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JP3442576B2 - ドラム式回転処理装置 - Google Patents

ドラム式回転処理装置

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Publication number
JP3442576B2
JP3442576B2 JP16401296A JP16401296A JP3442576B2 JP 3442576 B2 JP3442576 B2 JP 3442576B2 JP 16401296 A JP16401296 A JP 16401296A JP 16401296 A JP16401296 A JP 16401296A JP 3442576 B2 JP3442576 B2 JP 3442576B2
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JP
Japan
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drum
rotation
speed
vibration
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JP16401296A
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健 松本
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Sharp Corp
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Sharp Corp
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Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
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Priority to US08/697,265 priority patent/US5887456A/en
Priority to MYPI96003512A priority patent/MY127809A/en
Priority to KR1019960036276A priority patent/KR100254658B1/ko
Priority to DE69630567T priority patent/DE69630567T2/de
Priority to EP96306299A priority patent/EP0763618B1/en
Priority to EP03012585A priority patent/EP1354998A3/en
Priority to EP01202925A priority patent/EP1164217B1/en
Priority to DE69633687T priority patent/DE69633687T2/de
Priority to CN96122774A priority patent/CN1110593C/zh
Publication of JPH105485A publication Critical patent/JPH105485A/ja
Priority to US09/272,242 priority patent/US6032494A/en
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  • Control Of Washing Machine And Dryer (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドラム式回転処理
装置に関し、さらに詳しくは、衣類等の布製品の洗濯、
脱水を行う(さらに乾燥まで行う場合もある)ドラム式
洗濯機、単に乾燥のみを行うドラム式乾燥機等に適用可
能なドラム式回転処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のドラム式洗濯機によれば、洗濯時
には、被処理物がドラム内部を動くことができる速度で
ドラムを低速回転させ、脱水時には、被処理物がドラム
の周壁内面に張り付く速度でドラムを高速回転させてい
た。このような制御では、高速回転時に被処理物がドラ
ム内で偏在していると、異常振動が発生するという問題
があり、この問題を解消するために様々な提案がなされ
ている。
【0003】例えば、特公昭50−16099号公報に
は、ドラムの水平方向の振幅を検出する検出装置を有
し、低速回転時には、この検出装置でドラムを含む水槽
の振幅を検出し、その振幅の大きさが所定値以下で、か
つ、ドラムの一周期(1回転)以上持続する場合にのみ
ドラムを高速回転に移行せしめるようにしたドラム式洗
濯機が開示されている。
【0004】また、特開平3−86197号公報には、
洗濯時の低速回転と、脱水時の高速回転の間の回転速度
でドラムを脱水予備回転させ、ドラムの回転速度を検出
する回転速度検出手段から出力される検出値の変化量が
予め設定された値以下の場合にのみドラムを高速回転に
移行せしめるようにしたドラム式洗濯機が開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の発明では、異常振動の発生を大幅に低減することは
できるものの、異常振動を確実に防止することができる
とは限らなかった。即ち、前者のものでは、低速回転時
に被処理物がドラム内で絶えず転動しており、ドラムの
振幅は安定することなく、1回転の間でも絶えず変化し
ているため、振幅の平均値が所定値以下の場合にドラム
を高速回転に立ち上げたとしても、そのままの状態でド
ラムが高速回転に移行するか否かは不明であった。ただ
し、大きな異常振動だけを防止するのにはそれなりの効
果があったが、より低振動化を図る場合には十分ではな
かった。
【0006】また、後者のものでは、脱水予備回転中に
被処理物がドラムの内周壁に付着したり剥離したりしな
がら転動しており、被処理物はドラムの内周壁にほとん
ど張り付くような状態になっておらず、この回転数にお
いて約1回転でアンバランスの変化を検知しているた
め、高速回転への立ち上げの時点では約1回転の遅れと
なり、その間に被処理物の転動が起こり、必ずしも良い
状態でドラムが高速回転に移行するとは限らなかった。
【0007】このように、従来のものでは、ドラム内の
被処理物が絶えず転動する回転数でドラムの振動を検出
しているため、低振動を検出してもそのままの状態でド
ラムを高速回転に移行させることができるか否かは不明
であった。即ち、ドラムの高速回転への立ち上げの可否
の判定のタイミングと高速回転への立ち上げのタイミン
グとの間に遅れが生じ、この遅れにより被処理物の状態
が変化するため、ドラムを意図した振動レベルで高速回
転に移行させることができないという問題があった。
【0008】なお、上記の問題はドラム式洗濯機に限ら
れるものではなく、単に乾燥のみを行うドラム式乾燥機
やその他のドラム式回転処理装置にも同様の問題があっ
た。
【0009】本発明は、上記のような問題を解決するた
めになされたもので、その目的は、ドラムを意図した振
動レベルで高速回転に立ち上げることができるようにし
たドラム式回転処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、外枠
内に回転可能に支持され、被処理物を収容するドラム
と、当該ドラムを回転駆動させる回転駆動手段と、前記
ドラム内を被処理物が動く回転数で当該ドラムを低速回
転させてから高速回転に移行するように前記回転駆動手
段を制御する制御手段と、前記ドラム内における被処理
物の片寄りを検知するアンバランス検知手段とを備えた
ドラム式回転処理装置であって、前記制御手段は、低速
回転時に被処理物全体が前記ドラムの内周壁に張り付く
直前の回転数であるバランス回転数で当該ドラムを回転
させ、該バランス回転数を維持することで被処理物のア
ンバランスを修正しながら、前記アンバランス検知手段
の出力が所定のレベル以下である場合に、前記ドラムを
高速回転に立ち上げるようにしたことを特徴とするドラ
ム式回転処理装置である。
【0011】請求項2の発明は、請求項1において、さ
らに、前記外枠内に振動可能に支持され、前記ドラムを
内包する支持体を備え、前記アンバランス検知手段は、
前記支持体に設置されると共に、前記ドラムの回転中心
軸方向と直交する方向における前記支持体の振動を検知
する振動検知手段からなり、前記制御手段は、前記バラ
ンス回転数で前記ドラムを回転させ、当該振動検知手段
の出力の絶対値が基準値以下となった状態が所定時間A
持続した場合に、前記ドラムを高速回転に立ち上げるよ
うにしたことを特徴とするドラム式回転処理装置であ
る。
【0012】請求項3の発明は、請求項2において、前
記制御手段は、被処理物の量に応じて、前記バランス回
転数を変化させることを特徴とするドラム式回転処理装
置である。
【0013】請求項4の発明は、請求項2において、前
記振動検知手段の出力は、約3Hzの低域フィルタで波
形処理されることを特徴とするドラム式回転処理装置で
ある。
【0014】請求項5の発明は、請求項2において、前
記所定時間Aは、ドラムが半回転する時間以上、1回転
する時間以下に設定されることを特徴とするドラム式回
転処理装置である。
【0015】請求項6の発明は、請求項3において、前
記制御手段は、前記バランス回転数に応じて、前記所定
時間Aを変化させることを特徴とするドラム式回転処理
装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明のドラム式回転処理
装置をドラム式洗濯機に適用した実施形態について図面
を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明にかかる
ドラム式洗濯機の概略構造を示す側方視縦断面図であ
る。このドラム式洗濯機は、箱型の外枠1と、この外枠
1内に配設され、洗濯用液やすすぎ水等を貯える水槽2
と、この水槽2内に回転可能に支持され、洗濯物を収容
するドラム3とを備えている。
【0017】ドラム3は、直径が約46cmの円筒状の
ものであり、その周壁全体に多数の小孔3aを有し、奥
壁から内向に突出した水平軸6を介して水槽2に設けら
れた軸受7に回転可能に支持されている。8はドラム3
を回転駆動させるドラム用モータであり、その回転軸に
はプーリ9が固着されている。このプーリ9は駆動ベル
ト10を介して水平軸に固着されたドラム駆動プーリ1
1に連結されている。
【0018】12は外枠1の前面に設けられ、洗濯物を
出し入れするため開閉するドアであり、17はドラム3
の回転数を検出するための回転センサである。なお、こ
の回転センサ17は、水槽2の外後面に固着されたリー
ドスイッチ18と、このリードスイッチ18と対向する
ようにドラム駆動プーリ11に固着されたマグネット1
9とからなる。
【0019】また、水槽2は、水を供給する給水管4
1、洗濯用液やすすぎ水を循環させる循環パイプ42、
洗濯用液やすすぎ水を循環貯水する貯水タンク43、洗
濯用液やすすぎ水を排出するための排出口44を有して
いる。さらに、外枠1の前面には、電源スイッチ、スタ
ートスイッチ等が設けられた操作パネル45が取り付け
られている。
【0020】水槽2の底面は、図2に示されるように、
振動を緩衝するショックアブソーバ4よって支持さ
れ、さらに水槽2は、外枠1の内側上方に取り付けられ
た振動を緩衝するバネ5によって吊り下げられている。
したがって、これらのショックアブソーバ4およびバネ
5によって、水槽2は外枠1内に振動可能に支持されて
いる。
【0021】本実施形態のドラム式洗濯機は、水槽2の
振動を検知する振動センサを備えている。振動センサの
具体例としては、水槽2の振幅を直接検知する変位セン
サ、水槽2に加えられた加速度に比例した電気信号を出
力する水晶やセラミック等の圧電素子の圧電効果を利用
した加速度センサ等が挙げられる。本実施形態では加速
度センサが採用されている。
【0022】図2から明らかなように、加速度センサ2
0は、ドラム3の回転中心軸方向と直交し、かつ、洗濯
機の設置面に対して水平な方向における水槽2の振動
(振幅水平成分)を検知するように水槽2の上部に取り
付けられている。水槽2の振幅水平成分は、図中におい
て矢印により示されている。
【0023】加速度センサ20の原理は次のとおりであ
る。加速度センサ20を構成するハウジング内の重りが
外部からの振動によって圧電素子に力を加え、該圧電素
子のストレスによって正イオンと負イオンのバランスが
崩れて電荷が発生する。電荷は電極によって蓄積され、
最終的に振動検知回路を通じて振動波形として出力され
る。蓄積された電荷量は、加えられた力に比例し、その
力は加速度に比例する。
【0024】図3は振動センサとして加速度センサが使
用された場合の振動検知回路のブロック図である。同図
において、加速度センサ20から出力された信号は、増
幅回路21で増幅され、低域フィルタ(以下、ローパス
フィルタ)22で変換された後、さらに増幅回路23で
増幅され、振動波形として出力される。また、図4は図
3のローパスフィルタを示す基本回路図である。同図に
おいて、24、25は加速度センサ20の出力が与えら
れる入力端子であり、26は演算増幅器、R1は抵抗、
C1はコンデンサ、C2は帰還コンデンサ、27は出力
端子である。
【0025】なお、本実施形態で使用されるローパスフ
ィルタは約3Hzのものが適している。すなわち、振動
体の振動特性の違い、例えばバネ定数、回転数、被処理
物の早い動き等の違いによって、振動波形が大きく異な
り、どのような振動系にも対応できるように波形処理を
する必要があるからである。
【0026】次に、本実施形態のドラム式洗濯機の制御
手段である電子制御回路について説明する。電子制御回
路は、図5に示すように、制御部と演算部で構成される
CPU100、データバス101、ROM、RAMのメ
モリ102、I/Oインターフェース103、回転セン
サ17、当該回転センサ17の出力から回転数を検知す
る回転数検知回路104、加速度センサ20、当該加速
度センサ20から出力された信号を振動波形として出力
する振動検知回路105、洗濯、すすぎ等の各種処理の
設定および実行指示を行うためのキー入力部106、ド
ラム用モータ8および当該ドラム用モータ8を駆動させ
る駆動回路107を有している。
【0027】ここで、図1および2に示されるドラム3
が低速で回転している場合を考えると、垂直方向の振動
は重力の影響を強く受けるため、ドラム3内のアンバラ
ンス量が同じでも下方向への振動は大きく、上方向への
振動は小さくなる。一方、水平方向の振動は、左右どち
らの方向へも同等の重力を受けるため、重力の影響より
もドラム3内のアンバランスに起因する振動の方がはる
かに大きくなる。したがって、ドラム3の回転中心軸方
向と直交する水平方向の振動を検知することによって、
洗濯物の片寄りがどの程度あるのかを知ることができ
る。
【0028】すなわち、図6に示される如く、ドラム3
が回転すると、アンバランスな箇所が左右に移動し、そ
れぞれ左右への振れを生じる。したがって、アンバラン
スな箇所があれば、ドラム3が1回転する間に、左右に
1回ずつ振れるので、これを振動波形として捉えるよう
にすれば、洗濯物の片寄りがどの程度あるのかを知るこ
とができる。
【0029】加速度センサ20の出力波形を図7(a)
に示し、横軸は時間(秒)、縦軸は信号の大きさをそれ
ぞれ表したものである。これは、ドラム3を回転させる
ことなく、1回の衝撃を一方向に加えることを3回繰り
返したことを示しており、瞬時に多数の振幅(図では多
数の振幅が重なっている)が現れている。この加速度セ
ンサ20の出力を3Hzのローパスフィルタ(図中、L
PFと略す)で波形処理したものを図7(b)に示す。
信号は、約0.4秒で収束しているのが分かる。
【0030】次に、ドラム3を例えば83rpmで回転
させた場合を説明すると、ドラム3が1回転に要する時
間は、0.72秒となる。したがって、3Hzのローパ
スフィルタで波形処理すると、約0.4秒間、すなわち
ドラム3が約半回転する間、1回の衝撃をこの衝撃で発
生する信号の影響下におくことができる。このようにす
ることによって、1回転の間のアンバランスに基づく左
右の振動を確実に検知することができる。
【0031】図8(a)は、上記と同様に、ドラム3を
回転させることなく、1回毎にインターバルを変えて一
方向に衝撃を加えた場合の加速度センサ20の出力波形
を示したものであり、図8(b)は、加速度センサ20
の出力を3Hzのローパスフィルタで波形処理したもの
であるが、追随性がよいことがわかる。また、図9
(a)は、上記と同様に、ドラム3を回転させることな
く、1回の衝撃を一方向に加えることを3回繰り返した
場合の加速度センサ20の出力波形を示したものであ
り、また、図9(b)は、加速度センサ20の出力を1
Hzのローパスフィルタで波形処理したものである。図
9(b)から明らかなように、一方向への1回の衝撃で
約1.2秒間も振動が続いており、この時間はドラム3
が1回転する時間よりも長く、好ましいものではなかっ
た。実際、3Hzのローパスフィルタで加速度センサ2
0の出力を波形処理すると、ドラム3を含む水槽2の現
実の振幅と同期したものとなっていた。
【0032】次に、本実施形態にかかるドラム式洗濯機
の脱水工程時の動作を図10のフローチャートを参照し
ながら説明する。先ず、ステップ1(S1)でドラム3
の回転を加速し、ドラム3を低速で回転させる。続いて
ステップ2(S2)で、図11(a)および(b)に示
されるように、3Hzのローパスフィルタで波形処理さ
れた加速度センサ20の出力の絶対値が基準値(P)以
下であるか否かを判定し、以下であれば、さらにその状
態が所定時間A持続するかどうかを判断する。そして、
これらの条件を満たした場合には(Y)、ステップ3
(S3)に進み、ドラム3の回転を加速し、ドラム3を
高速で回転させて、脱水運転に移行する。
【0033】一方、ステップ2(S2)で上記条件が満
たされない場合(N)、ステップ4(S4)に進み、ド
ラム回転開始から所定時間B(例えば、10秒)経過し
たかどうかを判定し、経過していれば(Y)、ステップ
5(S5)に進みドラム3を停止させて、ステップ1
(S1)に戻り、前記の動作を繰り返す。一方、ステッ
プ4(S4)で所定時間Bが経過していなければ
(N)、ステップ6(S6)に進み、ドラム回転数が所
定回転数(バランス回転数)になったかどうか判定す
る。そして、ドラム回転数が所定回転数になっていれば
(Y)、その回転数を維持し(S7)、ステップ1(S
1)に戻り、前記の動作を繰り返す。また、ステップ6
(S6)でドラム回転数が所定回転数になっていなけれ
ば(N)、ステップ8(S8)に進んでドラム3の回転
を加速し、所定回転数に到達させ、そしてステップ1
(S1)に戻り、前記の動作を繰り返す。
【0034】図10のフローチャートで説明したこれら
の行程を図12および13の立ち上げチャートを参照し
ながら説明する。これらのチャートは、縦軸にドラムの
回転数、横軸に時間をとって、これらの関係からドラム
の回転数の制御の基本手順を示したものである。特に図
13は、再立ち上げの場合を示したものである。ここ
で、バランス回転数について説明する。今、内径46c
mのドラム3に被処理物(布)を入れて回転させた場合
を例にとると、被処理物をドラム3の内周壁に張り付
ためには、ドラム3の内周壁上の質点の加速度aが少
なくとも重力加速度以上になるようにドラム3を回転さ
せなければならない。ドラム3の回転数n、周速vおよ
び加速度aの関係は、ドラム3の半径をrで表したと
き、以下のようになる。 v=2πrn (I) a=v2/r (II) ここで、r=0.23m、a=9.8m/s2とする
と、回転数nは63rpmとなる。これは、しかしなが
ら、被処理物が厚みを持たない場合に相当し、現実的で
はない。
【0035】そこで、被処理物の厚みを考慮して説明す
る。ドラム3が回転し始めると、被処理物は図14に示
される如く遠心力でドラム3の内周壁に押し付けられ、
ドラム3の中心部には空洞ができる。したがって、この
空洞の平均内径の質点の加速度が重力加速度以上の場合
に、アンバランスがなければ、被処理物全体がドラム3
の内周壁に張り付くことになる。仮に、アンバランスな
箇所があれば、図6に示される凸部分の質点の加速度
は、重力加速度以下となり、被処理物は動く(落下す
る)ことができる。したがって、この質点における被処
理物の一部がドラム3の内周壁に張り付くことなく少し
ずつ動くことによって、バランス状態が変わるようにな
る。よって、この平均内径の質点の加速度が重力加速度
と略同等となるように、ドラム3の回転数を設定すれば
よいことになり、これによりバランス回転数が求められ
る。
【0036】例えば、空洞の平均内径が24cmの質点
の加速度を重力加速度と等しくなるようにするには、上
式(I)および(II)より、回転数nは86rpmに、
同じく当該内径が26cmの場合には、回転数nは83
rpmとなる。実際に、最適なバランス回転数を実験に
より求めてみると、図15に示されるような結果になっ
た。すなわち、バランス回転数は布量(被処理物量)に
よって変化し、布量が多いほどバランス回転数は高くな
っている。なお、本実験に用いたドラム3は容量6kg
(内径46cm)のものであった。
【0037】次に、所定時間Aについて説明する。この
所定時間Aは短すぎると、振動が十分に収束していない
場合でも振動信号が小さくなったと判断される危険があ
り、高速回転へ移行しても大きな振動を生じることがあ
る。また、所定時間Aが長すぎると、高速回転への移行
のタイミングを逃してしまうことにもなる。図6に示さ
れるように、ドラム3内において布の分布がアンバラン
スであると、ドラム3が1回転する間に、ドラム3を内
包する水槽2が左右(水平方向)に1回ずつ振れるの
で、半回転毎にアンバランスかどうか判断することがで
きる。したがって、所定時間Aは、少なくともドラム3
が半回転する時間は必要である。実験結果から、半回転
乃至1回転前後が最適であることが分かった。図16に
布量(被処理物量)と所定時間Aとの関係を示す。
【0038】図16において、布量が5kg、6kgの
場合、所定時間Aはドラム3が半回転する時間以下にな
るが、十分に低アンバランスを検出することができた。
これは、ドラム3の容量との関係から布量が多くなると
ドラム3の中心部に形成された空洞が小さくなるので、
同量のアンバランスでもその影響が小さくなり、結果的
に許容できるアンバランス量が大きくなる。したがっ
て、規準値(±P)を大きくとれることになる。実際に
は、他の布量と同様に規準値(±P)を固定して処理す
る場合には、所定時間Aの方で調整するため、半回転に
かかる時間以下でも可能になる。
【0039】続いて、被処理物量(布量)に応じて、バ
ランス回転数および所定時間Aを変える場合について、
図17のフローチャートを参照しながら説明する。図1
7において、先ず、ステップ21(S21)で布量を検
知する。布量を検知する手段としては、以下の二つが代
表的である。一つは、洗濯物の吸水量から判断するもの
である。すなわち、回転可能なドラムの中に洗濯物を入
れ、洗濯を開始する。その際、吸水弁が開き、水槽の上
部から水が供給され、水位センサが一定水位を検知する
と、ドラムは回転する。洗濯物が吸水して水位が低下す
ると、水位センサで検知して吸水弁を開き、再度給水す
る。この時の給水量から洗濯物の布量を判定する。
【0040】他の一つは、回転ドラムの中に洗濯物を入
れる。洗濯前に給水することなくモータを始動させ、ド
ラムを回転させる。回転制御を行いながら、ドラムを高
速回転に移行し、ドラムの内周壁に洗濯物が遠心力によ
り均一に張り付くようにする。所定時間、ドラム回転を
持続した後、モータへの通電を停止する。通電停止から
ドラムの停止までの時間は、布量が多いときには長く、
布量が少ないときには短い。この停止時間の違いが布量
に比例することを利用して布量を検知する。本実施形態
では、後者の方式が採用されている。
【0041】上述したように、ステップ21(S21)
で布量が検知された後、ステップ22(S22)で検知
された布量に基づいて、図15から最適バランス回転
数、図16から最適所定時間Aを算出し、バランス回転
数のデータおよび所定時間Aのデータを書き換える。そ
してこの書き換えられたバランス回転数および所定時間
Aを条件として脱水行程に進み、図10のフローチャー
トに従い動作させる。
【0042】本実施形態では、洗濯、脱水を行うドラム
式洗濯機について説明したが、本発明は、洗濯、脱水、
乾燥を行うドラム式乾燥洗濯機、乾燥のみを行うドラム
式乾燥機、あるいはその他の形式のドラム式回転処理装
置に適用することができるのは言うまでもない。さら
に、本実施形態では、1軸サポート、フロントローディ
ング型のドラム式回転処理装置の場合について説明した
が、本発明は、2軸サポート型のものや、トップローデ
ィング型のものにも適用することができる。
【0043】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、バランス
回転数によって、ドラム内のアンバランスを修正しなが
ら低アンバランス状態を見極めるため、高速回転との相
関性が高くなり、低振動で高速回転に立ち上げることが
できる。被処理物の片寄りによるアンバランスを低減す
ることができ、その結果として、振動が少なくなり、装
置の重量を低減することができる。
【0044】請求項2記載の発明によれば、アンバラン
ス検知手段として、ドラムを軸支する支持体の振動のう
ち、ドラムの回転中心軸方向と直交する方向の振動を検
知する振動検知手段を用い、検知された振動が収束して
基準値以下となった状態が所定時間A続いた瞬間を低ア
ンバランスと判定することによって、振動のより少ない
良好な高速回転への立ち上げができる。
【0045】請求項3記載の発明によれば、被処理物の
量に応じて、バランス回転数を最適値に変更するため、
よりきめ細かい制御が可能となって、より良好な高速回
転への立ち上げができる。
【0046】請求項4記載の発明によれば、振動検知手
段の出力をローパスフィルタで波形処理することによっ
てノイズが除去され、信号処理が容易になる。さらに、
約3Hzのローパスフィルタの用いることによって、異
なる振動系に対しても同様の立ち上げ判定ができるよう
になると共に、適性な立ち上げ判定を行うことができる
ようになる。
【0047】請求項5記載の発明によれば、高速回転へ
立ち上げるタイミングを見逃すことなく、速やかな立ち
上げを行うことができる。
【0048】請求項6記載の発明によれば、バランス回
転数に応じて、所定時間Aを最適値に変更するので、よ
りきめ細かい制御が可能となって、より良好な高速回転
への立ち上げができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のドラム式回転処理装置の一実施形態に
かかるドラム式洗濯機の側方視縦断面図である。
【図2】図1のドラム式洗濯機の正面視概略縦断面図で
ある。
【図3】振動検知回路のブロック図である。
【図4】ローパスフィルタの基本回路図である。
【図5】電子制御回路のブロック図である。
【図6】被処理物のアンバランス箇所と振動との関係を
示す模式図である。
【図7】(a)はドラムを回転させることなく衝撃を加
えた場合の加速度センサの出力波形図であり、(b)は
(a)の出力をローパスフィルタで波形処理した場合の
振動波形図である。
【図8】(a)はドラムを回転させることなく衝撃を加
えた場合の加速度センサの出力波形図であり、(b)は
(a)の出力をローパスフィルタで波形処理した場合の
振動波形図である。
【図9】(a)はドラムを回転させることなく衝撃を加
えた場合の加速度センサの出力波形図であり、(b)は
(a)の出力をローパスフィルタで波形処理した場合の
振動波形図である。
【図10】ドラム式洗濯機の脱水行程時の動作を示すフ
ローチャートである。
【図11】(a)および(b)はローパスフィルタで波
形処理された振動波形から基準値および所定時間Aの取
り方と、立ち上げのタイミングを示す説明図である。
【図12】ドラムの回転速度の制御パターンを示すチャ
ート図である。
【図13】ドラムの回転速度の制御パターンを示すチャ
ート図である。
【図14】ドラム回転中の被処理物の状態、特に中心部
の空洞を示す模式図である。
【図15】布量とバランス回転数との関係を示したグラ
フである。
【図16】布量と所定時間Aとの関係を示したグラフで
ある。
【図17】被処理物量に応じて、バランス回転数と所定
時間Aを変更する場合の動作を示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1 外枠 2 水槽 3 ドラム 3a 小孔 6 水平軸 7 軸受 8 ドラム用モータ 9 プーリ 10 駆動ベルト 11 ドラム駆動プーリ 12 ドア 17 回転センサ 18 リードスイッチ 19 マグネット 20 加速度センサ 41 給水管 42 循環パイプ 43 貯水タンク 44 排水口 45 操作パネル

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外枠内に回転可能に支持され、被処理物
    を収容するドラムと、当該ドラムを回転駆動させる回転
    駆動手段と、前記ドラム内を被処理物が動く回転数で当
    該ドラムを低速回転させてから高速回転に移行するよう
    に前記回転駆動手段を制御する制御手段と、前記ドラム
    内における被処理物の片寄りを検知するアンバランス検
    知手段とを備えたドラム式回転処理装置であって、前記
    制御手段は、低速回転時に被処理物全体が前記ドラムの
    内周壁に張り付く直前の回転数であるバランス回転数で
    当該ドラムを回転させ、該バランス回転数を維持するこ
    とで被処理物のアンバランスを修正しながら、前記アン
    バランス検知手段の出力が所定のレベル以下である場合
    に、前記ドラムを高速回転に立ち上げるようにしたこと
    を特徴とするドラム式回転処理装置。
  2. 【請求項2】 さらに、前記外枠内に振動可能に支持さ
    れ、前記ドラムを内包する支持体を備え、前記アンバラ
    ンス検知手段は、前記支持体に設置されると共に、前記
    ドラムの回転中心軸方向と直交する方向における前記支
    持体の振動を検知する振動検知手段からなり、前記制御
    手段は、前記バランス回転数で前記ドラムを回転させ、
    当該振動検知手段の出力の絶対値が基準値以下となった
    状態が所定時間A持続した場合に、前記ドラムを高速回
    転に立ち上げるようにしたことを特徴とする請求項1記
    載のドラム式回転処理装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、被処理物の量に応じ
    て、前記バランス回転数を変化させることを特徴とする
    請求項2記載のドラム式回転処理装置。
  4. 【請求項4】 前記振動検知手段の出力は、約3Hzの
    低域フィルタで波形処理されることを特徴とする請求項
    2記載のドラム式回転処理装置。
  5. 【請求項5】 前記所定時間Aは、ドラムが半回転する
    時間以上、1回転する時間以下に設定されることを特徴
    とする請求項2記載のドラム式回転処理装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、前記バランス回転数に
    応じて、前記所定時間Aを変化させることを特徴とする
    請求項3記載のドラム式回転処理装置。
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