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JP3440798B2 - レトルト食品包装用フィルム - Google Patents

レトルト食品包装用フィルム

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JP3440798B2
JP3440798B2 JP34967697A JP34967697A JP3440798B2 JP 3440798 B2 JP3440798 B2 JP 3440798B2 JP 34967697 A JP34967697 A JP 34967697A JP 34967697 A JP34967697 A JP 34967697A JP 3440798 B2 JP3440798 B2 JP 3440798B2
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JP
Japan
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component
propylene
ethylene
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copolymer
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JP34967697A
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一典 金森
英助 白谷
茂樹 木代
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、低温での
衝撃強度、食品衛生性に優れるレトルト食品包装用フィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンのフィルムは、外観、機
械的性質、包装適性などが優れることから食品包装、繊
維包装などの包装分野で広く使用されている。
【0003】プロピレン単独重合体や結晶性のプロピレ
ン−α−オレフィンランダム共重合体は透明性や、食品
衛生性に優れるものの、低温の耐衝撃性が劣り、一方、
プロピレンブロック共重合体は、低温での耐衝撃性にあ
る程度優れるものの、透明性が劣るものであり、それぞ
れに制限があった。
【0004】このようなことから、特に耐衝撃性の必要
な用途では透明性に劣るもののプロピレンブロック共重
合体が用いられており、一方、耐衝撃性に加え透明性が
必要な用途では結晶性プロピレン−α−オレフィンラン
ダム共重合体に低結晶性エチレン−α−オレフィン共重
合体をブレンドすることにより耐衝撃性を付与した材料
が一般的に用いられている。しかし、十分な耐衝撃性を
付与する為、多くの低結晶性エチレン−α−オレフィン
共重合体を結晶性プロピレン−α−オレフィンランダム
共重合体にブレンドすると食品衛生性の悪化を招き、一
方、低結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体のブレ
ンド量が少ないと十分な耐衝撃性が得られないという問
題があった。
【0005】従来公知の方法では透明性、耐衝撃性、食
品衛生性の優れたレトルト食品包装用フィルムは得られ
ていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、透明性、耐衝撃性、食品衛生性の優れたレトル
ト食品包装用フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題に対し鋭意検討した結果、少なくとも2層からなる多
層フィルムであって、特定の結晶性プロピレンランダム
共重合体からなる層と特定のプロピレン系ブロック共重
合体からなる層を積層することにより、本発明の目的を
達成することを見い出し、本発明を完成させた。
【0008】すなわち、本発明は、少なくとも下記
(a)層と下記(b)層とから構成されることを特徴と
するレトルト食品包装用フィルムである。 (a)層:プロピレンから誘導される繰り返し単位と、
エチレンから誘導される繰り返し単位および/または炭
素数4以上のα―オレフィンから誘導される繰り返し単
位とからなる結晶性プロピレンランダム共重合体または
該共重合体を含有する樹脂組成物からなる層 (b)層:20℃キシレン可溶部(CXS部)を5重量
%以上含有し、前記CXS部を除いた部分(CXIS
部)の最高融解ピーク温度(Tm)が130〜155℃
であるプロピレン系ブロック共重合体または該プロピレ
ン系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物からなる層 以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のレトルト食品包装用フィ
ルムは、少なくとも下記(a)層と下記(b)層とから
構成されるフィルムである。(a)層は、透明性、食品
衛生性、低温シール性の観点から、プロピレンから誘導
される繰り返し単位(以下、「プロピレン単位」と称す
る)と、エチレンから誘導される繰り返し単位(以下、
「エチレン単位」と称する)および/または炭素数4以
上のα−オレフィンから誘導される繰り返し単位(以
下、「α−オレフィン単位」と称する)とからなる結晶
性プロピレンランダム共重合体(I)または該共重合体
を含有する樹脂組成物からなる層である。該α−オレフ
ィンとしては、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−
1、デセン−1等の炭素数4〜10のα−オレフィンが
挙げられる。エチレン単位および/または炭素数4以上
のα−オレフィン単位の含有量は、通常0.5〜30重
量%である。結晶性プロピレン−エチレンおよび/また
は炭素数4以上のα−オレフィンランダム共重合体
(I)は特に限定されないが、融点が130〜155℃
の範囲のランダム共重合体が好ましい。
【0010】本発明で用いる結晶性のプロピレン−エチ
レンおよび/または炭素数4以上のα−オレフィンラン
ダム共重合体(I)は、公知の方法で製造でき、例え
ば、チーグラー・ナッタ型触媒、シクロペンタジエニル
環を有する周期表第IVB族の遷移金属化合物とアルキル
アルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジ
エニル環を有する周期表第IVB族の遷移金属化合物とそ
れと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有
機アルミニウム化合物からなる触媒系を用いて、回分式
重合法、連続的に重合する連続式重合法などで製造が可
能である。
【0011】(b)層は、透明性、耐衝撃性の観点か
ら、20℃キシレン可溶部(CXS部)を5重量%以
上、好ましくは7〜30重量%含有し、前記CXS部を
除いた部分(CXIS部)の最高融解ピーク温度(T
m)が130〜155℃であるプロピレン系ブロック共
重合体(II)または該共重合体(II)を含有する樹脂組
成物からなる層である。最高融解ピーク温度(Tm)
は、示差走査熱量計(DSC)で測定される。前記CX
S部の含有量が5重量%未満の場合、耐衝撃性に劣る。
また、前記CXIS部の最高融解ピーク温度(Tm)が
130℃未満の場合、耐熱性、食品衛生性に劣り、15
5℃を超える場合、透明性に劣る。
【0012】本発明で用いるプロピレン系ブロック共重
合体(II)は、少なくともプロピレンから誘導される繰
り返し単位(以下、「プロピレン単位」と称する)とエ
チレンから誘導される繰り返し単位(以下、「エチレン
単位」と称する)および/またはブテン−1から誘導さ
れる繰り返し単位(以下、「ブテン−1単位」と称す
る)とからなる共重合体成分(A成分)と、少なくとも
プロピレン単位とエチレン単位および/またはブテン−
1単位とからなり、前記A成分とは異なる共重合体成分
(B成分)とを連続的に生成して得られるプロピレン系
ブロック共重合体であって、20℃キシレン可溶部(C
XS部)を5重量%以上、好ましくは7〜30重量%含
有し、前記CXS部を除いた部分(CXIS部)の最高
融解ピーク温度(Tm)が130〜155℃であるプロ
ピレン系ブロック共重合体が好ましい。
【0013】なお、上記プロピレン系ブロック共重合体
とは、第一工程でのプロピレン−エチレンおよび/また
はブテン−1共重合体成分(A成分)と、第二工程での
前記A成分とは異なるプロピレン−エチレンおよび/ま
たはブテン−1共重合体成分(B成分)とを逐次重合し
て得られた共重合体であって、共重合体末端と別の共重
合体末端が結合で繋がった典型的なブロック共重合体で
はなく、一種のブレンド系の共重合体を意味する。上記
プロピレン系ブロック共重合体は耐衝撃性プロピレン共
重合体とも言われるものである。
【0014】上記プロピレン系ブロック共重合体のCX
S部が5.0重量%を下回る場合は耐衝撃性が劣るため
好ましくない。また、上記プロピレン系ブロック共重合
体のCXIS部の最高融解ピーク温度(Tm)が130
℃未満の場合は耐熱性が不足し、一方155℃を越える
場合は透明性が劣るため好ましくない。
【0015】該プロピレン系ブロック共重合体(II)
は、第一工程でエチレン単位の含有量が1.5〜6.0
重量%のプロピレン−エチレン共重合体部分(A成分)を
全重合量(A成分と下記B成分の合計)の40〜85重
量%生成し、ついで第二工程でエチレン単位の含有量が
7〜17重量%のプロピレン−エチレン共重合体部分
(B成分)を全重合量(A成分とB成分の合計)の15〜
60重量%生成して得られるブロック共重合体であっ
て、かつB成分の極限粘度([η]B)が2〜5dl/g、
B成分の極限粘度([η]B)とA成分の極限粘度([η]A)
との比([η]B/[η]A)が0.5〜1.8のプロピレン
系ブロック共重合体が好ましい。
【0016】第一工程で生成されるプロピレン−エチレ
ン共重合体部分(A成分)のエチレン単位の含有量は、
柔軟性と耐熱性とのバランスの観点から2.5〜4.5
重量%がより好ましい。
【0017】第二工程で生成されるプロピレン−エチレ
ン共重合体部分(B成分)のエチレン単位の含有量は、
低温での耐衝撃性と透明性とのバランスの観点から8〜
12重量%がより好ましい。
【0018】第一工程で生成されるプロピレン−エチレ
ン共重合体部分(A成分)と第二工程で生成されるプロ
ピレン−エチレン共重合体部分(B成分)の割合はA成
分が全重合量の好ましくは40〜85重量%、より好ま
しくは55〜83重量%、B成分が全重合量の好ましく
は60〜15重量%、より好ましくは45〜17重量%
である。
【0019】上記プロピレン系ブロック共重合体のB成
分の極限粘度([η]B)が2〜5dl/g、B成分の
極限粘度([η]B)とA成分の極限粘度([η]A)
との比([η]B/[η]A)が0.5〜1.8である
ことが透明性の観点から好ましい。特に、プロピレン−
エチレン共重合体のB成分の極限粘度([η]B)は、
低分子量成分の抑制と加工性とのバランスの点から2.
5〜4.0dl/gがより好ましい。[η]B/[η]
A比は、透明性の観点から0.8〜1.5がより好まし
い。
【0020】上記プロピレン系ブロック共重合体は、透
明性、低温での耐衝撃性の観点からB成分のエチレン単
位の含有量(EB)とA成分のエチレン単位の含有量
(EA)との差(EB−EA)が3〜15重量%の範囲
であることがより好ましく、透明性と低温での耐衝撃性
とのバランスの観点から(EB−EA)が5〜10重量
%が特に好ましい。
【0021】さらに、高温でのブリード白化抑制の観点
では、プロピレン系ブロック共重合体としては、第一工
程でエチレン単位の含有量が3重量%以下、ブテン−1
単位の含有量が3〜25重量%のプロピレン−エチレン
−ブテン−1共重合体部分(A成分)を全重合量(A成分
と下記B成分の合計)の40〜85重量%生成し、つい
で第二工程でエチレン単位の含有量が17重量%以下、
ブテン−1単位の含有量が3〜35重量%のプロピレン
−エチレン−ブテン−1共重合体部分(B成分)を全重合
量(A成分とB成分の合計)の15〜60重量%生成し
て得られるブロック共重合体であって、かつB成分の極
限粘度([η]B)が1.5〜5.0dl/g、B成分の極
限粘度([η]B)とA成分の極限粘度([η]A)との比
([η]B/[η]A)が0.5〜1.8のプロピレン系ブロ
ック共重合体が好ましい。
【0022】第一工程で生成されるプロピレン−エチレ
ン−ブテン−1共重合体部分(A成分)と第二工程で生
成されるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体部
分(B成分)の割合はA成分が全重合量の好ましくは4
0〜85重量%、より好ましくは55〜83重量%、B
成分が全重合量の好ましくは60〜15重量%、より好
ましくは45〜17重量%である。
【0023】上記プロピレン系ブロック共重合体のB成
分の極限粘度([η]B)が1.5〜5dl/g、B成
分の極限粘度([η]B)とA成分の極限粘度([η]
A)との比([η]B/[η]A)が0.5〜1.8で
あることが透明性の観点から好ましい。特に、プロピレ
ン−エチレン−ブテン−1共重合体のB成分の極限粘度
([η]B)は、低分子量成分の抑制と加工性とのバラ
ンスの点から2.5〜4.0dl/gがより好ましい。
[η]B/[η]A比は、透明性の観点から0.8〜
1.5がより好ましい。
【0024】エチレン単位の含有量は、高分子分析ハン
ドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616ペ
ージに記載されている方法により13C−NMR法で測定
される。A成分のエチレン単位の含有量(EA)は、第
一工程の重合終了後に共重合体をサンプリングして分析
される。B成分のエチレン含有量(EB)は、第二工程
の重合終了後にブロック共重合体をサンプリングし、ブ
ロック共重合体のエチレン含有量(EAB)を分析し、
さらにA成分の割合(PA)、B成分の割合(PB)か
ら次式より求めるものとする。 EA×PA/100+EB×PB/100=EAB EB=(EAB−EA×PA/100)×100/PB
【0025】該プロピレン系ブロック共重合体(II)
が、プロピレン−エチレン−ブテン−1ブロック共重合
体の場合、A成分の割合(PA)およびB成分の割合
(PB)は、A成分および全重合体について示差走査熱
量計で測定を行い、それぞれの融解ピーク熱量から求め
られる。A成分のエチレン単位の含有量(EA)および
A成分のブテン−1単位の含有量(BA)は、第一工程
の重合終了後に共重合体をサンプリングして分析され
る。また、B成分のエチレン単位の含有量(EB)およ
びB成分のブテン−1単位の含有量(BB)は、まず、
第二工程の重合終了後にブロック共重合体をサンプリン
グし、エチレン単位の含有量(EAB)およびブテン−
1単位の含有量(BAB)を分析して求め、A成分の割
合(PA)およびB成分の割合(PB)、A成分のエチ
レン単位の含有量(EA)およびA成分のブテン−1単
位の含有量(BA)から次式より求めるものとする。 EB=(EAB−EA×PA/100)×100/PB BB=(BAB−BA×PA/100)×100/PB
【0026】極限粘度は、ウベローデ型粘度計を用いて
135℃テトラリン中で測定される。A成分の極限粘度
([η]A)は、第一工程の重合終了後に共重合体をサン
プリングして分析される。B成分の極限粘度([η]B)
は、第二工程の重合終了後にブロック共重合体をサンプ
リングし、ブロック共重合体の極限粘度([η]AB)を
分析し、さらにA成分の割合(PA)、B成分の割合
(PB)から次式より求めるものとする。 [η]A×PA/100+[η]B×PB/100=[η]A
B [η]B=([η]AB−[η]A×PA/100)×100
/PB
【0027】本発明で用いるプロピレン系ブロック共重
合体(II)は、例えばチーグラー・ナッタ型触媒の存在
下に、同一の重合槽中にてA成分を重合した後、引き続
いてB成分を重合する回分式重合法、または少なくとも
2槽からなる重合槽を使用したA成分とB成分を連続的
に重合する連続式重合法などで製造が可能である。
【0028】具体的には、例えば、 (a)Si−O結合を有する有機ケイ素化合物の共存
下、一般式Ti(OR1n4-n(R1は炭素数が1〜2
0の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦4の
数字を表わす。)で表わされるチタン化合物および/ま
たはエーテル化合物を、有機マグネシウム化合物で還元
して得られる固体生成物を、エステル化合物及びエーテ
ル化合物と四塩化チタンとの混合物で処理して得られる
三価のチタン化合物含有固体触媒成分、 (b)有機アルミニウム化合物 (c)Si−OR2結合(R2は炭素数が1〜20の炭化
水素基である。)を有するケイ素化合物よりなる触媒
系、または(a)一般式Ti(OR1n4-n(R1は炭
素数が1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは
0<n≦4の数字を表わす。)で表わされるチタン化合
物を、一般式AlR2 m3-m(R2は炭素数が1〜20の
炭化水素基、Yはハロゲン原子、mは1≦m≦3の数字
を表わす。)で表わされる有機アルミニウム化合物で還
元して得られる炭化水素溶媒に不溶のハイドロカルビル
オキシ基を含有する固体生成物を、エチレンで予備重合
処理したのち、炭化水素溶媒中エーテル化合物及び四塩
化チタンの存在下に80〜100℃の温度でスラリー状
態で処理して得られるハイドロカルビルオキシ基含有固
体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物よりなる触
媒系などの少なくともチタン、マグネシウムおよびハロ
ゲンを必須成分とするチーグラー・ナッタ型触媒の存在
下に、(b)成分中のAl原子/(a)成分中のTi原
子のモル比を1〜2000、好ましくは5〜1500、
(c)成分/(b)成分中のAl原子のモル比を0.0
2〜500、好ましくは0.05〜50となるように使
用し、重合温度20〜150℃、好ましくは50〜95
℃、重合圧力は大気圧〜40kg/cm2G、好ましく
は2〜40kg/cm2Gの条件下に、第一工程でプロ
ピレンとエチレンおよび分子量調節のために水素を供給
してプロピレン−エチレン共重合体部分(A成分)を生
成した後、引き続いて第二工程でプロピレンとエチレン
と水素を供給してプロピレン−エチレン共重合体部分
(B成分)を生成することによって製造できる。
【0029】本発明で用いる結晶性プロピレン−エチレ
ンおよび/または炭素数4以上のα−オレフィンランダ
ム共重合体(I)およびプロピレン系ブロック共重合体
(II)は、有機過酸化物の存在下、不存在下に公知の方
法で、例えばメルトフローレートで代表される流動性を
変化させることが可能である。前記結晶性プロピレンラ
ンダム共重合体(I)およびプロピレン系ブロック共重
合体(II)は、メルトフローレート1.0〜10g/1
0分の範囲のものがフィルムの製膜に際しての高速加工
性の点から好ましく、特に1〜5g/10分の範囲がよ
り好ましい。
【0030】本発明のレトルト食品包装用フィルムは、
通常工業的に用いられている方法、例えばTダイ製膜
法、チューブラー製膜法など溶融押し出し成型法により
ポリプロピレンフィルムが製造される方法であれば特に
限定されないが、大型製膜機により高速製膜が実施され
る、Tダイ製膜法が好ましい。また、本発明のレトルト
食品包装用フィルムはその目的を損なわない限り、テン
ター製膜法等により延伸し使用する事ができる。
【0031】本発明のレトルト食品包装用フィルムは、
その他のフィルム、例えばポリプロピレン2軸延伸フィ
ルム、未延伸および延伸ナイロンフィルム、延伸ポリテ
レフタル酸エチルフィルムやアルミニウム箔等と、ドラ
イラミネーション法または押し出しラミネーション法等
の方法で製造される複合フィルムの少なくとも一層とし
ても好適に使用され、特に、複合フィルムにした後80
℃〜125℃の範囲で熱処理するような耐熱用途に使用
できる。
【0032】本発明のレトルト食品包装用フィルムが2
層の場合、透明性、食品衛生性の観点から(b)層を延
伸ナイロンフィルム等に貼合して使用することが好まし
い。本発明のレトルト食品包装用フィルムの厚みは通常
10〜500μm、好ましくは30〜150μmであ
り、各層の厚み比(a)層/(b)層は、通常1/9〜
9/1、更に耐衝撃性の面から好ましくは1/9〜7/
3である。3層の場合、各層の厚み比(a)層/(b)
層/その他の層は、通常1/50/1〜50/1/5
0、好ましくは1/50/1〜10/1/10である。
【0033】本発明のレトルト食品包装用フィルムは、
その目的を損なわない限り必要に応じて、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑
剤、防曇剤などを含ませることもできる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】次に、実施例および比較例における物性値
の測定方法を説明する。 (1)A成分、B成分の割合(重量%) A成分およびB成分の重合時の物質収支から、A成分の
割合(PA)、B成分の割合(PB)を求めた。 (2)極限粘度([η]) ウベローデ型粘度計を用いて135 ℃テトラリン中で測定
を行った。 A成分、B成分の極限粘度([η]A、[η]B) 第一工程のA成分の重合終了後に測定した極限粘度[η]
Aと、第二工程の重合終了後に測定した極限粘度[η]A
B、およびA成分の割合(PA)、B成分の割合(P
B)から、次式によりB成分の極限粘度[η]Bを求める
こととした。 [η]B=([η]AB−[η]A×PA/100)×100
/PB (3)エチレン単位の含有量 高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の
616ページに記載されている方法により、13C−NM
R法で測定を行った。 A成分、B成分のエチレン単位の含有量(EA、EB) 第一工程のA成分の重合終了後に測定したエチレン単位
の含有量(EA)と、第二工程の重合終了後に測定した
エチレン単位の含有量(EAB)、およびA成分の割合
(PA)、B成分の割合(PB)から、次式によりB成
分のエチレン単位の含有量(EB)を求めることとし
た。 EB=(EAB−EA×PA/100)×100/PB (4)20℃キシレン可溶部(CXS) 試料5gを沸騰キシレン500mlに完全に溶解させた
後、20℃に降温し、4時間以上放置した。その後、こ
れを析出物(CXIS部)と溶液とにろ別し、ろ液を乾
固して減圧下70℃で乾燥した後、得られた固形物の重
量を測定した。 (5)CXIS部の最高融解ピーク温度(Tm) 示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC)を用い
て、上記(7)で得られたCXIS部10mgを窒素雰
囲気下で220℃で5分間溶融した後、5℃/分の降温
速度で40℃まで降温した。その後、5℃/分で昇温さ
せて、得られた融解吸熱カーブの最大ピークのピーク温
度をCXIS部の最高融解ピーク温度(Tm)とした。
なお、本測定器を用いて5℃/分の昇温速度で測定した
インジウム(In)の融点は、156.6℃であった。 (6)メルトフローレート(MFR) JIS K7210に従い、条件−14の方法で測定し
た。 (7)透明性(ヘイズ) JIS K7105に従い測定した。 (8)衝撃強度 −10℃において、東洋精機製フィルムインパクトテス
ターを使用し、直径15mmの半球状衝撃頭を用いて、
フィルムの衝撃強度を測定した。 (9)n−ヘキサン抽出量 FDA177.1520(d)(3)(ii)に記載の
方法に従って、厚み60μmのフィルムの50℃、n−
ヘキサン抽出量を測定した。
【0036】本実施例および比較例に用いたサンプルと
しては以下のものを使用した。 (1)結晶性プロピレン−エチレン及び/または炭素数
4以上のα−オレフィンランダム共重合体(I) PPI:プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友
化学製ノーブレン 商品名 WF577P) (2)プロピレン系ブロック共重合体(II) PPII−:プロピレン系ブロック共重合体組成物 [固体触媒の合成]撹拌機付きの200LSUS製反応
容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブト
キシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8
モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入
し均一溶液とした。次に、濃度2.1モル/Lのブチル
マグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51
Lを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけ
て徐々に滴下した。滴下終了後20℃でさらに1時間撹
拌した後20℃で固液分離し、トルエン70Lで3回洗
浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.2kg/
Lになるようにトルエンを加えた後、フタル酸ジイソブ
チル47.6モルを加え、95℃で30分間反応を行な
った。反応後固液分離し、トルエンで2回洗浄を行なっ
た。次いで、フタル酸ジイソブチル3.13モル、ブチ
ルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン274モルを
加え、105℃で3時間反応を行なった。反応終了後同
温度で固液分離した後、同温度でトルエン90Lで2回
洗浄を行なった。次いで、スラリー濃度を0.4kg/
Lに調整した後、ブチルエーテル8.9モルおよび四塩
化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行
なった。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトル
エン90Lで3回洗浄を行なった後、さらにヘキサン7
0Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体触媒成分11.
4kgを得た。固体触媒成分は、チタン原子1.8重量
%、マグネシウム原子20.1重量%、フタル酸エステ
ル8.4重量%、エトキシ基0.3重量%、ブトキシ基
0.2重量%を含有し、微粉のない良好な粒子性状を有
していた。
【0037】[ポリマーの製造] <固体触媒成分の予備活性化>内容積3LのSUS製、
撹拌機付きオートクレーブに充分に脱水、脱気処理した
n−ヘキサン1.5L、トリエチルアルミニウム37.
5ミリモル、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラ
ン37.5ミリモルと上記固体触媒成分15gを添加
し、槽内温度を30℃以下に保ちながらプロピレン15
gを約30分かけて連続的に供給して予備活性化を行な
った後、得られた固体触媒スラリーを内容積150Lの
撹拌機付きSUS製オートクレーブに移送し、液状ブタ
ン100Lを加えて保存した。
【0038】<重合>SUS製の内容積1m3の撹拌機
付き流動床反応器を2槽連結し、上記固体触媒の存在
下、第一槽目で前段部(A成分)のプロピレンとエチレ
ンの共重合を、第二槽目で後段部(B成分)のプロピレ
ンとエチレンの共重合を連続的に実施した。得られたプ
ロピレン系ブロック共重合体粉末の分析結果は、[η]A
=3.0dl/g、[η]B=3.9dl/g、A成分中
のエチレン単位の含有量3.6重量%、B成分中のエチ
レン単位の含有量14重量%、A成分の割合51重量
%、B成分の割合49重量%、CXS部の含有量27重
量%であった。また、上記プロピレン系ブロック共重合
体のCXIS部の最高融解ピーク温度は、138℃であ
った。 <組成物>上記プロピレン系ブロック共重合体粉末10
0重量部に対して、ステアリン酸カルシウム 0.05
重量部、イルガノックス1010 0.2重量部、イル
ガフォス168 0.03重量部、メルトフローレート
調整剤を添加して造粒機で溶融押し出ししてメルトフロ
ーレート(MFR)=2.5g/10分になるように調
整し、プロピレン系ブロック共重合体組成物(PPII−
)を得た。
【0039】PPII−:プロピレン系ブロック共重合
体組成物 SUS製の内容積1m3の撹拌機付き流動床反応器を2
槽連結し、上記固体触媒の存在下、第一槽目で前段部
(A成分)のプロピレンとエチレンの共重合を、第二槽
目で後段部(B成分)のプロピレンとエチレンの共重合
を連続的に実施した。得られたプロピレン系ブロック共
重合体粉末の分析結果は、[η]A=3.5dl/g、
[η]B=3.8dl/g、A成分中のエチレン単位の含
有量4.0重量%、B成分中のエチレン単位の含有量1
3重量%、A成分の割合55重量%、B成分の割合45
重量%、CXS部の含有量22重量%であった。また、
上記プロピレン系ブロック共重合体のCXIS部の最高
融解ピーク温度は、135℃であった。 <組成物>上記プロピレン系ブロック共重合体粉末10
0重量部に対して、ステアリン酸カルシウム 0.05
重量部、イルガノックス1010 0.2重量部、イル
ガフォス168 0.03重量部、メルトフローレート
調整剤を添加して造粒機で溶融押し出ししてメルトフロ
ーレート(MFR)=3.7g/10分になるように調
整し、プロピレン系ブロック共重合体組成物(PPII−
)を得た。
【0040】(3)低結晶性エチレン−α−オレフィン
共重合体 PO−1:三井石油化学製 商品名 タフマーP0480
【0041】実施例1 PPII−を40mmφ押出機を用いて溶融混練し、一
方、PPI 95重量%、POI 5重量%をペレット
ブレンドした組成物を40mmφ押出機および50mm
φ押出機を用いて溶融混練し、フィードブロック型のT
ダイ(ダイ幅600mm、リップ開度0.8mm)に導
入してダイ温度240℃でPPII−/PPI(層厚み
比1/2)の構成となるように溶融押し出しを行い、3
0℃の冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、厚さ6
0μmである未延伸フィルムを得た。得られたフィルム
の物性を表1に示す。
【0042】比較例1 PPII−を2台の40mmφ押出機および50mmφ
押出機を用いて溶融混練し、フィードブロック型のTダ
イ(ダイ幅600mm、リップ開度0.8mm)に導入
してダイ温度240℃で溶融押し出しを行い、30℃の
冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、厚さ60μm
である単層の未延伸フィルムを得た。得られたフィルム
の物性を表1に示す。
【0043】比較例2 PPI 85重量%、POI 15重量%をペレットブ
レンドした組成物を2台の40mmφ押出機および50
mmφ押出機を用いて溶融混練し、フィードブロック型
のTダイ(ダイ幅600mm、リップ開度0.8mm)
に導入してダイ温度240℃で溶融押し出しを行い、3
0℃の冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、厚さ6
0μmである単層の未延伸フィルムを得た。得られたフ
ィルムの物性を表1に示す。
【0044】実施例2 PPII−、PPIをそれぞれ50mmφ押出機および
40mmφ押出機にて溶融混練し、フィードブロック型
のTダイ(ダイ幅600mm、リップ開度0.8mm)
に導入してダイ温度280℃でPPI/PPII−/P
PI(層厚み比1/10/1)の構成となるように溶融
押し出しを行い、30℃の冷却水を通水した冷却ロール
で冷却して、厚さ30μmおよび60μmである未延伸
フィルムを得た。得られた30μmフィルムのヘイズ、
インパクトおよび60μmフィルムのn−ヘキサン抽出
量を表2に示す。
【0045】比較例3 PPII−を50mmφ押出機および40mmφ押出機
にて溶融混練し、フィードブロック型のTダイ(ダイ幅
600mm、リップ開度0.8mm)に導入してダイ温
度250℃で溶融押し出しを行い、30℃の冷却水を通
水した冷却ロールで冷却して、厚さ30μmおよび60
μmの単層の未延伸フィルムを得た。得られた30μm
フィルムのヘイズ、インパクトおよび60μmフィルム
のn−ヘキサン抽出量を表2に示す。
【0046】比較例4 PPI 90重量%とPOI 10重量%とをペレット
ブレンドし、50mmφ押出機および40mmφ押出機
にて溶融混練し、フィードブロック型のTダイ(ダイ幅
600mm、リップ開度0.8mm)に導入してダイ温
度250℃で溶融押し出しを行い、30℃の冷却水を通
水した冷却ロールで冷却して、厚さ30μmおよび60
μmの単層の未延伸フィルムを得た。得られた30μm
フィルムのヘイズ、インパクトおよび60μmフィルム
のn−ヘキサン抽出量を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−3950(JP,A) 特開 昭62−3951(JP,A) 特開 平7−164605(JP,A) 特開 昭49−52880(JP,A) 特開 平6−93062(JP,A) 特開 平1−272612(JP,A) 特開 平1−225648(JP,A) 特開 平9−52924(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも下記(a)層と下記(b)層と
    から構成されることを特徴とするレトルト食品包装用フ
    ィルム。 (a)層:プロピレンから誘導される繰り返し単位と、
    エチレンから誘導される繰り返し単位および/または炭
    素数4以上のα−オレフィンから誘導される繰り返し単
    位とからなる結晶性プロピレンランダム共重合体または
    該共重合体を含有する樹脂組成物からなる層。 (b)層:20℃キシレン可溶部(CXS部)を5重量
    %以上含有し、該CXS部を除いた部分(CXIS部)
    の最高融解ピーク温度(Tm)が130〜155℃であ
    るプロピレン系ブロック共重合体またはその組成物から
    なる層であり、該プロピレン系ブロック共重合体は、
    一工程でエチレンから誘導される繰り返し単位の含有量
    が1.5〜6.0重量%のプロピレン−エチレン共重合
    体部分(A成分)を全重合量(A成分と下記B成分の合
    計)の40〜85重量%生成し、ついで第二工程でエチ
    レンから誘導される繰り返し単位の含有量が7〜17重
    量%のプロピレン−エチレン共重合体部分(B成分)を全
    重合量(A成分とB成分の合計)の15〜60重量%生
    成して得られるブロック共重合体であって、B成分の極
    限粘度([η]B)が2〜5dl/g、B成分の極限粘度
    ([η]B)とA成分の極限粘度([η]A)との比([η]B/
    [η]A)が0.5〜1.8であるプロピレン系ブロック
    共重合体。
  2. 【請求項2】プロピレン−エチレン共重合体(A成分)
    が、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量が
    2.5〜4.5重量%の共重合体である請求項1記載の
    レトルト食品包装用フィルム。
  3. 【請求項3】プロピレン−エチレン共重合体部分(A成
    分)の割合が全重合量の51〜55重量%である請求項
    1または2記載のレトルト食品包装用フィルム。
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