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JP3478535B2 - ポリビニルアルコール系フィルムおよび偏光フィルム - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルムおよび偏光フィルム

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Publication number
JP3478535B2
JP3478535B2 JP2000217081A JP2000217081A JP3478535B2 JP 3478535 B2 JP3478535 B2 JP 3478535B2 JP 2000217081 A JP2000217081 A JP 2000217081A JP 2000217081 A JP2000217081 A JP 2000217081A JP 3478535 B2 JP3478535 B2 JP 3478535B2
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film
pva
polarizing
hot water
unevenness
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JP2000217081A
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聡 藤田
勉 河合
徹 実藤
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大面積においても
均一な光学性能を有する幅広な偏光フィルム用として好
適なポリビニルアルコール系フィルムと、これを用いた
大画面液晶ディスプレイ用として好適な偏光フィルムに
関する。
【0002】
【従来の技術】光の透過および遮蔽機能を有する偏光板
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時
計等の小型機器から、近年ではラップトップパソコン、
ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲー
ションシステム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、大画
面で使用されるようになってきたことから、従来品以上
に大画面における光学特性の均一性に優れた偏光板が求
められている。
【0003】通常の偏光板は、ポリビニルアルコール系
フィルム(以下、これを「PVAフィルム」と略記し、
また、これの原料であるポリビニルアルコールをポリビ
ニルアルコール系重合体といい、これを「PVA」と略
記することがある)を一軸延伸し、染色することにより
製造した偏光フィルムの両面に、三酢酸セルロース(T
AC)膜などの保護膜を貼り合わせた構成をしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】偏光板の光学性能を均
一化させるためには、均一に延伸すること、二色性染料
を均一に染めること、斑なくTACと貼り合わせること
など多くの注意点があるが、偏光板の素材となるPVA
フィルムの均一性が重要な要素である。その要素として
は、厚みの均一性、レターデーションの均一性などがあ
るが、それだけでは偏光板の光学性能を均一化させるの
に十分ではなく、近年の液晶ディスプレイの大画面化、
高精細化、高輝度化に対応することが困難となってきて
いる。
【0005】そこで、本発明の目的は、大面積において
も光学斑が少なくて均一な光学性能を有するPVAフィ
ルムと、このフィルムを用いた大画面液晶ディスプレイ
用に好適な偏光フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明にかかるPVAフィルムは、TD方向の熱水
切断温度斑を1.5℃以下とした。ここで、PVAフィ
ルムの熱水切断温度は、PVAの結晶の完全性および量
を示す指標となるものであり、熱水切断温度斑とは、こ
の熱水切断温度の最大値と最小値の差をいう。本発明に
よれば、大面積においても光学斑が少なくて均一な光学
性能を有するPVAフィルムを得ることができる。
【0007】前記PVAフィルムのTD方向の厚み斑は
10μm以下であることが好ましい。また、大画面液晶
ディスプレイ用に大面積の偏光フィルムを得るために
は、PVAフィルムをドラム製膜機で製造してフィルム
幅を2m以上とすることが好ましい。このPVAフィル
ムは、偏光フィルムとして好適に用いられる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のPVAフィルムを構成するPVAとしては、ビ
ニルエステル系モノマーを重合して得られたビニルエス
テル系重合体をけん化し、ビニルエステル単位をビニル
アルコール単位としたものを用いることができる。その
ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸
ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等
を挙げることができ、これらのなかでも酢酸ビニルを用
いるのが好ましい。
【0009】ビニルエステル系モノマーを共重合させる
際には、必要に応じて、共重合可能なモノマーを、発明
の趣旨を損なわない範囲内(好ましくは15モル%以
下、より好ましくは5モル%以下の割合)で共重合させ
ることもできる。
【0010】このようなビニルエステル系モノマーと共
重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数3〜30の
オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、ア
クリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2
−エチルへキシル、アクリル酸ドデシルアクリル酸オク
タデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およ
びその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピ
ル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチル
へキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタ
デシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、
N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアク
リルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸および
その塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよび
その塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導
体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−
メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミ
ド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその
塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびそ
の塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導
体等のメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等
のN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチル
ビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プ
ロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i
−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、
ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等
のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル
類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイ
ン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およ
びその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラ
ン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル、N−
ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビ
ニルピロリドン等のN−ビニルアミド類を挙げることが
できる。
【0011】前記PVAフィルムを構成するPVAの平
均重合度は、フィルムの強度の点から500以上が好ま
しく、偏光性能の点からは1000以上がより好まし
く、2000以上がさらに好ましく、3500以上が特
に好ましい。一方、PVAの重合度の上限は、フィルム
の製膜性の点から10000以下が好ましい。
【0012】PVAの重合度(Po )は、JIS K
6726に準じて測定される。すなわちPVAを再けん
化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度
[η](単位:デシリットル/g)から次式により求め
られる。 Po =([η]×103 /8.29)(1/0.62)
【0013】PVAフィルムを構成するPVAのけん化
度は、偏光フィルムの耐久性の点から90モル%以上が
好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%
以上がさらに好ましい。一方、フィルムの染色性の点か
らは99.99モル%以下が好ましい。前記けん化度と
は、けん化によりビニルアルコール単位に変換され得る
単位の中で、実際にビニルアルコール単位にけん化され
ている単位の割合を示したものである。なお、PVAの
けん化度は、JIS記載の方法により測定を行った。
【0014】PVAフィルムを製造する際には、可塑剤
を添加することが好ましい。可塑剤としては、公知のも
ののいずれもが適用可能であるが、多価アルコールが好
適に使用され、例えば、エチレングリコール、グリセリ
ン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ト
リメチロールプロパン等を挙げることができ、これらの
うち1種または2種以上を使用することができる。これ
らのなかでも延伸性向上効果からエチレングリコールま
たはグリセリンが好適に使用される。
【0015】可塑剤の添加量は、PVA100重量部に
対して1〜30重量部が好ましく、3〜25重量部がさ
らに好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。1重量
部より少ないと、染色性や延伸性が低下する場合があ
り、一方、30重量部より多いと、フィルムが柔軟にな
りすぎて取り扱い性が低下する場合がある。
【0016】PVAフィルムを製造する際には、界面活
性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類とし
ては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の
界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤として
は、例えば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸型、
オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシル
ベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオン性
界面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性剤として
は、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなど
のアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフ
ェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル型、ポ
リオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル
型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルなどの
アルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミ
ドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリコー
ルエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなどのア
ルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェ
ニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型などのノ
ニオン性界面活性剤が好適である。これらのうち1種ま
たは2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0017】界面活性剤の添加量は、PVA100重量
部に対して0.01〜1重量部が好ましく、0.02〜
0.5重量部がさらに好ましく、0.05〜0.3重量
部が特に好ましい。0.01重量部より少ないと、延伸
性向上や染色性向上の効果が現れにくく、一方、1重量
部より多いと、フィルム表面に溶出してブロッキングの
原因になり、取り扱い性が低下する場合がある。
【0018】PVAを含有する製膜原料の揮発分濃度は
50〜90重量%が好ましく、55〜80重量%がより
好ましい。揮発分濃度が50重量%より小さいと、粘度
が高くなるため製膜が困難となる場合がある。一方、揮
発分濃度が90重量%より大きいと、粘度が低くなり過
ぎてPVAフィルムの厚み均一性が損なわれ易い傾向が
ある。
【0019】PVAフィルムを製造する方法として、P
VA溶液または溶融物である製膜原料(有機溶剤などを
含んでいても良い)を、ダイなどを使用して加熱したド
ラム上に吐出して製膜するドラム製膜法と、加熱したエ
ンドレスメタルベルト上に吐出して製膜するベルト製膜
法がある。大画面の偏光フィルムを得るため、幅2m以
上のPVAフィルムを製造するには、ドラム製膜法が好
ましい。
【0020】ここで、ドラム製膜とは、回転する乾燥用
の金属ドラム上に前記製膜原料を均一に吐出し、ドラム
円周面上で揮発分を乾燥させて剥離し、後に続く乾燥ロ
ールやフローティング乾燥機でさらに乾燥させ、必要に
応じて調湿して適切なフィルムとすることをいう。
【0021】本発明によるPVAフィルムの熱水切断温
度は、PVAの結晶の完全性および量を示す指標であ
り、水または水溶液に対する吸水性や溶解性を簡易的に
知ることができる。この熱水切断温度の測定方法は、P
VAフィルムを幅方向に5mm、流れ方向に15cmに
切り出し、その試料の一端に0.5g/10μmの重り
を取り付けて、40℃の水中に吊り下げた後、水温を3
℃/分の速度で昇温して、試料が切断する際の温水温度
を熱水切断温度として求める。
【0022】本発明では、PVAフィルムのTD方向の
熱水切断温度斑(最大値と最小値の差)を1.5℃以下
とし、好ましくは1.0℃以下とする。TD方向の熱水
切断温度斑が1.5℃を超えると、偏光フィルムを製造
した際に染色斑が発生したり、光学斑が強く発生するた
め好ましくない。
【0023】フィルムのTD方向の熱水切断温度斑が
1.5℃以下であるPVAフィルムを得るには、例え
ば、製膜原料をTダイなどを使用して均一に吐出させ厚
み斑を10μm以下にすること、製膜原料を表面の温度
斑が5℃以下、好ましくは3℃以下、より好ましくは1
℃以下のドラムやベルトに吐出すること、あるいは吐出
された製膜原料に熱風を使用し乾燥する場合は、熱風の
温度斑を±1℃以下、風速斑を±3m/sec以下と
し、全幅方向に均一に吹き付けることが重要である。さ
らに、後に続く乾燥ロールやフローティング乾燥機の温
度斑を±5℃以下、好ましくは±3℃以下、より好まし
くは±1℃以下にすることなどが重要である。
【0024】PVAフィルムの厚みは20〜150μm
が好ましく、40〜120μmがより好ましい。20μ
mより薄いと、偏光フィルムに加工する場合で、PVA
フィルムを一軸延伸するときに切断することがあり、一
方、150μmより厚いと、一軸延伸時に延伸斑が発生
して染色斑や光学斑が生じる場合がある。
【0025】本発明でいうフィルムTD方向の厚み斑と
は、厚みプロフィールの中で最も厚い部分と最も薄い部
分の差であり、その値は10μm以下であることが好ま
しく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに
好ましく、1μm以下が特に好ましい。厚み斑が10μ
mを超えると、得られる偏光フィルムの光学斑が大き
く、強く発生する場合がある。
【0026】本発明のPVAフィルムの幅については、
LCDの大画面用に使用する幅2m以上とすることが好
ましい。
【0027】本発明のPVAフィルムから偏光フィルム
を製造するには、例えばPVAフィルムを染色、一軸延
伸、固定処理、乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理を
行えば良い。各工程の順序は特に限定はなく、また染色
と一軸延伸などの二つの工程を同時に実施しても構わな
い。また、各工程を複数回繰り返しても良い。
【0028】染色は、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延
伸後のいずれでも可能であるが、PVAは一軸延伸によ
り結晶化度が上がりやすくて、染色性が低下することが
あるため、一軸延伸に先立つ任意の工程または一軸延伸
工程中において染色するのが好ましい。
【0029】染色に用いる染料としては、ヨウ素−ヨウ
化カリウム;ダイレクトブラック17、19、154;
ダイレクトブラウン 44、106、195、210、
223;ダイレクトレッド 2、23、28、31、3
7、39、79、81、240、242、247;ダイ
レクトブルー 1、15、22、78、90、98、1
51、168、202、236、249、270;ダイ
レクトバイオレット9、12、51、98;ダイレクト
グリーン 1、85;ダイレクトイエロー8、12、4
4、86、87;ダイレクトオレンジ 26、39、1
06、107などの二色性染料などが、1種または2種
以上の混合物で使用できる。通常、染色は、PVAフィ
ルムを前記染料を含有する溶液中に浸漬させることによ
り行うが、その処理条件や処理方法は特に制限されるも
のではない。
【0030】前記PVAフィルムの一軸延伸は、湿式延
伸法または乾熱延伸法が使用でき、温水(前記染料を含
有する溶液中や固定処理浴中でも良い)中または吸水後
のPVAフィルムを用いて空気中で行っても良い。延伸
はPVAフイルムが切断する少し手前まで、できるだけ
延伸することが好ましく、具体的には4倍以上が好まし
く、5倍以上が特に好ましい。延伸倍率が4倍より小さ
いと、実用的に十分な偏光性能や耐久性能が得られにく
い。延伸温度は特に限定されないが、PVAフィルムを
温水中で延伸(湿式延伸)する場合は30〜90℃が、
また乾熱延伸する場合は50〜180℃が好適である。
延伸後のフィルムの厚みは、3〜75μmが好ましく、
10〜50μmがより好ましい。
【0031】PVAフィルムへの前記染料の吸着を強固
にすることを目的に、固定処理を行う。固定処理に使用
する処理浴には、通常、ホウ酸およびホウ素化合物が添
加される。また、必要に応じて処理浴中にヨウ素化合物
を添加しても良い。
【0032】偏光フィルムの乾燥処理(熱処理)は30
〜150℃で行うのが好ましく、50〜150℃で行う
のがより好ましい。
【0033】以上のようにして得られた偏光フィルム
は、通常、その両面または片面に、光学的に透明で、か
つ機械的強度を有した保護膜を貼り合わせて偏光板とし
て使用される。保護膜としては、通常セルロースアセテ
ート系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系
フィルム等が使用される。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。なお、実施例、比較例に記載されている偏光フィ
ルムの加工、熱水切断温度斑、厚み斑の評価は以下の方
法により実施した。
【0035】(a)偏光フィルムの加工方法 PVAフィルムを予備膨潤、染色、洗浄、一軸延伸、固
定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フィルムを作
製した。すなわち、PVAフィルムを30℃の水中に1
分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度/ヨウ化カリウ
ムの重量比を1/10に固定し、偏光フィルムの透過率
が43〜44%になるようにヨウ素濃度30〜50g/
リットルの範囲で適宣選択した30℃のホウ酸4重量%
水溶液中に4分間浸漬させ、30℃の水中で0.5分浸
漬させて洗浄し、ホウ酸4重量%の50℃の水溶液中で
5.0倍に一軸延伸を行った。続いて、ヨウ化カリウム
40g/リットル、ホウ酸40g/リットルの40℃の
水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行った。この後
PVAフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱風乾燥
を行った。
【0036】(b)PVAフィルムの熱水切断温度斑 熱水切断温度斑は、PVAフィルムの全幅方向に5cm
間隔で前記測定法により測定した。さらに、最初の測定
個所からMD方向に50cmおよび100cm離れた2
個所についても同様に測定した。そして、全測定値のう
ち最大値と最小値の差を算出して熱水切断温度斑を求め
た。
【0037】(c)PVAフイルムの厚み斑 厚み斑は、フイルムシックネステスタ(KG601A、
アンリツ株式会社製)を用いて、フィルムの幅方向に全
幅にわたって測定した。さらに、最初の測定個所からM
D方向に25cmおよび50cm離れた2個所について
も同様に測定した。そして、全測定値のうち最大値と最
小値の差を算出して厚み斑を求めた。
【0038】実施例1 ドラム製膜機を用い、けん化度99.9モル%で重合度
2400のPVA100重量部と、グリセリン12重量
部と、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1重量部およ
び水からなる揮発分75%の製膜原料を、Tダイを使用
して、ドラム表面の温度分布が±0.3℃の精度とされ
た回転する85℃の乾燥ドラム表面上に定量吐出した。
さらに、乾燥ドラム上の製膜原料を、温度分布が±1.
0℃で風速分布が±2m/secの精度とされた85℃
の熱風で全面乾燥させ、平均熱水切断温度65.0℃、
TD方向の熱水切断温度斑0.8℃、平均厚み74.9
μm、厚み斑3.2μm、幅260cmのPVAフィル
ムを得た。
【0039】このPVAフィルムを偏光フィルムに加工
したところ、得られた偏光フィルムの透過率は43.5
%、偏光度は99.4%であった。この偏光フィルムの
50cm四方をクロスニコル状態の2枚の偏光板の間に
45°の角度に置き、透過光を目視で観察すると、光学
斑はほとんど認められず良好であった。
【0040】実施例2 ドラム製膜機を用い、けん化度99.9モル%で重合度
4000のPVA100重量部と、グリセリン10重量
部と、ポリオキシエチレンラウリルエーテル0.1重量
部および水からなる揮発分80%の製膜原料を、Tダイ
を使用して、ドラム表面の温度分布が±0.5℃の精度
とされた回転する90℃の乾燥ドラム表面上に定量吐出
した。さらに、乾燥ドラム上の製膜原料を、温度分布が
±1.0℃で風速分布が±3m/secの精度とされた
100℃の熱風で全面乾燥させ、平均熱水切断温度6
5.5℃、TD方向の熱水切断温度斑1.1℃、平均厚
み75.5μm、厚み斑3.9μm、幅220cmのP
VAフィルムを得た。
【0041】このPVAフィルムを偏光フィルムに加工
したところ、得られた偏光フィルムの透過率は43.8
%、偏光度は99.3%であった。この偏光フィルムの
50cm四方をクロスニコル状態の2枚の偏光板の間に
45°の角度に置き、透過光を目視で観察すると、光学
斑はほとんど認められず良好であった。
【0042】実施例3 ドラム製膜機を用い、けん化度99.9モル%で重合度
1700のPVA100重量部と、グリセリン12重量
部と、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1重量部およ
び水からなる揮発分70%の製膜原料を、Tダイを使用
して、ドラム表面の温度分布が±0.5℃の精度とされ
た回転する85℃の乾燥ドラム表面上に定量吐出した。
さらに、乾燥ドラム上の製膜原料を、温度分布が±1.
0℃で風速分布が±3m/secの精度とされた90℃
の熱風で全面乾燥させ、平均熱水切断温度64.5℃、
TD方向の熱水切断温度斑1.5℃、平均厚み75.2
μm、厚み斑4.5μm、幅250cmのPVAフィル
ムを得た。
【0043】このPVAフィルムを偏光フィルムに加工
したところ、得られた偏光フィルムの透過率は43.3
%、偏光度は99.2%であった。この偏光フィルムの
50cm四方をクロスニコル状態の2枚の偏光板の間に
45°の角度に置き、透過光を目視で観察すると、幅1
cm、長さ3cmの楕円状の非常に薄い光学斑が1個確
認されたが、大画面用液晶ディスプレイ用途に使用可能
なレベルであった。
【0044】実施例4 両面が鏡面仕上げされたエンドレスメタルベルトを使用
したベルト製膜機を用い、けん化度99.9モル%で重
合度2400のPVA100重量部と、グリセリン12
重量部と、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1重量部
および水からなる揮発分80%の製膜原料を、Tダイを
使用して、回転するベルト温度97℃の表面上に定量吐
出した。さらに、ベルト上の製膜原料を、温度分布が±
1.0℃で風速分布が±2m/secの精度とされた5
0〜155℃の熱風を9箇所から吹き付けて全面乾燥さ
せ、平均熱水切断温度64.5℃、TD方向の熱水切断
温度斑0.9℃、平均厚み75.3μm、厚み斑2.5
μm、幅160cmのPVAフィルムを得た。
【0045】このPVAフィルムを偏光フィルムに加工
したところ、得られた偏光フィルムの透過率は43.5
%、偏光度は99.4%であった。この偏光フィルムの
50cm四方をクロスニコル状態の2枚の偏光板の間に
45°の角度に置き、透過光を目視で観察すると、光学
斑はほとんど認められず良好であった。
【0046】比較例1 ドラム製膜機を用い、実施例1と同じ製膜原料をTダイ
を使用して、ドラム表面の温度分布が±0.5℃の精度
とされた回転する85℃の乾燥ドラム表面上に定量吐出
した。さらに、乾燥ドラム上の製膜原料のTD方向中央
部100cmのみに120℃の熱風を吹き付けて乾燥さ
せ、平均熱水切断温度65.2℃、TD方向の熱水切断
温度斑2.2℃、平均厚み74.5μm、厚み斑7.5
μm、幅230cmのPVAフィルムを得た。
【0047】このPVAフィルムを偏光フィルムに加工
したところ、得られた偏光フィルムの透過率は43.6
%、偏光度は99.0%であった。この偏光フィルムの
50cm四方をクロスニコル状態の2枚の偏光板の間に
45°の角度に置き、透過光を目視で観察すると幅1〜
2cm、長さ3〜5cmの楕円状または不定形な光学斑
が2個と、幅5cmと15cmの長さ方向に連続した帯
状の光学斑が2本確認され、大画面用液晶ディスプレイ
用途には不適であった。
【0048】比較例2 ドラム製膜機を用い、実施例2と同じ製膜原料をTダイ
を使用して、ドラム表面の温度分布が±1.5℃の精度
された回転する90℃の乾燥ドラム表面上に定量吐出し
た。さらに、乾燥ドラム上の製膜原料を、温度分布が±
2.0℃、風速分布が±5m/secの精度とされた1
00℃の熱風で全面乾燥させ、平均熱水切断温度65.
3℃、TD方向の熱水切断温度斑2.8℃、平均厚み7
5.8μm、厚み斑9.7μm、幅220cmのPVA
フィルムを得た。
【0049】このPVAフィルムを偏光フィルムに加工
したところ、得られた偏光フィルムの透過率は43.6
%、偏光度は99.4%であった。この偏光フィルムの
50cm四方をクロスニコル状態の2枚の偏光板の間に
45°の角度に置き、透過光を目視で観察すると、幅2
〜5cm、長さ5〜15cmの楕円状または不定形な光
学斑が4個と、幅3〜5cmの長さ方向に連続した帯状
の光学斑が4本確認され、大画面用液晶ディスプレイ用
途には不適であった。
【0050】比較例3 ドラム製膜機を用い、実施例3と同じ製膜原料をIダイ
を使用して、ドラム表面の温度分布が±1.5℃の精度
とされた回転する85℃の乾燥ドラム表面上に定量吐出
した。乾燥ドラム上の製膜原料のTD方向中央部20c
mのみを赤外線ヒータで乾燥させ、さらに、温度分布が
±2.0℃で風速分布が±5m/secの精度とされた
85℃の熱風で乾燥させて、平均熱水切断温度64.9
℃、TD方向の熱水切断温度斑3.1℃、平均厚み7
5.2μm、厚み斑11.5μm、幅250cmのPV
Aフィルムを得た。
【0051】このPVAフィルムを偏光フィルムに加工
したところ、得られた偏光フィルムの透過率は43.6
%、偏光度は99.0%であった。この偏光フィルムの
50cm四方をクロスニコル状態の2枚の偏光板の間に
45°の角度に置き、透過光を目視で観察すると、幅3
〜7cm、長さ5〜15cmの楕円状または不定形な光
学斑が3個と、幅8,15cmの長さ方向に連続した帯
状の光学斑が2本、幅0.5〜2mmの長さ方向に連続
したスジ状の光学斑が8本確認され、大画面用液晶ディ
スプレイ用途には不適であった。
【0052】比較例4 実施例4において、エンドレスメタルベルトの片面のみ
が鏡面仕上げされたベルトを使用する以外は、実施例4
と同様にして製膜したところ、平均熱水切断温度64.
8℃、TD方向の熱水切断温度斑1.8℃、平均厚み7
5.6μm、厚み斑2.8μm、幅160cmのPVA
フィルムを得た。
【0053】このPVAフィルムを偏光フィルムに加工
したところ、得られた偏光フィルムの透過率は43.6
%、偏光度は99.3%であった。この偏光フィルムの
50cm四方をクロスニコル状態の2枚の偏光板の間に
45°の角度に置き、透過光を目視で観察すると、幅
2,5cmの長さ方向に連続した帯状の光学斑が2本、
幅0.5〜2mmの長さ方向に連続したスジ状の光学斑
が12本確認され、大画面用液晶ディスプレイ用途には
不適であった。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、大面積に
おいても光学斑が少なくて均一な光学性能を有するPV
Aフィルムを得ることができ、また、このフィルムを用
いて大画面液晶ディスプレイ用に好適な偏光フィルムと
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−289224(JP,A) 特開2001−315140(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルムのTD方向の熱水切断温度斑が
    1.5℃以下であることを特徴とするポリビニルアルコ
    ール系フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1において、フィルムのTD方向
    の厚み斑が10μm以下であるポリビニルアルコール系
    フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、ドラム製膜
    機により製造されたフィルム幅が2m以上であるポリビ
    ニルアルコール系フィルム。
  4. 【請求項4】 偏光フィルム用である請求項1〜3のい
    ずれかに記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のポリビニルアルコール系
    フィルムから製造された偏光フィルム。
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