JP3462764B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
水系電解液とを備えた非水電解質二次電池に係り、特
に、非水系電解液を改良して、非水電解質二次電池にお
けるサイクル特性を向上させた点に特徴を有するもので
ある。
電池として、非水系電解液を用いてリチウムの酸化,還
元を利用した高起電力の非水電解質二次電池が利用され
るようになった。
おいては、その非水系電解液として、プロピレンカーボ
ネートやジメチルカーボネート等の溶媒に、ヘキサフル
オロリン酸リチウムLiPF5 や過塩素酸リチウムLi
ClO4 等の溶質を溶解させたものが一般に使用されて
いた。
870号公報に示されるように、負極における充放電の
電流効率を向上させるために、非水系電解液における溶
媒として、3又は4位における水素をアセチル基で置換
したアセチルプロピレンカーボネートを使用するように
したものが提案された。
の場合、上記の非水系電解液が負極等と反応してしま
い、この非水電解質二次電池におけるサイクル特性が低
下するという問題があった。
負極と、非水系電解液とを備えた非水電解質二次電池に
おける上記のような問題を解決することを課題とするも
のであり、非水系電解液が負極等と反応するのを抑制
し、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池が得られ
るようにすることを課題とするものである。
ける非水電解質二次電池においては、上記のような課題
を解決するため、正極と、負極と、非水系電解液とを備
えた非水電解質二次電池において、上記の非水系電解液
の溶媒として、ホウ酸エステルと鎖状炭酸エステルとが
10〜95:90〜5の範囲の体積比で混合された混合
溶媒を用いるようにしたのである。
次電池のように、非水系電解液の溶媒として、ホウ酸エ
ステルと鎖状炭酸エステルとが10〜95:90〜5の
範囲の体積比で混合された混合溶媒を用いると、この非
水系電解液と接触する負極等との界面にリチウムイオン
等のイオンを通過させる被膜が形成され、この被膜によ
り非水系電解液と負極等とが反応するのが抑制されて、
非水電解質二次電池におけるサイクル特性が向上すると
考えられる。
質二次電池において、非水系電解液の溶媒として含有さ
せるホウ酸エステルの種類については特に限定されず、
例えば、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリ−n−プロピ
ル、ホウ酸トリメチル等を用いることができる。
ウ酸エステルとして、ホウ酸トリエチルやホウ酸トリ−
n−プロピルを用いると、非水電解質二次電池における
サイクル特性がより向上するようになる。
二次電池において、上記のホウ酸エステルと混合させる
鎖状炭酸エステルとしては公知のものを用いることがで
き、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、エチルメチルカーボネート等を使用することがで
きる。
とを混合させた混合溶媒を用いるにあたり、請求項3に
示すように、ホウ酸エステルと鎖状炭酸エステルとを3
0〜70:70〜30の範囲の体積比で混合させた混合
溶媒を用いると、非水電解質二次電池におけるサイクル
特性がより一層向上する。
の溶媒に溶解させる溶質としては、一般に使用されてい
る公知の溶質を用いることができ、例えば、LiPF
6 、LiBF4 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiB
iF4 、LiAlF4 、LiGaF4 、LiInF4 、
LiN(CF3 SO2 )2 、LiCF3 SO3 、LiN
(C2 F5 SO2 )2 、LiC(CF3 SO2 )3 、L
iClO4 等のリチウム化合物を用いることができる。
6 、LiBF4 、LiAsF6 等のフッ素原子を含む溶
質を用いると、非水電解質二次電池におけるサイクル特
性がより一層向上する。
いて、その正極を構成する正極材料としては、例えば、
二酸化マンガン、リチウム含有マンガン酸化物、リチウ
ム含有コバルト酸化物、リチウム含有バナジウム酸化
物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有鉄酸化
物、リチウム含有クロム酸化物、リチウム含有チタン酸
化物等が使用される。
いて、その負極を構成する負極材料としては、例えば、
金属リチウム、Li−Al,Li−In,Li−Sn,
Li−Pb,Li−Bi,Li−Ga,Li−Sr,L
i−Si,Li−Zn,Li−Cd,Li−Ca,Li
−Ba等のリチウム合金、リチウムイオンの吸蔵,放出
が可能な黒鉛,コークス,有機物焼成体等の炭素材料、
SnO2 ,SnO,TiO2 ,Nb2 O3 等の電位が正
極材料よりも低い金属酸化物等が使用される。
属リチウムを用いた場合には、非水電解質二次電池にお
けるサイクル特性を向上させる効果が顕著になる。
ついて実施例を挙げて具体的に説明すると共に、この実
施例における非水電解質二次電池においては、サイクル
特性が向上することを、参考例及び比較例を挙げて明ら
かにする。なお、この発明に係る非水電解質二次電池は
下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、
その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施で
きるものである。
極と負極を下記のようにして作製すると共に、非水系電
解液を下記のようにして調製し、図1に示すような直径
が20mm,厚みが2.5mmになった扁平なコイン型
のリチウム二次電池を作製した。
粉末を用い、このLiCoO2 粉末と、導電剤である炭
素材料と、結着剤であるポリテトラフルオロエチレンと
が90:6:4の重量比になった正極合剤を調製し、こ
れをアルミニウムからなる正極集電体上に塗布し、これ
を加圧成形した後、150℃で2時間真空乾燥させて、
直径が16mm,厚みが1.0mmの円板状になった正
極を作製した。
円形に打ち抜いて、直径が16mm,厚みが1.0mm
の円板状になった金属リチウムの負極を作製した。
て、下記の表1に示すように、参考例1〜3ではホウ酸
エステルを用いるようにし、参考例1ではホウ酸トリメ
チルを、参考例2ではホウ酸トリエチルを、参考例3で
はホウ酸トリ−n−プロピルを用いる一方、比較例1で
はプロピレンカーボネートを、比較例2では4−アセチ
ルプロピレンカーボネートを、比較例3ではエチレンカ
ーボネートを、比較例4ではテトラヒドロフランを用い
るようにした。
の各溶媒にLiPF6 を1mol/lの割合で溶解させ
て各非水系電解液を調製した。
のようにして正極集電体5上に作製した正極1を用い、
また上記の負極2をSUS製の負極集電体6に取り付け
るようにした。
ピレン製の微多孔膜からなるセパレータ3にそれぞれ上
記の各非水系電解液を含浸させ、このように各非水系電
解液が含浸されたセパレータ3をそれぞれ上記の正極1
と負極2との間に設け、これらを正極缶4aと負極缶4
bとで形成される電池ケース4内に収容させ、正極集電
体5を介して正極1を正極缶4aに接続させる一方、負
極集電体6を介して負極2を負極缶4bに接続させ、こ
の正極缶4aと負極缶4bとを絶縁パッキン7によって
電気的に絶縁させて、各リチウム二次電池を作製した。
〜3及び比較例1〜4の各リチウム二次電池を用い、そ
れぞれ充電電流1mAで充電終止電圧4.2Vまで充電
した後、放電電流1mAで放電終止電圧3.0Vまで放
電させ、これを1サイクルとして充放電を繰り返して行
ない、その放電容量が初期の放電容量である50mAの
半分の25mA以下になるまでのサイクル数を求め、こ
れらの結果を下記の表1に示した。
液における溶媒にホウ酸エステルを用いた参考例1〜3
の各リチウム二次電池は、非水系電解液における溶媒に
ホウ酸エステル以外の溶媒を使用した比較例1〜4の各
リチウム二次電池に比べて、放電容量が初期の放電容量
の50%以下になるまでのサイクル数が多くなり、リチ
ウム二次電池におけるサイクル特性が向上していた。特
に、非水系電解液における溶媒にホウ酸トリエチルやホ
ウ酸トリ−n−プロピルを用いた参考例2,3のリチウ
ム二次電池においては、さらにサイクル特性が向上して
いた。
の調製において、非水系電解液における溶媒として、上
記の参考例3と同じホウ酸トリ−n−プロピルを用いる
一方、非水系電解液に用いる溶質を変更し、下記の表2
に示すように、参考例4ではLiBF4 を、参考例5で
はLiAsF5 を、参考例6ではLiCF3 SO3 を、
参考例7ではLiN(CF3 SO2 )2 を、参考例8で
はLiC(CF3 SO2 )3 を、参考例9ではLiCl
O4 を用いるようにした。
トリ−n−プロピルに1mol/lの割合で溶解させて
各非水系電解液を作製し、それ以外については、上記の
参考例3の場合と同様にして、扁平なコイン型のリチウ
ム二次電池を作製した。なお、参考例6,7,8のリチ
ウム二次電池においては、前記の正極集電体及び正極缶
4aをTa合金或いはTaで被覆することが好ましい。
9のリチウム二次電池についても、上記の参考例1〜3
の場合と同様にして充放電を行い、その放電容量が初期
の放電容量である50mAの半分の25mA以下になる
までのサイクル数を求め、その結果を下記の表2に示し
た。
ウ酸トリ−n−プロピルを用いた参考例4〜9の各リチ
ウム二次電池は、前記の比較例1〜4の各リチウム二次
電池に比べてサイクル特性が向上しており、また非水系
電解液にフッ素原子を含む溶質を用いた参考例3〜8の
各リチウム二次電池は、非水系電解液にフッ素原子を含
まない溶質を用いた参考例9のリチウム二次電池に比べ
てサイクル特性がさらに向上していた。
おいては、上記の参考例3の場合と同様に、ホウ酸トリ
−n−プロピルに対してLiPF6 を1mol/lの割
合で溶解させ、また比較例5〜8においては、上記の比
較例1の場合と同様に、プロピレンカーボネートに対し
てLiPF6 を1mol/lの割合で溶解させる一方、
それぞれ使用する負極の種類を変更させた。
は、負極を作製するにあたり、LiとAlとが20:8
0の重量比になった圧延板を円形に打ち抜き、その後、
LiとAlとを合金化させ、直径が16mm,厚みが
1.0mmの円板状になったLi−Al合金からなる負
極を得た。
は、負極を作製するにあたり、負極材料に炭素材料を用
い、この炭素材料と結着剤であるポリテトラフルオロエ
チレンとが95:5の重量比になった負極合剤を調製
し、これを加圧成形した後、150℃で2時間真空乾燥
させて、直径が16mm,厚みが1.0mmの円板状に
なった負極を得た。
は、負極を作製するにあたり、負極材料に酸化スズを用
い、この酸化スズと、導電剤である炭素材料と、結着剤
であるポリテトラフルオロエチレンとが90:6:4の
重量比になった負極合剤を調製し、これを加圧成形した
後、150℃で2時間真空乾燥させて、直径が16m
m,厚みが1.0mmの円板状になった負極を得た。
は、負極を作製するにあたり、負極材料に酸化チタンを
用い、この酸化チタンと、導電剤である炭素材料と、結
着剤であるポリテトラフルオロエチレンとが90:6:
4の重量比になった負極合剤を調製し、これを加圧成形
した後、150℃で2時間真空乾燥させて、直径が16
mm,厚みが1.0mmの円板状になった負極を得た。
を用いる以外は、上記の場合と同様にして、扁平なコイ
ン型のリチウム二次電池を作製した。
〜13及び比較例5〜8の各リチウム二次電池について
も、上記の場合と同様にして充放電を行い、その放電容
量が初期の放電容量である50mAの半分の25mA以
下になるまでのサイクル数を求め、その結果を下記の表
3に示した。
外のLi−Al合金,炭素材料,酸化スズ,酸化チタン
を用いた場合においても、非水系電解液における溶媒に
ホウ酸エステルのホウ酸トリ−n−プロピルを用いた参
考例10〜13の各リチウム二次電池は、非水系電解液
における溶媒にプロピレンカーボネートを用いた比較例
5〜8の各リチウム二次電池に比べてサイクル特性が向
上していた。
考例3のリチウム二次電池は、負極材料にLi−Al合
金,炭素材料,酸化スズ,酸化チタンを使用した参考例
10〜13の各リチウム二次電池よりもサイクル特性が
向上する割合が高くなっていた。
は、非水系電解液を調製するにあたり、その溶媒とし
て、ホウ酸エステルであるホウ酸トリ−n−プロピル
と、ホウ酸エステル以外の溶媒とを1:1の体積比で混
合させた混合溶媒を用いるようにした。
させるホウ酸エステル以外の溶媒として、下記の表4に
示すように、参考例14ではスルホランを、参考例15
ではプロピレンカーボネートを、参考例16ではエチレ
ンカーボネートを、参考例17ではテトラヒドロフラン
を、実施例1ではジメチルカーボネートを、実施例2で
はジエチルカーボネートを、実施例3ではエチルメチル
カーボネートを用いるようにした。
PF6 を1mol/lの割合で溶解させて非水系電解液
を調製し、それ以外については、上記の参考例1〜3の
場合と同様にして、扁平なコイン型のリチウム二次電池
を作製した。
〜17及び実施例1〜3の各リチウム二次電池について
も、上記の参考例1〜3の場合と同様にして充放電を行
い、その放電容量が初期の放電容量である50mAの半
分の25mA以下になるまでのサイクル数を求め、その
結果を下記の表4に示した。
〜3の各リチウム二次電池のように、非水系電解液にお
ける溶媒に、ホウ酸エステルとそれ以外の溶媒とを混合
させた混合溶媒を用いた場合においても、前記の比較例
1〜4の各リチウム二次電池に比べてサイクル特性が向
上していた。特に、ホウ酸エステルと混合させる他の溶
媒として、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、エチルメチルカーボネートのような鎖状炭酸エステ
ルを用いた実施例1〜3の各リチウム二次電池において
は、非水系電解液における溶媒にホウ酸エステルだけを
用いた参考例1〜3の各リチウム二次電池や、ホウ酸エ
ステルに鎖状炭酸エステル以外の溶媒を混合させた参考
例14〜17の各リチウム二次電池と比べても、さらに
サイクル特性が向上していた。
系電解液における溶媒に、ホウ酸トリ−n−プロピルと
ジエチルカーボネートとを混合させたものを用いるにあ
たり、ホウ酸トリ−n−プロピルとジエチルカーボネー
トとの体積比を下記の表5に示すように変更させ、それ
以外は、上記の実施例2の場合と同様にして、各リチウ
ム二次電池を作製した。
ム二次電池についても、上記の参考例1〜3の場合と同
様にして充放電を行い、その放電容量が初期の放電容量
である50mAの半分の25mA以下になるまでのサイ
クル数を求め、その結果を下記の表5に示した。
ホウ酸エステルであるホウ酸トリ−n−プロピルだけを
用いたリチウム二次電池や、ホウ酸エステルであるホウ
酸トリ−n−プロピルとジエチルカーボネートとの混合
溶媒を用いたリチウム二次電池は、ホウ酸エステルであ
るホウ酸トリ−n−プロピルを加えずにジエチルカーボ
ネートだけを使用したリチウム二次電池に比べて、サイ
クル特性が向上していた。
酸エステルであるホウ酸トリ−n−プロピルだけを用い
たリチウム二次電池に比べ、ホウ酸エステルであるホウ
酸トリ−n−プロピルとジエチルカーボネートとを10
〜95:90〜5の体積比で混合させた混合溶媒を使用
したリチウム二次電池の方が、サイクル特性がさらに向
上しており、特に、ホウ酸トリ−n−プロピルとジエチ
ルカーボネートとの体積比を30〜70:70〜30の
範囲にしたリチウム二次電池においては、一層サイクル
特性が向上していた。
非水電解質二次電池においては、非水系電解液の溶媒と
して、ホウ酸エステルと鎖状炭酸エステルとが10〜9
5:90〜5の範囲の体積比で混合された混合溶媒を用
いるようにしたため、このような非水系電解液と負極等
とが反応するのが抑制されて、非水電解質二次電池にお
けるサイクル特性が向上した。
作製したリチウム二次電池の内部構造を示した断面説明
図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 正極と、負極と、非水系電解液とを備え
た非水電解質二次電池において、上記の非水系電解液に
おける溶媒として、ホウ酸エステルと鎖状炭酸エステル
とが10〜95:90〜5の範囲の体積比で混合された
混合溶媒を用いたことを特徴とする非水電解質二次電
池。 - 【請求項2】 請求項1に記載した非水電解質二次電池
において、前記のホウ酸エステルが、ホウ酸トリエチル
とホウ酸トリ−n−プロピルとから選択されることを特
徴とする非水電解質二次電池。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載した非水電解質二
次電池において、前記の非水系電解液の溶媒として、ホ
ウ酸エステルと鎖状炭酸エステルとが30〜70:70
〜30の範囲の体積比で混合された混合溶媒を用いたこ
とを特徴とする非水電解質二次電池。 - 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項に記載した非
水電解質二次電池において、前記の非水系電解液中に、
フッ素原子を含む溶質が含有されていることを特徴とす
る非水電解質二次電池。 - 【請求項5】 請求項1〜4の何れか1項に記載した非
水電解質二次電池において、前記の負極に金属リチウム
を用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。
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