JP3542216B2 - ヒドロキシル基を有するスチルベン化合物 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は電子写真用の有機光導電性材料として、またヒドロキシル基から誘導される種々の材料の製造中間体として新規で有用なヒドロキシル基含有スチルベン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式において使用される感光体の有機光導電性材料としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、トリフェニルアミン化合物(米国特許第3,180,730号)、ベンジジン化合物(米国特許第3,265,496号、特公昭39−11546号公報、特開昭53−27033号公報)等のような数多くの提案がなされている。
【0003】
ここに言う「電子写真方式」とは、一般に光導電性の感光体を、先ず暗所で例えばコロナ放電などにより帯電せしめ、次いで画像状露光を行って露光部の電荷を選択的に放電させることにより静電潜像を得、更にこの潜像部をトナーなどを用いた現像手段で可視化して画像を形成するようにした画像形成法の一つである。このような電子写真方式における感光体に要求される基本的な特性としては、(1)暗所において適当な電位に帯電されること、(2)暗所において電荷の放電が少ないこと、(3)光照射により速やかに電荷を放電すること、などが挙げられる。
【0004】
又、近年において、感光体の更なる機械的強度の向上を目的として高分子光導電性材料(米国特許第4,801,517号、米国特許第4,806,443号、米国特許第4,806,444号、特開平−221522号、特開平4−11627号等)が提案されている。
しかしながら、従来の低分子あるいは高分子光導電性材料は、上記の要求を必ずしも満足していないのが実状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、基本的な電子写真特性を満足する光導電性材料として、また、ヒドロキシル基から誘導される種々の材料、例えば、電子写真用ポリカーボネート系樹脂光導電性材料等の製造中間体として有用なヒドロキシル基含有スチルベン化合物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記一般式( II )で表わされるヒドロキシル基を有するスチルベン化合物が提供される。
【0009】
【化4】
【0010】
〔式中、Ar 3 は炭素数1〜5のアルキル基を置換基として有していても良いフェニル基又はビフェニリル基を表し、R 1 〜R 4 は炭素数1〜5のアルキル基を表し、m、n、p、qは各々独立して0〜4の整数を表す。〕
前記一般式( II )で表されるヒドロキシル基含有スチルベン化合物において、Ar3で示される芳香族炭化水素及び複素環基の本発明の範囲外の参考例を挙げると、ターフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、トリフェニレニル基、クリセニル基等が挙げられ、さらに、下記一般式(III)で表わされる基を挙げることができる。
【0011】
【化5】
【0012】
〔式中、Wは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−及び以下の2価基から選ばれる。
【0013】
【化6】
【0014】
(ここで、R5、R6、R7は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基または複素環基、ニトロ基、シアノ基を表わし、a、b、c、dは1〜12の整数を表わす。ただし、R7は水素原子ではない。)〕
前記一般式(III)中のR5、R6、R7が置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基または複素環基の場合は後述のAr3の定義と同様である。これらが置換もしくは無置換のアルキル基の場合の具体例は、C1〜C5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基は更にフッ素原子、シアノ基、フェニル基またはハロゲン原子もしくはC1〜C5のアルキル基で置換されたフェニル基を含有してもよい。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
また、これらがアミノ基の場合の具体例としては下記一般式で表わされる基が挙げられる。
【0015】
【化7】
【0016】
(R8、R9は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基または複素環基を表わす。)
ここで、R8、R9において、置換もしくは無置換のアルキル基及び置換もしくは無置換のアリール基の具体例は、前記の定義と同様である。また、R8、R9は共同で環を形成してもよい。また、芳香族炭化水素基または複素環基上の炭素原子と共同で環を形成してもよい。このような具体例には、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。
【0017】
Ar3で示されるアリール基に置換される基及び前記一般式( II )で示されたR1〜R4としては、炭素数1〜5のアルキル基を挙げることができる。
【0018】
本発明に係わるヒドロキシル基を有するスチルベン化合物は新規物質であるが、公知の合成法によって合成することが可能である。本発明に係わるスチルベン化合物において、ヒドロキシル基の置換位置が同一である対称型の化合物は、一例として以下の合成経路によって合成が可能である。
【0019】
【化8】
【0020】
(式中、Ar3、R1〜R4、m、n、p、qは前記の定義と同義、R10は低級アルキル基を表わす。)
一方、ヒドロキシル基の置換位置が異なる非対称型の化合物は、一例として以下の合成経路によって合成が可能である。
【0021】
【化9】
【0022】
(式中、Ar3、R1〜R4、m、n、p、qは前記の定義と同義、R10は低級アルキル基を表わす。)
一般式(VI)及び一般式(IX)の化合物を合成する反応は、塩基性触媒の存在下、一般式(IV)及び一般式(VIII)のホルミル化合物と一般式(V)のホスホネート化合物とによる変法Wittig反応によって行なわれる。塩基性触媒としては、カリウム−t−ブトキシドのほか、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアミド及びナトリウムメチラート等が挙げられる。また、反応溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。中でもN,N−ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド等の極性溶媒を用いるほうが好ましい。反応温度は、(1)使用する溶媒の塩基性触媒に対する安定性、(2)縮合成分の反応性、(3)前記塩基性触媒の溶媒中における縮合剤としての反応性によって広範囲に選択することができる。例えば、極性溶媒を用いるときには、実際には室温から100℃、好ましくは室温から80℃である。しかし、反応時間の短縮または活性の低い縮合剤を使用する時には更に高い温度でもよい。
【0023】
一般式(VII)及び一般式(X)の化合物を合成する反応は、一般式(VI)及び一般式(IX)で示されるスチルベン化合物のアルコキシ基のエーテル結合開裂反応によって行なわれる。
エーテル結合開裂反応は、具体的には酸性試薬による方法と塩基性試薬による方法が挙げられる。
【0024】
酸性試薬としては臭化水素、ヨウ化水素、トリフルオロ酢酸、ピリジンの塩酸塩、濃塩酸、ヨウ化マグネシウムエチラート、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、三ヨウ化ホウ素等が、塩基性試薬としては、ナトリウムチオエトキシド、ナトリウムチオメトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウム、リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、リチウムジフェニルホスフィド等を挙げることができる。溶媒としては無水酢酸、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン、ブタノール等を挙げることができ、反応温度は用いる試薬の反応性によるが、一般的には、室温から200℃の間で行なわれる。
【0025】
また、一般式(V)で示されたホスホネート化合物は、対応するハロゲン化合物と亜リン酸トリアルキルとを直接あるいはトルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒中で加熱反応させることによって容易に製造することができる。
本発明で得られるヒドロキシル基含有スチルベン化合物は、電子写真感光体に於ける光導電性素材として、またそれらの原料として有用であり、染料やルイス酸などの増感剤によって光学的あるいは化学的に増感される。更にこのものは、有機顔料あるいは無機顔料を電荷発生物質とする、いわゆる機能分離型に於ける電荷輸送物質としてとりわけ有用である。
【0026】
上記増感剤としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット等のトリアリールメタン染料、ローズベンガル、エリスロシン、ローダミン等のキサンテン染料、メチレンブルー等のチアジン染料、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4−ジニトロ−9−フルオレノン等が挙げられる。
また、有機顔料としてはシーアイピグメントブルー25(CINo.21180)、シーアイピグメントレッド41(CINo.21200)、シーアイピグメントレッド3(CINo.45210)等のアゾ顔料、シーアイピグメントブルー16(CINo.74100)等のフタロシアニン系顔料、シーアイバットブラウン5(CINo.73410)、シーアイバットダイ(CINo.73030)等のインジゴ系顔料、アルゴスカーレッドB、インダンスレンスカーレッドR等のペリレン系顔料が挙げられる。また、セレン、セレン−テルル、硫化カドミウム、α−シリコン等の無機顔料も使用できる。
【0027】
また、本発明のヒドロキシル基含有スチルベン化合物は、ヒドロキシル基から誘導される種々の材料の製造、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の製造中間体としても有用であり、本発明のヒドロキシル基含有スチルベン化合物を原料として製造されるポリカーボネート樹脂等の有機高分子化合物は、有機光導電性材料として有用である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に実施例及び応用例を示し、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は本実施例に限定されるものではない。
実施例1
ビス(4−ホルミルフェニル)−4−メチルフェニルアミン25.24g(80mmol)とジエチル〔(3−メトキシフェニル)メチル〕ホスホネート53.74g(208mmol)を脱水処理したDMF250mlに溶解させ、カリウム−t−ブトキシド26.95g(240mmol)を撹拌しながら少しづつ加えて反応させた。その後室温で3時間撹拌した後、水で希釈後酢酸で中和し、酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥を行なった後濾過して粗生成物を得た。その後、シリカゲルによるカラムクロマト処理(展開溶媒:トルエン/ヘキサン=2:1)を行い、得られた油状物にメタノールを加え洗浄することによって、下記構造のN、N−ビス〔4−(3−メトキシスチリル)フェニル〕−N−(4−メチルフェニル)アミン30.56g(収率72.9%)を得た。この物は、淡黄色粉末で融点開始温度は105.5℃であった。赤外吸収スペクトル、元素分析の結果を以下に示す。
【0029】
【化10】
【0030】
得られた目的物の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図1に示した。
また、元素分析結果を以下に示す。
実施例2
ビス(4−ホルミルフェニル)−4−メチルフェニルアミン25.52g(81mmol)とジエチル〔(4−メトキシフェニル)メチル〕ホスホネート54.40g(210mmol)と脱水処理したDMF250mlに溶解させ、カリウム−t−ブトキシド27.27g(243mmol)を撹拌しながら少しづつ加えて反応させた。室温で約5時間撹拌した後、更にジエチル〔(4−メトキシフェニル)メチル〕ホスホネート31.35g(121mmol)とカリウム−t−ブトキシド13.62g(121mmol)を加え4時間撹拌した。水で希釈後酢酸で中和し、水洗した後濾過して粗生成物を得た。その後、シリカゲルによるカラムクロマト処理(展開溶媒:トルエン)を行い、メタノール洗浄後2−ブタノン2400mlで再結晶を行ない、下記構造のN、N−ビス〔4−(4−メトキシスチリル)フェニル〕−N−(4−メチルフェニル)アミン27.64g(収率65%)を得た。この物は、淡黄色粉末で融点は226.0〜228.6℃であった。赤外吸収スペクトル、元素分析の結果を以下に示す。
【0031】
【化11】
【0032】
得られた目的物の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図2に示した。
また、元素分析結果を以下に示す。
実施例3
N−〔4−(3−メトキシスチリル)フェニル〕−N−(4−ホルミルフェニル)−N−(4−メチルフェニル)アミン25.18g(60mmol)とジエチル〔(4−メトキシフェニル)メチル〕ホスホネート20.15g(78mmol)と脱水処理したDMF160mlに溶解させ、カリウム−t−ブトキシド10.10g(90mmol)を撹拌しながら少しづつ加えて反応させた。室温で4時間撹拌した後、水で希釈後酢酸で中和し、酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥を行なった後濾過して粗生成物を得た。その後、シリカゲルによるカラムクロマト処理(展開溶媒:トルエン/ヘキサン=4:1)を行い、メタノール洗浄後トルエン/エタノール混合溶媒で再結晶を行ない、下記構造のN−〔4−(4−メトキシスチリル)フェニル〕−N−〔4−(3−メトキシスチリル)フェニル〕−N−(4−メチルフェニル)アミン23.11g(収率73.5%)を得た。この物は、淡黄色粉末で融点は120.0〜123.0℃であった。赤外吸収スペクトル、元素分析の結果を以下に示す。
【0033】
【化12】
【0034】
得られた目的物の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図3に示した。
また、元素分析結果を以下に示す。
実施例4
実施例1で得られたN,N−ビス〔4−(3−メトキシスチリル)フェニル〕−N−(4−メチルフェニル)アミン29.00g(55.3mmol)とナトリウムチオエチラート31.1g(369mmol)と乾燥処理したDMF300mlを混合し、窒素気流下で7時間加熱還流した。室温まで放冷した後、内容物を氷水にあけ、濃塩酸により中和した。これを酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後濾過し溶媒を留去した後、シリカゲルでカラムクロマト処理(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=5:1)を2回施し、シクロヘキサンで洗浄して黄色粉末状の下記構造のN、N−ビス〔4−(3−ヒドロキシスチリル)フェニル〕−N−(4−メチルフェニル〕アミン26.32g(収率95.9%)を得た。この物は、非晶質状で明瞭な融点を示さなかった。得られた化合物の赤外吸収スペクトル、元素分析の結果を以下に示す。
【0035】
【化13】
【0036】
得られた目的物の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図4に示した。
また、元素分析結果を以下に示す。
実施例5
実施例2で得られたN,N−ビス〔4−(4−メトキシスチリル)フェニル〕−N−(4−メチルフェニル)アミン27.60g(52.7mmol)とナトリウムチオエチラート30.8g(366mmol)と乾燥処理したDMF300mlを混合し、窒素気流下で5時間加熱還流した。室温まで放冷した後、内容物を氷水にあけ、濃塩酸により中和した。これを酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後濾過し溶媒を留去した後、シリカゲルでカラムクロマト処理(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=5:1)を3回施し、シクロヘキサンで洗浄して黄色粉末状の下記構造のN、N−ビス〔4−(4−ヒドロキシスチリル)フェニル〕−N−(4−メチルフェニル)アミン18.74g(収率71.7%)を得た。この物は、非晶質状で明瞭な融点を示さなかった。得られた化合物の赤外吸収スペクトル、元素分析の結果を以下に示す。
【0037】
【化14】
【0038】
得られた目的物の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図5に示した。
同様の元素分析結果を以下に示す。
実施例6
実施例3で得られたN−〔4−(4−メトキシスチリル)フェニル〕−N−〔4−(3−メトキシスチリル)フェニル〕−N−(4−メチルフェニル)アミン26.19g(52.7mmol)とナトリウムチオエチラート30.8g(366mmol)と乾燥処理したDMF300mlを混合し、窒素気流下で5時間加熱還流した。室温まで放冷した後、内容物を氷水にあけ、濃塩酸により中和した。これを酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後濾過し溶媒を留去した後、シリカゲルでカラムクロマト処理(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=5:1)を2回施し、シクロヘキサンで洗浄して黄色粉末状の下記構造のN−〔4−(4−ヒドロキシスチリル)フェニル〕−N−〔4−(3−ヒドロキシスチリル)フェニル〕−N−(4−メチルフェニル)アミン19.81g(収率79.9%)を得た。この物は、非晶質状で明瞭な融点を示さなかった。得られた化合物の赤外吸収スペクトル、元素分析の結果を以下に示す。
【0039】
【化15】
【0040】
得られた目的物の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図6に示した。
同様の元素分析結果を以下に示す。
応用例
実施例6で得られたN−〔4−(4−ヒドロキシスチリル)フェニル〕−N−〔4−(3−ヒドロキシスチリル)フェニル〕−N−(4−メチルフェニル)アミン4.86部を脱水処理したテトラヒドロフラン(THF)40部に溶解させ、窒素ガス気流下で撹拌しながらトリエチルアミンを2.94部加えた後にポリテトラメチレンエーテルグリコールビスクロロホーメート(平均分子量250のポリテトラメチレンエーテルグリコールより調整)3.54部をTHF8部に溶解させた液を水浴で約20℃に冷却しながら20分かけて滴下した。その後、室温でさらに2時間撹拌反応させ、4重量%のフェノールのTHF溶液を1部加え反応を終了させた。その後、析出した塩を濾過によって除き、得られた反応液をメタノール中へ滴下して粗生成物を濾取した。この物を再びTHFに溶解させてメタノール中へ滴下する再沈殿操作を2回繰り返して下記構造のポリカーボネート樹脂を得た。
【0041】
【化16】
【0042】
得られた樹脂の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ、ポリスチレン換算の分子量は以下のようであった。
数平均分子量 17500
重量平均分子量 34600
また、この物の赤外吸収スペクトル(フィルム)において、1760cm−1にカーボネートのC=0伸縮振動に基づく吸収が認められた。また、元素分析結果を以下に示す。
【0043】
【0044】
【発明の効果】
本発明に係わるヒドロキシル基含有スチルベン化合物は、前記したように光導電性素材として有効に機能し、また染料やルイス酸などの増感剤によって光学的あるいは化学的に増感されることから、電子写真感光体の感光層の電荷輸送物質等として好適に使用され、特に電荷発生層と電荷輸送層を2層に区分した、いわゆる機能分離型感光層における電荷輸送物質として有用なものである。
一方、ヒドロキシル基から誘導される種々の材料の製造例えばポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の製造中間体としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の化合物の赤外吸収スペクトル図、
【図2】本発明の実施例2の化合物の赤外吸収スペクトル図、
【図3】本発明の実施例3の化合物の赤外吸収スペクトル図、
【図4】本発明の実施例4の化合物の赤外吸収スペクトル図、
【図5】本発明の実施例5の化合物の赤外吸収スペクトル図、
【図6】本発明の実施例6の化合物の赤外吸収スペクトル図。
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