JP3209355B2 - パンツ型使い捨ておむつ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液透過性の表面シート
と、液不透過性の防漏シートと、これら両シート間に位
置する吸収体と、該吸収体の周囲に位置する前後のウエ
スト部とを有し、該前後のウエスト部が左右両端でそれ
ぞれ接合固定されたパンツ型使い捨ておむつに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、パンツ型おむつは、特開昭６１
−２０７６０５号公報に開示されているように、液透過
性の表面シートと、液不透過性の防漏シートと、これら
両シート間に介在された吸収体とから構成された縦長の
本体を備え、該本体の長手方向に沿う両側に形成された
左右一対のサイドフラップにおいて、腹側部と背側部と
を互いに接合固定して、左右一対のレッグ開口部及び一
つのウエスト開口部が形成されており、通常、着用者自
らが立位の状態で着用することができるので、幼児の
「おむつ離れ」を促進するためのトイレットトレーニン
グ用として、または失禁者用もしくは歩行可能な成人用
として用いられている。

【０００３】この種のパンツ型おむつは、一対のレッグ
開口部にそれぞれ弾性部材を配置してかかる部分に伸縮
自在なレッグギャザー（第１レッグギャザー）を形成し
て、レッグ開孔部からの排泄物の漏れを防止している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、パンツ型おむ
つにおける従来のレッグギャザーでは、テープファスナ
ーを用いるフラット型のおむつに比べ、隙間による漏れ
が生じにくいものの未だ十分とはいえない。即ち、吸収
体からオーバーフローした尿又は便（特に軟便、下痢
便）の漏れを防止する事は可能だが、吸収体からレッグ
ギャザーまでの距離がはなれているため、吸収体とレッ
グギャザーとの間にある排泄物を再び吸収体に吸収させ
ることは困難であり、レッグギャザー付近に吸収体に吸
収されずに残った排泄物が溜まってしまうという不都合
があった。

【０００５】このようにレッグギャザー付近に排泄物が
溜まってしまうと、幼児の歩行や走行または活発な動き
等によりレッグギャザーにわずかな隙間が生じた場合、
漏れを生じるという不都合がある。特に、幼児の歩行時
等には該おむつ全体を下方に押し下げる力が作用して、
おむつのずれ落ち等によりレッグギャザーに間隙を生じ
て排泄物の漏れが生じる場合がある。

【０００６】また、排泄物がレッグギャザー付近に留ま
っていると皮膚に排泄物が直接接触し、「かぶれ」の原
因にもなるという不都合がある。かかる不都合を解消す
るためには、上記レッグギャザーに換えて吸収体の側縁
付近のみに身体方向に向かって立設するギャザーを設け
る構成が考えられる。しかし、かかるレッグギャザーの
みでは、例えば砂時計型の吸収体等のように、股間幅が
狭い場合には、吸収体上に排泄物を保持する空間が狭
く、大量の尿や下痢便等では該ギャザーを越えて排泄物
が漏れ出てしまうという欠点がある。

【０００７】従って、本発明の目的は、レッグ部からの
漏れを確実に防止することができるパンツ型使い捨てお
むつを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、液透過性の表
面シートと、液不透過性の防漏シートと、これら両シー
ト間に位置する吸収体とを有し、着用者のウエスト周囲
に位置する前後のウエスト部が左右両端でそれぞれ接合
固定されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、上記吸収
体の長手方向側縁の外側に位置し、着用者の脚部を実質
的に連続して囲む左右一対の第１レッグギャザーと、該
一対の第１レッグギャザーと上記吸収体との間の位置又
は上記吸収体上の位置に、該吸収体の長手方向側縁に沿
って配置され、着用者の身体に向かってそれぞれ立設さ
れた一対の第２レッグギャザーとを備え、上記吸収体の
吸収容量が３００ｇ／枚以上であり、一対の上記第２レ
ッグギャザーは、それぞれ、帯状シートとその先端部に
配置された弾性部材とにより構成されており、該帯状シ
ートの一側縁部全体が上記表面シートに固定され、他側
縁部全体に該弾性部材が張設されて形成されており、該
帯状シートは、その表面が疎水化されており、上記吸収
体の厚みが５mm以下であり、且つ上記第２レッグギャザ
ーの高さが２０〜５０mmであることを特徴とするパンツ
型使い捨ておむつを提供することにより上記目的を達成
したものである。

【０００９】

【作用】本発明によるパンツ型使い捨ておむつによれ
ば、着用中に多量に排泄された排泄物は、第２ギャザー
にて吸収体上に又は吸収体付近に保持され、時間を経て
吸収体に吸収させることができる。従って、排泄物が吸
収されずに残り、これが直接肌に触れるということがほ
とんどない。また、仮に、多量の排泄物が排泄されて第
２ギャザーでは保持しきれずに、溢れでた場合には、第
１ギャザーにより使い捨ておむつからの漏れが防止され
る。更に、第２ギャザーも実質的に連続しているなら
ば、第１、第２ギャザーが相乗して、漏れを防止するの
で効果は更に大きくなる。

【００１０】

【実施例】以下に、添付図面の図１〜図３を参照して、
本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施例を詳細に説明
する。尚、図１は本発明の実施例によるパンツ型使い捨
ておむつの斜視図、図２は図１に示すパンツ型使い捨て
おむつを展開した状態を示す平面図、図３は図１に示す
パンツ型使い捨ておむつの要部の断面図である。

【００１１】本実施例のパンツ型使い捨ておむつ１は、
液透過性の表面シート２と、液不透過性の防漏シート３
と、これら両シート間に位置する吸収体４とを有し、着
用者のウエスト周囲に位置する、該前後のウエスト部５
ａ、５ｂが左右両端でそれぞれ接合固定されたパンツ型
使い捨ておむつにおいて、該吸収体４の長手方向側縁の
外側に位置し、着用者の脚部を実質的に連続して囲む左
右一対の第１レッグギャザー８、８と、該一対の第１レ
ッグギャザー８、８と上記吸収体４との間の位置又は上
記吸収体上４の位置に、該吸収体４の長手方向の縁に沿
って配置され、着用時に着用者の身体に向かってそれぞ
れ立設された一対の第２レッグギャザー９、９とを備え
ることを特徴とする。

【００１２】本実施例のパンツ型使い捨ておむつにおけ
る表面シート２、防漏シート３、吸収体４、ウエスト部
の原料等は、特に限定されず、通常のパンツ型使い捨て
おむつに用いられるものが用いられるが、具体的には、
下記するようなものが用いられる。上記表面シート２
は、液透過性シートで肌着に近い感触を有したものが好
ましく、このような液透過性シートとしては、例えば、
織布、不織布、多孔性フィルム等が好ましい。

【００１３】上記防漏シート３は、熱可塑性樹脂にフィ
ラーを加えて延伸した液不透過性且つ蒸気を透過させる
蒸気透過性のフィルムシート１０、または繊維集合体が
用いられる。上記吸収体４は、略中央がくびれた砂時計
型形状に形成されていることが好ましい。また、その吸
収容量が３００ｇ／枚以上であり、好ましくは、５００
ｇ／枚以上である。３００ｇ／枚より少ないと尿の吸収
が十分にできないからである。

【００１４】吸収体４の厚みは、５mm以下であり、好ま
しくは３mm以下である。５mmより大きいと嵩張るととも
に、身体へのフィット性を悪化させギャザーと身体の間
に隙間を生じさせ漏れにつながるからである。かかる吸
収体４の材料としては、解繊パルプを主材とし、高分子
吸水ポリマーを併用したものが好ましく、その他、熱可
塑性樹脂、セルロース繊維、あるいは高分子吸水ポリマ
ーの混合物に熱処理したものが好ましい。高分子吸水ポ
リマーの存在位置は上層、中層、下層のいずれであって
もよく、パルプと混合したものであってもよい。高分子
吸水ポリマーは自重の２０倍以上の液体を吸収して保持
する性能を有し、ゲル化する性質を有する粒子状のもの
が好ましく、このような高分子吸水ポリマーとしては、
デンプン−アクリル酸（塩）グラフト共重合体のケン化
物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、
アクリル酸（塩）重合体等が好ましい。

【００１５】前後のウエスト部５ａ、５ｂは、図２に示
す展開状態から、該ウエスト部５ａ、５ｂの左右両端を
夫々接合固定して、図１に示すようなパンツ型を形成
し、ウエスト部５と、左右一対のレッグ部６、６とを形
成するようになっている。。前後のウエスト部５ａ、５
ｂには、ウエスト部用弾性部材１１ａ、１１ｂが配置さ
れ、パンツ型のウエスト部５にウエストギャザー１２を
形成するようになっている。

【００１６】次に、本発明の特徴である第１レッグギャ
ザー８、８及び第２レッグギャザー９、９について説明
する。第１レッグギャザー８、８は、左右のレッグ部
６、６のそれぞれに配置された第１弾性部材７、７が伸
縮して形成されている。かかる第１レッグギャザー８、
８は、着用者の股下付近における脚部周囲を実質的に連
続して囲むを弾性的にフィットさせ、レッグ部６、６か
らの漏れを防止するようになっている。

【００１７】第１弾性部材７、７としては、１５０％以
上の伸縮率を有し、天然ゴム、合成ゴム、発泡ポリウレ
タンなどからなる複数本の糸状体または帯状体が用いら
れる。第２レッグギャザー９、９は、一対の第１レッグ
ギャザー８、８と上記吸収体４との間の位置又は上記吸
収体上４の位置に、該吸収体４の長手方向の縁に沿って
配置され、着用時に着用者の身体に向かって立設するよ
うになっている。

【００１８】即ち、第２レッグギャザー９、９は、第１
弾性部材７、７と吸収体４との間の位置または吸収体４
の上の位置（本実施例では第１弾性部材７、７と吸収体
４との間の位置）に配置されているが、かかる第２レッ
グギャザー９、９は、帯状シート１３、１３とその先端
部に配置された第２弾性部材１４とにより構成されてい
る。

【００１９】帯状シート１３、１３は、吸収体４の長手
方向に沿ってその周縁と第１レッグギャザー８、８との
間に帯状に配置され、その一側縁部全体が表面シート２
に固定されており、他側縁部全体には第２弾性部材１
４、１４が張設されている。該帯状シート１３、１３
は、本実施例では、吸収体４の長手方向の一端から他端
まで延出し、レッグ部６、６の凹形状に沿って若干湾曲
して配置されているが、吸収体４より長くてもまたは短
くてもよい。また、帯状シート１３、１３の幅は２０mm
〜６０mmが好ましく、特に３０mm〜５０mmが好ましい
が、立設状態における高さに応じて決定される。

【００２０】帯状シート１３、１３としては、表面が疎
水化されているシートが用いられ、該シートとしては、
ポリエステル、ポリオレフィンあるいはレーヨン繊維等
の単一又は複合された不織布（乾式、湿式）あるいはポ
リオレフィンフィルムとのラミネートシート等が用いら
れるが、好ましくは表面シート２と同じ材料のシートを
用いる。また、帯状シート１３、１３の一側縁部は、表
面シート２に固定されているが、固定方法は熱融着、接
着剤等により接着固定されている。

【００２１】帯状シートの他側部に配置される第２弾性
伸縮部材１４、１４は、第１弾性伸縮部材７、７と同様
に、１６０％以上の伸縮率を有し、天然ゴム、合成ゴ
ム、発泡ポリウレタンなどからなる複数本の糸状体とし
てまたは帯状体として連続的に接合されている。かかる
構成のパンツ型使い捨ておむつによれば、図１に示すよ
うに、パンツ型を形成した際に、第１レッグギャザー
８、８の内側に第２レッグギャザー９を形成するが、第
２レッグギャザー９、９の高さＨは、２０mm〜５０mm、
好ましくは３０mm〜４０mmである。２０mmより小さいと
排泄物の十分な保持ができなくなり、５０mmより大きい
と着用中に嵩張るからである。

【００２２】次に、本実施例の作用について説明する。
図１に示すパンツ型の状態で、着用者の足をウエスト部
５ａ、５ｂ、続いてレッグ部６、７に通して引き上げて
着用する。これによって、着用者の脚部の略全周囲に第
１レッグギャザー６、６が形成され、その内側（股側）
の脚部に第２レッグギャザー９、９が形成される。

【００２３】着用中の状態では、着用者が排泄物を排泄
すると、排泄物は表面シート２を介して、吸収体４に吸
収される。一方、即に吸収体４に吸収できないような多
量の排泄物または軟便等の場合には、表面シート２上に
残留する。かかる場合、第２レッグギャザー９、９が堰
を形成し、排泄物を吸収体上または吸収体４近傍に保持
する。これによって、堰に溜まった排泄物を時間をかけ
て吸収体４に吸収させることができる。

【００２４】また、たとえ、排泄物が、第２ギャザー
９、９から溢流しても第１ギャザー６、６によりおむつ
からの排泄物の漏れは確実に防止される。本発明は上述
した実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱
しない範囲で種々変形可能である。例えば、図４に示す
ように、第２レッグギャザー９、９は吸収体３の上方に
配置するものであってもよい。この場合、排泄物は確実
に吸収体３上に保持することができる。

【００２５】次に、上述した実施例に基づいて実施品を
作成し、比較品と比較実験をおこなった。 （実施品１）図３に示すように、第２レッグギャザー９
を吸収体４と第１レッグギャザー６との間に位置させた
ものを作成し、第２レッグギャザー９の高さＨを４０m
m、吸収体の吸収容量５００ｇ／枚、吸収体の厚み５mm
としたもを作成し、実施品１を得た。 （実施品２）図４に示すように、第２レッグギャザー９
を吸収体４上に配置させたものを作成し、第２レッグギ
ャザーの高さＨを３０mm、吸収体の吸収容量５００ｇ／
枚、吸収体の厚み５mmとしたものを作成し、実施品２を
得た。 （実施品３）図５に示すように、第１レッグギャザー６
と第２レッグギャザー９を備え、第２レッグギャザーが
実質的に連続して脚を囲むように配置させたものを作成
し、ギャザーの高さ、吸収体を実施品１と同じとしたも
のを作成し、実施品３を得た。 （比較品１）背側のファスナーテープを腹側のターゲッ
トテープに貼着して固定するフラットタイプの使い捨て
おむつを作成し、比較品１を得た。この比較品１は、第
１レッグギャザー及び第２レッグギャザー両方を備え、
他の点においては実施品１と同様の構成とした。 （比較品２）第１レッグギャザーのみを有するパンツ型
使い捨ておむつを作成し、比較品２を得た。この比較品
２における第１レッグギャザーの構成及び、その他の構
成については上述した実施品１と同様の構成とした。 （比較品３）第２レッグギャザーのみを有するパンツ型
使い捨ておむつを作成し比較品３を得た。この比較品３
における第２レッグギャザーの構成及び、その他の構成
については、上述した実施品１と同様の構成とした。

【００２６】上述した実施品と比較品とについて、下記
する吸収量の試験を行った。該吸収量の試験は、歩行可
能なベビーモデルに上記実施品及び比較品を装着し、７
２０歩／分、２０分間歩行させた後、横寝状態で排尿
し、その排尿が漏れるまでの最大吸収量を測定した。そ
の結果を下記表１に示す。

【００２７】

【表１】 表１から明らかなように、本発明による実施品によれ
ば、いずれも最大吸収量が２００ｇ以上であり、比較品
が１２０ｇ以下であることから、本発明による実施品に
よれば、比較品の約２倍以上の排尿を吸収するまで排尿
漏れを防止することができ、これにより、吸収体による
吸収能を最大限発揮することができる。

【００２８】

【発明の効果】本発明のパンツ型使い捨ておむつによれ
ば、レッグ部からの漏れを容易に防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例によるパンツ型使い捨ておむつ
の斜視図である。

【図２】図１に示すパンツ型使い捨ておむつを展開した
状態を示す平面図である。

【図３】図１に示すパンツ型使い捨ておむつの要部の断
面図である。

【図４】本発明の他の実施例によるパンツ型使い捨てお
むつの断面図である。

【図５】本発明の更に他の実施例によるパンツ型使い捨
ておむつの断面図である。

【符号の説明】

１ パンツ型使い捨ておむつ ２ 表面シート ３ 裏面シート ４ 吸収体 ８ 第１レッグギャザー ９ 第２レッグギャザー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−295554（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−29351（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−185166（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−31755（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−31135（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61F 13/15 - 13/84

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液透過性の表面シートと、液不透過性の
   防漏シートと、これら両シート間に位置する吸収体とを
   有し、着用者のウエスト周囲に位置する前後のウエスト
   部が左右両端でそれぞれ接合固定されたパンツ型使い捨
   ておむつにおいて、 上記吸収体の長手方向側縁の外側に位置し、着用者の脚
   部を実質的に連続して囲む左右一対の第１レッグギャザ
   ーと、 該一対の第１レッグギャザーと上記吸収体との間の位置
   又は上記吸収体上の位置に、該吸収体の長手方向側縁に
   沿って配置され、着用者の身体に向かってそれぞれ立設
   された一対の第２レッグギャザーとを備え、 上記吸収体の吸収容量が３００ｇ／枚以上であり、 一対の上記第２レッグギャザーは、それぞれ、帯状シー
   トとその先端部に配置された弾性部材とにより構成され
   ており、該帯状シートの一側縁部全体が上記表面シート
   に固定され、他側縁部全体に該弾性部材が張設されて形
   成されており、該帯状シートは、その表面が疎水化され
   ており、 上記吸収体の厚みが５mm以下であり、且つ上記第２レッ
   グギャザーの高さが２０〜５０mmである ことを特徴とす
   るパンツ型使い捨ておむつ。
2. 【請求項２】 上記第２レッグギャザーが着用者の脚部
   を実質的に連続して囲むことを特徴とする請求項１に記
   載のパンツ型使い捨ておむつ。
3. 【請求項３】 上記前後のウエスト部には、ギャザーが
   形成されていることを特徴とする請求項１又は２記載の
   パンツ型使い捨ておむつ。