JP3230390B2 - セメント組成物の製造方法 - Google Patents
セメント組成物の製造方法Info
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Description
用セメント組成物の製造方法に関する。
高性能減水剤や高性能AE減水剤(以下、この2種を併
せて「高性能減水剤」ということがある。)を用い、混
練物を密実に成形できる範囲において、水セメント比を
できるだけ小さくすることが最も効果的で一般的な方法
である。しかし、水セメント比を小さくすれば、混練物
の粘性が増加するため、流動性及び施工性が悪いコンク
リートになり、さらに、水セメント比を小さくすれば、
もはや流動性がないコンクリートとなり通常の流し込み
や締固めでは成形できないコンクリートとなる。
ムを混和材として用いる方法がある。シリカフュームは
金属シリコンやフェロシリコン製造時にでる副産物で、
比表面積20m2/g程度、平均粒径0.1μm程度の
球状で超微粒なシリカである。シリカフュームと高性能
減水剤を併用することにより、コンクリートの粘性が低
減し、流動性を向上できるため、より低水セメント比で
のコンクリートの製造が可能となる。
に由来するボールベアリング効果によるとされている。
さらに、シリカフュームはセメント粒子より微粉末であ
るためセメント粒子間を充填し硬化体組織を緻密化する
作用、およびポゾラン反応により硬化体の強度を増大さ
せる効果を持つとされている。
果および強度の増大効果は水セメント比が小さいときに
顕著である。そのため、圧縮強度800kgf/cm2
程度以上の低水セメント比の高強度コンクリートにおい
て、流動性を付与する技術として、シリカフュームを混
和材として用い、高性能減水剤を添加する方法が、現
状、最も効果的で一般的な手法である。
に比べれば、粘性が大きく、ポンプ圧送性や施工性に劣
る。そのため、より粘性が低いコンクリートの開発が強
く要望されており、フライアッシュや高炉スラグ微粉末
を混和材として用い、粘性を低下させ、ポンプ圧送性お
よび施工性を向上させている例がある。
スラリーの3形態がある。スラリー状シリカフューム
は、シリカフュームが沈澱しやすく、濃度管理が難し
い、また、冬期に凍結する恐れがあるという問題があ
る。さらに、高強度コンクリートへ適用する場合、単位
セメント量が多く、単位水量がそれに比して少ないた
め、スラリー状シリカフュームは高濃度とならざるをえ
ないが、その結果、粘性が強いスラリーとなり、コンク
リートプラントへ適用するには実用的ではない。したが
って、実用に供されているシリカフュームは、粉体状か
顆粒状のシリカフュームである。
体材料と同様な輸送、計量および投入装置が使用できる
という長所があるが、粉体状シリカフュームに比べ、顆
粒であるがため分散性に劣り、コンクリートの流動性や
強度性状の向上効果が劣る。
動性および強度性状の向上効果が優れるが、超微粉末で
取扱いが困難であるため、コンクリート製造プラントに
既存の輸送、計量及び添加装置をそのまま用い、ミキサ
に添加することができない。そのため、コンクリートミ
キサへの投入は、人力か、特殊な添加設備を新たに設置
して行われている。
化する方法として、最も一般的で効果的な方法は、密実
に成形できる範囲において、できるだけ水セメント比を
小さくすることである。シリカフュームと高性能減水剤
を併用すれば、より低水セメント比でのコンクリートの
製造が可能であり、圧縮強度800kgf/cm2程度
以上の低水セメント比の高強度コンクリートにおいて、
流動性を付与する技術として、シリカフュームを混和材
として用い、高性能減水剤を添加する方法が、現状、最
も効果的で一般的な手法である。しかしながら、次のよ
うな問題がある。
は超微粒子であるため、通常、凝集した状態にある。顆
粒状シリカフュームはもちろん、粉体状シリカフューム
も一見、凝集の程度は小さいように見えるが、超微粒子
の凝集体である。これらの凝集したシリカフュームを十
分にコンクリート中に分散させなければ、流動性の向上
や強度の向上作用を効果的に引き出すことはできない。
る方法は、ミキサでの混練性が悪いという問題がある。
特に、シリカフュームおよび高性能減水剤が混練物中に
分散されるまでの、混練初期のミキサの負荷が極めて大
きい。したがって、ミキサでの混練において、1回の混
練量を、ミキサの容量よりかなり減らさなければ混練が
できず、しかも、凝集したシリカフュームをほぐし、十
分均質にコンクリート中に分散させるために混練時間を
長くする、高性能減水剤の添加量を多くするなどの対処
が必要である。
が、シリカフュームを用いることによって得られるもの
の、シリカフュームを添加した高強度コンクリートは粘
性が大きく、ポンプ圧送性や施工性を確保するためにス
ランプフロー40cm程度以上の高流動性としなければ
ならない。このことからも、高性能減水剤の添加量を多
くしなければならない。また、スランプフロー40cm
以上としても、一般的な強度のコンクリートに比べれ
ば、まだ粘性が大きく、ポンプ圧送性や施工性の向上の
ため、より粘性が低いコンクリートが要望されている。
そのため、従来技術としてフライアッシュや高炉スラグ
微粉末を混和材として用いて、粘性の低下、ポンプ圧送
性および施工性の向上をはかっている例があるが、凝結
が遅延する、強度発現が低下するという問題がある。
ものとするためには、強力な粉体粒子の分散作用を持つ
高性能減水剤や高性能AE減水剤を添加しなければなら
ない。しかし、高性能減水剤や高性能AE減水剤は強力
な分散作用と同時に強力な凝結遅延作用を併せ持つ。そ
の結果として、コンクリートの凝結が大きく遅延する。
しかも低水セメント比になるほど、流動性を得るための
高性能減水剤の使用量が増加するため、凝結遅延が大き
くなる。凝結遅延が大きくなれば、型枠への荷重負担が
長時間にわたる、コンクリートの沈下が大きくなるなど
の影響で、コンクリートにひびわれなどの欠陥が発生し
やすくなるという問題を生じる。また、次の施工工程へ
支障をきたすなどの問題を生じる。
少なく、かつ長時間の混練を実施しなければならない、
また高価な高性能減水剤を多量に添加する必要があるた
め、コンクリートの生産性が低下しコンクリートの供給
能力が低下するとともに製造コストが高くなるという問
題を生じる。
ュームの添加は、コンクリートミキサに、バッチごとに
他のコンクリート材料とともに投入する方法で行われて
いる。顆粒状シリカフュームは従来のセメント、混和材
の輸送および計量装置を用いることができるが、粉体状
シリカフュームに比べ、顆粒であるがため分散性に劣
り、コンクリートの流動性や強度性状の向上効果が劣
る。粉体状シリカフュームは、顆粒状に比べ流動性およ
び強度性状の向上効果が優れるが、超微粉末であるため
ハンドリングが悪く、既存の搬送及び計量装置をそのま
ま用いることができない。そのため、人力で投入する
か、特殊な搬送及び計量装置を新たに設置する必要があ
る。
物の製造方法は、ポルトランドセメント50〜92重量
部、シリカフューム5〜25重量部及び石灰石微粉末3
〜25重量部を合計で100重量部となるように含んで
なるセメント組成物を製造する方法であって、セメント
製造工程においてセメントクリンカ等を粉砕している仕
上げミルにシリカフュームを投入し、セメントクリンカ
等の粉砕と同時にシリカフュームを混合し、かつ分散さ
せ、ついで仕上げミルで製造した粉砕物に、特定粒度分
布を有する石灰石微粉末を混合することを特徴とするも
のである。
トランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強
ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントな
どを用いることができる。
20μm以下の粒子が90%以上,10μm以下の粒子
が65%以上,5μm以下の粒子が40%〜90%の範
囲内、1μm以下の粒子が25%以下である粒度分布を
持つものが好ましい。この石灰石微粉末は、天然の石灰
石を粉砕後、上記粒度となるように分級したものが好適
である。
粒状のどちらの形態でも用いることができる。また、シ
リカフュームは、SiO2を80重量部以上含有するも
のが好適である。
f/cm2程度以上の高強度コンクリートに流動性を付
与する技術として、シリカフュームを混和材として用
い、高性能減水剤を添加する方法が、現状では最も効果
的で一般的な手法である。
通強度のコンクリートと比べれば粘性が高いため、ミキ
サでの混練性が悪く、ミキサ容量に対する混練物量を大
幅に減らし、かつ、一般のコンクリートに比べ混練時間
を大幅に長くしなければ、均質で十分な流動性を持つコ
ンクリートとすることができない。また、コンクリート
を低水セメント比とし、かつ流動性があるものとするた
めには、シリカフュームを混和するとともに、強力な粉
体粒子の分散作用を持つ高性能減水剤を添加しなければ
ならない。その結果、高性能減水剤が分散作用と同時に
併せ持つ強力な凝結遅延作用により、コンクリートの凝
結が大きく遅延する。しかも低水セメント比になるほ
ど、流動性を得るための高性能減水剤の使用量が増加す
るため、凝結遅延が大きくなるという問題がある。さら
に、水セメント比が小さいほど、流動性を得るために高
価な高性能減水剤を多量に必要とするため、コンクリー
トの材料コストが高くなる。
物のように、ポルトランドセメント50〜92重量部
と、シリカフューム5〜25重量部と、特定粒度分布を
有する石灰石微粉末3〜25重量部からなるセメント組
成物を結合材として用いることにより、従来技術による
ポルトランドセメントにシリカフュームを添加する方法
に比べ流動性が向上し、一定のコンクリートの流動性を
得るために必要な高性能減水剤の量を低減できる。ま
た、コンクリートの練混ぜに際し、材料が均質に混練さ
れ流動状態になるまでの時間が短縮する効果を持ち、さ
らに、ミキサにかかる負荷を低減できる効果を持つ。
カフュームを添加する従来の技術に比べ、同一の流動性
を得るために必要な高性能減水剤の添加量が少なくで
き、コスト的に有利になる。また、混練時の流動化が早
く、ミキサへの負荷が少なくできるため、一回の混練量
の増加や混練時間が短縮ができるため生産性が向上し、
工業的に有利になる。
物において、ポルトランドセメントの配合量が50重量
部よりも少ないと高強度発現性に劣るものとなり、92
重量部よりも多いとシリカフュームおよび石灰石微粉末
の割合が少なくなるがため、本発明の特徴である高強
度、高流動で混練性が良好でかつ大きな凝結遅延がない
セメント組成物が得られない。ポルトランドセメントの
特に好適な配合量は70〜90重量部である。
と、シリカフュームによる強度および流動性向上効果が
得られず、25重量部より多くしても、シリカフューム
による強度および流動性の向上が5〜25重量部の配合
量の場合に比べて低下する傾向となり、また、シリカフ
ュームは高価であることから不経済となる。シリカフュ
ームの特に好適な配合量は5〜20重量部である。
ないと、本発明の特徴である高強度、高流動で混練性が
良好でかつ大きな凝結遅延がないセメント組成物が得ら
れない。25重量部よりも多いと、強度発現性に劣るも
のとなる。石灰石微粉末の特に好適な配合量は3〜1
2.5重量部である。
加セメントの流動性向上効果および混練性向上効果は、
請求項2に記載した特定の粒度分布を持つ石灰石微粉末
によって顕著に発現されるものである。従来より行われ
ている、空気透過法による比表面積による粉末度(ブレ
ーン比表面積)だけでは、上記効果を発現させるための
特定粒度分布を特定できない。即ち、たとえ、石灰石微
粉末のブレーン比表面積が同一であったとしても、請求
項2にて特定した特定の粒度分布を有していなければ、
シリカフューム添加セメントの流動性向上および混練性
向上について顕著な効果を得ることができない。
セメント組成物とするには、石灰石微粉末が、請求項2
で特定した石灰石微粉末の粒度分布、即ち、1μm〜1
0μm程度の範囲内に粒度分布の頻度のピークがあり、
比較的狭い範囲に粒度が分布する、シャープな粒度分布
を有しなければ得られない。この特定粒度分布を有する
石灰石微粉末と、ポルトランドセメントおよびシリカフ
ュームとを組み合わせ、請求項1に記載の製造方法でセ
メント組成物を製造することで本発明の効果が得られ
る。したがって、請求項2で特定した粒度分布を外れた
場合、即ち、1μm〜10μm程度の範囲内に粒度分布
の頻度のピークがないもの、広い範囲に粒度が分布しフ
ラットな粒度分布を有するものでは、本発明の高強度、
高流動で混練性が良好なセメント組成物が得られない。
進作用があることは知られているが、この石灰石微粉末
が本来持つ凝結促進効果と、特定粒度分布を持つ石灰石
微粉末を用いることにより凝結遅延作用がある高性能減
水剤の添加量が少なくできる効果との相乗効果により、
従来技術で問題であったコンクリートの凝結遅延を大き
く抑制することができる。
用い低水セメント比とした高強度コンクリートに、石灰
石微粉末のような反応性が極めて小さいと考えられる無
機物質を、内割り添加すると強度低下を生じるとも危惧
される。しかし、特定粒度分布を有する石灰石微粉末を
用いる本発明では、大きな強度低下はなく、特に特定粒
度分布を有する石灰石微粉末の添加量が10%以下であ
れば、それを添加しないものに比べ同等以上の強度を発
現する。
を用いる本発明では、コンクリートの粘性が小さいもの
となり、それを用いないものに比べ、施工性に優れたも
のとできる効果をもつ。
末を用いる本発明では、その石灰石微粉末は水和発熱を
生じないため、コンクリートの発熱を低減する効果を持
ち、単位セメント量が多い高強度コンクリートで問題と
なる、温度上昇による強度低下やひびわれ発生を抑制す
る効果を持つ。
たモルタルおよびコンクリートにおける実施例を以下に
示す。まず、実験方法について項目ごとに説明する。
6) HP(早強ポルトランドセメント)(比重:3.1
4) MP(中庸熱ポルトランドセメント)(比重:3.
20) (2)シリカフューム:エルケム社940U(比重2.
2) (3)特定粒度分布を有する石灰石微粉末 石灰石をボールミルで粉砕し、分級機を用いて特定粒度
分布になるよう調製した。
石灰石微粉末 GL:20μm以下が95wt%、10μm以下
が65wt%、5μm以下が40wt%、1μm以下が
13wt%の粒度分布を有する。ブレーン比表面積は5
280cm2/gである。
10μm以下が87wt%、5μm以下が55wt%、
1μm以下が15wt%の粒度分布を有する。ブレーン
比表面積は7730cm2/gである。
%、10μm以下が99wt%、5μm以下が87wt
%、1μm以下が25wt%の粒度分布を有する。ブレ
ーン比表面積は17000cm2/gである。
粉末 BL:20μm以下が66wt%、10μm以下
が49wt%、5μm以下が38wt%、1μm以下が
19wt%の粒度分布を有する。ブレーン比表面積は5
040cm2/gである。
10μm以下が62wt%、5μm以下が47wt%、
1μm以下が16wt%の粒度分布を有する。ブレーン
比表面積は7670cm2/gである。
10μm以下が86wt%、5μm以下が75wt%、
1μm以下が32wt%の粒度分布を有する。ブレーン
比表面積は16820cm2/gである。
10μm以下が40wt%、5μm以下が26wt%、
1μm以下が7wt%の粒度分布を有する。ブレーン比
表面積は3710cm2/gである。
ト組成物以外の材料 細骨材:木更津産山砂(比重2.63,吸水率1.
77%) 粗骨材:八王子産砕石(最大寸法20mm,比重
2.68,吸水率0.83%) 高性能AE減水剤:ポリカルボン酸系 混練水:水道水
定方法 特定粒度分布を有する石灰石微粉末の粒度分布の測定
は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(仏国CI
LAS社製CILAS 850B)を用いて行った。ま
た、同時にブレーン空気透過法による粉末度(比表面
積)を併せて測定した。
どの各種粉体材料をスキ型ショベル羽根式高速混合機
(大平洋機工社製:プローシェアーミキサ)にて混合し
た。ただし、本方法は、混合機の一例を示しただけのも
ので、混合機の形式および機種を限定するものではな
い。
げミルに、クリンカおよびせっこうなどのポルトランド
セメント原料と共にシリカフュームを供給して、シリカ
フュームをポルトランドセメント粒子に混合し、かつ分
散させることによってできあがったシリカフューム混合
セメントに特定粒度分布を有する石灰石微粉末を添加混
合した。
よびシリカフュームなどを別々にコンクリートミキサへ
投入する方法を製造方法3とする。
次のとおり。なお、Wは水量、Cはセメント組成物量、
Sは細骨材量である。
AE減水剤添加量:C×1.2% 配合II:W/C=25% S/C=1.6 高性能
AE減水剤添加量:C×1.2%
合は次のとおり。
トル)を用い、3分間の混練を行った。
用い、混練はモルタル先練りで行い、モルタル先練り1
分、粗骨材投入後、さらに2分の混練を行った。
φ5cm、底面φ10cm、高さ15cmの円錐形状)
にモルタルを詰め、コーンを引き上げたときの、モルタ
ルの最終的な広がり直径(ミニスランプフロー)で評価
した。
一定とした場合には、コンクリートのスランプ試験後の
試料の広がり、即ちスランプフローで評価した。スラン
プフロー60±3cmになるように高性能AE減水剤の
添加量を調整したものは、その高性能AE減水剤添加量
で流動性を評価した。また、スランプフローが同一で
も、粘性によりコンクリートの性状は大きく異なるた
め、一部に、粘性の指標としてOロート流下時間を測定
した。
は、混練物の流動性が発現するまでに、ミキサによる混
練開始後、ある程度の時間を要する。この時間が長いほ
どミキサへの負荷が大きく、かつ混練に長い時間を要す
ることになる。そこで、本実施例では、コンクリートの
混練性の評価は、モルタル先練り1分間中において、モ
ルタル材料が流動化するまでに要した時間(モルタル練
上がり時間)を測定し、混練性の評価指標とした。即
ち、モルタル練上がり時間が短いほど、混練性に優れる
ことになる。なお、モルタル練上がり時間の測定は、高
性能AE減水剤の量で練り上がり後のコンクリートスラ
ンプフローを60±3cmの一定とした条件で行った。
クリートの凝結時間測定試験に従って行った。
流し込み、軽く木製ハンマーにて型枠をたたき、締固め
を行った。材齢1日において脱型し、以後、試験材齢ま
で20℃の水中にて養生を行った。圧縮強度試験に際
し、載荷面は研磨仕上げを行い、荷重載荷速度は、JI
S A 1108コンクリートの圧縮強度試験方法に従
い行った。
ト、シリカフューム及び石灰石微粉末を製造方法1によ
って7分間混合調製したセメント組成物を用いたモルタ
ルの流動性試験の結果を表2に示す。
していない比較例5,8,9についても石灰石微粉末を
用いないこと以外は同様に、製造方法1によってセメン
ト組成物を7分間混合調製した。モルタルの配合は配合
Iである。
リカフュームを含むセメント組成物への石灰石微粉末の
混合は、シリカフュームを含むセメント組成物の流動性
を向上させることがわかる。しかし、参考例1〜3と比
較例1〜4との対比より、石灰石微粉末の比表面積が同
程度でも、その流動性向上効果は大きく異なり、本発明
の特定粒度分布を有する石灰石微粉末を混合したセメン
ト組成物において流動性が著しく良い結果が得られるも
のであることがわかる。
の粒子が90%以上、かつ、10μm以下の粒子が65
%以上、かつ、5μm以下の粒子が40〜90%の範囲
内、かつ、1μm以下の粒子が25%以下である粒度分
布のときに大きな流動性向上効果が得られ、さらに好ま
しくは、20μm以下の粒子が95%以上、かつ、10
μm以下の粒子が80%以上、かつ、5μm以下の粒子
が50〜90%の範囲内、かつ、1μm以下の粒子が2
5%以下である粒度分布のときにより大きな流動性向上
効果が得られる。
り、MP以外のNP及びHPを使用した場合も、参考例
1〜3と同様に流動性向上効果が得られることがわか
る。また、参考例4,5と比較例6,7との対比より、
本発明の特定粒度分布を有する石灰石微粉末を混合した
セメント組成物において流動性が著しく良い結果が得ら
れるもので、石灰石微粉末の比表面積が同程度でも、本
発明の特定粒度分布を有しない石灰石微粉末では効果的
な流動性の向上はみられないことがわかる。
の混合割合を0〜30重量部の範囲で変化させ、その強
度性状を調べた。セメント組成物の製造は製造方法1に
よって7分間混合調製して行った。モルタルの配合は配
合IIとし、セメント組成物中の石灰石微粉末は、GL
を10重量部の一定とした。モルタルの材齢28日にお
ける圧縮強度を表3に示す。
〜25重量部において強度の向上に効果的であることが
わかる。シリカフュームの混合割合は、25重量部を越
え30重量部になるともはや大きな強度向上効果はなく
なり、かつシリカフュームは高価であることから不経済
になる。シリカフュームのセメント組成物における混合
割合は、本発明の5〜25重量部が効果的で、さらに好
ましくは5〜20重量部が効果的である。
ドセメント、シリカフュームおよび特定粒度分布を有す
る石灰石微粉末を、製造方法1によって7分間混合調製
した本発明のセメント組成物(参考例10,11)、お
よび特定粒度分布を有する石灰石微粉末に代えて、特定
粒度分布を有しない比較用石灰石微粉末を用いた以外は
同様にして混合調製した比較用セメント組成物(比較例
12,13)を用いたコンクリートの流動性状を調べ
た。
例として実施した(比較例14)。比較例14はセメン
ト組成物の混合割合を中庸熱ポルトランドセメント:シ
リカフューム9:1とした以外は、他と同様に製造方法
1により7分間混合調製したものである。
種類が異なるだけで、他の条件は同一とした。コンクリ
ート配合は、配合2の水セメント比22%とし、高性能
AE減水剤添加量をC×1.3%(Cはセメント組成物
量)と一定として行った。スランプフローの測定結果を
表4に示す。
比べると、特定粒度分布を有する石灰石微粉末を用いた
本発明のセメント組成物を用いたコンクリートの流動性
は、石灰石微粉末を用いないものに比べ大きく向上する
ことがわかる。また、参考例10,11と比較例12,
13とを比べると、本発明の特徴である特定粒度分布を
有する石灰石微粉末と同程度の比表面積の石灰石微粉末
であっても、粒度分布が本発明のものとは異なる石灰石
微粉末の場合には、コンクリートの流動性を向上させる
効果が劣ることがわかる。
場合に比べ、大きなスランプフローが得られる。したが
って、同一スランプフローとした場合には、流動性向上
に必要な高性能AE減水剤が少なくて良い。
割合を変えた場合のスランプフロー60cmを得るに必
要な高性能AE減水剤量を測定した。結果を表5に示
す。
ント比22%のものである。特定粒度分布を持つ石灰石
微粉末は、GLを用い、その混合割合を変化させた。
本参考例12〜17及び比較例15,16におけるセメ
ント組成物の混合割合は、普通ポルトランドセメントと
シリカフュームとの混合割合を9:1としたものをAと
すると、Aに対する特定粒度分布を有する石灰石微粉末
の混合割合を内割りで0〜25%になるようにした。セ
メント組成物の製造方法は製造方法1によった。また、
混合時間は7分間とした。
粉末を混合した参考例12〜17のセメント組成物は、
比較用の石灰石微粉末無添加(比較例15)又は少量添
加(比較例16)に比べスランプフロー60cmを得る
ために必要な高性能AE減水剤量が少なくてよく、特定
粒度分布を有する石灰石微粉末の添加量が多いほど必要
とされる減水剤量は少なくて良いことがわかる。
度分布を有する石灰石微粉末を3%以上混合した本発明
のセメント組成物では、無混合の比較例に比べ短くな
り、混練性が著しく向上することがわかる。特に、5%
以上混合した場合に効果的である。
流下時間は、特定粒度分布を有する石灰石微粉末を混合
したセメント組成物を用いたものにおいて、比較例15
の無添加に比べ、流下時間が短くなり、コンクリートの
粘性が低下することがわかる。粘性の低下は、特定粒度
分布を有する石灰石微粉末の混合割合が多いほど大き
い。
石微粉末を混合したセメント組成物は、所定のスランプ
フローとするに必要な高性能AE減水剤の低減効果、混
練性の向上効果および粘性の低減効果を持つが、特定粒
度分布を有する石灰石微粉末の混合割合は、本発明の3
〜25%において効果的である。
明のセメント組成物を用いたコンクリートの凝結性状お
よび強度性状を調べた結果を表6に示す。コンクリート
の配合などは表5でのものと同じである。
を有する石灰石微粉末の混合割合が多いほど、短くなる
ことがわかる。凝結時間の促進は、石灰石微粉末3%以
上の混合割合で効果的である。
石灰石微粉末を混合しても、混合割合10%までは、無
添加に比べ、低下しないことがわかる。
製造方法1の7分間混合により製造し、そのコンクリー
ト性状を調べた。W/C=25%の配合1で、高性能A
E減水剤量でスランプフロー60cmとなるよう調整し
た。特定粒度分布を有する石灰石微粉末はGLを用い
た。実施例のセメント組成物の組成は、ポルトランドセ
メント:シリカフューム:GL=80:10:10、
比較例のセメント組成物の組成は、ポルトランドセメン
ト:シリカフューム=90:10である。結果を表7に
示す。
通ポルトランドセメントなどにおいても、本発明のセメ
ント組成物を用いたコンクリートは、比較用の特定粒度
分布を有する石灰石微粉末を用いないセメント組成物を
用いたコンクリートに比べ、混練性および流動性に優れ
ることが明らかである。
にて調べた結果を表8に示す。ここでは、水セメント比
22%の配合2で、高性能AE減水剤添加量をC×1.
3%(Cはセメント組成物量)と一定として行った。
るほど、モルタル練上がり時間が短くなり、またコンク
リートスランプフローも増大することがわかる。これ
は、シリカフュームを含むセメント組成物中において、
シリカフュームの凝集がときほぐされ、均質に分散する
ほどモルタル先練りにおけるモルタルの混練性やコンク
リートの流動性が向上することを示している。また、セ
メント製造時の仕上げミルにシリカフュームを投入する
製造方法2によって混合製造したセメント組成物は、製
造方法1で7分間以上混合したものと同等の混練性及び
流動性状を示した。
とを比べると、特定粒度分布を有する石灰石微粉末を用
いず、しかもセメント及びシリカフュームを別々にコン
クリートミキサに投入する従来の製造方法3では、本発
明により製造されたセメント組成物を用いた場合に比
べ、混練性及び流動性ともに劣ることがわかる。なお、
比較例22では、コンクリートのモルタル先練りにおい
て、モルタルの流動時間が1分を超えたため、粗骨材投
入後の混練時間を1分40秒と、20秒短縮し、全混練
時間は他と同じ3分に合わせた。
1とを比べると、実施例26〜29及び参考例1のポル
トランドセメント、シリカフュームおよび特定粒度分布
を有する石灰石微粉末からなるセメント組成物は、本発
明の製造方法によることで、セメント組成物を構成する
各組成材料を別々にコンクリートミキサに投入する方法
により、混練性及び流動性が著しく向上することがわか
る。
製造されたセメント組成物によると、従来の高強度コン
クリートで実施されていたポルトランドセメントにシリ
カフュームを混和材として用い、高性能減水剤で水セメ
ント比を小さくする方法では得られなかった、流動性お
よび混練性に優れたモルタルまたはコンクリートを製造
できる。しかも、本発明の方法により製造されるセメン
ト組成物によれば高性能減水剤添加量が少なくて済むこ
とおよび組成物中の石灰石微粉末が凝結促進作用を持つ
ことにより、従来の技術で問題であった高性能減水剤に
よる凝結の遅延を大きく低減できる。さらに従来のポル
トランドセメントにシリカフュームを混和材として用い
る方法に比べ、強度は同等以上を発現し、かつ水和発熱
を低減できるという効果も持つ。また、従来のポルトラ
ンドセメントにシリカフュームを混和材として用いる方
法に比べ、本発明のセメント組成物は、コンクリート混
練時の混練物の流動化が早く、ミキサへ大きな負荷をか
けることが少ないため、工業的に有利に高強度・高流動
コンクリートを製造できる。
るには特殊な設備を要したが、シリカフュームを混合し
た本発明の組成物とすれば、既存のコンクリートプラン
ト設備で済み、特殊な設備を要しないという効果も有す
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 ポルトランドセメント50〜92重量
部、シリカフューム5〜25重量部及び石灰石微粉末3
〜25重量部を合計で100重量部となるように含んで
なるセメント組成物を製造する方法であって、 セメント製造工程においてセメントクリンカ等を粉砕し
ている仕上げミルにシリカフュームを投入し、セメント
クリンカ等の粉砕と同時にシリカフュームを混合し、か
つ分散させ、ついで仕上げミルで製造した粉砕物に、特
定粒度分布を有する石灰石微粉末を混合することを特徴
とするセメント組成物の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、前記特定粒度分布を
有する石灰石微粉末が、20μm以下の粒子が90%以
上、10μm以下の粒子が65%以上、5μm以下の粒
子が40〜90%の範囲内、1μm以下の粒子が25%
以下である粒度分布を持つことを特徴とするセメント組
成物の製造方法。
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