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JP3470567B2 - 液晶表示装置およびこれに用いる視野角補償用フィルム - Google Patents

液晶表示装置およびこれに用いる視野角補償用フィルム

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Publication number
JP3470567B2
JP3470567B2 JP25978097A JP25978097A JP3470567B2 JP 3470567 B2 JP3470567 B2 JP 3470567B2 JP 25978097 A JP25978097 A JP 25978097A JP 25978097 A JP25978097 A JP 25978097A JP 3470567 B2 JP3470567 B2 JP 3470567B2
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JP
Japan
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film
retardation
liquid crystal
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viewing angle
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JP25978097A
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浩二 東
朗子 清水
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=17338882&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3470567(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置に関
するものであり、詳しくは、視野角特性の優れた垂直配
向ネマチック型液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置(以下「LCD」と称す
る)は、時計や電卓に用いられる小型のものから、大表
示容量を必要とするラップトップ型ワープロやパソコン
等に用いられるものまで、平面表示装置として広く用い
られるようになった。このようなLCDの中でも、高い
表示品位が必要な用途については、正の誘電率異方性を
有するネマチック液晶分子を用い、薄膜トタンジスタに
より駆動する90度ねじれネマチック型液晶表示装置
(以下「TFT−TN−LCD」と称する)が主に用い
られている。しかしながらTFT−TN−LCDは、正
面から見た場合には優れた表示特性を有するものの、斜
め方向から見た場合にコントラストが低下したり、階調
表示で明るさが逆転する階調反転等が起こることによ
り、表示特性が悪くなるという視野角特性を有してお
り、この改良が強く要望されている。
【0003】近年、この視野角特性を改良するLCDの
方式として、負の誘電率異方性を有するネマチック液晶
分子を用い、電圧を印加しない状態では液晶分子の長軸
を基板に略垂直な方向に配向させ、これを薄膜トランジ
スタにより駆動する垂直配向ネマチック型液晶表示装置
(以下「TFT−VAN−LCD」と称する)が提案さ
れている(特開平 2-176625 号公報)。このTFT−V
AN−LCDは、正面から見た場合の表示特性がTFT
−TN−LCDと同様に優れているのみならず、視野角
補償用位相差フィルムを適用することで、広い視野角特
性を発現する。TFT−VAN−LCDは、 SID 97 DI
GEST,845頁〜848頁に記載されているように、フ
ィルム面に垂直な方向に光学軸を有する負の一軸性位相
差フィルムを2枚、液晶セルの上下に用いることで、よ
り広い視野角特性を得ることができ、このLCDにさら
に面内のレターデーション値が50nmである正の屈折率
異方性を有する一軸配向性位相差フィルムを用いること
で、さらに広い視野角特性を実現できることも知られて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、 SID 9
7 DIGEST,845頁〜848頁に記載されているように
3枚の位相差フィルムを用いることは、生産コストの上
昇を伴うだけでなく、多数のフィルムを張り合わせるた
めに歩留まりの低下を引き起こすなどの問題がある。
【0005】本発明者らは、上記問題を解決するために
鋭意検討した結果、1枚または2枚の位相差フィルムか
らなり、必要な光学特性を満足する視野角補償用位相差
フィルムを用いることで、視野角特性に優れるTFT−
VAN−LCDが得られること、およびこれらの視野角
補償用位相差フィルムの特性を見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、透明
基板上に透明電極が形成され、該透明電極上に垂直配向
膜が設けられた一対の透明基板が、該透明電極が向かい
合うように一定の距離をおいて配置され、この間隙に負
の誘電率異方性を有するネマチック液晶が挟持されてお
り、電圧を印加しない状態で液晶分子長軸が透明基板に
略垂直な方向に配向した構造を有する液晶セルと、該液
晶セルの上下に相互の吸収軸が直交するように配置され
た一対の偏光フィルムと、該液晶セルと該偏光フィルム
との少なくとも一方の間に1枚または2枚の位相差フィ
ルムから構成される視野角補償用位相差フィルムが配置
されてなる垂直配向ネマチック型液晶表示装置であっ
て、視野角補償用位相差フィルムが、フィルム面内のレ
ターデーション(R)値が0nmを越え100nm以下であ
り、フィルム厚み方向のレターデーション(R’)値が
100nm以上である位相差フィルムであって、フィルム
面内の遅相軸が隣接する偏光フィルムの吸収軸に対して
平行または直交している液晶表示装置を提供するもので
ある。
【0007】ここで、視野角補償用位相差フィルムが1
枚の位相差フィルムから構成される場合には、フィルム
面内のレターデーション(R)値は式(1)で示され、
フィルム厚み方向のレターデーション(R’)値は式
(2)で示される。 R =(nX−nY)×d (1) R’=[(nX+nY)/2−nZ]×d (2) (ここに、nX:フィルム面内の遅相軸方向の屈折率 nY:フィルム面内でnXと垂直方向の屈折率 nZ:フィルムの厚み方向の屈折率 d :フィルムの厚み)
【0008】一方、視野角補償用位相差フィルムが2枚
の位相差フィルムから構成される場合には、後述するよ
うに、積層した状態でのR値は、2枚のフィルムの遅相
軸が平行のときはそれぞれのR値の和となり、遅相軸が
直交するときはそれぞれのR値の差となり、また、この
場合のR’値は、2枚のフィルムの遅相軸が平行、直交
いずれのときも、それぞれのR’値の和となる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるTFT−VA
N−LCD用の液晶セルは、透明基板上に透明電極が形
成され、この透明電極上に垂直配向膜が設けられた一対
の透明基板が、透明電極が向かい合うように一定の距離
をおいて配置されており、この間隙に負の誘電率異方性
を有するネマチック液晶が挟持され、電圧を印加しない
状態では液晶分子長軸が透明基板に略垂直な方向に配向
した構造を有するものである。
【0010】液晶セルにおけるネマチック液晶の屈折率
異方性(以下「ΔnLC」と称する)とガラス基板間の距
離(以下「dLC」と称する)との積(ΔnLC・dLC
は、通常0.2μm 〜0.4μm 程度となるように設定さ
れる。このような液晶セルとしては、透明電極の一方に
各画素を駆動するための薄膜トランジスタからなる駆動
素子が形成された液晶セル(特開平 2-176625 号公報)
の他、各画素の周囲に高分子からなる隔壁を設けた構造
(SID 96 DIGEST,630頁〜633頁)に垂直配向し
たネマチック液晶を挟持した液晶セル、駆動方法として
囲い電極電界制御法〔第19回液晶討論会予稿集,30
8頁〜309頁(1993年)〕や、プラズマアドレス方式
(日経マイクロデバイス,1995年8月号163頁〜16
6頁)を用いて垂直配向したネマチック液晶を駆動する
方式の液晶セルなども例示される。
【0011】また垂直配向膜は、電圧を印加したときに
液晶の複屈折により光が効率良く透過するように液晶が
傾いて配向するようにできるものであれば特に制限はな
く、ポリイミドからなる配向膜をラビング処理して電圧
印加時に液晶分子が一方向にそろって傾くようにしたも
のや、ポリビニルシンナメイト等の光反応性高分子に偏
光紫外線を照射して電圧印加時に液晶分子が一方向にそ
ろって傾くか、または複数の制御された方向に傾くよう
にしたものなどが例示される。このような液晶セルの上
下に一対の偏光フィルムが相互の吸収軸が直交するよう
に、かつ液晶セルに対して吸収軸方向が電圧印加時に光
が効率的に透過するような角度となるように配置されて
いる。例えば、配向膜が電圧印加時に液晶分子が一方向
にそろって傾くようにしたポリイミドをラビング処理し
たものの場合、偏光フィルムの吸収軸は、液晶分子の傾
斜方向に対して通常45度となるように設定される。
【0012】さらに、液晶セルと偏光フィルムの間の少
なくとも一方には、視野角補償用位相差フィルムが配置
されている。視野角補償用位相差フィルムについて、フ
ィルム面内のレターデーション(R)値は0nmを越え1
00nm以下であり、好ましくは30nm〜80nmである。
また、フィルム厚み方向のレターデーション(R’)値
は100nm以上であり、好ましくは用いる液晶セルのΔ
LC・dLCと略同じ値であるが、実際のTFT−VAN
−LCDでは、液晶セルのΔnLC・dLCより約100nm
小さい100nm〜300nmに設定することが好ましく、
より好ましくは150nm〜250nmである。実際のTF
T−VAN−LCDでは、上下に配置される一対の偏光
フィルムとして最も一般的に用いられる偏光フィルム
は、その保護膜であるトリアセチルセルロース(以下
「TAC」と称する)のフィルムが若干面内配向してお
り、TACフィルム1枚でR’値として約50nm、液晶
セルの上下に2枚用いる偏光フィルムのR’値の合計と
して約100nmに相当する特性を有しているためであ
る。また、視野角補償用位相差フィルムのR値とR’値
とのバランスとしては、R’/Rが2以上6以下である
ことが好ましい。かかる位相差フィルムは、TFT−V
AN−LCDの視覚特性を特に有効に向上するものであ
って、TFT−VAN−LCD用の視覚補償用フィルム
として最適であり、これを用いることによって、本発明
のTFT−VAN−LCDは優れた視覚特性を有するこ
とが可能となる。
【0013】このような視野角補償用位相差フィルム
は、例えば、熱可塑性高分子からなるフィルムを一軸延
伸等の方法により二軸配向させることで得ることができ
る。二軸配向性を得るための原反フィルムは、熱可塑性
高分子を適当な溶剤に溶解し、この溶液をステンレス製
のベルト、ドラムまたは離型PET上に流延して、乾燥
後、ベルト、ドラムまたは離型PETから剥離する溶剤
キャスト法により製膜することが、均一性に優れたフィ
ルムを得ることができるため、好ましい。
【0014】用いる高分子としては、均一な二軸配向が
達成でき、正の屈折率異方性を有する高分子であれば特
に制限はないが、本発明で規定するR’値を達成しやす
い点から、ポリカーボネート系高分子、ポリアリレート
系高分子、ポリエステル系高分子、ポリサルフォン等の
芳香族系高分子が例示される。これらの芳香族系高分子
は、屈折率異方性が発現しやすいため、溶剤キャスト法
での製膜時に高分子鎖がフィルム面に平行に、かつフィ
ルム面内ではランダムに配向する面配向性により、Rが
概ね0nmであるのに対して、容易にR’を100nm以上
とすることができる。
【0015】このような溶剤キャストフィルムを一軸延
伸して面配向性を打ち消し、一軸配向性とした場合に
は、R’が概ねR/2となり、目的とする光学特性を得
ることができない。R’が100nm以上を保ったまま延
伸して特定のR値を得るには、この面配向性を保持した
まま一軸延伸して二軸配向性とすることが必要である。
一軸延伸して二軸配向性を得る方法としては、テンター
を用いた横延伸法が知られているが、これらの高分子は
延伸によりR値が発現しやすいため、テンター横延伸法
でR値を100nm以下とするには、均一性を得る最適な
条件よりも低倍率での延伸や高温での延伸が必要とな
る。しかし、このような延伸条件においてはR値および
R’値の均一性やフィルム面内の遅相軸の方向の均一性
を確保することが難しい。このため、溶剤キャスト法に
おける製膜時に、ベルト、ドラムまたは離型PETから
剥離するときに若干の応力を加えて、フィルム流れ方向
に一軸延伸する方法が好ましく用いられる。
【0016】ポリカーボネート系高分子、ポリアリレー
ト系高分子、ポリエステル系高分子、ポリサルフォン等
の芳香族系高分子は、屈折率異方性が発現しやすいため
に、上記のように好ましい点もあるが、一方で光弾性係
数が大きいために、応力に対するレターデーション値の
変化が大きく、粘着剤を用いて液晶セルと偏光フィルム
の間に貼合配置された状態で高温に曝された場合に、熱
のために発生する応力によりレターデーション値がズレ
たり、透過型液晶表示装置の場合にはバックライトの熱
のために発生する応力のムラにより、レターデーション
値のムラが発生したりして、コントラストの低下や表示
のムラを引き起こすこともある。
【0017】このような応力がかかる使用条件下で用い
られる場合には、レターデーション値の均一性の低下が
発生しないように、光弾性係数の絶対値が小さな高分子
を用いることもできる。具体的には、光弾性係数の絶対
値が10×10-13cm2/dyne以下である高分子が好まし
い。なお、ビスフェノールAからのポリカーボネート
は、光弾性係数の絶対値が約100×10-13cm2/dyne
である。このような光弾性係数の絶対値が小さな高分子
としては、例えば、アクリル系の高分子や環状オレフィ
ン系の高分子などが挙げられるが、正の屈折異方性を有
し、かつ耐熱性に優れる環状オレフィン系高分子が好ま
しく用いられる。環状オレフィン系高分子としては、ノ
ルボルネン系高分子が耐熱性に優れるため、好ましく用
いられる。
【0018】ノルボルネン系高分子の例としては、一般
式(I) (式中、aは0または正の整数を表し、bおよびcはそ
れぞれ正の整数を表し、R1、R2、R3およびR4はそれ
ぞれ独立に、水素原子、炭化水素残基、フェニル基また
は極性基を表す)で示される構成単位を有する高分子を
挙げることができる。ここで、極性基としてはニトリル
基などが例示される。
【0019】ノルボルネン系高分子を位相差フィルムに
適用することは、特開平 6-59121号公報に記載されてい
る。この公報には、超ねじれネマチック液晶表示装置用
の位相差フィルムに適した高分子構造が開示されている
が、上記一般式(I)中のaが大きくなると、負の屈折
率異方性を発現するようになる。このため、TFT−V
AN−LCD用の視野角改良用位相差フィルムに用いる
高分子としては、正の屈折率異方性を発現するように、
一般式(I)におけるaが0または1であることが好ま
しい。
【0020】また、環状オレフィン系の高分子は、屈折
率異方性の発現性が芳香族系の高分子よりも小さいた
め、本発明で規定するR値が0nmを越え100nm以下で
あり、かつR’値が100nm以上である位相差フィルム
を溶剤キャスト法による製膜時の一軸延伸で得ることが
難しいこともある。この場合には、溶剤キャスト法によ
り製膜したフィルムをテンター横延伸法などにより一軸
延伸することで、目的の位相差フィルムを得ることがで
きる。環状オレフィン系高分子の場合は、芳香族系高分
子と異なりR値が発現しにくいため、延伸倍率を小さく
したり延伸温度を高くしたりせずに、均一な光学特性を
確保できる条件で延伸することができる。
【0021】しかしながら、テンター横一軸延伸法にお
いて均一な光学特性を得る条件範囲では、R’値が小さ
くなりやすいため、R値が0nmを越え100nm以下で、
R’値が100nm以上で、かつR’/Rが2〜6である
位相差フィルムを得ることができない場合もある。この
ようにR’値が小さくて二軸配向性が不十分な場合、あ
るいは通常の一軸配向性の位相差フィルムを用いる場合
には、R値をほとんど変化させずにR’値を増加させて
必要な特性範囲とするために、R値が10nm以下でR’
が特定の値である光学軸が略フィルム法線方向にある負
の一軸性位相差フィルム1枚を、遅相軸が平行かまたは
直交するように積層する。これにより、積層した状態で
R値が0nmを越え100nm以下であり、R’値が100
nm以上であり、かつR’/Rが2〜6である光学特性を
実現することもできる。ここで、積層した状態でのR値
は、2枚のフィルムの遅相軸が平行の場合にはそれぞれ
のR値の和となり、遅相軸が直交する場合にはそれぞれ
のR値の差となる。また、R’値は、平行、直交いずれ
の場合にも、それぞれのR’値の和である。
【0022】R値が10nm以下であり、かつR’値が1
00nm以上である光学軸が略フィルム法線方向にある負
の一軸性位相差フィルムとしては、ポリイミドの面配向
フィルム(POLYMER,第7巻,23号,5321頁)、無機
層状化合物を用いた位相差フィルム(特開平 5-196819
号公報)などを例示することができる。
【0023】無機層状化合物を用いた位相差フィルムと
しては、生産性や耐久性の点から、例えば、膨潤性粘土
鉱物を用いた位相差フィルム、具体的には有機粘土複合
体と疎水性樹脂とからなる層を少なくとも1層有する位
相差フィルムを用いることもできる。有機粘土複合体と
しては、例えば、層状構造を有する粘土鉱物と有機化合
物を複合化した化合物などが挙げられる。
【0024】層状構造を有する粘土鉱物としては、例え
ば、スメクタイト族や膨潤性雲母などが挙げられる。ス
メクタイト族に属するものとしては、ヘクトライト、モ
ンモリロナイト、ベントナイトなどや、これらの置換
体、誘導体および混合物などが例示できる。これらの中
でも、化学合成されたスメクタイト族は、不純物が少な
く透明性に優れるなどの点から、位相差フィルムに好ま
しく用いられる。特に粒径を小さく制御した合成ヘクト
ライトを用いることもできる。
【0025】有機化合物としては、例えば、粘土鉱物の
酸素原子や水酸基と反応できる化合物、粘土鉱物に含ま
れる交換性陽イオン、例えば、Na+、K+等のアルカリ
金属イオン、Ca2+、Mg2+等のアルカリ土類金属イオ
ン、Al3+等の金属イオンと交換可能なイオン性の化合
物などが用いられ、例えば、アミン化合物などが挙げら
れる。アミン化合物としては、例えば、4級アンモニウ
ム化合物、尿素、ヒドラジン、ドジテルピリジニウムな
どが挙げられるが、交換性陽イオンとの交換が容易であ
ることなどから、4級アンモニウム化合物が好ましく用
いられる。4級アンモニウム化合物は通常、陽イオンと
して導入され、このような陽イオンとしては、ジメチル
・ジオクタデシル・アンモニウムイオン、ジメチル・ベ
ンジル・オクタデシル・アンモニウムイオン、トリオク
チル・メチル・アンモニウムイオンなど、アルキル基や
ベンジル基を有するものや、メチル・ジエチル・ポリオ
キシプロピレン(重合度:25)・アンモニウムイオン
など、長鎖の置換基を有するものなどが例示される。こ
れらの有機化合物は、粘土鉱物の陽イオン交換容量に対
して当量用いることが望ましいが、製造に際しては、陽
イオン交換容量に対して0.5〜1.5倍量の範囲で添加
しても構わない。
【0026】かかる有機粘土複合体は、用いる有機化合
物を適当に選択することにより、ベンゼン、トルエン、
キシレンの如き低極性の芳香族炭化水素類や、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール等の
低級アルコール類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロ
ロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類の
如き高極性の溶媒など、各種有機溶媒に容易に分散可能
とすることができる。このようにして得られた有機溶剤
に分散可能な有機粘土複合体は通常、疎水性であり、有
機溶媒中で分散すると、コロイド状を呈するまで単位結
晶層を膨潤させることができるので、これを適当な疎水
性樹脂と混合し、適当な基板上に塗布して乾燥させ、製
膜することで、有機粘土複合体の単位結晶層を配向させ
ることができ、位相差フィルムとして用いることができ
るようになる。
【0027】疎水性樹脂としては、例えば、ポリビニル
ブチラール、ポリビニルホルマール等のポリビニルアセ
タール樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセル
ロース系樹脂などが挙げられる。
【0028】有機粘土複合体と疎水性樹脂とからなる層
を基板上に製膜する際の分散液中の有機粘土複合体の濃
度は、なるべく高い方が層の厚みを大きくできるので好
ましいが、高濃度になりすぎるとゲル化などが発生して
製膜性が悪くなるため、通常は有機粘土複合体と疎水性
樹脂の組成比が重量比で1:2〜10:1の範囲で、合
計の固形分濃度が3〜15重量%の範囲となるように用
いられる。さらには、これらの有機粘土複合体の複数を
混合して用いることもできる。位相差フィルムとして
は、製膜した基板から剥離した単独のフィルムとして用
いることができるが、透明基板を用いてその上に製膜し
た状態のままで用いることもできる。製膜する基板が平
板状の場合、有機粘土複合体の単位結晶層は、その層状
構造を平板面に平行にかつ面内の向きはランダムに配向
する。したがって、フィルム面内の屈折率がフィルム厚
み方向の屈折率よりも大きい屈折率構造を示すようにな
る。この屈折率異方性により、R値が10nm以下で、か
つR’値が100nm以上である光学軸が略フィルム法線
方向にある負の一軸性位相差フィルムとして用いること
ができる。
【0029】上記のような2枚の位相差フィルムをTF
T−VAN−LCDに用いる場合には、2枚を積層して
上下いずれかの偏光フィルムと液晶セルの間に配置して
もよいし、または2枚を上下の偏光フィルムと液晶セル
の間にそれぞれ配置してもよい。
【0030】
【発明の効果】本発明のTFT−VAN−LCDは、視
野角特性に優れている。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、
評価は以下の方法により行った。 (1)フィルム面内のレターデーション(R)値 測定器:偏光顕微鏡〔(株)ニコン製、オプチフォト−
ポル〕。 波長546nmの単色光で常法により測定した。 (2)フィルム厚み方向のレターデーション(R’)値 フィルム面内のレターデーション値(R)、遅相軸を傾
斜軸として40度傾斜させて測定したレターデーション
値(R40)、位相差フィルムの厚み(d)および位相差
フィルムの平均屈折率(n0)を用いて、以下の式
(3)〜(5)からコンピュータ数値計算によりnX
YおよびnZを求め、次いで式(6)によりR’値を計
算した。 R=(nX−nY)×d (3) R40=(nX−nY’)×d/cos(φ) (4) (nX+nY+nZ)/3=n0 (5) R’=[(nX+nY)/2−nZ]×d (6) ここで、φおよびnY’はそれぞれ以下の式(7)およ
び(8)で示される。 φ =sin-1[sin(40°)/n0] (7) nY’=nY×nZ/[nY 2×sin2(φ)+nZ 2×cos2(φ)]1/2 (8)
【0032】実施例1 ビスフェノールAからなるポリカーボネート〔平均屈折
率n0=1.59、ポリスチレン換算の数平均分子量約7
0,000〕の塩化メチレン中23%溶液を、800mm
巾で約24m長のステンレスベルト上に流延して乾燥
し、残留溶剤が約20%の状態でベルトからの引き剥が
し応力を小さくしてフィルムの流れ方向に一軸延伸しな
がら剥離し、さらに残留溶剤を低減するために乾燥炉を
通過させて残留溶剤が1%以下である幅700mmのTF
T−VAN−LCD用の視野角補償用位相差フィルム
(厚み140μm )を得た。このフィルムの光学特性
は、幅方向に200mm間隔で採取した3点の平均で、R
=55.5nm、R40=90.2nmであった。これらの値か
らの計算値として、R’=193nm、R’/R=3.5
であった。
【0033】実施例2 ステンレスベルトからの引き剥がし応力を実施例1の場
合よりも小さくしてフィルム流れ方向に一軸延伸した以
外は、実施例1と同様にしてTFT−VAN−LCD用
の視野角補償用位相差フィルムを得た。このフィルムの
光学特性は、幅方向に200mm間隔で採取した3点の平
均で、R=42.9nm、R40=71.2nmであった。これ
らの値からの計算値として、R’=158nm、R’/R
=3.7であった。
【0034】実施例3 平均屈折率n0=1.51、厚み100μmであり、光弾
性率の絶対値が4.1×10-13cm2/dyneであるノルボ
ルネン系高分子の溶剤キャストフィルム〔商品名:ARTO
N フィルム、日本合成ゴム(株)製〕は、R=6.3n
m、R40=13.6nmであった。これらの値からの計算値
として、R’=36nmであった。このフィルムを200
℃で1.2倍に一軸延伸して、位相差フィルムを得た。
このフィルムは、厚み95μmで、R=51.5nm、R40
=56.4nmであった。これらの値からの計算値とし
て、R’=23nmであった。一方、疎水性樹脂〔商品
名:デンカブチラール #3000-K、電気化学工業(株)
製〕を1.75重量%、有機粘土複合体1〔商品名:ル
ーセンタイト STN、コープケミカル(株)製〕を3.9
4重量%、有機粘土複合体2〔商品名:ルーセンタイト
SPN、コープケミカル(株)製〕を1.31重量%、ト
ルエンを65.1重量%、塩化メチレンを18.6重量%
およびアセトンを9.3重量%含む有機溶剤分散液を、
厚み80μm のトリアセチルセルロースフィルム〔商品
名:フジタック SH-80、富士写真フィルム(株)製〕の
上にコンマコーターを用いて塗布し、85℃、次いで1
05℃で乾燥してフィルムを得た。このフィルムの厚み
は3.7μm、有効幅は400mmであった。このフィルム
は、その光学軸が略フィルム法線方向にある負の一軸性
位相差フィルムであった。この位相差フィルムは、R=
6.4nm、R40=24.8nmであった。平均屈折率n0
1.50として、これらの値からの計算値として、R’
=90nmであった。これら2枚の位相差フィルムを、遅
相軸が直交するように粘着剤を用いて積層し、R=4
5.1nm、合計のR’=113nm、R’/R=2.5であ
るTFT−VAN−LCD用の視野角補償用位相差フィ
ルムを得た。
【0035】実施例4 実施例3で用いたのと同じノルボルネン系高分子の溶剤
キャストフィルム〔商品名:ARTON フィルム〕を190
℃で1.2倍に一軸延伸した位相差フィルムは、厚み9
3μm 、R=80.0nm、R40=89.7nmであった。こ
れらの値からの計算値として、R’=47nmであった。
また、実施例3と同様に、有機粘土複合体と疎水性樹脂
からなる塗布層の膜厚が14.6μm となるようにし
て、有効幅が約400mmで光学軸が略フィルム法線方向
にある負の一軸性位相差フィルムを得た。この位相差フ
ィルムは、R=5.5nm、R40=49nmであった。平均
屈折率n0=1.50として、これらの値からの計算値と
して、R’=213nmであった。これら2枚の位相差フ
ィルムを遅相軸が直交するように、粘着剤を用いて積層
することで、R=74.5nm、合計のR’=260nm、
R’/R=3.5であるTFT−VAN−LCD用の視
野角補償用位相差フィルムを得た。
【0036】実施例5 TFT−VAN−LCDにおいて、負の誘電率異方性を
有する液晶の屈折率異方性(ΔnLC)とガラス基板間の
距離(dLC)との積ΔnLC・dLCを0.3μm程度とした
液晶セルと直線偏光フィルムとの少なくとも一方の間
に、実施例1〜4で得た視野角補償用位相差フィルムを
1枚配置したTFT−VAN−LCDは、より広い視野
角特性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−153802(JP,A) 特開 平11−133413(JP,A) 特開 平5−2108(JP,A) 特開 平6−59121(JP,A) 特開 平7−287122(JP,A) 特開 平7−199173(JP,A) 特開 平5−196819(JP,A) 特開 平8−292322(JP,A) 特表 平8−511812(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13363 G02B 5/30

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上に透明電極が形成され、該透明
    電極上に垂直配向膜が設けられた一対の透明基板が、該
    透明電極が向かい合うように一定の距離をおいて配置さ
    れ、この間隙に負の誘電率異方性を有するネマチック液
    晶が挟持されており、電圧を印加しない状態で液晶分子
    長軸が透明基板に略垂直な方向に配向した構造を有する
    液晶セルと、該液晶セルの上下に相互の吸収軸が直交す
    るように配置された一対の偏光フィルムと、該液晶セル
    と該偏光フィルムとの少なくとも一方の間に1枚の位相
    差フィルムから構成される視野角補償用位相差フィルム
    が配置されてなる垂直配向ネマチック型液晶表示装置で
    あって、 該視野角補償用位相差フィルムは、光弾性係数の絶対値
    が10×10 -13 cm 2 /dyne以下で正の屈折率異方性を有
    する高分子からなり、フィルム面内のレターデーション
    (R)値が0nmを越え100nm以下(ただし、38nm以
    下の範囲を除く)であり、フィルム厚み方向のレターデ
    ーション(R’)値が100nm以上であり、かつR値と
    R’値との比R’/Rが2〜6である位相差フィルムで
    あって、フィルム面内の遅相軸が隣接する偏光フィルム
    の吸収軸に対して平行または直交していることを特徴と
    する液晶表示装置。
  2. 【請求項2】視野角補償用位相差フィルムのR値が38
    nmを越え80nm以下であり、R’値が150nm〜250
    nmである請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 視野角補償用位相差フィルムが、前記高分
    子を溶剤キャスト法により製膜した後に一軸方向に延伸
    して得られる位相差フィルムを用いたものである請求項
    に記載の液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 光弾性係数の絶対値が10×10-13cm2
    dyne以下で正の屈折率異方性を有する高分子が、環状オ
    レフィン系高分子である請求項に記載の液晶表示装
    置。
  5. 【請求項5】 透明基板上に透明電極が形成され、該透明
    電極上に垂直配向膜が設けられた一対の透明基板が、該
    透明電極が向かい合うように一定の距離をおいて配置さ
    れ、この間隙に負の誘電率異方性を有するネマチック液
    晶が挟持されており、電圧を印加しない状態で液晶分子
    長軸が透明基板に略垂直な方向に配向した構造を有する
    液晶セルと、該液晶セルの上下に相互の吸収軸が直交す
    るように配置された一対の偏光フィルムと、該液晶セル
    と該偏光フィルムとの少なくとも一方の間に2枚の位相
    差フィルムから構成される視野角補償用位相差フィルム
    が配置されてなる垂直配向ネマチック型液晶表示装置で
    あって、 該視野角補償用位相差フィルムは、フィルム面内のレタ
    ーデーション(R)値が0nmを越え100nm以下である
    正の屈折率異方性を有する高分子の一軸延伸フィルム1
    枚と、R値が10nm以下で光学軸が略フィルム法線方向
    にあり、ポリイミドの面配向フィルムおよび無機層状化
    合物を用いた位相差フィルムから選ばれる負の一軸性位
    相差フィルム1枚とを積層したものであって、積層した
    状態でのR値が30nm〜80nmであり、厚み方向のレタ
    ーデーション(R’)値の合計が150nm〜250nmで
    あり、かつR値とR’値との比R’/Rが2〜6である
    位相差フィルム〔ただし、前記負の一軸性位相差フィル
    ムのフィルム厚み方向のレターデーション(R’)値が
    140nmで、かつ積層した状態において、R値が50nm
    以下であり、R’値の合計が165nm以下であるものを
    除く〕であって、フィルム面内の遅相軸が隣接する偏光
    フィルムの吸収軸に対して平行または直交していること
    を特徴とする液晶表示装置。
  6. 【請求項6】 一軸延伸フィルムが、環状オレフィン系高
    分子からなる請求項に記載の液晶表示装置。
  7. 【請求項7】 光弾性係数の絶対値が10×10 -13 cm 2
    dyne以下で正の屈折率異方性を有する高分子からなり、
    フィルム面内のレターデーション(R)値が0nmを越え
    100nm以下(ただし、38nm以下の範囲を除く)であ
    り、フィルム厚み方向のレターデーション(R’)値が
    100nm以上であり、かつR値とR’値との比R’/R
    が2〜6であり、1枚の位相差フィルムから構成される
    ことを特徴とする、垂直配向ネマチック型液晶表示装置
    の視野角補償用位相差フィルム。
  8. 【請求項8】 フィルム面内のレターデーション(R)値
    が0nmを越え100nm以下である正の屈折率異方性を有
    する高分子の一軸延伸フィルム1枚と、R値が10nm以
    下で光学軸が略フィルム法線方向にあり、ポリイミドの
    面配向フィルムおよび無機層状化合物を用いた位相差フ
    ィルムから選ばれる負の一軸性位相差フィルム1枚とを
    積層した2枚の位相差フィルムから構成され、積層した
    状態において、フィルム面内のレターデーション(R)
    値が30nm〜80nmであり、フィルム厚み方向のレター
    デーション(R’)値の合計が150nm〜250nmであ
    り、かつR値とR’値との比R’/Rが2〜6であるこ
    とを特徴とする、垂直配向ネマチック型液晶表示装置の
    視野角補償用位相差フィルム〔ただし、前記負の一軸性
    位相差フィルムのフィルム厚み方向のレターデーション
    (R’)値が140nmで、かつ積層した状態において、
    R値が50nm以下であり、R’値の合計が165nm以下
    であるものを除く〕。
  9. 【請求項9】 一軸延伸フィルムが、環状オレフィン系高
    分子からなる請求項に記載の視野角補償用位相差フィ
    ルム。
  10. 【請求項10】 R値が10nm以下で光学軸が略フィルム
    法線方向にある負の一軸性位相差フィルムが、膨潤性粘
    土鉱物を用いた位相差フィルムである請求項に記載の
    視野角補償用位相差フィルム。
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