JP3447101B2 - 熱可塑性ポリウレタンエラストマー成形品の製造方法 - Google Patents
熱可塑性ポリウレタンエラストマー成形品の製造方法Info
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Description
た熱可塑性ポリウレタンエラストマー成形品の製造方法
に関する。 【0002】 【従来の技術】ポリウレタンエラストマーは、その引張
強度、引裂強度、耐摩耗性などの機械的物性や、耐油
性、低温特性などに優れているため、各種チューブ、ホ
ース、ローラー、ベルト、フィルム、電線被覆などに用
いられるほか、スキー靴、スポーツシューズ底材などの
履物用途、自動車のサイドプロテクター、ラックアンド
ピニオンブーツ、等速ジョイントブーツ、あるいは各種
コーティング剤、接着剤などの広い用途に利用されてい
る。これらのポリウレタンエラストマーの成形は、最終
製品の形状及び特性から、主に、注型法(一般に熱硬化
法といわれる)、混練法、および熱可塑法の3方法によ
り行われる。注型法は、高分子ポリオール、ポリイソシ
アネートおよび必要に応じて鎖延長剤を同時に(ワンシ
ョット法)、またはこれらの原料を部分反応させたプレ
ポリマーに残りの原料を反応させ(プレポリマー法)、
モールド内に注入し加熱硬化させる方法である。混練法
は、前記原料を一定の配合で反応させてプレガム化した
ものを、硫黄、ジイソシアネート(TDIのダイマーが
多い)、または過酸化物とともに混練機(ミキシングロ
ール、ニーダー、バンバリーなど)により混練した後、
加熱して架橋させる方法である。熱可塑法は、前記原料
を完全に反応させて、その後、成形しやすい粒状または
粉体状の中間製品とし、これを射出成形機、押出成形
機、カレンダー成形機などで熱間成形して最終成形品を
得る方法である。熱可塑法に用いる熱可塑性ポリウレタ
ンエラストマー中間製品は、後の熱間成形を容易にする
ために当然、線状高分子であることが必要であり、この
ために原料高分子ポリオールおよび鎖延長剤はいずれも
分子中に2個の活性水素原子を有する化合物であり、ポ
リイソシアネートは分子中に2個のイソシアネート基を
有する化合物に限られる。一般に、ポリウレタンエラス
トマー用原料としては、通常、数平均分子量500〜5
000の分子中に2個以上の活性水素原子を有する脂肪
族、芳香族、脂環族のアルコール、アミンなどが知られ
ているが、副反応を抑え成形性を良く保つために、鎖延
長剤としては通常、脂肪族グリコールが用いられる。こ
のような脂肪族グリコールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−
オクタンジオール、1,9−ノナンジオールなどがある
が、得られるポリウレタンエラストマーの機械的物性や
経済性などから1,4−ブタンジオールが一般的であ
る。一方、鎖延長剤として用いる芳香族グリコールとし
て、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン
が知られている。この化合物は、主に取扱上の安全衛生
面を加味してTDIの代わりに用いる4,4′−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート(MDI)系イソシアネー
ト末端プレポリマーの鎖延長剤としては反応性が大きす
ぎて使用できない芳香族アミン(例:3,3′−ジクロ
ロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン)の代替とし
て、一部使用されている。しかし、熱可塑性ポリウレタ
ンエラストマーにおいては、ほとんどの場合、ポリイソ
シアネートはMDIで、鎖延長剤としては1,4−ブタ
ンジオールが用いられており、これに高分子ジオールを
含めた反応によるウレタン基濃度の調整により、その硬
度、伸びなどの物性が大幅に変えられ、十分満足できる
特性が得られている。しかしながら、熱可塑性ポリウレ
タンエラストマーの耐熱性や耐摩耗性をさらに向上させ
る目的でポリウレタン分子中に芳香環を導入する試みが
なされ、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベン
ゼンを脂肪族グリコール鎖延長剤の代替として使用する
ことが検討されはじめた。ところが、その結果、確かに
軟化点は若干向上し圧縮永久歪もある程度改良される事
は分かったが、熱硬化性ポリウレタンエラストマーに匹
敵する圧縮永久歪を得るまでには至っていない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】熱硬化性ポリウレタン
樹脂の成形時の減圧脱泡、加熱キュア、二次キュア等の
繁雑さや、モールドサイクルの長さのほか、リサイクル
の困難性といった環境問題からも、次第に熱硬化性ポリ
ウレタン樹脂から熱可塑性ポリウレタンエラストマーに
移行する傾向にある。その際、とくに物性上問題になる
ところは、従来の熱硬化性ポリウレタン樹脂の持つ耐熱
性や圧縮永久歪の良さを熱可塑性ポリウレタンエラスト
マーに持たせる点である。本発明は、特に熱硬化性ポリ
ウレタン樹脂に匹敵する圧縮永久歪、その他の機械的物
性および耐熱性などを持つ熱可塑性ポリウレタンエラス
トマー成形品の製造方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、(A)数平均分子量500〜5000の
高分子ジオール、(B)有機ジイソシアネート、及び
(C)1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼ
ンを(B)のイソシアネート基/{(A)+(C)}の
ヒドロキシル基=1.07〜1.15のモル比の範囲で
反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマー
を、熱間成形し次いで90〜130℃で16〜72時間
加熱熟成させてなる成形品の製造方法であって、熱間成
形直後の成形品の残存イソシアネート基濃度を、赤外分
光光度計により測定された1596cm-1における芳香
族二重結合基準吸光度に対する2270cm-1における
イソシアネート基基準吸光度の比が0.15〜0.30
の範囲となるようにしたことを特徴とする前記方法であ
る。 【0005】本発明における熱可塑性ポリウレタンエラ
ストマーの製造に用いられる高分子ジオールとしては、
例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペン
タンジオールなどのジオールの単独または混合物とアジ
ピン酸、フタル酸などの脂肪族または芳香族二塩基酸と
の縮合によって得られるポリエステルポリオール、ポリ
アルキレンカーボネートジオール、ε−カプロラクトン
の開環付加重合によって得られるポリカプロラクトンエ
ステルジオール、各種活性水素化合物にアルキレンオキ
サイドを付加したポリオキシアルキレンエーテルグリコ
ール、テトラヒドロフランの開環付加重合によって得ら
れるポリテトラメチレンエーテルグリコールを挙げるこ
とができる。これらの高分子ジオールは、それら単独の
みならず各種組合せによる混合型として使用することも
できる。また、高分子ジオールの数平均分子量は500
〜5000のものが用いられるが、1000〜3000
のものが好ましい。その理由は、分子量が500より小
さいと、合成された熱可塑性ポリウレタンエラストマー
のガラス転移温度が高くなり、低温性が悪くなるからで
ある。分子量が5000より大きいと、射出成形機、押
出成形機、カレンダー成形機などで熱間成形するときに
流動性が悪く、良好な成形品が得られないという問題が
発生する。 【0006】有機ジイソシアネートとしては、例えば、
2,4−トリレンジイソシアネート、ο−トリジンジイ
ソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシア
ネートのような芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキ
サメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネートや4,4′−ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネートのような脂環族ジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネートのような
アルアルキルジイソシアネートを単独あるいは混合して
用いることができるが、4,4′−ジフェニルメタンジ
イソシアネートを用いることが最も好ましい。その理由
は、室温およびウレタン化反応時における蒸気圧の低
さ、合成された熱可塑性ポリウレタンエラストマーの物
性のバランスの良さ、さらに経済的利点による。 【0007】1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)
ベンゼンは鎖延長剤として用いるが、製造時の作業性の
点から、一部他のグリコールを併用しても良い。その理
由は、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼ
ンの融点が102〜103℃と高いため、他のグリコー
ルと混合して使うことにより融点を下げることができる
からである。 【0008】本発明に係る熱可塑性ポリウレタンエラス
トマーの製造には、有機金属化合物、3級アミンのよう
なウレタン化反応触媒を使用することも出来る。また、
通常のポリウレタン樹脂に配合しうる成分、例えば、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、耐加水分解剤、顔料、ガラス
繊維、炭素繊維などを添加しても良い。 【0009】高分子ジオールと1,4−ビス(β−ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼンとの使用モル比は、1,4−
ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン/高分子ジオ
ール=0.4〜10.0の範囲であることが好ましい。
有機ジイソシアネートの高分子ジオールおよび1,4−
ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンの合計に対す
る化学当量比(モル比)はイソシアネート基(NCO)
/ヒドロキシル基(OH)=1.07〜1.15、好ま
しくは1.09〜1.12の範囲で前記各原料を反応さ
せる必要があるが、これは驚くべきことに、通常の熱可
塑性ポリウレタンエラストマーのR値と大きく異なって
いる。例えば、Vibretan6020(イソシアネ
ート末端プレポリマー、シーエムシー社発行の「最新ポ
リウレタン応用技術」第126頁〜第130頁及び第1
38頁〜第139頁参照)の1,4−ビス(β−ヒドロ
キシエトキシ)ベンゼンで鎖延長する配合は、1,4−
ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンのOH基と該
プレポリマーのNCO基当量で0.95、即ちR値では
約1.053になる。つまり、本発明におけるポリウレ
タンエラストマー製造の原料配合全体では、R値は従来
公知の熱可塑性ポリウレタンエラストマーのR値1.0
53を大きく上回った数値になる。 【0010】これらの使用原料を用いて熱可塑性ポリウ
レタンエラストマーを製造する方法は、前記ワンショッ
ト法またはプレポリマー法のいずれによってもよい。こ
のようにして製造された熱可塑性ポリウレタンエラスト
マーは、射出成形、押出成形、カレンダー成形などの熱
間成形をすることができる。 【0011】熱間成形直後の熱可塑性ポリウレタンエラ
ストマーの残存NCO基濃度は、赤外分光光度計の吸光
度比で1596cm-1の芳香族二重結合基準吸光度に対
する2270cm-1のNCO基基準吸光度(KRS−5
クリスタルを使用した全反射測定による)の吸光度比
で、2270cm-1の吸光度/1596cm-1の吸光度
=0.15〜0.30の範囲になるようにする(ATR
法)。前記モル比範囲で合成された熱可塑性ポリウレタ
ンエラストマーは、実際には前述したATR法による残
存NCO基測定法において範囲を規定した数値を上回る
可能性があるが、その場合には、予め範囲を規定した残
存NCO基よりも過剰のNCO基を活性水素含有物質、
例えば、低分子グリコール、水などと反応させることに
より規定の範囲内に入るように調整できる。 【0012】熱間成形直後の残存NCO基濃度が前記規
定量に入るようにして調製された熱可塑性ポリウレタン
エラストマー成形品は、熱間成形された後、90〜13
0℃で16〜72時間、好ましくは105〜120℃で
16〜72時間加熱熟成させ実質的にNCO基を消失さ
せると、更に良好な圧縮永久歪を示す。熱間成形直後の
残存NCO基濃度が前記規定範囲を外れた場合は、上記
の熱処理条件を加えても圧縮永久歪が良くならない。 【0013】 【発明の効果】以上説明した通り、本発明により、特に
熱硬化性ポリウレタン樹脂に匹敵する圧縮永久歪、その
他の機械的物性および耐熱性などを持つ熱可塑性ポリウ
レタンエラストマー成形品の簡易かつ効率的な製造方法
を提供することができる。本発明の方法により製造され
る成形品は、油圧シリンダーパッキン、空圧シリンダー
パッキンなどのシール材、ソリッドタイヤ、キャスタ
ー、ローラー、チューブ、ホースなどとして有用であ
り、リサイクルも可能である。 【0014】 【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明を更
に詳細に説明する。実施例及び比較例において、「部」
及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を意味
する。 【0015】実施例1 数平均分子量2000のポリカプロラクトンエステルジ
オール(大日本インキ(株)製)100部に対し1,4
−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(三井石油
化学(株)製)24.8部とジフェニルメタンジイソシ
アネート(日本ポリウレタン工業(株)製)48.1部
をNCO基/OH基(モル比)=1.10で反応させて
得られた熱可塑性ポリウレタンエラストマーを活性水素
化合物(例えば水分)により所定時間処理した。この熱
可塑性ポリウレタンエラストマーを射出成形して得られ
た成形品の成形直後の残存NCO基濃度は、赤外分光光
度計により2270cm-1の吸光度/1596cm-1の
吸光度=0.25であった。この熱可塑性ポリウレタン
エラストマー成形品を105℃、72時間加熱熟成し
た。得られた成形品の物性値を表1に示す。 【0016】比較例1 実施例1と同様にして製造した熱可塑性ポリウレタンエ
ラストマーを実施例1の場合より長い所定時間だけ過剰
の活性水素化合物(例えば水分)で処理した。この熱可
塑性ポリウレタンエラストマーを射出成形して得られた
成形品の成形直後の残存NCO基濃度は2270cm-1
の吸光度/1596cm-1の吸光度=0.05であっ
た。更に実施例1と同様にして成形品の加熱熟成を行っ
た。得られた熱可塑性ポリウレタンエラストマー成形品
の物性値を表1に示す。 【0017】比較例2 実施例1と同じ配合で製造した熱可塑性ポリウレタンエ
ラストマーを射出成形して得られた成形品の成形直後の
残存NCO基濃度が2270cm-1の吸光度/1596
cm-1の吸光度=0.45である以外は実施例1と同様
にして成形品を製造し、その加熱熟成を行った。得られ
た熱可塑性ポリウレタンエラストマー成形品の物性値を
表1に示す。 【0018】 【表1】
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)数平均分子量500〜5000の
高分子ジオール、(B)有機ジイソシアネート、及び
(C)1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼ
ンを(B)のイソシアネート基/{(A)+(C)}の
ヒドロキシル基=1.07〜1.15のモル比の範囲で
反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマー
を、熱間成形し次いで90〜130℃で16〜72時間
加熱熟成させてなる成形品の製造方法であって、 熱間成形直後の成形品の残存イソシアネート基濃度を、
赤外分光光度計により測定された1596cm-1におけ
る芳香族二重結合基準吸光度に対する2270cm-1に
おけるイソシアネート基基準吸光度の比が0.15〜
0.30の範囲となるようにしたことを特徴とする前記
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04337194A JP3447101B2 (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | 熱可塑性ポリウレタンエラストマー成形品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04337194A JP3447101B2 (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | 熱可塑性ポリウレタンエラストマー成形品の製造方法 |
Publications (2)
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JPH07228661A JPH07228661A (ja) | 1995-08-29 |
JP3447101B2 true JP3447101B2 (ja) | 2003-09-16 |
Family
ID=12661991
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP04337194A Expired - Lifetime JP3447101B2 (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | 熱可塑性ポリウレタンエラストマー成形品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3447101B2 (ja) |
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RU2413108C2 (ru) | 2005-12-06 | 2011-02-27 | Нок Корпорейшн | Система уплотнения штока |
JP5623825B2 (ja) * | 2010-08-25 | 2014-11-12 | 株式会社ブリヂストン | タイヤの製造方法 |
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CN114057971B (zh) * | 2020-08-05 | 2023-05-26 | 北京化工大学 | 一种热塑性聚氨酯弹性体及制备方法 |
-
1994
- 1994-02-18 JP JP04337194A patent/JP3447101B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH07228661A (ja) | 1995-08-29 |
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