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JP3368024B2 - フルカラー画像形成方法 - Google Patents

フルカラー画像形成方法

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Publication number
JP3368024B2
JP3368024B2 JP32089193A JP32089193A JP3368024B2 JP 3368024 B2 JP3368024 B2 JP 3368024B2 JP 32089193 A JP32089193 A JP 32089193A JP 32089193 A JP32089193 A JP 32089193A JP 3368024 B2 JP3368024 B2 JP 3368024B2
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Japan
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toner
full
color
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image forming
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JP32089193A
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益夫 山崎
克彦 西村
耕一 谷川
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Canon Inc
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Canon Inc
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Publication date
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Publication of JPH07152217A publication Critical patent/JPH07152217A/ja
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Color Electrophotography (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法を利用した
中間転写体を用いた多色画像を形成せしめる画像形成方
法に関するものである。即ち、本発明は、予め静電潜像
担持体(感光体)上にトナー像を形成後、更に中間転写
体上にトナー像を転写させ、転写材上に一括転写させる
画像形成方法であり、複写機,プリンター,ファックス
等の画像形成に用いられるフルカラー画像形成方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、フルカラー複写機においては、4
つの感光体とベルト状転写体を用い各感光体上に形成さ
れた静電潜像をシアン,マゼンタ,イエロー及びブラッ
クトナーを用い現像後、感光体とベルト転写体間に転写
材を搬送しストレートパス間で転写後、フルカラー画像
を形成せしめる方法や感光体に対向せしめた転写体表面
に静電気力やグリッパー等の機械的作用により転写材を
巻き付け、現像−転写工程を4回実施することで結果的
にフルカラー画像を得る方法等が一般的に利用されてい
る。
【0003】また近年フルカラー用転写材として通常の
紙やオーバーヘッドプロジェクター用フィルム(OH
P)以外に厚紙やカード、葉書等の小サイズ紙等への多
様なマテリアル展開の必要性が増してきている。上記の
4つの感光体を用いる方法においては、転写材がストレ
ートに搬送するため多様な転写材への適用範囲は広い
が、複数のトナー像を正確に所定の転写材の位置に重ね
合わせる必要があり、少しのレジストレーションの相違
によっても高画質の画像を再現性良く得ることが困難
で、転写材の搬送機構が複雑化し信頼性,部品点数の増
加を招くという問題がある。また、転写材を転写体表面
に吸着させ巻き付ける方法で坪量の大きな厚紙を用いる
際においては、転写材のコシの強さで転写材の後端が密
着不良を起こし、結果的に転写に基づく画像欠陥を起こ
し好ましくない。小サイズ紙に対しても同様に画像欠陥
が発生する場合がある。
【0004】ドラム形状の中間転写体を用いるフルカラ
ー画像装置は、米国特許第5,187,526号明細書
や特開平4−16426号公報等で既に知られている。
米国特許第5,187,526号明細書においては、ポ
リウレタンを基材とする表層からなる中間転写ローラー
の体積固有抵抗値が、109Ω・cm未満で有り、同様
の表面層から構成された転写ローラーの体積固有抵抗値
が、1010Ω・cm以上とすることで高画質を得ること
ができると記載されている。しかしながら、このような
系においては、転写材へのトナーの転写時に十分なトナ
ーへの転写電荷量を与えるためには、高出力電界が必要
となるため導電性付与材を分散せしめたポリウレタンか
ら構成された表層が、局所的にブレイクダウンを起こ
し、トナー乗り量の少ないハーフトーン画像において顕
著な画像乱れが発生し好ましくない。更にこのような高
電圧の印加は、相対湿度が60%RHを上回る高湿度下
の環境においては、転写材の低抵抗化に伴い転写電流が
漏洩して転写不良を起こし易く、一方相対湿度が40%
RH以下の低湿度環境においても転写材の不均一抵抗ム
ラに基づく転写不良の原因となる場合がある。
【0005】中間転写体を用いる構成とトナーとの関係
を記載しているものとして、特開昭59−15739号
公報及び特開昭59−5046号公報がある。しかしな
がら、該公報においては、粘着性の中間転写体を用い1
0μm以下のトナーを効率よく転写せしめることしか述
べられていない。通常、中間転写体を用いる系において
は、トナーの顕色像を感光体から中間転写体に一旦転写
後、更に中間転写体から転写材上に再度転写することが
必要であり、従来の上記方法と比べトナーの転写効率を
高める必要がある。特に、トナー像を現像後に転写せし
めるフルカラー複写機を用いた場合においては、白黒複
写機に用いられる一色の黒トナーの場合と比較し中間転
写体上のトナー量が増加し、単に従来のトナーを用いた
のでは転写効率を向上させることが困難である。更に、
通常のトナーを用いた場合には、感光体や中間転写体と
クリーニング部材との間、及び/又は、感光体と中間転
写体間でのズリ力や摺擦力のために感光体表面や中間転
写体表面にトナーの融着やフィルミング等が発生して転
写効率の悪化や、フルカラーにおいては4色のトナー像
が均一に転写されないことから色ムラやカラーバランス
の面で問題が生じやすく、高画質のフルカラー画像を安
定して出力することが困難であった。
【0006】また、通常のフルカラー複写機に搭載され
るトナーとしては、定着工程で各カラートナーが十分混
色することが必要であり、そのため色再現性の向上やO
HP画像の透明性が重要であり、黒トナーと較べカラー
トナーは、一般的にシャープメルトで低分子量の樹脂を
使用することが好ましい。また、通常の黒トナーには、
定着時の高湿オフセット性を向上させるためにポリエチ
レンワックスやポリプロピレンワックスに代表される比
較的結晶性の高い離型剤が用いられている。しかしなが
ら、フルカラートナーにおいては、この離型剤の結晶化
性のためOHPのトナー画像は、著しく透明性が阻害さ
れる。このため通常はカラートナー構成成分として離型
剤を添加せずに加熱定着ローラーへシリコーンオイル等
を均一塗布せしめることで結果的に高温オフセット性の
向上を図っている。しかしながら、このようにして得ら
れたトナー定着像を有する転写材は、その表面に余分の
シリコーンオイル等が付着しているため、ユーザーが使
用する際不快感を生じ好ましくない。このように当接部
分の多い中間転写体を用いたフルカラー画像形成には、
現状困難な問題が多い。特開昭59−15739号公報
及び特開昭59−5046号公報には、この点に関する
トナー又は中間転写体への工夫は、提案されていない。
【0007】近年、電子写真用感光体として、その電子
写真プロセスに応じた優れた感光体の感度や電気特性、
更には光学特性が要求されている。しかしながら、通常
繰り返し使用時の紙粉や空気中での放電により発生する
窒素酸化物による感光体表面への付着物による汚染ま
た、オゾン,水分等による感光体表面の樹脂の劣化は、
特に高湿下での電荷保持力が低下し、解像力の低下や画
像流れの原因となる。感光体の表面は樹脂により被覆さ
れているので耐久性の優れたビスフェノールAを骨格に
持つポリカーボネート樹脂が近年多く研究されている。
【0008】しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、
通常、表面自由エネルギーが大きくトナーに用いられる
樹脂と相溶しやすく感光体表面にトナーが融着し、画像
上に反転現像の場合には、白く斑点状の画像欠陥が現れ
る。また、感光体を製造する過程で電荷輸送材をポリカ
ーボネート樹脂と共に溶剤を用い導電性支持体上に塗工
した後、乾燥させ塗膜を形成させるが、この塗膜は内部
歪が残存しやすく、結果として長期保存において応力緩
和がクラックとして現れ画像上にクラックに対応した欠
陥が現れる場合がある。更に、摩擦係数も高く、ブレー
ド材料としてのポリウレタン,ポリエステル樹脂等によ
り感光体表面層が削れ、耐久寿命が短くなり好ましくな
い。特に中間転写体を用いてる系においては高い転写効
率を維持しつづけることが最も肝要で、表面の汚染の少
ない感光体が中間転写体を用いる一つのポイントとな
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
の如き問題点を解決した画像形成方法を提供するもので
ある。
【0010】即ち、本発明の目的は、感光体及び中間転
写体にトナー融着やフィルミングの発生しないフルカラ
ー画像形成方法を提供することにある。
【0011】また、本発明の目的は、厚紙やカード及び
葉書等の小サイズ転写材にも良好に転写できるフルカラ
ー画像形成方法を提供することにある。
【0012】また、本発明の目的は、転写効率に優れた
フルカラー画像形成方法を提供することにある。
【0013】また、本発明の目的は、複数のトナーが十
分混色する低温定着性を有するフルカラー画像形成方法
を提供することにある。
【0014】また、本発明の目的は、透明性に優れたカ
ラーOHP画像を得るためのフルカラー画像形成方法を
提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、少な
くとも導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層から
成る積層構造を有する感光体の表面層に、XPS(X
線光電子分光法)による測定で弗素及び/または珪素原
子を有する化合物が存在し、且つ炭素原子との比が、 F/C=0.03〜1.00 Si/C=0.03〜1.00 を示す最表面層を有する感光体上に、ルーゼックスで測
定した形状係数SF−1が100〜110であり
、パラフィンワックス,ポリオレフィンワックス,フ
ィッシャートロピッシュワックス,アミドワックス,高
級脂肪酸,エステルワックス、これらの誘導体及びこれ
らのグラフト/ブロック化合物からなるグループから選
択される低軟化点物質を5〜30重量%含有しているカ
ラートナー粒子でカラートナー像を形成し、該感光体上
のカラートナー像を中間転写体に転写し、転写ローラー
を転写材に接触させ、該中間転写体上のカラートナー像
を該転写材へ転写し、該転写材上のカラートナー像を、
加熱手段によって該転写材に加熱定着することを特徴と
するフルカラー画像形成方法に関する。
【0016】本発明に用いられる中間転写体及び転写ロ
ーラーとしては、転写ローラーを形成するための一般的
な材料が用いられるが、本発明においては中間転写体の
体積固有抵抗値よりも転写ローラーの体積固有抵抗値を
小さく設定することで転写ローラーへの印加電圧が軽減
でき、転写材上に良好なトナー像を形成できると共に転
写材の中間転写体への巻き付きを防止することができ
る。特に、中間転写体の体積固有抵抗値が転写ローラー
の体積固有抵抗値より10倍以上であることが特に好ま
しい。
【0017】中間転写体及び転写ローラーの硬度は、J
IS K−6301に準拠し測定される。本発明に用い
られる中間転写体の硬度は、10〜40度の範囲に属す
る弾性層から構成されることが好ましく、一方、転写ロ
ーラー硬度は、中間転写体の硬度より硬く41〜80度
の値を有するものが中間転写体への転写材の巻き付きを
防止する上で好ましい。中間転写体と転写ローラーの硬
度が逆になると、中間転写体側に凹部が形成され、中間
転写体への転写材の巻き付きが発生し好ましくない。
【0018】本発明に用いられるトナーとしては、ルー
ゼックスで測定した形状係数であるSF−1の値が10
0〜110で有り且つ低軟化点物質を5〜30重量%含
有しているトナーが好ましく用いられる。
【0019】本発明に用いられる形状係数を示すSF−
1とは、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用
いトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画
像情報はインターフェースを介してニレコ社製画像解析
装置(Luzex3)に導入し解析を行い、下式より算
出し得られた値を本発明においては形状係数SF−1と
定義した。
【0020】
【数1】
【0021】[式中、MXLNGは絶対最大長を示し、
AREAはトナーの投影面積を示す。]
【0022】トナーの形状係数SF−1を110より大
きいトナー形状は、球形から徐々に不定形に近づき、そ
れにつれて同時に転写効率の低下が認められる。本発明
においては、多種のマテリアルに対応させるために、中
間転写体を設けており、転写工程が実質2回行われ、転
写効率の低下は著しく、トナーの利用効率の低下を招き
問題となる。更に、最近のデジタルフルカラー複写機や
プリンターにおいては色画像原稿を予めB(ブルー),
G(グリーン),R(レッド)フィルターを用い色分解
した後、感光体上に20〜70μmのドット潜像を形成
しY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),B
(ブラック)の各色トナーを用いて減色混合作用を利用
し、原稿に忠実な多色カラー画像を再現する必要があ
る。この際感光体上又は中間転写体上には、Y,M,
C,Bトナーが原稿やCRTの色情報に対応して多量に
トナーが乗るため、本発明に使用される各カラートナー
は、極めて高い転写性が要求され、それを実現させる為
にはトナーの形状係数SF−1が100〜110である
実質球形のトナーが好ましい。
【0023】更に高画質化のため、より微小な潜像ドッ
トを忠実に現像するために、トナーもより微小粒径の、
具体的にはコールターカウンターにより測定された重量
平均径が4μm〜8μmで個数変動係数が35%以下の
トナーが本発明に使用するトナーとして最も好ましい。
重量平均径が4μm未満のトナーにおいては、転写効率
の悪さから感光体や中間転写体上に転写残トナーが多く
発生し、カブリ,転写不良に基づく画像の不均一ムラの
原因となり本発明で使用するトナーとしては好ましくな
い。また、トナーの重量平均径が8μmを超える場合に
は、部材への融着が起きやすく、トナーの個数変動係数
が35%を超えると更にその傾向が強まり問題となる。
【0024】本発明に用いられる低軟化点物質として
は、ASTM D3418−8に準拠し測定された主体
極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好まし
い。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自
己凝集力が弱くなり、結果として高温オフセット性が弱
くなりフルカラートナーには好ましくない。一方極大ピ
ークが、90℃を超えると定着温度が高くなり、定着画
像表面を適度に平滑化せしめることが困難となり混色性
の点から好ましくない。更に、直接重合方法によりトナ
ーを得る場合においては、水系で造粒,重合を行うため
極大ピーク値の温度が高いと主に造粒中に低軟化点物質
が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。
【0025】本発明の極大ピーク値の温度の測定には、
例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置
検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱
量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サン
プルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセッ
トし、昇温速度10℃/min.で測定を行う。
【0026】具体的にはパラフィンワックス,ポリオレ
フィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,
アミドワックス,高級脂肪酸,エステルワックス及びこ
れらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等
が利用できる。好ましくは下記一般構造式で示す炭素数
が10以上の長鎖エステル部分を1個以上有するエステ
ルワックスが、OHPの透明性を阻害せずに高温オフセ
ット性に効果を有するので本発明においては特に好まし
い。本発明に好ましい具体的なエステルワックスの代表
的化合物の構造式を以下に一般構造式,一般構造式
及び一般構造式として示す。
【0027】
【化1】
【0028】[式中、a及びbは0〜4の整数を示し、
a+bは4であり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有
機基を示し、且つR1とR2との炭素数差が10以上であ
る基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとm
が同時に0になることはない。]
【0029】
【化2】
【0030】[式中、a及びbは0〜4の整数を示し、
a+bは4であり、R1は炭素数が1〜40の有機基を
示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時
に0になることはない。]
【0031】
【化3】
【0032】[式中、a及びbは0〜3の整数を示し、
a+bは3以下であり、R1及びR2は炭素数が1〜40
の有機基を示し、且つR1とR2との炭素数差が10以上
である基を示し、R3は炭素数が1以上の有機基を示
し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に
0になることはない。]
【0033】本発明で好ましく用いられるエステルワッ
クスは、硬度0.5〜5.0を有するものが好ましい。
エステルワックスの硬度は、直径20mmφで厚さが5
mmの円筒形状のサンプルを作製した後、島津製作所製
ダイナミック超微小硬度計(DUH−200)を用いビ
ッカース硬度を測定した値である。測定条件は、0.5
gの荷重で負荷速度が9.67mm/秒の条件で10μ
m変位させた後15秒間保持し、得られた打痕形状を測
定しビッカース硬度を求める。本発明に好ましく用いら
れるエステルワックスの硬度は、0.5〜5.0の値を
示す。硬度が0.5未満の低軟化点物質では定着器の圧
力依存性及びプロセススピード依存性が大きくなり、高
温オフセット効果の発現が不十分となりやすく、他方
5.0を超える場合ではトナーの保存安定性に乏しく、
離型剤自身の自己凝集力も小さいため同様に高温オフセ
ットが不十分となりやすい。具体的化合物としては、下
記化合物が挙げられる。
【0034】
【化4】
【0035】近年フルカラー両面画像の必要性も増して
きており、両面画像を形成せしめる際においては、最初
に表面に形成された転写紙上のトナー像が次に裏面に画
像を形成する時にも定着器の加熱部を再度通過する可能
性が有り、よりトナーの高温オフセット性を十分に考慮
する必要がある。その為にも本発明においては、多量の
低軟化点物質の添加が必須となる。具体的には、低軟化
点物質をトナー中に5〜30重量%添加することが好ま
しい。5重量%未満の添加では十分な高温オフセット性
を示さず、更に両面画像の定着時において裏面の画像が
オフセット現象を示す傾向がある。また30重量%を超
える場合は、トナーの製造時に、たとえば粉砕法による
製造において装置融着やトナーの融着が発生しやすく、
重合法による製造においても造粒時にトナー粒子同士の
合一が起きやすく、粒度分布の広いものが生成しやす
く、本発明には不適当であった。
【0036】本発明のトナーを製造する方法としては、
樹脂,低軟化点物質からなる離型剤,着色剤,荷電制御
剤等を加圧ニーダーやエクストルーダー又はメディア分
散機を用い均一に分散せしめた後、機械的又はジェット
気流下でターゲットに衝突させ、所望のトナー粒径に微
粉砕化せしめた後、更に分級工程を経て粒度分布をシャ
ープ化せしめ、トナー化する所謂粉砕方法によるトナー
の製造方法の他に、特公昭56−13945号公報等に
記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空
気中に霧化し球状トナーを得る方法や特公昭36−10
231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭
59−61842号公報に述べられている懸濁重合方法
を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶
で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナ
ーを生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存
在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方
法に代表される乳化重合方法等を用いトナーを製造する
ことが可能である。
【0037】しかしながら、粉砕法を用いトナーを製造
する方法においては、ルーゼックスで測定したトナーの
形状係数であるSF−1を100〜110の範囲に納め
ることが困難であり、溶融スプレー法においては、SF
−1値を所定の範囲に納めることは出来ても、得られた
トナーの粒度分布が広くなりやすく、効率の低い製造方
法である。他方、分散重合方法においては、得られるト
ナーは極めてシャープな粒度分布を示すが、使用する材
料の選択が狭いことや有機溶剤の利用が廃溶剤の処理や
溶剤の引火性に関する観点から製造装置が複雑で煩雑化
しやすい。ソープフリー重合に代表される乳化重合方法
は、トナーの粒度分布が比較的揃うため有効であるが、
使用した乳化剤や開始剤末端がトナー粒子表面に存在し
時に環境特性を悪化させやすい。
【0038】本発明においてはトナーの形状係数SF−
1値を100〜110にコントロールでき、比較的容易
に粒度分布がシャープで4〜8μm粒径の微粒子トナー
が得られる常圧下での、または、加圧下での懸濁重合方
法が特に好ましい。一旦得られた重合粒子に更に単量体
を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめる所謂
シード重合方法も本発明に好適に利用することができ
る。
【0039】本発明に用いられるより好ましいトナー
は、ルーゼックスで測定したトナーの形状係数SF−1
が100〜110で有り且つ、低軟化点物質を5〜30
重量%含有し、更に透過電子顕微鏡(TEM)を用いた
トナーの断層面測定方法で低軟化点物質が、外殻樹脂層
で内包化された直接重合法を用いて製造されたものであ
る。
【0040】定着性の観点から多量の低軟化点物質をト
ナーに含有せしめる必要性から必然的に低軟化点物質を
外殻樹脂中に内包化せしめる必要がある。内包化せしめ
ない場合のトナーは、粉砕工程において特殊な凍結粉砕
を利用しないと十分な微粉砕化ができず結果的に粒度分
布の広いものしか得られず、装置へのトナー融着も発生
し、甚だ好ましくない。また冷凍粉砕においては、装置
への結露防止策のため装置が煩雑化したり、仮にトナー
が吸湿した場合においてはトナーの作業性低下を招き、
更に乾燥工程を追加することも必要となり問題となる。
低軟化点物質を内包化せしめる具体的方法としては、水
系媒体中での材料の極性を主要単量体より低軟化点物質
の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は
単量体を添加せしめることで低軟化点物質を外殻樹脂で
被覆した所謂コア−シェル構造を有するトナーを得るこ
とができる。トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、難
水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類
や添加量を変える方法や機械的装置条件、例えばロータ
ーの周速,パス回数,撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器
形状又は、水溶液中での固形分濃度等を制御することに
より所定の本発明のトナーを得ることができる。
【0041】本発明においてトナーの断層面を測定する
具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にト
ナーを十分分散させた後温度40℃の雰囲気中で2日間
硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要に
より四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイ
ヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプ
ルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナーの
断層形態を測定した。本発明においては、用いる低軟化
点物質と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化殿違いを
利用して材料間のコントラストを付けるため四三酸化ル
テニウム染色法を用いることが好ましい。代表的な一例
を図2に示す。明らかに低軟化点物質が外殻樹脂で内包
化されていることが観測された。
【0042】本発明に用いられる外殻樹脂としては、一
般的に用いられているスチレン−(メタ)アクリル共重
合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン−ブ
タジエン共重合体を利用することが出来る。重合法によ
る直接トナーを得る方法においては、それらの単量体が
好ましく用いられる。具体的にはスチレン,o(m−,
p−)−メチルスチレン,m(p−)−エチルスチレン
等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,
(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピ
ル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オ
クチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリ
ル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル
酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチル
アミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量
体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メ
タ)アクリロニトリル,アクリル酸アミド等のエン系単
量体が好ましく用いられる。これらは、単独または一般
的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P1
39〜192(John Wiley&Sons社製)
に記載の理論ガラス温度(Tg)が、40〜75℃を示
すように単量体を適宜混合し用いられる。理論ガラス転
移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性や
現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、一方75℃を
超える場合は定着点の上昇をもたらし、特にフルカラー
トナーの場合においては各色トナーの混色が不十分とな
り色再現性に乏しく、更にOHP画像の透明性を著しく
低下させ高画質の面から好ましくない。外殻樹脂の分子
量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)により測定される。具体的なGPCの測定方法とし
ては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン
溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレー
ターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解
するが外殻樹脂は溶解し得ない有機溶剤例えばクロロホ
ルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒド
ロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶
剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォー
ターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A
−801、802、803、804、805、806、
807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分
子量分布を測定し得る。得られた樹脂成分の数平均分子
量(Mn)は、5000〜1,000,000で有り、
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比
(Mw/Mn)は、2〜100を示す外殻樹脂が本発明
には好ましい。
【0043】本発明においては、外殻樹脂中に低軟化点
物質を内包化せしめるため外殻樹脂の他に更に極性樹脂
を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられ
る極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の
共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹
脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂
は、外殻樹脂又は単量体と反応しうる不飽和基を分子中
に含まないものが特に好ましい。不飽和基を有する極性
樹脂を含む場合においては、外殻樹脂層を形成する単量
体と架橋反応が起きフルカラー用トナーとしては、極め
て高分子量になり四色トナーの混色には不利となり好ま
しくない。
【0044】本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤
としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー
/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたもの
が利用される。
【0045】マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合
物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,
アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代
表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピ
グメントイエロー12、13、14、15、17、6
2、74、83、93、94、95、109、110、
111、128、129、147、168等が好適に用
いられる。
【0046】マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合
物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キ
ナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール
化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合
物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.
I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、4
8;2、48;3、48;4、57;1、81;1、1
44、146、166、169、177、184、18
5、202、206、220、221、254が特に好
ましい。
【0047】シアン着色剤としては、銅フタロシアニン
化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染
料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.
ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、
15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に
利用できる。
【0048】これらの着色剤は、単独又は混合し更には
固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤
は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナ
ー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量
は、樹脂100重量部に対し1〜20重量部添加して用
いられる。
【0049】黒色着色剤として磁性体を用いた場合に
は、他の着色剤と異なり樹脂100重量部に対し40〜
150重量部添加して用いられる。
【0050】本発明に用いられる荷電制御剤としては、
公知のものが利用できるが、無色でトナーの帯電スピー
ドが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制
御剤が好ましい。更に本発明において直接重合方法を用
いる場合には、重合阻害性が無く水系への可溶化物の無
い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、
ネガ系としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸
の金属化合物,スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高
分子型化合物,ホウ素化合物,尿素化合物,ケイ素化合
物,カリークスアレーン等が利用でき、ポジ系として四
級アンモニウム塩,該四級アンモニウム塩を側鎖に有す
る高分子型化合物,グアニジン化合物,イミダゾール化
合物等が好ましく用いられる。該荷電制御剤は樹脂10
0重量部に対し0.5〜10重量部が好ましい。しかし
ながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではな
く、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリヤ
ーとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーテ
ィング現像方法を用いた場合においてもブレード部材や
スリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでト
ナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0051】本発明に直接重合方法を利用する場合に
は、重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビス−
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロ
ヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス
−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、ア
ゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤;ベン
ゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシ
ド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒ
ドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオ
キシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開
始剤が用いられる。該重合開始剤の添加量は、目的とす
る重合度により変化するが一般的には単量体に対し0.
5〜20重量%添加され用いられる。重合開始剤の種類
は、重合方法により若干異なるが、十時間半減期温度を
参考に、単独又は混合し利用される。
【0052】重合度を制御するため公知の架橋剤,連鎖
移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能で
ある。
【0053】本発明のトナー製造方法として懸濁重合を
利用する場合には、用いる分散剤賭して例えば無機系酸
化物として、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウ
ム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウ
ム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグ
ネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウ
ム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シ
リカ,アルミナ,磁性体,フェライト等が挙げられる。
有機系化合物としては例えばポリビニルアルコール,ゼ
ラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピル
セルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセル
ロースのナトリウム塩,デンプン等を水相に分散させて
使用される。これら分散剤は、重合性単量体100重量
部に対して0.2〜2.0重量部を使用することが好ま
しい。
【0054】これら分散剤は、市販のものをそのまま用
いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得
るために、分散媒中にて高速撹拌下にて該無機化合物を
生成させることも出来る。例えば、リン酸三カルシウム
の場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と
塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に
好ましい分散剤を得ることが出来る。また、これら分散
剤の微細化のため0.001〜0.1重量部の界面活性
剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン,アニ
オン,カチオン型の界面活性剤が利用出来、例えばドデ
シル硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペ
ンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,
オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステア
リン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が好ましく用
いられる。
【0055】本発明のトナー製造方法に直接重合方法を
用いる場合においては、以下の如き製造方法によって具
体的にトナーを製造することが可能である。即ち、重合
性単量体中に低軟化点物質からなる離型剤,着色剤,荷
電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナ
イザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せ
しめた単量体系を、分散安定剤を含有する水相中に通常
の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等により
分散せしめる。好ましくは単量体液滴が所望のトナー粒
子のサイズを有するように撹拌速度,時間を調整し、造
粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が
維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行
えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜9
0℃の温度に設定して重合を行うのが良い。また、重合
反応後半に昇温しても良く、更に、トナー定着時の臭い
の原因等となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除
去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒
体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子
を洗浄・濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法にお
いては、通常単量体系100重量部に対して水300〜
3000重量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0056】一方、本発明の画像形成方法に用いられる
感光体としては、電荷輸送層及び/または保護層の表層
からおよそ90Å以内の最表層に弗素及び/または珪素
系化合物をポリカーボネート樹脂中に粒径5.0μm以
下に微分散するか、または可溶化することにより、感光
体からトナーの高い転写効率の維持が達成でき中間転写
体を用いた場合には特に好ましい。
【0057】本発明のトナーのように、トナー中に多量
の低軟化物質と極性物質を含有せしめる場合において
は、定着性、たとえば混色性や高温オフセット性には優
れたものになるが、感光体へトナーが付着しやすく、転
写性やクリーニング性が低下した場合に感光体へのトナ
ー融着を生じるおそれがあった。
【0058】本発明者らは、これを解決すべく、検討の
結果、電子写真感光体の表面層に、弗素及び/あるいは
珪素原子を炭素原子との比が、 F/C=0.03〜1.00, Si/C=0.03〜1.00 の範囲で存在させることにより、上記課題を良好に解決
せしめることを見いだした。
【0059】ここでF/C,Si/Cを規定する理由と
しては、F,Si原子を含有した化合物は感光体の表面
エネルギーを下げるものであり、トナーの転写性や付着
性を軽減させる。一方、炭素原子の存在はその表面エネ
ルギーを上げるものである。この比を規定することによ
り、本発明のような付着しやすいトナー構成においても
転写性がよく、クリーニング不良を発生しない構成とな
り得ることを本発明者らは見いだした。
【0060】ここで、本発明のトナーに対して感光体表
面層のF/C,Si/Cがそれぞれ0.03未満である
と、感光体表面エネルギーが高く、トナーの転写性を悪
化させる。一方、F/C,Si/Cがそれぞれ1.00
を超えると、感光体のクリーニング部材との摩擦係数が
下がり、逆にトナーのすり抜け、クリーニング不良が発
生しやすい。
【0061】より好ましい構成としては、本発明の電子
写真感光体における表面層がポリカーボネートを含有す
ることであり、更により好ましくは、該ポリカーボネー
トが非対称性ジオールから合成されるものであることが
好ましい。これにより耐久性に優れ、生産性が良好な、
電子写真感光体となり得る。更に好ましい構成として
は、電子写真感光体における感光層上に保護層を有し、
かつ該保護層にポリカーボネートを含有することが好ま
しい。これにより更なる耐久特性の安定性が生じる。弗
素化合物の具体例としては、弗素樹脂が挙げられ、四弗
化エチレン,三弗化塩化エチレン,六弗化プロピレン,
弗化ビニル,弗化ビニリデン,二弗化二塩化エチレンの
重合体およびそれらの共重合体の中から1種あるいは、
それ以上が適宜選択される。また弗化カーボン等も使用
可能である。
【0062】本発明においては、弗素系重合性単量体あ
るいは非弗素系重合性単量体との重合または共重合から
合成された弗素含有セグメントを含有するブロック又は
グラフトポリマー、界面活性剤、マクロモノマー等を単
独あるいは上記弗素系樹脂との併用のかたちで用いるこ
とができる。
【0063】特に弗素系セグメントが連続して存在する
弗素系グラフトポリマーとの併用が、弗素系樹脂の分散
及び本発明の特徴である表面F/C比をコントロールを
容易にする上でも好ましい。
【0064】上記弗素系重合体の単量体の好ましい例示
を以下に示すが、使用できる化合物はここに挙げた範囲
に何等限定されるものではない。
【0065】
【化5】
【0066】(上記化合物中、R1は水素原子、ハロゲ
ン原子またはメチル基を示し、R2は水素原子、ハロゲ
ン原子、アルキル基、アルコキシ基またはニトリル基を
示し、その数種類の組合せでもよく、kは1〜4の整
数、mは1〜5の整数であり、k+m=5であり、Rf
は少なくとも1個以上弗素原子で置換されたアルキル基
を示す。)
【0067】非弗素系重合性単量体としては、低分子量
直鎖状不飽和炭化水素、ハロゲン化ビニル、有機酸のビ
ニルエステル、ビニル芳香族化合物、アクリル酸および
メタクリル酸エステル類、N−ビニル化合物、ビニルケ
イ素化合物、無水マレイン酸、マレイン酸およびフマル
酸のエステル類などの1種または2種以上のものを用い
ることができるが、形成された弗素系グラフトポリマー
が添加される電荷輸送層及び/あるいは保護層の樹脂層
と相溶するもの、あるいは完全に相溶しないまでも類似
構造を有し、両者間に少しでも親和性があるものを選択
することが好ましい。
【0068】珪素系化合物の具体例としては、モノメチ
ルシロキサン三次元架橋物、ジメチルシロキサン−モノ
メチルシロキサン三次元架橋物、超高分子量ポリジメチ
ルシロキサン、ポリジメチルシロキサンセグメントを含
有するブロックポリマー、グラフトポリマー、界面活性
剤、マクロモノマー、末端修飾ポリジメチルシロキサン
等が用いられる。三次元架橋物の場合、微粒子等の形状
で用いられ粒径は0.01〜5μの範囲で使用可能であ
る。ポリジメチルシロキサン化合物の場合、その分子量
は3,000〜5,000,000の範囲で使用可能で
ある。微粒子状のものは、バインダー樹脂と共に感光層
組成物として分散される。分散の方法としては、サンド
ミル、ボールミル、ロールミル、ホモジナイザー、ナノ
マイザー、ペイントシェイカー、超音波等が使用され
る。分散時には、分散助剤として上記グラフト、ブロッ
クポリマー、界面活性剤を使用することが好ましく、本
発明の特徴であるSi/C比をコントロールする上でも
併用することが好ましい。
【0069】さらには、本発明の目的をより効果的に達
成させる手段として、電荷輸送層及び/あるいは、保護
層にポリカーボネートを含有させることが好ましい。該
ポリカーボネートは非対称性ジオールを用いて合成され
るポリカーボネートが好ましい。
【0070】本発明のポリカーボネートは芳香族炭化水
素系溶剤又はハロゲン化芳香族炭化水素系に可溶である
必要があり、ポリカーボネートの結晶性を低下させるこ
とにより十分な溶解性が得られる。具体的には、例えば 1)ビスフェノールAと一種あるいは2種以上の非対称
性ジオール化合物 2)一種あるいは2種以上の非対称性ジオール化合物 を用いたホスゲン法等の一般的なポリカーボネート合成
法により得ることができる。また、側鎖に炭素数3以上
の置換基を有するジオール化合物を用いても得ることが
できる。
【0071】本発明に用いられる非対称性ジオール化合
物の代表的具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限
定されることはない。
【0072】
【化6】
【0073】
【化7】
【0074】
【化8】
【0075】
【化9】
【0076】
【化10】
【0077】前述のビスフェノールAとの共重合ポリカ
ーボネートにおける非対称性ジオール化合物の比率はジ
オール化合物中20重量%以上、特に50重量%以上が
好ましい。非対称性ジオール化合物の比率が20重量%
以下であると、芳香族炭化水素系溶剤又はハロゲン化芳
香族炭化水素系溶剤に対する溶解性が十分でなくなり、
塗工液の経時安定性が悪くなる傾向にある。芳香族炭化
水素系溶剤又はハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤に対す
るポリカーボネートの溶解度(25℃の温度下での溶液
100g中のポリカーボネートのg数)は1g以上、特
に5g以上が好ましい。溶解度が1g以下であると、例
えば電荷輸送層用塗工液を調製した際、その塗工溶液の
粘度が低すぎ電荷輸送層として必要な適切な膜厚を得に
くくなる傾向にある。
【0078】本発明で用いるポリカーボネートは、特に
電荷発生層あるいは電荷輸送層の結着剤樹脂として用い
る場合に、その効果を大きくすることができる。
【0079】芳香族炭化水素系溶剤の例としては、ベン
ゼン,トルエン,キシレン等、ハロゲン化芳香族炭化水
素系溶剤の例としては、モノクロルベンゼン,ジクロル
ベンゼン等が挙げられる。
【0080】本発明の電子写真感光体を製造する場合、
導電性基体としては、アルミニウム,ステンレスなどの
金属,紙,プラスチックなどの円筒状シリンダーまたは
フィルムが用いられる。これらの基体の上には、バリア
ー機能と下引機能をもつ下引層(接着層)を設けること
ができる。
【0081】下引層は感光層の接着性改良、塗工性改
良、基体の保護、基体上の欠陥の被覆、基体からの電荷
注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのた
めに形成される。下引層の材料としては、ポリビニルア
ルコール,ポリ−N−ビニルイミダゾール,ポリエチレ
ンオキシド,エチルセルロース,メチルセルロース,エ
チレン−アクリル酸コポリマー,カゼイン,ポリアミ
ド,共重合ナイロン,ニカワ,ゼラチン等が知られてい
る。これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて基体上
に塗布される。その膜厚は0.2〜2μm程度である。
【0082】機能分離型感光体においては、電荷発生物
質としてセレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム
系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン顔
料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、ト
リスアゾ顔料、ジアゾ顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、
キナクリドン系顔料、非対称キノシアニン、キノシアニ
ンあるいは特開昭54−143645号公報に記載のア
モルファスシリコンなどを用いることができ、電荷輸送
物質としては、ピレン、N−エチルカルバゾール、N−
イソプロピルカルバゾール、N−メチル−N−フェニル
ヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾー
ル、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−
9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジ
ノ−3−メチリデン−10−エチルフェノチアジン、
N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10
−エチルフェノキサジン、P−ジエチルアミノベンズア
ルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、P−ジエチ
ルアミノベンズアルデヒド−N−α−ナフチル−N−フ
ェニルヒドラゾン、P−ピロリジノベンズアルデヒド−
N,N−ジフェニルヒドラゾン、1,3,3−トラメチ
ルインドレニン−ω−アルデヒド−N,N−ジフェニル
ヒドラゾン、P−ジエチルベンズアルデヒド−3−メチ
ルベンズチアゾリノン−2−ヒドラゾン等のヒドラゾン
類、2,5−ビス(P−ジエチルアミノフェニル)−
1,3,4−オキサジアゾール、1−フェニル−3−
(P−ジエチルアミノスチリル)−5−(P−ジエチル
アミノフェニル)ピラゾリン、1−[キノリル(2)]
−3−(P−ジエチルアミノスチリル)−5−(P−ジ
エチルアミノフェニル)ピラゾリン、1[ピリジル
(2)]−3−(P−ジエルチアミノスチリル)−5−
(P−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[6
−メトキシ−ピリジル(2)]−3−(P−ジエチルア
ミノスチリル)−5−(P−ジエチルアミノフェニル)
ピラゾリン、1−[ピリジル(3)]−3−(P−ジエ
チルアミノスチリル)−5−(P−ジエチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン、1−[レピジル(2)]−3−(P
−ジエチルアミノスチリル)−5−(P−ジエチルアミ
ノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3
−3(P−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5
−(P−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−
[ピリジル(2)]−3−(α−メチル−P−ジエチル
アミノスチリル)−5−(P−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(P−ジエチルア
ミノスチリル)−4−メチル−5−(P−ジエチルアミ
ノフェニル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(α−ベ
ンジル−P−ジエチルアミノスチリル)−5−(P−ジ
エチルアミノフェニル)ピラゾリン、スピロピラゾリン
などのピラゾリン類、2−(P−ジエチルアミノスチリ
ル)−6−ジエチルアミノベンズオキサゾール、2−
(P−ジエチルアミノフェニル)−4−(P−ジメチル
アミノフェニル)−5−(2−クロロフェニル)オキサ
ゾール等のオキサゾール系化合物、2−(P−ジエチル
アミノスチリル)−6−ジエチルアミノベンゾチアゾー
ル等のチアゾール系化合物、ビス(4−ジエチルアミノ
−2−メチルフェニル)−フェニルメタン等のトリアリ
ールメタン系化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエ
チルアミノ−2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,
2,2−テトラキス−(4−N,N−ジメチルアミノ−
2−メチルフェニル)エタン等のポリアリールアルカン
類などを用いることができる。
【0083】電荷発生層は、前記の電荷発生物質を0.
3〜4倍量の結着剤樹脂、および溶剤と共に、ホモジナ
イザー、超音波、ボールミル、振動ボールミル、サンド
ミル、アトライター、ロールミルなどの方法でよく分散
し、塗布−乾燥されて形成される。その厚みは0.1〜
1μm程度である。
【0084】電荷発生層に前述のポリカーボネート樹脂
を用いる場合には、電荷発生物質をポリカーボネートと
ともに芳香族炭化水素系溶剤又はハロゲン化芳香族炭化
水素系溶剤の単独あるいはそれらの混合溶剤に溶解する
か、前述のポリカーボネート樹脂を前述の溶剤で溶解し
た溶液に電荷発生物質を分散させて得た塗工液を塗布す
ることによって形成される。電荷発生物質の電荷発生層
での占める割合は30重量%以上、好ましくは80重量
%以上とすることができる。溶剤としては、トルエン、
キシレンあるいはモノクロルベンゼンが特に有用であ
る。この塗工溶液を塗布する方法としては、例えば浸漬
コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナー
コーティング法、カーテンコーティング法などを用いる
ことができる。
【0085】電荷輸送層に前述のポリカーボネート樹脂
を用いる場合には、電荷輸送物質と前述のポリカーボネ
ートを前述の芳香族炭化水素系溶剤又はハロゲン化芳香
族炭化水素系溶剤の単独あるいはそれらの混合溶剤に溶
解して調製した塗工液を塗布することによって得られ
る。電荷輸送物質と結着剤として用いた前述のポリカー
ボネート樹脂との混合割合は、重量比で2:1〜1:2
程度である。溶剤としてはトルエン、キシレンあるいは
モノクロルベンゼンが特に有用である。
【0086】この溶液を塗布する方法は、例えば浸漬コ
ーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコ
ーティング法、カーテンコーティング法などが知られて
いる。電子写真感光体を効率的に精度良く、大量生産す
るには浸漬コーティング法が最良であり、特に浸漬コー
ティング法におけるポットライフが前述のポリカーボネ
ートを用いることにより、大幅に改善することができる
ので、浸漬コーティング法を用いた製造の生産性を大幅
に向上させることができる。電荷輸送層を塗布形成した
後、10℃〜200℃好ましくは20℃〜150℃の温
度で5分〜5時間好ましくは10分〜2時間の範囲で送
風乾燥または静止乾燥を行ない、5〜20μmの電荷輸
送層が得られる。
【0087】
【実施例】本発明を以下に実施例を示すことでより具体
的に説明する。
【0088】[感光体の製造例1]導電性酸化チタン
(酸化スズコート、平均一次粒径0.4μm)10重量
部、フェノール樹脂前駆体(レゾール型)10重量部、
メタノール10重量部、及びブタノール10重量部をサ
ンドミル分散した後に、外径80mm,長さ360mm
のアルミニウムシリンダーに浸漬塗布し、140℃で硬
化した後、体積抵抗5×109Ωcm,厚さ20μmの
導電層を設けた。
【0089】次に、下記メトキシメチル化ナイロン(メ
トキシメチル化度約30%)10重量部
【0090】
【化11】
【0091】[式中、m及びnは整数を示す。]及びイ
ソプロパノール150重量部を混合溶解した後に、前記
導電層上に浸漬塗布し、1μmの下引層を設けた。
【0092】次に、下記アゾ顔料10重量部、
【0093】
【化12】
【0094】下記ポリカーボネート樹脂(ビスフェノー
ルA型、分子量30,000)5重量部、
【0095】
【化13】
【0096】[式中、nは整数を示す。]及びシクロヘ
キサノン700重量部をサンドミルにて分散し、この分
散液を前記下引層上に浸漬塗布した後、0.05μmの
電荷発生層を得た。
【0097】次に、下記トリフェニルアミン10重量
部、
【0098】
【化14】
【0099】下記構造のポリカーボネート樹脂(ビスフ
ェノールZ型、分子量20,000)10重量部
【0100】
【化15】
【0101】[式中、nは整数を示す。]モノクロロベ
ンゼン50重量部、及びジクロロメタン15重量部を撹
拌混合した後、前記電荷発生層上に浸漬塗布した。前記
塗布済シリンダーを熱風乾燥後、20μmの電荷輸送層
とした。
【0102】次に、弗化カーボン微粉末(平均粒径0.
23μm,セントラルガラス社製)1重量部、ポリカー
ボネート樹脂(ビスフェノールZ型、分子量80,00
0)6重量部、下記パーフルオロアルキルアクリレート
−メチルメタクリレートブロック共重合体(分子量3
0,000)0.1重量部
【0103】
【化16】
【0104】[式中、nは4〜16を示し、i及びjは
整数を示す。]モノクロロベンゼン120重量部、及び
ジクロロメタン80重量部をサンドミルにて分散混合し
た。これに、トリフェニルアミン3重量部を加え混合溶
解し、スプレー塗布により前記電荷輸送層上に塗布し、
5μmの保護層を設け感光体ドラムとした。
【0105】得られた感光体表面を剥離した後、VG社
製ESCALAB200−X型 X線光電子分光装置に
て表面分析の測定を行った。X線源としてMgCa(3
00W)を用い、2×3mmの領域について測定した。
製造例1の感光体表面は、F原子5.2%,C原子8
1.3%であり、F/C比は0.064であった。
【0106】[感光体の製造例2]製造例1の感光体に
おいて、保護層を下記の処方に代えて感光体ドラムを作
製した。
【0107】即ち、真球状三次元架橋ポリシロキサン微
粒子(平均粒径0.29μm,東芝シリコーン社製)1
重量部、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZ型、
分子量80,000)6重量部、下記ポリジメチルシロ
キサンメタクリレート−メチルメタクリレートブロック
共重合体(分子量50,000、Si量10重量部)
0.1重量部
【0108】
【化17】
【0109】[式中、nは1〜15を示し、i及びjは
整数を示す。]モノクロロベンゼン120重量部、及び
ジクロロメタン80重量部をサンドミルにて分散混合し
た。これに、トリフェニルアミン3重量部を加え混合溶
解し、スプレー塗布により前記電荷輸送層上に塗布し、
3μmの保護層を設け感光体ドラムとした。
【0110】この感光体表面を剥離した後、VG社製E
SCALAB200−X製 X線光電子分光装置にて表
面分析を行った。X線源としてMgCa(300W)を
用い、2×3mmの領域について数十Åの深さで測定し
た。製造例2の感光体表面は、Si原子10.2%,C
原子69.3%であり、Si/C比は0.147であっ
た。
【0111】実施例1 図1に実施例1に用いられる画像形成装置の断面図を示
す。感光体1は、感光体の製造例1により製造された感
光体を用い、矢印方向に回転し、対抗し接触回転する帯
電ローラー2により感光体上に約−600Vの表面電位
に帯電させる。露光は、ポリゴンミラーにより感光体上
にデジタル画像情報に応じてオン−オフさせることで露
光部電位が−100V、暗部電位が−600Vの静電潜
像が形成される。複数の現像器4−1,4−2,4−
3,4−4を用いイエロー、マゼンタ、シアン、ブラッ
クトナーを感光体上に反転現像方法を用い顕色像を得
た。該顕色像は、一色毎に中間転写体上に転写され中間
転写体上に四色の色重ね顕色像が形成される。感光体上
の転写残トナーはクリーナー部材により、残トナー容器
中に回収される。
【0112】球形形状のトナーは、不定形トナーより必
然的に転写効率が高い為簡単なバイアスローラー又はク
リーナー部材レスの系においても問題が発生しにくい。
中間転写体は、基材上にカーボンブラック,酸化亜鉛,
酸化錫,炭化珪素等の導電付与部材をニトリル−ブタジ
エンラバー(NBR)中に十分分散させた弾性層をコー
ティングした。該コート層の硬度は、JIS K−63
01に準拠し35度で且つ体積固有抵抗値は、109Ω
・cmであった。感光体から中間転写体への必要な転写
電流は約5μAであり、これは電源より+500Vを芯
金上に付与することで得られた。転写ローラーは20m
mの芯金上にカーボン,酸化亜鉛,酸化錫,炭化珪素等
の導電性付与部材をエチレン−プロピレン−ジエン系三
元共重合体(EPDM)の発泡体中に十分分散させたも
のをコーティングさせた弾性層の体積固有抵抗値は、1
6Ω・cmで、JIS K−6301基準の硬度は3
0度の値を示すものを用いた。中間転写体から転写材に
トナーを一括転写させる際の転写ローラー上の汚染トナ
ーは、クリーニング部材としてファーブラシクリーナー
かクリーニング部材レス系が一般的に用いられるが、本
発明においては、トナーの形状係数を100〜110と
することで高転写効率のためクリーニング部材レス系を
採用することができた。
【0113】本実施例に用いるシアントナーは、次の如
くして調製した。高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備
えた2リットル用四つ口フラスコ中にイオン交換水71
0重量部と0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液4
50重量部を添加し回転数を12000回転に調整し、
65℃に加温せしめた。ここに1.0モル/リットル−
CaCl2水溶液68重量部を徐々に添加し微小な難水
溶性分散剤Ca3(PO42を含む分散媒系を調製し
た。一方、分散質系は、
【0114】 スチレン単量体 165重量部 n−ブチルアクリレート単量体 35重量部 C.I.ピグメントブルー15:3 14重量部 飽和ポリエステル 10重量部 (テレフタール酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA 酸価15,ピーク分子量6000) サリチル酸金属化合物 2重量部 化合物(1)(極大ピーク値59.4℃, 60重量部 ビッカース硬度1.5)
【0115】上記混合物をアトライターを用い3時間分
散させた後、重合開始剤である2,2'−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)10重量部を添加
した分散物を分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ1
5分間造粒した。その後高速撹拌器からプロペラ撹拌羽
根に撹拌器を変え内温を80℃に昇温させ50回転で重
合を10時間継続させた。重合終了後スラリーを冷却
し、希塩酸を添加し分散剤を除去せしめた。更に洗浄し
乾燥を行うことでコールターカウンターで測定したシア
ントナー粒子の重量平均径は、6.2μmであり、個数
変動係数が27%であり、SF−1が104であった。
得られたシアントナー粒子の断層写真の模式図を図2に
示す。低軟化点物質である化合物(1)が外殻樹脂で覆
われた構造を示している。得られたシアントナー粒子
疎水化処理酸化チタンを2%外添し流動性に優れたシア
トナーを得た。
【0116】その他のイエロー、マゼンタ、ブラックト
ナーは、着色剤をC.I.ピグメントイエロー17、
C.I.ピグメントレッド202、グラフトカーボンブ
ラックに変え同様の方法でSF−1が101〜105の
重合カラートナーを得た。すなわち、イエロートナー,
マゼンタトナー及び黒色トナーを得た。
【0117】上記画像形成方法を利用し、上記4色の
ラートナーとキャリヤーをそれぞれ用いた二成分現像剤
で画出しを行い、熱ローラー定着器を用い定着を行っ
た。転写材としては坪量199g/m2紙を用い画出し
を行った結果、混色性に優れ、且つ中抜けのない高画質
の画が得られた。更に両面画像を形成させたが、転写材
の表裏面共にオフセットの発生は認められなかった。5
万枚の耐久試験を行ったが、初期と耐久後の画像濃度に
変化はなく、部材へのトナー融着も発生が認められなか
った。この時の感光体から中間転写体への転写効率は9
8%であり、中間転写体から転写材への転写効率は99
%となり、合計でも97.0%と高い転写効率を示し
た。
【0118】実施例2 実施例1の画像形成装置を用いカラートナーは、下記の
如く調製した。
【0119】 スチレン−nブチルアクリレート共重合体 200重量部 C.I.ピグメントブルー15:3 14重量部 飽和ポリエステル 10重量部 (テレフタール酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA 酸価15,ピーク分子量6000) サリチル酸金属化合物 2重量部 化合物(1) 15重量部
【0120】上記組成物をエクストルーダーを用い十分
混練後、ジェット流を用いターゲットに衝突粉砕し更に
コアンダー効果を用いた分級機を利用し重量平均径が
8.2μmで個数変動係数が32%の粉砕法のシアント
ナー粒子を得た。このトナー粒子に市販のリン酸カルシ
ウムをヘンシェルミキサーを用い外添後、得られたトナ
粒子を更にホモミキサーを用い水中に分散させ水温を
徐々に昇温させ80℃で3時間加熱処理せしめた。その
後希塩酸を添加し、トナー粒子表面のリン酸カルシウム
を十分溶解除去せしめた。続いて洗浄・乾燥せしめ得ら
れたシアントナー粒子は、電子顕微鏡観察で球形形状を
示し、且つ形状係数SF−1は、107の値を示した。
シアントナー粒子の重量平均径は、7.8μmであり、
個数変動係数は29%であった。同様の方法でSF−1
が107〜109のイエロートナー、マゼンタトナー、
ブラックトナーを得た。トナー断層観察において化合物
(1)の内包化はなされていなかった。
【0121】得られた各色トナーを実施例1に記載の画
像形成装置で画出しを行ったところ混色性に優れ、中抜
けの無い高画質画像が得られた。5万枚耐久試験におい
て初期画像濃度は1.6を示したが、耐久後の画像濃度
は、1.5と若干の濃度低下を示したが実用的には問題
のないレベルであった。この時の感光体から中間転写体
への転写効率は、96%であり、中間転写体から転写材
への転写効率は、97%と高い転写効率を示した。
【0122】実施例3 感光体を感光体製造例2により製造した物を用いた他
は、実施例1と同様な方法で画出しを行った。感光体か
ら中間転写体への転写効率は、99%であり、中間転写
体から転写材への転写効率も99%と合計でも98%と
高い転写効率を示し、転写残トナーがほとんど存在しな
い状態であった。
【0123】比較例1 実施例1に用いた画像形成装置を用い、以下に示すトナ
ーを用い画像形成を行った。
【0124】 スチレン−nブチルアクリレート共重合体 200重量部 C.I.ピグメントブルー15:3 14重量部 飽和ポリエステル 10重量部 (テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA 酸価15,ピーク分子量6000) サリチル酸金属化合物 2重量部 化合物(1) 5重量部
【0125】上記組成物をエクストルーダーを用い十分
混練後、ジェット流を用いターゲットに衝突粉砕し更に
コアンダー効果を用いた分級機を利用し重量平均径が
8.3μmで個数変動係数が37%であり、SF−1が
133の粉砕法によるシアントナー粒子を得た。同様
に、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー17、
C.I.ピグメントレッド202またはカーボンブラッ
クを用い、イエロートナー、マゼンタトナー、ブラック
トナーを得た。ターゲットには、トナー成分が融着し固
着していた。
【0126】更に画出しを行ったところ、感光体から中
間転写体への転写効率は87%で、中間転写体から転写
材への転写効率も90%となり、合計の転写効率が7
8.3%とかなりトナーの利用効率が低く問題が多かっ
た。両面定着画像においても裏面画像にオフセットが発
生した。5万枚耐久試験においても初期画像濃度は1.
03しか出ず、耐久後の画像濃度は0.9と濃度低下を
示した。
【0127】比較例2 図1の画像形成装置から中間転写体を取り除いた転写材
を転写ローラーに巻き付ける形式のフルカラー複写機
(CLC−500)で、実施例1で用いた四色のカラー
トナーを用い画出し試験を行った。坪量105g/m2
の転写紙においては、転写ローラー表面に転写紙をグリ
ッパー等の補助手段を用い吸着させ4回紙上に順次トナ
ーを転写させたところ高画質のフルカラー画像を得るこ
とができた。しかしながら、坪量199g/m2紙にお
いては、紙の地合ムラに基づいた部分的な不均一転写不
良を起こすと共に転写ローラーへの転写紙の吸着不良を
招き、更に転写材後端が転写ローラーから吸着不良を起
こし、著しい転写不良を起こした。
【0128】比較例3 実施例1で用いた図1の画像形成装置を用い、トナーと
しては比較例1の組成物のうち、化合物(1)の添加量
を42重量部に変え、粉砕法を用い四色のトナーを生成
した。
【0129】トナー粒子の製造装置には、トナー成分の
融着が多量にみられ、収率も実施例1から比較例3で得
たものと較べ10%以上低い68%であった。分級を十
に行うことにより得られたトナー粒子の形状係数(S
F−1)は136であり、トナー粒子の粒度分布は、重
量平均径が8.1μmで、個数変動係数が40%であっ
た。このトナー粒子に疎水性酸化チタンを2.0重量%
外添し画出しを行った。
【0130】感光体から中間転写体への転写効率は74
%であり、中間転写体から転写材への転写効率は76%
となり、合計で56.2%と極めてトナーの利用効率が
低かった。
【0131】更に繰り返し耐久を行った結果、500枚
で現像スリーブ,感光体や中間転写体へのトナー融着が
みられ、結果的に合計で36%迄転写効率の低下がみら
れ、画像も色ムラや階調性に乏しいものしか得られなか
った。
【0132】参考例 感光体製造例1において弗素化合物である弗素カーボン
微粒子を用いない他は、実施例1と同様にしてフルカラ
ー画像を形成した。この時の感光体から中間転写体への
転写効率は95%であり、中間転写体から転写材への転
写効率は99%となり、合計でも94.1%と高い転写
効率を示したが、実施例1で得られた合計の転写効率が
97.0%には及ばなかった。
【0133】
【発明の効果】本発明によれば、感光体及び中間転写体
にトナー融着やフィルミングが発生せず、転写効率が非
常に高く、厚紙や小サイズの転写材にも良好に転写で
き、低温定着性も十分で、鮮明なフルカラー画像を得る
ことができる。また、透明性に優れたカラーOHP画像
を得る場合にも好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に好適な画像形成装置の一例を示す概略
図である。
【図2】実施例1のトナー断層を示す模式図である。
【符号の説明】
1 感光体(静電潜像保持体) 2 帯電ローラー 3 露光 4 4色現像器(4−1,4−2,4−3,4−4) 5 中間転写体 6 転写材 7 転写ローラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G03G 15/01 G03G 9/08 361 15/16 384 (56)参考文献 特開 平5−34979(JP,A) 特開 昭62−247376(JP,A) 特開 平4−240657(JP,A) 特開 昭63−65451(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00 - 5/16 G03G 9/08 - 9/087

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも導電性支持体上に電荷発生層
    及び電荷輸送層から成る積層構造を有する感光体の
    面層に、XPS(X線光電子分光法)による測定で弗素
    及び/または珪素原子を有する化合物が存在し、且つ
    炭素原子との比が、 F/C=0.03〜1.00 Si/C=0.03〜1.00 を示す最表面層を有する感光体上に、ルーゼックスで測
    定した形状係数SF−1が100〜110であり
    、パラフィンワックス,ポリオレフィンワックス,フ
    ィッシャートロピッシュワックス,アミドワックス,高
    級脂肪酸,エステルワックス、これらの誘導体及びこれ
    らのグラフト/ブロック化合物からなるグループから選
    択される低軟化点物質を5〜30重量%含有しているカ
    ラートナー粒子でカラートナー像を形成し、 該感光体上のカラートナー像を中間転写体に転写し、 転写ローラーを転写材に接触させ、該中間転写体上のカ
    ラートナー像を該転写材へ転写し、 該転写材上のカラートナー像を、加熱手段によって該転
    写材に加熱定着することを特徴とするフルカラー画像形
    成方法。
  2. 【請求項2】 中間転写体及び転写ローラー表面が弾性
    を有しており、該中間転写体の体積固有抵抗値が転写
    ローラーの体積固有抵抗値より低い値を示し且つ中間転
    写体の表面硬度が、JIS・K−6301で測定して1
    0〜40度の範囲を有し且つ、転写ローラーの硬度を中
    間転写体の硬度よりも大きくし、転写ローラーを中間転
    写体に押圧し中間転写体側に凹形状のニップを形成せし
    、転写ローラーに電圧を印加し、転写材上にカラー
    ナー像を転写せしめる請求項1に記載のフルカラー画像
    形成方法。
  3. 【請求項3】 カラートナーは、透過電子顕微鏡(TE
    M)を用いたトナーの断層面測定方法で低軟化点物質
    が、外殻樹脂層で内包化され且つ、直接重合法で製造さ
    れたカラートナーである請求項1又は2に記載のフルカ
    ラー画像形成方法。
  4. 【請求項4】 該低軟化点物質は、ASTM D341
    8−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が40〜9
    0℃を示す化合物である請求項1乃至3のいずれかに記
    載のフルカラー画像形成方法。
  5. 【請求項5】 低軟化点物質が炭素数10以上の長鎖エ
    ステル部分を1個以上有するエステルワックスである請
    求項1乃至4のいずれかに記載のフルカラー画像形成方
    法。
  6. 【請求項6】 該カラートナー粒子は、重量平均径が4
    μm〜8μmであり、個数変動係数が35%以下である
    請求項1乃至5のいずれかに記載のフルカラー画像形成
    方法。
  7. 【請求項7】 中間転写体が、ローラー形状を有する請
    求項1乃至6のいずれかに記載のフルカラー画像形成方
    法。
  8. 【請求項8】 感光体の表面層ポリカーボネート樹脂
    で形成されている請求項1乃至7のいずれかに記載のフ
    ルカラー画像形成方法。
  9. 【請求項9】 感光体の表面層非対称ジオールから合
    成されたポリカーボネート樹脂で形成されている請求項
    1乃至7のいずれかに記載のフルカラー画像形成方法。
  10. 【請求項10】 電荷輸送層の上層に更に保護層を設
    け、該保護層中にポリカーボネート樹脂を含有せしめた
    請求項1乃至7のいずれかに記載のフルカラー画像形成
    方法。
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