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JP3468788B2 - エンジンの吸気制御装置 - Google Patents

エンジンの吸気制御装置

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Publication number
JP3468788B2
JP3468788B2 JP00520193A JP520193A JP3468788B2 JP 3468788 B2 JP3468788 B2 JP 3468788B2 JP 00520193 A JP00520193 A JP 00520193A JP 520193 A JP520193 A JP 520193A JP 3468788 B2 JP3468788 B2 JP 3468788B2
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Japan
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intake
valve
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center
opening
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広幸 都竹
直樹 土田
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Yamaha Motor Co Ltd
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Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH06212984A publication Critical patent/JPH06212984A/ja
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  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、吸気通路面積を変化さ
せる吸気制御弁を備えたエンジンの吸気制御装置に関
し、詳細には互いに偏位した複数の吸気通路を備えてい
る場合に、各吸気通路の通路面積を可変制御できるよう
にした吸気制御弁の構造の改善に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、燃費率向上を目的としたいわ
ゆるリーンバーン(希薄空燃比燃焼)エンジンが各種提
案されている。希薄空燃比での燃焼を安定して行うに
は、燃焼室に導入された混合気が気筒軸方向に回転す
る、いわゆるタンブルが効果的であることが知られてい
る。 【0003】上記タンブルを発生させるために、吸気を
吸気通路の例えば天壁側又は底壁側に偏らせて流す吸気
制御弁を設けた吸気制御装置が提案されている(例えば
実開昭61−132442号公報参照)。この従来装置
の吸気制御弁は、吸気通路をカム軸方向に横切るように
駆動軸を配設し、該駆動軸の嵌合凹部を板状の弁体の嵌
合溝に嵌め合わせ、両者をボルト締め固定し、また上記
弁板の底壁側部分に切り欠きを設けた構造のものであ
る。この従来装置では、吸気制御弁を閉位置に位置させ
ることにより吸気は上記切り欠き部分を通って底壁側に
偏って流れる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところでエンジンの吸
気制御装置では、吸気弁開口の配置位置の都合等から吸
気通路を互いに偏位させる場合がある。例えば5バルブ
エンジンのように、センタ吸気弁開口の左,右にサイド
吸気弁開口を配置する場合があり、このセンタ吸気弁開
口に連なるセンタ吸気通路はサイド吸気弁開口に連なる
サイド吸気通路よりクランク軸側に偏位させるのが一般
的である。このような吸気通路を備えている場合に、上
記従来タイプの吸気制御弁を採用することは極めて困難
であり、また吸気通路への組付作業も極めて困難であ
る。 【0005】また、配置スペース上の制約等から吸気制
御弁を小径のものにせざるを得ない場合がある。 【0006】本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされ
たもので、互いに偏位した複数の吸気通路を備えている
場合に、また配置スペースに制約がある場合にも、簡単
な構造で各吸気通路の通路面積を可変制御でき、かつ吸
気通路への組付も容易であるエンジンの吸気制御装置を
提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、燃焼室に開口
する第1吸気弁開口とシリンダヘッド外壁の外部接続開
口とを連通する第1吸気通路と、燃焼室に開口する第2
吸気弁開口とシリンダヘッド外壁の外部接続開口とを連
通し、少なくともその一部が上記第1吸気通路から偏位
した第2吸気通路と、上記第1,第2吸気通路の通路面
積を可変制御する吸気制御弁とを備えたエンジンの吸気
制御装置において、上記第1,第2吸気通路をカム軸方
向に横切り、かつ第2吸気通路の底壁に上記偏位量に応
じた凹部ができるように弁穴を形成し、上記吸気制御弁
を、上記弁穴で軸支された横断面円形の回転軸部と、該
回転軸部の軸方向投影面内に納まる大きさに形成され上
記第1吸気通路内に起立する全閉位置と上記凹部内に没
入する全開位置との間で回動する横断面大略半円状の第
1弁部と、上記回転軸部の軸方向投影面内に納まる大き
さに形成され上記第2吸気通路内の全閉位置と全開位置
との間で回動する横断面大略板状の第2弁部とを一体的
に固定した構造のものとしたことを特徴としている。 【0008】ここで本発明は、互いに偏位した吸気通路
を備えている場合であればいずれでも適用可能であり、
例えば吸気弁を3本備えた5バルブエンジンだけでなく
吸気弁を2本備えた4バルブエンジンにも適用可能であ
る。なお、5バルブエンジンの場合、左,右のサイド吸
気通路が第1吸気通路に相当し、センタ吸気通路が第2
吸気通路に相当する。 【0009】 【作用】本発明に係る吸気制御装置では、吸気制御弁を
回動させると、第1弁部が第1吸気通路内の全閉位置と
底壁の凹部内との間で回動して該第1吸気通路の通路面
積を可変制御し、また第2弁部が第2吸気通路内の全閉
位置と全開位置との間で回動して該第2吸気通路の通路
面積を可変制御する。このように本発明では互いに偏位
した第1,第2吸気通路の通路面積を1つの吸気制御弁
で可変制御することができる。また吸気制御弁の配置ス
ペースに制約がある場合にも吸気制御弁を支障なく配設
できる。 【0010】また、吸気制御弁の組み付けに当たって
は、吸気通路をカム軸方向に横切るように形成された弁
穴に挿入するだけで、第1弁部,第2弁部がそれぞれ第
1吸気通路,第2吸気通路内に位置することととなり、
吸気通路内への組付作業が極めて容易である。 【0011】 【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。図1ないし図7は本発明の一実施例による4
サイクルエンジンの吸気制御装置を説明するための図で
あり、図1は本実施例エンジンの断面側面図、図2は吸
気制御弁回りの拡大断面側面図、図3は本実施例の作用
効果を説明するための模式図、図4,図5は図2のIV-I
V 線,V-V線断面図、図6は吸気制御弁の模式斜視図、図
7はシリンダヘッドの底面図である。 【0012】図において、1は本実施例装置を備えた水
冷式4サイクル直列4気筒5バルブエンジンであり、こ
れはクランクケース(図示せず)にシリンダブロック
2,上下二分割式シリンダヘッド3を積層してヘッドボ
ルトで締結し、さらにシリンダヘッド3にヘッドカバー
4を装着した構造となっている。 【0013】上記シリンダブロック2のシリンダライナ
2a内にはピストン5が摺動自在に挿入され、該ピスト
ン5はコンロッド6でクランク軸(図示せず)に連結さ
れている。また上記シリンダヘッド3のブロック側合面
には上記ピストン5の上面とで燃焼室を構成する燃焼凹
部3aが4組凹設されている(図7参照)。 【0014】上記各燃焼凹部3aには3つの吸気弁開口
7a〜7cと、2つの排気弁開口8a,8bが該燃焼凹
部3aの周縁に沿って配置形成されている。図7に示す
ように、上記各気筒軸X同士を結ぶ直線Lから排気弁開
口8a,8bまでのカム軸直角方向距離はいずれもL1
であり、該各排気弁開口8a,8bは分岐通路8c,8
dからなる二股状の排気通路8でシリンダヘッド3の前
側壁に導出されている。また図1に示すようにカム軸方
向に見ると、上記各排気分岐通路8c,8dは互いに重
なっている。 【0015】一方、図7に示すように、上記直線Lから
センタ吸気弁開口(第2吸気弁開口)7bまでの距離は
L3であるのに対し、左,右のサイド吸気弁開口(第1
吸気弁開口)7a,7cまでの距離はL3より小さいL
2となっている。またセンタ吸気弁開口7bにはセンタ
分岐通路(第2吸気通路)7eが、サイド吸気弁開口7
a,7cには左,右のサイド分岐通路(第1吸気通路)
7d,7fがそれぞれ連通されており、これらの分岐通
路7d〜7fは三股状をなし、シリンダヘッド3の後外
壁の外部接続開口7hで合流している。 【0016】図2,図3に示すようにカム軸方向に見る
と、上記センタ分岐通路7eは吸気弁開口7b直近で屈
曲し、外部接続開口7hまで略直線的に延びており、該
屈曲部より下流側の直線部の長さはバルブシートの長さ
に略等しいH1である。一方、左,右のサイド分岐通路
7d,7fは、上記H1より長いH2の直線部を経て屈
曲し、ここから外部接続口7hまで略直線的に延びてい
る。またセンタ分岐通路7eの屈曲部下流部分(H1部
分)の気筒軸Xとなす流入角度はθ1であるのに対し、
サイド分岐通路7d,7fの屈曲部下流部分(H2部
分)の気筒軸Xとなす流入角度は上記θ1より大きいθ
2となっている。つまりセンタ分岐通路7eの流入角度
は気筒軸Xにより平行に近づくように設定されている。 【0017】また上記各吸気弁開口のカム軸直角方向位
置,流入角度を上述のように設定したことから、センタ
分岐通路7eとサイドの分岐通路7d,7fとは上記屈
曲部直上流部において通路軸線と略直角方向にYだけに
偏位している。なお、上記外部接続開口7hには、キャ
ブジョイント15を介して気化器16が接続されてい
る。この気化器16はスロットル弁17の開度に応じて
ピストンバルブ16aが移動してベンチュリ通路面積を
変化させる可変ベンリュリ型のものである。 【0018】上記吸気弁開口7a〜7c,排気弁開口8
a,8bはそれぞれ吸気弁9a〜9c,排気弁10,1
0で開閉可能となっており、該各吸気弁9a〜9c,排
気弁10,10は弁ばね11で閉方向に付勢され、かつ
リフタ12を介して吸気,排気カム軸13,14で開方
向に駆動される。またカム軸方向に見ると、左,右サイ
ド吸気弁開口7a,7cがセンタの吸気弁開口7bより
燃焼室中心側に位置しており、かつ流入角度θ2がθ1
より大きく設定されていることから、左,右サイド吸気
弁9a,9cはセンタ吸気弁9bより気筒軸Xに対して
大きく傾斜している。なお上記センタ,サイド吸気弁軸
の両軸線はカム軸13の軸線部分で交差している。 【0019】また上記シリンダヘッド3のブロック合面
側には、カム軸と平行に弁穴7gが形成されている。こ
の弁穴7gは各分岐通路7d〜7fと略同一径で、セン
タ分岐通路7eの軸線を横切るように、かつ天壁,底壁
をえぐることなく貫通している。また弁穴7gは左,右
分岐通路7d,7cの底壁を上記偏位量Yだけえぐるよ
うに貫通しており、このえぐられた部分が後述する弁部
が没入する没入凹部7g′となっている。 【0020】そして上記弁穴7g内には吸気制御弁18
が回動可能に挿入配置されている。この吸気制御弁18
は、上記弁穴7gによって回転自在に軸支された回転軸
部18aと、センタ吸気通路7eの通路面積を変化させ
るセンタ弁部(第2弁部)18bと、サイド吸気通路7
d,7fの通路面積を変化させるサイド弁部(第1弁
部)18c,18cとを一体的に削り出して形成したも
のである。 【0021】上記センタ弁部18bは、上記回転軸部1
8aの軸方向投影面内に納まる大きさの翼形状に、かつ
全開位置において該センタ分岐通路7eの軸線から底壁
側に若干偏位するように形成されている。これによりこ
のセンタ弁部18bは、センタ分岐通路7eの軸線と略
平行に位置する全開位置(図2に実線で、図3に二点鎖
線で示す位置)と、吸気を天壁側に偏らせる全閉位置
(同3に実線で示す位置)との間で通路面積を可変制御
する。 【0022】上記サイド弁部18cは、上記回転軸部1
8aの軸方向投影面内に納まる大きさの大略半円状に形
成されており、上記サイド分岐通路7d,7fの没入凹
部7g′内に没入して該通路の内面形状と面一となる全
開位置と、該サイド分岐通路7d,7f内に起立して該
通路の底壁側を絞り込む全閉位置との間で通路面積を可
変制御する。 【0023】次に本実施例の作用効果について説明す
る。低速回転・低負荷時のような低吸入空気量時には、
吸気制御弁18が図3に実線で示す全閉位置に回動し、
これによりセンタ分岐通路7eはセンタ弁部18bで絞
り込まれ、またサイド分岐通路7d,7fはサイド弁部
18cで絞り込まれる。そのため、吸気は各分岐通路7
d〜7fの天壁側に偏って流れ、燃焼室の略中心付近か
ら気筒軸方向への方向性をもって気筒内に流入し、気筒
内でタンブルを発生し、その結果、低吸入空気量時の燃
焼性が向上する。 【0024】また左,右のサイド吸気弁開口7a,7c
は燃焼室中心寄りに位置しており、また屈曲部より下流
側部分はH2と長く設定されている(図3(b) 参照) の
で、該各サイド吸気弁開口7a,7cからの吸気流はそ
の大部分が燃焼室中心付近からより確実な方向性をもっ
て気筒軸方向に流入し、この点からもタンブルが確実に
発生する。 【0025】また高速回転・高負荷時のような高吸入空
気量時には、吸気制御弁18がその全開位置に回動し、
これによりセンタ弁部18bは図2に実線で、図3に二
点鎖線で示すようにセンタ分岐通路7eの軸線に略沿う
全開位置に位置し、またサイド弁部18cはサイド分岐
通路7d,7fの底壁の没入部7g′内に没入して該各
分岐通路7d,7fの内面と面一になり、吸気は抵抗な
く燃焼室内に流入することとなる。 【0026】ここで、センタ分岐通路7eについてはセ
ンタ弁部18bが全開時にも通路内に残留するので、そ
れだけ流路抵抗が大きくなることが懸念されるが、この
流路抵抗は逆に3つの分岐通路からの流入量を均一化す
るよう作用する。即ち、図4に示すように、センタ分岐
通路7eは左,右のサイド分岐通路7d,7fの中央に
位置し、かつ外部接続口7hから略直線状に延びている
ことから、流路抵抗がサイド分岐通路に比較して小さ
い。ちなみに、従来の一般的な5バルブエンジンではセ
ンタ吸気弁開口からの流入量が全体の約50%であり、
左,右のサイド吸気弁開口からの流入量がそれぞれ全体
の約25%づつであった。これに対して本実施例では、
センタ吸気弁開口7bからの流入量が減少し、その分
左,右のサイド吸気弁開口7a,7cからの流入量が増
加し、その結果、高吸入空気量時の流入量が燃焼室全体
で均一化される。 【0027】このように本実施例では、センタ弁部18
bをセンタ分岐通路7e内に常時位置させ、またサイド
弁部18cをサイド分岐通路7d,7fの偏位量Yと等
しい深さの没入凹部7g′と通路内とで回動させるよう
にしたので、互いに偏位したセンタ分岐通路7e及びサ
イド分岐通路7d,7fの通路面積を可変制御すること
ができる。 【0028】また吸気制御弁18を、1本の丸棒から回
転軸部18aと、横断面板状のセンタ弁部18b及び横
断面半円状のサイド弁部18cとを一体的に削り出した
構造としたので、上述の偏位した吸気通路の通路面積の
可変制御を実現しながら吸気制御弁の構造を簡単なもの
にすることができる。 【0029】また上記吸気制御弁18の吸気通路への組
付に当たっては弁穴7gに挿通するだけでよく、従来タ
イプの駆動軸と弁板とを吸気通路内でボルト締め等で組
み立てる構造に比較して組付作業が極めて容易である。 【0030】なお、上記実施例では、5バルブエンジン
の場合を説明したが、本発明は吸気弁が2本の4バルブ
エンジンであっても、2つの吸気通路を通路軸線と大略
直角方向に偏位させたエンジンであれば適用できる。ち
なみに4バルブエンジンであっても左,右の吸気通路の
吸気流入角度を変えるために左,右の吸気通路を偏位さ
せることが考えられ、このようにした場合に本発明を適
用すれば上述の実施例と略同様の効果が得られる。 【0031】また上記実施例では、回転軸部,センタ弁
部,サイド弁部を一体に削り出した構造のものとした
が、本発明の吸気制御弁は勿論このようなものに限定さ
れるものではなく、各部品を別個に作成し、溶接等に一
体的に組み立てたものでも勿論よい。 【0032】図8,図10は、タンブルをより確実に発
生できるようにした、上記実施例の変形例を示し、図
中、図1ないし図7と同一符号は同一又は相当部分を示
す。本変形例は、吸気制御弁18の下流側にガイド部3
bを形成した例である。 【0033】上記ガイド部3bは、サイド分岐通路7
d,7fの左,右内側面から通路中心側に棚状に突出
し、かつ通路軸線に沿って延びている。このガイド部3
bの上流端部は全閉位置に回動した吸気制御弁18のサ
イド弁部18cと略接するように位置しており、また下
流端部は吸気弁開口7a,7cを構成するバルブシート
の上流端に位置している。なお、このガイド部3bは該
シリンダヘッド3の鋳型分割面に凹部を形成してキャビ
ティとすることにより形成したものである。またセンタ
分岐通路にもこのガイド部を設けてもよい。 【0034】本変形例によれば、吸気制御弁18と協働
して吸気をより確実に天壁側に偏らせることがで、その
結果タンブルをさらに確実に発生させることができる。
しかもガイド部3bを鋳造によって一体形成したので、
別個のガイド板等を設ける場合に比較して特別な加工が
不要であり、また部品点数,組付工数が増加することが
なく、さらに耐久性等の信頼性を向上できる。 【0035】ところで吸気制御弁を設けると、タンブル
をより確実に発生させることができるが、吸気制御弁及
びその駆動機構が必要であるから、当然コスト上昇の問
題は避けられない。従って、吸気制御弁を設けることな
くタンブルを発生できる構造が理想的である。 【0036】図10は、5バルブエンジンにおいて、吸
気制御弁を設けることなく吸気通路の形状改善によって
低吸入空気量時にタンブルをできるだけ確実に発生で
き、かつ高吸入空気量時にはできるだけ多量の吸入空気
を導入できるようにした例である。 【0037】この例では、上記目的を達成できる吸気通
路形状を見出すために、まず、各吸気通路の通路軸線と
吸気弁軸線との交点から吸気弁開口までの距離(流入通
路長さ)aと、各吸気通路の上記交点より上流側部分の
気筒軸線と直角な直線とのなすポート角度θとを変化さ
せたセンタ吸気通路1c〜4cとサイド吸気通路1s〜
4sについて、吸気流量とタンブル比との関係を実験に
より求めた。 【0038】 【表1】【0039】その結果を表1に示す。同表から吸気通路
1(図中、1s,1cに相当)では流量は確保できるも
ののタンブルが発生しにくく、また吸気通路4(図中、
4s,4cに相当)では逆にタンブルは発生し易いもの
の流量が確保できない。従って両者の妥協点として吸気
通路2又は3(図中、2s,2c又は3s,3cに相
当)を選択することとなる。なお、図中A〜Dは吸気通
路の外側接続開口であり、サイド,センタ吸気通路の外
側接続開口が同じ位置に設けられていることを示す。 【0040】しかしながら5バルブエンジンでは、サイ
ド吸気通路とセンタ吸気通路とでは吸気流の特性に以下
の差異がある。即ち、サイド吸気弁開口はカム軸方向に
見て燃焼室中心寄りに位置しているから、該サイド吸気
弁開口からの吸気流は、図10に実線で示すように燃焼
室中心付近から気筒軸方向に流入し、従ってサイド吸気
通路からの吸気流はタンブル流となり易い。 【0041】一方、センタ吸気開口はカム軸方向に見て
燃焼室中心から外側に離れた位置(シリンダ周縁側)に
あり、しかもセンタ吸気弁の気筒軸に対する角度αcは
サイド吸気弁のなす角度αsより小さく、センタ吸気弁
は気筒軸線に対してより平行になっている。そのためセ
ンタ吸気弁開口のシリンダ周縁から気筒内に流入する吸
気流(図10に破線で示す)はタンブル流(図10に実
線で示す)を阻害するように作用する。 【0042】従ってタンブルを確実に発生させるには、
上記阻害流をできるだけ減少させる必要があり、また流
量を確保するには1つしかないセンタ吸気通路からの流
量はある程度減少しても2つあるサイド吸気通路からの
流量を充分に確保することが重要である。 【0043】上記阻害流を減少させるためには、センタ
吸気通路を4cのようにポート角度θcをできるだけ小
さくして気筒軸に対して直角に近づけ、かつ流入通路長
acをできるだけ短くするのが有効である。また流量を
確保するためには、サイド吸気通路を1sのようにポー
ト角度θsをできるだけ大きくして気筒軸に対して平行
に近づけ、かつ流入通路長asをできるだけ長くするの
が有効である。 【0044】そこでサイド吸気通路については1sを採
用し、センタ吸気通路については4cを採用することが
上述の目的を達成するためにもっとも有効である。これ
により低吸入空気量時にもタンブルを確実に発生させて
燃焼安定性を向上でき、また高吸入空気量時には充分な
吸入空気量を確保できる。このような効果を得るため
の、センタ吸気通路とサイド吸気通路との必要条件は以
下の通りである。 θc<θs,かつac<as 【0045】なお、図10の構造を採用した場合、サイ
ド吸気通路の外部接続開口Aとセンタ吸気通路の外部接
続開口Dとは上下に離れることとなる。このような外部
接続開口A,Dの上下分離の問題は、上述の吸気制御弁
を設けて、吸気流を積極的に制御することによって解消
できる。 【発明の効果】以上のように本発明に係るエンジンの吸
気制御装置によれば、吸気制御弁を、弁穴で軸支された
回転軸部と、これの軸方向投影面内に位置する第1,第
2弁部とを固定した構造のものとし、第1弁部を第1吸
気通路内で回動する板状のものとし、第2弁部を第2吸
気通路内と底壁内とで回動するものとしたので、簡単な
構造の吸気制御弁によって互いに偏位した複数の吸気通
路の吸気制御を実現でき、また吸気通路への組付作業を
容易にできる効果がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例による吸気制御装置を備えた
エンジンの断面側面図である。 【図2】上記実施例エンジンの吸気制御弁部分の拡大断
面側面図である。 【図3】上記実施例装置の作用効果を説明するための模
式図である。 【図4】図2のIV-IV 線断面図である。 【図5】図2のV-V 線断面図である。 【図6】上記実施例の吸気制御弁の斜視図である。 【図7】上記実施例エンジンのシリンダヘッドの底面図
である。 【図8】上記実施例の変形例を示す断面側面図である。 【図9】図8のIX-IX 線断面図である。 【図10】吸気通路の改善例を示す模式図である。 【符号の説明】 1 エンジン 3 シリンダヘッド 3a 燃焼凹部(燃焼室) 7a,7c サイド吸気弁開口(第1吸気弁開口) 7b センタ吸気弁開口(第2吸気弁開口) 7d,7f サイド分岐通路(第1吸気通路) 7e センタ分岐通路(第2吸気通路) 7g 弁穴 7g′ 没入凹部(凹部) 7h 外部接続開口 18 吸気制御弁 18a 回転軸部 18b センタ弁部(第2弁部) 18c サイド弁部(第1弁部)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 燃焼室に開口する第1吸気弁開口とシリ
    ンダヘッド外壁の外部接続開口とを連通する第1吸気通
    路と、燃焼室に開口する第2吸気弁開口とシリンダヘッ
    ド外壁の外部接続開口とを連通し、少なくともその一部
    が上記第1吸気通路から偏位した第2吸気通路と、上記
    第1,第2吸気通路の通路面積を可変制御する吸気制御
    弁とを備えたエンジンの吸気制御装置において、上記第
    1,第2吸気通路をカム軸方向に横切り、かつ第2吸気
    通路の底壁に上記偏位量に応じた凹部ができるように弁
    穴を形成し、上記吸気制御弁を、上記弁穴で軸支された
    横断面円形の回転軸部と、該回転軸部の軸方向投影面内
    に納まる大きさに形成され上記第1吸気通路内に起立す
    る全閉位置と上記凹部内に没入する全開位置との間で回
    動する横断面大略半円状の第1弁部と、上記回転軸部の
    軸方向投影面内に納まる大きさに形成され上記第2吸気
    通路内の全閉位置と全開位置との間で回動する横断面大
    略板状の第2弁部とを一体的に固定した構造のものとし
    たことを特徴とするエンジンの吸気制御装置。
JP00520193A 1993-01-14 1993-01-14 エンジンの吸気制御装置 Expired - Fee Related JP3468788B2 (ja)

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