JP3456521B2 - Soi基板の製造方法 - Google Patents
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Description
層を設けたSOI(Silicon On Insulator)基板の製造
方法に関するものである。
路(ULSI)基板として注目されてきている。このS
OI基板の製造方法には、シリコン基板同士を絶縁膜
を介して貼り合わせる方法、絶縁性基板又は絶縁性薄
膜を表面に有する基板の上にシリコン薄膜を堆積させる
方法、シリコン基板の内部に高濃度の酸素イオンを注
入した後、高温でアニール処理してこのシリコン基板表
面から所定の深さの領域に埋込みシリコン酸化層を形成
し、その表面側のSi層を活性領域とするSIMOX法
などがある。また最近、半導体基板に水素イオン等の注
入を行った後に、この半導体基板をイオン注入面を重ね
合せ面として支持基板に重ね合せ、この積層体を500
℃を越える温度に昇温してイオン注入領域に気泡を発生
させ、これにより上記半導体基板を上記イオン注入領域
で支持基板から分離し、支持基板の表面に半導体の薄膜
を有する薄い半導体材料フィルムの製造方法が提案され
ている(特開平5−211128)。この方法では、イ
オンを半導体基板の内部に表面から均一に注入できれ
ば、均一な厚さの薄い半導体層を有する半導体基板が得
られる。また支持基板の表面に予め酸化膜を設けておけ
ば、この方法により支持基板とこの基板上に形成されて
埋込み酸化膜として作用する酸化膜とこの酸化膜上に形
成された半導体層とを有するSOI基板を製造すること
ができる。
い半導体材料フィルムの製造方法では、半導体基板に水
素イオンを注入するときに、比較的多量の3.5×10
16〜10×1016/cm2のドーズ量で注入しなければ
ならず、イオン注入に比較的多くの時間を要し、そのた
めSOI基板の生産性が低下する不具合があった。本発
明の目的は、少ないイオン注入量で効率的にイオン注入
領域に気泡を発生させて半導体基板を上記イオン注入領
域で分離でき、SOI基板の生産性を向上できるSOI
基板の製造方法を提供することにある。
図1に示すように、第1シリコン基板11の表面に酸化
膜12を形成する工程と、第1シリコン基板11の表面
から水素ガスイオン、水素分子イオン、ヘリウムイオン
及びシリコンイオンからなる群から選ばれた1種又は2
種のイオンを注入して第1基板11内部に酸化膜12に
平行なイオン注入領域11aを形成する工程と、第1シ
リコン基板11を水素雰囲気中において400℃以下の
温度で熱処理する工程と、第1シリコン基板11を酸化
膜12を介して支持基板となる第2シリコン基板13に
重ね合わせて密着させる工程と、第1シリコン基板11
を第2シリコン基板13に密着させたまま500〜80
0℃の温度で熱処理して第1シリコン基板11をイオン
注入領域11aで第2シリコン基板13から分離し、こ
れにより第2シリコン基板13の表面にシリコン層11
bを形成する工程と、表面にシリコン層11bを有する
第2シリコン基板13を更に熱処理する工程とを含むS
OI基板の製造方法である。イオン注入領域11aには
イオン注入の結果、ダングリングボンド(水素原子が結
合していないケイ素(Si)の遊離している結合用の
手)が形成される。このダングリングボンドはイオン注
入工程の次に実施される水素雰囲気中での400℃以下
の熱処理により供給される水素と結合して終端される。
後に第1シリコン基板11を第2シリコン基板13に密
着させて熱処理する際に、昇温に伴って上記ダングリン
グボンドに結合した水素が水素ガスを発生する。この水
素ガスがイオン注入領域11aに気泡を発生させ、この
気泡を起点として第1シリコン基板11がイオン注入領
域11aで容易に割れて、第2シリコン基板13から分
離し、これにより第2シリコン基板13の表面にシリコ
ン層11bが形成される。なお、本明細書で「水素雰囲
気」とは水素ガス雰囲気又は水素プラズマ雰囲気をい
う。水素プラズマ雰囲気中では水素はより活性なものと
なる。
明であって、水素ガスイオン、水素分子イオン、ヘリウ
ムイオン及びシリコンイオンからなる群から選ばれた1
種又は2種のイオンの注入量が0.5×1016〜3.5
×1016/cm2であるSOI基板の製造方法である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であ
って、注入するイオンが水素ガスイオン又は水素分子イ
オンとヘリウムイオンであるとき前記イオンの注入順序
は前記ヘリウムイオンを注入した後に前記水素ガスイオ
ン又は水素分子イオンを注入するSOI基板の製造方法
である。この請求項2又は3に記載されたSOI基板の
製造方法では、従来の水素ガスイオンを単独で注入した
ときのイオン注入量3.5×1016〜10×1016/c
m2と比べて少ないイオンのトータル注入量で、イオン
注入領域11aに気泡を発生させることができる。
基づいて説明する。図1に示すように、本発明のSOI
基板を製造するには、先ずシリコンウェーハからなる第
1シリコン基板11を熱酸化により表面に酸化膜12を
形成する(図1(a))。次いでこの第1基板11に水
素イオン又はヘリウムイオンのいずれか一方又は双方の
イオンを0.5×1016〜3.5×1016/cm2のド
ーズ量でイオン注入して、第1基板11内部にイオン注
入領域11aを酸化膜12と平行に形成する(図1
(b))。即ち、このイオン注入には、水素ガスイオ
ン、水素分子イオン、ヘリウムイオン又はシリコンイオ
ンのいずれか1種のイオンを注入する方法、及びヘリ
ウムイオンを注入後、水素ガスイオン、水素分子イオン
又はシリコンイオンを注入する方法がある。ここでの
方法では上記イオンのいずれかを0.5×1016〜3.
5×1016/cm2のドーズ量で注入し、の方法では
ヘリウムイオンを0.5×1016〜3.5×1016/c
m2のドーズ量で注入した後、水素ガスイオン、水素分
子イオン又はシリコンイオンを0.5×1016〜3.5
×1016/cm2のドーズ量で注入することが好まし
い。
て400℃以下、好ましくは300〜400℃の温度で
熱処理する(図1(c))。400℃以下で熱処理する
のは、400℃を超えると第2基板13に重ね合せる前
に第1基板11がイオン注入領域11aのところで割れ
を生じる恐れがあるためである。次いで上記第1基板1
1と同一表面積を有し、支持基板となるシリコンウェー
ハからなる第2シリコン基板13を用意し(図1
(d))、両基板11,13をRCA法により洗浄した
後、第2基板13上に第1基板11を室温で重ね合せて
密着させる(図1(e))。
させたまま窒素雰囲気中で500〜800℃、好ましく
は500〜600℃の温度範囲に昇温し、この温度範囲
に5〜30分間保持して薄膜分離熱処理を行う。これに
より第1基板11がイオン注入領域11aのところで割
れて上部の厚肉部11cと下部の薄いシリコン層11b
に分離する(図1(f))。ここで、上記熱処理の温度
を500〜800℃に限定したのは、500℃未満では
図1(c)で示した上記水素雰囲気中での熱処理によっ
て第1基板11内に供給された水素による気泡内圧の上
昇が十分でない不具合があり、800℃を越えると気泡
の成長が進んで表面粗さが増大する不具合があるからで
ある。次に温度を下げて、厚肉部11cを取除き(図1
(g))、表面にシリコン層11bを有する第2基板1
3を酸素又は窒素雰囲気中で900〜1200℃の範囲
に昇温しこの温度範囲に30〜120分間保持する熱処
理を行う(図1(h))。この熱処理はシリコン層11
bの第2基板13への貼合せを強固にする熱処理であ
る。最後にシリコン層11bの分離面及び厚肉部11c
の分離面をそれぞれ研磨(タッチポリッシング)して平
滑化する(図1(i)及び図1(j))。これにより第
2基板13はSOI基板となり、厚肉部11cは新たな
シリコン基板として再びSOI基板の製造に使用でき
る。
明の実施例を比較例とともに説明する。 <実施例1>図1(a)に示すように、厚さ625μm
のシリコンウェーハからなるシリコン基板11を熱酸化
して表面に厚さ400nmの酸化膜12を形成した。こ
のシリコン基板11に70keVの電圧を印加して水素
ガスイオン(H+)を1×1016/cm2注入した(図1
(b))。次いでこのシリコン基板11を水素ガス雰囲
気中において350℃の温度で60分間熱処理した(図
1(c))。この熱処理されたシリコン基板11を実施
例1のシリコン基板とした。
ウムイオン(He+)を1×1016/cm2注入したこと
を除いては実質的に実施例1の方法を繰返して実施例2
のシリコン基板を製造した。
イオンを0.5×1016/cm2注入した後に、水素ガ
スイオンを0.5×1016/cm2注入したことを除い
ては実質的に実施例1の方法を繰返して実施例3のシリ
コン基板を製造した。
処理を実施せず、また1×1016/cm2のドーズ量で
水素ガスイオンを注入したことを除いては実質的に実施
例1の方法を繰返して比較例1のシリコン基板を製造し
た。
較例1のシリコン基板を薄膜分離熱処理と同一の熱処
理、即ち窒素雰囲気中で600℃に30分間保持した後
に、各シリコン基板の酸化膜表面にブリスタ(火ぶく
れ)が発生したか否かを調べた。その結果を表1に示
す。なお、上記熱処理後に酸化膜表面のブリスタの発生
の有無を調べた理由を述べると、本発明の方法でSOI
基板を製造するためには、第1基板11と第2基板13
とを密着させて熱処理した場合、第1基板11のイオン
注入領域11bで気泡が発生することが必要であり、こ
の気泡が発生すると酸化膜12表面にブリスタが発生す
るためである。即ち、ブリスタの発生の有無によりイオ
ン注入領域11bでの気泡の発生の有無を判断できるか
らである。
はブリスタが発生したのに対し、比較例1ではブリスタ
が発生しなかった。これは、実施例1〜3ではイオン注
入量が少なくても、イオン注入後の水素ガス雰囲気中で
の熱処理により水素が供給され、この水素がイオン注入
領域11aのケイ素(Si)のダングリングボンドに結
合し、後に第1基板11と第2基板を密着させて加熱処
理する際に水素ガスの気泡を発生し、ブリスタを生じる
ためである。これに対し、比較例1ではイオン注入後の
水素雰囲気中での熱処理が実施されないため、このよう
にイオン注入量が少ないと、ブリスタが発生しない。特
に、実施例3では質量の重いヘリウムイオンを先に注入
することで、相対的に軽い水素ガスイオンに比べて効果
的にイオン注入領域11aが形成され、この後に注入さ
れた水素ガスイオンの注入分布幅をシャープにするた
め、イオンのトータル注入量が実施例1及び2よりも少
ないが、ブリスタを生じる。
1シリコン基板の表面に酸化膜を形成し、第1シリコン
基板の表面から水素ガスイオン、水素分子イオン、ヘリ
ウムイオン及びシリコンイオンからなる群から選ばれた
1種又は2種のイオンを注入して、第1シリコン基板内
部にイオン注入領域を形成し、第1シリコン基板を水素
雰囲気中で400℃以下の温度で熱処理し、第1シリコ
ン基板を上記酸化膜を介して第2シリコン基板に重ね合
わせて密着させ、第1シリコン基板を第2シリコン基板
に密着させたまま熱処理するようにしたから、少ないイ
オン注入量で効率的にイオン注入領域に気泡が発生す
る。即ち、本発明では第1シリコン基板を効率的にイオ
ン注入領域で厚肉部と薄いシリコン層とに分離できる。
この結果、短時間でイオン注入を行うことができるの
で、SOI基板の生産性を向上できる。
順に示す図。
Claims (3)
- 【請求項1】 第1シリコン基板(11)の表面に酸化膜(1
2)を形成する工程と、 前記第1シリコン基板(11)の表面から水素ガスイオン、
水素分子イオン、ヘリウムイオン及びシリコンイオンか
らなる群から選ばれた1種又は2種のイオンを注入して
前記第1基板(11)内部に前記酸化膜(12)に平行なイオン
注入領域(11a)を形成する工程と、 前記第1シリコン基板(11)を水素雰囲気中において40
0℃以下の温度で熱処理する工程と、 前記第1シリコン基板(11)を前記酸化膜(12)を介して支
持基板となる第2シリコン基板(13)に重ね合わせて密着
させる工程と、 前記第1シリコン基板(11)を前記第2シリコン基板(13)
に密着させたまま500〜800℃の温度で熱処理して
前記第1シリコン基板(11)を前記イオン注入領域(11a)
で前記第2シリコン基板(13)から分離し、これにより前
記第2シリコン基板(13)の表面にシリコン層(11b)を形
成する工程と、 表面に前記シリコン層(11b)を有する前記第2シリコン
基板(13)を更に熱処理する工程とを含むSOI基板の製
造方法。 - 【請求項2】 水素ガスイオン、水素分子イオン、ヘリ
ウムイオン及びシリコンイオンからなる群から選ばれた
1種又は2種のイオンの注入量が0.5×1016〜3.
5×1016/cm2である請求項1記載のSOI基板の
製造方法。 - 【請求項3】 注入するイオンが水素ガスイオン又は水
素分子イオンとヘリウムイオンであるとき前記イオンの
注入順序は前記ヘリウムイオンを注入した後に前記水素
ガスイオン又は水素分子イオンを注入する請求項1又は
2記載のSOI基板の製造方法。
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