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JP3331156B2 - アルミニウム塗装材 - Google Patents

アルミニウム塗装材

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Publication number
JP3331156B2
JP3331156B2 JP23033797A JP23033797A JP3331156B2 JP 3331156 B2 JP3331156 B2 JP 3331156B2 JP 23033797 A JP23033797 A JP 23033797A JP 23033797 A JP23033797 A JP 23033797A JP 3331156 B2 JP3331156 B2 JP 3331156B2
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JP
Japan
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coating
film
aluminum
heating
surfactant
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JP23033797A
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JPH1161433A (ja
Inventor
正裕 倉田
美智男 小林
建次 須藤
延義 佐々木
Original Assignee
スカイアルミニウム株式会社
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Filing date
Publication date
Application filed by スカイアルミニウム株式会社 filed Critical スカイアルミニウム株式会社
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  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム塗装
材、さらに詳しくはルームエアコン、カーエアコンなど
に使用する熱交換器用アルミニウムフィン材の表面処理
法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱交換器用アルミニウムフィン材(以下
単にアルミニウムフィン材という。)は、耐食性皮膜層
の形成とその層の上に親水性皮膜層の形成が行われてい
る。従来アルミニウムとクロメート皮膜の間の密着性の
改善については以下のような多くの提案があるが、耐食
性は向上してもこのクロメート層と親水樹脂層の処理層
の間の密着性(耐剥離性)を向上させるためにはほとん
ど検討がなされておらず盲点になっており、この解決が
必要とされてきた。
【0003】例えば、化成処理によって得たクロメー
ト皮膜を20〜200℃に加熱し、クロメート層に微細
なクラックを形成させ、これによって親水性樹脂層との
密着性を向上させる(特開平3−93539号)。 熱間圧延終了後塗装前までにpH5以下の酸またはp
H10以上のアルカリ溶液で50mg/m2 以上エッチ
ングし、アルミニウム表面上の酸化皮膜を除去し、化成
処理をする(特開平4−32583号)。 脱脂後、または脱脂に代えてpH10以上のアルカリ
溶液で1〜300sec間洗浄し、アルミニウム表面上
の圧延油、圧延時に発生する摩耗粉、レベラー潤滑油、
酸化皮膜を除去した後化成処理をする。 しかしながらこれらの方法では、得られたアルミニウム
フィン材のクロメート皮膜と親水性皮膜の間の密着性は
不十分である。特に塗布型クロメートの場合、十分な密
着性が得られずアルミニウム塗装材のコイルを巻き取る
時、アルミニウム板材をフィン材にプレスなどにより成
形する時、フィン材を熱交換器に組立てる時など、積層
した塗装面同士の密着性が不十分なため塗装面同士ある
いは塗装面に金属などの固いものが接触した時など簡単
に親水性皮膜層が剥離するなどの欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルミニウ
ム塗装材において、アルミニウム板材のフィン材の製造
工程及び熱交換器組立工程中あるいは熱交換器の運転中
における大きなトラブルのひとつである、下地塗布型ク
ロメート皮膜とその上に設けた親水性皮膜の剥離を防止
するため、この両者間の密着性を向上させたアルミニウ
ム塗装材の製造法の確立を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) アル
ミニウム板材を界面活性剤または界面活性剤とキレート
剤を含むアルカリ系薬剤で処理し、水洗し、次いで10
0℃〜300℃の不活性ガス雰囲気中または100℃〜
200℃の大気中で、アルミニウム板材表面上の界面活
性剤、キレート剤及び未脱脂の圧延油を含む有機物質を
4mg/m2 以下になるまで加熱乾燥した後、冷却し、
塗布型クロメート液を塗布し、これを加熱乾燥・冷却し
た後その塗膜上に親水性皮膜を設けるアルミニウム塗装
材の製造方法、(2) アルミニウム板材を界面活性剤
または界面活性剤とキレート剤を含むアルカリ系薬剤で
処理し、水洗し、次いで100℃〜300℃の不活性ガ
ス雰囲気中または100℃〜200℃の大気中で、アル
ミニウム板材表面上の界面活性剤、キレート剤及び未脱
脂の圧延油を含む有機物質を4mg/m2 以下になるま
で加熱乾燥した後、冷却し、塗布型クロメート液を塗布
し、該塗布型クロメート皮膜上の付着有機物質を4mg
/m2 以下になるように加熱乾燥し、更に冷却した後そ
の塗膜上に親水性皮膜を設ける(1)記載のアルミニウ
ム塗装材の製造方法、(3) アルカリ系薬剤のpHが
9以上のものであり、水洗する場合の水温が室温〜90
℃であり、塗布型クロメートの塗布量が、クロム塗着量
として3〜200mg/m2 、加熱乾燥温度40〜30
0℃である(1)または(2)記載のアルミニウム塗装
材の製造方法、(4) 親水性皮膜が親水性樹脂皮膜で
ある場合、皮膜塗着量として0.1〜5g/m2 、加熱
乾燥温度140〜300℃、加熱乾燥時間5〜60秒で
ある(1)〜(3)のいずれかに記載のアルミニウム塗
装材の製造方法、及び(5) 親水性皮膜が水ガラス系
またはコロイダルシリカ系塗料の場合、皮膜塗着量とし
て、けい素量で20〜400mg/m2 、加熱乾燥温度
140〜300℃、加熱乾燥時間 5〜60秒である
(1)〜(3)のいずれかに記載のアルミニウム塗装材
の製造方法、を開発することにより上記の目的を達成し
た。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、アルミニウムと
は工業用純アルミニウム及びアルミニウム合金(以下両
者を合わせて単にアルミニウムという。)を意味し、特
に熱交換器のフィン材に使用されているJIS105
0、1100、1200などの純アルミニウム系、純ア
ルミニウムに0.2〜0.4%のマンガンを添加した材
料などである。またアルミニウム板材とは、圧延された
厚さ50〜2000μm板材(本発明で板材とは板状に
切断されたものあるいはコイル状に巻き取られたものの
両者を意味する。)のものを指し、これを脱脂、水洗、
加熱乾燥、冷却、クロメート塗布、加熱乾燥、親水性皮
膜塗布によりアルミニウム塗装材とするものである。
【0007】本発明のアルミニウム塗装材おいて用いら
れるアルカリ系薬剤の界面活性剤としては、アルミニウ
ム板材上の油分の除去及びその分散性を高めるためHL
B(親水親油バランス)が11〜15程度のポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテルなどのノニオン系界面活性剤、高級
アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルカリ塩など
のアニオン系界面活性剤の1種または2種以上を使用す
れば良い。またこれと併用して、アルミニウム板材のエ
ッチング性を高めるためにエチレンジアミンテトラ酢酸
2ナトリウム塩、グルコン酸ナトリウムなどのキレート
剤を使用してもよい。
【0008】界面活性剤またはこれとキレート剤を含む
アルカリ系薬剤は、アルカリビルダーとして水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、りん酸3
ナトリウム、りん酸3カリウム、りん酸水素2ナトリウ
ム、りん酸2水素ナトリウム、りん酸水素2カリウム、
りん酸2水素カリウム、オルソけい酸ナトリウム、オル
ソけい酸カリウム、2けい酸ナトリウム、2けい酸カリ
ウムなどのアルカリ化合物の1種または2種以上を配合
したものである。このアルカリ系薬剤でアルミニウム板
材を脱脂する場合のpHは9以上、好ましくは10以上
の水溶液を用いる。アルカリ系薬剤のpHが9未満で
は、焼鈍工程などで生成した酸化皮膜などの除去が不十
分となり、塗布型クロメートとの密着性を阻害する。洗
浄に際してはアルカリ系薬剤の温度を40〜90℃、好
ましくは50〜80℃とする。40℃未満では焼鈍工程
などで生成した酸化皮膜が残存し、塗布型クロメートと
の密着性を阻害する。処理に際しては、このアルカリ系
薬剤を1〜20秒間、好ましくは3〜10秒間、スプレ
ーでアルミニウム板材上に吹きつけ、表面上の圧延油な
どの油分、金属粉などの異物及び圧延、焼鈍工程などで
生成した酸化皮膜を除去する。
【0009】アルカリ系薬剤で洗浄されたアルミニウム
板材は、室温〜90℃、好ましくは40〜80℃の水
(純水、軟水、工業用水)でスプレー洗浄する。水洗
は、アルミニウム板材の表面積1m2 当たり2〜50リ
ットル、好ましくは4〜30リットルの水を用いスプレ
ー洗浄する。アルミニウム板材への供給水量はスプレー
圧力が高い方が少なくて済むが、通常に塗装ラインで使
用する水圧力では上記の供給水量が必要となる。また洗
浄水量が多いほどアルミニウム板材表面上の界面活性剤
及びキレート剤の存在量は減少するが、洗浄水が1m2
当たり50リットルを超える給水量を確保するには大掛
かりな装置が必要となるので実際上は困難である。
【0010】アルミニウム板材上のアルカリ成分(例え
ば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム
など)、酸成分(塩素イオン、硫酸イオン、りん酸イオ
ンなど)は、それら自身クロメート皮膜と親水性皮膜と
の密着性は阻害しない。したがって洗浄水の水質として
は、原則的には界面活性剤またはキレート剤の含有量が
低ければ良いので純水である必要はなく、軟水、工業用
水などの使用が可能である。しかし、水道水は殺菌のた
めに塩素を注入しており、それ自体多量の塩素イオンを
含むので、水洗後にアルミニウム板材上に残存すると、
アルミニウム塗装材の腐食を招くのでできれば脱イオン
水を用いるかまたは水道水は使用しない方が好ましい。
【0011】このように水洗した後、不活性ガス雰囲気
中では100℃〜300℃、好ましくは150℃〜25
0℃の温度で加熱乾燥、空気中においては酸化を避ける
ため100℃〜200℃、好ましくは150℃〜200
℃の温度で乾燥し、アルミニウム板材表面上の界面活性
剤、キレート剤、未脱脂の残留圧延油などの有機物質の
総量が4mg/m2 以下とするように行う。この量が4
mg/m2 を超える時は、アルミニウム塗装材の塗布型
クロメート皮膜とその上に塗布された親水性皮膜との密
着性を大きく損なうことになる。不活性ガス雰囲気とし
てはアルゴン雰囲気が好ましいが、窒素ガス雰囲気でも
良い。空気中での加熱乾燥はアルミニウム板材表面に酸
化皮膜を形成しやすく、この酸化皮膜が塗布型クロメー
トとアルミニウム板材表面の反応を阻害し、密着性を低
下させるので好ましくないが、200℃以下の温度にお
いてはその影響が小さいのでその温度での加熱乾燥は可
能である。加熱乾燥の温度は、アルミニウム板材上の界
面活性剤及びキレート剤の蒸発が促進される温度であれ
ば好ましく、必ずしもそれら化合物の沸点以上の温度で
ある必要はない。100℃未満の温度では界面活性剤及
びキレート剤の蒸発速度が小さくその効果が小さい。ま
た300℃を超える温度ではそれら化合物の蒸発速度を
大きく促進するが、材質の焼鈍、あるいは酸化皮膜など
の生成速度を大きく促進するので不適当である。この場
合の加熱乾燥炉内の雰囲気ガス中の有機物含有量は炭素
量で5%以下、好ましくは1%以下が良い。5%を超え
るとアルミニウム板材表面に有機物の吸着量が多くな
り、塗布型クロメート皮膜と親水性皮膜の密着性が低下
する。
【0012】本発明に使用する塗布型クロメートとして
は、通常のクロメート塗布剤であって、りん酸イオン、
6価クロムイオン及び/または3価クロムイオン、フッ
素イオン、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金
属イオンなどを含むもので、またけい酸イオン、ジルコ
ニウム化合物、チタン化合物などを含んでいても良く、
更にポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル
アミドなどのアクリル樹脂を含んでも良いが、界面活性
剤及び/またはキレート剤を含まない方が好ましい。
【0013】このような塗布型クロメートを含む液をロ
ールコーターまたはスプレーなどによりアルミニウム板
材に塗布し、40℃〜300℃、好ましくは150℃〜
250℃の範囲で数秒〜数分、好ましくは10秒〜30
秒位の間加熱乾燥し、クロメート皮膜層をクロム塗布量
として3〜200mg/m2 形成させる。加熱乾燥温度
が40℃未満の温度では塗布型クロメートとアルミニウ
ムとの十分な密着性が得られない。また300℃を超え
る温度においては材料の軟化が生じる。更にクロメート
の塗布量が3mg/m2 未満では十分な耐食性が付与で
きず、一方200mg/m2 を超える量塗布しても耐食
性の向上はなく、単にコストアップを招くだけで無駄に
なる。この場合、塗布型クロメート皮膜上に付着する有
機物が4mg/m2 以下となるように加熱乾燥すること
がより好ましい態様である。具体的にはそれ以前の工
程に用いる各種薬剤に低沸点有機物を用い、その沸点以
上の温度に加熱する、有機物を含む炉内ガスを、白金
を担持した酸化触媒層に通す、乾燥炉内の雰囲気をフ
レッシュな空気量を増すなど、乾燥炉中の有機物の濃度
を完全燃焼させるなどによりできるだけ小さく保持する
ようにすることである。
【0014】このようにして得られた塗布型クロメート
皮膜を有するアルミニウム板材は次に親水性皮膜を設け
る。親水性皮膜としては、塗料基材は親水性を有するも
のであれば特に制限はないが、有機高分子系のものとし
てはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロー
スなどのセルロース系樹脂、アクリルアミド、アクリル
酸、アクリル酸エステルなどを主体としたアクリル系樹
脂などが適しており、これらの単独ポリマー、2種以上
の混合物あるいはこれらの共重合体であっても良い。ま
たこれらの基材樹脂は自己架橋型のものであっても良
く、必要に応じヘキサブチロールメラミン、ヘキサブチ
ロールメチルメラミンなどのメラミン化合物、エポキシ
基を有する化合物、ブチロール基を付加させた尿素ある
いはイソシアナート基を有する化合物といった硬化剤が
添加されていても良い。
【0015】また無機系の親水性皮膜の基材としては、
水ガラス、コロイダルシリカなどを主体とする無機系塗
料であっても良く(アクリル系樹脂あるいはポリビニル
アルコールなどの樹脂との混合塗料であっても良
い。)、またジルコニウム酸などの金属架橋剤が添加さ
れたものであっても良い。
【0016】この親水性皮膜形成塗料にはポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレン付加ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレ
ンブロック共重合体、ポリオキシエチレンラノリンアル
コールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエ
ーテルなどのノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホ
コハク酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルりん酸エ
ステル、ポリオキシエチレンアルキルりん酸エステル塩
などのアニオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアン
モニウムクロライドなどのカチオン系界面活性剤を含ん
でも良い。
【0017】親水性皮膜の塗布量及び加熱乾燥温度、加
熱乾燥時間は、アルミニウム塗装材の使用条件、親水性
皮膜形成塗料の特性、加熱乾燥炉の特性などにより特定
することはできないが、一般的には、塗膜量として0.
1〜5g/m2 、好ましくは0.2〜1.5g/m2
加熱乾燥温度は熱硬化タイプの場合、140℃〜300
℃、好ましくは150℃〜250℃、加熱乾燥時間は5
〜60秒、好ましくは10〜30秒である。塗膜塗布量
が0.1g/m2 未満では親水性が不十分になりやす
く、また5g/m2 を超える量を塗布しても親水性が向
上ぜず、コストアップを招くだけであり無駄である。
【0018】水ガラス系、コロイダルシリカ系などの無
機系親水性皮膜形成塗料の場合は、シリカ量で20〜4
00mg/m2 、好ましくは50〜300mg/m2
範囲が良い。20mg/m2 未満では十分な親水性が得
られず、また400mg/m2 を超えても親水性がそれ
以上向上しないだけでなく析出したシリコン化合物が粉
状となり、塗膜密着性が低下し、プレス成形などの場合
に剥離しやすくなるなどの問題を生じることになる。
【0019】塗布型クロメート皮膜を設ける際、アルミ
ニウム板材状に脱脂剤中の界面活性剤、キレート剤及び
未脱脂圧延油残などの有機物が存在しない場合は、塗布
型クロメート皮膜と親水性皮膜とが良好な密着性を有す
るのに対し、これが存在する場合はアルミニウム板材上
にあった界面活性剤などの有機物が塗布型クロメート皮
膜上にマイグレーションし、親水性皮膜との密着性を阻
害することが分かった。
【0020】アルミニウム板材上の界面活性剤などの有
機物がどのような機構で塗布型クロメート上にマイグレ
ーションするのか詳細は不明であるが、塗布型クロメー
ト皮膜層を厚くしても、塗布型クロメート液を塗布する
前のアルミニウム板材表面上の界面活性剤などの有機物
が存在すると、塗布型クロメート皮膜と親水性樹脂皮膜
との密着性が低下すること、この場合においても塗布型
クロメートの耐食性は低下していないことから、クロメ
ート皮膜がポーラスであるためアルミニウム板材表面の
界面活性剤などの有機物が塗布型クロメート皮膜を通過
して塗布型クロメートの表面に浮き上がってくるなどの
メカニズムは考えにくい。仮定ではあるが、塗布型クロ
メートを塗布した際に、アルミニウム板材上の界面活性
剤などの有機物が塗布型クロメート中に溶解し、焼きつ
けた時にその表面に浮き上がってくるためと想像してい
る。
【0021】塗布型クロメート塗布前のアルミニウム板
材表面上の界面活性剤などの有機物の合計量が4mg/
2 以下であると、クロメート皮膜と親水性皮膜との密
着性は阻害されない。実験室レベルでは水洗のみでもこ
のような水準を保つことは可能ではあるが、工業的には
アルミニウム板材表面の界面活性剤、キレート剤、未脱
脂残留圧延油などの量を本発明の要求する極めて低い値
に保つことは、排水量を大幅に増やしたり、長大な多段
処理が必要となるため困難であり、実際上不可能であ
る。したがって水洗のみで4mg/m2 以下を達成する
ことは困難である。
【0022】しかし、水洗後のアルミニウム板材を加熱
乾燥すると、アルミニウム板材上の界面活性剤及びキレ
ート剤といった低分子量の有機物質は蒸発速度が大きく
なるので、アルミニウム板材上の有機物質は大きく低減
するので、アルミニウム板材表面におけるこの値が4m
g/m2 以下となるまで加熱乾燥した時は、塗布型クロ
メート皮膜と親水性皮膜との密着性を大幅に改善するこ
とになる。ただし水洗後のアルミニウム板材の加熱乾燥
において、酸化皮膜の成長が促進されるような雰囲気及
び温度(100〜300℃の不活性ガス雰囲気中または
100〜200℃の大気中より厳しい条件)を設定する
と、塗布型クロメート皮膜自体の成膜が阻害され、アル
ミニウム板材表面と塗布型クロメート皮膜の界面で剥離
したり、耐食性不良を生じたりする。そこで加熱乾燥を
不活性ガス中で行うか、空気中で行う場合は酸化皮膜の
形成が促進されない条件で行うことが必要となる。
【0023】以上のようにして設けた塗布型クロメート
皮膜を焼きつける際に、加熱乾燥炉内の雰囲気中の有機
物が塗布型クロメート皮膜表面上に吸着される。このよ
うな吸着層は、界面活性剤、キレート剤、未脱脂圧延油
などの有機物質同様、塗布型クロメート皮膜と親水性皮
膜の密着性を阻害する。吸着物質の詳細は不明である
が、塗布型クロメート液成分の一つであるアクリル樹脂
などの樹脂や、同一炉で他の塗料を焼きつける場合はそ
の塗料に含まれる樹脂、溶剤及びそれらの加熱重合物、
熱分解物またはそれらの混合物が考えられる。これらの
吸着物質は、加熱乾燥温度が低い時は物理的に塗布型ク
ロメートに吸着され、加熱乾燥温度が高い時は化学的に
吸着するようである。これらの吸着物、特に化学的に吸
着した吸着物は塗布型クロメートを加熱乾燥後で溶剤洗
浄または水洗などを行っても除去しきることは困難で、
そのような洗浄処理を行っても塗布型クロメート皮膜と
親水性皮膜の密着性を余り向上させることはできない。
したがって塗布型クロメートの加熱乾燥雰囲気、加熱乾
燥温度をコントロールし、塗布型クロメート皮膜への吸
着を極力抑えることが好ましい。アルカリ系薬剤中の界
面活性剤、キレート剤及び未脱脂圧延油残分などの有機
物質の塗布型クロメート皮膜上への吸着制御を合わせて
行い、塗布型クロメート皮膜上の有機物を4mg/m2
以下とすると親水性皮膜の密着性がより向上する。
【0024】
【実施例】
(実施例1)厚さ0.1mmのアルミニウム板材(11
00−H24)を、界面活性剤を含むアルカリ系脱脂剤
(日本ペイント(株)製:商品名サーフクリーナー33
0)の1%水溶液を用い、60℃でスプレ−脱脂(スプ
レー圧=2kgf/cm2 、スプレー時間=10秒)し
た。このアルミニウム板材をスプレー時間及び湯洗量を
1〜45リットル/m2 と変更しながら、60℃の温水
(軟水、スプレ−圧=2kgf/cm2 )で直ちにスプ
レー湯洗、脱脂した。次いでこのアルミニウム板材を直
ちに表1に示すような条件の加熱乾燥炉にて、乾燥時間
はいずれも5秒で乾燥した。この場合の炉内ガス雰囲気
中の有機物量は0.5%であった。有機物の測定のた
め、乾燥したアルミニウム板材の表面を四塩化炭素で洗
い、四塩化炭素に溶出した有機物のIRスペクトルの吸
収深さから有機物量を測定した。アルミニウム塗装材と
するアルミニウム板材は、四塩化炭素抽出作業をせずに
塗布型クロメート塗装・加熱乾燥を行った後、親水性塗
料の塗装・加熱乾燥を行った。この場合、塗装には塗布
型クロメート液(日本ペイント(株)製:商品名サーフ
アルコート427)を用い、クロム付着量=20mg/
2 になるように調整した。加熱乾燥はアルゴン雰囲気
中、到達温度=150℃、加熱乾燥時間=30秒とし
た。炉内雰囲気中の有機物量は0.1%であった。
【0025】親水性皮膜は、水ガラス系塗料(日本ペイ
ント(株)製:商品名サーフアルコート131)を用い
た。塗布量はけい素量で100mg/m2 とした。以上
のようにして得たアルミニウム塗装板の表面をキムワイ
プで擦り、親水性皮膜が剥離する直前の回数を測定し
た。
【0026】
【表1】
【0027】(実施例2)厚さ0.1mmのアルミニウ
ム材(1100−H24)を、界面活性剤を含むアルカ
リ系脱脂剤(日本ペイント(株)製:商品名サーフクリ
ーナー330)の1%水溶液を用い、60℃でスプレ−
脱脂(スプレー圧=2kgf/cm2 、スプレー時間=
10秒)した。このアルミニウム板材をただちに湯洗
(工業水、スプレー圧=2kgf/cm2 、スプレー時
間=10秒、水温=70℃、湯洗量=15リットル/m
2 )し、脱脂したアルミニウム板材を得た。この材料を
直ちに炉内の雰囲気中に表2に示す量の有機物を含有す
る空気中、150℃で、5秒間加熱乾燥炉にて乾燥し
た。続いて、塗布型クロメート液(日本ペイント(株)
製:商品名サーフアルコート427)を用い、クロム付
着量=20mg/m2 になるように塗装・加熱乾燥を行
った。塗布型クロメート液の加熱乾燥はアルゴン雰囲気
中、到達温度=120〜320℃、加熱乾燥時間=30
秒とした。炉内ガス雰囲気中の有機物量は0.1%であ
った。このアルミニウム板材の表面を四塩化炭素溶液で
洗い、四塩化炭素中の有機物のIRスペクトルの吸収の
深さから有機物量を測定した。アルミニウム塗装材とす
るアルミニウム板材は四塩化炭素抽出作業をせずに親水
性塗料塗装・加熱乾燥を行った。親水性樹脂皮膜は、有
機系塗料(日本ペイント(株)製:商品名サーフアルコ
ート240)を用いた。塗布量は樹脂量として1g/m
2 とした。以上のようにして得たアルミニウム塗装板の
表面をキムワイプで擦り、親水性樹脂皮膜が剥離する直
前の回数を記録した。 評価 ◎:30回以上擦っても剥離ナシ ○:20回以上、29回以下剥離した。 △:10回以上、19回以下剥離した。 ×:9回以下で剥離した。
【0028】
【表2】
【0029】(実施例3)厚さ0.1mmのアルミニウ
ム板材(1100−H24)を、界面活性材を含むアル
カリ系脱脂剤(日本パーカライジング(株)製:商品名
ファインクリーナー4498)の2%水溶液を用い、5
0℃でスプレ−脱脂(スプレー圧=2kgf/cm2
スプレー時間=10秒)した。このアルミニウム板材を
直ちにスプレー湯洗(工業用水、スプレ−圧=2kgf
/cm2 、スプレー時間10秒、水温=70℃、湯洗量
=151/m2 )、脱脂したアルミニウム板材を得た。
この板材を直ちに、大気中、150℃で、5秒間加熱乾
燥炉にて乾燥した。炉内雰囲気中の有機物質量は0.1
%であった。塗布型クロメート液(日本パーカライジン
グ(株)製:商品名TD116)を用い、クロム付着量
=30mg/m2 となるように調製した。加熱乾燥はア
ルゴン雰囲気中、到達温度=200℃、加熱乾燥時間=
2〜800秒とした。炉内ガス雰囲気中の有機物量は
0.5%であった。このアルミニウム板材の表面を四塩
化炭素溶液で洗い、四塩化炭素中の有機物のIRスペク
トルの吸収の深さから有機物量を測定した。アルミニウ
ム塗装材とするアルミニウム板材は、四塩化炭素抽出作
業をせずに親水性塗料塗装・加熱乾燥を行った。親水性
皮膜は、水ガラス系塗料(日本ペイント(株)製:商品
名サーフアルコート131)を用いた。皮膜量はけい素
量で100g/m2 とした。以上のようにして得たアル
ミニウム塗装板の表面をキムワイプで擦り、親水性皮膜
が剥離する直前の回数を記録した。 評価 ◎:20回以上擦っても剥離ナシ ○:10回以上、19回以下剥離した。 △:5回以上、9回以下剥離した。 ×:4回以下で剥離した。
【0030】
【表3】
【0031】
【発明の効果】以上のように、塗布型クロメート塗布前
のアルミニウム上の有機物を4mg/m2 以下とするこ
とにより、塗布型クロメート皮膜と親水性皮膜の密着性
が向上し、また、塗布型クロメート皮膜上の有機物質量
を4mg/m2 以下にすると、さらに密着性が向上す
る。本発明による親水性プレコートフィンは熱交換器フ
ィン用材として好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 延義 東京都墨田区錦糸1丁目2番1号アルカ セントラルビル20Fスカイアルミニウム 株式会社内 審査官 廣野 知子 (56)参考文献 特開 平7−316837(JP,A) 特開 平7−292487(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 B05D 7/14 101 F28F 1/32 F28F 13/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム板材を界面活性剤または界
    面活性剤とキレート剤を含むアルカリ系薬剤で処理し、
    水洗し、次いで100℃〜300℃の不活性ガス雰囲気
    中または100℃〜200℃の大気中で、アルミニウム
    板材表面上の界面活性剤、キレート剤及び未脱脂の圧延
    油を含む有機物質を4mg/m2 以下になるまで加熱乾
    燥した後、冷却し、塗布型クロメート液を塗布し、これ
    を加熱乾燥・冷却した後その塗膜上に親水性皮膜を設け
    ることを特徴とするアルミニウム塗装材の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム板材を界面活性剤または界
    面活性剤とキレート剤を含むアルカリ系薬剤で処理し、
    水洗し、次いで100℃〜300℃の不活性ガス雰囲気
    中または100℃〜200℃の大気中で、アルミニウム
    板材表面上の界面活性剤、キレート剤及び未脱脂の圧延
    油を含む有機物質を4mg/m2 以下になるまで加熱乾
    燥した後、冷却し、塗布型クロメート液を塗布し、該塗
    布型クロメート皮膜上の付着有機物質を4mg/m2
    下になるように加熱乾燥し、更に冷却した後その塗膜上
    に親水性皮膜を設ける請求項1記載のアルミニウム塗装
    材の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルカリ系薬剤のpHが9以上のもので
    あり、水洗する場合の水温が室温〜90℃であり、塗布
    型クロメートの塗布量が、クロム塗着量として3〜20
    0mg/m2 、加熱乾燥温度40〜300℃である請求
    項1または2記載のアルミニウム塗装材の製造方法。
  4. 【請求項4】 親水性皮膜が親水性樹脂皮膜である場
    合、皮膜塗着量として0.1〜5g/m2 、加熱乾燥温
    度140〜300℃、加熱乾燥時間5〜60秒である請
    求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム塗装材の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 親水性皮膜が水ガラス系またはコロイダ
    ルシリカ系塗料の場合、皮膜塗着量として、けい素量で
    20〜400mg/m2 、加熱乾燥温度140〜300
    ℃、加熱乾燥時間 5〜60秒である請求項1〜3のい
    ずれかに記載のアルミニウム塗装材の製造方法。
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