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JP3480561B2 - 圧電/電歪素子 - Google Patents

圧電/電歪素子

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Publication number
JP3480561B2
JP3480561B2 JP08496099A JP8496099A JP3480561B2 JP 3480561 B2 JP3480561 B2 JP 3480561B2 JP 08496099 A JP08496099 A JP 08496099A JP 8496099 A JP8496099 A JP 8496099A JP 3480561 B2 JP3480561 B2 JP 3480561B2
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JP
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piezoelectric
electrostrictive
ceramic substrate
crystal
zirconium oxide
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JP08496099A
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幸久 武内
浩二 木村
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NGK Insulators Ltd
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NGK Insulators Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、各種トランスデ
ューサー、各種アクチュエータ等として使用されるユニ
モルフ並びにバイモルフ型の圧電/電歪素子に関する。
【0002】
【従来の技術】 圧電/電歪素子は、電気エネルギ一を
機械エネルギーに変換する、即ち機械的な変位や力や振
動に変換したり、あるいはその逆の変換を行なう各種ト
ランスデューサー、更には、各種アクチュエータ、フィ
ルタ等の周波数領域機能部品、ディスプレイ等の各種表
示デバイス、スピーカー等の発音体、マイクロホン、超
音波センサ等のセンサ等広範な分野において使用されて
いる。
【0003】 例えば、圧電/電歪素子は、図1(a)
に示すように、振動板として作用するセラミック基板1
と、その上に設けられた、第1の電極膜2、圧電/電歪
膜3及び第2の電極膜4から成る膜型の圧電/電歪作動
部5から構成されるもの(特開平3−128681号公
報)の他、図1(b)に示すように、セラミック基板が
キャビティを有し、そのキャビティの底部が薄肉厚部と
された構造であり、圧電/電歪作動部をその薄肉部外表
面上に一体化したものが開示されている(特開平5−4
9270号公報)。
【0004】 そして、このような圧電/電歪素子7を
構成するセラミック基板としては、一般に酸化イットリ
ウムにて部分安定化した酸化ジルコニウムを用いたもの
が知られている(特開平5−29675号公報、特開平
5−97437号公報、特開平5−270912号公
報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上述
の圧電/電歪素子では、その製造過程において、セラミ
ック基板1に圧電/電歪作動部5を形成して焼成した場
合、特に圧電/電歪膜3を第1の電極膜2並びにセラミ
ック基板1と一体化するための熱処理(焼成)を経るこ
とによって、焼成条件によっては、図2(a)、(b)
に示すようにある特定の部位、即ち、第1の電極膜2の
辺縁部近傍のセラミック基板部位にクラックの発生が認
められることがあり、生産歩留まりを低下させるという
問題があった。
【0006】 クラックが生じた部分の近傍を電子線マ
イクロアナライザ(EPMA)により観察すると、酸化
ジルコニウムの安定化剤である酸化イットリウムの量が
他の部位と比較して少ないことがわかった。酸化イット
リウムが減少した原因については定かではないが、前記
部位は上下電極間での短絡を防止する目的で、セラミッ
ク基板1に圧電/電歪膜3が第1の電極膜2に対して張
り出し、直接セラミック基板1と接触する部位であるた
め、圧電/電歪膜3の焼成一体化時に酸化イットリウム
が選択的に圧電/電歪膜3へ拡散した可能性が考えられ
る。又、前記セラミック基板1の第1の電極膜2の辺縁
部近傍は、素子構造的に、熱処理によって圧電/電歪膜
3と第1の電極膜5並びにセラミック基板1と一体化す
る上で、大きな応力がかかりやすい部位であり、特に図
1(b)若しくは図2(b)に示すようなキャビティ構
造を有する場合には、それが特に大きくなるため、その
熱処理時の応力が前記酸化イットリウムの減少を引き起
こしている可能性も考えられるが明らかではない。しか
しながら、どのような原因にしろ、この酸化イットリウ
ムの減少により酸化ジルコニウムの結晶変態が誘起さ
れ、クラックにつながった可能性が高い。
【0007】 クラックの発生を防止する手段として、
結晶変態を起こさない完全安定化した酸化ジルコニウム
にてセラミック基板1を製造することも考えられるが、
完全安定化酸化ジルコニウムは、部分安定化酸化ジルコ
ニウムに比べ、機械的強度に劣るため、例えば、用途に
従って、アクチュエータの変位特性やセンサとしての感
度向上を図る目的で、セラミック基板1の厚みを小さく
しようとしても、場合によっては、効果的かつ十分に薄
肉化できないという問題があった。
【0008】 このように、部分安定化酸化ジルコニウ
ム、特に、酸化イットリウム2〜4モル%で部分安定化
した酸化ジルコニウムは、振動板特性に特に優れている
反面、上述したように、圧電/電歪膜3の焼成中、何ら
かの要因で安定化剤である酸化イットリウムの量が減少
したりすると、結晶変態、さらにはクラックにつながり
やすいという問題を内在するものであった。そして、こ
のような問題は接着剤等を使用することなく、振動板で
あるセラミック基板と膜型の圧電/電歪作動部とを熱処
理によって一体化する圧電/電歪膜型素子特有のもので
ある。
【0009】 本発明は、このような状況に鑑みてなさ
れたものであり、その目的とするところは、セラミック
基板(振動板)としての強度を確保しつつ、かつ圧電/
電歪膜の焼成過程における内的要因によるクラックの発
生を防止した高機能、高特性な圧電/電歪素子を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明によれ
ば、酸化ジルコニウムを主成分とするセラミック基板上
に、第1の電極膜、圧電/電歪膜及び第2の電極膜から
成る、少なくとも一つの膜状の圧電/電歪作動部を有す
る圧電/電歪膜型素子であって、上記セラミック基板は
基体層と表面層とから成り、上記基体層の酸化ジルコニ
ウムの結晶相は、正方晶又は正方晶と立方晶、正方晶と
単斜晶若しくは正方晶と立方晶と単斜晶の混晶であり、
上記表面層の酸化ジルコニウムの結晶相は主として立方
晶から成り、上記圧電/電歪作動部を上記表面層上に設
けた圧電/電歪素子が提供される。
【0011】 本発明の圧電/電歪素子において、上記
表面層における酸化ジルコニウムが6〜20モル%の酸
化イットリウムにて安定化されていることが好ましい。
又、上記基体層における酸化ジルコニウムが2〜4モル
%の酸化イットリウムにて部分安定化されていることが
好ましい。さらに、基体層における酸化ジルコニウムの
結晶粒子径が0.1〜1.5μmであることが好まし
い。
【0012】 又、本発明の圧電/電歪素子は、上記セ
ラミック基板として、圧電/電歪作動部を形成する部位
のみを薄肉化したキャビティ構造を有したものとするこ
とが好ましい。後述するように、本願においては、セラ
ミック基板の厚みを好ましくは50μm以下とするの
で、振動板以外、即ち圧電/電歪作動部を形成しない部
分は、厚くでき、素子基板として扱いが有利になるから
である。又、隣接して素子を配置する場合にも、素子間
に厚肉部を配することができ、互いに特性上の干渉を防
止する上でも有利である。
【0013】
【発明の実施の形態】 本発明の圧電/電歪素子におい
ては、図3に示すように、酸化ジルコニウムを主成分と
するセラミック基板1が基体層10と表面層9とから構
成され、圧電/電歪作動部5が形成される表面層9が主
として立方晶である酸化ジルコニウムで構成される。立
方晶は結晶が安定で、圧電/電歪作動部5の焼成雰囲気
や焼成中に生じる応力や拡散等により酸化イットリウム
が減少しても結晶変態を起こしにくいため、第1の電極
膜2の辺縁部近傍のセラミック基板1にクラックが発生
するのを効果的に防止することができる。
【0014】 一方、本発明の圧電/電歪素子7におい
ては、セラミック基板1の基体層10が正方晶又は正方
晶と立方晶、正方晶と単斜晶若しくは正方晶と立方晶と
単斜晶の混晶である酸化ジルコニウムを主成分とする。
正方晶又は正方晶と立方晶、正方晶と単斜晶若しくは正
方晶と立方晶と単斜晶の混晶は、靭性に富み、強度が優
れるため、セラミック基板1に機械的強度を付与するこ
とができる。従って、機能性と生産性を兼ね備えた圧電
/電歪素子の実現が可能となる。尚、本願でいう主成分
とは重量比で85%以上を意味する。
【0015】 一般に、結晶系に含まれる各種結晶相の
同定、割合の算出は、X線回折法、ラマン分光法等によ
り行われるが、本願においてはX線回折法を用い、各種
結晶相の代表的回折線の強度比により、その存在割合を
求めた。
【0016】 立方晶の存在割合は、各結晶相に対する
立方晶の存在割合で定義され、それぞれのメインの回折
線の強度比で立方晶の含有率を求めた。そして、「主と
して立方晶」とは、次の関係を満たすことを意味するこ
ととした。
【0017】
【数1】
【0018】 又、正方晶と立方晶における上記メイン
の回折線が接近していて分離が困難な場合は、より高次
の回折線をもって、メインの回折線の強度を代用しても
よい。但し、その場合は、あらかじめJCPDSカード
等で分かっているメインの回折線強度と高次の回折線強
度の値を用い、求められた高次の回折線強度をメインの
回折線強度により基準化する必要がある。例えば、立方
晶(200)と正方晶(002)+正方晶(200)の
回折線を用いて、存在割合を求める場合、JCPDSカ
ードにより、それぞれの回折線強度はメインの(11
1)回折線強度100に対し、25、43((002)
と(200)の和)であるため、
【0019】
【数2】
【0020】 を上記条件式の代用とする。尚、数式中
の各記号は以下の意味を有する。
【0021】
【数3】
【0022】 本発明の圧電/電歪素子7において、セ
ラミック基板1の総厚み(基体層+表面層)は、圧電/
電歪素子の高速応答性を維持し、変位量、発生力又は感
度の観点より、50μm以下であることが好ましく、3
0μm以下であることがより好ましく、15μm以下で
あることがさらに好ましい。一方、圧電/電歪素子に十
分な強度を付与し、クラックの発生を効果的に抑制する
観点より、基体層10と表面層9の厚みの比は6:4〜
8:2であることが好ましい。
【0023】 表面層9が主として立方晶から成る構造
とするためには、表面層に6〜20モル%、より好まし
くは7〜10モル%の酸化イットリウムを添加して安定
化させることが望ましい。
【0024】 一方、基体層10が、正方晶又は正方晶
と立方晶、正方晶と単斜晶若しくは正方晶と立方晶と単
斜晶の混晶である酸化ジルコニウムとするためには、基
体層10に2〜4モル%、好ましくは2.5〜3.5モ
ル%の酸化イットリウムを添加して安定化させることが
望ましい。
【0025】 本発明の圧電/電歪素子7において、基
体層10における酸化ジルコニウムの結晶粒子径は0.
1〜1.5μmであることが好ましく、1.0μm以下
であることがより好ましい。結晶粒子径を上記の範囲と
することにより、厚みが薄くても、大きな強度を得るこ
とができ、又、所定の結晶相を安定に形成することが可
能となるからである。
【0026】 セラミック基板1には、酸化アルミニウ
ムや酸化チタン、さらには粘度等の焼結助剤を添加して
もよいが、焼結後の基体層10や表面層9に酸化珪素
(SiO、SiO2)が過剰に存在すると、圧電/電歪
作動部との熱処理時に、圧電/電歪作動部を構成する材
料との反応が大きくなり、圧電/電歪作動部の組成の制
御が困難となるため、酸化珪素の含有量は1重量%未満
とすることが必要である。図4は、比較的大きなセラミ
ック基板1上に複数の圧電/電歪素子(2,3,4)を
形成した例を示している。このセラミック基板として、
圧電/電歪作動部を形成する部位のみを薄肉とした、キ
ャビティ構造を有したものとすることも勿論好ましい。
【0027】 本発明の圧電/電歪素子は、以下のよう
に製造される。セラミック基板1は、各々所定の材料か
らなる基体層用グリーンシート及び表面層用グリーンシ
ートを、ドクターブレード法又はリバースロールコータ
法により別々に作成した後、それらを積層・熱圧着して
1200〜1600℃の温度で焼成することにより製造
する。又は、基体層用グリーンシートに、表面層用材料
のスラリー若しくはペーストを用いてスクリーン印刷、
スプレー、コーティング等の方法により表面層を形成
し、(表面層は圧電/電歪作動部を形成する部位にのみ
形成してもよい。)同様に焼成することにより製造して
もよいし、逆に表面層用グリーンシートに基体層をスク
リーン印刷、スプレー、コーティング等の方法により形
成してもよい。
【0028】 又、セラミック基板をキャビティを有し
た構造とする場合は、金型や超音波加工等の機械加工法
を用いてキャビティに当たる空孔部を設けたグリーンシ
ートを、前記振動板用グリーンシート(基体用並びに表
面層用)に加えて準備し、同様にそれらを積層・熱圧着
して焼成する。尚、キャビティの振動板とは反対側の開
口部を閉塞するような部材を設けたキャビティ基板構造
としてもよい。
【0029】 セラミック基板1への圧電/電歪作動部
5の形成は、スクリーン印刷、スプレー、ディッピン
グ、塗布等の厚膜形成手法や、イオンビーム、スパッタ
リング、真空蒸着、イオンプレーティング、CVD、め
っき等の薄膜形成手法を用いて行われる。特に、圧電/
電歪膜の形成には、スクリーン印刷、スプレー、ディッ
ピング、塗布等の厚膜形成手法が好適に採用される。こ
れらの厚膜形成手法によれば、平均粒子径が0.01μ
m〜5μm、好ましくは0.05μm〜3μmの圧電/
電歪材科のセラミック粒子を主成分とするぺ一ストやス
ラリーを用いて、セラミック基板上に膜を形成すること
ができ、良好な素子特性が得られるからである。
【0030】 また、前記膜を所望の形状とするには、
スクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法等を用いてパ
ターン形成する手法のほか、エキシマ、YAG等のレー
ザー加工法やスライシング、超音波加工等の機械加工法
を用い、不必要な部分を除去して、パターン形成する等
の手法が採用される。そして、このように形成された膜
とセラミック基板とを一体化するための熱処理温度とし
ては、一般に900〜1400℃、好ましくは1000
〜1400℃の範囲が有利に選択される。
【0031】 圧電/電歪作動部5を構成する第1の電
極膜2の材料としては、前記熱処理温度並びに焼成温度
程度の高温の酸化雰囲気に耐えられ得る導体であれば、
特に制限されるものではなく、例えば金属単体であって
も、合金であってもよく、また絶縁性セラミックスと金
属や合金との混合物であっても、更には導電性セラミッ
クスであってもよい。特に、その中でも白金、パラジウ
ム、ロジウム等の高融点貴金属類又は銀−パラジウム、
銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とする電
極材料、白金とセラミック基板材科とのサーメット材
科、白金と圧電材料とのサーメット材科、白金と基板材
料と圧電材料とのサーメット材料が好ましく、さらにこ
の中では白金を主成分とする材料がより好ましい。
【0032】 また、電極に添加する材料として酸化珪
素等のガラスを用いると、圧電/電歪層との熱処理中に
反応が生じ易く、素子特性を低下させる原因となり易い
ため、その使用は避けることが望ましい。なお、電極中
に添加せしめる基板材料としては5〜30体積%程度、
圧電材料としては5〜20体積%程度であることが好ま
しい。
【0033】 一方、第2の電極膜4の材料に関して
は、特に制限されるものではなく、第1の電極膜2に用
いたのと同様の材料のほか、金、クロム、銅等のスパッ
タ膜、あるいは金、銀のレジネート印刷膜等を用いても
よい。
【0034】 圧電/電歪作動部5を構成する圧電/電
歪膜3の材料としては、圧電若しくは電歪効果等の電界
誘起歪みを示す材料であれば、何れの材料であっても用
いることができる。例えば、結晶質の材料であっても、
非晶質の材料であってもよく、また半導体材料であって
も、誘電体セラミック材料や強誘電体セラミック材料、
反強誘電体セラミック材料であってもよく、さらには分
極処理が必要な材料であっても、又、それが不必要な材
料であってもよい。
【0035】 本発明に用いられる圧電/電歪材料とし
ては、具体的には、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT系)
を主成分とする材料、チタン酸鉛を主成分とする材料、
ジルコン酸鉛を主成分とする材料、マグネシウムニオブ
酸鉛(PMN系)を主成分とする材料、ニッケルニオブ
酸鉛(PNN系)を主成分とする材料、マグネシウムタ
ングステン酸鉛を主成分とする材料、マンガンニオブ酸
鉛を主成分とする材料、アンチモン錫酸鉛を主成分とす
る材料、亜鉛ニオブ酸鉛を主成分とずる材料、マグネシ
ウムタンタル酸鉛を主成分とする材料、ニッケルタンタ
ル酸鉛を主成分とする材料、さらには、これらの複合材
料等を挙げることができる。
【0036】 尚、上述した材料に、ランタン、バリウ
ム、ニオブ、亜鉛、セリウム、カドミウム、クロム、コ
バルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、タ
ングステン、ニッケル、マンガン、リチウム、ストロン
チウム、マグネシウム、カルシウム、ビスマス、スズ等
の酸化物やそれらの他の化合物を添加物として含有させ
てもよく、例えばPZT系を主成分とする材料に、ラン
タンの酸化物等を加えてPLZT系とした材料も使用可
能である。尚、酸化珪素等のガラスの添加は、圧電/電
歪材料との反応を生じさせやすく、所定の材料組成の維
持が困難となるため、避けた方が良い。
【0037】 そして、これらの圧電/電歪材料のなか
でも、マグネシウムニオブ酸鉛、ジルコン酸鉛及びチタ
ン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料、ニッケルニ
オブ酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ジルコン酸鉛及び
チタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料、ニッケ
ルタンタル酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ジルコン酸
鉛及びチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料又
はマグネシウムタンタル酸鉛、マグネシウムニオブ酸
鉛、ジルコン酸鉛及びチタン酸鉛とからなる成分を主成
分とする材料を用いることが好ましい。
【0038】 さらに、その中でも、特に、マグネシウ
ムニオブ酸鉛、ジルコン酸鉛及びチタン酸鉛とからなる
成分を主成分とする材料が好適にに用いられる。なぜな
ら、上述の材料は、高い圧電定数を有するだけでなく、
熱処理中における基板材料との反応が特に少ないからで
ある。
【0039】 尚、多成分系圧電/電歪材料の場合、成
分の組成によって圧電/電歪特性が変化するが、本発明
の圧電/電歪素子で好適に採用されるマグネジウムニオ
ブ酸鉛−ジルコン酸鉛−チタン酸鉛の3成分系材料で
は、擬立方晶−正方晶−菱面体晶の相境界付近の組成が
好ましく、特にマグネシウムニオブ酸鉛:15モル%〜
50モル%、ジルコン酸鉛:10モル%〜45モル%、
チタン酸鉛:30モル%〜45モル%の組成が、高い圧
電定数と電気機械結合係数を有することから、有利に採
用される。
【0040】 本発明の圧電/電歪素子は、電気エネル
ギ一を機械エネルギーに変換する、即ち機械的な変位や
力や振動に変換したり、あるいはその逆の変換を行なう
各種トランスデューサー、さらには、各種アクチュエー
タ、フィルタ等の周波数領域機能部品、ディスプレイ等
の各種表示デバイス、トランス、マイクロホン、スピー
カー等の発音体、通信用や動力用の振動子、共振子又は
発信子、ディスクリミネーター、超音波センサ、加速度
センサ、角速度センサ、衝撃センサ、質量センサ等の各
種センサ、ジャイロ、さらには内野健二著(日本工業技
術センター編)「圧電/電歪アクチュエータ 基礎から
応用まで」(森北出版)に記載のサーボ変位素子、パル
ス駆動モータ、超音波モータ、圧電ファン、圧電リレー
等に用いられるユニモルフ型素子並びにバイモルフ型素
子に適用され得るものであり、好適には各種アクチュエ
ータ、振動子、発音体、表示デバイス等に有利に採用さ
れる。
【0041】 又、本発明の圧電/電歪素子は、圧電/
電歪特性の他、誘電性をも有しているところから、膜状
のコンデンサ素子としても利用できる。
【0042】 尚、以上は、セラミック基板の片側に圧
電/電歪作動部を構成するユニモルフ構造をベースとし
て説明してきたが、当然のことながらセラミック基板の
両側に圧電/電歪作動部を構成するバイモルフ構造にも
適用できるものである。この場合、表面層は基体層に対
して両側に形成されることになる。
【0043】
【実施例】 本発明を実施例を用いてさらに詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではな
い。
【0044】(実施例1) セラミック基板が基体層と
表面層から成り、キャビティーを有する図3(b)に示
すような圧電/電歪素子7を製造した。基体層10は酸
化イットリウムを3モル%添加した正方晶である酸化ジ
ルコニウムから構成し、表面層9は酸化イットリウムを
7モル%添加した酸化ジルコニウムで構成した。条件式
の数値は0.90であった。圧電/電歪作動部5は表面
層9上に形成した。
【0045】 まず、基体層用グリーンシートの表面に
表面層用ペースト状原料を用いて表面層をスクリーン印
刷にて形成した。基体層用グリーンシート及び表面層の
厚みは、焼成した後に、それぞれ6μm及び2μmとな
る厚さとした。
【0046】 次に、支持部材用グリーンシートに0.
2mm×4mmのキャビティを形成すべく貫通孔を設け
た後、基体層用グリーンシートの基体層側と積層・熱圧
着し、1500℃で焼成した。
【0047】 次に、上記基板に圧電/電歪作動部5を
形成した。第1の電極膜2、圧電/電歪膜3及び第2の
電極膜4の材質は、それぞれ白金、ジルコン酸鉛とチタ
ン酸鉛とマグネシウムニオブ酸鉛からなる成分を主成分
とする材料及び金とした。又、圧電/電歪作動部5の形
成はスクリーン印刷にて行い、第1の電極膜2について
は1300℃、圧電/電歪膜3については1250℃、
第2の電極膜4については600℃で焼成を行った。第
1の電極膜2、圧電/電歪膜3及び第2の電極膜4の厚
さは、それぞれ3μm、14μm及び0.5μmとし
た。
【0048】 上記の圧電/電歪素子7を1000個製
造し、セラミック基板1にクラックが発生しているか否
かを、クラック検査用浸透液を用いて評価した。結果を
表1に示す。
【0049】(実施例2) 表面層9に酸化イットリウ
ムを10モル%添加した酸化ジルコニウムを使用した。
条件式の数値が1である点を除いては実施例1と同様な
圧電/電歪素子を1000個製造し、セラミック基板1
にクラックが発生しているか否かを実施例1と同様に評
価した。結果を表1に示す。
【0050】(実施例3) 表面層9に酸化イットリウ
ムを6モル%添加した酸化ジルコニウムを使用した。条
件式の数値が0.80である点を除いては、実施例1と
同様な圧電/電歪素子を1000個製造し、セラミック
基板1にクラックが発生しているか否かを実施例1と同
様に評価した。結果を表1に示す。
【0051】(比較例1) セラミック基板が単一の層
から成り、キャビティーを有する図1(b)に示すよう
な圧電/電歪素子7を製造した。セラミック基板は酸化
イットリウムを3モル%添加した正方晶である酸化ジル
コニウムから構成した。圧電/電歪作動部5は、支持部
材6が接合している側とは反対側のセラミック基板1の
面上に形成した。
【0052】 支持部材用グリーンシートに0.2mm
×4mmのキャビティを形成すべく貫通孔を設けた後、
セラミック基板用グリーンシートと積層・熱圧着し、1
500℃で焼成した。セラミック基板の厚みは焼成後8
μmである。
【0053】 次に、上記セラミック基板に圧電/電歪
作動部5を形成した。圧電/電歪作動部5の材質及び各
層の厚さは実施例1と同様とした。
【0054】 上記の圧電/電歪素子を1000個製造
し、セラミック基板1にクラックが発生しているか否か
を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】 表1より、実施例の圧電/電歪素子で
は、クラックの発生率が、比較例1の圧電/電歪素子に
比べて、効果的に低いことがわかる。
【0057】
【発明の効果】 本発明の圧電/電歪素子は、セラミッ
ク基板が基体層と表面層とから構成され、セラミック基
板の圧電/電歪作動部が形成される側である表面層は主
として立方晶である酸化ジルコニウムを主成分とするた
め、第1の電極膜の辺縁部近傍のセラミック基板にクラ
ックが発生しにくい。又、セラミック基板の基体層が、
正方晶又は正方晶と立方晶、正方晶と単斜晶若しくは正
方晶と立方晶と単斜晶の混晶である酸化ジルコニウムを
主成分とするため、薄肉でも高い機械的強度を保持する
ことができ、従って、膜型の圧電/電歪素子用基板(振
動板)部材としての機能を十分に発揮させることがで
き、高機能な圧電/電歪素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の圧電/電歪素子の(a)一例及び
(b)他の例を示す斜視図である。
【図2】 クラック発生部位を示す(a)図1(a)の
A−A線断面図及び(b)図1(b)のB−B線断面図
である。
【図3】 本発明の圧電/電歪素子の(a)一例及び
(b)他の例を示す模式断面図である。
【図4】 本発明の圧電/電歪素子の更に他の例を示す
斜視図である。
【符号の説明】
1…セラミック基板、2…第1の電極膜、3…圧電/電
歪膜、4…第2の電極膜、5…圧電/電歪作動部、6…
支持部材、7…圧電/電歪素子、8…クラック、9…表
面層、10…基体層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/09

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ジルコニウムを主成分とするセラミ
    ック基板上に、第1の電極膜、圧電/電歪膜及び第2の
    電極膜から成る、少なくとも一つの膜状の圧電/電歪作
    動部を有する圧電/電歪膜型素子であって、 該セラミック基板は基体層と表面層とから成り、 該基体層の酸化ジルコニウムの結晶相は、正方晶又は正
    方晶と立方晶、正方晶と単斜晶若しくは正方晶と立方晶
    と単斜晶の混晶であり、 該表面層の酸化ジルコニウムの結晶相は主として立方晶
    から成り、 該圧電/電歪作動部を該表面層に設けたことを特徴とす
    る圧電/電歪素子。
  2. 【請求項2】 該表面層において、酸化ジルコニウムが
    6〜20モル%の酸化イットリウムにて安定化された請
    求項1に記載の圧電/電歪素子。
  3. 【請求項3】 該基体層において、酸化ジルコニウムが
    2〜4モル%の酸化イットリウムにて安定化された請求
    項1又は2に記載の圧電/電歪素子。
  4. 【請求項4】 該基体層における酸化ジルコニウムの結
    晶粒子径が0.1〜1.5μmである請求項1、2又は
    3に記載の圧電/電歪素子。
  5. 【請求項5】 該セラミック基板に、少なくとも1つの
    空所(キャビティ)を有する支持部材を、該セラミック
    基板で該空所の一方の側を閉塞するように接合した請求
    項1、2、3又は4に記載の圧電/電歪素子。
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