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JP3228087B2 - 2,3−ジアリールキノン及びその製法 - Google Patents

2,3−ジアリールキノン及びその製法

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Publication number
JP3228087B2
JP3228087B2 JP23427895A JP23427895A JP3228087B2 JP 3228087 B2 JP3228087 B2 JP 3228087B2 JP 23427895 A JP23427895 A JP 23427895A JP 23427895 A JP23427895 A JP 23427895A JP 3228087 B2 JP3228087 B2 JP 3228087B2
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JP
Japan
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diarylquinone
quinone
ring
methyl group
compound
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Application number
JP23427895A
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成雄 勝村
誠吾 吉田
浩昭 久保
哲行 雑賀
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Osaka Soda Co Ltd
Original Assignee
Daiso Co Ltd
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Publication date
Application filed by Daiso Co Ltd filed Critical Daiso Co Ltd
Priority to JP23427895A priority Critical patent/JP3228087B2/ja
Publication of JPH0977743A publication Critical patent/JPH0977743A/ja
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Publication of JP3228087B2 publication Critical patent/JP3228087B2/ja
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  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な2,3−ジア
リールキノンおよびその製法に関するものである。さら
に詳しくは、本発明は、光反応と電気化学反応の両者の
反応を示し光−電気機能材料として有用な2,3−ジアリ
ールキノンおよびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光照射により吸収スペクトルが変化する
化学物質は光応答性色素として光記録に利用しようと試
みられている。光により可逆的に吸収スペクトルが変化
するホトクロミック色素は書き換え可能型光記録材料と
して、光により不可逆に吸収スペクトル変化を示す光応
答性色素も追記型光記録材料として検討されている。例
えば、ホトクロミック化合物として特開昭61−263935号
公報、特開平3−135977号公報、及び特開平3−14538号
公報に示されるジアリールエテン類がある。一方、電気
刺激により酸化還元応答を示す化学物質はエレクトロク
ロミック化合物と呼ばれ、電気的情報の記録、表示に利
用される電気応答性化合物である。光応答機能と電気応
答機能を合わせ持つ化合物を情報の記録、変換に用いる
ことにより、光信号を電気信号に、あるいは、電気信号
を光信号に変換することが期待される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】光応答機能と電気応答
を示す化合物として光応答性のアゾ基を持つ電気応答性
アントラキノン類が特開昭63−68553号公報が示されて
いる。しかしながら、Molecular Crystals and Liquid
Crystals, 246巻, 319頁 (1994) に示されるようにアゾ
部位の光反応による酸化還元電位の変化はあるが、その
変化は大きくなく、光信号を電気信号に変換する機能は
十分でなかった。そこで、この発明は光応答機能と電気
応答機能を合わせ持ち、しかも光反応による酸化還元電
位の変化が十分大きな化合物とその製造法を提供するこ
とを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するものとして、キノン環の2、3位に二つの複素芳香
環置換基を有する2,3−ジアリールキノンとその製造法
を提供するものである。即ち、本発明は、次式(I)で表
される2,3−ジアリールキノンを提供する。
【0005】
【化4】
【0006】R1はメチル基であるか、又は-CH=CH-CH=CH
-でキノン環の二重結合を含みナフトキノン環を形成し
てもよい。 Xは硫黄原子である。 R2、R3およびR4
水素原子であるか、R2がメチル基、R3がトリメチルシリ
ル基、R4が水素原子であるか、または、R2がメチル基、
R3とR4が-CH=CH-CH=CH-で5員環の二重結合を含み環形成
していてもよい。そして、本発明は、上記式(I)の2,3−
ジアリールキノンの製造法であって、次式(II)
【0007】
【化5】
【0008】(R1はメチル基であるか、あるいは-CH=CH
-CH=CH-でキノン環の5位、6位二重結合を含みナフトキ
ノン環を形成していてもよい。Yは臭素原子を表す。)
で表される2,3−ジブロム化キノンを、次式(III)
【0009】
【化6】
【0010】(Xは硫黄原子である。 R2、R3およびR4
が水素原子であるか、R2がメチル基、R3がトリメチルシ
リル基、R4が水素原子であるか、または、R2がメチル
基、R3とR4が-CH=CH-CH=CH-で5員環の二重結合を含み環
形成していてもよい。 ZはSn(n−Bu)3を表す。)で表さ
れるアリール金属化合物と反応させることからなる2,3
−ジアリールキノンの製造法を提供する。
【0011】式(II)はジブロム化されたジメチルベンゾ
キノン、ナフトキノンであり、その具体例としては2,3
−ジブロモ−5,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジブロ
モナフトキノンが挙げられる。ジハロゲン化キノンは例
えばJ. Am. Chem. Soc., 64巻, 528 頁(1942)、J. Am.
Chem. Soc., 66巻, 1077頁 (1944)に示される方法によ
りキノンをハロゲン化して得られる。
【0012】式(III)のヘテロ5員環を有する金属化合物
で、R2, R3, R4は式(I)中に示されるR2, R3, R4とおな
じ置換基で水素原子、メチル基、トリメチルシリル基、
シアノ基を表す。Xが硫黄原子の場合には、R3, R4が-C
H=CH-CH=CH-で5員環の二重結合を含め環形成していても
よい。すなわちヘテロ5員環はR2, R3, R4がメチル基、
トリアルキルシリル基、シアノ基である場合には、これ
らの置換基を有してもよいチオフェン、ピロール誘導体
である。また、ヘテロ5員環のR3, R4が-CH=CH-CH=CH-で
5員環の二重結合を含め環形成している場合には、メチ
ル基など置換基を有してもよいベンゾチオフェン誘導体
である。Zは有機金属基であり、トリブチルスズなどの
トリアルキルスズ残基を示す。これらのアリール金属化
合物は前駆体であるハロゲン化アリール化合物より常法
により製造される。製造法の例としてはTetrahedron Le
tters, 35巻, 2405 頁(1994)などが挙げられる。
【0013】式(II)の2,3−ジブロム化キノンと式(III)
のアリール金属との反応によって、式(I)の目的とする
2,3−ジアリールキノンを製造する。反応にはジエチル
エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキ
シエタンなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンな
ど芳香族溶媒、ジメチルホルムアミドなどアミド系溶
媒、塩化メチレン、クロロホルム、二塩化エチレンなど
塩素系溶媒、アセトニトリルなどニトリル系溶媒が好適
である。
【0014】反応には触媒としてテトラキス(トリフェ
ニルフォスフィン)パラジウム、トリスジベンジリデン
アセトン)二パラジウム、カルボニルトリス(トリフェ
ニルホスフィン)パラジウム、ビス(イソシアン化t−
ブチル)パラジウムなどのパラジウム化合物を用いるこ
とにより良い結果が得られる場合が多い。これらの触媒
は式(II)で示される2,3−ジブロム化キノンに対し、0.0
1〜10%の範囲で添加することが好ましい。
【0015】反応温度は20〜150℃であり、溶媒の還流
条件で行うことが更に好ましい。反応時間は通常30分か
ら24時間以内に終了する。場合によっては乾燥空気、あ
るいは、チッ素、ヘリウム、アルゴンなど不活性ガス中
で反応を行う必要がある。反応溶液を濃縮し、通常の処
理によって精製して一般式(I)で示される2,3−ジアリー
ルキノン系化合物を得ることができる。
【0016】2,3−ジアリールキノンのトリアルキルシ
リル置換基は酸、フッ素化合物により水素原子に置換さ
れる。塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸類、トリブチルアン
モニウムフルオライドなどフッ素化合物が有用である。
酸、フッ素化合物は一当量以上用い、溶媒としてはテト
ラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、
ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの
塩素系溶媒類、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒
が用いられる。反応は冷却、あるいは加温して行われ、
0℃から120℃が好適であり、反応時間としては10分から
78時が通常である。アリール基がピロールの場合にはそ
の窒素原子がトシル基で保護される場合があるが、トシ
ル基はアルカリ処理により水素原子に置換できる。アル
カリとしては炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸
塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど水酸化物が
有効である。アルカリは当量以上、通常は過剰に用いら
れ、アルカリ処理の溶媒としてはジオキサン、エチレン
グリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど
のエーテル系溶媒と水の組み合わせが有用である。反応
は通常加熱撹拌して行われ、反応温度は室温から120℃
が好適であり、反応時間は30分から78時間が通常であ
る。
【0017】本発明の2,3−ジアリールキノンは有色
で、可視域に光吸収帯を有しており、光照射により吸収
帯の増減が観察された。図1にその例を示す。本発明の
材料を光記録に用いる場合には光照射前後の吸収強度の
変化により記録信号の有無を読み出すことができる。本
発明の特徴は、本発明の2,3−ジアリールキノンがキノ
ン部位の酸化還元に由来する電気応答を示す事にある。
酸化還元は例えば電解溶液中で酸化還元電位、あるい
は、酸化還元電流を測定することにより電気信号として
得られる。通常、キノンは1電子還元されてキノンラジ
カルになる。本発明の2,3−ジアリールキノン類におい
ても有機電解液中でキノンから1電子還元されキノンラ
ジカルとなる酸化還元応答が観察された。本材料はスピ
ンコートあるいは、蒸着などにより薄膜とするか、透明
高分子材料に練り込み、あるいは、溶解させて薄膜に成
型することもできる。
【0018】
【作用】この2,3−ジアリールキノンは可視域に吸収を
有するが光照射によりこの吸収帯が増減する光応答を示
した。また、この2,3−ジアリールキノンはキノン部位
に由来する酸化還元応答を示した。酸化還元電位、ある
いは、酸化還元電流は光照射前と照射後で大きく異なっ
ており、光照射による変化を酸化還元電位、あるいは酸
化還元電流として電気信号で読み出すことができた。例
えば、実施例17に示すように2,3−ビス(2−メチル−
5−トリメチルシリル−3−チエニル)−5,6−ジメチルベ
ンゾキノンでは、光照射前と照射後で0.06Vの酸化還元
電位シフトがみられた。即ち、この発明の2,3−ジアリ
ールキノンは光信号を電気信号に変換する情報記録材
料、情報変換材料を提供するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明を実施するための具体的な
形態を以下に実施例を挙げて説明する。
【0020】
【実施例】本発明のジアリールキノン化合物の化学構造
は、質量分析スペクトル(MS)、核磁気共鳴スペクトル(1
H, 13C)により決定した。質量分析スペクトルは直接導
入法で測定した。核磁気共鳴スペクトルはテトラメチル
シランを基準物質とし270MHzでCDCl3中で測定した。光
化学測定の光源には500 Wのキセノンランプを使用し、
各種ガラスフィルターを通して紫外光、可視光を得た。
電気化学測定は支持電解としてテトラブチルアンモニウ
ムテトラフルオロボレート(0.1 mol dm-3)を含むアセト
ニトリル中に本実施例の2,3−ジアリールキノンを溶解
し、白金電極を使用してサイクリックボルタモグラム測
定を行い、第一回目の電位操作の際の酸化還元電位を測
定する事により行った。1H−NMR, 13C−NMR, MS, n−
ヘキサン中の最長波長側の 吸収極大 、第一還元電位
(V vs Ag/AgClO4)、2,3−ジハロゲン化キノンを基準と
した2,3−ジアリールキノンの収率を表1に示した。実
施例1から16で合成した化合物は合成例1にしめし
た。
【0021】実施例1 2,3−ビス(3−チエニル)ナフトキノンの合成 2,3−ジブロモナフトキノン(252 mg, 0.79 mmol)、(3−
チエニル)トリブチルスズ(650 mg, 1.74 mmol)とトラキ
ス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(18 mg, 0.
0016 mmol)を無水トルエン(24 ml)に溶かし、120℃で6
時間加熱還流した。この溶液を室温に冷却しエーテルで
希釈してろ過し、ろ液を10%フッ化カリウム水溶液と1時
間撹拌した。沈殿したトリブチルスズフルオライドをろ
過により除去した後に濃縮、カラムクロマトグラムによ
り精製した。得られた2,3−ビス(3−チエニル)ナフト
キノンは赤色粉末でその諸物性を表1に示した。
【0022】実施例2、3、4、5、6 2,3−ビス(2−メチル−5−トリメチルシリルチエン−3
−イル)ナフトキノン(実施例2、化合物2)、2,3−ビス
(2−シアノ−1,5−ジメチル−4−ピロリル)ナフトキノ
ン(実施例3、化合物3)、2,3−ビス(N−t−ブチルジメ
チルシリル−3−インドリル)ナフトキノン(実施例4、
化合物4)、2,3−ビス(N−トシル−3−インドリル)−ナ
フトキノン(実施例5、化合物5)、2,3−ビス(2−メチ
ルベンゾチオフェン−3−イル)ナフトキノン(実施例
6、化合物6)は、(3−チエニル)トリブチルスズを用い
る代わりに実施例1と同様にして2−メチル−5−トリメ
チルシリル−3−(トリブチルスタニル)チオフェン、2−
シアノ−1,5−ジメチル−3−(トリブチルスタニル)ピロ
ール、N−(t−ブチルジメチルシリル)−3−(トリブチル
スタニル)インドール、(N−トシル−3−(トリブチルス
タニル)インドール、2−メチル−3−(トリブチルスタニ
ル)ベンゾチオフェンをそれぞれ用いて合成した。諸物
性は表1に示した。
【0023】実施例7、8、9、10 2,3−ビス(3−チエニル)−5,6−ジメチルベンゾキノン
(実施例7、化合物7)、2,3−ビス(2−メチル−5−トリ
メチルシリル−3−チエニル)−5,6−ジメチルベンゾキ
ノン(実施例8、化合物8)、2,3−ビス(2−シアノ−1,5
−ジメチル−4−ピロリル)−5,6−ジメチルベンゾキノ
ン(実施例9、化合物9)、2,3−ビス(N−t−ブチルジメ
チルシリル−3−インドリル)−5,6−ジメチルベンゾキ
ノン(実施例10、化合物10)は2,3−ジブロモナフト
キノンを用いる代わりに2,3−ジブロモ−5,6−ジメチル
ベンゾキノンを用いて、更に(3−チエニル)トリブチル
スズを用いる代わりに(トリブチルスタニル)チオフェ
ン、2−メチル−3−(トリブチルスタニル)−5−トリメ
チルシリルチチオフェン、2−シアノ−1,5−ジメチル−
3−(トリブチルスタニル)ピロール、N−(t−ブチルジメ
チルシリル)−3−(トリブチルスタニル)インドールをそ
れぞれ用いて反応させた以外は実施例1と同様にして合
成した。物性は表1に示した。
【0024】実施例11 2,3−ビス(2−メチル−ベンゾチオフェン−4−イル)−
5,6−ジメチルベンゾキノン(化合物11)は2,3−ジブロ
モナフトキノン(254 mg, 0.8 mmol)、2−メチル−ベン
ゾチオフェン−3−硼酸(334 mg, 1.74 mmol)とトラキス
(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(18 mg, 0.00
16 mmol)をエチレングリコールジメチルエーテル(24 m
l)に溶かし、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え6時間加
熱還流して合成した。この溶液を20℃に冷却しエーテル
抽出した後に濃縮、カラムクロマトグラムにより精製し
て2,3−ビス(2−メチル−ベンゾチオフェン−3−イル)
−5,6−ジメチルベンゾキノンを67%の収率で得た。
【0025】実施例12 2−(2−シアノ−1,5−ジメチル−4−ピロリル)−3−(2
−メチル−5−トリメチルシリルチオフェン−3−イル)
−5,6−ジメチルベンゾキノン(化合物12)は2,3−ジ
ブロモ−5,6−ジメチルベンゾキノンの二つの臭素を段
階的に反応させて合成した。まず、2,3−ジブロモ−5,6
−ジメチルベンゾキノン151mg (0.0514 mmol)、2−シア
ノ−1,5−ジメチル−4−トリブチルスタニルピロール21
0 mg (0.514 mmol)とテトラキス(トリフェニルフォス
フィン)パラジウム12 mg (0.01 mmol)をトルエン16 ml
に溶かし、80℃で4時間加熱撹拌して反応させた。反応
混合物を20℃に冷却した後、エーテルで希釈してセライ
トろ過し、飽和フッ化カリウム水溶液で処理した。沈殿
したトリブチルチンフルオライドをろ過により除去した
後にエーテル層を濃縮し、カラムクロマトグラムにより
精製して3−ブロモ−2−(2−シアノ−1,5−ジメチル−4
−ピロリル)−5,6−ジメチルベンゾキノン104 mgを得た
(収率62%)。3−ブロモ−2−(2−シアノ−1,5−ジメチ
ル−4−ピロリル)−5,6−ジメチルベンゾキノン116 mg
(0.498 mmol)、2−メチル−5−トリメチルシリル−3−
トリブチルスタニルチオフェン232 mg (0.506 mmol)、
テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム11
mg (0.01 mol)の無水トルエン溶液を100℃で2日加熱
撹拌して反応させた。反応混合物を室温に冷却した後、
エーテルで希釈してセライトろ過し、飽和フッ化カリウ
ム水溶液で処理した。沈殿したトリブチルチンフルオラ
イドをろ過により除去した後にエーテル層を濃縮し、カ
ラムクロマトグラムにより精製して2−(2−シアノ−1,5
−ジメチル−4−ピロリル)−3−(2−メチル−5−トリメ
チルシリルチオフェン−3−イル)−5,6−ジメチルベン
ゾキノン184 mgを得た(収率88%)。物性は表1に示した。
【0026】実施例13、14 2−(2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)−3−(2−シ
アノ−1,5−ジメチル−4−ピロリル)−5,6−ジメチルベ
ンゾキノン(実施例13、化合物13)と2−(N−p−トル
エンスルホニル−3−インドリル)−3−(2−シアノ−1,5
−ジメチル−4−ピロリル)−5,6−ジメチルベンゾキノ
ン(実施例14、化合物14)は2,3−ジブロモ−5,6−ジ
メチルベンゾキノンの二つの臭素を段階的に反応させて
合成した。一置換体3−ブロモ−2−(2−シアノ−1,5−
ジメチル−4−ピロリル)−5,6−ジメチルベンゾキノン
を実施例12と同様の方法で合成し、これと2−メチル
−5−トリメチルシリル−3−トリブチルスタニルチオフ
ェンを用いた以外は実施例12と同様の方法で2−メチ
ル−3−トリブチルスタニルベンゾチオフェン、N−p−
トルエンスルホニル−3−トリブチルスタニルインドー
ルをそれぞれ反応させて化合物13及び化合物14を合
成した。物性は表1に示した。
【0027】実施例15 2,3−ビスインドロ−3−イルナフトキノン(化合物1
5)は実施例4で得られた2,3−ビス(N−t−ブチルジメ
チルシリル−3−インドリル)ナフトキノンのt−ブチル
ジメチルシリル基を水素原子に置換することにより合成
した。2,3−ビス(N−t−ブチルジメチルシリル−3−イ
ンドリル)ナフトキノン128 mgをテトラヒドロフラン10
mlに溶解し、3当量のテトラブチルアンモニウフルオラ
イドを加えで0℃で2時間撹拌処理することによって、t
−ブチルジメチルシリル基を水素原子に置換した。反応
混合物を濃縮し、エーテルで抽出した後、カラムクロマ
トで処理して2,3−ビスインドロ−3−イルナフトキノン
を収率32%で得られた。2,3−ビスインドロ−3−イルナ
フトキノンの物性は表1に示した。
【0028】実施例16 2,3−ビスインドロ−3−イルナフトキノンを実施例5で
得られた2,3−ビス(N−トシル−3−インドリル)ナフト
キノンのトシル基を水素原子に置換して合成した。2,3
−ビス(N−トシル−3−インドリル)ナフトキノンをジ
オキサンに溶解し、4当量の飽和炭酸カリウム水溶液を
加え6時間還流撹拌することによって、トシル基を水素
原子に変換した。反応混合物を濃縮し、エーテル抽出し
て濃縮物をカラムクロマトで精製して収率65%で2,3−
ビスインドロ−3−イルナフトキノンを得た。得られた
2,3−ビスインドロ−3−イルナフトキノンの物性は実施
例15で得られたものと一致した。
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】実施例17 実施例8で得られた2,3−ビス(2−メチル−5−トリメ
チルシリル−3−チエニル)−5,6−ジメチルベンゾキノ
ンをn−ヘキサンに溶かし吸収スペクトルを測定したと
ころ波長424nmにモル吸光係数 1866 の吸収極大を示し
た。この溶液に波長450 nmの光(500Wキセノンランプ光
を干渉フィルターで分光)を10分照射したところ、424nm
の吸収帯は減少した。結果を図1に示した。支持電解
質としてテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレ
ート(0.1 moldm-3)を含むアセトニトリル中で酸化還元
電位を測定したところ、キノンからキノンラジカルに1
電子還元される第一還元電位が −0.96 V (参照電極:Ag
/AgClO4)であった。光照射後はキノンからキノンラジカ
ルに還元される電位が −0.90 Vに変化し、還元電流は
減少した。その他の2,3−ジアリールキノンのヘキサン
溶液中の吸収極大、アセトニトリル中の第一還元電位は
表1に示す。2,3−ジアリールキノンは光照射により可
視域の吸収の減少と還元電流の減少が観察された。
【0036】
【発明の効果】本発明の一般式(I)で示される2,3−
ジアリールキノンは光応答機能と電気応答機能を合わせ
持ち、しかも光反応による酸化還元電位の変化が十分大
きな化合物であるため、本発明は光−電気機能材料とし
て有用な材料を提供する事ができる。本発明の2,3−ジ
アリールキノンを電極上に固定すると、光照射による酸
化還元電位の変化を電気信号として取り出せる。即ち、
光信号を電気信号に変換する。従って、光信号を電気信
号に変換するセンサー、光信号によりインプットし電黄
信号によりアウトプットするメモリーやトランスデュー
サとして動作するデバイスが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2,3−ビス(2−メチル−5−トリメチルシリル
−3−チエニル)−5,6−ジメチルベンゾキノンをn−ヘ
キサンに溶かした溶液の波長450 nmの光の照射前後の光
吸収スペクトルを示す線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07D 409/08 C07D 409/08 // C09K 3/00 C09K 3/00 C (56)参考文献 欧州特許出願公開560684(EP,A 1) Bull.Soc.Chim.Bel g.,(1994),Vol.103,No. 1,p.31−33 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 207/335 C07D 209/12 C07D 333/08 C07D 333/60 C07D 403/08 C07D 409/08 C09K 3/00 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式(I)で示される2,3−ジアリールキノ
    ン。 【化1】 (R1はメチル基であるか、又は-CH=CH-CH=CH-でキノン
    環の二重結合を含みナフトキノン環を形成してもよい。
    Xは硫黄原子である。 R2、R3およびR4が水素原子で
    あるか、R2がメチル基、R3がトリメチルシリル基、R4
    水素原子であるか、または、R2がメチル基、R3とR4が-C
    H=CH-CH=CH-で5員環の二重結合を含み環形成していても
    よい。)
  2. 【請求項2】請求項1に示される2,3−ジアリールキノ
    ンの製造法であって、次式(II)で示される2,3−ジブロ
    モム化キノンと、次式(III)で示されるアリール金属化
    合物とを反応させることからなる2,3−ジアリールキノ
    ンの製造法。 【化2】 (R1はメチル基であるか、あるいは-CH=CH-CH=CH-でキ
    ノン環の5位、6位二重結合を含みナフトキノン環を形成
    していてもよい。Yは臭素原子を表す。) 【化3】 (Xは硫黄原子である。 R2、R3およびR4が水素原子で
    あるか、R2がメチル基、R3がトリメチルシリル基、R4
    水素原子であるか、または、R2がメチル基、R3とR4が-C
    H=CH-CH=CH-で5員環の二重結合を含み環形成していても
    よい。 ZはSn(n−Bu)3を表す。)
  3. 【請求項3】(II)式で表される2,3−ジブロム化キノ
    ンと(III)式で表されるアリール金属化合物とを反応
    させる際にパラジウム化合物を触媒として使用する請求
    項2に記載の2,3−ジアリールキノンの製造法。
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