JP3315535B2 - 化粧品基材 - Google Patents
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Description
なる化粧品基材に関するものである。さらに詳しくは、
本発明は、ペプチドの全アミノ基の50%以上75%以
下にケイ素原子をただ一つ含む官能基が共有結合したシ
リル化ペプチドからなり、水溶性で、毛髪化粧品、皮膚
化粧品に配合したときに、毛髪に艶や潤いを付与し、毛
髪の櫛通り性を改善し、かつ毛髪の枝分かれを防止し、
皮膚に艶や潤いを付与し、皮膚をなめらかにし、しかも
pH安定性や保存安定性に優れ、保存中に濁りや沈殿を
生じない化粧品基材に関するものである。
コーン化合物)とポリペプチドを毛髪化粧品に配合し
て、シリコーンオイルの有する優れた伸展性、毛髪への
艶・光沢の付与作用、毛髪への撥水性付与による保護作
用などと、ポリペプチドの有する毛髪への収着作用、皮
膚刺激の緩和作用、造膜による保護作用や保湿作用など
を発揮させることが試みられてきた。
は、疎水性のシリコーンオイルとモノN−長鎖アシル塩
基性アミノ酸低級アルキルエステル塩を配合した毛髪化
粧品が提案され、特開昭63−310812号公報に
は、メチルポリシロキサンやメチルフェニルポリシロキ
サンと加水分解コラーゲンを配合したヘアートリートメ
ントが提案されている。
来、疎水性(親油性)物質であり、ポリペプチドは、本
来、親水性物質であるため、これらは相溶しにくく、こ
れらを併用して配合した場合には、乳化安定性に欠け、
分離しやすいために、化粧品としての商品価値が損なわ
れやすく、また、先にシリコーンオイルと接触した部分
にはポリペプチドが付着しにくく、その逆に、先にポリ
ペプチドと接触した部分にはシリコーンオイルが付着で
きず、両者の特性を充分に発揮させることができないと
いう問題があった。
のシリコーンオイルと親水性のポリペプチドとを反応さ
せて、シリコーンオイルの特性とポリペプチドの特性を
併用する化合物を合成し、それを化粧品基材として用い
ることにより、シリコーンオイルとポリペプチドを併用
配合する場合の欠点を解消し、シリコーンオイルの有す
る特性とポリペプチドの有する特性を発揮させようとす
る試みがなされている(特開平3−223207号公
報)。
開平3−223207号公報に開示のペプチド変性シリ
コーン誘導体は、水に難溶または不溶のシリコーン部分
の影響で、水中でのpH安定性や保存安定性が悪く、毛
髪化粧品や皮膚化粧品が主として水溶性であることもあ
って、保存中に濁りを生じたり、沈殿を生じるという問
題があった。
の製造は、水に難溶または不溶のシリコーンオイルと水
溶性ポリペプチドとの反応を水中で行うため、反応性が
悪く、収率が低く、収率向上には、アルコールなどの水
溶性有機溶媒を加えておかねばならないという問題もあ
った。
の優れた特性とポリペプチドの優れた特性を併有し、し
かも水中でのpH安定性や保存安定性に優れ、保存中に
濁りや沈殿を生じない化粧品基材を提供することを目的
とする。
を達成するため鋭意研究を重ねた結果、ペプチドのアミ
ノ酸側鎖のアミノ基を含む全アミノ基の50%以上75
%以下に、下記の一般式(I)
は水酸基を示し、これらのR1 、R2、R3 はすべて同
じでもよく、また異なっていてもよい。aは1または3
である〕で表されるケイ素原子をただ一つ含む官能基を
共有結合させたシリル化ペプチドが、水溶性で、水中で
のpH安定性や保存安定性が優れ、しかもシリコーン化
合物の優れた特性とポリペプチドの優れた特性を併有
し、これを毛髪化粧品や皮膚化粧品に配合するときは、
毛髪に艶や潤いを付与し、毛髪の櫛通り性を改善し、か
つ毛髪の枝分かれを防止し、皮膚に艶や潤いを付与し、
かつ皮膚をなめらかにし、なかでも、シャンプーなどの
洗浄剤に配合したときには、泡を軟らかい感触にし、使
用後の毛髪や皮膚をなめらかにし、しかも保存中に濁り
や沈殿を生じないことを見出し、本発明を完成するにい
たった。
および特性、シリル化ペプチドの毛髪および皮膚への作
用、シリル化ペプチドを合成するにあたって使用するペ
プチド類およびシリル化合物、シリル化ペプチドの合
成、シリル化ペプチドからなる化粧品基材の用途、など
の観点から、詳細に説明する。
発明のシリル化ペプチドは、ペプチドのアミノ酸側鎖の
アミノ基を含む全アミノ基の50%以上75%以下(す
なわち、ペプチドの末端アミノ基および側鎖のアミノ基
の50%以上75%以下)に、下記の一般式(I)
は水酸基を示し、これらのR1 、R2、R3 はすべて同
じでもよく、また異なっていてもよい。aは1または3
である〕で表されるケイ素原子をただ一つ含む官能基を
共有結合させたものであり、ペプチド類と、たとえば、
次の一般式(III)
トキシ基、エトキシ基、水酸基またはハロゲン原子を示
し、これらのR6 、R7 、R8 はすべて同一でもよく、
また異なっていてもよい。aは1または3である〕で表
されるシリル化合物を反応させることによって得られ、
その代表的なものは、たとえば、下記の一般式(II)
は水酸基を示し、これらのR1 、R2、R3 はすべて同
じでもよく、また異なっていてもよい。R4 は側鎖の末
端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を
除く残基を示し、R5 はR4 以外のアミノ基を示し、a
は1または3で、mは0〜50、nは0〜50、m+n
は1〜50である(ただし、mおよびnはアミノ酸の数
を示すのみで、アミノ酸配列の順序を示すものではな
い)〕で表されるシリル化ペプチドである。
ド類と疎水性のシリル化合物とを反応させたものである
が、反応を水中で行うため、ケイ素原子に結合するアル
コキシ基、ハロゲン原子などは、水と置換されて、全部
または一部が水酸基になるため、反応後は水溶性にな
る。さらに、シリル官能基部分の分子構造が、親水性の
ポリペプチド部分に比べて小さいため、反応物の水に対
する溶解性が向上する。その結果、水中での保存安定性
が向上する。
ケイ素原子を一個しか含まないため、一般に化粧品に配
合される高分子シリコーン(重合度100〜1000)
に比べると、そのもの自体の造膜性は劣るが、ペプチド
の末端アミノ基やアミノ酸側鎖のアミノ基と反応するの
で、一つのペプチド鎖に数個のシリル基が結合すること
になり、シリル化合物の有する優れた伸展性、摩擦低減
性、艶や光沢の付与作用、撥水性の付与作用など、高分
子シリコーンと同じような作用を発揮できる。同時に、
ペプチドの有する毛髪への収着作用、それに伴う毛髪の
ボリュームアップ、ハリ(張り)の付与、造膜による保
護作用、保湿作用などを発揮させることができる。
チドのアミノ基に結合するケイ素原子をただ一つ含む官
能基(簡略のため、シリル官能基という)を、上記アミ
ノ基の50%以上75%以下にしているのは、50%よ
り少ない場合はシリル化合物に基づく特性が充分に発揮
されず、また75%より多くなると疎水性が増して親水
性が減少し、保存安定性が悪くなるからであるが、シリ
ル官能基とシリル化合物の特性の発揮には、ペプチド部
分の鎖長も関与する。これについては、後で詳しく説明
する。
において、R1 、R2 、R3 をメチル基または水酸基に
特定しているのは、シリル化ペプチドが水溶性を保ち得
るようにするためであり、またaを1または3に特定し
ているのは水溶性と安定性を確保するためである。
において、R4 は側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性
アミノ酸の末端アミノ基を除く残基であるが、上記のよ
うな側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸とし
ては、たとえば、リシン、アルギニン、ヒスチジン、ヒ
ドロキシリシンなどが挙げられる。また、R5 はR4以
外のアミノ酸の側鎖を示すが、そのようなアミノ酸とし
ては、たとえば、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラ
ニン、セリン、トレオニン、バリン、メチオニン、ロイ
シン、イソロイシン、チロシン、フェニルアラニンなど
が挙げられる。
において、mは0〜50で、好ましくは0より大きく1
0以下であり、nは0〜50で、好ましくは2〜40で
あり、m+nは1〜50で、好ましくは3〜40である
が、これは次の理由によるものである。
と、側鎖のアミノ基に結合するシリル化合物が増え、ペ
プチド本来の毛髪や皮膚への収着作用が減少するためで
あり、nが上記範囲より大きくなると、ペプチド部分に
対するシリル化合物部分の割合が少なくなって、シリル
化合物の有する効果を充分に発揮できなくなり、m+n
が上記範囲より大きくなると、ペプチドとしての収着性
が低分子量のペプチドに比べて減少する上に、保存中に
凝集しやすくなり、化粧品としての保存安定性が低下す
るためである。上記のm、nやm+nは、理論的には整
数であるが、ペプチド部分が後述するような加水分解ペ
プチドである場合には、該加水分解ペプチドが分子量の
異なるものの混合物として得られるため、測定値は平均
値になる。なお、上記一般式(II)で表されるシリル化
ペプチドにおけるペプチド部分は、後にペプチド類のと
ころで詳しく説明するように、アミノ酸、ペプチド、ア
ミノ酸またはペプチドのエステルに基づくものである。
作用〕上記一般式(II)で表されるシリル化ペプチド
は、毛髪化粧品に配合すると、毛髪に艶や潤いを付与
し、毛髪をなめらかにし、かつ毛髪の櫛通り性などを改
善し、枝毛、切毛の発生を防止する。たとえば、従来の
ようにシリコーンオイルで毛髪にハリを付与する場合に
は、高分子量のものが必要であるが、高分子量シリコー
ンは一旦付着すると取れにくく、そのため、パーマ、ブ
リーチ、染毛などの化学的処理が行ないにくくなる上
に、ペプチドやカチオン化ポリマーなどの毛髪への収着
作用を減少させる。
分に低分子シリル基が結合したものであって、毛髪には
通常のペプチドの収着機構で収着するので、ペプチドを
含まない洗浄剤で洗浄することにより、可逆的にシリル
化ペプチドを毛髪上から脱着することができ、上記のよ
うな弊害を生じない。
め、損傷の少ない毛髪、すなわち疎水性の性質が強い毛
髪には収着するが、損傷により親水性基が表面に露出し
て親水性の性質が強くなった毛髪には収着しにくいとい
われているが、その点、ペプチド類は損傷毛に収着しや
すく、シリル化ペプチドはペプチド部分を介して損傷毛
にシリル基を収着させることができ、損傷毛の強度や感
触を回復させることができる。
化ペプチドは、皮膚化粧品に配合すると、皮膚に収着
し、皮膚に艶と潤いを付与し、皮膚をなめらかにする。
中にペプチド部分と、非水溶性的性質のシリル化合物部
分を有するので、従来のシリコーンオイルとポリペプチ
ドを混合したものとは異なり、シリル化合物部分の毛髪
や皮膚への収着性が向上し、かつ乳化安定性が良好で、
化粧品用の乳化剤、乳化安定剤、浸透剤としても使用す
ることができる。
リル化ペプチドにおけるペプチド部分を構成する基とな
るペプチド類には、アミノ酸、ペプチド、アミノ酸また
はペプチドのエステルが含まれる。
ン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロ
リン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、トレオニ
ン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、ア
スパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン
酸、シスチン、システイン、システイン酸、トリプトフ
ァン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、O−ホ
スホセリン、シトルリンなどが挙げられる。
成ペプチド、タンパク質(蛋白質)を酸、アルカリまた
は酵素で部分加水分解して得られる加水分解ペプチドな
どが挙げられる。
チオン、バシトラシンA、インシュリン、グルカゴン、
オキシトシン、バソプレシンなどが挙げられ、合成ペプ
チドとしては、たとえば、ポリグリシン、ポリリシン、
ポリグルタミン酸、ポリセリンなどが挙げられる。
コラーゲン(その変性物であるゼラチンも含む)、ケラ
チン、絹フィブロイン、セリシン、カゼイン、コンキオ
リン、エラスチン、鶏などの卵の卵黄タンパク、卵白タ
ンパクなどの動物由来のものや、大豆、小麦、ビール
粕、トウモロコシ、米(米糠)、イモ類のタンパクなど
の植物由来のもの、さらには、サッカロミセス属、カン
ディタ属、エンドミコプシス属の酵母菌や、いわゆるビ
ール酵母、清酒酵母といわれる酵母菌より分離した酵母
タンパク、キノコ類(担子菌)やクロレラより分離した
タンパクなどの微生物由来のものが挙げられる。
プチドは、上記タンパク質を酸、アルカリまたは酵素に
よって加水分解することによって得られるが、その際、
使用する酸、アルカリや酵素の量、反応温度や反応時間
を適宜選択することにより、得られる加水分解タンパク
のアミノ酸重合度を1〜50の好ましいものにすること
ができる。
えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸などの無
機酸や、酢酸、蟻酸などの有機酸が用いられる。タンパ
ク質のアルカリ加水分解に際しては、たとえば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化
バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウ
ムなどの無機アルカリが用いられる。
は、ペプシン、プロクターゼA、プロクターゼBなどの
酸性タンパク質分解酵素、パパイン、ブロメライン、サ
ーモライシン、トリプシン、プロナーゼ、キモトリプシ
ンなどの中性ないしアルカリ性タンパク質分解酵素が使
用される。また、スブチリシン、スタフィロコッカスプ
ロテアーゼなどの菌産性の中性ないしアルカリ性タンパ
ク質分解酵素も使用できる。
としては、上記のアミノ酸またはペプチドのカルボキシ
ル基における炭素数1〜20の炭化水素アルコールとの
エステル、たとえば、メチルエステル、エチルエステ
ル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチル
エステル、ラウリルエステル、セチルエステル、2−エ
チルヘキシルエステル、2−ヘキシルデシルエステル、
ステアリルエステルなどが挙げられる。
の特性を発揮させるために、側鎖にアミノ基を有するア
ミノ酸含量とペプチド部分の分子量が重要な点となる。
すなわち、シリル化合物の特性を強く引き出すために
は、分子量が小さく、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸
含量の多いペプチドを用いればよく、また逆にペプチド
部分の特性を強調し、それにシリル化合物の性質を付加
させたい場合には、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸含
量が少なく、かつ高分子量のペプチドを用いればよい。
ただし、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸含量が多い低
分子量のペプチドでは、結合するシリル官能基が極度に
多くなると、親水性が減少し、保存安定性が悪くなる上
に、ペプチド本来の毛髪への収着作用が減少する。逆に
ペプチド部分へのシリル官能基の導入が低すぎる場合に
は、シリル化合物の特性が充分に発揮されない。
にアミノ基を有するアミノ酸、すなわち、リシン、アル
ギニン、ヒドロキシリシンなどの合計含有量が50モル
%を超えるものはなく、天然タンパク質を使用する場合
には、シリル官能基の導入率が高すぎて上記のような問
題を生じることはない。逆に、シリル官能基の導入率が
低い場合は、シリル化合物の特性が充分に発揮できず、
そのため、アミノ基へのシリル官能基の導入率は50%
以上が必要であるが、シリル官能基のペプチドのアミノ
基への導入率は、ペプチドのアミノ酸重合度が1〜10
で50〜65%、ペプチドのアミノ酸重合度が10〜3
0で導入率が60〜70%、ペプチドのアミノ酸重合度
が30〜50で導入率が65〜75%とするのが好まし
い。
リル官能基の導入率が上記範囲にある場合は、ペプチド
の毛髪や皮膚への収着作用を減少させることなく、シリ
ル化合物の特性を充分に発揮させることができ、しか
も、シリル化ペプチドの親水性的性質も充分に保たれて
いるので、水溶性の化粧品に配合しても、保存中にシリ
ル化ペプチドの凝集による濁りや沈殿を生じることがな
い。しかし、シリル官能基の導入率が上記範囲を超える
と、シリル化ペプチドの分子中に占めるシリル官能基の
割合が増え、化粧品に配合した時に、配合量や他の配合
物によっては、シリル化ペプチドが会合し、層分離を生
じたり、濁りを生じたりするおそれがある。また、シリ
ル官能基の導入率が上記範囲より少ない場合は、シリル
官能基の有する特性を充分に発揮することができない。
化粧品に配合する場合には、ペプチドの毛髪や皮膚への
収着性、造膜作用および浸透性などを考慮すると、ペプ
チドのアミノ酸重合度を2〜50にするのが好ましく、
特に3〜30が好ましい。
化するためのシリル化剤としては、たとえば、上記一般
式(III)で表されるシリル化合物が好適に使用される
が、この一般式(III)で表されるシリル化合物として
は、シランカップリング剤と呼ばれている市販のものを
使用することができる。たとえば、東芝シリコーン
(株)製TSL8355、TSL8350(いずれも、
商品名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
SH6040(商品名)、信越化学工業(株)製KMB
403、KMB402(いずれも商品名)、日本ユニカ
ー(株)製A−187(商品名)、などがこれに該当す
る。
R8 をメチル基、メトキシ基、エトキシ基、水酸基また
はハロゲン原子に特定しているのは、ペプチド類との反
応において、それらがメチル基または水酸基になって、
シリル化ペプチドが水溶性を持ち得るようにするためで
ある。
一般式(III)で表されるシリル化合物との反応は、ま
ず、シリル化合物を30〜50℃の水中で5〜20分間
攪拌することにより、ケイ素原子に結合するアルコキシ
基やハロゲン原子を水酸基に変換し、この水酸基化した
シリル化合物をペプチド類に滴下し、両者を接触させる
ことによって行われる。
0重量%程度の水溶液にするのが好ましく、水酸基化し
たシリル化合物の滴下は30分〜5時間で終了するのが
好ましい。
溶液は水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカ
リ溶液を添加して、pHを8〜11、特に9〜10にし
ておく必要がある。反応は常温でも進行するが、温度が
高くなるほど反応速度が速くなる。しかし、pHが高い
状態で温度が高くなるとシリル化合物の加水分解が促進
されるため、高くても70℃以下にすることが好まし
く、特に40〜60℃で行うのが好ましい。
(Van Slyke)法により、反応中のペプチド類
のアミノ態窒素量を測定することによって確認すること
ができる。
て、イオン交換樹脂、透析膜、電気透析、ゲル濾過、限
外濾過などによって精製し、液体のまま、あるいは粉末
化して毛髪化粧品や皮膚化粧品に配合される。
用途〕シリル化ペプチドからなる化粧品基材が配合され
る化粧品としては、たとえば、シャンプー、ヘアリン
ス、枝毛コート、パーマネントウェーブ用第1剤および
第2剤、ヘアクリーム、ヘアコンディショナー、セット
ローション、ヘアカラー、ヘアトリートメントリンス、
液体整髪料、ヘアパック、養毛・育毛剤などの毛髪化粧
品、化粧水、アフターシェーブローション、シェービン
グフォーム、バニシングクリーム、クレンジングクリー
ム、エモリエントクリーム、モイスチャークリーム、ハ
ンドクリーム、洗顔クリームなどの各種クリーム、脱毛
剤、フェイスパック、乳液、洗顔料、ボディーシャンプ
ー、各種石鹸、メイキャップ用品、日焼け止め用品など
各種化粧品に利用が可能である。
粧品基材の配合量としては、化粧品中0.1〜30重量
%、特に1〜20重量程度にするのが好ましい。すなわ
ち、シリル化ペプチドの化粧品中への配合量が上記範囲
より少ない場合は、毛髪に艶や潤いを付与したり、毛髪
を保護したり、櫛通り性を改善する効果が充分に発現せ
ず、また、シリル化ペプチドの化粧品中への配合量が上
記範囲より多くなっても、それに伴う効果の増加がみら
れず、むしろ毛髪や皮膚に過剰のシリル化ペプチドが収
着してベトツキを生じるおそれがある。
らなる化粧品基材と併用して配合できる成分としては、
たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸エタ
ノールアミンなどのアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレ
ン(2EO)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミ
ン(なお、EOはエチレンオキサイドで、EOの前の数
値はエチレンオキサイドの付加モル数を示す)、ポリオ
キシエチレン(3EO)アルキル(炭素数11〜15の
いずれかまたは2種以上の混合物)エーテル硫酸ナトリ
ウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
塩、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル
ベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンなどのアルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン(3E
O)トリデシルエーテル酢酸などのポリオキシエチレン
アルキルエーテル酢酸塩、ヤシ油脂肪酸−L−グルタミ
ン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウムな
どのN−アシルアミノ酸塩、コラーゲン、ケラチン、フ
ィブロイン、カゼイン、大豆、小麦、トウモロコシなど
の動植物由来のタンパク加水分解物や酵母、キノコ類な
どの微生物由来のタンパク加水分解物を炭素数8〜20
の脂肪酸でアシル化したアシル化加水分解タンパクまた
はその塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウ
ム、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜15)
エーテルリン酸(8〜10EO)ナトリウム、ポリオキ
シエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ヤシ油脂
肪酸メチルタウリン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸イセチ
オン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、塩化ジ
ステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリ
メチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤、2−
アルキル(炭素数12〜15)−N−カルボキシメチル
−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウ
ンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナ
トリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエ
チル−DL−ピロリドンカルボン酸塩、ヤシ油脂肪酸ア
ミドプロピルベタイン、N−アルキル(炭素数12〜1
8)ジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性
剤、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)
エーテル(7EO)、ポリオキシエチレンオレイルエー
テル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ア
ルキルグルコシド、アルキルポリグリコシドなどのノニ
オン性界面活性剤、カチオン化セルロース、カチオン化
ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン性ポリマ
ー、両性ポリマー、アニオン性ポリマーなどの合成ポリ
マー、イソステアリン酸ジエタノールアミド、ラウリン
酸ジエタノールアミドなどの増粘剤、動植物抽出物、ポ
リサッカライドまたはその誘導体、プロピレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの湿
潤剤、エタノール、メタノール、プロピルアルコールな
どの低級アルコール類、L−アスパラギン酸ナトリウ
ム、DL−アラニン、グリシン、L−アルギニン、L−
システインなどのアミノ酸などを挙げることができる
が、これら以外にも本発明の効果を損なわない範囲で適
宜他の成分を添加することができる。
化ペプチドは、鎖状または環状のメチルポリシロキサ
ン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変成シリコ
ーンオイルなどのシリコーンオイルを併用した場合に、
それらシリコーンオイルの乳化安定性を向上させるとと
もに、シリコーンオイルの作用を増加させることができ
る。
に説明する。ただし、本発明はそれら実施例に例示のも
ののみに限定されることはない。なお、以下の実施例な
どにおいて、溶液の濃度を示す%はいずれも重量%であ
る。
平均値=2、nの平均値=18、m+nの平均値=2
0)の30%水溶液50g(アミノ態窒素の測定によっ
て得られた化学量論的モル数として10.6ミリモル)
に20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを9.
5にし、55℃に加温した。
おいて、R6 =CH3 、R7 =OCH3 、R8 =OCH
3 で、a=3のシリル化合物2.3g(加水分解コラー
ゲンのアミノ態窒素量に対し1.0当量)を水に15%
水溶液となるように溶解し、希塩酸でpHを3.5に調
整して、50℃で15分間攪拌を続け、メトキシ基(−
OCH3 )を加水分解して水酸基に変換させた。
攪拌しながら、その中に、水酸基に変換したシリル化合
物水溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、55
℃でさらに5時間攪拌を続け、反応を完結させた。
により、シリル官能基の加水分解コラーゲンのアミノ態
窒素への導入率を求めたところ、シリル官能基の導入率
は67%であった。
置で脱塩し、pHを6.5に調整した後、濃縮して濃度
調整を行うことにより、反応生成物(シリル化加水分解
コラーゲン)濃度が20%の水溶液を63g得た。
mの平均値=1.2、nの平均値=8.8、m+nの平
均値=10)の30%水溶液50g(アミノ態窒素の測
定によって得られた化学量論的モル数として15ミリモ
ル)を20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH
9.5にし、55℃に加温した。
おいて、R6 =Cl、R7 =CH3、R8 =Clで、a
=3のシリル化合物3.1g(加水分解小麦ペプチドの
アミノ態窒素量に対し0.9当量)を水に15%水溶液
となるように溶解し、15分間攪拌を続けてケイ素原子
に直接結合しているCl原子を水酸基に変換させた。
で攪拌しながら、その中に水酸基に変換したシリル化合
物水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、55℃
でさらに5時間攪拌を続けて反応を完結させた。
し、濃縮して濃度調整を行うことにより、反応生成物
(シリル化加水分解小麦タンパク)濃度が20%の水溶
液55gを得た。シリル官能基の導入率は62%であっ
た。
加水分解物で、mの平均値=0.6、nの平均値=4.
4、m+nの平均値=5)の30%水溶液50g(アミ
ノ態窒素の測定により得られた化学量論的モル数として
42ミリモル)を用い、シリル化剤として、一般式(II
I)において、R6 =CH3 、R7 =OC2 H5 、R8 =
OC2 H5 で、a=3のシリル化合物を75g(加水分
解ケラチンのアミノ態窒素量に対し0.8当量)用いた
ほかは、実施例1と同様にして、反応生成物(シリル化
加水分解ケラチン)濃度が20%の水溶液58gを得
た。シリル官能基の導入率は59%であり、また一般式
(III)で表されるシリル化合物においてケイ素原子に直
接結合していたエトキシ基(OC2 H5 )は上記反応の
間に水酸基に変換されていた。
豆タンパクの加水分解物で、mの平均値=0.5、nの
平均値=5.5、m+nの平均値=6)の30%水溶液
50g(アミノ態窒素の測定によって得られた化学量論
的モル数として18.4ミリモル)を用い、シリル化剤
として、一般式(III)において、R6 =OCH3 、R7
=OCH3 、R8 =OCH3 で、a=1のシリル化合物
を3.4g(加水分解大豆タンパクのアミノ態窒素量に
対して0.9当量)用いたほかは、実施例1と同様にし
て、反応生成物(シリル化加水分解大豆タンパク)濃度
が20%の水溶液53gを得た。シリル官能基の導入率
は60%であり、また一般式(III)で表されるシリル化
合物においてケイ素原子に直接結合していたメトキシ基
は上記反応の間に水酸基に変換されていた。
母タンパクの加水分解物で、mの平均値=1.2、nの
平均値=6.8、m+nの平均値=8)の30%水溶液
50g(アミノ態窒素の測定によって得られた化学量論
的モル数として30ミリモル)を用い、シリル化剤とし
て、一般式(III)において、R6 =CH3 、R7 =OC
2 H5 、R8 =OC2 H5 で、a=3のシリル化合物を
5.3g(加水分解酵母タンパクのアミノ態窒素量に対
して0.8当量)用いたほかは、実施例1と同様にし
て、反応生成物(シリル化加水分解酵母タンパク)濃度
が20%の水溶液48gを得た。シリル官能基の導入率
は57%であり、また一般式(III)で表されるシリル化
合物においてケイ素原子に直接結合していたエトキシ基
は上記反応の間に水酸基に変換されていた。
ミリモル)を100mlの水に溶解し、20%水酸化ナ
トリウム水溶液を滴下してpHを9.5にし、55℃に
加温した。
おいて、R6 =OCH3 、R7 =OCH3 、R8 =OC
H3 で、a=3のシリル化合物17.8g(L−リシン
塩酸塩のアミノ態窒素量に対し0.7当量)を水に15
%水溶液となるように溶解し、希塩酸でpHを3.5に
調整して50℃で15分間攪拌を続け、メトキシ基を加
水分解して水酸基に変換させた。
ら、その中に、水酸基に変換したシリル化合物水溶液を
30分間かけて滴下した。滴下終了後、55℃でさらに
5時間攪拌を続けて反応を完結させた。
とによりシリル官能基の導入率を求めたところ、シリル
官能基の導入率は65%であり、ペプチド末端のアミノ
基だけでなく、側鎖のアミノ基も反応していることがわ
かった。反応液を希塩酸で中和した後、電気透析装置で
脱塩精製し、pHを6.5に調整した後、濃縮して濃度
調整を行うことにより、反応生成物(シリル化L−リシ
ン)濃度が15%の水溶液を118g得た。
g(分子量146.1、68.4ミリモル)を用い、シ
リル化剤として、一般式(III)において、R6=C
H3 、R7 =OCH3 、R8 =OCH3 で、a=1のシ
リル化合物を13.5g(グリシル−L−アラニンのア
ミノ態窒素量に対し0.9当量)を用いたほかは、実施
例6と同様にして、反応生成物(シリル化グリシル−L
−アラニン)濃度が15%の水溶液104gを得た。シ
リル官能基の導入率は55%であり、また一般式(III)
で表されるシリル化合物においてケイ素原子に直接結合
していたメトキシ基は上記反応の間に水酸基に変換され
ていた。
を用い、シリル化合物の量を1.6g(加水分解コラー
ゲンのアミノ態窒素量に対し0.7当量)に変更した以
外は、実施例1と同様の操作をしてシリル化加水分解コ
ラーゲンの20%水溶液を45g得た。シリル官能基の
導入率は48%であった。
物を用い、シリル化合物の量を4.5g(加水分解小麦
タンパクのアミノ態窒素量に対し1.3当量)に変更し
た以外は、実施例2と同様の操作をしてシリル化加水分
解小麦タンパクの20%水溶液を74g得た。シリル官
能基の導入率は77%であった。
用い、シリル化合物の量を11.3g(加水分解ケラチ
ンのアミノ態窒素量に対し、1.2当量)に変更した以
外は、実施例3と同様の操作をしてシリル化加水分解ケ
ラチンの20%水溶液を80g得た。シリル官能基の導
入率は78%であった。
物を用い、シリル化合物の量を2.3g(加水分解大豆
タンパクのアミノ態窒素量に対し0.6当量)に変更し
た以外は、実施例4と同様の操作をしたシリル化加水分
解大豆タンパクの20%水溶液を43g得た。シリル官
能基の導入率は47%であった。
物を用い、シリル化合物の量を8.6g(加水分解酵母
タンパクのアミノ態窒素量に対し1.3当量)に変更し
た以外は、実施例5と同様の操作をしてシリル化加水分
解酵母タンパクの20%水溶液81g得た。シリル官能
基の導入率は78%であった。
用い、シリル化合物の量を80.5g(L−リシン塩酸
塩のアミノ態窒素量に対し1.2当量)に変更した以外
は、実施例6と同様の操作をしてシリル化L−リシンの
15%水溶液173gを得た。シリル官能基の導入率は
77%であった。
合物を用い、シリル化合物の量を15g(グリシル−L
−アラニンのアミノ態窒素量に対し0.6当量)に変更
した以外は、実施例7と同様の操作をしてシリル化グリ
シル−L−アラニンの15%水溶液を105g得た。シ
リル官能基の導入率は44%であった。
施例1〜7および比較例1〜7で得られたシリル化ペプ
チドの水溶液を90日間室温(ただし、10〜25℃)
で保存した時の沈殿物の発生の有無を目視により調べ
た。評価基準は下記の通りである。
2には、各実施例および比較例のシリル化ペプチドの合
成にあたって使用したペプチド類の種類を併記する。
製したシリル化ペプチドは、いずれも、室温保存で濁り
や沈殿物を生じることがなかった。これに対し、比較例
では、シリル官能基の導入率の低い比較例1、4および
7は濁りや沈殿物を生じなかったが、シリル官能基の導
入率の高い比較例2、3、5および6では濁りを生じ、
特にアミノ酸重合度の低いペプチドに多量のシリル官能
基が導入された比較例3および6の濁りが激しかった。
1〜7および比較例1〜7で調製したシリル化ペプチド
のpH安定性を調べた。すなわち、シリル化ペプチドの
10%水溶液を6N塩酸または20%水酸化ナトリウム
でpH3、4、5、7、9、10に調整し、室温で24
時間放置後の沈殿物や濁りの有無を目視により確認し
た。その結果を表3〜4に示す。なお、評価基準は保存
安定性の場合と同様である。
化加水分解ケラチンと実施例5のシリル化加水分解酵母
タンパクと実施例7のシリル化グリシル−L−アラニン
は、pH3で濁りが生じ、実施例6のシリル化L−リシ
ンはpH4以下で濁りが生じたが、他のシリル化ペプチ
ドは試験したpH範囲内では濁りや沈殿物がまったく認
められなかった。
ン、実施例5のシリル化加水分解酵母タンパクおよび実
施例7のグリシル−L−アラニンでも、pH4以上では
濁りや沈殿物が見られなかった。加水分解ケラチンや加
水分解酵母タンパクは、側鎖の末端にアミノ基を有する
アミノ酸を多く含むため、ペプチド部分に結合している
シリル官能基が多く、疎水性の性質が現れやすいため、
低いpHで濁りを生じたものと考えられる。また、シリ
ル化L−リシンでは一つのリシンに対して2つのシリル
官能基が結合しているため、低いpHで濁りを生じたも
のと考えられ、シリル化グリシル−L−アラニンではペ
プチドの分子量が小さいためにシリル官能基の疎水性が
現れやすくなり、濁りが生じたものと考えられる。
の導入率の低い比較例1のシリル化加水分解コラーゲ
ン、比較例4のシリル化加水分解大豆タンパクおよび比
較例7のシリル化加水分解グリシル−L−アラニンは、
試験したpH範囲内では濁りや沈殿物は認められなかっ
たが、比較例3のシリル化加水分解ケラチンと比較例6
のシリル化加水分解L−リシンはpH5付近より濁りが
生じはじめ、pH3では完全にゲル化した。また、比較
例5のシリル化加水分解酵母タンパクでもpH4以下で
濁りが生じ、低分子量のペプチドに高い導入率でシリル
官能基が導入されると、低いpHでの安定性が悪いとい
うことが明らかであった。
度増強確認試験〕シリル化ペプチドによる毛髪の引張り
強度増強の確認は、Journal of SCCJ,
vol.21,No.2の「毛髪の損傷度評価法
(I)」に記載の方法に従って行った。
バラツキを低く抑えるため、毛髪の強度がほぼ一定とな
るように一度脱色処理を施した毛髪を用いた。すなわ
ち、長さ10cmで重さ1gの毛束を10%過酸化水素
水と10%アンモニア水の1:1混合液10gに30分
間浸漬して脱色し、イオン交換水でゆすいだ後、乾燥し
て試験に供した。
られたシリル化加水分解コラーゲンの5%水溶液と実施
例3および比較例3で得られたシリル化加水分解ケラチ
ンの5%水溶液を用いて、上記の脱色処理を施した毛束
を40℃で5分間浸漬した。浸漬後、イオン交換水で充
分にゆすぎ、ヘアドライヤーで乾燥した。この操作を3
回繰り返した後、この毛束より30本の毛髪を抜き取
り、それらを引張り強度試験に供した。
から5cm)の長径および短径をマイクロメータで測定
して断面積を計算した後、この部分の引張り強度を引張
り強度試験機〔不動工業(株)製、レオメータ〕で測定
し、断面積当りの引張り強度を算出した。
処理毛と、加水分解コラーゲン(m+nの平均値=2
0)の5%水溶液と加水分解ケラチン(m+nの平均値
=5)の5%水溶液で同様に処理を施した毛髪の引張り
強度を測定した。それらの結果を表5に示す。
水分解コラーゲンで処理した毛髪は未処理毛に対して引
張り強度が約9.5%増加し、実施例3のシリル化加水
分解ケラチンで処理した毛髪は未処理毛に対して約16
%引張り強度が増加していた。また、実施例1のシリル
化加水分解コラーゲンで処理した毛髪や実施例3のシリ
ル化加水分解ケラチンで処理した毛髪は、シリル化して
いない同じ分子量の加水分解コラーゲンや加水分解ケラ
チンで処理した毛髪と比べても、それぞれ強度の増加が
認められ、シリル化ペプチドが毛髪によく収着し、損傷
毛の強度回復に寄与しているのが明らかであった。
解コラーゲンで処理した毛髪は、シリル化していない加
水分解コラーゲンで処理した毛髪と引張り強度がほぼ同
じであり、また比較例3のシリル化加水分解ケラチンで
処理した毛髪は、シリル化していない加水分解ケラチン
で処理した毛髪より強度がやや低めの結果となった。こ
れは,比較例1のシリル化加水分解コラーゲンではシリ
ル官能基の導入率が低く、実施例1のシリル化加水分解
コラーゲンほどには毛髪の強度回復に寄与できないため
であると考えられ、比較例3のシリル化加水分解ケラチ
ンでは、シリル官能基の導入率が高すぎてペプチド本来
の毛髪への収着力が減少したためであると考えられる。
チドからなる化粧品基材を各種化粧品に配合した応用例
について説明する。なお、応用例においては、一般式
(II)で表されるシリル化ペプチドを実施例番号で示
し、その番号の後にシリル化ペプチドの種類も括弧書き
で併記する。また、配合量は重量部によるものであり、
特に括弧内に濃度を示したもの以外は、純分としての配
合量を示す。
品1および比較品1〜2)を調製し、該トリートメント
ベースとLPGガスを重量比8:2の割合で加圧容器内
に充填して、トリートメントムース剤を調製した。
トメントムース剤をそれぞれ長さ10cmで重さ1gの
毛束に使用し、5人の女性パネラーに毛髪の艶、潤い、
櫛通り性について5段階評価させた。評価基準は下記の
通りであり、その結果を表7に平均値で示す。
水分解コラーゲンを配合した実施品1のトリートメント
ムース剤は、シリコーンオイル(ジメチルシリコーン)
を配合した比較品1のトリートメントムース剤やシリル
化加水分解コラーゲンやシリコーンオイルを配合してい
ない比較品2のトリートメントムース剤に比べて、艶、
潤い、櫛通り性のいずれにおいても評価値が高く、シリ
ル化加水分解コラーゲンを配合した効果が明らかであっ
た。
比較品3〜4)を調製した。
プーを用いて、それぞれ長さ10cmで重さ1gの毛束
を洗浄した。洗浄には各シャンプー0.5gずつを使用
し、温水を用いて洗浄後、温水ですすいだ後、ヘアドラ
イヤーで乾燥した。この操作を5回繰り返した後、5人
の女性パネラーに、洗髪後の毛髪の艶、潤い、なめらか
さ、櫛通り性および洗髪時の泡の感触(軟らかさおよび
なめらかさ)について応用例1と同様の評価基準で評価
させた。その結果を表9に示すが、評価値は平均値であ
る。
水分解小麦タンパクを配合した実施品2のシャンプー
は、シリコーンオイル(オクタメチルトリシロキサン)
を配合した比較品3のシャンプーやシリル化加水分解小
麦タンパクやシリコーンオイルを配合していない比較品
4のシャンプーに比べて、いずれの項目でも評価値が高
く、シリル化加水分解小麦タンパクを配合した効果が明
らかであった。
1剤(実施品3および比較品5〜6)を調製した。
試験用毛束として重さ1gで長さ15cmの毛束を用
い、第2剤には6%臭素酸ナトリウム水溶液を用いて、
実施品3および比較品5〜6のパーマネントウェーブ用
第1剤により、それぞれ1回、3回、6回のパーマネン
トウェーブ処理を行い、処理後の毛髪の外観および触感
について、5名の女性パネラーに応用例1と同様の評価
基準で評価させた。その結果を表11に示すが、評価値
は平均値である。
加水分解大豆タンパクを配合した実施品3のパーマネン
トウェーブ用第1剤による場合は、シリル化加水分解大
豆タンパクを配合していない比較品5のパーマネントウ
ェーブ用第1剤による場合や実施例4のシリル化加水分
解大豆タンパクに代えて比較例4のシリル化加水分解大
豆タンパクを配合した比較品6のパーマネントウエーブ
用第1剤による場合に比べて、処理後の毛髪の外観、触
感とも評価値が高く、実施例4のシリル化加水分解大豆
タンパクを配合した効果が明らかであった。
記組成のトリートメントリンス(実施品4)を調製し
た。
を配合した実施品4のトリートメントリンスを毛髪に使
用したところ、実施例3のシリル化加水分解ケラチンを
配合していないトリートメントリンス〔つまり、実施例
3のシリル化加水分解ケラチンを含まず、そのぶん滅菌
イオン交換水を増量したほかは、実施品4と同組成のト
リートメントリンス〕に比べて、毛髪に潤いを与え、櫛
通り性、ブラッシング性が良く、毛髪のコンディショニ
ングが容易であった。
の洗顔料(実施品5)を調製した。
した実施品5の洗顔料で洗顔したところ、実施例6のシ
リル化L−リシンを配合していない洗顔料〔つまり、実
施例6のシリル化L−リシンを含まず、そのぶん滅菌イ
オン交換水を増量したほかは、実施品5と同組成の洗顔
料〕を使用した場合に比べて、使用後の皮膚に艶と潤い
があり、かつ皮膚がなめらかであった。
6および比較品7〜8)を調製した。
シャンプーを10人のパネラー(男性5人、女性5人)
に1週間にわたって使用させ(使用回数は7回の人が7
人、4回の人が3人)、洗浄時の泡質(軟らかさおよび
なめらかさ)および洗浄後の肌のなめらかさおよびしっ
とり感について下記の基準で評価させた。その結果を表
13に示す。表13の評価値は10人の平均値である。
グリシル−L−アラニンを配合した実施品6のボディシ
ャンプーを使用した場合は、洗浄時の泡が軟らかく、な
めらかで、使用後は肌になめらかさとしっとり感を与
え、シリコーンオイル〔ジメチルシロキサン・メチル
(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体〕を配合し
た比較品7のボディシャンプーやそれらのいずれも配合
していない比較品8のボディシャンプーよりも優れてい
ることが明らかであった。
較品10〜11)を調製した。
(第一剤)と上記第二剤を用いて、それぞれ重さ1gで
長さ15cmの毛束を染毛した。染毛処理は、第一剤と
第二剤を同量ずつ混合し、その混合物を毛束に塗付した
後、30分間放置し、その後、温水ですすぎ、ついで、
2%ポリオキシエチレンノニフェニルエーテル水溶液で
洗浄することによって行った。染毛処理後、ヘアドライ
ヤーで毛束を乾燥した後、毛髪の均染性、艶、潤いおよ
び櫛通り性を10人のパネラー(女性6人、男性4人)
に、応用例1と同じ評価基準で評価させた。
髪を30本ずつ抜き取り、それらの毛髪の中央部(端か
ら7.5cm)の長径および短径をマイクロメータで測
定して断面積を計算した後、その部分の引張り強度を引
張り試験機〔不動工業(株)製、レオメータ〕で測定
し、断面積当りの引張り強度を算出した。その結果を表
15に示す。
加水分解酵母タンパクを配合した実施品8の染毛剤は、
シリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン)を配合し
た比較品10の染毛剤やシリル化加水分解酵母タンパク
やシリコーンオイルを配合していない比較品11の染毛
剤に比べて、染毛後の毛髪の均染性、艶、潤い、櫛通り
性のいずれに関しても評価値が大きかった。
シリル化加水分解酵母タンパクを配合した実施品8の染
毛剤を使用した場合、比較品11の染毛剤〔すなわち、
シリル化加水分解酵母タンパクも、シリコーンオイル
(ジメチルポリシロキサン)も配合していない染毛剤〕
に比べて強度が約4%増強していて、実施例5のシリル
化加水分解酵母タンパクが、染毛時の化学的処理による
毛髪の損傷から毛髪を保護していることが明らかであっ
た。
ペプチドからなる化粧品基材は、毛髪化粧品に配合する
と、毛髪に艶と潤いを付与し、毛髪の櫛通り性を改善
し、シャンプーなどの洗浄剤に配合すると、泡を軟らか
く、かつなめらかにして、皮膚に対する感触を向上さ
せ、また、皮膚化粧品に配合すると、皮膚に艶と潤いを
付与し、皮膚をなめらかにする。
化粧品基材は、水溶性で、水中でのpH安定性や保存安
定性が優れていて、水溶液系の毛髪化粧品や皮膚化粧品
に配合したときに、保存中に濁りや沈殿を生じない。
Claims (3)
- 【請求項1】 ペプチドのアミノ酸側鎖のアミノ基を含
む全アミノ基の50%以上75%以下に、下記の一般式
(I) 【化1】 〔式中、R1 、R2 、R3 はメチル基または水酸基を示
し、これらのR1 、R2、R3 はすべて同じでもよく、
また異なっていてもよい。aは1または3である〕で表
されるケイ素原子をただ一つ含む官能基が共有結合した
シリル化ペプチドからなることを特徴とする化粧品基
材。 - 【請求項2】 シリル化ペプチドにおけるペプチド部分
のアミノ酸重合度が、1〜50である請求項1記載の化
粧品基材。 - 【請求項3】 シリル化ペプチドが、下記の一般式(I
I) 【化2】 〔式中、R1 、R2 、R3 はメチル基または水酸基を示
し、これらのR1 、R2、R3 はすべて同じでもよく、
また異なっていてもよい。R4 は側鎖の末端にアミノ基
を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く残基を示
し、R5 はR4 以外のアミノ基を示し、aは1または3
で、mは0〜50、nは0〜50、m+nは1〜50で
ある(ただし、mおよびnはアミノ酸の数を示すのみ
で、アミノ酸配列の順序を示すものではない)〕で表さ
れるシリル化ペプチドである請求項1記載の化粧品基
材。
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