しマスクフィルムを通して活性光により画像露光する。次に光重合性層上に支持フィルムがある場合には必要に応じてこれを除き、続いてアルカリ水溶液を用いて光重合層の未露光部を現像除去する。アルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液を用いる。これらのアルカリ水溶液は光重合性層の特性に合わせて選択されるが、一般的に0.5〜3%の炭酸ナトリウム水溶液が用いられる。
【0032】
次に現像により露出した金属面に既知のエッチング法、またはめっき法のいずれかの方法を行うことにより、金属の画像パターンを形成する。その後、一般的に現像で用いたアルカリ水溶液よりも更に強いアルカリ性の水溶液により硬化レジスト画像を剥離する。剥離用のアルカリ水溶液についても特に制限はないが、1%〜5%の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液が一般的に用いられる。また、現像液や剥離液に少量の水溶性有機溶媒を加える事も可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的実施形態について、実施例で説明する。
【0034】
【実施例1】
表1に示された組成(実施例1の欄)の光重合性組成物を均一に溶解した。次にこの混合溶液を厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で3分乾燥した。この時の光重合性層の厚さは25μmであった。次に、光重合性層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に25μmのポリエチレンフィルムを張り合わせることによって積層フィルムを得た。一方、35μm圧延銅箔を積層した銅張積層板表面を湿式バフロール研磨(スリーエム社製、商品名スコッチブライト#600、2連)し、この積層フィルムのポリエチレンフィルムを剥しながら光重合性層をホットロールラミネーターにより105℃でラミネートした。この積層体にマスクフィルムを通して、超高圧水銀ランプ(オーク製作所HMW−801)により70mJ/cmで光重合性層を露光した。続いてポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を約60秒間スプレーし、未露光部分を溶解除去したところ良好な硬化画像を得た。
【0035】
また、本発明の光重合性組成物を用いた積層体について以下の評価を行った。
(1)最小現像時間の測定
35μm圧延銅箔を積層した銅張り積層板にドライフィルムレジストのポリエチレンフィルムを剥がしながら光重合性層をホットロールラミネーターにより、105℃でラミネートした。続いて、この積層体のポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーし、未露光の光重合性層が溶解する最小の現像時間を測定し、その時間を最小現像時間とした。実際の現像はこの最小現像時間の3倍の時間で行った。
(2)解像度
銅張積層板にラミネートされた積層体にラインとスペースが1:1であるマスクフィルムを通して超高圧水銀ランプ(オーク製作所HMW−801)により70mJ/cmで露光した。続いて、ポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を約60秒間スプレーした。得られた画像の分離し得る最小線幅を解像度とした。
【0036】
(3)耐めっき性
35μm圧延銅箔を積層した銅張り積層板にドライフィルムレジストのポリエチレンフィルムを剥がしながら光重合性層をホットロールラミネーターにより、105℃でラミネートした。この積層体にラインとスペースが1:1であるマスクフィルムを通して超高圧水銀ランプ(オーク製作所HMW−801)により70mJ/cm2で光重合性層を露光した。続いてポリエチレンテレフタレート支持フィルムを剥離した後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を約60秒間スプレーした。このようにして得られた硬化画像のある積層板に以下の条件により硫酸銅めっきを行い、50℃、3%苛性ソーダ水溶液をスプレーする事により硬化レジストを剥離した。硬化レジスト剥離後のL/S=30/30μmの硫酸銅めっきラインを光学顕微鏡により観察し、以下のようにランク付けした。
【0037】
(めっき条件)
前処理:酸性脱脂剤FRX(10%水溶液、アトテックジャパン製)浴に40℃で4分浸せきする。その後水洗し、APS水溶液(過硫酸アンモニウム水溶液、濃度200g/L)に室温で1分間浸せきし、水洗後10%硫酸水溶液に2分間浸せきする。
硫酸銅めっき:下記のめっき浴組成で2.0A/dm2の電流密度で45分間めっきを行った。
<硫酸銅めっき浴組成>
純水 :58.9%
硫酸銅コンク(メルテックス社製) :30%
濃硫酸 :10%
濃塩酸 :0.1%
カッパークリーム125(メルテックス社製):1%
(耐めっき性ランク)
○:二次銅めっきのもぐりがなく良好なめっきラインを形成している。
△:二次銅めっきのもぐり幅がラインの片側で10μm程度ある。
×:二次銅めっきのもぐり幅がラインの片側で10μm以上ある。
【0038】
【実施例2〜6、比較例1〜4】
実施例1と同様の方法により、表1記載の組成の光重合性樹脂積層体を得、最小現像時間の測定、解像度、耐めっき性の評価を行った。結果を表1に示す。
<記号説明>
P−1:メタクリル酸メチル70重量%、メタクリル酸23重量%、アクリル酸ブチル7重量%の三元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分濃度32%、重量平均分子量8.5万)
P−2:メタクリル酸メチル47重量%、メタクリル酸23重量%、スチレン30重量%の三元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分濃度32%、重量平均分子量4.5万)
M−1:トリメチロールプロパントリアクリレート
M−2:ノナプロピレングリコールジアクリレート
M−3:ノナエチレングリコールジアクリレート
M−4:β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)プロピルフタレート
M−5:平均6モルのプロピレンオキサイドを付加したグリコールとメタクリル酸とのハーフエステル。
【0039】
M−6:平均9モルのプロピレンオキサイドを付加したグリコールとメタクリル酸とのハーフエステル。
M−7:平均14モルのプロピレンオキサイドを付加したグリコールとメタクリル酸とのハーフエステル。
M−8:平均8モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレート
M−9 :ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均3モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールと平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート
M−10:ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製ブレンマーPP1000)との反応物
A−1:ベンゾフェノン
A−2:4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン
A−3:2−(ο−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾリル二量体
B−1:マラカイトグリーン
B−2:ロイコクリスタルバイオレット
【0040】
【表1】
Figure 0003549015
【0041】
【発明の効果】
本発明の光重合性樹脂組成物を用いたDFRは、耐めっき性が良好でかつパッケージ用等ファインライン形成に対応した高解像性でありアルカリ現像型回路板作製用DFRとして有用である。

Claims (2)

  1. (a)(i)非酸性であり、かつ分子中に重合性不飽和基およびフェニル基を有する化合物、(ii)分子中に重合性不飽和基を有するカルボン酸または酸無水物、及び(iii)炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、及び炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種類以上の化合物、を共重合してなり、かつ重量平均分子量が3万以上6万以下の線状重合体、20〜90重量%、
    (b)下記式(I)で表される光重合性不飽和化合物、3〜30重量%、
    Figure 0003549015
    (式中、R1 はHまたはCH3 であり、n1 は3〜16の整数である。)
    (c)下記式(II)または(III)で表される化合物のいずれか1種または双方が含有されている光重合性不飽和化合物、5〜40重量%、
    Figure 0003549015
    (式中、R2 、R3 はHまたはCH3 でありこれらは同一であっても相違してもよい。n2 、n3 、n4 は3〜20の整数である。)
    Figure 0003549015
    (式中、R4 、R5 はHまたはCH3 であり、これらは同一であっても相違してもよい。また、A、Bは−CH(CH3 )CH2 −または−CH2 CH2 −であり、これらは相異なる。n5 +n6 は2〜16、n7 +n8 は2〜16の整数でありn5 、n6 、n7 、n8 は正の整数である。)
    (d)4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンまたは4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体の組み合わせからなる光重合開始剤、0.01〜30重量%、を含有し、かつ、組成物全体の重量に対して、(b)の光重合性不飽和化合物と(c)の光重合性不飽和化合物との合計量の比率が7〜60重量%であることを特徴とする光重合性組成物。
  2. 支持体上に請求項1の光重合性組成物からなる層を設けた光重合性樹脂積層体。
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