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JP3437494B2 - 新規α−ヒドロキシ脂肪酸誘導体及び外用組成物 - Google Patents

新規α−ヒドロキシ脂肪酸誘導体及び外用組成物

Info

Publication number
JP3437494B2
JP3437494B2 JP18751299A JP18751299A JP3437494B2 JP 3437494 B2 JP3437494 B2 JP 3437494B2 JP 18751299 A JP18751299 A JP 18751299A JP 18751299 A JP18751299 A JP 18751299A JP 3437494 B2 JP3437494 B2 JP 3437494B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fatty acid
acid
hydroxy fatty
composition
acid derivative
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP18751299A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001010944A (ja
Inventor
雅史 薬丸
弘子 中津川
美子 岩本
毅 池本
Original Assignee
カネボウ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by カネボウ株式会社 filed Critical カネボウ株式会社
Priority to JP18751299A priority Critical patent/JP3437494B2/ja
Publication of JP2001010944A publication Critical patent/JP2001010944A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3437494B2 publication Critical patent/JP3437494B2/ja
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Expired - Lifetime legal-status Critical Current

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規α−ヒドロキ
シ脂肪酸誘導体並びに該誘導体及び該誘導体類縁体から
選ばれる化合物を含有することを特徴とする外用組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚や毛髪からの水分蒸散抑制、滑らか
さ及びツヤ等を付与する目的で、油性基剤が汎用されて
いる。これらの油性基剤は、その使用部位が人体の皮膚
又は毛髪であるため、その成分及び性状は生体構成物質
に類似したものが望ましく、特に、安全性の観点から皮
膚等に対して刺激や毒性の無いことが重要である。
【0003】このため従来、ヒトの皮脂に類似した化合
物に関する検討がなされている。例えば、体温又は皮膚
の表面温度付近、あるいはそれ以下に融点を有する化合
物が好ましいため、該融点を持つ化合物を得るために、
化合物の構造中に不飽和結合を導入することが試みられ
ている。しかしながら、一般に不飽和結合を有する脂質
は光や空気(温度)等に対して非常に不安定であり、酸
化を受け易いことが知られている。この過酸化物は生体
に対して強い刺激性や毒性を有することが示唆されてい
るため、そのような脂質を外用剤に配合しようとした場
合、酸化防止等の手段を講じる必要がある。また、ヒト
角質層に多く含まれるセラミド等を用いること等が試み
られている(特公平6−57651号公報、特公平6−
37429号公報)が、セラミドは、融点が一般的に非
常に高く著しい結晶性を示すことや、入手が困難である
ために高価であること等の理由から、その用途は非常に
限られたものとなっているのが現状である。
【0004】一方、天然界に分布するα−ヒドロキシ脂
肪酸と脂肪酸及び高級アルコールからなるワックスジエ
ステルとしては、ウシ、ウサギ、ネコ等、動物の毛の表
面に存在することが報告されている(T. Nikkari and
E. Haahti, Biochim. Biophys. Acta, 164,
294-305(1968), N. Nicolaides, H. C. Fu and
M. N. A. Ansari, Lipids, 5, 299-307(197
0))。これらのワックスジエステルは、α−ヒドロキシ
脂肪酸が炭素数は14から22、脂肪酸が炭素数14か
ら28、高級アルコールが炭素数14から28のもの主
成分として構成されるものである。しかしながら、炭素
数2から8等の低級アルコールによって構成されるワッ
クスジエステルの存在については報告がなされていな
い。また、この様な構造を有するワックスジエステルを
外用組成物に用いることは、何ら報告されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安定性に優
れ、融点が低く、皮膚に対して刺激が無く、使用感に優
れた新規な油性基剤及び外用組成物を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を解決するために鋭意検討した結果、下記一般式
(1)で示されるα−ヒドロキシ脂肪酸誘導体が、飽和
化合物であるにもかかわらず融点が低く、安定性に優
れ、皮膚に対して刺激性が無く、使用感にも優れる等、
本目的に合致することを見出し本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、下記一般式(1)で
示されるα−ヒドロキシ脂肪酸誘導体の一種又は二種以
上を含有する外用組成物にある。
【0008】
【化3】
【0009】(但し、式中、R1は炭素数10〜24の
直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R2は炭素数1〜31の
直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R3は炭素数1〜10の
直鎖又は分岐鎖のアルキル基。)
【0010】また、本発明は、下記一般式(2)で示さ
れるα−ヒドロキシ脂肪酸誘導体及び該誘導体を含有す
ることを特徴とする外用組成物にある。
【0011】
【化4】
【0012】(但し、式中、R4は炭素数10〜20の
直鎖のアルキル基、R5は炭素数11〜31の直鎖又は
iso−型もしくはanteiso−型分岐鎖のアルキ
ル基、R 6は炭素数1〜7の直鎖又はiso−型もしく
はanteiso−型分岐鎖のアルキル基。)
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳述
する。
【0014】本発明の前記一般式(1)及び一般式
(2)のα−ヒドロキシ脂肪酸誘導体は、下記化5で示
されるα−ヒドロキシ脂肪酸、下記6で示される脂肪
酸、下記7で示されるアルコールを原料として用い、公
知の手法を用いて製造することができる。
【0015】
【化5】
【0016】(但し、R7は炭素数10〜24の直鎖又
は分岐鎖のアルキル基。)
【0017】
【化6】
【0018】(但し、R8は炭素数1〜31の直鎖又は
分岐鎖のアルキル基。)
【0019】
【化7】
【0020】(但し、R9は炭素数1〜10の直鎖又は
分岐鎖のアルキル基。)
【0021】すなわち、公知の酸性触媒や酵素等を使用
して容易に製造することができる。そして、必要に応じ
て常法により、脱酸、脱色及び脱臭等を行い精製して用
いることができる。また、未反応のα−ヒドロキシ脂肪
酸、脂肪酸、アルコール及び中間生成物であるα−ヒド
ロキシ脂肪酸モノアルキルエステル等が残存混入してい
ても良い。
【0022】上記の手法等により得られた本発明に係る
α−ヒドロキシ脂肪酸誘導体は、その低い融点、安全性
及び使用感等から、ローション、乳液、クリーム、パッ
ク類、洗顔剤、ファンデーション類、口紅類、入浴剤等
の皮膚用組成物、シャンプー、リンス、ヘアートリート
メント、ヘアクリーム等の毛髪用組成物に配合して用い
ることができる。すなわち、通常の化粧品、医薬部外
品、医薬品等に配合して用いることができる。
【0023】また、本発明に係る外用組成物において、
α−ヒドロキシ脂肪酸誘導体の配合量は、配合すること
により得られる効果及び経済的な理由等により、外用組
成物全量に対し0.01〜60.0重量%(以下wt%
と記す)とすることが好ましい。
【0024】本発明に係る外用組成物には、必要に応じ
て化粧品、医薬部外品、医薬品等に通常配合される成分
を用いることができる。すなわち、具体的成分として、
油脂類、色素、香料、防腐剤、界面活性剤、顔料、酸化
防止剤、キレート剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、高
分子系粘剤、無機塩類、多価アルコール、糖類、ビタミ
ン類、植物抽出液等を挙げることができる。尚、本明細
書において外用組成物とは、頭髪用組成物及び皮膚用組
成物を包含するものである。
【0025】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0026】実施例1[2−パルミトイルオキシパルミ
チン酸エチルエステル] 2−ヒドロキシパルミチン酸27.2gを過剰のエタノ
ールに溶解し、塩酸存在下で50℃にて生成する水を除
去しながら12時間反応を行なった。反応終了後、ヘキ
サンを加えた後に、食塩水にて水洗を行ない、ヘキサン
層を乾燥し、減圧下で溶媒を除去し、白色固体を得た。
【0027】この白色固体をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=2
0/1)にて精製し、TLC分析におけるRf値0.5
(展開溶媒:クロロホルム)のフラクションを濃縮する
ことにより27.0gの白色固体を得た。この白色固体
13C−NMR測定において175.4、70.6、6
1.5ppmにシグナルを観測したことから、2−ヒド
ロキシパルミチン酸エチルエステルの生成を確認した。
【0028】上記の方法にて製造した2−ヒドロキシパ
ルミチン酸エチルエステル27gと、パルミチン酸クロ
リド30gを用いて、ピリジン存在下で常法により反応
を行った。反応終了後、クロロホルムを加えた後に、酸
性条件下で水洗を行い、減圧下で溶媒を除去し、淡黄色
のワックスを得た。このワックスをシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=
20/1)にて精製し、TLC分析におけるRf値0.
85(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)の
フラクションを濃縮することにより29.1gの白色固
体を得た。この白色固体の13C−NMR測定結果を図1
に示した。結果に示したように173.3、170.
5、72.3、61.1ppmにシグナルを観測したこ
とから、本発明のα−ヒドロキシ脂肪酸誘導体である2
−パルミトイルオキシパルミチン酸エチルエステルの生
成を確認した。尚、13C−NMR測定は測定装置として
JNM−LA400(400MHz)[日本電子社製]、
測定溶媒として重クロロホルムを用い、標準物質として
TMSを用いて行なった。以下、13C−NMR測定は全
て同様の手法にて行なった。
【0029】実施例2[2−アセトキシパルミチン酸エ
チルエステルの製造] 実施例1と同様の方法にて製造した2−ヒドロキシパル
ミチン酸エチルエステル15gと過剰の無水酢酸を用い
て、ピリジン存在下で常法により反応を行なった。反応
終了後、ヘキサンを加えた後に水洗を行ない、減圧下溶
媒を除去し、淡黄色の液体を得た。この液体をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢
酸エチル=20/1)にて精製し、TLC分析における
Rf値0.57(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1
0/1)のフラクションを濃縮することにより、淡黄色
の液体15.3gを得た。この液体の13C−NMR測定
結果を図2に示した。結果に示したように170.5、
170.4,72.5、61.2ppmにシグナルを観
測したことから、本発明のα−ヒドロキシ脂肪酸誘導体
である2−アセトキシパルミチン酸エチルエステルの生
成を確認した。
【0030】実施例3[2−パルミトイルオキシパルミ
チン酸イソプロピルエステルの製造] 実施例1のエタノールをイソプロピルアルコールに代え
た以外は、同様の方法により製造を行ない透明の液体を
得た。この液体の13C−NMR測定において、173.
3、170.0、72.4、68.8ppmにシグナル
を観測したことから、本発明のα−ヒドロキシ脂肪酸誘
導体である2−パルミトイルオキシパルミチン酸イソプ
ロピルエステルの生成を確認した。
【0031】実施例4[2−パルミトイルオキシパルミ
チン酸イソブチルエステルの製造] 実施例1のエタノールをイソブチルアルコールに代えた
以外は、同様の方法により製造を行ない透明の液体を得
た。この液体の13C−NMR測定結果を図3に示した。
結果に示したように173.2、170.5、72.
3、71.2ppmにシグナルを観測したことから、本
発明のα−ヒドロキシ脂肪酸誘導体である2−パルミト
イルオキシパルミチン酸イソブチルエステルの生成を確
認した。
【0032】実施例5[2−アセトキシパルミチン酸オ
クチルエステルの製造] 2−ヒドロキシパルミチン酸メチルエステル28.6g
とオクチルアルコール26.0gを混合した後、固定化
リパーゼ[Novozyme IM、ノボ ノルディク
ス バイオインダストリー社製]3gを加えて、60℃
にて生成するメタノールを除去しながら6時間反応を行
なった。次いで、ヘキサンを加え濾過を行なうことによ
り固定化リパーゼを除去し、減圧下で溶媒を除去し、淡
黄色の液体を得た。
【0033】この液体をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)
にて精製し、TLC分析におけるRf値0.67(展開
溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)のフラクショ
ンを濃縮することにより、淡黄色の液体26.9gを得
た。この液体の13C−NMR測定において、175.
5、70.5、65.7ppmにシグナルを観測したこ
とから、2−ヒドロキシパルミチン酸オクチルエステル
の生成を確認した。
【0034】上記の方法にて製造した2−ヒドロキシパ
ルミチン酸オクチルエステル19.2gと過剰の無水酢
酸を用いて、ピリジン存在下で常法により反応を行なっ
た。反応終了後、ヘキサンを加えた後に水洗を行ない、
減圧下で溶媒を除去し、淡黄色の液体を得た。この液体
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘ
キサン/酢酸エチル=20/1)にて精製し、TLC分
析におけるRf値0.73(展開溶媒:ヘキサン/酢酸
エチル=10/1)のフラクションを濃縮することによ
り、透明の液体19.2gを得た。この液体の13C−N
MR測定において、170.4、72.5,65.3p
pmにシグナルを観測したことから、本発明のα−ヒド
ロキシ脂肪酸誘導体である2−アセトキシパルミチン酸
オクチルエステルの生成を確認した。
【0035】実施例6[2−長鎖分岐脂肪酸(12〜3
1)オキシ長鎖脂肪酸(14〜25)イソプロピルエス
テルの製造] 実施例1の、2−ヒドロキシパルミチン酸に代えて長鎖
α−ヒドロキシ脂肪酸(14〜25)[商品名:YOF
CO−FE−ALF、日本精化社製]を用い、エタノー
ルに代えてイソプロピルアルコールを用い、また、パル
ミチン酸クロリドに代えて長鎖分岐脂肪酸(12〜3
1)[商品名:YOFCO−FE−NH、日本精化社製]
を常法によりクロリド体として用いた以外は、同様の方
法により製造を行ない透明液体を得た。この液体の13
−NMR測定結果を図4に示した。結果に示したように
173.3、170.0、72.4、68.7ppmに
シグナルを観測したことから、本発明のα−ヒドロキシ
脂肪酸誘導体である2−長鎖分岐脂肪酸(12〜31)
オキシ長鎖脂肪酸(14〜25)イソプロピルエステル
の生成を確認した。
【0036】実施例7[2−ラウロイルオキシラウリン
酸オクチルエステルの製造] 実施例1の、2−ヒドロキシパルミチン酸に代えて2−
ヒドロキシラウリン酸を用い、エタノールに代えてオク
タノールを用い、また、パルミチン酸クロリドに代えて
ラウリン酸クロリドを用いた以外は、同様の方法により
製造を行ない、 13C−NMR測定により本発明のα−ヒ
ドロキシ脂肪酸誘導体である2−ラウロイルオキシラウ
リン酸オクチルエステルの生成を確認した。
【0037】実施例8[2−イソブチリルオキシパルミ
チン酸エチルエステルの製造] 実施例1の、パルミチン酸クロリドに代えてイソ酪酸ク
ロリドを用いた以外は、同様の方法により製造を行な
い、13C−NMR測定により本発明のα−ヒドロキシ脂
肪酸誘導体である2−イソブチリルオキシパルミチン酸
エチルエステルの生成を確認した。
【0038】次に、DSC(示差走査熱量計)にて測定
した本発明のα−ヒドロキシ脂肪酸誘導体の融点を表1
に示す。但し、融点については種々の温度条件により測
定して観測し、最高温度のピークトップを融点として記
載した。尚、2−パルミトイルオキシパルミチン酸エチ
ルエステルは実施例1にて、2−アセトキシパルミチン
酸エチルエステルは実施例2にて、2−パルミトイルオ
キシパルミチン酸イソプロピルエステルは実施例3に
て、2−パルミトイルオキシパルミチン酸イソブチルエ
ステルは実施例4にて、2−長鎖分岐脂肪酸(12〜3
1)オキシ長鎖脂肪酸(14〜25)イソプロピルエス
テルは実施例6にて得られたものである。また比較とし
て、従来化粧品、医薬部外品及び医薬品等に用いられて
いるトリパルミチン酸グリセリル[東京化成社製]、パル
ミチン酸セチル[フナコシ社製]を用い、その結果を併せ
て表1に示す。
【0039】 [表1] 化合物名 融点(℃) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2−パルミトイルオキシパルミチン酸エチルエステル 12.9 2−アセトキシパルミチン酸エチルエステル 19.5 2−パルミトイルオキシパルミチン酸イソプロピルエステル 8.3 2−パルミトイルオキシパルミチン酸イソブチルエステル 6.3 2−長鎖分岐脂肪酸(12〜31)オキシ長鎖脂肪酸 5.2 (14〜25)イソプロピルエステル トリパルミチン酸グリセリル 64.1 パルミチン酸セチル 52.8
【0040】表1の如く、本発明に係るα−ヒドロキシ
脂肪酸誘導体は飽和化合物であるにもかかわらず、格段
に融点は低く、同程度の分子量をもつ化合物よりも融点
は低い。これらの結果より、本発明のα−ヒドロキシ脂
肪酸誘導体は、皮膚又は毛髪組成物等の外用組成物に用
いる脂質としての物性は明らかに優れている。
【0041】次に、安全性試験として、皮膚に対する刺
激性を以下の方法で調べた。上記実施例で得たα−ヒド
ロキシ脂肪酸誘導体を、50wt%の濃度でオリーブオ
イルに溶解させて調製した試料をパッチテスト用絆創膏
に1ml染み込ませた。次いで、20人の被験者の上腕
内側部に24時間貼布し、貼布除去後24時間後に刺激
性を判定した。判定結果は、はっきりと紅斑を示したも
のを陽性とし、その陽性率で示した。その結果を表2に
示す。
【0042】 [表2] 皮膚刺激性 試料名 陽性率(%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2−パルミトイルオキシパルミチン酸エチルエステル 0 2−アセトキシパルミチン酸エチルエステル 0 2−パルミトイルオキシパルミチン酸イソプロピルエステル 0 2−パルミトイルオキシパルミチン酸イソブチルエステル 0 2−アセトキシパルミチン酸オクチルエステル 0 2−長鎖分岐脂肪酸(12〜31)オキシ長鎖脂肪酸 0 (14〜25)イソプロピルエステル 2−ラウロイルオキシラウリン酸オクチルエステル 0 2−イソブチリルオキシパルミチン酸エチルエステル 0
【0043】表2の如く、本発明のα−ヒドロキシ脂肪
酸誘導体には皮膚刺激性が無いことが確認された。
【0044】応用例1、比較例1(スキンケアクリー
ム) 下記表3の組成からなるスキンケアクリームを常法によ
り調製した。尚、応用例1で用いた2−パルミトイルオ
キシパルミチン酸エチルエステルは実施例1にて得られ
たものである。また、比較例として本発明のα−ヒドロ
キシ脂肪酸誘導体を含まないスキンケアクリームを調製
した。そして、女性パネラー20名にて応用例1と比較
例1のスキケアクリームを、左右の下脚部にそれぞれ朝
夜の1日2回通常の方法で1週間使用して、比較官能評
価試験を実施した。尚、比較官能評価試験の結果は、平
滑性、湿潤性、弾力性の各項目について、「皮膚が滑ら
かになった」、「皮膚に潤いが生じた」、「皮膚に張り
が生じた」と回答した人数で表3に併せて示した。
【0045】 [表3] 成分名(wt%) 応用例1 比較例1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2−パルミトイルオキシパルミチン酸 15.0 − エチルエステル スクワラン 5.0 5.0 流動パラフィン 5.0 5.0 コレステロール 0.5 0.5 水素添加大豆リン脂質 1.0 1.0 モノステアリン酸グリセリル 1.0 1.0 ソルビタンモノステアレート 2.0 2.0 ジプロピレングリコール 5.0 5.0 1,3−ブチレングリコール 5.0 5.0 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 0.1 精製水 残 余 残 余 比較官能試験結果(人) 応用例1が 差異を 比較例1が 好ましい 認めない 好ましい 平滑性 17 2 1 湿潤性 20 0 0 弾力性 18 1 1
【0046】表3に示した如く、本発明の皮膚用組成物
である応用例1のスキンケアクリームは、本発明のα−
ヒドロキシ脂肪酸誘導体を含有しない比較例1と比較し
て、諸特性の全てに亘って優れていた。また、応用例1
は配合特性において問題は無く、刺激性等の皮膚トラブ
ルの異常は認められなかった。
【0047】応用例2(スキンケア乳液) 下記表4の組成からなるスキンケア乳液を常法により調
製した。尚、応用例2で用いた2−アセトキシパルミチ
ン酸エチルエステルは実施例2にて得られたものであ
る。本発明の皮膚用組成物である応用例2のスキンケア
乳液は、乳化状態も極めて良好であり、顔や手足等に使
用した際に、べたつかず肌なじみも良好であり、使用後
に平滑性、湿潤性、弾力性を与える等の優れた官能特性
を有するものであった。
【0048】 [表4] 成分名(wt%) 応用例2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2−アセトキシパルミチン酸エチルエステル 5.0 ミリスチン酸オクチルドデシル 2.0 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 1.0 ミリスチン酸 0.5 グリセリン 10.0 ジグリセリン 5.0 マルチトール 2.0 カルボキシビニルポリマー 0.2 水酸化カリウム 0.3 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 エデト酸カリウム 0.1 精製水 残 余
【0049】応用例3(口紅) 下記表5の組成からなる口紅を常法により調製した。
尚、応用例3で用いた2−パルミトイルオキシパルミチ
ン酸イソプロピルエステルは実施例3にて、2−パルミ
トイルオキシパルミチン酸イソブチルエステルは実施例
4にて得られたものである。本発明の皮膚用組成物であ
る応用例3の口紅は、顔料の分散性が良いなどの配合特
性に優れ、使用後もべたつかず、化粧持ちも良好である
等の優れた官能特性を示した。
【0050】 [表5] 成分名(wt%) 応用例3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2−パルミトイルオキシパルミチン酸 30.0 イソプロピルエステル 2−パルミトイルオキシパルミチン酸 30.0 イソブチルエステル ミツロウ 10.0 カルナウバロウ 10.0 オクチルドデカノール 5.0 ベヘニルアルコール 5.0 顔料 9.8 香料 0.2
【0051】応用例4、比較例2(ヘアーリンス) 下記表6の組成からなるヘアーリンスを常法により調製
した。尚、応用例4で用いた2−長鎖分岐脂肪酸(12
〜31)オキシ長鎖脂肪酸(14〜25)イソプロピル
エステルは実施例6にて得られたものである。また、比
較例2として本発明のα−ヒドロキシ脂肪酸誘導体を含
まないヘアーリンスを調製した。そして、女性パネラー
20名にて応用例4と比較例2のヘアーリンスを1日1
回通常の方法で3日間ずつ使用して、比較官能評価試験
を実施した。尚、比較官能評価試験の結果は、平滑性、
湿潤性、光沢性の各項目について、「毛髪が滑らかにな
った」、「毛髪に潤いが生じた」、「毛髪に艶が生じ
た」と回答した人数で表6に併せて示した。
【0052】 [表6] 成分名(wt%) 応用例4 比較例2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2−長鎖分岐脂肪酸(12〜31)オキシ長鎖 2.0 − 脂肪酸(14〜25)イソプロピルエステル セチルアルコール 3.0 3.0 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5 1.5 ポリオキシエチレンセチルエーテル 1.0 1.0 (10E.0.) グリセリン 5.0 5.0 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 0.1 香料(フレシュフローラル系調合香料) 0.3 0.3 精製水 残 余 残 余 比較官能試験結果(人) 応用例4が 差異を 比較例2が 好ましい 認めない 好ましい 平滑性 18 2 0 湿潤性 17 2 1 光沢性 19 1 0
【0053】表6に示した如く、本発明の頭髪用組成物
である応用例4のヘアーリンスは、本発明のα−ヒドロ
キシ脂肪酸誘導体を含有しない比較例2と比較して、諸
特性の全てに亘って優れていた。また、応用例4は配合
特性において問題は無く、刺激性等の皮膚トラブルの異
常は認められなかった。
【0054】応用例5(ヘアーシャンプー) 下記表7の組成からなる頭髪用組成物であるヘアーシャ
ンプーを常法により調製した。尚、応用例5で用いた2
−アセトキシパルミチン酸オクチルエステルは、実施例
5にて得られたものである。本発明の応用例5のヘアー
シャンプーは、泡立ちや洗浄性等に問題は認められず、
すすぎ時も滑らかであり、乾燥後の平滑性、湿潤性、光
沢性に優れる等の優れた官能特性を示した。
【0055】 [表7] 成分名(wt%) 応用例5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2−アセトキシパルミチン酸オクチルエステル 0.01 ラウリン酸アミドプロピルベタイン 15.0 ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0 ヤシ油メチルタウリンナトリウム 3.0 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.3 ポリオキシエチレン 0.5 ・メチルポリシロキサン共重合体 パラオキシ安息香酸メチル 0.2 クエン酸 0.2 エデト酸二ナトリウム 0.1 香料(柑橘系香料) 0.6 精製水 残 余
【0056】
【発明の効果】以上記載のように、本発明の新規α−ヒ
ドロキシ脂肪酸誘導体は飽和化合物であるのにもかかわ
らずに融点が低く、皮膚等に対して刺激の無い等、油性
基剤として優れた性質を有しており、更に、これらを必
須成分とする本発明の皮膚用又は頭髪用組成物も配合特
性や官能特性等に優れており、新規の皮膚用又は頭髪用
外用組成物を提供し得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の2−パルミトイルオキシパルミチン酸
エチルエステルの13C−NMRスペクトルを示す図であ
る。
【図2】本発明の2−アセトキシパルミチン酸エチルエ
ステルの13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図3】本発明の2−パルミトイルオキシパルミチン酸
イソブチルエステルの13C−NMRスペクトルを示す図
である。
【図4】本発明の2−長鎖分岐脂肪酸(12〜31)オ
キシ長鎖脂肪酸(14〜25)イソプロピルエステルの
13C−NMRスペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−188524(JP,A) 特開 平2−273645(JP,A) 特開 昭63−166837(JP,A) 国際公開99/062463(WO,A1) 国際公開96/40047(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (但し、式中、R1は炭素数10〜24の直鎖又は分岐
    鎖のアルキル基、R2は炭素数1〜31の直鎖又は分岐
    鎖のアルキル基、R3は炭素数1〜10の直鎖又は分岐
    鎖のアルキル基。)で表されるα−ヒドロキシ脂肪酸誘
    導体の一種又は二種以上を含有することを特徴とする外
    用組成物。
  2. 【請求項2】 一般式(2) 【化2】 (但し、式中、R4は炭素数10〜20の直鎖のアルキ
    ル基、R5は炭素数11〜31の直鎖又はiso−型も
    しくはanteiso−型分岐鎖のアルキル基、R 6
    炭素数1〜7の直鎖又はiso−型もしくはantei
    so−型分岐鎖のアルキル基。)で表されるα−ヒドロ
    キシ脂肪酸誘導体。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のα−ヒドロキシ脂肪酸誘
    導体の一種又は二種以上を含有することを特徴とする外
    用組成物。
  4. 【請求項4】 組成物が頭髪用である請求項1又は3記
    載の外用組成物。
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