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JP3498102B2 - 強度に優れたカルボン酸エステル製造用触媒 - Google Patents

強度に優れたカルボン酸エステル製造用触媒

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Publication number
JP3498102B2
JP3498102B2 JP20865195A JP20865195A JP3498102B2 JP 3498102 B2 JP3498102 B2 JP 3498102B2 JP 20865195 A JP20865195 A JP 20865195A JP 20865195 A JP20865195 A JP 20865195A JP 3498102 B2 JP3498102 B2 JP 3498102B2
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carrier
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silica
weight
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JP20865195A
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辰男 山口
節男 山松
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Asahi Kasei Chemicals Corp
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Asahi Kasei Chemicals Corp
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルデヒドとアル
コールからカルボン酸エステルを製造する際に用いられ
るパラジウム含有触媒及びカルボン酸エステルの製造法
に関する。
【0002】
【従来の技術】工業的に有用なメタクリル酸メチル又は
アクリル酸メチルを製造する方法として、メタクロレイ
ン又はアクロレインをメタノールと反応させて直接、メ
タクリル酸メチル又はアクリル酸メチルを製造する酸化
エステル化法が提案されている。この製法ではメタクロ
レイン又はアクロレインをメタノール中で分子状酸素と
反応させることによって行われ、パラジウムを含む触媒
の存在が必須である。
【0003】 貴金属の一種であるパラジウムは高価で
あり、触媒成分として利用する際には通常、担体に担持
分散させて利用することが多く、その場合、担体の選定
は極めて重要である。特昭57−35856号、同5
7−35857号、同57−35858号、同57−3
5859号、同57−35860号の各公報に開示され
ている、酸素の存在下でアルデヒドとアルコールをパラ
ジウムを含む触媒と反応させてカルボン酸エステルを製
造する方法において、活性炭、シリカ、アルミナ、炭酸
カルシウム等が触媒担体として例示されている。
【0004】しかしながら、これらの触媒は、工業プロ
セスとしての実用化を前提に、これら担体に担持された
パラジウム系触媒につき検討した結果、触媒寿命の観点
からは必ずしも満足のいく触媒とはいえないことが明ら
かになった。即ち、工業的に使用されることの多い攪拌
槽反応器あるいは気泡塔反応器などで触媒をスラリー状
態で反応させることを想定した場合、活性炭では機械的
強度が不十分である。また、アルミナは機械的強度が高
いものの、本反応固有の副生物であるメタクリル酸又は
アクリル酸に代表される酸性物質による腐食によって担
体の強度が低下し、その結果、高価なパラジウム成分が
剥離しやすいという致命的な欠点がある。炭酸カルシウ
ムもアルミナ以上に酸性物質による腐食が起こりやすく
工業的使用には向かない。一方、シリカは、プロセスに
同伴して持ち込まれる水あるいは反応で副生する水によ
り、徐々にではあるがシリカの一部が浸食されて担体で
あるシリカが溶出する。このため長期安定に使用するに
は不安がある。また、前記したアルミナに比べれば機械
的強度が低い。以上、機械的強度が高く物理的に安定で
しかも酸性物質及び水による腐食を受けにくく化学的に
安定な触媒はこれまで提案されていない。
【0005】一方、マグネシウム又はアルミニウムを含
むものとしてシリカ−マグネシウム、シリカ−アルミナ
等が固体酸触媒として知られている。しかしこれらを担
体として用いた場合、その酸性質によってアセタール等
の副生成物が生成するため、本反応の担体としては不適
当と考えられていた。そこで、担体としてほぼ中性であ
るシリカの欠点である機械的強度及び耐腐食性を向上さ
せるため、シリカゲルの製造方法の検討、高温焼成等に
よるシリカゲルの改質の検討が報告されている。
【0006】しかしながら触媒本来の性能を損なうこと
なく機械的強度及び耐加水分解安定性の改善に成功した
例は見あたらない。例えば、シリカ系の物質の一つであ
る石英は硬く、機械的強度並びに耐腐食性は高いことが
知られている。しかしながら機械的強度、耐腐食性は劇
的に改善されてはいるが、比表面積の低下(1m2 /g
以下)を招き、金属触媒を微粒子状に高分散状態で担持
できないため、石英を担体とした場合得られる触媒の反
応活性は極めて低く、触媒担体としての使用には無理が
ある。従って、触媒担体としての使用を前提とすると高
い比表面積をある程度維持しながら、しかも機械的強度
及び本反応固有の液性に対する耐腐食性を満足する必要
があり、これらの要請に応える触媒担体はこれまでは知
られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸素存在下
でアルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製
造する際に用いられる、高い比表面積を有しながら機械
的強度並びに耐腐食性に優れ、かつ長期間にわたり安定
なパラジウム含有担持触媒及び該担持触媒を用いたカル
ボン酸エステルの製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、シリカゲ
ルの機械的強度及び耐腐食性を改善すべく、シリカゲル
を構成しているシリカ鎖(−Si−O−)の特異な構造
に着目し、これらの構造と物性との相関について鋭意研
究を進めた。その結果、意外にもシリカとアルミナ及び
マグネシアをある特定の比率で組み合わせた担体は、シ
リカ単独、アルミナ単独の場合に認められる各々の欠点
が克服され、本発明が狙いとする上記課題を満足するこ
とを見いだした。
【0009】すなわち、本発明は以下のとおりである。 1.酸素の存在下でアルデヒドとアルコールを反応させ
るカルボン酸エステル製造に用いられるパラジウム含有
担持触媒において、アルミニウムをAl2 3 として5
〜40重量%、マグネシウムをMgOとして3〜30重
量%、珪素をSiO2 として50〜92重量%の範囲で
含有するシリカ−アルミナ−マグネシアを担体として用
いることを特徴とするカルボン酸エステル製造用触媒。 2.酸素の存在下でアルデヒドとアルコールを反応させ
るカルボン酸エステル製造において上記1のカルボン酸
エステル製造用触媒を用いるカルボン酸エステルの製造
法。 3.アルデヒドがアクロレイン又はメタクロレインで、
アルコールがメタノールである上記2のカルボン酸エス
テルの製造法。
【0010】本発明は、アルミニウムをAl2 3 とし
て5〜40重量%、マグネシウムをMgOとして3〜3
0重量%、珪素をSiO2 として50〜92重量%の範
囲で含有するシリカ−アルミナ−マグネシアを、アルデ
ヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製造するパ
ラジウム担持触媒の担体として使用することが重要であ
る。
【0011】これにより如何なる理由により耐酸性、耐
水性等の耐腐食性が向上し、また機械的強度も向上する
か解析は不十分であるが、本発明者らの推察によれば、
シリカゲルの未架橋シリカ(Si−O)鎖にアルミニウ
ム(Al)を加えることにより、Si−O−Al−O−
Si結合が新たに形成され、Si−O鎖本来の酸性物
質に対する安定性を失うことなく、Al架橋構造が形
成されたことでSi−O結合が強化され、耐加水分解安
定性が格段に向上するものと考えられる。また、Si
−O−Al−O−Si架橋構造が形成されると、シリカ
ゲル単独の場合に比べSi−O未架橋鎖が減り、機械的
強度も大きく向上するものと考えられる。すなわち、S
i−O−Al−O−Si架橋構造の形成量と得られるシ
リカゲルの機械的強度及び耐腐食性の向上が相関するも
のと推察される。
【0012】マグネシウム(Mg)の共存は、Si−
O−Al−O−Si架橋構造の生成によるSi(四価)
とAl(三価)の価数の違いにより生じる電荷の違いを
マグネシウム(二価)が補償中和し、中性とし電荷の安
定化を促す。三成分系により電荷的バランスがとれる
ため構造の安定性が高められるものと推察される。本発
明のマグネシア−シリカ−アルミナを含む担体が、シリ
カ−アルミナでは酸性を示すのに対し、ほぼ中性である
ことは、該担体を用いたカルボン酸エステル製造におい
て、酸性で生成が顕著なアセタールの生成が少ないこと
からも推定される。本発明のカルボン酸エステル製造反
応では反応液のpHを6〜9に維持しながら行うのが好
ましく、本発明のシリカ−アルミナ−マグネシアは、本
発明のカルボン酸エステル製造反応が中性条件で反応を
行う反応特性からも、触媒強度並びに耐腐食性の改善効
果と合わせて、いずれをも満足する触媒となることが明
らかとなった。
【0013】以下に、本発明のシリカ−アルミナ−マグ
ネシアを担体とするパラジウム担持触媒について説明す
る。本発明のシリカ−アルミナ−マグネシア担体は、ア
ルミニウムをAl2 3 として5〜40重量%、好まし
くは7〜30重量%、マグネシウムをMgOとして3〜
30重量%、好ましくは3〜20重量%、珪素をSiO
2 として50〜92重量%、好ましくは55〜88重量
%の範囲で含有することが重要である。この範囲以外で
は機械的強度及び耐水性の改善効果が小さい。これはこ
の範囲内でのみマグネシウム、アルミニウム、珪素が特
定の安定な結合構造を形成するためと推察される。
【0014】本発明のシリカ−アルミナ−マグネシア担
体の比表面積は、窒素吸着法による測定で10〜700
2 /gであることが好ましく、より好ましくは20〜
350m2 /g、特に好ましくは50〜300m2 /g
である。比表面積が10m2/g未満ではパラジウム成
分を担持しにくく、担持しても剥離しやすく好ましくな
い。また、得られる触媒の反応活性も低い。触媒調製上
からは、担体の比表面積が大きいことは特に問題はな
い。しかしながら、比表面積が大きい場合には機械的強
度及び耐腐食性が低下する傾向が見られる。このため、
最も好ましくは比表面積は50〜200m2 /gの範囲
から選ばれる。
【0015】本発明のシリカ−アルミナ−マグネシア担
体は、触媒調製の前段階及び調製段階で上記比表面積と
なるように好適な温度で焼成して使用することが好まし
い。一般的には200〜800℃の範囲から選ばれる。
800℃を超える温度で焼成すると比表面積の低下が著
しく好ましくない。また、焼成雰囲気は特に限定されな
いが、空気中あるいは窒素中で焼成するのが一般的であ
る。また、焼成時間は、焼成後の比表面積に応じて決め
ることができる。
【0016】上記のような物性を持つ、本発明のシリカ
−アルミナ−マグネシア担体の入手法につき説明する。
(1)あらかじめシリカ−アルミナゲルを形成させ、酸
化マグネシウムを添加し反応させ得られるもの、(2)
シリカゾル等の溶液と、アルミニウム化合物及びマグネ
シウム化合物の溶液とを反応させて得られるもの、
(3)シリカゾルと、水に不溶なアルミニウム化合物及
びマグネシウム化合物とを反応させて得られるもの、
(4)シリカゲルと、水溶性のアルミニウム化合物及び
マグネシウム化合物の水溶液とを反応させて得られるも
の、(5)シリカゲルと、アルミニウム化合物及びマグ
ネシウム化合物とを固相反応させて得られるもの。この
様にして得られるマグネシウム、アルミニウム、珪素含
有組成物は、前述したごとく好適な焼成温度と時間で焼
成して、本発明のシリカ−アルミナ−マグネシア担体と
して使用することが可能になる。
【0017】以下に、(1)〜(5)の入手法につき詳
細に説明する。シリカ原料としては、シリカゾル、水ガ
ラスあるいはシリカゲルを用いることができる。シリカ
ゲルとしてはアルミニウムと反応する未架橋シリカ部位
を有すればよく、Si−O鎖の長さについては特に制約
はない。アルミニウム原料としては、アルミン酸ソー
ダ、塩化アルミニウム六水和物、過塩素酸アルミニウム
六水和物、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和
物、二酢酸アルミニウム等の水溶性化合物などが好まし
いが、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等の水に
不溶な化合物でもシリカゾル、シリカゲル中の未架橋シ
リカと反応する化合物であればいずれも用いることが可
能である。
【0018】マグネシウム原料としては、酸化マグネシ
ウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マ
グネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなど
を用いることができる。シリカ−アルミナゲルを原料に
する(1)は、あらかじめ、水ガラスに硫酸を加えてp
H8〜10.5のシリカヒドロゲルをつくり、これにA
2 (SO4 3 溶液を加え(pH2またはそれ以
下)、さらにアルミン酸ソーダを添加し(pH5〜5.
5)、生成するシリカ−アルミナヒドロゲルを調製し、
水分等を調整した後、MgOを添加し水熱反応して得る
ことができる。シリカゾル等の溶液を出発原料とする
(2)、(3)の場合には、シリカゾル等の溶液とアル
ミニウム化合物及びマグネシウム化合物を混合後、水熱
反応より合成するか、あるいはシリカ、アルミナ及びマ
グネシアを共沈させるか、あるいはこれらの混合ゾルス
ラリーをスプレードライヤーを用いて微粉化する、ある
いは造粒する等で所望の粒子径をもつシリカ−アルミナ
−マグネシア担体とすることも可能である。
【0019】特に(3)の場合は、シリカゾルと、水に
不溶なアルミニウム化合物及びマグネシウム化合物とを
反応させるが、この時アルミニウム化合物及びマグネシ
ウム化合物を予め所定の粒径まで粉砕しておくか、又は
予備的に粗粉砕しておくこともできる。シリカゾルと、
水に不溶なアルミニウム化合物及びマグネシウム合物と
を混合、反応させた後乾燥し、さらに800℃以下の温
度で焼成する。アルミニウム化合物及びマグネシウム化
合物を予備粉砕をせず、焼成後のシリカ−アルミナ−マ
グネシアを所定の粒径までに粉砕してもよい。シリカゲ
ルを出発原料として用いる(4)の場合は、シリカゲル
に水溶性のアルミニウム化合物及びマグネシウム化合物
の水溶液を反応させるもので、シリカゲルを予め所定の
粒径まで粉砕しておくか、又は予備的に粗粉砕しておい
てもよい。シリカゲルと、水溶性のアルミニウム化合物
及びマグネシウム化合物の水溶液とを混合、反応させた
後乾燥し、さらに800℃以下の温度で焼成する。シリ
カゲルの予備粉砕をせず、焼成後のシリカ−アルミナー
マグネシアを所定の粒径までに粉砕してもよい。
【0020】同じくシリカゲルを出発原料として用いる
(5)は、シリカゲルと、アルミニウム化合物及びマグ
ネシウム化合物を固相反応させて調製するものである。
アルミニウム及びマグネシウムを未架橋シリカと固相状
態で反応させる。シリカゲル、アルミニウム化合物及び
マグネシウム化合物は予め所定の粒径まで粉砕しておい
てもよく、また予備的に粗粉砕しておいてもよい。粉砕
は各物質単独で行ってもよく、三者を混合して粉砕して
もよい。焼成は800℃以下の温度で行うのが好まし
い。
【0021】反応雰囲気は特に限定されないが、空気中
あるいは窒素中で反応するのが一般的である。また、反
応時間は、反応後の比表面積に応じて決めることができ
る。シリカゲル、アルミニウム化合物及びマグネシウム
化合物の予備粉砕をせず、反応後に所望の粒径まで粉砕
して使用することも可能である。本発明では、アルミニ
ウムをAl2 3 として5〜40重量%、マグネシウム
をMgOとして3〜30重量%、珪素をSiO2 として
50〜92重量%の範囲で含有するシリカ−アルミナ−
マグネシアを触媒担体として使用することが重要であ
る。
【0022】触媒成分としてはパラジウム単独、又はこ
れにその他の異種元素、例えば鉛、水銀、タリウム、ビ
スマス、テルル、ニッケル、クロム、コバルト、インジ
ウム、タンタル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウ
ム、タングステン、マンガン、銀、レニウム、アンチモ
ン、スズ、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、白金、
金、チタン、アルミニウム、硼素、珪素等を含んでいて
もよい。更にアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化
合物を含んでいてもよい。好ましくはパラジウムと、
鉛、水銀、タリウム及びビスマスより選ばれた少なくと
も一種の元素を含み、必要ならばアルカリ金属化合物及
びアルカリ土類金属化合物から選ばれた少なくとも一員
を含んでなる触媒を用いるのが好ましい。このときパラ
ジウムが鉛、水銀、タリウム、ビスマスを初めとする異
種元素と合金あるいは金属間化合物を形成していてもよ
く、場合によってはこの方が好ましい。これらの触媒成
分を含む触媒を使用することにより、原料アルデヒド又
はその酸化反応中間体のC−C結合の切断反応による炭
酸ガスや炭化水素の発生を防止し、高選択率で目的とす
るカルボン酸エステルを製造することができる。
【0023】一方、本発明の要点である、シリカ−アル
ミナ−マグネシアを担体とすることで担体の機械的強度
及び耐酸性、耐加水分解性が飛躍的に向上した結果、触
媒の破壊、摩耗及び、担体成分の溶出に伴う触媒劣化が
劇的に改善され、触媒寿命が長期間安定に失われること
のない、物理的にも化学的にも極めて安定で実用的価値
の高い触媒が実現した。前記パラジウム化合物として
は、例えば、パラジウムの酢酸塩、蟻酸塩等のカルボン
酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩類等の無機酸
塩、パラジウムフタロシアニンなどの錯体等を用いるこ
とができる。
【0024】前記鉛化合物としては、例えば、酢酸鉛、
蟻酸鉛等のカルボン酸塩、酸化鉛、水酸化鉛、硝酸鉛等
があげられる。さらに前記タリウム化合物としては、酢
酸タリウム、硝酸タリウム、硫酸タリウム、塩化第一タ
リウム、酸化タリウム等を用いることができる。前記水
銀化合物としては、例えば、酢酸水銀、硝酸水銀、塩化
第一水銀、酸化水銀等があげられ、前記ビスマス化合物
としては、例えば、酢酸ビスマス、ステアリン酸ビスマ
ス等のビスマス脂肪酸塩類や塩化ビスマス、硝酸ビスマ
ス等があげられる。
【0025】アルカリ金属塩類としては、例えば、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、蟻酸ナト
リウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のカルボン酸
塩類、炭酸ナトリウム等炭酸塩類等があげられる。アル
カリ土類金属塩としては、水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、
酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、
酸化バリウム、酸化ストロンチウム等があげられる。
【0026】パラジウム以外のこれらの成分は、触媒調
製時及び/又は反応系に添加することが可能である。ま
た、パラジウム以外の成分は、シリカ−アルミナ−マグ
ネシアを製造する際にあらかじめ含ませておくこともで
きる。触媒の調製は、通常の貴金属触媒の調製方法にし
たがって行えばよい。例えば、担体にイオン交換的にパ
ラジウムを吸着する、又は担体に塩化パラジウム等の溶
液を含浸させたのち、気相で水素で還元する方法や、ホ
ルマリン、ギ酸、ヒドラジン等の還元剤を用い、液相で
還元しパラジウム金属担時触媒を得ることができる。パ
ラジウム以外の触媒成分は触媒調製時、あるいは反応条
件下に加えることができる。アルカリ金属、アルカリ土
類金属についても、触媒調製時にあらかじめ共存せても
よく、触媒調製時あるいは反応系に添加することもでき
る。
【0027】本発明におけるパラジウム担持触媒の担持
量は特に限定はないが、担体重量に対し、通常0.1〜
20重量%、好ましくは1〜10重量%であり、鉛、タ
リウム、ビスマス、水銀の担持量は、通常0.1〜20
重量%、好ましくは1〜10重量%、前記アルカリ金属
化合物もしくはアルカリ土類金属化合物の担体に対する
担持量は、通常、0.5〜30重量%、好ましくは1〜
15重量%である。その他の異種元素は通常5重量%、
好ましく1重量%を越えない範囲で含むことができる。
触媒の使用量は、反応原料の種類や量、触媒の組成や調
製法、反応条件などによって大巾に変更することがで
き、特に限定はないが、一般には原料アルデヒドに対し
1/1000〜20倍量程度(重量比)で使用する。触
媒をスラリー状態で反応させる場合には反応液1リット
ル中に0.04〜0.5kg使用するのが好ましい。
【0028】本発明のカルボン酸エステル製造において
使用するアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブ
チルアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪族飽和アル
デヒド;アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアル
デヒドなどの脂肪族α・β−不飽和アルデヒド;ベンズ
アルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルアルデヒド、
フタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド;並びにこれ
らアルデヒドの誘導体などがあげられる。これらのアル
デヒドは単独もしくは任意の二種以上の混合物として用
いることができる。
【0029】本発明のカルボン酸エステル製造において
使用するアルコールとしては、例えば、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、オクタノールなどの脂肪
族飽和アルコール;エチレングリコール、ブタンジオー
ルなどのジオール;アリルアルコール、メタリルアルコ
ールなどの脂肪族不飽和アルコール;ベンジルアルコー
ルなどの芳香族アルコールなどがあげられる。特にメチ
ルアルコール、エチルアルコールなどの低級アルコール
が反応が速やかで好ましい。これらのアルコールは単独
もしくは任意の二種以上の混合物として用いることがで
きる。
【0030】本発明のカルボン酸エステル製造反応にお
けるアルデヒドとアルコールとの使用量比には特に限定
はなく例えばアルデヒド/アルコールのモル比で10/
1〜1/1000のような広い範囲で実施できるが、一
般にはアルデヒドの量が少ない方が好ましく例えば前記
比を1/2〜1/50の範囲にするのが好ましい。本発
明のカルボン酸エステル製造反応で使用する酸素は分子
状酸素、すなわち酸素ガス自体又は酸素ガスを反応に不
活性な希釈剤、例えば窒素、炭酸ガスなどで希釈した混
合ガスの形とすることができ、空気を用いることもでき
る。反応系に存在させる酸素の量は、反応に必要な化学
量論量以上、好ましくは化学量論量の1.2倍以上あれ
ば充分である。
【0031】本発明のカルボン酸エステル製造反応は、
気相反応、液相反応、潅液反応などの任意の方法で回分
式又は連続式のいずれによっても実施できる。反応は無
溶媒でも実施できるが反応成分に対して不活性な溶媒、
例えばヘキサン、デカン、ベンゼン、ジオキサンなどを
用いて実施することができる。反応器形式も固定床式、
流動床式、撹拌槽式などの従来公知の任意の形式による
ことができる。本発明の触媒は機械的強度が高いため、
流動床反応器、気泡塔反応器、撹拌槽反応器にも安定に
使用できる。
【0032】本発明のシリカ−アルミナ−マグネシア担
体の粒径は触媒の反応形式に応じて適宜、選ぶことがで
き、特に限定はないが液相懸濁状態で使用する際、触媒
の分離方法によって、例えば自然沈降分離では、20〜
500μm、好ましくは20〜200μm、さらに好ま
しくは20〜100μm、ものが使用されることが多
い。フィルター分離を用いる方法ではさらに微粒子の
0.1〜20μm、粒子が使用される場合もある。
【0033】本発明のカルボン酸エステル製造反応プロ
セスを液相等で実施する場合には、反応系にアルカリ金
属もしくはアルカリ土類金属の化合物(例えば、酸化
物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩など)を添加して
反応系のpHを6〜9に保持することが好ましい。反応
液のpHを6〜9に維持することで、原料アルデヒドの
一部が酸性質の影響によりアセタールに変化することを
効果的に抑制できる。一般的には反応系のpHが9を越
えるに従って原料アルデヒドなどの副反応が顕著にな
り、目的とするカルボン酸エステルの選択率を低下せし
める傾向があり、逆にpH6を割るに従ってアセタール
の生成が顕著となり好ましくない傾向があるため、pH
は6〜9に維持しながら反応させるのが好ましい。さら
に触媒中にアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の化
合物を含む場合にはかかる化合物の系外への流失をも防
止する作用もある。これらのアルカリ金属もしくはアル
カリ土類金属の化合物は単独もしくは二種以上組み合わ
せて使用することができる。
【0034】本発明のカルボン酸エステル製造反応は、
100℃以上の高温でも実施できるが、30〜100℃
という低温でも高い反応速度でしかも高選択率で目的と
するカルボン酸エステルを製造できるという卓越した特
長をもつ。反応は減圧から加圧下の任意の広い圧力範囲
で実施することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に実施例及び比較例を用いて
本発明をさらに詳細に説明する。なお、担体の耐加水分
解安定性は、加速評価するため以下の方法を用いて行
い、耐加水分解安定性の指標とした。また、Mg、A
l、Siの分析は下記の方法で行った。 <担体耐加水分解安定性評価>100mlのSUS(ス
テンレス)製容器に評価を行う固形物を0.2g秤量
し、水20gを加え密閉後温度180℃で1時間加熱し
た。その後水中に溶出したSiイオン濃度をICP(プ
ラズマ発光分光分析器)(日本ジャーレルアッシュ
(株)製 ICAP−575 マークII)で測定比較
した。 <Mg、Al、Siの含有量の求め方>Mgは王水で溶
解、Al、Siはアルカリ溶融塩で溶解させ、ICP
(プラズマ発光分光分析器)によって測定し、各元素を
MgO、Al2 3 、SiO2 の酸化物に換算して含有
量を求めた。
【0036】
【実施例1】50リットルのステンレス製容器に、硝酸
アルミニウム九水和物3.75kg、硝酸マグネシウム
六水和物2.56kg、60%硝酸540g、水4.6
7kgを入れ撹拌しておいた。ついで、シリカゾル溶液
(SiO2 30%)日産化学社製のスノーテックスN−
30を20.0kgを少しずつ加え混合させた。充分に
混合した後130℃の温度に設定したスプレードライヤ
ーで噴霧乾燥し固形物を得た。つぎに、得た固形物を上
部が解放したステンレス製容器に約厚さ1cm程充填
し、電気炉で、室温から300℃まで2時間かけ昇温後
3時間保持した。さらに600℃まで2時間で昇温後3
時間保持した後徐冷した。MgO、Al23 、SiO
2 として各々5.8重量%、7.4重量%、86.8重
量%であった。窒素吸着法による比表面積は148m2
/g、電子顕微鏡(SEM)((株)日立製作所製 S
−2700)による観察から平均粒子径は約60μm
で、ほぼ球状であり、乳鉢で粉砕性を調べると市販のシ
リカゲルに比べ硬いものであった。得られたシリカ−ア
ルミナ−マグネシアの耐加水分解安定性の加速評価を実
施したところ、加水分解して溶出するSiイオン濃度が
42ppmであった。
【0037】
【比較例1】マグネシウム化合物及びアルミニウム化合
物を添加しない他は、実施例1と同様の操作で比表面積
188m2 /gの担体を得た。担体の耐水性を加速評価
したところ溶出Siイオン濃度が210ppmであっ
た。
【0038】
【比較例2】市販のシリカゲル(富士シリシア社製 キ
ャリアクト10)を600℃で3時間焼成した。得られ
たシリカの窒素吸着法による比表面積は300m2 /g
であった。耐水性の加速評価したところ、溶出Siイオ
ン濃度は244ppmであった。
【0039】
【実施例2】マグネシムがMgOとして3重量%、アル
ミニウムがAl2 3 として12重量%となるように、
硝酸マグネシウム、硝酸アルミニウムを加え焼成温度を
700℃とした以外は、実施例1と同様操作で比表面積
155m2 /gの担体を得た。担体の耐水性を加速評価
したところ、溶出Siイオン濃度が48ppmであっ
た。
【0040】
【実施例3】マグネシムがMgOとして4重量%、アル
ミニウムがAl2 3 として20重量%となるように、
硝酸マグネシウム、硝酸アルミニウムを加え焼成温度を
800℃とした以外は、実施例1と同様操作で比表面積
138m2 /gの担体を得た。担体の耐水性を加速評価
したところ、溶出Siイオン濃度が40ppmであっ
た。
【0041】
【実施例4】マグネシム源にMgOを13重量%となる
ように、アルミニウムがAl2 3として35重量%と
なるように、硝酸マグネシウム、硝酸アルミニウムを加
え、焼成温度を800℃とした以外は実施例1と同様操
作で比表面積123m2 /gの担体を得た。担体の耐水
性を加速評価したところ溶出Siイオン濃度が70pp
mであった。
【0042】
【実施例5】水ガラス3号(SiO2 :28〜30重量
%、Na2 O:9〜10重量%)10kgに、pH:9
まで硫酸を加え、ついでAl2 (SO4 3 を添加し、
pHを2とした。さらにアルミン酸ソーダを加えpH:
5〜5.5とし一部を脱水してシリカ・アルミナが約1
0重量%のヒドロゲルとした。130℃でスプレードラ
イにて噴霧乾燥後、Na2 O:0.02重量%、S
4 :0.5重量%以下に洗浄する。これをスラリー状
で、MgO:300gと混合し、80℃で3時間処理後
ろ過洗浄し、その後110℃で6時間乾燥し、ついで7
00℃まで3時間で昇温後3時間保持した後除冷してM
gOとして4.4重量%、Al2 3 として13重量%
の担体を得た。得られた化合物の窒素吸着法による比表
面積は223m2 /gであった。耐水性の加速評価した
ところ、溶出Siイオン濃度は38ppmであった。
【0043】
【実施例6】マグネシムをMgOとして5重量%となる
ように、アルミニウムがAl2 3として9重量%とな
るように、水酸化マグネシウム、硝酸アルミニウムを加
え、焼成温度を600℃とした以外は実施例1と同様操
作で比表面積167m2 /gの担体を得た。担体の耐水
性を加速評価したところ溶出Siイオン濃度が41pp
mであった。
【0044】
【実施例7】マグネシム源にMgOを30重量%となる
ように、アルミニウムがAl2 3として15重量%と
なるように、硝酸アルミニウムを加え、焼成温度を65
0℃とした以外は実施例1と同様操作で比表面積134
2 /gの担体を得た。担体の耐水性を加速評価したと
ころ溶出Siイオン濃度が65ppmであった。実施例
1〜7、比較例1〜2について、組成、比表面積及び溶
出Siイオン濃度等を表1にまとめた。
【0045】
【実施例8】実施例1の担体担体100gを蒸留水50
0mlを入れたガラス容器に加え、60℃で撹拌しなが
ら、塩化パラジウムの希塩酸溶液、硝酸鉛水溶液をPd
及びPbとして2.5重量%に相当する量を素早く滴下
する。その後1時間保持し、ヒドラジンを化学量論量の
1.2倍添加し還元する。還元後上澄みをデカントし、
Clイオンが検出されなくなるまで蒸留水で洗浄し、6
0℃で真空乾燥しPd、Pbを2.5重量%担持した触
媒を得た。電磁誘導撹拌器付き300mlのステンレス
製オートクレーブに触媒20g、原料として、メタクロ
レイン濃度が20重量%のメタノールを150ml加
え、滞留時間3時間となる様にメタクロレイン濃度20
重量%のメタノールを連続的に供給し、温度80℃、圧
力4kg/cm2 、回転数1000rpm(撹拌チップ
速度:1.2m/s)、pH7となるようにNaOH/
メタノール溶液を、出口酸素濃度8%となる様に、空気
及び窒素を供給し、連続反応を行った。200時間反応
させ、反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した
ところメタクロレインの転化率は62.3%でメチルメ
タクリレート(MMA)の選択率は88.4%であっ
た。また、反応液中のPd、Siイオン濃度をICPに
より測定したところ、Pdは検出限界以下であり、Si
は1ppm以下であった。1000時間反応後触媒を抜
き出し、電子顕微鏡(SEM)で調べたところ触媒に割
れ、欠けはほとんど見られなかった。
【0046】
【比較例3】担体としてシリカゲル(富士シリシア社製
キャリアクト10)を用い、4重量%のマグネシウム
を含有するように酢酸マグネシウム水溶液を含浸後60
0℃で焼成した担体に代えた以外は実施例8と同様の操
作で連続反応を行った。200時間反応させ、ガスクロ
マトグラフィーで分析したところメタクロレインの転化
率は59.3%でメチルメタクリレート(MMA)の選
択率は87.5%であった。また、反応液中のPd、S
iイオン濃度をICPにより測定したところ、Pdは
0.3ppmであり、Siは10ppmであった。10
00時間反応後触媒を抜き出し、電子顕微鏡(SEM)
で調べたところ触媒の一部に割れ、欠けが見られた。
【0047】
【比較例4】担体としてγーアルミナ(水沢化学社製
ネオビード)を用い、4重量%のマグネシウムを含有す
るように酢酸マグネシウム水溶液を含浸後600℃で焼
成した担体に代えた以外は、実施例8と同様の操作で連
続反応を行った。200時間反応させた反応液中のP
d、Alイオン濃度をICPにより測定したところ、P
dは1ppmでありAlは20ppmであった。100
0時間反応後触媒を抜き出し、電子顕微鏡(SEM)で
調べたところ触媒の一部に割れ、欠け及び表面に荒れが
見られた。
【0048】
【比較例5】担体として実施例3の担体組成がアルミニ
ウムがAl2 3 換算で50重量%、マグネシウムがM
gO換算で5重量%とした以外は同様の操作で得た担体
を用い、実施例8と同様の操作で連続反応を行った。2
00時間反応させた反応液中のPd、Siイオン濃度を
ICPにより測定したところ、Pdは0.2ppmであ
り、Siは1ppm以下、Alは10ppmであった。
1000時間反応後触媒を抜き出し、電子顕微鏡(SE
M)で調べたところ触媒の一部に割れ、欠けが見られ
た。
【0049】
【実施例9】実施例1の担体100gを0.1Nのアン
モニア水を酸点の量の3〜4倍に相当する量でイオン交
換した。100mlの蒸留水を加え、60℃で撹拌しな
がら0.01モルの[Pd[NM3 4 ]Cl2 水溶液
をパラジウムが2.5重量%に相当する量をゆっくり滴
下する。その後ろ過し、Clイオンが検出されなくなる
まで蒸留水で洗浄し、110℃で乾燥する。水素気流中
で、300℃、4時間還元し、さらに、酢酸ビスマスを
ビスマスとして2.5重量%相当量を含浸担持した触媒
を得た。電磁誘導撹拌器付き300mlのステンレス製
オートクレーブに触媒20g、原料として、アクロレイ
ン濃度が20重量%のメタノールを150ml加え、滞
留時間3時間となる様にアクロレイン濃度20重量%の
メタノールを連続的に供給し、温度80℃、圧力4kg
/cm2 、回転数1000rpm(撹拌チップ速度:
1.2m/s)、pH7となるようにNaOH/メタノ
ール溶液を、出口酸素濃度8%となる様に、空気及び窒
素を供給し、連続反応を行った。反応200時間反応さ
せガスクロマトグラフィーで分析したところアクロレイ
ンの転化率は63.0%でアクリレートの選択率は8
8.3%であった。1000時間反応後触媒を抜き出
し、電子顕微鏡(SEM)で調べたところ触媒に割れ、
欠けはほとんど見られなかった。
【0050】
【実施例10】実施例9のをビスマスをタリウムに代え
た以外は同様の操作で触媒を得た。電磁誘導撹拌器付き
300mlのステンレス製オートクレーブに、触媒20
g、原料として、ベンズアルデヒド濃度が20重量%の
メタノールを150ml加え、滞留時間3時間となる様
にベンズアルデヒド濃度20重量%のメタノールを連続
的に供給し、温度80℃、圧力4kg/cm2 、回転数
1000rpm(撹拌チップ速度:1.2m/s)、p
H7となるようにNaOH/メタノール溶液を、出口酸
素濃度8%となる様に、空気及び窒素を供給し、連続反
応を行った。反応200時間反応させガスクロマトグラ
フィーで分析したところベンズアルデヒドの転化率は6
4.7%で安息香酸メチルの選択率は85.5%であっ
た。1000時間反応後触媒を抜き出し、電子顕微鏡
(SEM)で調べたところ触媒に割れ、欠けはほとんど
見られなかった。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明におけるシリカ系担体は、高い比
表面積を有しながら、機械的強度ならびに耐腐食性が改
善された触媒担体であり、該触媒担体を用いたパラジウ
ム系担持触媒は、優れた触媒性能を長期間安定に持続す
ることができる。さらに触媒寿命が大きく改善されたこ
とにより触媒交換の頻度が少なくなるため、操作性も良
く経済的効果が大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07C 69/54 C07C 69/54 Z (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/06 - 38/74 C07C 67/00 - 67/62 JSTPlus(JOIS) CAplus(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素の存在下でアルデヒドとアルコール
    を反応させるカルボン酸エステル製造に用いられるパラ
    ジウム含有担持触媒において、アルミニウムをAl2
    3 として5〜40重量%、マグネシウムをMgOとして
    3〜30重量%、珪素をSiO2 として50〜92重量
    %の範囲で含有するシリカ−アルミナ−マグネシアを担
    体として用いることを特徴とするカルボン酸エステル製
    造用触媒。
  2. 【請求項2】 酸素の存在下でアルデヒドとアルコール
    を反応させるカルボン酸エステル製造において請求項1
    記載のカルボン酸エステル製造用触媒を用いるカルボン
    酸エステルの製造法。
  3. 【請求項3】 アルデヒドがアクロレイン又はメタクロ
    レインで、アルコールがメタノールである請求項2記載
    のカルボン酸エステルの製造法。
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