[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP3313122B2 - 表示装置 - Google Patents

表示装置

Info

Publication number
JP3313122B2
JP3313122B2 JP14467791A JP14467791A JP3313122B2 JP 3313122 B2 JP3313122 B2 JP 3313122B2 JP 14467791 A JP14467791 A JP 14467791A JP 14467791 A JP14467791 A JP 14467791A JP 3313122 B2 JP3313122 B2 JP 3313122B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hologram
display
reflection
image
display device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14467791A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04298710A (ja
Inventor
雅之 加藤
敬和 有竹
松本  剛
順二 富田
伸 江口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP14467791A priority Critical patent/JP3313122B2/ja
Publication of JPH04298710A publication Critical patent/JPH04298710A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3313122B2 publication Critical patent/JP3313122B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Overhead Projectors And Projection Screens (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Holo Graphy (AREA)
  • Instrument Panels (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表示器に表示された映像
を結像光学系を用いて透明スクリーン上に結像させる表
示装置、特に、視野内に映像を背景に重ねて重畳表示す
る、所謂、ヘッドアップディスプレイタイプの表示装置
に関する。
【0002】各種機器類の表示を前方視野(背景)に重
ねて見ることのできるヘッドアップディスプレイは従来
から航空機、特に戦闘機で用いられ、近年では安全性向
上等の観点から自動車等への応用も盛んである。
【0003】ところで、このようなヘッドアップディス
プレイタイプの表示装置を銀行あるいはその他のサービ
ス業の窓口業務、演説や講演などのスピーチ台、あるい
はスポーツ試合等の解説席などにおいて利用できれば疲
労軽減、能率向上等の観点から有用、便利である。即
ち、前方の視野(第1の情報)内に表示器による映像
(第2の情報)を重ねて表示できるので、窓口係員、講
演者あるいは解説者等は視線を一々動かさずに、前方の
第1情報(顧客、聴衆、試合中の現場等)を視野内に確
保したまま、必要な第2情報(口座情報、講演資料、選
手個人のデータ等)を同時に見ることが出来る。
【0004】本発明は斯かる要請に応えるべく開発され
たものであるが、本発明は上述の用途に限定されること
なく、例えばパソコン、ワープロあるいはその他のOA
機器等のディスプレイを含む表示装置全般に適用できる
ものである。
【0005】
【従来の技術】従来、パソコンやワープロの表示装置と
しては、CRT、液晶表示装置、プラズマ表示装置等が
用いられてきた。しかし、従来の表示装置は、全て板状
または箱状の不透明な物体であり、それを使用している
間、眼が表示面を注視しているため、他のものを見るこ
とができない。或いは、何かを見ている最中に、表示装
置に表示された情報を参照するためには、視線を表示装
置に移動させる必要があり、その間、眼を向けていたも
のから眼を離さなければならない。そこで、背景が透け
て見える透明な表示装置があれば、視線を移動させるこ
となく、背景と表示の両方を見ることができる。
【0006】背景と表示を重畳する方法として、ヘッド
アップディスプレイ(HUD) がある。これは、視野内に表
示器の映像(虚像)を重畳し、且つこれを遠方に表示す
ることによって、視線の移動だけではなく、眼の焦点移
動も不要にしている(第29図)。第29図において、背景
の映像と、表示器105 からの映像を透過型ホログラム10
3 を介してイメージコンバイナ101 で反射させ重畳す
る。
【0007】イメージコンバイナとしては一般に反射型
ホログラムが利用される。これは、反射型ホログラムが
もつ波長選択性により、表示光、背景光の両方に対して
光利用効率を高めるためである。尚、ヘッドアップディ
スプレイ自体は公知技術であるため、詳細な説明は省略
する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】先に述べた透明な表示
装置にヘッドアップディスプレイの技術を利用できるこ
とは言うまでもないが、そのまま適用したのでは虚像
(表示)の位置が装置面(イメージコンバイナ面)と一
致しないため、従来の表示装置(CRTや液晶ディスプ
レイ等)と同じ感覚で使用することが出来ず、違和感が
あるという問題、或いは、明視距離(30cm程度) に表示
する場合においては、イメージコンバイナ面が眼に近接
し過ぎてしまうという問題があった。
【0009】これを上述の第29図を参照して詳述する。
HUDは表示器105 、透過型ホログラム103 、反射型ホ
ログラム(イメージコンバイナ)101 で構成される。表
示器105 に表示された映像は、2枚のホログラム103, 1
01により、眼の位置から見てイメージコンバイナの反対
側に虚像IV として結像する。これにより背景Bと表示
像(虚像)IV の重畳が可能になる。
【0010】ホログラムによる光の回折反射方向は、光
の波長に依存する(波長分散)。レーザのような単色光
ではなく、波長帯域の広い光を用いる場合には、通常、
2枚のホログラムで波長分散を補償する。本来、ホログ
ラムはイメージコンバイナの部分に用いることに意義が
あるが、色収差を補正するため、ペア(101, 103) にし
て用いられる。2枚のホログラムで結像系を構成する場
合に、大画面で且つ焦点距離が短い(虚像とイメージコ
ンバイナの距離が短い)系を得ることは難しい(開口数
が大きくなり、色収差補正が難しい)。
【0011】従って、ヘッドアップディスプレイを使っ
た場合には従来の表示装置(発光型)のごとく、装置の
位置(表示面)と表示の位置を揃えることができない。
明視距離(30cm程度) で表示を見る場合には、イメージ
コンバイナが顔に接近した状態となり、実用に耐える表
示装置とは言えない。
【0012】本発明の目的は、透明で且つ表示面が装置
面と実質上一致する表示装置を実現することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、小型表示器に表示される映像を、
結像系によりホログラム面上に結像させ、そのホログラ
ムは、結像系の位置から発散する球面波光を、表示装置
の使用者の眼の位置に向けて偏向する機能を持つように
作成する。また表示を見ることのできる視野範囲を拡大
するために、結像系の瞳位置から発散する球面波光を眼
の位置付近の異なる方向に偏向させるホログラムを多層
に重ねた、または多重に記録したホログラムを用いるこ
とができる。
【0014】即ち、本発明によれば、所定の映像を投射
する表示器と、該表示器による映像の実像を所定位置に
結像する結像光学系と、該結像光学系の結像位置に配置
され、上記実像を所定方向に指向性を持って回折させる
透明ホログラムスクリーンとを有する表示装置が提供さ
れる。
【0015】上記透明ホログラムスクリーンを構成する
ホログラムは反射型ホログラム或いは透過型ホログラム
のいずれによっても実現出来る。
【0016】ホログラムは表示光スペクトル内の一波長
に対し結像光学系の位置から発散しながら伝播する球面
波光を、ホログラム面に関して結像光学系と同一側或い
は反対側の空間に位置する観察者の眼の位置近傍の複数
個の点に向けて回折させる複数個のホログラムを多層に
重ね合わせた、或いは同一の感光媒体内に多重記録した
ホログラムとして構成される。
【0017】ホログラムは表示光スペクトル内の一波長
に対し結像光学系の位置から発散しながら伝播する球面
波光を、ホログラム面に関して結像光学系と同一側或い
は反対側の空間に位置する第1の点に向けて収束しなが
ら伝播する球面波光に変換する第1のホログラムと、同
じく表示光スペクトル内の上記とは異なる一波長に対し
結像光学系の位置から発散しながら伝播する球面波光
を、ホログラム面に関して結像光学系と同一側の空間に
位置する第2の点に向けて収束しながら伝播する球面波
光に変換する第2のホログラムとを多層に重ね合わせ
た、或いは同一の感光媒体層内に多重に記録したホログ
ラムであり、これら第1,2の2点は観察者の左右眼の
位置に選択される。
【0018】反射型ホログラムと表示器との間の光路中
に反射型ホログラムの選択反射波長幅内の光を選択的に
透過させる波長バンドパスフィルタ、或いは波長選択性
を有する光路折り畳みミラーを介挿することも可能であ
る。結像光学系に可変開口絞りを付設してもよい。
【0019】また、別の実施例によれば、透明ホログラ
ムスクリーンはホログラムを形成した透明湾曲基板によ
り形成され、この場合、結像光学系は表示器の平面的映
像をこの湾曲ホログラムスクリーン上に結像させる像面
湾曲収差を有する。その他の特徴については以下の実施
例に関する説明から明らかとなろう。尚、本発明におい
て「一波長」とは一定の幅を有する波長帯域を意味す
る。
【0020】
【作用】ホログラムの透明性により、背景と表示の重畳
が可能で、且つイメージコンバイナ面が従来の表示装置
の表示面のように像発光面として働くので、表示装置の
表示面と、実際の表示の位置が一致した表示装置を実現
することができる。
【0021】また、ホログラムは表示光スペクトル内の
一波長に対し結像光学系の位置から発散しながら伝播す
る球面波光を、ホログラム面に関して結像光学系と同一
側或いは反対側の空間に位置する観察者の眼の位置に向
けて収束しながら伝播する球面波光に変換する機能を有
するので、観察者はイメージコンバイナ(反射型ホログ
ラムあるいは透過型ホログラム)の表示面に表示器によ
る映像の実像を見ることが出来る。
【0022】ホログラムによる結像位置を眼の近傍の複
数個の位置とすることにより、眼が多少の範囲で動いて
も確実に視野内に捉えることが出来る。結像位置は好ま
しくは観察者の左右の眼に選択される。
【0023】反射型ホログラムと表示器との間の光路中
に配設される波長バンドパスフィルタ、或いは波長選択
性を有する光路折り畳みミラーは反射型ホログラムの選
択反射波長幅内の光を選択的に透過させるので、例え
ば、表示光を好みの色に設定することが出来る。また、
反射型ホログラムに入射する光の波長帯域を反射型ホロ
グラム自体の波長選択幅と同じか、小さくすることによ
って反射型ホログラムを透過する光を微弱にし、表示装
置の周囲から、もれ光が見えないようにすることができ
る。
【0024】結像光学系に設けられる可変開口絞りの大
きさを制御することにより表示像の可視範囲を簡単に制
御することが出来る。また、本発明は湾曲したホログラ
ムスクリーンにも適用出来、その場合には、結像光学系
に表示器の平面的映像をこの湾曲ホログラムスクリーン
上に結像させる像面湾曲収差を付与するだけでよい。
【0025】
【実施例】本発明の一実施例によれば、図1に示す表示
装置5において、表示器1の映像が表示される表示面2
を、結像手段(レンズ等)3により透明な反射型ホログ
ラム(イメージコンバイナ)4の媒体面上に結像させ、
同反射型ホログラム4からの反射回折光21を使用者の眼
の位置6に向かわせることにより、透明な表示装置を構
成する。
【0026】反射型ホログラム4は、表示光波長帯域の
中心波長λc (図2)に対して、結像手段3の瞳(また
は略中心位置)位置22から発散する球面波光を、眼の位
置6に向けて収束させるように作成する(収束光線は図
1中の太線23で示す) 。尚、反射型ホログラムの作成法
は公知であるため、説明は省略する。
【0027】表示面2中の一点Pから発する光は、結像
手段3により反射型ホログラム4の媒体面上に実像Qを
結ぶ。Qは点光源のごとくに振る舞うが、光の発散立体
角Ωは、点Qが結像手段3により形成される時の光収束
立体角Ω0 とほぼ等しい。従って、表示が見える眼の位
置6の範囲を広くとりたい場合には、結像系の開口をそ
れに応じて大きくする(後述)。
【0028】表示面2中の全ての点から発した光は、眼
の位置6で重なるため、表示全体を見ることができる。
ここで、反射型ホログラム4をハーフミラー7で置き換
えた場合を考えると、図28に示す如く、単に鏡面反射す
るだけで表示全体(図1に矢印の図形で示す)を同時に
見ることができない。即ち、実像の各点での反射方向が
必ずしも表示装置の使用者の眼の位置6と一致しないの
で、正反射機能を有する平面光学素子(ミラー等)で
は、広視野の表示装置を実現できない。
【0029】図3は、本発明における表示面2、結像手
段3、反射型ホログラム4、眼の位置6の相対位置関係
のバリエーションを示すものである。同図(a)は、表
示面2と反射型ホログラム4の中心を結ぶ方向24に対し
て、表示面2、反射型ホログラム4が垂直に設置される
場合を示し、表示装置の使用者は、反射型ホログラム4
(イメージコンバイナ)の法線に対して斜め(角度θo
を成す方向)から表示を見る構成である。
【0030】本構成においては、表示の縦方向の見掛け
の寸法が実像の cosθo 倍となるが、θo =37度で0.8
倍程度であるため、実用上問題なく使用できる。
【0031】図3(b) は、反射型ホログラム4を、方向
24に対してθi 傾斜させ、反射方向をθo とした場合で
ある。図3(a) の場合に比べ、θo を小さくできる点で
有利であるが、反射型ホログラム4による反射回折方向
と、表面での正反射方向とが重なる可能性があるため、
表示光のスペクトルが反射型ホログラム4の波長選択範
囲より広い場合には、部分的に表示色、明るさが変わっ
た表示となる点に注意しなければならない。
【0032】図3(c) は、表示装置の使用者が、反射型
ホログラム4を垂直に見る場合を示す。表示面2が視線
に対して垂直であることは好ましいが、反射型ホログラ
ム4が、方向24に対して大きく傾斜(角度θi )してい
るため、結像系に負担がかかる。以上述べた3つの位置
関係は、表示装置の形状条件、用途等に応じて決定す
る。
【0033】図4は、本発明における結像系の構成例を
示すものである。同図(a)は、最も一般的なもので、
結像手段3の光軸25に対して表示面2と反射型ホログラ
ム4(像面)が垂直であり、図3(a) に対応する。図4
(b), (c)は図3(b), (c)の構成に対応するものである。
【0034】図4(b) は図4(a) と同様に、結像手段
(レンズ系)の3の光軸25に対して表示面2と反射型ホ
ログラム4(像面)が垂直な場合であるが、像高の大き
い部分を使用する構成である。実施に際しては、視野の
広いレンズ系が必要となる。
【0035】図4(c) は、結像手段3の光軸25に対し
て、反射型ホログラム4(像面)を傾斜させる場合で、
表示面2も傾斜させる必要がある。これに伴い、像には
台形歪みが生じる。以上の3つの構成は、表示に許容さ
れる歪み量、表示装置のコスト、用途に応じて選択す
る。
【0036】図5は、両眼で表示を見ることを可能にす
る、あるいは表示を見ることのできる眼の位置範囲を拡
張する実施例の説明図である。表示面2上の点Pが反射
型ホログラム4上の点Qに結像し、立体角Ωで眼の位置
6に向けて発散することは、図1の説明で述べたが、明
視距離で表示を見る場合(眼とイメージコンバイナの距
離が近い場合、例えば30cm) 、発散光が形成する円錐26
の内部に両眼が入るようにするためには、結像手段3の
開口を大きくとらねばならず、広視野と両立させるため
には、高価な結像手段が必要である。比較的簡素で低価
格なレンズ系を結像手段3として用いるためには、小さ
い開口でも、両眼6a,6bに表示光が達するようにす
る必要がある。
【0037】これは、結像手段3の瞳位置22から発散す
る球面波光を、表示装置使用者の右眼の位置6aに向け
て収束させる反射型ホログラム4aと、同じく結像手段
3の瞳位置22から発散する球面波光を、表示装置使用者
の左眼の位置6bに向けて収束させる反射型ホログラム
4bとを重ね合わせるか、または多重に記録したホログ
ラム4′を用いることによって容易に達成できる。多重
ホログラムの作成方法自体も周知である。尚、本文にお
いて「多重」とは同一の記録媒体層内に複数個のホログ
ラムを形成する場合、「多層」とは夫々が所望のホログ
ラムを形成した記録媒体層を重ねる場合を意味する。
【0038】図6に、本発明の別実施例を示す。表示器
1の表示面2に表示された映像は、結像手段3(例えば
レンズ系)を透過し、正反射ミラー8で反射された後、
垂直に設置された反射型ホログラム4(イメージコンバ
イナ)上に結像し、反射型ホログラム4の法線方向の表
示装置使用者の眼6に向けて反射回折される。
【0039】正反射ミラー8で光路を折り畳んだのは、
表示器1、結像手段3を水平に配置するためである。表
示面2は結像手段3の光軸25に対して傾斜させる。傾斜
によりイメージコンバイナ上の実像には台形歪みが生じ
るが、これは表示を逆台形状に歪ませることにより、相
殺可能である。
【0040】反射型ホログラム4には、レンズ系3の瞳
位置22の虚像22′から発散する球面波を眼の位置6に向
けて収束させる機能を有するオフアクシス反射型ホログ
ラムを用いる。同ホログラム4の作成法は図7に示す通
りである。即ち、コヒーレントな、点6から発散する球
面波と、点22′に収束する球面波を干渉させて基板50上
に形成した感光材層(記録媒体)51内にホログラムを作
成する。以上は、ホログラム作成波長が、表示に用いる
ピーク波長と同じ場合の作成法であるが、表示に用いる
波長と、ホログラム作成波長が異なる場合には、波長の
違いを考慮して、干渉させる二光束の波面を設計する必
要があるが、その手法については公知であるため、説明
は省略する。ホログラム処理に関しては、従来の体積型
ホログラムの作成手順をそのまま用いればよい。
【0041】図6において、反射型ホログラム4で反射
回折された光は、あたかもホログラム面が発光面である
かのごとくにふるまうが、強い指向性を有する点が従来
の発光型表示器とは大きく異なる。反射光は全て表示装
置の使用者の眼6の近傍に向けて伝播する。従って明る
い表示が可能である。
【0042】反射型ホログラム4の表面での正反射光27
(図6中の点線)は、ホログラムをオフアクシスに作成
すれば視野から除去できる。反射型ホログラムは波長選
択性を有するため、実際の表示に使われるのは表示器1
の発光スペクトルの内、ホログラムにより選択された波
長帯域に限定される。
【0043】一般に表示器の発光スペクトルは、ホログ
ラムの波長選択幅より広いため、波長選択幅以外の波長
はコンバイナを透過(透過光28)する。透明な表示装置
において、使用者が表示内容をコンバイナの反対側に居
る第三者に知られたくないような場合には、透過光28を
なくす必要がある。そのための一手段としては、光路折
り畳み用のミラー8を単なるアルミ蒸着ミラーではな
く、コンバイナ用ホログラムと同じ波長選択性を有する
ミラー、例えば正反射型ホログラム、多層膜ミラー等で
置き換えればよい。これによって、コンバイナで反射さ
れない波長帯域の光は事前に除去される。
【0044】図6は装置の側面図であるため、眼は1つ
のみ描いてあるが左右両眼に表示光を導くためには、前
述(図5)したように、ホログラムの多層化または多重
記録を行えばよい。眼の位置6の制約に関しては、結像
手段3の開口が大きいほど緩くなる。従って結像手段3
の瞳の位置22の近傍に調整可能な開口絞り9を設けるこ
とにより、眼の位置6の空間的制約範囲を多少変えるこ
とができる。
【0045】図8は、本発明による表示装置の外観の一
例を示すものである。反射型ホログラム4が形成された
透明板10(イメージコンバイナ)は、表示器1、結像手
段3、ミラー8を内蔵するユニット11(図6)に対して
垂直に設置するが、表示装置を使用しない時は、回転機
構(例えば、イメージコンバイナをピン53により回転自
在に軸支すればよい) により90度回転し、ユニット面と
平行になる位置に収納可能な構造とする。尚、56は投射
用窓、57は電源コードである。
【0046】図8に示す実施例は、図3(c) の構成を基
にした場合であるが、図3の(a), (b)の構成をとること
も可能であることは言うまでもない。
【0047】図9は、本発明の更に別の実施例を示すも
のである。イメージコンバイナ10が平板ではなく、曲面
10′であることが好ましい場合には、結像手段3に像面
湾曲特性、即ち、像面湾曲収差をもたせる。これにより
表示面2の実像を曲面基板10′に形成された反射型ホロ
グラム4の面にほぼ一致させることができる。
【0048】図10は、イメージコンバイナ10として、反
射型ホログラムの代わりに透過型ホログラム4′を用い
た場合を示す。表示面2の実像を透過型ホログラム4′
の面上に結像させるまでの構成は、図1と同様である
が、実像は、イメージコンバイナに関して結像系の反対
側にある表示装置使用者の眼の位置6に向けて回折され
る。透過型ホログラム4′においても多重記録が可能で
あるため、左右両眼に映像を入射させることができる。
【0049】イメージコンバイナ表面での正反射光27を
防止したい時には、反射防止膜を施した透明板を接着す
ればよい。また、透過型ホログラム4′で回折されない
光28は、ホログラムの偏向角βを大きくとれば、眼には
入らない。透過型ホログラム4′は波長選択性が弱いた
め、眼の位置によって、表示光の色が変わる。
【0050】図10において、眼を上から下に移動させる
と、表示光は青色→緑色→黄色→赤色の順に変化する
(表示器が白色で表示する場合)。以上の如く、本発明
は透過型ホログラムを用いた場合にも、図1〜9の構成
を全く同様に実現できる。
【0051】ところで、反射型ホログラムは、幅の狭い
波長帯域(20〜30nm) の光を選択反射するため、単一の
反射型ホログラムをイメージコンバイナとして用いる
と、1色の表示となる。2色以上の表示は、異なる波長
帯域の光を反射する反射型ホログラムを多層または多重
に記録した構造にすることにより達成される。
【0052】例えば、図1に示した構成で、黄色と赤色
の2色を表示できる、透明な表示装置を実現するために
は、図11に示すような波長選択反射特性を有する多重記
録反射型ホログラムを用いればよい。但し多重記録され
た反射型ホログラムは、それぞれ585nm, 660nmの波長に
対して、結像手段3の瞳位置22から発散する球面波光を
表示装置使用者の眼の位置6に向けて収束する球面波光
に変換する機能を持つように作成する。2つの反射型ホ
ログラムは、多重記録する代わりに、別々に作成し、そ
れらを向かい合わせに貼り合わせた構造にしても同じ機
能を実現できる。
【0053】3色表示を行う場合には、多重または多層
化するホログラムの数を3つにすればよく、例えば、図
12に示すような波長選択反射特性を有する多重記録反射
型ホログラムを用いればよい。但し多重記録された反射
型ホログラムは、それぞれ445nm(青) 、530nm(緑) 、68
0nm(赤) の波長に対して、結像手段3の瞳位置22から発
散する球面波光を表示装置使用者の眼の位置6に向けて
収束する球面波光に変換する機能を持つように作成する
【0054】3つの反射型ホログラムは、全て多重記録
する代わりに、別々に作成し、それらを貼り合わせても
よい。例えば、2つのホログラムを多重記録したもの
と、単一に記録したホログラムとを媒体面を合わせて貼
り合わせることにより一体化が可能である。但し、3つ
のホログラムを全て別々に作成し、それらを貼り合わせ
ると、少なくとも1枚の基板がホログラム層に挟まれた
形となり、基板厚み分の大きな位置ずれ(mmオーダー)
を生じる。これにより、3層のホログラム面上に同時に
表示面の実像を形成することができなくなり、鮮明度が
低下する可能性がある点に注意を要する。
【0055】上記図5で説明した表示装置では、その反
射型ホログラム4′(4a,4b)は、図11, 12からも
判るように反射波長帯域が一般に20〜30nm程度と狭いた
め、発光波長帯域が70nm程度以上はある通常の表示器と
組み合わせると、光利用効率が低くなる。そのような場
合には輝度の高い表示器を使用すればよいが、輝度が高
く、特殊な蛍光体を使用した発光波長帯域の狭い表示器
は高価である。以下の幾つかの実施例(図13〜図19) は
そのような高輝度の特殊な表示器を用いることなく、既
存のスペクトル、輝度をもつ表示器を用いてしかも表示
の明るさを増大した表示装置を実現したものである。
【0056】この表示装置は、基本的には、図5に示す
反射型ホログラム4′に対応する反射型ホログラム13が
波長λ1 を中心とする波長帯域の光を表示装置の使用者
の片方の眼6aの位置に向けて反射し、波長λ1 とは異
なる波長λ2 を中心とする波長帯域の光を該表示装置の
使用者の他方の眼6bの位置に向けて反射するように作
成し、該表示装置の使用者が左眼、右眼で異なる波長帯
域の映像を見ることができるようにしたことを特徴とす
る。
【0057】異なる2つ以上の波長帯域の光を反射する
反射型ホログラムを多重に記録、または層状に重ね合わ
せた反射型ホログラム13を設けたことにより、該反射型
ホログラム13で反射される波長帯域が拡大されるため、
表示光の利用率が向上し、明るい表示が可能になる。こ
れにより、背景が明るい状況下においても重畳された表
示映像の視認が容易になる。また2つの反射波長帯域を
大きく異ならせ、それぞれの波長帯域に合わせて視差情
報を含んだ表示を行うことにより、立体表示も可能とな
る。
【0058】モノクロ表示を行う表示装置に向けられた
図13に示す実施例において、1は表示器、3はレンズ等
を用いた結像手段、13は表示器1に表示された映像14を
結像手段3により実像15として結像される位置に設けら
れた反射型ホログラムであり、波長λ1 をピークとする
反射波長帯域(以後単にλ1 と略称する)をもつ第1の
反射型ホログラム13aと、波長λ2 をピークとする反射
波長帯域(以後単にλ 2 と略称する)をもつ第2の反射
型ホログラム13bとをホログラム面を向かい合わせに接
着して構成したものである。
【0059】そして、波長λ12 は図14に示すよう
に、表示器の発光スペクトル(曲線Cで示す)内に、反
射型ホログラムの反射波長帯域のおよそ半値幅だけ異な
るように設定する。例えば半値全幅が30nm程度である場
合には、λ1 =515nm 、λ2 =545nm に設定する。なお
曲線A及びBは反射型ホログラム13a,13bのスペクト
ルをそれぞれ示す。そして、図13の如く第1の反射型ホ
ログラム13aは結像手段3の瞳位置22から発散する球面
波光を左眼6aの位置に集束させるように作成する。ま
た反射型ホログラム13bは、結像手段3の瞳位置22から
発散する球面波光を右眼6bの位置に集束させるように
作成する。
【0060】このように構成された本実施例は、表示器
1に表示された映像14が結像手段3により実像15として
反射型ホログラム13の面上に形成される。そして該反射
型ホログラム13で反射された表示光のうち、λ1 は主と
して表示装置使用者の左眼6aの位置に向けて反射さ
れ、λ2 は主として右眼6bの位置に向けて反射され、
表示映像の視認を可能にする。
【0061】以上の本実施例によれば、従来1波長帯域
の光を左右両眼に分配していたのに比べ、本実施例で
は、左右の眼のそれぞれに1波長帯域の光を割り当てる
ため、明るさが増大する。なおここで左右の眼で表示の
色に違いが生じる。例えば30nmの波長の違いは色として
識別可能である。例えば515nm(黄緑) と545nm(黄色に近
い黄緑) は識別できる。しかし両眼視におてい、左右の
眼で若干の色の違いは、モノクロ表示においては実質的
に問題ない。λ1 とλ2 の中間付近の波長の光は、反射
型ホログラム13a,13bの両方で反射されるが、実像が
ホログラム面上にあるため、二重像は発生しない。
【0062】以上述べた第1の実施例では、λ1 用とλ
2 用とで別々にホログラムを作成し、接着した構造であ
ったが、1枚のホログラムに第1の反射型ホログラム13
aと第2の反射型ホログラム13bを多重記録しても同様
の機能を達成できることは言うまでもない。図15は本発
明の別の実施例を示す図である。同図において図13と同
一部分は同一符号を付して示した。
【0063】本実施例が前実施例と異なるところは、反
射型ホログラム13を構成する第1、第2の反射型ホログ
ラム13a,13bをそれぞれ多重記録ホログラム13c,13
dとしたことである。即ち波長λ1に対し作用する多重
(2重)記録反射型ホログラム13cと、波長λ2 に対し
て作用する多重(2重)記録反射型ホログラム13dをホ
ログラム面が向かい合うように接着して反射型ホログラ
ム13を作成した。λ1 とλ2 の選択の仕方は、上述した
第1の実施例と同様である。
【0064】本実施例の場合は、λ1 とλ2 の混合色を
左右両眼で見るようにしたため、左眼、右眼での色違い
は生ぜず且つ明るさは第1の実施例と同様に向上する。
なお本実施例では反射型ホログラム13を13c,13dの2
枚の反射型ホログラムで構成したが、3枚以上を用い、
3以上の波長帯域の光をそれぞれの波長につき使用者の
左眼、右眼に向けるか、又は眼の位置付近の複数方向に
向け、3以上の波長帯域の混合色で映像を見れるように
することもできる。
【0065】図16は更に別の実施例を示す図である。同
図において、図13と同一部分は同一符号を付して示し
た。本実施例が図13で説明した第1の実施例と異なると
ころは、反射型ホログラム13を構成する第1の反射型ホ
ログラム13aと第2の反射型ホログラム13bを次の如く
変更したことである。即ち、反射型ホログラム13の反射
波長帯域幅に比べて大きく異なる波長λ1 とλ2 ′を選
択的に反射する第1、第2の反射型ホログラム13e,13
fを2層に接着または1層のホログラム媒体内に多重記
録し反射型ホログラム13を構成し、表示器11から第1の
反射型ホログラム13eのみにより反射される映像(λ1)
と、第2の反射型ホログラム13fのみにより反射される
映像(λ2 ′)とを発生できるようにしたものである。
【0066】このように構成された本実施例は、視差を
利用した立体表示が可能になる。即ち、視差情報を含む
左眼用、右眼用の映像をそれぞれλ1 とλ2 ′で表示す
ると、左眼6aではλ1 しか見えず、右眼6bでは
λ2 ′しか見えないため視差が生じて立体視できる。図
17にλ1 とλ2 ′の選択例を示す。図の如くλ1を青色
の領域、λ2 ′を赤色の領域にとれば、従来の赤青メガ
ネを掛けた立体視と同様に見えるが、本実施例では赤青
メガネを必要とせず、且つ背景を素通しで見ることがで
きる。
【0067】以上の各実施例において、複数枚のホログ
ラムを多層に接着する場合は、ホログラムの間隔は小さ
い程よい。これはホログラムの間隔が大きいと、実像面
の位置に違いが生じ、二重像の発生につながるからであ
る。具体的な接着法は、ホログラムが2層の場合は、図
18(a) に示すように、2枚の、それぞれホログラム17が
形成された基板18を、ホログラム面が向かい合うように
して図18(b) の如く光学接着剤19等で貼り合わせること
で良い。接着層の厚さは通常数十μm以下に抑えること
は可能で、二重像発生には影響しない。
【0068】ホログラムが3層以上の場合は、図19(a)
の如く両端のホログラムは基板18として例えば厚さ数mm
のガラス板を用いその上にホログラム17を形成し、中間
に挾むホログラムは薄くて透明なシート20上にホログラ
ム17が形成されたものを利用し、これらを図19(b) の如
く光学接着剤19等で接着すれば良い。これにより基板を
含めたホログラム全体の厚さを小さく保つことができ
る。
【0069】上述の如く図5に示す方法で視域の拡張を
行うことが出来るが、ホログラム4′で反射された表示
光が空間的に分離されていると、表示を見ている状態で
頭を左右または前後(表示光の伝播方向)に動かすと、
表示が片目でしか見えない状況が生じる。この場合、結
像レンズ3の開口を大きくすることにより、左右眼に向
かう表示光束の空間的分離をなくし、表示が片目でしか
見えない状況が発生する度合いを減らすことができる。
しかしながら、この場合表示の明るさが変化する可能性
がある。
【0070】図27(a) は、表示を見ることのできる範囲
(視域)を示すが、斜線を施した部分Sに眼が位置する
と、表示の明るさは他の部分のほぼ2倍に増す。従っ
て、表示を見ている状態で頭を左右に動かすと、表示の
明るさが変化し、チラチラする。眼の位置によって表示
の明るさが変化する表示器は、疲労を招き、決して使い
易いとは言えない。結像レンズ系に長方形のマスクを設
け、図27(b) に示すように視域をつなげれば、この明る
さムラの問題は解消されるが、境界線L(不連続線)を
なくすことはできない。
【0071】以下に示す実施例(図20〜図26) は不連続
線を生じさせることなく視域の拡張を実現したものであ
る。実像を回折させるホログラフィックスクリーン61
は、入射する光波の発散立体角または収束立体角を変換
する機能を有するホログラム素子を2次元アレイ状に形
成して構成され、所定の波長帯域の光に対してブラッグ
条件を満たす前記個々のホログラム素子の光入射方向、
光出射方向がそれぞれ所定の点A,Bまたは夫々の点を
含む2つの狭い区間を通るように作成する。
【0072】これによれば表示映像上の点が結像レンズ
系により実像を形成する際、同レンズ系の焦点距離と開
口で決まる集束ビームの立体角が、ホログラム素子での
回折により、増大させることができる。その結果、不連
続な境界が生じずに、視域を拡張できる。
【0073】図20(a),(b) に本発明のホログラフィック
スクリーンの構造、機能の一例を示す。同図(a) はホロ
グラフィックスクリーン61の全体図で、発散波または収
束波の立体角を変換して反射するホログラム素子が2次
元アレイ状に形成されている様子を示す。但し、模式図
であるため、格子線を示したが、実際はホログラム(ス
クリーン61)は透明である。
【0074】1つの反射型ホログラム素子63の拡大図を
図20(b) に示す。この反射型ホログラムは所定の波長帯
域の光に対して、立体角Ωの発散光を反射し、立体角を
Ω′に変換する。Ω′>Ωとすれば、光の発散角は増大
する。各ホログラム素子63への入射光の光軸l1 と出射
光の光軸l2 は、図20(a) に示したようにそれぞれA
点、B点を通過するように作成する。全てのホログラム
素子63について入射光軸、出射光軸がそれぞれA点、B
点を通過するように作成する。以上において、厳密にA
点、B点を通過しなくとも、A点の近傍、B点の近傍で
あっても実質上問題ない場合が多い。
【0075】図20(a) においては、発散波が反射される
場合を示したが、図21(a),(b),(c)に示すごとく、 (a)
発散波が反射後に収束する場合、 (b)収束波が反射後に
発散する場合、 (c)収束波が反射する場合についても、
図20(a) の構成は成立する。尚、図20(a) において、ホ
ログラム素子63を矩形状のエリアで示したが、形状は矩
形に限らない。また、ホログラム素子間の境界は必ずし
も明瞭でなくともよい。
【0076】図22(a),(b) に、図20(a) に示すホログラ
フィックスクリーン61を用いて構成した表示装置の光学
系を示す。 (a)は全体図、 (b)はホログラフィックスク
リーンの拡大図である。但し、各反射型ホログラム63は
小円形の形状を呈する。図22(a) において、表示器1に
表示された映像14は、結像レンズ3によってホログラフ
ィックスクリーン61上に結像し、実像15を形成する。実
像の各点は、本表示装置を使用する人の左右眼6a,6
bの中間点に向けて発散しながら伝播する。
【0077】ここで、図20(a) に示したA点、B点がそ
れぞれ結像レンズ3の射出瞳の中心、左右眼6a,6b
の中間点に夫々一致するようにホログラフィックスクリ
ーン61を作成しておく。表示映像14の点Pに注目する
と、光束の包絡面は図22(a),(b) の斜線部のごとくにな
る。結像レンズ3による収束立体角Ωは、ホログラフィ
ックスクリーン61による反射の後にΩ′(>Ω)とな
り、図5における視域(図22(a) に点線60′で示す) を
60で示す領域まで拡張することが可能である。
【0078】図23に図22(a),(b) に示す如きホログラフ
ィックスクリーン61の作成法の一例を示す。透明な基板
71の片面にホログラム記録媒体73を形成した乾板70を準
備し、両側からコヒーレント光L1,L2 を照射し、同乾
板を現像処理することにより反射型ホログラムを形成す
る。乾板70に照射するコヒーレント光の一方L1 は発散
球面波で、他方は収束球面波L2 であり、これらコヒー
レント光L1,L2 は乾板の近傍に配置した屈折率分布型
レンズアレイ板75を透して照射する。屈折率分布型レン
ズアレイ板75の表面には、不要なノイズ光をカットする
ためのマスク77を形成しておくことが好ましい。2つの
屈折率分布型レンズアレイ板75の相対位置を制御するこ
とにより、乾板の両側から発散波を照射して形成される
反射型ホログラムレンズを2次元アレイ状に作成するこ
ともできる。反射型ホログラムレンズ(ホログラム素
子)のサイズは、表示の画素に対応するため、例えば数
百μm程度に設計する。
【0079】図24はホログラフィックスクリーン61の作
成系をマクロに見たようすを示す。発散波の発散点の位
置は、後に構成される表示装置の結像レンズ3の射出瞳
の中心を考慮して決定する。また、収束波L2 の焦点位
置は表示装置の使用者の眼の位置を考慮して決定する。
2光束L1,L2 の乾板70に対する入射角は、ホログラフ
ィックスクリーンに対する投射方向、表示の視認方向に
あわせて設定する。
【0080】コヒーレント光の波長は、ホログラム記録
媒体の感度に合わせて選択するが、必ずしも表示波長帯
域とは一致しない。そのような場合には、ホログラム作
成時と使用時の波長の違いを考慮して、屈折率分布型レ
ンズアレイ板75の設置位置、2つのコヒーレント光L1,
2 の照射方向を決定する。
【0081】図25は、屈折率分布型レンズアレイ板75の
例を示す。透明基板81にプロトン交換法等により、屈折
率の異なる領域83を略球状に形成して作成される。公知
技術であるため、説明を省略する。屈折率分布型レンズ
に対する光の入射方向が変わると、収差が発生するが、
画素の寸法内である限り問題とはならない。
【0082】以上は、反射型のホログラフィックスクリ
ーン61を中心に説明したが、透過型のホログラフィック
スクリーンによっても表示装置を実現できることは言う
までもない。( 図26)但し、微小な透過型ホログラムレ
ンズのアレイを屈折率分布型レンズアレイ板を用いて作
成することは難しいため、マスク露光、EB描画等の別
方法をとる必要がある。
【0083】また、以上の反射型のホログラフィックス
クリーンに関する説明は、単一の選択反射波長を前提に
しているが、異なる波長帯域の光を選択反射するホログ
ラフィックスクリーンを複数枚多層に重ねた構造によ
り、マルチカラーの表示が可能になる。或いは、多層で
はなく、一層の媒体内に多重に記録した構造によっても
同様のマルチカラー化が可能である。
【0084】
【発明の効果】以上述べたごとく、表示器の映像の実像
をイメージコンバイナのホログラム面に結像させ、且
つ、同ホログラムにより、実像を表示装置使用者の眼に
向け回折させることにより、透明でかつ従来の表示装置
と同様な非虚像(実像)タイプの表示装置の実現が可能
になる。本発明による透明ディスプレイ装置を用いるこ
とにより、表示と背景を同時に見ることが可能になる。
【0085】また、ホログラムの多重記録または多層化
を図ることにより、表示が見える眼の位置の範囲の拡
張、多色表示が可能となる。ホログラム素子は波長分散
を有するため、通常は色収差相殺用のホログラムと組み
合わせて用いられる。本発明の構成では、実像がホログ
ラム面上に存在するため、波長の違いによる偏向方向の
違いがあっても、収差は発生しないという利点もある。
【0086】図13〜19に示す実施例に依れば、表示器に
表示された映像を結像系を用いて反射型ホログラム面上
に結像させ、その反射光を表示装置の使用者の眼の位置
に集束させることにより、表示された映像と背景を同時
に見れるようにした表示装置において、異なる2つの波
長帯域の光を反射するホログラムを二重に記録した、ま
たは層状に重ね合わせた構造にし、2つの反射型ホログ
ラムをそれぞれ表示器の使用者の左眼、右眼別々の位置
に光を集束させるように作成することにより、表示の明
るさを増大させることができる。
【0087】また、2つの反射波長帯域を大きく異なら
せ、それぞれの波長帯域に合わせて視差情報を含んだ表
示を行うことにより、立体表示も可能になる。また、異
なる反射波長帯域を持ち、表示装置の使用者の眼の位置
付近の複数の点に表示光を集束させる反射型ホログラム
を、多重記録または多層構造にすることにより、表示の
明るさを向上させることができる。
【0088】また、本発明によれば表示の視域を拡張す
ることができ、表示器の使用者の頭の位置が多少移動し
ても、安定に表示をみることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置の基本構成を示す図である。
【図2】本発明の表示装置に内蔵する表示器の発光スペ
クトル形を示す図である。
【図3】本発明の結像系の位置関係の3つの例を示す図
である。
【図4】同じく本発明における結像系の位置関係の例を
示す図である。
【図5】本発明による表示装置の視域を拡大する手段を
説明するための図である。
【図6】本発明による表示装置の構造を示す図である。
【図7】本発明で用いる反射型ホログラムの作成法を示
す図である。
【図8】本発明による表示装置の外観を示す図である。
【図9】本発明の結像系の変形例を示す図である。
【図10】本発明の実施例で、透過型ホログラムを用いる
構成を示す図である。
【図11】本発明の実施例で、2色表示を行う際に用いる
ホログラムの特性図である。
【図12】本発明の実施例で、3色表示を行う際に用いる
ホログラムの特性図である。
【図13】本発明の別の実施例を示す図である。
【図14】図13の実施例における反射型ホログラムの反射
波長帯域の選択例を示す図である。
【図15】本発明の別の実施例を示す図である。
【図16】本発明の更に別の実施例を示す図である。
【図17】図16の実施例における反射型ホログラムの反射
波長帯域の選択例を示す図である。
【図18】本発明における2枚のホログラムを接着する方
法を示す図である。
【図19】本発明における3枚以上のホログラムを接着す
る方法を示す図である。
【図20】本発明の更に別の実施例を示す図である。
【図21】本発明において、入射光束の反射形態の3つの
例を示す図である。
【図22】図20に示すホログラムスクリーンを用いた表示
装置の実施例を示す図である。
【図23】図20に示すホログラムスクリーンの作成方法を
示す図である。
【図24】図20の作成系の全体概要を示す図である。
【図25】図24に示す作成系のレンズアイを示す図であ
る。
【図26】本発明における透過型ホログラムスクリーンを
示す図である。
【図27】表示領域を説明する図である。
【図28】ハーフミラーをイメージコンバイナに用いた場
合の問題点を説明するための図である。
【図29】従来のヘッドアップディスプレイの一例を示す
図である。
【符号の説明】
1…表示器 2…表示面 3…結像手段 4…ホログラム 5…表示装置 6…眼の位置 7…ハーフミラー 8…ミラー 9…開口絞り 10…イメージコンバイナ(基板) 11…ユニット 21…眼に向かって収束する光束 22…結像手段の瞳位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G09F 9/00 359 G09F 9/00 359 (72)発明者 松本 剛 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 富田 順二 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 江口 伸 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−109015(JP,A) 特開 平2−72320(JP,A) 特開 平2−113218(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の映像を投射する表示器と、 該表示器による映像の実像を所定位置に結像する結像光
    学系と、 該結像光学系の結像位置に配置され、上記実像を所定方
    向に指向性を持って回折させる透明ホログラムスクリー
    ンとを有し、 前記ホログラムは表示光スペクトル内の一波長に対し結
    像光学系位置から発散しながら伝搬する球面波光を、観
    察者の右眼に対応する第一の点に向けて収束しながら伝
    搬する球面波光に変換する第一のホログラムと、同じく
    表示光スペクトル内の上記−波長とは異なる一波長に対
    し結像光学系位置から発散しながら伝搬する球面波光
    を、観察者の左眼に対応する第二の点に向けて収束しな
    がら伝搬する球面波光に変換する第二のホログラムであ
    ることを特徴とする表示装置。
  2. 【請求項2】 上記透明ホログラムスクリーンは反射型
    ホログラムにより構成され、これと表示器との間の光路
    中に反射型ホログラムの選択反射波長幅内の光を選択的
    に透過させる波長バンドパスフィルタを介挿したことを
    特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 【請求項3】 上記透明ホログラムスクリーンは反射型
    ホログラムにより構成され、これと表示器との間の光路
    中に反射型ホログラムの選択反射波長幅内の光を選択的
    に反射させる波長選択性を有する光路折り畳みミラーを
    介挿したことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  4. 【請求項4】 上記結像光学系に可変開口絞りを付設
    し、その開口絞りを変えることにより表示像の可視範囲
    を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項
    に記載の表示装置。
  5. 【請求項5】 反射型または透過型のホログラムレンズ
    を同一媒体層内にアレイ状に形成し、それぞれのホログ
    ラムレンズの入射軸と出射軸の方向を徐々に変化させた
    ことを特徴とするホログラフィックスクリーン。
  6. 【請求項6】 少なくとも請求項5に記載のホログラフ
    ィックスクリーン、表示器、投射レンズ系を備え、これ
    ら各要素を表示器に表示された映像の実像を、投射レン
    ズ系によって前記ホログラフィックスクリーン面上、ま
    たはその近傍に形成するように配置したことを特徴とす
    る表示装置。
  7. 【請求項7】 ホログラフィックスクリーンを構成する
    ホログラムレンズの入射軸、出射軸がそれぞれ投射レン
    ズ系の主点、表示装置使用者の目の位置を通るように設
    定されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
JP14467791A 1990-06-29 1991-06-17 表示装置 Expired - Fee Related JP3313122B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14467791A JP3313122B2 (ja) 1990-06-29 1991-06-17 表示装置

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17022490 1990-06-29
JP2-170224 1991-02-04
JP3-13343 1991-02-04
JP1334391 1991-02-04
JP14467791A JP3313122B2 (ja) 1990-06-29 1991-06-17 表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04298710A JPH04298710A (ja) 1992-10-22
JP3313122B2 true JP3313122B2 (ja) 2002-08-12

Family

ID=27280215

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14467791A Expired - Fee Related JP3313122B2 (ja) 1990-06-29 1991-06-17 表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3313122B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20140049863A (ko) * 2012-10-18 2014-04-28 엘지전자 주식회사 광학 장치 및 착용용 디스플레이

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0772103A3 (en) 1995-10-30 1998-01-21 Denso Corporation A method for producing a hologram and a display device using the same
US6198555B1 (en) 1996-03-25 2001-03-06 Denso Corporation Manufacturing method for a hologram and a related exposure apparatus
JPH10133283A (ja) * 1996-09-05 1998-05-22 Denso Corp 透過型ホログラムスクリーンの製造方法
JPH10278630A (ja) * 1997-03-31 1998-10-20 Denso Corp ヘッドアップディスプレイ装置
US6923483B2 (en) 2001-01-11 2005-08-02 Universal Propulsion Company, Inc. Bumper airbag and system
JP2005503287A (ja) 2001-01-11 2005-02-03 ユニヴァーサル プロパルション カンパニー,インク. バンパエアバッグと、そのシステム
DE112007001142A5 (de) * 2006-05-12 2009-04-23 Seereal Technologies S.A. Reflektierendes optisches System, Nachführsystem sowie holografisches Projektionssystem und -verfahren
JP5172436B2 (ja) * 2008-04-03 2013-03-27 株式会社東芝 表示装置、ヘッドアップディスプレイ及びそれを用いた移動体
JP5075776B2 (ja) * 2008-09-22 2012-11-21 株式会社東芝 表示装置及び移動体
JP5333781B2 (ja) * 2010-02-26 2013-11-06 株式会社エクォス・リサーチ ヘッドアップディスプレイ装置
FR2957683B1 (fr) * 2010-03-17 2012-03-23 Delphi Tech Inc Combineur diffractif pour afficheur tete haute couleur
JP5708951B2 (ja) * 2013-08-01 2015-04-30 株式会社エクォス・リサーチ ヘッドアップディスプレイ装置
TWI664447B (zh) * 2014-02-18 2019-07-01 德商拜耳材料科學股份有限公司 使用全像光學元件之裸視3d顯示裝置
JP2016031401A (ja) * 2014-07-28 2016-03-07 パナソニックIpマネジメント株式会社 表示装置
JP6439453B2 (ja) * 2015-01-09 2018-12-19 セイコーエプソン株式会社 画像表示装置、及び画像表示装置の製造方法
JP6681183B2 (ja) * 2015-12-09 2020-04-15 コニカミノルタプラネタリウム株式会社 画像投映装置およびプラネタリウム
WO2017098973A1 (ja) * 2015-12-09 2017-06-15 コニカミノルタプラネタリウム株式会社 画像投映装置およびプラネタリウム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20140049863A (ko) * 2012-10-18 2014-04-28 엘지전자 주식회사 광학 장치 및 착용용 디스플레이
KR101969353B1 (ko) 2012-10-18 2019-04-16 엘지전자 주식회사 광학 장치 및 착용용 디스플레이

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04298710A (ja) 1992-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5187597A (en) Display unit
JP3313122B2 (ja) 表示装置
JP5950233B2 (ja) シースルーディスプレイ装置及びシースルーディスプレイ装置を搭載した車両
TWI461735B (zh) 顯示裝置
JPH02500937A (ja) ホログラフィレンズを使用するカラー表示装置および方法
CN112602004B (zh) 具有光束复制的投影仪-组合器显示器
US20040066547A1 (en) Full color holographic image combiner system
US20010006426A1 (en) Holographic projection screen for displaying a three-dimensional color images and optical display system using the holographic screen
CN110221428B (zh) 近眼显示系统
CN109031669B (zh) 紧凑型全息近眼ar显示系统及其应用
JP2011221235A (ja) 頭部装着型ディスプレイにおける光学的位置調整方法
US11067810B2 (en) Head-mounted display apparatus
CN109521506A (zh) 纳米镜片、近眼显示方法及近眼显示装置
CN111279250B (zh) 导光板、导光板制造方法和影像显示装置
WO2019130988A1 (ja) 画像表示装置及び表示装置
KR20010053563A (ko) 홀로그래피 스크린과 입체영상 디스플레이를 위한 장치 및방법
JPH0542417Y2 (ja)
EP0811859B1 (en) Holographic reflector and reflective liquid crystal display using it
JP2862019B2 (ja) 映像重畳装置
CA2094151C (en) Non-interfering color viewing system using spectral multiplexing
US6211977B1 (en) Method of producing a holographic projection screen for displaying a three-dimensional color images
CN112415747A (zh) 导光板、导光板的制造装置、导光板的制造方法、以及使用该导光板的影像显示装置
CN113534478A (zh) 光学组件、显示系统及制造方法
CN113534477B (zh) 光学组件、显示系统及制造方法
JP4525663B2 (ja) ホログラム露光装置とホログラム露光方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20001024

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees