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JP3540149B2 - プラズマcvdによる薄膜堆積方法 - Google Patents

プラズマcvdによる薄膜堆積方法 Download PDF

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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁性基板上に形成された導電性の第1の薄膜上にプラズマCVDによって第2の薄膜を堆積させる方法の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマCVDによる薄膜堆積方法を利用して製造される装置の一例として、集積型薄膜太陽電池がある。一般に、集積型薄膜太陽電池モジュールにおいては、比較的大きな単一の絶縁性基板上に順次積層された第1電極層、半導体光電変換層および第2電極層が複数の光電変換セルを形成するように実質的に直線状で互いに平行な複数の分離溝によって分離されていて、それらの複数のセルが電気的に直列接続された構造が採用されている。そして、その半導体光電変換層は、一般にプラズマCVDによって堆積される。このような集積型薄膜太陽電池モジュールの一部の例が、図2の概略的な断面図において示されている。
【0003】
図2に示されている集積型薄膜太陽電池モジュール20においては、たとえばガラス等の透光性絶縁基板3上に透光性導電薄膜からなる第1電極層5が形成されており、これは互いに平行な直線状の複数の第1電極分離溝7によって複数の第1電極5a,5b,5cに分離されている。第1電極層5上には、pin接合などの半導体接合を含む薄膜半導体光電変換層11がプラズマCVDによって堆積されており、これは第1電極分離溝7に平行な複数の接続用開口溝8によって複数の光電変換領域11a,11b,11cに分割されている。光電変換層11上には適当な金属からなる第2電極層15が形成されており、これも第1電極分離溝7に平行な複数の分離溝9によって複数の第2電極15a,15b,15cに分離されている。
【0004】
このようにして、1つの基板3上で、複数の光電変換領域11a,11b,11cに対応して複数の光電変換セル17a,17b,17cが形成されている。これらの光電変換セルの任意のセル17bの第1電極5bは、接続用溝8を介して、隣接するセル17aの第2電極15aに電気的に接続されている。すなわち、基板3上で、複数の光電変換セル17a,17b,17cが電気的に直列接続されて集積化されている。
【0005】
図3は、図2に示された集積型薄膜太陽電池モジュールの半導体層11を堆積する前において、基板3上の第1電極層5が第1電極分離溝7によって複数の第1電極5a,5b,5cに分離された状態を断面図で示しており、図4は図3の状態に対応する上面図である。図3と図4からわかるように、第1電極層5の電極分離溝7は、長方形基板3の長手方向のほぼ全長にわたって形成されている。これは、基板面積に占める光電変換セルの面積をできる限り多く取って、光発電のための有効面積を大きくすることによって、太陽電池モジュール全体としての出力を高めるためである。すなわち、こうすることによって、光電変換セルの単位面積あたりの真性効率が同じであっても、太陽電池モジュール全体としての出力を向上させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
他方、このような集積型薄膜太陽電池モジュール20においては、当然のことながら1枚の基板3あたりの出力を少しでも高くする必要があり、そのためには、特に光発電に寄与する半導体薄膜層11の局所的な膜厚変動をできるだけ小さくしなければならない。たとえば、50段の光電変換セルを直列接続した集積型薄膜太陽電池モジュール20を想定した場合、50段のセル中で1段のセルの短絡光電流(ISC)が他の49段のセルに比較して10%だけ低い場合でも、実際にそのモジュール20全体を流れるISCとしても、その10%だけ低い値になってしまう。このとき、半導体薄膜層11の局所的な膜厚変動が直接的にISCに影響するわけではないが、密接な相関関係があることは確かである。また、半導体薄膜層11中で局所的に膜厚が異常に薄い部分が存在すれば、第1電極層5と第2電極層15との間で局所的な短絡欠陥部分ができやすくなる。もしそうなれば、集積型薄膜太陽電池モジュール20の開放端電圧(VOC)や曲線因子(FF)も低下してしまう。
【0007】
ここで、プラズマCVDのようにグロー放電分解による薄膜堆積法において、膜厚の局所的変動が発生する原因としては、高周波電極と接地電極との間の距離の局所的な変動、膜堆積面内におけるプロセスガス濃度の分布、さらには絶縁性基板の使用に起因する膜堆積面内における電位勾配の分布などが考えられる。
【0008】
たとえば、絶縁性基板11上に形成された透光性の導電性酸化物層のように導電率が比較的小さな導電体層5を分離溝7によって分離し、それらの互いに分離された複数の島状導電体領域を覆うようにプラズマCVDで半導体薄膜11を堆積する場合、導電体層5内において接地電極に対する抵抗値の局所的な差異がかなり大きくなり、かつ平均の抵抗値の上昇が生じる。また、接地電極と同電位にある基板装着用治具と基板3とは膜堆積を期待していない基板周囲部で機械的に接触しているだけであり、その治具の変形や基板の寸法精度等に依存して電気的な接続状態が変動し得るという問題がある。この問題が解決されている場合でも導電率が大きくない導電体層5が用いられているときには、接地電位部に対して膜堆積面の周囲部と中央部における抵抗値について大きな差があり、この差は基板サイズが大きくなればなるほど顕著になる。このような比較的小さな導電率を有する導電体層5上に半導体薄膜11を堆積するとき、特に放電状態が不安定な場合や放電電力が弱いときには、半導体層11の局所的な膜厚変動が増大してしまう。
【0009】
このような状況下において、大面積の絶縁性基板3上に堆積する半導体薄膜11の局所的な膜厚変動を低減させるために、従来からさまざまな方法が採用されている。
【0010】
その第1の方法においては、基板面とそれに対向する高周波電極面の平坦性を確保し、かつそれら両面が正確に平行になるように基板と電極の間の距離が調整される。これによって、基板と高周波電極との間の局所的な電位変動が低減され、堆積される薄膜の局所的な厚さ変動が低減され得る。しかし、この方法では、長期間にわたる電極の変形のような経時変化には対応できないので、電極の配置の定期的な修正が必要となる。
【0011】
第2の方法としては、プロセスガスの導入方法を工夫して、膜堆積面の全体に均一にガスが供給されるようにする方法がある。一般的なガスの導入法としては、高周波電極板を中空にして、基板3に対向する面に微小な開口孔を均一に多数設ける方法がある。また、この高周波電極の中空内部でそれらの開口孔までに複数の邪魔板を電極面に平行に配置することによって、基板表面に向けて均一にガスを導入する方法もある。さらには、基板に平行な面内においてガス導入用配管のコンダクタンスが等しくなるように、その面内に配管を対称形の配置にして、適当な部位にガス導入用開口を設けることによって均一にガスを導入する方法もある。
【0012】
通常は、上述のような方法のいくつかを適当に組合せて、均一な半導体薄膜11の堆積が行なわれている。ただし、絶縁性基板3が大きくなって膜堆積面積が大きくなればなるほど、プラズマCVDにおける放電状態が不安定な場合や放電電力が小さいときには、堆積される半導体膜11の局所的な膜厚変動が大きくなる傾向がある。
【0013】
以上のような従来の技術の状況に鑑み、本発明は、絶縁性基板上で複数の領域に分離された導電性の第1の薄膜を覆うように第2の薄膜をプラズマCVDで堆積する場合に、主にプラズマCVD装置側のパラメータのみで制御していた第2の薄膜の局所的な厚さ変動の抑制をさらに基板側の構造を工夫して抑制し、局所的な膜厚変動の非常に少ない第2の薄膜を堆積する方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明におけるプラズマCVDによる薄膜堆積方法は、絶縁性基板の1主面全体を覆うように導電性の第1の薄膜を形成し、その第1薄膜を複数の領域に分離するように実質的に直線状で互いに平行な複数の分離溝を形成し、そして第1薄膜を覆うようにプラズマCVDによって第2の薄膜を堆積させる方法であって、それらの分離溝の各々が所定長さの溝中断領域の少なくとも1つを含んでいることを特徴としている。
【0015】
本発明のこのような薄膜堆積方法によれば、絶縁性基板上に形成された透光性の導電性酸化物層のように比較的導電率が小さな導電体層を複数の分離溝によって分離し、それらの分離された複数の島状導電体領域を覆うように第2の薄膜をプラズマCVDで堆積する場合に、接地電位に対する導電体層の局所的な抵抗値の変動と抵抗値の平均値が低減されるので、プラズマCVDにおける放電状態が不安定な場合や放電電力が小さいときでも、導電体層上に堆積される第2の薄膜の局所的な膜厚変動を小さくすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1において、本発明の実施の形態の一例を説明するために、絶縁性基板3上に形成された導電性の第1の薄膜5が模式的な上面図で示されている。この図1においては、図4の場合と同様に、基板3上に形成された第1電極層5の電極分離溝7が、長方形基板3の長手方向のほぼ全域にわたって形成されている。しかし、基板3の長手方向の中央部においては、電極分離溝7の各々について溝中断領域7xが1ヶ所設けられている。なお、この透明電極層5中の溝中断領域7xに関しては、分離溝1本あたりのその数、位置、および長さについて特に限定されるものではない。
【0017】
基板3としてガラスや透明樹脂等の透光性絶縁基板が用いられる場合、通常は、第1電極層5として透光性酸化物導電材料が用いられる。しかし、この第1電極層5のための具体的な材料は特に限定されるものではなく、周知の導電材料から適宜に選択して用いることができる。
【0018】
第1電極層5上に形成される第2の薄膜に用いられる材料も特に限定されるものではなく、プラズマCVDによって堆積され得る材料であればよい。たとえばそれが非晶質シリコン系半導体材料の場合には、非晶質シリコン、水素化非晶質シリコン、水素化非晶質シリコンカーバイド、水素化非晶質シリコンナイトライドの他に、炭素、ゲルマニウム、錫などを含む非晶質シリコン合金も含まれる。さらに、これらの各種半導体材料に、p型またはn型のドーパント元素を添加することによって、荷電子制御を行なった材料の薄膜も堆積され得る。
【0019】
図1に示されているような絶縁性基板3上の導電性薄膜5を覆うように第2の薄膜の堆積がプラズマCVDで行なわれるわけであるが、透光性の導電性酸化物のように比較的導電率が小さな導電体膜5を分離溝7によって分離して、それらの分離された複数の島状導電体薄膜領域を覆うように第2の薄膜をプラズマCVDで堆積する場合に、膜堆積面内における接地電位に対する抵抗値の局所的変動および平均の抵抗値がかなり低減され得る。
【0020】
接地電位と同電位である基板装着用治具と基板3との接続は、基板3の周囲部の四辺における接触によって行なわれるが、図4の場合に比較すれば、長方形基板3の長手方向の中央部における電極分離溝中断領域7xを通じて電流の経路が存在するので、膜堆積面の全体にわたって抵抗値の局所的な変動と平均抵抗値がかなり低減され得る。その結果、第1電極層5を覆うように第2の薄膜をプラズマCVDで堆積する場合に、横堆積面と高周波電極面との間における局所的な電位変動がかなり低減され得て、それに伴って、発生する膜堆積前駆体の密度の局所的変動をも抑制することができ、第2の薄膜の局所的な膜厚変動を低減させることが可能になる。
【0021】
【実施例】
図1を参照して説明された本発明の実施の形態に対応して、絶縁性基板上に形成された導電性の複数の第1薄膜領域を覆うようにプラズマCVDによって第2の薄膜が実施例として堆積させられた。
【0022】
まず、910mm×455mmの長方形と4mmの厚さを有するガラス基板3上に、第1電極層5として透明酸化物導電薄膜が熱CVDによって形成された。この透明電極層5は、0.53μmの波長を有するYAGレーザの第2高調波を膜面側から照射して複数の分離溝7を形成することによって、複数の短冊状の透明電極領域に分離された。その後、基板3と透明電極層5が純水中で洗浄され、この透明電極層5上には第2薄膜層がプラズマCVDによって堆積された。
【0023】
この実施例による透明電極層5では、長さ88cmで幅50μmの分離溝7が、0.9cmのピッチで51本形成され、それらの分離溝7の中央部に適当な長さの溝中断領域7xが設けられた。
【0024】
以上のような電極分離溝7中の溝中断領域7xの長さを0.5mmから12mmまで変化させて、接地電極と透明電極層5の表面との間の抵抗値の変化の様子が調べられた。表1は、作製された5枚の基板について、図1に示されているように基板3において一点鎖線で表わされた長手方向の中心線に沿った位置a〜eに依存する抵抗値のばらつきを示している。
【0025】
【表1】
Figure 0003540149
【0026】
なお、この透明電極層5の面積抵抗値は、約10〜12Ω/□であった。表1においては、参考のために、電極分離溝7が形成される前における透明電極層5上の各点a〜eと接地電極との間の抵抗値も示されており、この平均値は18Ωであるが、図4に示されている従来例と同様に分離溝7が形成された状態(7x=0mm)では、抵抗の平均値が168Ωのように大幅に増大している。他方、分離溝7の中断長さ7xを0.5mmにした状態では、抵抗の平均値が101Ωとなり、従来の方法に比較すれば4割程度低減されている。また、7x=2mmでは平均抵抗値が93Ωであり、7x=12mmでは平均抵抗が87Ωになっており、溝中断長さ7xが大きいほど平均抵抗値が小さくなっている。さらに、その平均抵抗値の低下に伴って、各抵抗値のばらつきも小さくなっている。
【0027】
なお、図1に示されているような基板上に集積型薄膜太陽電池モジュールが形成された場合には、たとえば、溝中断領域7xを除去するように基板3ごとそのモジュールを切断すればよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明の薄膜堆積方法によれば、絶縁性基板上に形成された透明導電性酸化物のような比較的導電率が小さな第1の薄膜を分離溝によって分離して、それらの分離された複数の島状導電領域を覆うように第2の薄膜をプラズマCVDにて堆積する場合に、膜堆積面内における接地電位に対する抵抗値の局所的な変動や平均値をかなり低減させることができるので、プラズマCVDにおける放電状態が不安定な場合や放電電力が弱いときでも、均一な膜厚分布を有する第2の薄膜の堆積が行なわれ得る。特に、大面積の基板上に堆積される薄膜の局所的な膜厚変動を大幅に低減させることができるとともに、薄膜の生産歩留りを大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例による絶縁性基板上に形成された導電層と複数の分離溝を示す模式的な上面図である。
【図2】集積型薄膜太陽電池モジュールの一部を図解する模式的な断面図である。
【図3】従来の方法によって絶縁性基板上に形成された導電層と複数の分離溝を示す模式的な断面図である。
【図4】図3に対応する状態を示す概略的な上面図である。
【符号の説明】
3 ガラス等の基板
5 第1電極層
7 第1電極分離溝
8 接続用溝
9 第2電極分離溝
11 半導体光電変換層
15 第2電極層
17 光電変換セル
20 集積型薄膜太陽電池モジュール

Claims (4)

  1. 絶縁性基板の1主面全体を覆うように導電性の第1の薄膜を形成し、前記第1薄膜を複数の領域に分離するように実質的に直線状で互いに平行な複数の分離溝を形成し、そして前記第1薄膜を覆うようにプラズマCVDによって第2の薄膜を堆積させる方法において、前記分離溝の各々が所定長さの溝中断領域の少なくとも1つを含んでいることを特徴とするプラズマCVDによる薄膜堆積方法。
  2. 前記第1薄膜は透光性の導電性酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVDによる薄膜堆積方法。
  3. 前記第2薄膜は水素化非晶質シリコンまたはその合金を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマCVDによる薄膜堆積方法。
  4. 前記第2薄膜は多結晶シリコンを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマCVDによる薄膜堆積方法。
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