JP3323072B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
エポキシ樹脂組成物Info
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Description
材、充填材、或いは塗材等として使用するエポキシ樹脂
組成物に関するものであり、特に、硬化剤成分としてメ
ルカプト化合物を含むその組成物のメルカプタン臭を抑
制したエポキシ樹脂組成物に関するものである。
ト構造物等の亀裂の充填補修等に使用されるパテ状の接
着剤、シーリング材、或いは充填材等としては、接着
性、耐水性、及び耐アルカリ性等に優れていることか
ら、エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂組成物が
一般に使用されている。
ては、脂肪族、芳香族ポリアミン、これをダイマー酸等
で変性したポリアミド、酸無水物、ポリフェノール、メ
ルカプト化合物(ポリメルカプタン)、ポリイソシアネ
ート等があるが、上記の土木・建築用の用途では、低温
(常温)での速硬化性に優れている点で、それらの中で
も特にメルカプト化合物が使用されている。即ち、分子
端にメルカプト基(−SH)を有する液状樹脂であるこ
のメルカプト化合物は、第三級アミン、或いはポリアミ
ンまたはポリアミドの触媒下において低温で速やかにエ
ポキシ樹脂を硬化させる。そのため、このようなメルカ
プト化合物を硬化剤とするエポキシ樹脂組成物は、一般
に、エポキシ樹脂からなる主剤とその硬化剤とを分け、
使用直前に混合して使用する2液型(2成分系)として
形成されている。なお、これらの主剤と硬化剤は、それ
ぞれに適当な充填剤、及び顔料等を添加して、具体的用
途に応じた粘度(ちょう度)等を有する主剤組成物及び
硬化剤組成物として予め調製されている。
とによって低温での速硬化性に優れた組成物とすること
ができる。ただし、このメルカプト化合物は、その製造
原料として使用された、或いは製造中に分解生成した揮
発性の低分子メルカプタンを微量ながら含むため、この
メルカプト化合物を配合した組成物は独特の不快臭(腐
卵臭)、即ち、メルカプタン臭を放つ。
そのようなメルカプト化合物を主成分として使用した接
着剤またはシーリング材において、それのメルカプタン
臭をバニリン、レモン油、またはエステル系溶剤等の香
料の添加により、マスキングする技術が開示されてい
る。
樹脂の硬化剤成分としては、不快臭(メルカプタン臭)
は発するが、低温での速硬化性を確保するためにメルカ
プト化合物が使用されることがある。しかしながら、そ
の悪臭は、特に、エポキシ樹脂組成物が充填剤を比較的
多く含むパテ状の2液型エポキシ樹脂として形成され、
そしてその混合、混練ために長時間の手作業が必要とさ
れる場合には、作業者にとって著しく不快なものとなる
だけでなく、安全衛生上も好ましくないものである。
3882号公報に開示の技術を転用し、マスキング剤を
添加してその芳香によりマスキングすることによって、
ある程度抑制することができる。しかしながら、この方
法は、単に別のより強い臭い(ただし、芳香)によって
メルカプタン臭をマスクするだけであって、臭気成分自
体を除去するものではないため、その消臭効果には自ず
と限界がある。また、そのメルカプタン臭をマスキング
するためには十分な量のマスキング剤が必要となるが、
その一方、メルカプタンはエポキシ樹脂と反応して取込
まれるため、メルカプタン臭が発生するのはエポキシ樹
脂組成物が硬化するまでの間にすぎず、大部分のマスキ
ング剤は無駄なものとなる。
ために活性炭等の吸着剤の使用も考えられる。しかし、
例えば、活性炭の使用は、臭気成分である低分子量メル
カプタンだけでなく、エポキシ樹脂の硬化剤としてのメ
ルカプト化合物、更には硬化触媒としてのアミンまでを
も吸着してしまい、その反応性を阻害する。
パテ状の形態に形成される場合、特に、そのタレ(垂
れ)性が重要であり、タレが生じると下水道管の接合等
を均一に行うことができない。そのため、タレを十分に
防ぐためには充填剤を多量に配合することが必要である
が、余り多量に配合するとエポキシ樹脂の割合が相対的
に減少し、接着性が逆に低下することになるため、タレ
性を改善すると共に接着性も十分に確保することは困難
なことであった。
することができると共に、タレ性を改善し、しかも、接
着性を向上することができるエポキシ樹脂組成物の提供
を課題とするものである。
ト化合物を硬化剤成分として含み、そのためメルカプタ
ン臭を発するエポキシ樹脂組成物において、その組成物
中に、含水ケイ酸マグネシウム鉱物であるセピオライト
を配合することによって、メルカプタン臭を有効に、ま
た他に悪影響を及ぼすことなく抑制できること、またそ
れと共に、タレ性も改善でき、更に、接着性も低下する
どころか向上できること、即ち、上記の課題を有利に解
決できることを見出し、また確認した。
物は、エポキシ樹脂と、そのエポキシ樹脂に対する硬化
剤成分としての分子端にメルカプト基(−SH)を有す
るメルカプト化合物及びポリアミドと、含水ケイ酸マグ
ネシウム鉱物であるセピオライトの粉末と、酢酸ブチル
及びペパーミントのうちの少なくとも1種以上を有する
マスキング剤とを含むものである。
ては、セピオライトが配合されているため、後述する試
験結果からも分るように、メルカプタン臭を抑制でき
る。これは、セピオライトが結晶構造に微細なトンネル
構造(細孔)を有し、メルカプタン臭の成分である低分
子量のメルカプタンはその細孔に吸着され、拡散が防止
されるためであると考えられる。なお、硬化剤成分とし
てのメルカプト化合物自体、或いはその他の成分は、影
響が見られないことから、吸着はされないと考えられ
る。また、セピオライトはその表面の多くの水酸基によ
って揺変性を有するため、このセピオライトの配合によ
りエポキシ樹脂組成物のちょう度は高められ、タレ性が
改善される。更に、セピオライトの配合により接着性も
向上される。この理由については明らかでなく、セピオ
ライトの活性の高い表面がエポキシ樹脂の硬化反応を促
進させる触媒として作用するためとも考えられるが、確
かではない。ただし、微細な繊維状であるセピオライト
が、組成物の硬化物の補強材として働くことも一因であ
ると考えられる。
樹脂に対する硬化剤成分としてポリアミドを含むことが
できる。そして、これにより、ポリアミドがメルカプト
化合物とエポキシ樹脂との反応の触媒としても働き、低
温での硬化性をより向上することができると共に、接着
性付与剤としての作用により、接着性をより向上するこ
とができる。
して酢酸ブチル及びペパーミントのうちの1種以上を更
に添加したものである。これにより、セピオライトによ
って吸着された残余の臭気成分によるメルカプタン臭を
芳香によってマスキングし、メルカプタン臭をほとんど
完全に抑えることができる。
ついて更に詳細に説明する。
剤成分であるエポキシ樹脂としては、エポキシ基を有す
る任意のものを使用することができる。特に、土木・建
築用のパテ状接着剤として形成される場合は、それらの
中でも、一般に、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂が
好ましい。
いては、このようなエポキシ樹脂に対する硬化剤成分と
して、低温速硬化性に優れたメルカプト化合物を使用す
る。このメルカプト化合物は、分子端にメルカプト基
(−SH)を有する高分子化合物であり、メルカプト基
の水素がエポキシ樹脂のエポキシ基と反応することによ
ってエポキシ樹脂を硬化させるものである。そのため、
一般には、2または3個以上のメルカプト基を有するも
の(ポリメルカプタン)が使用される。なお、このメル
カプト化合物は、通常、合成時に未反応のまま残った原
料のメルカプト基を有するモノマやプレポリマ等を微量
に含有しており、これらのメルカプト基を有する揮発性
の低分子量化合物によりメルカプタン臭を有する。
しては、ポリアミン、ポリアミド等のこの種の硬化剤或
いは硬化触媒として知られた任意のものを適宜併用する
ことができる。しかし、それらの中でも、接着性付与剤
として知られ、それ自体高い接着性を発現するポリアミ
ドを併用することが好ましい。そして、それによって、
組成物の接着性をより向上することができる。なお、こ
のポリアミドは活性アミノ基を有するポリアミド化合物
であり、一般に、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジ
アミン、または芳香族アミン等のポリアミン類とダイマ
ー酸等の多塩基酸とを反応させて得られる。また、この
ポリアミドは、上記のメルカプト化合物によるエポキシ
樹脂の硬化反応の触媒としても作用する。なお、この硬
化反応の触媒としては、2,4,6−トリスジメチルア
ミノメチルフェノール(DMP−30)等の第三級アミ
ン等が知られており、これらを適宜使用することもでき
るが、これらは組成物を増粘させる傾向がある。したが
って、エポキシ樹脂の硬化剤成分としてポリアミドをメ
ルカプト化合物と併用することは最も好ましく、接着性
を向上することができるだけでなく、低温での速硬化性
をより向上することができる。
のメルカプト化合物中に含まれる臭気成分、即ち、メル
カプト基を有する揮発性の低分子量化合物によるメルカ
プタン臭を抑制するために、セピオライトの粉末を配合
する。
(山皮)、マウンテンコルク、マウンテンウッドと呼ば
れている粘土鉱物であり、一般式: 〔Mg8 Si12O30(OH)4 (OH2 )4 ・6〜8H
2 O〕で示される化学式を有する繊維状の含水ケイ酸マ
グネシウム鉱物である。そして、レンガを交互に積み重
ねたような三次元鎖状の結晶構造を持ち、その鎖状のす
き間には繊維の長さ方向に沿ってトンネル状の細孔が形
成されている。そのため、表面には反応性に富んだ水酸
基を有し、また、細孔を有する多孔質の結晶構造体であ
ること等から、吸着性を示し、また分散液に揺変性を与
える等の性質を有する。
って、メルカプト化合物中に含まれる揮発性の低分子量
のメルカプタンを吸着させ、その不快臭を消臭すること
ができる。また、組成物に揺変性を与えるため、少量で
適度な粘度またはちょう度に調整することができる。
物中の臭気成分による臭気強度等に応じて、任意の割合
とすることができる。そして、その配合量が多いほど、
より臭気を抑制することができる。そのため、セピオラ
イトは、一般に、メルカプト化合物100重量部に対し
て3.0重量部以上の割合で配合することができ、7.
0重量部以上配合することがより好ましい。しかし、セ
ピオライトを余り多く配合しても消臭効果は頭打ち状態
となるだけでなく、反って組成物の揺変性を過度に高
め、粘度(ちょう度)が増加して作業時に取扱い難くな
る可能性もある。そのため、セピオライトの配合量の上
限は、組成物の形態に応じて異なるが、一般にはメルカ
プト化合物100重量部に対して35重量部以下の割合
が好ましく、また、例えば、組成物が2液型のパテ状組
成物として形成され、メルカプト化合物を含む硬化剤組
成物が充填剤を含むパテ状の形態とされる場合には、そ
の硬化剤組成物全体に対して5.0重量%より少ない割
合が好ましく、3.0重量%より少ない割合とすること
がより好ましい。
により吸着除去された残余の臭気成分によるメルカプタ
ン臭をマスキングし、消臭効果をより完全にするため
に、マスキング剤を配合することができる。
プタン臭をマスキングできる芳香を発するものであれば
よく、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステ
ル、酪酸エチル、酪酸メチル、酪酸イソアミル、イソ吉
草酸イソアミル等の各種エステル類、ペパーミント、レ
モン油等の精油、バニリン等を挙げることができる。し
かし、これらの中でも、酢酸ブチルとペパーミントがセ
ピオライトの配合との関係において最も好ましく、最も
高いマスキング効果が得られる。
多いと反って不快臭ともなるため、酢酸ブチルの場合
で、メルカプト化合物100重量部に対して0.5〜
5.0重量部程度が好ましい。また、より好ましいのは
0.7〜3.5重量部の範囲である。
シ樹脂組成物には、従来と同様に、炭酸カルシウム、タ
ルク、アルミナ、クレー、シリカ、及び無機繊維等の充
填剤、着色顔料、可塑剤、反応性希釈剤、安定剤、その
他の添加剤、溶剤等を必要に応じて適宜添加することが
できる。
樹脂組成物は、接着剤やシーリング材、充填材、及び建
造物用塗材等として使用することができる。なお、一般
には、このエポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂を含む主
剤組成物とメルカプト化合物を含む硬化剤組成物とを別
途に調製し、使用直前にこれらを混合して使用する2液
型として形成される。
具体的に説明する。
シ樹脂組成物(パテ状接着剤)の配合組成と、その評価
試験の結果とを示す表図である。
明の実施例1乃至実施例6と比較例1及び比較例2のエ
ポキシ樹脂組成物を調製した。なお、これらのエポキシ
樹脂組成物は、下水道管の接合等の土木・建築用に使用
されるパテ状の2液型エポキシ樹脂系接着剤(接合剤,
シーリング材)として具体化したものである。したがっ
て、これらのエポキシ樹脂組成物は、予めエポキシ樹脂
及びメルカプト化合物にそれぞれ適当な顔料、充填剤等
を添加して調製したパテ状の主剤組成物及び硬化剤組成
物からなっている。具体的には、実施例及び比較例にお
いては、同一組成からなる主剤組成物に対して、これと
1:1で混合される硬化剤組成物中のセピオライトの配
合量等が種々に変えられている。
ポキシ樹脂組成物のメルカプタン臭を評価するととも
に、その取扱性(ハンドリング性)、ちょう度、接着
性、及びタレ性についても評価した。
うに、主剤組成物は、主剤成分としてのエポキシ樹脂と
充填剤(体質顔料)としての炭酸カルシウムとから形成
されている。ここで、エポキシ樹脂としては、ビスフェ
ノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(『エピコ
ート828』油化シェルエポキシ(株)製)を使用し
た。なお、このエポキシ樹脂はエポキシ当量190、分
子量380であって、粘度135Paを有するものであ
る。
炭酸カルシウム(『NCC#45』日東粉化(株)製)
73重量部とを均一に混合して主剤組成物を調製した
(合計100重量部)。なお、このようにして得られた
主剤組成物のちょう度は200であった。即ち、この主
剤組成物はパテ状接着剤を形成する成分として好適な固
さを有し、良好な取扱性を有するものである。
図1のように、エポキシ樹脂の硬化剤成分としてのメル
カプト化合物及びポリアミドと、顔料としてのカーボン
と、充填剤としての比較的多量の炭酸カルシウムとを含
み、更に、各実施例においては含水ケイ酸マグネシウム
鉱物であるセピオライトが配合されて形成されている。
また、実施例1、実施例3、実施例4、及び実施例6で
は、更にマスキング剤として酢酸ブチルが配合されてい
る。そして、実施例及び比較例の各硬化剤組成物におい
て、そのセピオライト及び酢酸ブチルの配合量が種々に
変えられており、またそれに応じて充填剤の配合量を増
減して全体量が調整されている(合計100重量部)。
は、次の成分または組成からなっている。
囲である)で示される液状樹脂からなるポリメルカプタ
ン(『CP−3800LC』油化シェルエポキシ(株)
製)を使用した。
のポリアミド(『サンマイド310P』三和化学工業
(株)製)を使用した。
μmの繊維状結晶体からなる粉末状のセピオライト
(『エードプラスSP』水沢化学(株)製)を使用し
た。
#60』(旭カーボン(株)製)を使用し、また、充填
剤である炭酸カルシウムとしてはフィラー状の重質炭酸
カルシウム(『NCC#45』日東粉化(株)製)を使
用した。
乃至実施例6の硬化剤組成物を次の割合で配合し、調製
した。なお、この組成物の調製は、具体的には、各材料
を所定の割合で加圧ニーダに入れ、常温下で10〜20
分間、均一に混合されるまで撹拌することによって行っ
た。
ルカプト化合物14重量部と、ポリアミド14重量部
と、セピオライト0.5重量部と、酢酸ブチル3.0重
量部と、カーボン0.03重量部と、炭酸カルシウム6
8重量部とを均一に混合し、調製した(合計100重量
部)。
けるセピオライトの配合量を多くして1.0重量部とす
るとともに、マスキング剤である酢酸ブチルを無配合と
し、炭酸カルシウムを残部の71重量部として調製し
た。
トの配合量を更に多くして2.0重量部とするととも
に、酢酸ブチルを0.1重量部配合し、また炭酸カルシ
ウムを70重量部として調製した。
の配合量を多くして0.5重量部とし、その分炭酸カル
シウムの配合量を少なくし69重量部として調製した。
トの配合量を更に多くして3.0重量部とするととも
に、マスキング剤である酢酸ブチルを無配合とし、ま
た、炭酸カルシウムを69重量部として調製した。
トの配合量を更に多くして5.0重量部とするととも
に、酢酸ブチルを0.1重量部配合し、その分炭酸カル
シウムの配合量を少なくし67重量部として調製した。
て、比較例1及び比較例2の硬化剤組成物は、セピオラ
イトを配合しないで調製したものである。
プト化合物14重量部と、ポリアミド14重量部と、カ
ーボン0.03重量部と、炭酸カルシウム72重量部と
を混合し、調製した。なお、この比較例1は、従来の一
般的な硬化剤組成物に相当するものである。
て酢酸ブチル3.0重量部を配合し、その分炭酸カルシ
ウムの配合を少なくして69重量部として調製した。
物と主剤組成物とを1:1(重量)の割合で混合し、手
作業で混練して実施例及び比較例の各エポキシ樹脂組成
物をパテ状接着剤として調製した。
び比較例における各硬化剤組成物について、メルカプタ
ン臭を測定するとともに、その取扱性(ハンドリング
性)の評価を行った。また、それらの各硬化剤組成物を
主剤組成物と混合して得たパテ状接着剤について、その
ちょう度、接着性、及びタレ性に関する評価試験を行っ
た。これらの各評価試験の詳細は、次のとおりである。
のポリ容器に、実施例及び比較例の各硬化剤組成物10
0cm3を入れて密閉し、20℃で24時間放置後、北川
式検知管を用いてポリ容器中の臭気成分、即ち、揮発性
の低分子量のメルカプト基を有する化合物の濃度を測定
した。また、そのポリ容器中の臭気強度を次の6段階臭
気強度表示法(環境庁規定)に従って官能評価した。
いては、同様に、500cm3 容のポリ容器に実施例及び
比較例の各硬化剤組成物100cm3 を入れ、これを手で
取出して、そのときの扱い易さを次の基準で評価した。 ○:ちょうどよい固さで取扱い易い。 △:柔らかくて取扱い難い。 □:固くて取扱い難い。
シ樹脂組成物について、ちょう度試験器測定法(JIS
K2220)に従って、それぞれのちょう度を測定し
た。なお、ちょう度計としては次のものを使用した。
ポキシ樹脂組成物の表面に合わせてストッパで固定し、
次いで、このストッパを解除して組成物中に沈入させ
た。そして、ストッパ解除5秒後の円錐の組成物表面か
らの沈入距離を計測し、ちょう度(沈入距離mm×10)
を測定した。
ポキシ樹脂組成物について、それらを用いて接着試験体
をそれぞれ作製し、次いで引張り剪断接着強度試験を行
って、その接着性を評価した。
0mmの硬質塩化ビニル板(タキロン(株)製)を2枚用
意し、その一方の試験片の長手方向一端部から25mmの
長さ範囲に亘って、実施例及び比較例のエポキシ樹脂組
成物からなるパテ状接着剤を1mmの厚さで塗布し、次い
で、もう1枚の被着材試験片の一端部をその組成物の塗
布面に重ねて、直線状に接着した。これを20℃で24
時間硬化し、接着剤層を介して接着された接着試験体を
作製した。そして、この接着試験体の両端を引張り速度
10mm/分で長手方向に引張り、PVC剪断接着強度を
測定するとともに、被着材及び接着剤層の破壊形態を観
察して、接着性を評価した。
キシ樹脂組成物について、そのタレ性(タレの発生性)
を次のように試験して評価した。
mmのモルタルブロックを2個用意し、これらを5mmの間
隙を設けて配置し、その間隙に実施例及び比較例のパテ
状のエポキシ樹脂系接着剤を上端まで充填し、これらを
相互に接合した。そして、この充填された接着剤を20
℃で24時間放置して硬化させ、硬化後の接着剤のタレ
代、即ち、モルタルブロックの上端から接着剤の上面の
下縁(最も低い表面)までの距離(mm)を測定した。な
お、このタレ代が多いほど、組成物のタレ性が悪いこと
を示している。
樹脂組成物からなるパテ状接着剤(接合剤,シーリング
材)、及び、その調製に用いた硬化剤組成物について行
った上記の評価試験の結果を、図1にその配合組成と合
わせて示す。
ト化合物を含む硬化剤組成物において、セピオライトを
含まない比較例1では、極めて強いメルカプタン臭が測
定され、また、これにマスキング剤として酢酸ブチルを
配合した比較例2でも、若干抑制されるが、やはり強い
メルカプタン臭が感じられた。
実施例の硬化剤組成物では、いずれもメルカプタン臭は
有効に抑制され、また、セピオライトの配合量が多いほ
ど、よりメルカプタン臭が除去されている。特に、セピ
オライトをメルカプト化合物100重量部に対して7.
0重量部以上の割合で配合した実施例2乃至実施例6の
硬化剤組成物では、臭気濃度は極めて低く、また官能評
価でも弱い臭いしか感じられなかった。
合がメルカプタン臭の除去に極めて有効であることが分
かる。なお、マスキング剤として酢酸ブチルを配合した
実施例3、実施例4、及び実施例6では、6段階臭気強
度表示法では差異を示すことができなかったが、酢酸ブ
チルを含まない他の実施例に比べ、より弱いメルカプタ
ン臭しか感じられなかった。そのため、酢酸ブチルの配
合は、メルカプタン臭をより抑制し、消臭するために有
効であることも確認された。
として調製した本実施例では、セピオライトを組成物全
体に対して1.0〜3.0重量%の割合で配合した実施
例2乃至実施例5において好ましい固さとなり、良好な
取扱性(ハンドリング性)が得られた。
なるパテ状の接着剤(接合剤,シーリング材)では、セ
ピオライトを含まない比較例の場合に比べてちょう度が
高く、タレ性が大幅に改善された。特に、セピオライト
の配合が多いほど高いちょう度が得られ、硬化剤組成物
全体に対して1.0重量%以上配合した実施例2乃至実
施例6ではタレの発生が実質的になかった。更にまた、
各実施例のエポキシ樹脂系接着剤では、比較例の場合に
比べて高い接着強度が得られ、特に、硬化剤組成物全体
に対してセピオライトを1.0重量%以上の割合で用い
た実施例2乃至実施例6では、接着力は塩化ビニルの強
さを上回り、極めて高い接着性が得られた。
ピオライトを配合することにより、メルカプタン臭を抑
制することができるだけでなく、取扱性を向上し、また
タレ性を改善し、更に接着性を向上することができるこ
とが分かる。
シ樹脂組成物からなるパテ状接着剤(接合剤,シーリン
グ材)及びその調製に用いた硬化剤組成物について説明
したが、本発明を実施する場合には、この例に限定され
るものではなく、メルカプト化合物、ポリアミド、セピ
オライト、マスキング剤、及びその他の成分の種類と配
合割合は種々に変更することができ、また、その性状に
ついても、パテ状以外に液状、ペースト状等の種々の形
状に変更することもできる。また、その用途について
も、土木・建築用だけでなく、その他の一般の接着剤等
としても好適に適用することができる。
シ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂に対す
る硬化剤成分としての分子端にメルカプト基を有するメ
ルカプト化合物及びポリアミドと、含水ケイ酸マグネシ
ウム鉱物であるセピオライトの粉末と、酢酸ブチル及び
ペパーミントのうちの少なくとも1種以上を有するマス
キング剤とを含むものである。
れば、エポキシ樹脂に対する硬化剤成分として含まれる
メルカプト化合物中の臭気成分、即ち、揮発性の低分子
量のメルカプタンがセピオライトによって吸着され、そ
の拡散が防止されるため、メルカプタン臭を抑制するこ
とができる。また、セピオライトの配合により組成物に
揺変性が付与されるため、タレ性を改善することがで
き、また組成物をパテ状の形態とする場合には、それに
よって適度な粘度(ちょう度)に調整し、取扱性(ハン
ドリング性)を向上することができる。更に、接着強度
を高め、その接着性を向上することができる。即ち、こ
のエポキシ樹脂組成物によれば、メルカプタン臭が抑制
され、しかも、タレ性が改善され、また取扱性及び接着
性が向上される効果がある。
してポリアミドを含むものであるから、このエポキシ樹
脂組成物によれば、メルカプト化合物とポリアミドとの
併用によりエポキシ樹脂の硬化性が促進されるため、低
温域における安定した速硬化性を与えることができ、ま
た、ポリアミドの接着性付与作用により接着性をより向
上することができる。
びペパーミントのうちの1種以上を含むものであるか
ら、このエポキシ樹脂用硬化剤組成物によれば、マスキ
ング剤として酢酸ブチル及びペパーミントのうちの1種
以上が更に配合されているので、セピオライトにより吸
着された残余の臭気成分によるメルカプタン臭をその芳
香によってマスキングし、より弱く抑えることができ
る。
脂組成物の配合組成(重量部)と、評価試験の結果とを
示す表図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 エポキシ樹脂と、 前記エポキシ樹脂に対する硬化剤成分としての分子端に
メルカプト基(−SH)を有するメルカプト化合物及び
ポリアミドと、 含水ケイ酸マグネシウム鉱物であるセピオライトの粉末
と、 酢酸ブチル及びペパーミントのうちの少なくとも1種以
上を有するマスキング剤と を含むことを特徴とするエポ
キシ樹脂組成物。
Priority Applications (1)
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