JP3366681B2 - 磁束密度が高く、絶縁被膜処理性に優れた低鉄損鉄系非晶質合金 - Google Patents
磁束密度が高く、絶縁被膜処理性に優れた低鉄損鉄系非晶質合金Info
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Description
ンス等の鉄心材料の用途に供して好適な鉄系非晶質合金
に関し、とくに鉄損特性や磁束密度などの軟磁気特性だ
けでなく、絶縁被膜処理性の向上を図ったものである。
号公報に開示されているように、Fe−Si−B系等の溶融
合金を、単ロール法や双ロール法等によって 105〜106
℃/s程度の冷却速度で急冷凝固させると、板厚が20〜
50μm 程度で無秩序な原子配列を持ついわゆる非晶質合
金薄帯が得られる。かような非晶質合金薄帯は、トラン
スやモーター等の鉄心材料として有力で、現在実用化さ
れるに至っている。
ているFe78B13Si9合金はその代表的なものであり、優れ
た鉄損特性が報告されている。しかしながら、ボロンは
高価な元素であることから、これに起因したFe−B−Si
合金の高価格がその商業化、拡販を妨げてきた。従っ
て、上記Fe78B13Si9合金と同程度の磁気特性及び熱安定
性を維持しながら、しかもボロン量を抑えることができ
れば、コスト低減による工業的意義は極めて大きいとい
える。この点を考慮して、たとえば特公平1-54422号公
報には、Fe:75〜80at%(以下単に%で示す),Mn:0.
5 〜3%, Si:9〜15%, B:7〜13%組成になる、低
コストで、鉄損が低く、しかも絶縁被膜処理に優れた鉄
基非晶質合金が提案されている。
ンスは、従来のけい素鋼と比較すると磁束密度が低いた
め、大型化が余儀なくされるという問題がある。そのた
め、上記した市販のFe78B13Si9合金についてもFe分を多
くしたFe80B12Si8合金等に変わっており、磁束密度の改
善が重要視されている。かような考えのもとに特開昭61
-559号公報には、Fe:79.4〜79.8%、B:12〜14%、S
i:6〜8%組成のものが提案されている。
向上に伴い、表面粗度等の表面性状が改善され、占積率
は著しく向上したものの、一方で層間抵抗の低下を招来
している。従来の非晶質合金薄帯では、合金自身の高い
電気抵抗に加え表面粗度が大きかったことから、比較的
高い層間抵抗を容易に維持でき、このため層間絶縁のた
めの被膜は不要とされていた。しかしながら、表面性状
の改善による層間抵抗の低下に伴い、層間絶縁被膜の付
与が必要になってきた。
法や電解法などが考えられるが、超急冷法による薄帯製
造においては、表面層の酸化が不可避であって表面には
酸化膜の形成が余儀なくされるため、湿式法によってク
ロム酸塩やりん酸塩の絶縁被膜を被成しようとしてもし
ばしば液はじきが発生し、他方電解法によっては均一な
電解が行い難く、いずれにしても均質な絶縁被膜の形成
は極めて難しいという問題があった。
は、Mnを添加することにより、良好な熱安定性を維持し
つつボロン量を効果的に低減して低コスト化を実現する
のみならず、併せて絶縁被膜処理性の改善を図ってい
る。しかしながら、この種合金すなわちFe:75〜80%、
Mn:0.5 〜3%、Si:9〜15%、B:7〜13%組成の合
金は、図1に示すように、B10<1.5 Tと磁束密度が低
く、しかもMn添加量が増大するに伴って磁束密度が一層
低下するところに問題を残していた。
題を有利に解決するもので、磁束密度の低下を招くこと
なしに、絶縁被膜処理性の有利な向上を実現した低鉄損
鉄系非晶質合金を提案することを目的とする。ここにこ
の発明で目標とする鉄損特性及び磁束密度は、W13/50
≦0.20 W/kg、B10≧1.5 Tである。
、磁束密度B10≧1.5 Tを満足することを特徴とする
磁束密度が高く、絶縁被膜処理性に優れた低鉄損鉄系非
晶質合金である(第1発明)。
、磁束密度B10≧1.5 Tを満足することを特徴とする
磁束密度が高く、絶縁被膜処理性に優れた低鉄損鉄系非
晶質合金である(第2発明)。
果に基づき、この発明を具体的に説明する。さて、Fe−
Si−B3元系合金の鉄損と成分組成との関係について
は、従来から数多くの研究がなされており、例えば図2
に示す結果によれば、Fe:75〜78%の範囲においてはB
量を8〜10%に低減しても鉄損の劣化はほとんどない
か、あっても極く僅かであることが示されている。従っ
て、B量の低減は鉄損の若干の劣化をもたらすとは言
え、そのコスト低減を考慮すれば、工業的にはむしろメ
リットと言える。また、鉄損の低い組成では結晶化温度
TX が高いことも知られている。
成をいかように調整しても非晶質合金薄帯製造時に強固
なB−Si−Oを基本とする酸化物が形成されるため、絶
縁被膜処理時における液はじきや不均一電解を回避でき
ず、それ故良質の絶縁被膜の形成は望み得なかった。そ
こで酸化膜の改質を目的として、種々の添加元素につい
て調査したところ、Mnの添加がとりわけ有効であること
が究明された。
81Mn1 B9Si9組成の溶湯を、高速で回転する水冷銅合金
ロール表面に射出し、急冷凝固させて得た非晶質合金薄
帯につき、イオンマイクロアナライザーを用いて、表面
近傍での各元素の深さ方向分布について調べた結果を示
す。同図より明らかなように、表面酸化膜中に著しいMn
の濃縮が認められたが、かかるMnの濃縮によって酸化膜
が改善され、その結果、絶縁被膜形成処理時における不
均一な電流の流れが抑制され、均質な絶縁被膜の形成が
もたらされるものと考えられる。
ついて調べた結果を図4に示す。同図より明らかなよう
に、Fe:75〜80%の範囲では、磁束密度はB10で 1.4〜
1.5 Tが限界であり、磁束密度の一層の向上のためには
80%を超えるFeの多量添加が必要となるが、図2からこ
の領域では大幅な鉄損劣化が予想される。しかしなが
ら、この点に関する発明者らの研究によれば、Mnの添加
はFeの磁気モーメントを希釈する効果があり、例えば図
5に示すように、鉄損はMnの添加に伴って低下すること
が判明した。この理由は、Mn添加によって磁歪が小さく
なり、透磁率が向上することに起因するものと考えられ
る。かくして、Fe含有量が80%を超えても、鉄損改善効
果が大きくしかも磁束密度も高い組成範囲が見出された
のである。
記の範囲に限定した理由について説明する。 Fe:80超〜83% Feが80%以下では、より低い鉄損は得られるものの磁束
密度が劣り、一方83%を超えても、磁束密度の大幅な改
善は望めず、むしろ鉄損が大きく劣化する。
鉄損が大幅に劣化し、一方11%を超えると、コスト面で
不利なだけでなく、Fe量が減少して磁束密度が低下す
る。なお、より好ましいB量は7〜9%である。
損の大幅な劣化を招き、一方13%を超えると相対的にFe
量が減少して磁束密度の低下を招く。
観点から、少なくとも0.5 %を必要とするが、3%を超
えると飽和磁束密度の低下が無視できなくなるので、Mn
量は 0.5〜3%好ましくは 0.5〜2%の範囲にする必要
がある。なお、かようなMn添加によって、結晶化温度も
約5〜15℃上昇する。しかもかかる組成域における結晶
化温度は周辺の組成域よりも高く、従って熱安定性に関
して好ましいことが確認されている。
束密度B10≧1.5 Tを満足し、しかも絶縁被膜処理性に
も優れた鉄系非晶質合金が、低コストの下に得られるの
である。
損なうことなしに、熱安定性の一層の向上を図るべく、
種々の添加元素を模索したところ、Niの複合添加が極め
て有効であることの知見を得た。ここに、Niの添加量は
熱安定性の面から少なくとも 0.2%が必要である。しか
しながら、この発明の非晶質合金はトランスを主用途と
することから高い飽和磁束密度が要求されるところ、Ni
の多量添加は磁束密度低下をもたらすので、上限を2%
とした。また、かかるNi添加によって、結晶化温度も約
5〜40℃上昇することが確認されている。
合金溶湯を、高速で回転する水冷式のCu−Be合金ロール
表面に射出し、厚み:25μm 、幅:100 mmの非晶質合金
薄帯を作製した。ついで湿式法によって厚み約:0.5 μ
m のクロム酸塩−コロイド状シリカ系の絶縁被膜を被成
した後、 380℃、1時間の磁場中焼鈍を施した。絶縁被
膜被成処理後の液はじき性及び磁場中焼鈍後の磁気特性
について調べた結果を、表1に示す。なお一部の試料に
ついては結晶化温度TX も測定し、その結果を表1に併
記した。
非晶質合金はいずれも、磁束密度が高く、かつ鉄損が低
く、また熱的安定性にも優れ、しかも絶縁被膜処理性も
良好であった。
3元系非晶質合金につき、高磁束密度及び低鉄損を維持
し、しかもB量の効果的な低減によって低コスト化を実
現できるだけでなく、熱安定性及び絶縁被膜処理性の大
幅な向上も併せて達成することができる。
と磁束密度との関係を示したグラフである。
成依存性を示した図である。
薄帯の表面近傍における各元素の深さ方向分布状況を示
した図である。
依存性を示した図である。
による鉄損の変化を示したグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】化学式:FeX BY SiZ Mna ここでX:80超〜83 at % Y:6〜11 at % Z:8〜13 at % a:0.5 〜3 at % で示される組成になり、かつ鉄損W13/50 ≦0.20 W/kg
、磁束密度B10≧1.5 Tを満足することを特徴とする
磁束密度が高く、絶縁被膜処理性に優れた低鉄損鉄系非
晶質合金。 - 【請求項2】化学式:FeX BY SiZ Mna Nib ここでX:80超〜83 at % Y:6〜11 at % Z:8〜13 at % a:0.5 〜3 at % b:0.2 〜2 at % で示される組成になり、かつ鉄損W13/50 ≦0.20 W/kg
、磁束密度B10≧1.5 Tを満足することを特徴とする
磁束密度が高く、絶縁被膜処理性に優れた低鉄損鉄系非
晶質合金。
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JP05227193A JP3366681B2 (ja) | 1993-03-12 | 1993-03-12 | 磁束密度が高く、絶縁被膜処理性に優れた低鉄損鉄系非晶質合金 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP05227193A JP3366681B2 (ja) | 1993-03-12 | 1993-03-12 | 磁束密度が高く、絶縁被膜処理性に優れた低鉄損鉄系非晶質合金 |
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JPH06264197A JPH06264197A (ja) | 1994-09-20 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP05227193A Expired - Lifetime JP3366681B2 (ja) | 1993-03-12 | 1993-03-12 | 磁束密度が高く、絶縁被膜処理性に優れた低鉄損鉄系非晶質合金 |
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1993
- 1993-03-12 JP JP05227193A patent/JP3366681B2/ja not_active Expired - Lifetime
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