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JP3352326B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂

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Publication number
JP3352326B2
JP3352326B2 JP16977496A JP16977496A JP3352326B2 JP 3352326 B2 JP3352326 B2 JP 3352326B2 JP 16977496 A JP16977496 A JP 16977496A JP 16977496 A JP16977496 A JP 16977496A JP 3352326 B2 JP3352326 B2 JP 3352326B2
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光利 安西
章博 今井
勝宏 諸岡
知幸 島田
正臣 佐々木
正文 太田
保 有賀
一清 永井
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Publication date
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真用感光体として
有用な新規芳香族ポリカーボネート樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂として、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以
下ビスフェノールAと略称する)にホスゲンやジフェニ
ルカーボネートを反応させて得られるポリカーボネート
樹脂がその代表的なものとして知られている。かかるビ
スフェノールAからのポリカーボネート樹脂は、透明
性、耐熱性、寸法精度および機械的強度などの面で優れ
た性質を有していることから、多くの分野で用いられて
いる。そのひとつの例として、電子写真法において使用
される有機感光体用のバインダー樹脂として様々な検討
がなされている。有機感光体の代表的な構成例として、
導電性基板上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した
積層型感光体が挙げられる。電荷輸送層は低分子電荷輸
送材料とバインダー樹脂より形成され、このバインダー
樹脂として芳香族ポリカーボネート樹脂が多数提案され
ている。しかしながら、低分子電荷輸送材料の含有によ
り、バインダー樹脂が本来有する機械的強度を低下さ
せ、このことが感光体の摩耗性劣化、傷、クラックなど
の原因となり、感光体の耐久性を損うものとなってい
る。
【0003】一方、ポリビニルアントラセン、ポリビニ
ルピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、トリフェニ
ルアミンを側鎖に有するアクリル系樹脂〔M.Stol
kaet al J.Polym.Sci.,21 9
69(1983)〕およびベンジジン構造を有する芳香
族ポリカーボネート樹脂(特開昭64−9964号公
報)などの光導電性高分子材料が検討されているが、実
用化には至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の実状に鑑みてなされたものであって、有機感光体用の
電荷輸送性高分子材料として特に有用な芳香族ポリカー
ボネート樹脂を提供することを、その目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、特定の構成単位を含有する新規芳香族ポリカー
ボネート樹脂により上記課題が解決されることを見出
し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下の
(1)、(2)である。 (1)下記一般式(III)で表わされる繰り返し単位か
らなるポリカーボネート樹脂。
【化5】 〔式中、Ar1,Ar3,Ar4,Ar5,Ar6は 同一又
は異なる置換もしくは無置換のアリレン基を表わし、A
2,Ar7は同一又は異なる置換もしくは無置換のアリ
ール基を表わし、Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2
価基、芳香族の2価基又はこれらを連結してできる2価
基、又は、
【化6】 (ここで、R1,R2,R3,R4は各々独立して置換もし
くは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリー
ル基またはハロゲン原子であり、a及びbは各々独立し
て0〜4の整数であり、c及びdは各々独立して0〜3
の整数であり、Yは単結合、炭素原子数2〜12の直鎖
状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−CO−、
【化7】 から選ばれ、Z1,Z2は置換もしくは無置換の脂肪族の
2価基又は置換もしくは無置換のアリレン基を表わし、
5,R6,R7,R8,R9,R10,R11は各々独立して
水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の置換もしくは
無置換のアルキル基、炭素数1〜5の置換もしくは無置
換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を
表わし、又、R5とR6は結合して炭素数5〜12の炭素
環または複素環を形成してもよく、又、R5,R6
1,R2と共同で炭素環又は複素環を形成してもよく、
12,R13は単結合、又は炭素数1〜4のアルキレン基
を表わし、eは0〜4の整数を表わす。)を表わし、n
は繰り返し数で2〜5000の整数を表わす。〕 (2)下記一般式(V)で表わされる繰り返し単位から
なるポリカーボネート樹脂。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【化14】
【0019】〔式中、Ar2,Ar4,Ar7,Xは前定
義と同一であり、nは繰り返し数で2〜5000の整数
を表わす。〕上記のように本発明の芳香族ポリカーボネ
ート樹脂は、電荷輸送能を有する前記一般式(III)、
前記一般式(V)で示される繰り返し単位からなる交互
共重合ポリカーボネート樹脂である。これら芳香族ポリ
カーボネート樹脂は電荷輸送能をもち、且つ高い機械的
強度を有し、電子写真感光体の電荷輸送層に要求される
電気的な性質、光学的な性質、機械的な性質を合わせ持
ったものである。以下に本発明の芳香族ポリカーボネー
ト樹脂の製造法について説明する。
【0020】本発明のポリカーボネート樹脂は従来ポリ
カーボネート樹脂の製造法として公知の、ビスフェノー
ルと炭酸誘導体との重合と同様の方法で製造できる。す
なわち、下記一般式(VI),(VII)で表わされる電荷輸
送能を有するジオールを少なくとも1種以上と下記一般
式(VIII)で表わされるジオールを使用し、ビスアリー
ルカーボネートとのエステル交換法やホスゲン等のハロ
ゲン化カルボニル化合物との溶液又は界面重合法あるい
はジオールから誘導されるビスクロロホーメート等のク
ロロホーメートを用いる方法等により製造される。ハロ
ゲン化カルボニル化合物としてはホスゲンの代わりにホ
スゲンの2量体であるトリクロロメチルクロロホーメー
トやホスゲンの3量体であるビス(トリクロロメチル)
カーボネートも有用であり、塩素以外のハロゲンより誘
導されるハロゲン化カルボニル化合物、例えば、臭化カ
ルボニル、ヨウ化カルボニル、フッ化カルボニルも有用
である。これら公知の製造法については例えば「ポリカ
ーボネート樹脂ハンドブック」(編者:本間精一、発
行:日刊工業新聞社)等に記載されている。一般式(V
I),(VII)で表わされる電荷輸送能を有するジオール
1種以上と併用して下記一般式(VIII)で表わされるジ
オールを使用し、機械的特性等の改良された共重合体と
することができる。この場合、一般式(VIII)で表わさ
れるジオールを1種あるいは複数併用してもよい。一般
式(VI),(VII)で表わされる電荷輸送能を有するジオ
ールと一般式(VIII)で表わされるジオールとの割合は
所望の特性により広い範囲から選択することができる
般式(VIII)で表わされるジオールから誘導されるビ
スクロロホーメートと一般式(VI),(VIII)で表わされ
る電荷輸送能を有するジオールとの縮合反応を行えば一
般式(III),(V)で表わされる繰り返し単位からなる
交互共重合体が得られる。この場合、逆に一般式(V
I),(VII)で表わされる電荷輸送能を有するジオール
から誘導されるビスクロロホーメートと一般式(VIII)
で表わされるジオールとの縮合反応によっても同様に一
般式(III),(V)で表わされる繰り返し単位からなる
交互共重合体が得られる。又、これらビスクロロホーメ
ートとジオールとの縮合反応の際、ビスクロロホーメー
ト及びジオールを複数使用することによりランダム交互
共重合体が得られる。
【0021】
【化15】
【0022】 HO−X−OH (VIII) 〔各式中のAr1〜Ar7及びXは前定義と同じ。〕 界面重合においては、ジオールのアルカリ水溶液と水に
対して実質的に不溶性であり、かつ、ポリカーボネート
を溶解する有機溶媒との2相間で炭酸誘導体及び触媒の
存在下に反応を行う。この際、高速撹拌や乳化物質の添
加によって反応媒体を乳化させて行うことによって短時
間で分子量分布の狭いポリカーボネートを得ることがで
きる。アルカリ水溶液に用いる塩基としてはアルカリ金
属又はアルカリ土類金属であり、通常、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸
水素ナトリウム等の炭酸塩等である。これらの塩基は単
独で使用してもよく、又、複数併用してもよい。好まし
い塩基は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであ
る。使用される水は蒸留水、イオン交換水が好ましい。
有機溶媒は例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエ
タン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエタン、
テトラクロロエタン、ジクロロプロパン等の脂肪族ハロ
ゲン化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等
の芳香族ハロゲン化炭化水素、又はそれらの混合物であ
る。又、それらにトルエン、キシレン、エチルベンゼン
等の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂
肪族炭化水素等を混合した有機溶媒でもよい。有機溶媒
は好ましくは、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族ハロ
ゲン化炭化水素であり、より好ましくはジクロロメタン
又はクロロベンゼンである。
【0023】ポリカーボネート製造時に使用されるポリ
カーボネート生成触媒は、3級アミン、4級アンモニウ
ム塩、3級ホスフィン、4級ホスホニウム塩、含窒素複
素環化合物及びその塩、イミノエーテル及びその塩、ア
ミド基を有する化合物等である。ポリカーボネート生成
触媒の具体例は、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ヘキシルア
ミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−テ
トラメチレンジアミン、4−ピロリジノピリジン、N,
N’−ジメチルピペラジン、N−エチルピペリジン、ベ
ンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルト
リエチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモ
ニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイ
ド、フェニルトリエチルアンモニウムクロライド、トリ
エチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニ
ルブチルホスフィン、テトラ(ヒドロキシメチル)ホス
ホニウムクロライド、ベンジルトリエチルホスホニウム
クロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロラ
イド、4−メチルピリジン、1−メチルイミダゾール、
1,2−ジメチルイミダゾール、3−メチルピリダジ
ン、4,6−ジメチルピリミジン、1−シクロヘキシル
−3,5−ジメチルピラゾール、2,3,5,6−テト
ラメチルピラジン等である。これらのポリカーボネート
生成触媒は単独で使用してもよく、又、複数併用しても
よい。ポリカーボネート生成触媒は、好ましくは3級ア
ミンであり、より好ましくは総炭素数3〜30の3級ア
ミンであり、特に好ましくはトリエチルアミンである。
これら触媒はホスゲンやビスクロロホーメート体等の炭
酸誘導体を反応系に加える前、及び又は加えた後に添加
することができる。
【0024】以上すべての重合操作において分子量を調
節するために分子量調節剤として末端停止剤を用いるこ
とが望ましく、従って本発明で使用されるポリカーボネ
ート樹脂の末端には停止剤にもとずく置換基が結合して
もよい。使用される末端停止剤は、1価の芳香族ヒドロ
キシ化合物、1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホー
メート誘導体、1価のカルボン酸または1価のカルボン
酸のハライド誘導体等である。1価の芳香族ヒドロキシ
化合物は、例えばフェノール、p−クレゾール、o−エ
チルフェノール、p−エチルフェノール、p−イソプロ
ピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p
−クミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、
p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,
4−キシレノール、p−メトキシフェノール、p−ヘキ
シルオキシフェノール、p−デシルオキシフェノール、
o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−ク
ロロフェノール、p−ブロモフェノール、ペンタブロモ
フェノール、ペンタクロロフェノール、p−フェニルフ
ェノール、p−イソプロペニルフェノール、2,4−ビ
ス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、β
−ナフトール、α−ナフトール、p−(2,4,4−ト
リメチルクロマニル)フェノール、2−(4−メトキシ
フェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
等のフェノール類またはそれらのアルカリ金属塩および
アルカリ土類金属塩である。1価の芳香族ヒドロキシ化
合物のハロホーメート誘導体は、上記の1価の芳香族ヒ
ドロキシ化合物のハロホーメート誘導体等である。
【0025】1価のカルボン酸は、例えば酢酸、プロピ
オン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプ
リル酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、3−メチル酪
酸、3,3−ジメチル酪酸、4−メチル吉草酸、3,3
−ジメチル吉草酸、4−メチルカプロン酸、3,5−ジ
メチルカプロン酸、フェノキシ酢酸等の脂肪酸類または
それらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、安
息香酸、p−メチル安息香酸、p−tert−ブチル安
息香酸、p−ブトキシ安息香酸、p−オクチルオキシ安
息香酸、p−フェニル安息香酸、p−ベンジル安息香
酸、p−クロロ安息香酸等の安息香酸類またはそれらの
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩である。1価の
カルボン酸のハライド誘導体は、上記の1価のカルボン
酸のハライド誘導体等である。これらの末端封止剤は単
独で使用してもよく、又、複数併用してもよい。末端停
止剤は、好ましくは1価の芳香族ヒドロキシ化合物であ
り、より好ましくはフェノール、p−tert−ブチル
フェノール又はp−クミルフェノールである。本発明の
ポリカーボネート樹脂の好ましい分子量はポリスチレン
換算数平均分子量で1000〜500000であり、よ
り好ましくは10000〜200000である。
【0026】又、機械的特性を改良するために重合時に
分岐化剤を少量加えることもできる。使用される分岐化
剤は、芳香族性ヒドロキシ基、ハロホーメート基、カル
ボン酸基、カルボン酸ハライド基または活性なハロゲン
原子等から選ばれる反応基を3つ以上(同種でも異種で
もよい)有する化合物である。分岐化剤の具体例は、フ
ロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,
6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、α,α,α’−トリス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプ
ロピルベンゼン、2,4−ビス〔α−メチル−α−(4
−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェノール、2−(4
−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシ
フェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ホスフィン、1,1,4,4−テトラキス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス
〔4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキ
シル〕プロパン、α,α,α’,α’−テトラキス(4
−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジエチルベンゼン、
2,2,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘキサン、1,1,2,3−テトラキス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4,4’−
ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、3,
3’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルエーテ
ル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ビス(ク
ロロカルボニルオキシ)安息香酸、4−ヒドロキシイソ
フタル酸、4−クロロカルボニルオキシイソフタル酸、
5−ヒドロキシフタル酸、5−クロロカルボニルオキシ
フタル酸、トリメシン酸トリクロライド、シアヌル酸ク
ロライド等である。これらの分岐化剤は単独で使用して
もよく、又、複数併用してもよい。
【0027】又、アルカリ水溶液中でのジオールの酸化
を防ぐためにハイドロサルファイト等の酸化防止剤を加
えてもよい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数
分〜5時間であり、反応中のpHは通常10以上に保つ
ことが好ましい。
【0028】一方、溶液重合においては、ジオールを溶
媒に溶解し、脱酸剤を添加し、これにビスクロロホーメ
ート又はホスゲン又はホスゲンの多量体を添加すること
により得られる。脱酸剤としては、トリメチルアミン、
トリエチルアミン、トリプロピルアミンのような第3級
アミン及びピリジンが使用される。反応に使用される溶
媒としては、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、
トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエ
チレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素及びテ
トラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル系の
溶媒及びピリジンが好ましい。又、界面重合の場合と同
様な分子量調節剤や分岐化剤を用いることができる。反
応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間であ
る。
【0029】又、エステル交換法によっても製造され
る。この場合、不活性ガス存在下にジオールとビスアリ
ールカーボネートを混合し、通常減圧下120〜350
℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的に
は1mmHg以下にして生成するフェノール類を系外に
留去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
又、必要に応じて分子量調節剤や酸化防止剤を加えても
よい。ビスアリールカーボネートとしてはジフェニルカ
ーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−
p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカー
ボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。
【0030】以上のようにして得られたポリカーボネー
ト樹脂は重合中に使用した触媒や酸化防止剤、又、未反
応のジオールや末端停止剤、又、重合中に発生した無機
塩等の不純物を除去して使用される。これら精製操作も
先の「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(編者:本
間精一、発行:日刊工業新聞社)等に記載されている従
来公知の方法を使用できる。又、上記の方法に従って製
造された芳香族ポリカーボネート樹脂には、必要に応じ
て酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤など
の添加剤を加えることができる。次に本発明の主要な構
成単位である一般式(III)についてさらに詳細に説明
する。前記一般式(III)中、Ar2,Ar7は置換もしく
は無置換のアリール基を表わす。
【0031】具体的にはアリール基としてはフェニル
基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、
ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−
フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフ
ェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニ
ル基、5H−ジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテニリデン
フェニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル
基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ピリジニル
基、ピロリジル基、オキサゾリル基、下記一般式(IX)
で表わされる基等が挙げられる。これらの置換基として
はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハ
ロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換
のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、下
記一般式で表わされるアミノ基が挙げられる。置換もし
くは無置換のアルキル基としては以下のものを挙げるこ
とができる。炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル
基であり、これらのアルキル基は更にフッ素原子、シア
ノ基、フェニル基又はハロゲン原子もしくは炭素数1〜
5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基で置換されたフェニル
基を含有してもよい。具体的にはメチル基、エチル基、
n−プロピル基、iso−プロピル基、tert−ブチ
ル基、sec−ブチル基、n−ブチル基、iso−ブチ
ル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベ
ンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル
基等が挙げられる。又、置換もしくは無置換のアルコシ
基のアルキル基は前に定義した置換もしくは無置換のア
ルキル基と同じである。
【0032】
【化16】
【0033】〔式中、Bは−O−,−S−,−SO−,
−SO2−,−CO−及び以下の2価基から選ばれる。
【0034】
【化17】
【0035】(ここで、R16は水素原子、前に定義され
た置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置
換のアルコキシ基、ハロゲン原子、前に定義された置換
もしくは無置換のアリール基、アミノ基、ニトロ基、シ
アノ基を表わし、R17は水素原子、前に定義された置換
もしくは無置換のアルキル基、前に定義された置換もし
くは無置換のアリール基を表わし、hは1〜12の整
数、iは1〜3の整数を表わす。)〕
【0036】
【化18】
【0037】〔式中、R18,R19は前に定義された置換
もしくは無置換のアルキル基、前に定義された置換もし
くは無置換のアリール基を表わすと共にR18とR19が共
同で環を形成したり、アリール基上の炭素原子と共同で
環を形成してもよい。このような具体例としてピペリジ
ノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。〕
Ar1,Ar3,Ar4,Ar5,Ar6のアリレン基とし
てはAr2,Ar7で定義された置換もしくは無置換のア
リール基から誘導される2価基を挙げることができる。
以上一般式(III)の構成単位について説明したが同一
の記号については他の一般式中でも同じ定義である。
【0038】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は電
荷輸送能を有する構成単位と機械的特性を調節するため
のそれ以外の構成単位との共重合体である。以下にそれ
以外の構成単位の原料となる前記一般式(VIII)の例を
挙げて詳細に説明する。
【0039】一般式(VIII)のXが脂肪族の2価基、環
状脂肪族の2価基である場合のジオールの代表的具体例
は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテ
トラメチレンエーテルグリコール、1,3−プロパンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタンジオ
ール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,
7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、
1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、
1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジ
オール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6
−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジ
オール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,
2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−シ
クロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオー
ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、2,2−
ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、キシ
リレンジオール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシプロピ
ル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシブチル)
ベンゼン、1,4−ビス(5−ヒドロキシペンチル)ベ
ンゼン、1,4−ビス(6−ヒドロキシヘキシル)ベン
ゼン等である。又、Xが芳香族の2価基である場合とし
てはAr2,Ar7で定義された置換もしくは無置換のア
リール基から誘導される2価基を挙げることができる。
又、Xは以下に示される2価基を表わす。
【0040】
【化19】
【0041】(ここで、R1,R2,R3,R4は独立して
置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換
のアリール基またはハロゲン原子であり、a及びbは各
々独立して0〜4の整数であり、c及びdは各々独立し
て0〜3の整数であり、Yは単結合、炭素原子数2〜1
2の直鎖状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO
−、−SO2−、−CO−、
【0042】
【化20】
【0043】から選ばれ、Z1,Z2は置換もしくは無置
換の脂肪族の2価基又は置換もしくは無置換のアリレン
基を表わし、R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11
各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の
置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜5の置換
もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の
アリール基を表わし、又、R5とR6は結合して炭素数5
〜12の炭素環または複素環を形成してもよく、又、R
5,R6はR1,R2と共同で炭素環又は複素環を形成して
もよく、R12,R13は単結合、又は炭素数1〜4のアル
キレン基を表わし、eは0〜4の整数を表わす。)これ
らの中で、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もし
くは無置換のアリール基はいずれも前に定義された置換
もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のア
リール基と同様である。又、ハロゲン原子はフッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表わす。又、Z
1,Z2が置換もしくは無置換の脂肪族の2価基である場
合としてはXが脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基で
ある場合のジオールからヒドロキシル基を除いた2価基
を挙げることができる。又、Z1,Z2が置換もしくは無
置換のアリレン基である場合としてはAr2,Ar7で定
義された置換もしくは無置換のアリール基から誘導され
る2価基を挙げることができる。
【0044】これらXが芳香族の2価基である場合の好
ましいジオールの代表的具体例としては、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、ビス(2−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フ
ェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェ
ニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−1−フェニルエタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1,1−ジメチルプロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒド
ロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2
−メチルプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ノナン、ビス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブ
ロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
フルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シ
クロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル
シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ノルボルナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)アダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−
ジメチルジフェニルエーテル、エチレングリコールビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホキシド、3,3’−ジメチル−4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスホン、3,3’−ジメチル−4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスホン、3,3’−ジフ
ェニル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、
3,3,3’,3’−テトラメチル−6,6’−ジヒド
ロキシスピロ(ビス)インダン、3,3’,4,4’−
テトラヒドロ−4,4,4’,4’−テトラメチル−
2,2’−スピロビ(2H−1−ベンゾピラン)−7,
7’−ジオール、トランス−2,3−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−2−ブテン、9,9−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)キサンテン、1,6−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、α,α,
α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’
−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−キシレン、2,6−ジヒドロキシジベンゾ
−p−ジオキサン、2,6−ジヒドロキシチアントレ
ン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチイン、9,10
−ジメチル2,7−ジヒドロキシフェナジン、3,6−
ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジ
ベンゾチオフェン、4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒド
ロキシピレン、ハイドロキノン、レゾルシン、エチレン
グリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、ジ
エチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエー
ト)、トリエチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシ
ベンゾエート)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−テトラメチルジシロキサン、フェノール変性シリ
コーンオイル等が挙げられる。又、ジオール2モルとイ
ソフタロイルクロライドまたはテレフタロイルクロライ
ド1モルとの反応により製造されるエステル結合を含む
芳香族ジオールも有用である。
【0045】以上一般式(VIII)の例を挙げて説明した
が同一の記号については他の一般式中でも同じ定義であ
る。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を説明
する。なお、下記実施例において部はすべて重量部であ
る。 実施例1 下記構造の第3級アミノ基を有するジオール化合物を出
発物質として用いた。
【0047】
【化21】
【0048】乾燥THF50mlに1,4−ビス{4−
〔N−フェニル−N−(4−ヒドロキシフェニル)アミ
ノ〕スチリル}ベンゼン6.48g(0.01mo
l)、トリエチルアミン3.04g(0.03mol)
を溶解した。この溶液にジエチレングリコールビスクロ
ロフォーメート2.31g(0.01mol)を乾燥T
HF8mlに溶かしたものを、水冷下、30分かけて滴
下した。滴下終了後、粘稠混合物をさらに15分撹拌
し、0.1gのフェノールを5mlの乾燥THFに溶か
したものを加えた。5分間撹拌の後、得られた粘稠混合
物をメタノール中に沈殿させ、粗生成物を濾取した。こ
のものに塩化メチレン溶解−メタノール沈殿の処理を2
回施し、沈殿物を濾取、乾燥して下記構造式のポリカー
ボネート樹脂No.1)を得た。得られた目的物は6.6
1gで収率は82.0%であった。この物のガラス転位
点は142℃であった。
【0049】
【化22】
【0050】この物の分子量をゲルパーミエーションク
ロマトグラフィーにより測定したところ、ポリスチレン
換算の分子量は以下のようであった。 数平均分子量 41100 重量平均分子量 177300 この物の赤外吸収スペクトル(フィルム)を図1に示し
たが、1760cm-1にカーボネートのC=O伸縮振動
に基づく吸収が認められた。また、元素分析結果を表1
に示す。
【0051】
【表1】
【0052】実施例2 実施例1と同じ第3級アミノ基を有するジオールを出発
物質として用いた。乾燥THF50mlに1,4−ビス
{4−〔N−フェニル−N−(4−ヒドロキシフェニ
ル)アミノ〕スチリル}ベンゼン6.48g(0.01
mol)、トリエチルアミン3.04g(0.03mo
l)を溶解した。この溶液にポリテトラメチレンエーテ
ルグリコールビスクロロフォーメート(平均分子量25
0のポリテトラメチレンエーテルグリコールより調製)
3.79g(0.01mol)を乾燥THF8mlにと
かしたものを、水冷下、30分かけて滴下した。滴下終
了後、粘稠混合物を更に15分撹拌し、0.1gのフェ
ノールを5mlの乾燥THFに溶かしたものを加えた。
5分間乾燥の後、得られた粘稠混合物をメタノール中に
沈殿させ、粗生成物を濾取した。このものにTHF溶解
−メタノール沈殿の処理を2回施し、沈殿物を濾取、乾
燥して下記構造式のポリカーボネート樹脂(No.2)を
得た。得られた目的物は8.28gで、収率は86.8
%であった。
【0053】
【化23】
【0054】この物の分子量をゲルパーミエーションク
ロマトグラフィーにより測定したところ、ポリスチレン
換算の分子量は以下のようであった。 数平均分子量 40400 重量平均分子量 107000 ガラス転移点は86℃であり、この物の赤外吸収スペク
トル(フィルム)を図2に示したが、1760cm-1
カーボネートのC=0伸縮振動に基づく吸収が認められ
た。また元素分析結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】実施例3〜10 実施例1と同様に操作して下表に示す本発明の芳香族ポ
リカーボネート樹脂を得た。これらの実施例3〜4及び
6〜10の化合物の基本構造は下記一般式で表わされ
る。
【0057】
【化24】
【0058】又、実施例5の化合物の構造は下記式で表
わされる。
【0059】
【化25】
【0060】結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】応用例 アルミ板上にメタノール/ブタノール混合溶媒に溶解し
たポリアミド樹脂(CM−8000:東レ社製)溶液を
ドクターブレードで塗布し、自然乾燥して0.3μmの
中間層を設けた。この上に電荷発生物質として下記式で
表わされるビスアゾ化合物をシクロヘキサノンで粉砕分
散した分散液をドクターブレードで塗布し、自然乾燥し
て約1μmの電荷発生層を形成した。
【0063】
【化26】
【0064】次に電荷輸送物質として実施例1で得られ
たポリカーボネート樹脂No.1 1部をメチレンジクロ
ライド9部に混合溶解し、この溶液を前記電荷発生層上
にドクターブレードで塗布し、自然乾燥し、次いで12
0℃で20分間乾燥して厚さ約20μmの電荷輸送層を
形成して感光体を作製した。かくしてつくられた感光体
について市販の静電複写紙試験装置〔(株)川口電機製
作所製SP428型〕を用いて暗所で−6kVのコロナ
放電を20秒間行って帯電せしめた後、感光体の表面電
位Vm(V)を測定し、更に20秒間暗所に放置した
後、表面電位V0(V)を測定した。次いでタングステ
ンランプ光を感光体表面での照度が4.5luxになる
ように照射して、V0が1/2になるまでの時間(秒)
を求め、露光量E1/2(lux・sec)を算出した。
その結果、Vo=−737(V)、E1/2=0.76(l
ux・sec)であった。
【0065】また、以上の感光体を市販の電子写真複写
機を用いて帯電せしめた後、原図を介して光照射を行っ
て静電潜像を形成せしめ、乾式現像剤を用いて現像し、
得られた画像(トナー画像)を普通紙上に静電転写し、
定着したところ、鮮明な転写画像が得られた。現像剤と
して湿式現像剤を用いた場合も同様に鮮明な転写画像が
得られた。
【0066】
【発明の効果】本発明に係わる新規芳香族ポリカーボネ
ート樹脂は、前記したように光導電性素材として有効に
機能し、又、染料やルイス酸等の増感剤によって光学的
あるいは化学的に増感される。又、電子写真用感光体の
感光層の電荷輸送物質等として好適に使用され、特に電
荷発生層と電荷輸送層を2層に区分した、いわゆる機能
分離型感光層における電荷輸送物質として有用なもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の化合物の赤外吸収スペクト
ル図、
【図2】本発明の実施例2の化合物の赤外吸収スペクト
ル図、
【図3】本発明の実施例3の化合物の赤外吸収スペクト
ル図、
【図4】本発明の実施例4の化合物の赤外吸収スペクト
ル図、
【図5】本発明の実施例5の化合物の赤外吸収スペクト
ル図、
【図6】本発明の実施例6の化合物の赤外吸収スペクト
ル図、
【図7】本発明の実施例7の化合物の赤外吸収スペクト
ル図、
【図8】本発明の実施例8の化合物の赤外吸収スペクト
ル図、
【図9】本発明の実施例9の化合物の赤外吸収スペクト
ル図、
【図10】本発明の実施例10の化合物の赤外吸収スペ
クトル図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 知幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 佐々木 正臣 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 太田 正文 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 有賀 保 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 永井 一清 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 平5−230202(JP,A) 特開 平8−62864(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42 CA(STN) REGISTRY(STN) WPI/L(QUESTEL)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(III)で表わされる繰り返し
    単位からなるポリカーボネート樹脂。 【化1】 〔式中、Ar1,Ar3,Ar4,Ar5,Ar6は 同一又
    は異なる置換もしくは無置換のアリレン基を表わし、A
    2,Ar7は同一又は異なる置換もしくは無置換のアリ
    ール基を表わし、Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2
    価基、芳香族の2価基又はこれらを連結してできる2価
    基、又は、 【化2】 (ここで、R1,R2,R3,R4は各々独立して置換もし
    くは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリー
    ル基またはハロゲン原子であり、a及びbは各々独立し
    て0〜4の整数であり、c及びdは各々独立して0〜3
    の整数であり、Yは単結合、炭素原子数2〜12の直鎖
    状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO
    2−、−CO−、 【化3】 から選ばれ、Z1,Z2は置換もしくは無置換の脂肪族の
    2価基又は置換もしくは無置換のアリレン基を表わし、
    5,R6,R7,R8,R9,R10,R11 は各々独立して
    水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の置換もしくは
    無置換のアルキル基、炭素数1〜5の置換もしくは無置
    換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を
    表わし、又、R5とR6は結合して炭素数5〜12の炭素
    環または複素環を形成してもよく、又、R5,R6
    1,R2と共同で炭素環又は複素環を形成してもよく、
    12,R13は単結合、又は炭素数1〜4のアルキレン基
    を表わし、eは0〜4の整数を表わす。)を表わし、n
    は繰り返し数で2〜5000の整数を表わす。〕
  2. 【請求項2】 下記一般式(V)で表わされる繰り返し
    単位からなるポリカーボネート樹脂。 【化4】 (式中、Ar2,Ar4,Ar7,Xは前定義と同一であ
    り、nは繰り返し数で2〜5000の整数を表わす。)
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