JP3334825B2 - グリップ - Google Patents
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Description
いわゆる「しっとり感」が優れ、かつ汗や水で濡れた場
合でも「滑りにくい」という特性を有するグリップに関
するものである。
プをはじめ、テニス、バトミントン、スカッシュ、ラケ
ットボールなどのラケット用のグリップ、スキー用スト
ックなどのスポーツ用品用のグリップ、自動車、自動二
輪車、原動機付自転車などの乗物用のグリップ、ドライ
バー、ハンマーなどの手工具用のグリップ、各種機械装
置のハンドル用のグリップなど、種々の分野に適用する
ことができる。
性として、手へのなじみ感であるいわゆる「しっとり
感」と、「滑りにくさ」、特に汗や水で濡れた場合でも
「滑りにくい」という特性が挙げられる。
リップを装着して使用する場合に、取扱いやすさや安全
性面などで非常に重要である。
合、握った場合の手へのなじみ感・握りやすさがゴルフ
ァーのスイングに大きな影響を及ぼし、また、インパク
ト時に手が滑らない、すなわち、手とグリップとの間に
ズレが生じないという特性は非常に重要であって、上記
の「なじみ感」と「滑りにくさ」はミスショットの軽減
につながる。特に汗や水(例えば、雨水など)で濡れた
場合でも、手が滑らないという特性は、ゴルフクラブ用
のグリップにとって解決することが必要とされる長年の
大きな課題である。
皮革、樹脂、ゴムの3種の基礎材料があり、従来から、
それらの基礎材料を使用して種々のグリップが作製され
ているが、手へのなじみ感である「しっとり感」と汗や
水で濡れた状態での「滑りにくさ」の両方を兼ね備えた
グリップは見当たらない。
は、手へのなじみ感である「しっとり感」と汗や水で濡
れた場合でも「滑りにくい」という両特性を兼ね備えた
グリップを提供することを目的とする。
/分、周波数10Hzの動的粘弾性の温度分散測定にお
いて、歪振幅0.01%における温度50℃の損失弾性
率(E”)および損失弾性率(E”)と複素弾性率(E
* )の2乗値(E*2)との比(E”/E*2)が下記の特
定値の範囲内にあるグリップを作製することにより、上
記目的を達成したものである。
損失弾性率(E”)と複素弾性率(E* )の2乗値(E
*2)との比(E”/E*2)のうち、後者の「E”/
E*2」は、エネルギーロス率の指標となるものであり、
この「E”/E*2」が上記のようにE”/E*2≧2.3
9×10-3と大きいということは、グリップの「しっと
り感」の向上に寄与し、前者の損失弾性率(E”)はエ
ネルギーロスの大きさを示すものであって、この損失弾
性率(E”)が上記のようにE”≧2.35と大きいと
いうことは、「滑りにくさ」の向上に寄与しているもの
と考えられる。
(E”/E*2)×103 ≧−0.520E”+5.82
という関係を必要とするのは、たとえ、「E”/E*2」
や「E”」が上記特定値の範囲内に入るものであって
も、一部、「しっとり感」や「滑りにくさ」が充分でな
いものがあり、「E”/E*2」や「E”」が上記特定値
の範囲内にあって、しかも(E”/E*2)×103 ≧−
0.520E”+5.82という条件を満足するもの
が、「しっとり感」が優れ、かつ汗や水で濡れた場合で
も「滑りにくい」という特性を有するという理由による
ものである。
リップの作製は、基材となるゴム・樹脂の種類の選択、
配合剤の種類や量の選択、加硫条件の選択などによって
行うことができる。
ば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴ
ム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、アクリロニトリル
ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、ブチ
ルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、
シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴ
ム、ウレタンゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチ
レン)三元共重合体(SBS)などの熱可塑性エラスト
マー、ポリノルボーネン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリ
レート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性
樹脂などが挙げられ、これらを単独であるいは2種以上
混合した状態で使用することができる。
ク、シリカ、クレー、タルクなどの補強剤・充填剤、メ
チルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、フ
ェニルトリメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、
イソブチルトリメトキシラン、テトラエトキシシランな
どのシラン化合物、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ア
ルキルフェノール樹脂、脂肪族環状炭化水素樹脂、炭化
水素系樹脂、水素添加ロジンなどの配合剤としての樹
脂、アロマチックオイル、ナフテンオイル、パラフィン
オイルなどの軟化剤、ジブチルフタレート、ジオクチル
アジペート、トリブチルフォスフェート、ジオクチルセ
バケートなどの可塑剤、ステアリン酸などの加硫助剤、
加工助剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、老化防止
剤などが挙げられる。
るようにするには、補強剤・充填剤としては、例えばシ
リカやカーボンブラックなどを使用し、これらを多量に
配合することが好ましい。特にシリカは、表面に極性基
である水酸基を有していて、表面活性に富み、大きな減
衰性能を発現する。ただし、シリカは上記の表面活性の
ために、粒子間同士の凝集力が高く、分散性が著しく悪
い。そのため、シリカの配合量が多くなると、混練およ
び成形作業が困難になり、また破壊強度の低下や伸長後
の残留歪の増大などの物性面の低下が生じ、従来技術で
は、シリカを多量配合した実用配合は実現が困難であっ
た。
にポリマーとは反応せずにシリカ表面の水酸基と反応し
て、シリカ表面の水酸基をメチル基やフェニル基などの
無極性基に変換するシラン化合物を添加することによ
り、シリカの多量配合による弊害発生を防止することに
成功したのである。
(OR2 )y 、R1 3SiNHSiR2 3で示される化合物
で、その具体例としては、例えばメチルトリメトキシシ
ラン、ヘキサメチルジシラザン、ジフェニルメトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジクロロ
シラン、イソブチルトリメトキシシラン、テトラエトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリク
ロロシラン、ジメチルジメトキシランなどが挙げられ、
これらのシラン化合物は、シリカ表面の水酸基と反応す
る官能基を有していて、シリカ表面の水酸基をメチル基
やフェニル基などの無極性基に変換するが、ポリマーと
反応する官能基を有しておらず、したがって、ポリマー
とシリカを反応させて減衰性能を低下させることがな
い。
ような動的粘弾性特性を発現させるようにするには、シ
リカはゴム100重量部に対して20〜80重量部配合
するのが好ましい。その際、シラン化合物はシリカ10
0重量部に対して10〜40重量部配合するのが好まし
い。ただし、シリカは他の補強剤・充填剤と併用可能で
あり、その場合は多量に配合することを要しない。
特性を発現させるには、カーボンブラックと樹脂を多量
配合することによっても達成できる。
*2」や「E”」を大きくする理由は、現在のところ必ず
しも明確ではないが、カーボンブラックの場合、変形を
受けた時に、カーボンブラックのストラクチャー(二次
高次構造)が破壊される際のエネルギーロスやカーボン
ブラックとゴムとの化学結合が破壊される際のエネルギ
ーロスが発生し、カーボンブラックの配合量が多くなる
ほど、そのエネルギーロスが大きくなり、「E”/
E*2」や「E”」の値が大きくなるものと考えられる。
また、樹脂の場合は、その軟化点が室温より高温側にあ
り、それによって、室温付近から軟化点付近の温度範囲
で、変形を受けた時のエネルギーロスが大きく、「E”
/E*2」や「E”」の値が大きくなるものと考えられ
る。
F、HS−ISAF、HAF、HS−HAFなどの表面
積が大きく、かつストラクチャーの大きいグレードのも
のが好ましく、また、樹脂としては、例えばクマロン樹
脂(クマロン・インデン・スチレンの三元共重合樹
脂)、水素添加ロジン、アルキルフェノール樹脂、脂肪
族環状炭化水素樹脂などが好ましい。これらのカーボン
ブラックや樹脂は両者を併用することが好ましいが、そ
れぞれ単独で使用することも可能である。
する場合も、シリカの場合と同様に混練性、加工性など
に問題が生じてくる。カーボンブラックの場合は軟化剤
や可塑剤の増量によって加工性などを改良できるが、特
に樹脂の場合はゴム組成物中での分散・溶融の度合い
が、減衰性能に大きな影響を及ぼし、樹脂の分散・溶融
が不充分であると、減衰性能を低くさせるにもかかわら
ず、その解消手段が確立されていない。
多量配合時の加工上、特性上の問題を解決するために、
鋭意研究を重ねた結果、ニーダーなどの密閉式混練機に
よる混練において、カーボンブラックやシリカなどの補
強剤・充填剤や加工助剤、軟化剤などを充分に分散させ
た後、最後に樹脂を投入し、混練ゴムに加わるせん断力
を示すローターのトルク値(電力値)がピークを越すま
で練り込み、混練機からの排出時の配合ゴム温度が、樹
脂の軟化点より30℃以上高くなるようにすることによ
り、充分な減衰性能を発現させることに成功した。ただ
し、樹脂を多量配合しない配合剤系では、従来同様にオ
ープンロールや密閉式混練機で混練することができる。
ムを基材とする場合、加硫、すなわち加圧下で所定温
度、時間で加熱処理することによって行われる。また、
加硫を要しない熱可塑性エラストマーを基材とする場合
も、同様に加熱処理することによって成形される。
ブラックと樹脂の多量配合以外に、「E”/E*2」およ
び「E”」を共に大きくする手段として、ガラス転移点
の高いポリマー(例えば、0℃付近にガラス転移点を持
つポリマー)を使用する方法が考えられる。しかし、こ
の方法では、実使用温度範囲(−10〜40℃)におけ
る複素弾性率(E* )の温度変化が大きく、強度特性が
不安定であり、好ましくない。
リップをはじめ、テニス、バトミントン、スカッシュ、
ラケットボールなどのラケット用のグリップ、スキー用
ストックなどのスポーツ用品用のグリップ、自動車、自
動二輪車、原動機付自転車などの乗物用のグリップ、ド
ライバー、ハンマーなどの手工具用のグリップ、各種機
械装置のハンドル用のグリップなど、種々の分野に適用
することができ、それらのグリップにおいて、手へのな
じみ感である「しっとり感」が優れ、かつ汗や水で濡れ
た場合でも「滑りにくい」という特性を発揮することが
できる。
分、周波数10Hzの動的粘弾性の温度分散測定におい
て、歪振幅0.01%における温度50℃の損失弾性率
(E”)および損失弾性率(E”)と複素弾性率
(E*2)の2乗値(E*2)との比(E”/E*2)が下記
の特定値の範囲内にある材質で構成されていることによ
り、手へのなじみ感である「しっとり感」が優れ、かつ
汗や水で濡れた場合でも「滑りにくい」という特性を発
揮することができる。
をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実
施例に限定されるものではない。
組成物を、金型に充填し、160℃でそれぞれ表1〜表
2に記載の時間で加硫して、図1に示す形状のゴルフク
ラブ用のグリップを成形し、バフがけして仕上げを行っ
た。なお、加硫時間がそれぞれ異なっているのは、それ
ぞれの配合組成に応じて、最適の物性が得られるように
したことによるものである。
を示し、表2に比較例1〜4の配合組成と加硫時間を示
す。表中の配合量は重量部であり、また、配合材料の表
中への表示にあたって、スペース上、詳細に記載するこ
とが困難なものについては、表2の後にその詳細を示
す。
学(株)製 ※3:SBR1500(商品名)、日本合成ゴム(株)
製のスチレンブタジエンゴム ※4:エスプレン505F(商品名)、住友化学工業
(株)製のエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM) ※5:ノクラックNS−6(商品名)、大内新興化学工
業(株)製 ※6:シースト3(商品名)、東海カーボン(株)製の
HAFカーボン ※7:ニップシールVN3(商品名)、日本シリカ
(株)製 ※8:ポリエチレングリコール(PEG4000) ※9:ソニックR1000(商品名)、日鉱共石(株)
製のナフテン系オイル ※10:Si69(商品名)、デグサ(株)製のビス(3
トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファイド ※11:KBM13(商品名)、信越化学工業(株)製の
メチルトリメトキシシラン ※12:エスクロンG90(商品名)、新日鉄化学工業
(株)製のクマロン樹脂 ※13:ノクセラーCZ(商品名)、大内新興化学工業
(株)製 ※14:ノクセラーNS(商品名)、大内新興化学工業
(株)製 ※15:ノクセラーEP20(商品名)、大内新興化学工
業(株)製 ※16:サンガードPVI(商品名)、モンサント化成
(株)製
上記のようにして作製したゴルフクラブ用のグリップを
模式的に示す断面図であり、図中、1はグリップの本体
部分で、1aはその中空部であり、ゴルフクラブのシャ
フトの端部を上記中空部1aに挿入することによって、
ゴルフクラブへのグリップの装着が行われる。
て、損失弾性率(E”)、複素弾性率(E* )、損失弾
性率(E”)と複素弾性率(E* )の2乗値(E*2)と
の比(E”/E*2)、硬度、反撥弾性、「しっとり感」
および「滑りにくさ」を調べた。その結果を表3および
表4に示す。表3には実施例1〜5のグリップに関する
結果を示し、表4には比較例1〜4のグリップに関する
結果を示す。
については、グリップから厚さ1.5mmのシートを採
取し、そのシートを昇温速度2℃/分(−80℃から1
00℃まで昇温する)、周波数10Hz、歪振幅0.0
1%の動的粘弾性の温度分散測定に供して、50℃の損
失弾性率(E”)と複素弾性率(E* )を測定した。
(E* )の2乗値(E*2)との比(E”/E*2)は、上
記損失弾性率(E”)および複素弾性率(E* )の測定
値より算出した。
S−A型硬度計で測定することによって、求めた。
じ未加硫のゴム組成物を金型に入れ前記グリップと同様
に加硫して直径20mmの球状試料を成形し、その球状
試料を200cmのところから落下させた時の反撥高さ
から反撥弾性率を求め、実施例4の反撥弾性率を100
とした時の指数で示した。
標となるものであり、この値が小さいほど変形によるエ
ネルギー損失率が大きくなり、複素弾性率(E* )が同
程度のサンプル間では、この反撥弾性指数が小さいほど
塑性変形しやすく、グリップの機能としては、握った時
の手へのなじみ感である「しっとり感」が良くなること
が予想される。
くさ」は、各グリップをウッド1番クラブに装着し(前
記のようにゴルフクラブのシャフトの端部をグリップの
中空部に挿入することによって装着する)、そのグリッ
プを装着したゴルフクラブを100人のテスター(一般
ゴルファー)に素振りおよび試打させ、5段階表示で評
価させた。
感」は、100人のテスターにグリップを装着したゴル
フクラブを素振りおよび試打させ、その際に、最も手へ
のなじみ感の良いものを5点とし、順次「手へのなじみ
感」が低下するにつれて評価点が下がる5段階評価で評
価させ、表3および表4には100人の評価値の平均値
で示した。
水で濡らし、その状態で100人のテスターにゴルフク
ラブを素振りおよび試打させ、最も滑りにくいものを5
点とし、順次「滑りにくさ」が低下するにつれて評価点
が下がる5段階評価で評価させ、表3および表4には1
00人の評価点の平均値で示した。
率(E”)と複素弾性率(E* )の2乗値(E*2)との
比(E”/E*2)の表3および表4への表示にあたって
は、損失弾性率(E”)はE”のみで、また損失弾性率
(E”)と複素弾性率(E*)の2乗値(E*2)との比
(E”/E*2)はE”/E*2のみで表示した。
かなように、実施例1〜5のグリップは、比較例1〜4
のグリップより、「しっとり感」および「滑りにくさ」
の評価点が高く、手へのなじみ感である「しっとり感」
が優れ、かつ水濡時の「滑りにくさ」が優れていた。
範囲に記載の動的粘弾性特性を有するようにするため
に、配合上どのような対策をしたかについて説明する。
トラクチャーがかなり大きいシリカを多量に配合するこ
とにより、高温でのエネルギーロス率の指標である
「E”/E*2」およびエネルギーロスの大きさを示す損
失弾性率(E”)を大きくしている。
「E”」を大きくすることができたのは、シリカが表面
に極性基である水酸基を有するので、カーボンブラック
よりもさらに表面活性に富み、それによって大きな減衰
性能を発現したことによるものと考えられる。
富むので、粒子間同士の凝集力が高く、そのため、分散
性が著しく悪く、配合量が増加するほど混練および成形
作業が困難になり、また破壊強度の低下や伸長後の残留
歪の増大などの物性面の低下が生じるので、何らの対策
なしに、シリカを多量に配合することは実用配合として
実現困難であった。
時にポリマーとは反応せずにシリカ表面の水酸基と反応
して、シリカ表面の水酸基をメチル基やフェニル基など
の無極性基に変換するシラン化合物(例えば、メチルト
リメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなど
で、実施例1〜2ではメチルトリメトキシシランを用
い、シリカ表面の水酸基をメチル基に変換している)を
添加することにより、上記のシリカ多量配合上の問題点
を解決した。
合物の適量な配合により、減衰性能をあまり損なわずに
混練および成形作業を改善し、実用配合として実現可能
なものにした例である。
は、シリカを多量配合している点においては上記実施例
1〜2の場合と同様であるが、その際に、シラン化合物
のメチルトリメトキシシランではなくシランカップリン
グ剤のビス(3トリエトキシシリルプロピル)テトラス
ルファイドを配合している。このシランカップリング剤
はポリマーと反応可能な官能基およびシリカと反応可能
な官能基の両者を有しているので、シリカとポリマー間
でいわば架橋剤的な働きをし、そのため、「E”/
E*2」や「E”」が小さく、反撥弾性の指数値が大きく
なっていることなどからわかるように、実施例1〜2に
比べて、減衰性能が低下していて、「しっとり感」の評
価値が低い。
分に保持しつつ、シリカ多量配合時の加工性上の問題を
解決し、シリカの多量配合を実現可能とした実用配合の
例であり、そのシリカの多量配合に基づいて優れた「し
っとり感」および「滑りにくさ」を得ている。
や樹脂を多量配合することにより(ただし、実施例3で
はカーボンの一部をシリカに置き換えて配合してい
る)、「E”/E*2」および「E”」を大きくした例で
ある。
合も、シリカの場合と同様に混練性、加工性などに問題
が生じてくる。特に樹脂の場合はゴム組成物中での分散
・溶融の度合いが、減衰性能に大きな影響を及ぼし、樹
脂の分散・溶融が不充分であると、減衰性能が低くな
る。
時の加工上、特性上の問題を解決するため、鋭意研究を
重ねた結果、ニーダーなどの密閉式混練機による混練に
おいて、カーボンやシリカなどの補強剤や、加工助剤、
軟化剤などを充分に分散させた後、最後に樹脂を投入
し、混練ゴムに加わるせん断力を示すローターのトルク
値(電力値)がピークを越すまで練り込み、混練機から
の排出時のゴム組成物の温度が、樹脂の軟化点より30
℃以上高くなるようにすることによって、充分な減衰性
能を発現させることに成功した。
エスクロンG90〔商品名、新日鉄化学(株)製のクマ
ロン樹脂〕を使用していて、このエスクロンG90(商
品名)の軟化点が95〜100℃であることから、混練
機からの排出時のゴム組成物の温度を125〜130℃
にしている。
「E”」を共に大きくする手段として、ガラス転移点の
高いポリマー(例えば、0℃付近にガラス転移点を持つ
ポリマー)を使用する方法がある。しかし、この方法で
は、実使用温度範囲(−10〜40℃)における複素弾
性率(E* )の温度変化が大きく、強度特性が不安定で
あり、好ましくなかった。
範囲に記載の動的粘弾性特性を有することが可能となっ
た実施例1〜5のグリップは、表3と表4に示す結果の
対比から明らかなように、比較例1〜4のグリップに比
べて、「しっとり感」および水濡時の「滑りにくさ」が
優れていた。
グリップの「しっとり感」および水濡時の「滑りにく
さ」と物性値との関連性に言及すると、次の通りであ
る。
ス率の指標である「E”/E*2」が3.01×10-3〜
6.50×10-3(最も小さい実施例2で3.01×1
0-3であり、最も大きい実施例3で6.50×10-3で
ある)と大きく、これが「しっとり感」の向上に寄与し
たものと考えられる。これは、反撥弾性指数の大きさと
も対応している。
みるとわかるように、比較例4のように、損失弾性率
(E”)が2.0kgf/cm2 と小さい場合は、たと
えエネルギーロス率の指標である「E”/E*2」が実施
例4と同程度に大きかったとしても、「しっとり感」の
評価値が悪い。すなわち、エネルギーロス率が大きくて
も、エネルギーロスの大きさを示す損失弾性率(E”)
が小さいと、「しっとり感」は向上しない。
ことは、複素弾性率(E* )も大きく、これが「滑りに
くさ」を向上させるものと考えられる。すなわち、損失
弾性率(E”)や複素弾性率(E* )が小さい場合は、
インパクト時、特にミスショット時のトルクによるグリ
ップの変形が大きく、グリップが手の中で動きやすくな
る。逆に、損失弾性率(E”)や複素弾性率(E* )が
大きい場合は、インパクト時のグリップの変形が小さ
く、「滑りにくさ」が向上する。
* )の大きさの差に基づく特性上の差は、特に水濡時の
「滑りにくさ」において、顕著にみられる。これは、対
応する実施例と比較例との間で、硬度値の大きい実施例
1〜5の方が、硬度値の小さい比較例1〜4に比べて、
水濡時の「滑りにくさ」が優れていることに対応してい
る。
および損失弾性率(E”)と複素弾性率(E* )の2乗
値(E*2)との比(E”/E*2)の両値とも大きいグリ
ップは、「しっとり感」および「滑りにくさ」の両特性
において優れている。
率(E”)と複素弾性率(E* )の2乗値(E*2)との
比(E”/E*2)の物性値と、「しっとり感」と「滑り
にくさ」との関係は、特許請求の範囲で特定した範囲内
でみると、下記のようになる。
るように、反撥弾性率が実施例の中で最も小さく、
「E”/E*2」値が最も大きく、反撥弾性指数が最も小
さくなっている。そのため、「しっとり感」の評価は実
施例の中で最も良いが、水濡時の「滑りにくさ」は実施
例中では最も悪い。逆に、硬度・弾性率が大きく、
「E”/E*2」の値がやや小さい実施例4のグリップ
は、「しっとり感」よりも、水濡時の「滑りにくさ」に
おいて優れていることがわかる。
ちらかといえば「しっとり感」の向上に寄与し、
「E”」値の増大は、どちらかといえば水濡時の「滑り
にくさ」の向上に寄与するものと考えられる。
び比較例1〜4のグリップの「E”」値と「E”/
E*2」値とを図示したものである。
縦軸は「E”/E*2」値で、斜線Yは(E”/E*2)×
103 =−0.520E”+5.82を示す線であり、
この斜線Yより斜め右上の領域は、E”/E*2×103
>−0.520E”+5.82で示す領域である。
リップは、その動的粘弾性が次の特定値の範囲内に入っ
ている。 E”/E*2×103 ≧−0.520E”+5.82 E”/E*2≧2.39×10-3 E”≧2.35
のグリップについて説明したが、本発明はゴルフクラブ
用以外のグリップについても適用できるものであり、そ
れらのグリップにおいて、実施例で示したゴルフクラブ
用のグリップ同様に、優れた「しっとり感」と汗や水で
濡れた場合でも「滑りにくい」という特性を発揮するこ
とができる。
す断面図である。
グリップの損失弾性率(E”)値および損失弾性率
(E”)と複素弾性率(E* )の2乗値(E*2)との比
(E”/E*2)値を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 昇温速度2℃/分、周波数10Hzの動
的粘弾性の温度分散測定において、歪振幅0.01%に
おける温度50℃の損失弾性率(E”)および損失弾性
率(E”)と複素弾性率(E* )の2乗値(E*2)との
比(E”/E*2)が下記の特定値の範囲内にある材質で
構成されていることを特徴とするグリップ。 (E”/E*2)×103 ≧−0.520E”+5.82 E”/E*2≧2.39×10-3 E”≧2.35 〔E”:損失弾性率(kgf/cm2 )〕 〔E* :複素弾性率(kgf/cm2 )〕 - 【請求項2】 グリップを構成する材質がゴム組成物の
加硫成形物である請求項1記載のグリップ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11407494A JP3334825B2 (ja) | 1994-04-27 | 1994-04-27 | グリップ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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