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JP3401780B2 - グラビア印刷用光沢塗被紙の製造方法 - Google Patents

グラビア印刷用光沢塗被紙の製造方法

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JP3401780B2
JP3401780B2 JP34743197A JP34743197A JP3401780B2 JP 3401780 B2 JP3401780 B2 JP 3401780B2 JP 34743197 A JP34743197 A JP 34743197A JP 34743197 A JP34743197 A JP 34743197A JP 3401780 B2 JP3401780 B2 JP 3401780B2
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義孝 川野
友治 佐藤
泰徳 南里
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Nippon Paper Industries Co Ltd
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Nippon Paper Industries Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原紙に顔料及び接
着剤を含む塗被液を塗被するグラビア印刷用光沢塗被紙
の製造において、品質及び操業性に優れた製品を低コス
トで製造し得るグラビア印刷用光沢塗被紙の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年印刷用紙は、チラシ、カタログ、パ
ンフレット、ダイレクトメール等広告、宣伝を目的とし
た商業印刷分野での需要が伸びている。またグラビア印
刷用紙も鮮やかな色調と深みのある画像が再現できるの
で、女性出版誌やファッション系カタログへの需要が伸
びており、とりわけ最近ではこのファッション系通販カ
タログの分野にグラビア印刷用紙がしだいに多く使用さ
れる傾向にある。一方これらカタログを消費者に提供す
るメーカーでは、郵便料金の改定等もあり、コストダウ
ンのため、より軽量の紙を使用する傾向にある。しか
し、軽量化するほど不透明度、印刷裏抜けが問題となる
ため、低坪量でも高不透明度で印刷裏抜けの少ない紙が
求められる。また、カタログ用途の場合には、印刷物と
実物の色が違えば問題(クレーム、返品等)となるた
め、色再現性の良好な高白色度の紙が求められる。
【0003】一般に不透明度、印刷裏抜けを向上させる
手段として、比表面積の大きな填料(ホワイトカーボ
ン、微粉シリカ等)の使用、屈折率の高い填料、顔料
(二酸化チタン等)の使用、嵩高な塗工層を形成する顔
料(プラスチックピグメント等)の使用、高温カレンダ
ー処理等による低密度化、機械パルプの使用増等の方法
がある。しかし一般にこれら填料、顔料は価格が高く、
塗被液に使用した場合、粘度が高くなる傾向があり、操
業性に劣る問題がある。また機械パルプを配合していく
と白色度が低下してしまう。そこで特に軽量塗被紙に
は、総合的な品質バランスと操業性を考慮し、特定の形
状(紡錘状、柱状、針状等)を有する軽質炭酸カルシウ
ムを原紙内添用填料あるいは塗被液用顔料に使用する方
法が近年多く採用される傾向にある。
【0004】また、グラビア印刷はまず版全体にインキ
を与え、次にドクターで画線部以外のインキを掻き取
り、凹部にたまったインキを加圧下で紙に転移する方式
であり、印刷適性としてミスドット率が大きな問題とな
る。従って、硬い金属ロールからインキをスムースにか
つ均一に転移させるためには、平滑性(特に印圧下での
平滑性)、クッション性や吸油性が求められる。
【0005】そこで、グラビア印刷用紙でも特に光沢、
平滑性に優れた光沢塗被紙を製造する場合には、高平滑
を得るため、一般にマシンカレンダー、スーパーカレン
ダー等を高線圧で処理している。しかし、高線圧でカレ
ンダー処理した場合、紙の密度上昇が大きく、その結果
剛度、手肉感が低下し、塗被紙の高級感を損なってしま
う。そこで剛度を上げるためにデンプンを多く使用する
と紙が硬くなってしまいクッション性がなくなり、ミス
ドット率が高くなってしまう。従って、表面サイズ処理
あるいは塗被液中に使用するデンプン量は最小限に抑え
るよう努力がなされているが、例えば塗被液中のデンプ
ン量を少なくし過ぎると、塗被液を塗被乾燥した後カレ
ンダー処理する際、パイリングトラブル(顔料がロール
側に取られることに起因するロール汚れ)が悪化し、操
業性を著しく損なう問題が生じる。
【0006】特開平6−73698号公報では、特定の
条件で柱状の軽質炭酸カルシウムを塗被用顔料に使用
し、非常に軽度にカレンダー処理することにより、グラ
ビア印刷用艶消し塗被紙の不透明度、印刷裏抜け、白色
度を改善することが記載されているが、通常の強いカン
レンダー処理を行い光沢塗被紙にした場合、嵩が出ず、
不透明度、印刷裏抜け等に劣る。
【0007】また、特開平3−40895号公報では、
嵩密度が0.5g/cm3 以下のカオリンと柱状の軽質
炭酸カルシウムをそれぞれ10重量%以上配合すること
により、高平滑でミスドット率の低い品質が得られるこ
とが示されているが、嵩や不透明度、印刷裏抜け、操業
性については、実用上不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のような状況に鑑
み、本発明の課題はグラビア印刷用光沢塗被紙の嵩、平
滑度、不透明度、印刷裏抜けに優れ、ミスドット率が低
く印刷仕上がりに優れかつ、パイリングトラブルがなく
操業性に優れたグラビア印刷用光沢塗被紙を低コストで
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題について鋭意研究を重ねた結果、顔料成分として硫酸
塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程
において、生石灰を水または弱液で消和した後、緑液
用いて苛性化反応製造された針状または柱状の軽質炭
酸カルシウムを顔料中30〜70重量%及び接着剤とし
て還元末端基量が0.3〜0.7mmol/gの範囲内
にあるデンプンあるいはその誘導体を含有する塗被液を
原紙に塗被することにより本発明を成すに至った。
【0010】以下に本発明の詳細を示す。
【0011】本発明の針状または柱状の軽質炭酸カルシ
ウムの配合量は、30〜70重量%にする必要がある。
30重量%より少ない場合には、不透明度、印刷裏抜
け、ミスドット率が劣り、配合量が70重量%を超えた
場合には、塗被液粘度が高くなりすぎるため、ブレード
コータで塗被する場合には、スタラクタイトやブリーデ
ィング(ブレードの刃先に塗被液の凝集物が付着する現
象)が多発し、操業性を著しく損なう。
【0012】また、本発明のデンプンは、還元末端基量
が0.3〜0.7mmmolのものを使用する。還元末
端基量が0.3mmolより小さいデンプンを使用した
場合には、塗被液の乾燥時の収縮が大きくなり、顔料配
向が乱されるため白紙光沢度が低下する。そこで白紙光
沢度を高くするために、カレンダー処理線圧を高くした
場合には、嵩、不透明度が低下する。還元末端基量が
0.7mmolより大きいものを使用した場合には、デ
ンプン自体の被膜強度が低くなりすぎ、その結果塗被層
の凝集強度が低下するためパイリングが多発する。尚、
本発明の還元末端基量はウィルシュテッダーシューデル
法で測定した値である。
【0013】また、本発明においては、硫酸塩法または
ソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程において、
生石灰を水または弱液で消和後、緑液を用いて苛性化反
製造された針状または柱状軽質炭酸カルシウムを使
用することによって非常にミスドット率が低く優れた印
刷仕上がりが得られことを認めた。従来使用されている
針状または柱状炭酸カルシウムは、いずれも石灰乳に炭
酸ガスを吹き込む合成反応で製造された(以下炭酸ガス
法と称す)ものであり、本発明によって製造されたもの
と比較するとミスドット率が高く印刷仕上がりに劣り、
ストリークも発生しやすい。本発明の苛性化反応によっ
て製造された軽質炭酸カルシウムが従来の炭酸ガス法で
製造されたものと比較し、ミスドット率が低く印刷仕上
がりに優れる理由は明確ではないが、炭酸ガス法による
ものと比較し水に対する浸漬熱が小さい(親水性あるい
は水に対する濡れ性が小さい)ために、インキに対する
親油性は逆に高く、その結果吸油性に優れ、ミスドット
率が低いものと考えられる。また、苛性化法で製造した
ものは、炭酸ガス法で製造したものより、凝集性が弱い
ため、塗被液の粘度が低く、ストリークの発生等が起こ
りにくいと思われる。本発明で使用する軽質炭酸カルシ
ウムは、苛性化工程の主産物である白液を製造する際の
副産物であるため、従来の石灰乳と炭酸ガスとの反応に
よる方法で得られる軽質炭酸カルシウムに比べて非常に
低コストで製造することができる。
【0014】また、本発明の針状または柱状の軽質炭酸
カルシウムは、長径が3.0〜5.0μm、短径0.2
〜0.5μmのものを使用するのが好ましい。短径が
0.2μmより小さい場合あるいは長径が3.0μmよ
り小さいものを使用した場合には、比表面積が大きくな
りすぎ、塗被層の凝集強度の低下が著しくなり、カレン
ダー処理時のパイリング(塗被層表面の顔料等が剥がれ
て、ロール表面に付着すること)が多発し操業性を著し
く損ない易い。また、短径が0.5μmより大きい場合
は、比散乱係数が低下するため、不透明度、印刷裏抜け
が低下し易い。また長径が5.0μmより大きい場合に
は、ブレードコータで塗被液を塗被する場合、ブレード
の刃先に引っかかりやすくなるため、ストリークが多発
する傾向にある。
【0015】以上のように、苛性化反応により製造され
た特定の形状を有する軽質炭酸カルシウム及び特定のデ
ンプンを使用することにより、嵩、平滑度、不透明度、
印刷裏抜けに優れ、ミスドット率が低く印刷仕上がりに
優れかつ、パイリングトラブルがなく操業性に優れたグ
ラビア印刷用光沢塗被紙を低コストで製造することがで
きる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明で規定する特定の形状を有
する軽質炭酸カルシウムは、硫酸塩法またはソーダ法に
よるパルプ製造工程の苛性化工程において、生石灰を水
または弱液で消和後、緑液を用いて苛性化反応製造さ
れたものを使用する。
【0017】硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造
工程においては、木材中の繊維素を単離するために水酸
化ナトリウムと硫化ナトリウムとを混合した薬液を用い
て高温、高圧下で蒸解する。そして繊維素は固相として
分離精製されてパルプとなり、薬液及び木材からの繊維
素以外の溶出成分はパルプ廃液(黒液)として回収され
濃縮燃焼される。その際、黒液中の有機物質は熱源とし
て、無機物質は主として炭酸ナトリウムおよび硫化ナト
リウムとして回収されるが、これらの無機物質はスメル
トと呼ばれ溶融状態で回収ボイラーから取り出される。
回収ボイラーから取り出されたスメルトは、水又は弱液
(下記に示す反応により形成された炭酸カルシウムスラ
ッジを洗浄した際に発生する白液成分が一部溶解した希
薄な溶液)によって溶解されて緑液となる。
【0018】苛性化工程とは、緑液中の炭酸ナトリウム
を蒸解薬品である水酸化ナトリウムに変えるための工程
であり、生石灰を消石灰に変える消和反応(1)と、消
石灰と緑液を混合し水酸化ナトリウムと炭酸カルシウム
を生成する苛性化反応(2)よりなる。苛性化反応によ
って、得られた水酸化ナトリウムを含む液は白液と呼ば
れ、炭酸カルシウムと分離、清澄化されて蒸解工程へ送
られる。本発明では分離回収し、十分に水洗浄された炭
酸カルシウムを使用する。
【0019】 CaO+H2 O→Ca(OH)2 (1):消和反応 Ca(OH)2 +Na2 CO3 →CaCO3 +2NaOH(2):苛性化反応 更に本発明において規定する針状または柱状軽質炭酸カ
ルシウムは以下の方法に従って製造することができる。
すなわち、0.1〜10重量%の炭酸カルシウムを含有
する前記生石灰に対して、生石灰濃度が20〜60重量
%になるようにpH5.5〜13.5を有する液(水ま
たは弱液)を添加し、攪拌あるいは混和しながら消和さ
せて石灰乳及び/又は石灰泥を生成する第一段工程、次
いで該石灰乳及び/又は石灰泥に、前記苛性化工程で発
生し、白液を製造するに必要な所定量の緑液を該石灰乳
及び/又は石灰泥に対して一定の添加速度で緑液を逐次
添加し、反応温度20〜105℃にて苛性化反応を行う
ことによって製造するものである。
【0020】またそれ以外に使用する顔料については、
特に規定するものではないが、一般的に使用される上記
以外の軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオ
リン、クレー、タルク、サチンホワイト、シリカ、二酸
化チタンなどの無機顔料、プラスチックピグメントなど
の有機顔料等を1種以上併用することができる。
【0021】本発明の塗被液の接着剤として使用するデ
ンプンは、還元末端基量が0.3〜0.7mmol/g
の範囲内にあるデンプンあるいはその誘導体であれば、
その種類を問わず、酵素変性デンプンや冷水可溶性デン
プン、リン酸エステル化デンプン、エーテル化デンプン
や酸化デンプンが使用される。配合量は顔料100重量
部に対して1〜8重量部が好ましい。8重量部より多く
なると紙が硬くなりすぎてクッション性が低下し、ミス
ドット率が高くなる傾向にある。1重量部より少なくな
ると塗工層の凝集強度が低下するためパイリングが多発
し、紙表面に存在するベッセルに起因するストリークが
多発しブレード操業性も低下しやすい。また、上記デン
プン以外に塗被液に使用する接着剤は、ラテックスある
いはその他の水性接着剤から必要に応じ1種あるいは2
種以上を選択して使用する。ラテックスとしては、スチ
レン・ブタジエン共重合体、メタクリレート・ブタジエ
ン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アク
リル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの
重合体または共重合体等のビニル系重合体ラテックス、
あるいはこれらを更にカルボキシル基等の官能基含有単
量体で変性したものである。また、ラテックス以外の水
性接着剤としては、例えばカゼイン、大豆蛋白、合成蛋
白等の蛋白質類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、オレフィン・無水マレイン酸樹脂、メラミン
樹脂等の合成樹脂系接着剤、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセ
ルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工用接着剤
である。
【0022】本発明の塗被液には分散剤、増粘剤、保水
剤、消泡剤、耐水化剤等通常の塗被紙用顔料に配合され
る各種助剤を使用しても良い。
【0023】また原紙としては、一般の印刷用塗被紙に
用いられる坪量30〜100g/m2 の原紙が好まし
く、目的により上質紙、中質紙を選択して使用する。
【0024】本発明の塗被液の濃度は50〜65%重量
が好ましく、塗被量は通常片面当たり固形分で6〜14
g/m2 が好ましい。
【0025】また塗被装置は特に限定するものではない
が、主としてロールアプリケーションタイプあるいはフ
ァウンテンノズルタイプのブレードコータが使用される
が、その他フィルムトランスファー方式の塗被装置、例
えばゲートロールコータ、ブレードあるいはロッドメタ
リングサイズプレスコータや、エアナイフコータ等が使
用でき、原紙に前記顔料塗被液を単層あるいは多層塗被
される。
【0026】塗被液を塗被乾燥された塗被紙は、通常の
ごとくスーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の仕上
げ工程により光沢付けがなされる。尚本発明の光沢塗被
紙とは、白紙光沢度が50%以上のものである。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に示す
が、これらによって本発明は何等制約を受けるものでは
ない。なお、例中の部および%はそれぞれ重量部および
重量%を示す。
【0028】〈品質評価方法〉 (1) 還元末端基量(ウィルシュテッターシューデル法) 還元末端基がアルカリ性ヨード溶液(NaIO)によっ
て選択,定量的に酸化されてカルボキシル基となる反応
を利用し、下記の反応のように酸化に消費されたI2 量
から絶乾デンプン1g当りの還元末端基量(mmol)
を求める。
【0029】CH2 OH(CHOH)nCHO+I2
3NaOH →CH2 OH(CHOH)nCOONa+
2NaI+2H2 O 残留I2 +2Na2 2 3 → Na2 4 6 +2
NaI (2) 軽質炭酸カルシウム形態観察:生成物を水洗ろ過
し、乾燥後走査型電子顕微鏡(日本電子JSM-5300)で形
状及び短径、長径平均値を測定した。
【0030】(3) 白紙光沢度:JIS P−8142に従い
角度75度で測定した。
【0031】(4) 王研式平滑度:J .TAPPI 紙パルプ試
験方法No. 5m−74に従い測定した。
【0032】(5) 不透明度:JIS P−81388に
従い測定した。
【0033】(6) 印刷裏抜け:RI−I型印刷機(明製
作所製)を用い、インキ濃度一定(1.5 )で片面印刷を
施したシートを24時間放置後、印刷した裏面から裏抜
けの程度を目視で評価した。
【0034】○=裏抜けが非常に少ない、△=裏抜けが
若干多い、×=裏抜けが著しい (7) ミスドット率:大蔵省印刷局式グラビア印刷試験機
(熊谷理機工業製)を用い、絵柄として網点グラビアを
使用し、試験片を印刷した。発生したミスドット数が全
網点数に占める割合をミスドット率として%で示した。
数値の小さいものほど良好である。
【0035】(8) パイリング評価:スーパーカレンダー
処理時に、金属ロールあるいは弾性ロールに顔料が付着
し、ロールが白く汚れる程度を目視評価した。
【0036】◎=パイリングの発生ない、○=パイリン
グわずかに発生する、△=パイリング発生多い、×=パ
イリングの発生著しい (9) ブレード操業性評価:ブレード塗被時に、スタラク
タイトあるいはストリークの発生状況をそれぞれ目視評
価した。
【0037】◎=スタラクタイト、ストリーク の発生ない、○=スタラク
タイト、ストリーク わずかに発生する、△=スタラクタイト、ストリーク の発
生多い、×=スタラクタイト、ストリーク の発生著しい [実施例1]クラフトパルプ製造工程の苛性化工程にお
いて製造された、長径が4.5μmで、短径が0.4μ
mである針状軽質炭酸カルシウムを40部、重質炭酸カ
ルシウムを10部及びカオリン50部配合した顔料に対
し、ポリアクリル酸ソーダ系分散剤1部添加し、カウレ
ス分散機を用いて水に分散し、接着剤として還元末端基
量が 0.65mmol/gである冷水可溶性デンプン
2.5部、アルカリ感応型スチレンブタジエン系共重合
ラテックス7部、保水剤としてカルボキシメチルセルロ
ースを0.5部配合し、更に耐水化剤及び剥離剤等の助
剤を添加し、固形分濃度61%の塗被液を調製し、ファ
ウンテンブレードコータを使用し、塗被速度1000m
/minで、坪量42g/m2 の原紙に片面当たり固形
分で13.5g/m2 を両面塗被、乾燥し、坪量69g
/m2 の塗被紙を得た。更に12段のスーパーカレンダ
ーで白紙光沢度68%となるよう仕上げた。
【0038】[実施例2]長径が3.5μmで、短径が
0.3μmである柱状軽質炭酸カルシウムを50部、重
質炭酸カルシウムを30部、カオリンを20部配合し、
還元末端基量が0.40mmol/gであるリン酸エス
テル化デンプンを使用した以外は、実施例1と同様に塗
被紙を製造した。
【0039】[実施例3]長径が4.0μmで、短径が
0.4μmである針状軽質炭酸カルシウムを60部、重
質炭酸カルシウムを30部、カオリンを10部配合した
顔料を使用し、還元末端基量が0.60mmol/gで
ある酵素変性冷水可溶性デンプンを使用した以外は、実
施例1と同様に塗被紙を製造した。
【0040】[比較例1]不定形の軽質炭酸カルシウム
を使用した以外は、実施例1と同様に塗被紙を製造し
た。
【0041】[比較例2]針状軽質炭酸カルシウムを8
0部、カオリンを20部配合した顔料を使用した以外
は、実施例1と同様に塗被紙を製造した。
【0042】[比較例3]柱状軽質炭酸カルシウムを1
5部、重質炭酸カルシウムを40部、カオリンを45部
使用した以外は実施例2と同様に塗被紙を製造した。
【0043】[比較例4]還元末端基量が0.21mm
ol/gであるリン酸エステル化デンプンを使用した以
外は実施例1と同様に塗被紙を製造した。
【0044】[比較例5]還元末端基量が0.75mm
ol/gである酵素変性冷水可溶性デンプンを使用した
以外は実施例1と同様に塗被紙を製造した。
【0045】[比較例6]炭酸ガス法で製造した長径が
3.5μmで、短径が0.3μmである柱状軽質炭酸カ
ルシウムを使用した以外は実施例2と同様に塗被紙を製
造した。
【0046】以上の結果を表1に示した。
【0047】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1〜3は嵩、平滑度、
不透明度が高く、印刷裏抜け、ミスドット率が優れ、操
業性(パイリング、ブレード操業性)に優れる。
【0048】これらに対し、比較例1は、嵩、不透明
度、印刷裏抜け、ミスドット率に劣る。比較例2は、ブ
レード操業性、パイリングに劣る。比較例3は、嵩、不
透明度、印刷裏抜け、ミスドット率に劣る。比較例4
は、嵩、不透明度、印刷裏抜けに劣る。比較例5は、パ
イリングに劣る。比較例6は、ミスドット率、ブレード
操業性に劣る。
【0049】従って、本発明により製造されたグラビア
印刷用光沢塗被紙は従来にない優れた塗被紙品質を与
え、その効果は極めて大なるものがある。
【0050】
【発明の効果】嵩、平滑度、不透明度、印刷裏抜けに優
れ、ミスドット率が低く印刷仕上がりに優れかつ、パイ
リングトラブルがなく操業性に優れたグラビア印刷用光
沢塗被紙を低コストで得ることができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−40895(JP,A) 特開 昭61−53112(JP,A) 特開 平1−226719(JP,A) 特開 平2−210096(JP,A) 特開 平6−306794(JP,A) 特開 平7−102499(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原紙に顔料と接着剤を含有する塗被液を
    塗被するグラビア印刷用光沢塗被紙の製造方法におい
    て、顔料成分として硫酸塩法またはソーダ法によるパル
    プ製造工程の苛性化工程で、生石灰を水または弱液で消
    和した後、緑液を用いて苛性化反応製造された針状ま
    たは柱状の軽質炭酸カルシウムを顔料中30〜70重量
    %及び接着剤として還元末端基量が0.3〜0.7mm
    ol/gの範囲内にあるデンプンあるいはその誘導体を
    含有した塗被液を塗被することを特徴とするグラビア印
    刷用光沢塗被紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 針状または柱状の軽質炭酸カルシウムの
    長径が3.0〜5.0μmで、短径が0.2〜0.5μ
    mの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のグ
    ラビア印刷用光沢塗被紙の製造方法。
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