JP3488350B2 - アルミナ質焼結体及びその製造方法 - Google Patents
アルミナ質焼結体及びその製造方法Info
- Publication number
- JP3488350B2 JP3488350B2 JP31807396A JP31807396A JP3488350B2 JP 3488350 B2 JP3488350 B2 JP 3488350B2 JP 31807396 A JP31807396 A JP 31807396A JP 31807396 A JP31807396 A JP 31807396A JP 3488350 B2 JP3488350 B2 JP 3488350B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alumina
- weight
- sintered body
- plate
- crystals
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Description
優れたアルミナ質焼結体に関するもので、特に耐摩部
品、エンジン部品等に使用される構造材料あるいは高温
構造材料としてのアルミナ質焼結体及びその製造方法に
関する。
材として、耐高温、耐環境性、強度ともに優れることで
注目されてきた。また、その強度をさらに向上し、特に
その破壊靭性をさらに改善するために、種々の複合化が
試みられている。例えばアルミナに対して、SiC、Z
rO2 、La含有系β−Al2 O3 を分散した複合材料
が知られており(特開昭61−122164号、特開昭
63−139044号、特開昭63−134551
号)、このような複合材料によれば、純粋のアルミナ質
焼結体よりも強度および靭性を向上することができる。
を有する板状のアルミナ結晶を存在させることにより焼
結体の破壊靭性が改善する試みが提案されている。この
ような組織形成は、アルミナに対して液相を生成するこ
とのできる酸化物系助剤を添加し焼成することによって
行われている(例えば、J.Amer.Cer.Soc.,73(1990)20
77-85 およびJ.Mat.Sci., 28(1993)5953-56 )。
アルミナ質焼結体の強化手法として、SiCを分散させ
た場合、高温酸化雰囲気で使用される場合は化学的安定
性に欠けるという問題があった。また、ZrO2 を分散
した焼結体は、900℃以上の温度では強度特性が急激
に低下するという問題があった。
たアルミナ質焼結体は、強度と靭性がともに高く、高温
での強度低下も小さいが、β−Al2 O3 相はヤング率
が低いために20体積%以上含まれると焼結体の硬度が
低下したり、耐摩耗性が低くなるなどの問題があった。
た焼結体では、通常、液相生成助剤として、総量1モル
%以下のSiO2 −MgO、CaO−SiO2 、Na2
O−SiO2 などの添加が検討されているが、板状アル
ミナの成長過程で他のアルミナ粒子が異常粒成長し、ま
た、液相生成助剤が焼結体中の粒界に残存するために、
高温での強度が著しく低下する欠点があった。
高温において優れた強度を有するとともに、高靱性を有
するアルミナ質焼結体及びその製造方法を提供すること
を目的とするものである。
改善するためにアスペクト比が高い板状アルミナ結晶を
得ると同時に、他のアルミナ粒子の粒成長やガラス相の
残存による室温、高温強度の低下を抑制するための方法
について検討を重ねた結果、アルミナに対して、TiO
2 、MgOおよびSiO2 を所定比率で配合すると、こ
れらの成分の相互作用によって焼結過程で液相生成促進
効果が発揮され、板状アルミナ結晶が生成されるととも
に、MgOの存在によりアルミナ結晶の粒成長を抑制で
きること、さらには、TiO2 およびMgOがイオンと
してアルミナ結晶中に固溶するため、ガラス相の残存量
を低減できる結果、高温強度の低下を防止できることを
見いだし、本発明に至った。
2O3を主体とし、TiをTiO2換算で0.1〜5重量
%、MgをMgO換算で0.05〜2重量%およびSi
をSiO2換算で0.01〜2重量%含み、該焼結体中
にアスペクト比5以上の板状Al2O3結晶を20体積%
以上含むとともに、前記TiおよびMgは、板状Al 2
O 3 結晶中に固溶し、前記板状Al2O3結晶の平均長径
が20μm以下であることを特徴とするものである。ま
た、本発明のアルミナ質焼結体の製造方法は、アルミナ
粉末に、Ti含有化合物をTiO 2 換算で0.1〜5重
量%、Mg含有化合物をMgO換算で0.05〜2重量
%、Si含有化合物をSiO 2 換算で0.01〜2重量
%添加した混合物を成形し、得られた成形体を焼結する
ことによってTi及びMgが固溶した板状Al 2 O 3 結晶
を生成せしめたことを特徴とするものである。
ルミナを主成分とするものであり、さらに他の成分とし
て、TiをTiO2 換算で0.1〜5重量%、MgをM
gO換算で0.05〜2重量%、さらにSiをSiO2
換算で0.01〜2重量%の割合で含有する。
6重量%以下、また、酸化雰囲気では同じ原子比率のT
iとMgとはTiO2 およびMgO換算の総量で5重量
%以下の割合でアルミナ結晶の格子中に固溶できる。こ
のような固溶度が高いイオンはアルミナ結晶の(00
1)方向の成長を抑制する効果が大きく、結晶の高異方
性成長を促進することができる。したがって、Tiの単
独添加あるいはTiとMgの同時添加は板状アルミナ結
晶の成長促進に効果がある。しかし、Ti単独添加では
結晶粒径が粗大に成長する傾向にあるため、Mgと同時
に添加することによって粒成長抑制効果が発揮される。
成させると同時に、アルミナ結晶中に固溶するために、
従来の添加剤のように結晶粒界にガラス相として残存す
ることがないために、焼結体の高温強度の劣化を防止す
ることができる。
量と適当な粘度の液相の存在が不可欠である。この条件
を満足させるために、上記のTi成分およびMg成分の
配合に加え、適量のSiO2 の配合が有効である。ま
た、液相を形成するのに必要な量よりもやや多めにSi
O2 を配合すると、アルミナとの反応によって少量のム
ライトが生成し、これによりアルミナの粒成長を効果的
に抑制できる。
も少ないと、板状アルミナ結晶の成長促進効果および固
溶による粒成長抑制効果が小さい。逆にTi量が固溶限
を超え5重量%よりも多いと、チタン酸アルミニウム
(Al2 TiO5 )が多く生成し、焼結体の強度を低下
させてしまう。Ti量は、特に0.5〜3重量%が望ま
しい。
少ないと、粒成長抑制効果が小さく、均一サイズの板状
結晶組織が得られず、2重量%を超えると逆に板状結晶
の生成を阻害する。Mg量はMgO換算で特に0.2〜
1重量%が好ましい。
少ないと、液相生成効果が十分でなく、板状アルミナ結
晶の生成が期待できず、2重量%を越えると、ムライト
量の生成が多くなりすぎて板状アルミナ結晶の成長が阻
害されてしまう。Si量はSiO2 換算で特に0.03
〜1重量%であることが望ましい。
制御するのに伴い、アスペクト比5以上の板状アルミナ
結晶を全量中20体積%以上、特に30〜90体積%以
上含み、このような板状アルミナ結晶を所定量含むこと
により、クラック進展の偏向により焼結体の靱性を高め
ることができる。また、この板状アルミナ結晶は、その
長径の平均が20μm以下であることも重要である。こ
の平均長径が20μmを越えると、この板状アルミナ結
晶が破壊源となり、焼結体の強度を低下せしめるためで
ある。特に、長径が30μmを越える結晶は存在しない
か、存在しても2体積%以下であることが望ましい。ま
た、上記板状アルミナ結晶以外のアルミナ結晶粒子の平
均長径は3μm以下の微細な粒子として存在することが
高強度化を図る上で望ましい。
ナ結晶相以外に、添加物とAl2 O3 との反応によっ
て、Al2 TiO5 、MgAl2 O4 、Al6 Si2 O
13等の結晶が析出する場合もあるが、板状アルミナ結晶
を前述した比率で含有するものであれば、なんら差し支
えない。
は、先ず、アルミナ粉末に、Ti含有化合物、Mg含有
化合物、およびSi含有化合物を添加する。化合物とし
ては、酸化物粉末、金属粉末、有機塩類、無機塩類およ
びその溶液のいずれでもよい。これらの添加量は、アル
ミナ粉末中に含まれる不純物も含めた総量で、TiをT
iO2 換算で0.1〜5重量%、MgをMgO換算で
0.05〜2重量%、SiをSiO2 換算で0.01〜
2重量%含むように調製される。
を、所望の成形手段、例えば、金型プレス、冷間静水圧
プレス、射出成形、押出し成形等により任意の形状に成
形する。
ば、ホットプレス法、常圧焼成法、ガス加圧焼成法、マ
イクロ波加熱焼成法、さらにこれらの焼成後に熱間静水
圧処理(HIP)処理、およびガラスシール後(HI
P)処理する等、種々の焼結手法によって焼結して、対
理論密度95%以上の緻密体を得る。
囲気で焼成すると、主にTiをアルミナ結晶中に固溶さ
せることができるが、大気などの酸化性雰囲気で焼成す
ると、TiおよびMgは、ほぼ同原子比でアルミナ結晶
中に固溶させることができる。また、焼成温度は、原料
と添加物の量により後述する実施例のように適宜調整
し、特に1350〜1650℃の範囲が好適である。
径0.7μmの酸化チタン(TiO2 )粉末、平均粒径
が0.6μmの水酸化マグネシウム(Mg(O
H)2 )、さらにSiO2 源としてテトラエチルシリケ
ートを用い、Ti、MgおよびSi量の各総量が表1に
しめす組成になるように秤量混合して混合粉末を得た。
そして、この混合粉末を1t/cm2 の圧力で金型成形
後、さらに3t/cm2 の圧力で静水圧処理を加えて成
形体を作製した後、1500℃、2時間で、大気中また
は水素雰囲気中で焼成を行った。
%、SiO2 を0.03重量%の割合で添加したもの、
ZrO2 を15重量%の割合で添加したものをそれぞれ
表1に示す条件で焼成した。
を行い結晶相の同定を行い、Al2O3 以外の結晶相に
ついて表1に示した。また、焼結体断面を鏡面加工し、
エッチング後の電子顕微鏡写真に対して画像解析を行
い、観察されるアルミナ結晶のうち、アスペクト比5以
上のアルミナ結晶の面積比率を求め、体積比率とし、ま
た、観察された柱状アルミナ結晶の平均長径を求めた。
1に基づく室温および1200℃での4点曲げ強度を測
定した。また、焼結体鏡面のビッカース硬度を測定し、
圧痕法により破壊靭性を算出した。これらの特性測定の
結果も表1に示した。
は、室温曲げ強度は500MPa以上、1200℃強度
360MPa以上、破壊靱性4.0MPa・m1/2 以
上、ビッカース硬度16GPa以上の優れた特性を示し
た。また、本発明の焼結体に対して、EPMA分析を行
った結果、いずれもアルミナ結晶中にTiとMgが検出
され、アルミナ結晶中にTi、Mgが固溶していること
が確認された。
りも少ない試料No.8では、粒成長がみられ柱状結晶の
平均長径が大きく、強度、靱性が低く、Mg量が2重量
%を越える試料No.12でも板状結晶の割合が少なく靱
性の低いものであった。また、Ti量が少ない試料No.
1ではアルミナ結晶中へのTiおよびMgの固溶がほと
んど認められず、板状結晶の生成も少なく、機械的特性
が低いものであった。さらに、Ti量が5重量%よりも
多い試料No.7は、多量のチタン酸アルミニウムが生成
していることによって低強度と低硬度であり、さらに、
SiO2 量が0.01重量%よりも少ない試料No.1
3、また、SiO2 量が多い試料No.19では、いずれ
も板状結晶の生成が少なく、靱性が低いものであった。
また、La2 O3 やジルコニアを配合した試料No.2
0、21は、いずれも硬度が低く、特に試料No.21
は、高温強度が低いものであった。
に対して、Ti、MgおよびSiを配合することによっ
て、高アスペクト比の板状アルミナ結晶を生成させると
ともに、TiおよびMgをアルミナ結晶中に固溶させる
ことにより、添加物によるガラスの残存量を低減するこ
とによって、室温から高温まで高い強度と、靱性および
硬度を有する焼結体を得ることができる。これにより、
アルミナ質焼結体の室温から高温までの幅広い条件での
使用を可能とし、その利用分野を拡大することができ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】Al2O3を主体とし、TiをTiO2換算
で0.1〜5重量%、MgをMgO換算で0.05〜2
重量%、SiをSiO2換算で0.01〜2重量%含む
焼結体であって、該焼結体中にアスペクト比5以上の板
状Al2O3結晶を20体積%以上含むとともに、該板状
Al 2 O 3 結晶中に前記TiおよびMgが固溶し、前記板
状Al2O3結晶の平均長径が20μm以下であることを
特徴とするアルミナ質焼結体。 - 【請求項2】アルミナ粉末に、Ti含有化合物をTiO
2 換算で0.1〜5重量%、Mg含有化合物をMgO換
算で0.05〜2重量%、Si含有化合物をSiO 2 換
算で0.01〜2重量%添加した混合物を成形し、得ら
れた成形体を焼結することによってTi及びMgが固溶
した板状Al 2 O 3 結晶を生成せしめたことを特徴とする
アルミナ質焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31807396A JP3488350B2 (ja) | 1996-11-28 | 1996-11-28 | アルミナ質焼結体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31807396A JP3488350B2 (ja) | 1996-11-28 | 1996-11-28 | アルミナ質焼結体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10158055A JPH10158055A (ja) | 1998-06-16 |
JP3488350B2 true JP3488350B2 (ja) | 2004-01-19 |
Family
ID=18095180
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31807396A Expired - Fee Related JP3488350B2 (ja) | 1996-11-28 | 1996-11-28 | アルミナ質焼結体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3488350B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4883885B2 (ja) * | 2004-01-28 | 2012-02-22 | 京セラ株式会社 | 生体部材及びその製造方法並びに人工関節 |
JP5698568B2 (ja) * | 2011-03-09 | 2015-04-08 | 太平洋セメント株式会社 | 酸化アルミニウム焼結体およびその製造方法 |
JP5930380B2 (ja) * | 2012-02-29 | 2016-06-08 | 日本特殊陶業株式会社 | アルミナ質焼結体及びその製造方法 |
-
1996
- 1996-11-28 JP JP31807396A patent/JP3488350B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10158055A (ja) | 1998-06-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1510509B1 (en) | Alumina/zirconia ceramics and method of producing the same | |
JP2829229B2 (ja) | 窒化ケイ素系セラミックス焼結体 | |
JP2632218B2 (ja) | セラミック焼結体の製造方法 | |
JP2005075659A (ja) | セラミックス焼結体とその製法および生体用材料 | |
JP3488350B2 (ja) | アルミナ質焼結体及びその製造方法 | |
JP3777031B2 (ja) | 高耐摩耗性アルミナ質焼結体とその製造方法 | |
JP3559413B2 (ja) | アルミナ質焼結体およびその製造方法 | |
JP3454993B2 (ja) | 窒化珪素質焼結体およびその製造方法 | |
JP3426823B2 (ja) | 窒化珪素質焼結体およびその製造方法 | |
JP3145597B2 (ja) | アルミナ質焼結体およびその製造方法 | |
JP3121996B2 (ja) | アルミナ質焼結体 | |
JP3311915B2 (ja) | アルミナ質焼結体 | |
JP2980342B2 (ja) | セラミックス焼結体 | |
JP4601304B2 (ja) | アルミナ・ジルコニア系セラミックス及びその製法 | |
JP3124865B2 (ja) | 窒化珪素質焼結体及びその製造方法 | |
JPH08208317A (ja) | アルミナ質焼結体およびその製造方法 | |
JP3340025B2 (ja) | アルミナ質焼結体およびその製造方法 | |
JP3152853B2 (ja) | アルミナ質焼結体およびその製法 | |
JP4601303B2 (ja) | アルミナ・ジルコニア系セラミックス及びその製法 | |
JP3124867B2 (ja) | 窒化珪素質焼結体及びその製造方法 | |
JPH0526749B2 (ja) | ||
JP3618036B2 (ja) | アルミナ質焼結体の製法 | |
JP2002173365A (ja) | リチウムアルミノシリケート系セラミックス | |
JP3965466B2 (ja) | アルミナ質焼結体とその製造方法 | |
JP3662628B2 (ja) | 窒化珪素質焼結体およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071031 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081031 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091031 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101031 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101031 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121031 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131031 Year of fee payment: 10 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |